2017-10

『中国女性史研究』第26号刊行

中国女性史研究会の会誌『中国女性史研究』第26号が刊行されました。

内容は以下のとおりです。

【論文】
権力と皇后(金子修一)
アメリカ人女性宣教師ローラ・ホワイトの女性役割観――1910年代の匯文女子学校と『女鐸』における活動から(張語涵)

【末次玲子さん追悼記念特集】
略年譜
業績一覧
末次玲子さんを偲んで(米田佐代子・前山加奈子・早川紀代・後藤延子・Susan Mann・江沛・游鑑明・杜芳琴ほか)

【秋山洋子さん追悼】
略年譜
著作目録
秋山洋子さんを悼む(田畑佐和子)

【書評】
楠原俊代著『韋君宜研究』(田畑佐和子)

【交流】
「第4回中国近現代社会文化史国際学術シンポジウム」報告(江上幸子)

【年表】
現代中国女性史年表11(2015.9~2016.8)(遠山日出也)

例会報告
中国女性史研究会第21回総会
中国女性史研究会規約
会員業績一覧
『中国女性史研究』執筆要項
入退会者
編集後記


1冊1000円です(送料別)。

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関連記事

学校におけるホモフォビアなどについての教員への働きかけ

目次
はじめに
1.教員と協力して、大学でセクシュアル・マイノリティをテーマとする選択科目を開設
2.教員にLGBTへの支持やホモフォビア教科書の拒否を表明させる
3.教え子から依頼により教員に宣伝資料を送付
4.小・中・高・大学教員に対する研修活動
おわりに

概要:学校内のホモフォビアの問題に関しては、学校で使われている教科書のホモフォビアについて、教育部や編者・出版社に是正を求めることとともに、教員に対して働きかけることも重要だ。2009年から、広州市の「同城青少年資源センター」などが、大学教員と協力していくつかの大学でセクシュアル・マイノリティをテーマとする選択科目を開設してきた。また、2014年からは、全国十数のLGBT団体が、教員に、LGBTへの支持やホモフォビア教科書の拒否をネット上で表明するよう働きかける活動をおこなっているが、この活動には、ジェンダーなどが専門でない教員も多く参加している。また、2015年から、同城青少年資源センターは、この問題に関心がある教員に対して、「教師“性/別”研習営」という、ジェンダーやセクシュアリティの基本的知識を教えたり、LGBT青年の話を聞いてもらう活動も始めた。こうした活動は、ごく小規模なものだが、教育部や編者・出版社に対する働きかけとは別の形で着実な成果をあげている。

これまで本ブログでは、同性愛を「変態」「病気」「倒錯」などと記述している大学教科書の問題に関するLGBTの団体や個人の取り組みとして、調査報告や行政への提言、こうした教科書を放置する教育部を訴えた裁判、教科書の編者や出版社への働きかけについてご紹介してきた(本ブログの記事「大学教科書のホモフォビアの是正を求める運動」、「ホモフォビア教科書を放置する教育部を訴えた裁判の紆余曲折とその敗訴」、「大学のホモフォビア教科書の編者・出版社に対する働きかけ」)。

もうひとつ重要なのは、「教員」に対する働きかけである。教員がどうであるかは、教科書の問題にかぎらず、学校内でのLGBTの人権を保障する環境を整備する上でカギとなる。

特にこの問題に取り組んできたのが、広東省広州市の「同城青少年資源センター同城青少年资源中心、Gay and Lesbian Campus Association of China[GLCAC])」(以下、「同城」と略す)である。

同城は、2006年に設立された「青少年のLGBT(原文は「同志」。以下も「同志」は基本的に「LGBT」と訳す)の権益およびその学校での生存環境に関心を持って、サービス・教育・サポートをおこなう非営利機構」(1)である。

まずその刊行物を見てみると、同城は、2012年、愛白文化センターとともに「性的指向とジェンダー身分による学校でのいじめ調査報告(基于性倾向和性别身份的校园欺凌调查报告。概要は、本ブログの記事「学校における性的指向などによるいじめに関する調査」参照)を刊行している。

2013年には、同城は『学校でのいじめ、STOP!――性的指向とジェンダーによる学校でのいじめの予防と対応(性向、性别身份的校园欺凌预防与应对手册[pdf])』という漫画ハンドブックを印刷し、さまざまなLGBT団体、教育団体などに、寄付を求めつつ配布した(2)。このハンドブックは48ページあるが、2016年までにすでに1万8000冊を発行している(3)

2014年には、同城は、中山大学ジェンダー教育フォーラムなどと協力して「中国の大学の教科書の中の同性愛に対する誤った、汚名を着せる内容とその影響の調査報告(中国高校教科书中同性恋错误和污名内容调查报告。主な内容は、本ブログの記事「大学教科書のホモフォビアの是正を求める運動」参照)」を発表した。

同城は、こうした調査研究などと並行して、以下のように教員への働きかけをすすめてきた。

1.教員と協力して、大学でセクシュアル・マイノリティをテーマとする選択科目を開設

2008年は、「同城」のメンバーが大学の教員と話をしているとき、学生は入学と卒業で流動するけれども、教師たちはずっと大学にいるので、教員に働きかけたりサポートしたりすることが重要であることに気付いた。

そこで2009年初め、同城は、華南理工大学の教員と初めて講義での協力をして、「多元的性別」という公共選択科目(教員の申請を大学が認可することで、学生が単位を得られる課程になった)を開設した。この科目は非常に人気が出た。

この後、「大学教育と教師の参与」というテーマが、同城の重要な戦略方向となった。同城は、大学の教員に働きかけて、彼らに多元的性別とセクシュアル・マイノリティの権利についての公共選択科目を開設してもらう活動に取り組んだ。

同城らは、2009年から2013年までの5年間に、上記の華南理工大学のほか、中山大学、華南師範大学、湖北工業大学の4大学で公共選択科目を開設した。

カリキュラムは1回2時間×10回で構成され、内容は、性の文化とジェンダー規範、ジェンダー平等、同性愛の生存の現状、性のよろこび、多元的性別と親子関係、トランスジェンダーの生存と権力、学校でのいじめと暴力、性の健康と弱者の権利、セックスワーカーの生存と権利、色情文化などである。

同城らが教員と協力して開設した各大学での講義を、2013年前半までに6000人近くが聴講した(4)

2009年~2013年におこなわれた課程のうち、その全体内容わかるのは、2012年春季におこなわれた中山大学の以下の課程である。これは、中山大学ジェンダー教育フォーラム、朋友公益(広州の華南理工大学の学生が2006年に設立したグループがもとになったLGBT学生たちのNGO) (5)、同城の三者が共催している。

2012年春季・中山大学の「社会文化と多元的性別」公共選択課程

第1講 課程の紹介(2月28日)
 担当教員 宋素鳳(中山大学中文系副教授)
 映画 《玫瑰少年夢》(Ma vie en rose、ぼくのバラ色の人生。フランス、ベルギー、イギリスの合作、1997年。MtFトランスジェンダーの話)

第2講 同性愛者の生存状態――異文化間の比較(3月6日)
 担当教員 程瑜(中山大学人類学系副教授)
 ゲスト 葉貝(香港智行基金会大陸MSMプロジェクトコーディネーター)

第3講 クィアが包囲を突破する――インディペンデント・フィルムと多元的性/別(注:「性/別」は、日本語で言えば「ジェンダー/セクシュアリティ」に近いが、もう少し含意が多い(6)) (3月13日)
 担当教員 宋素鳳(中山大学中文系副教授)
 映画 《天使 I Am Not What You Want》(香港、2001年。同性愛と異性愛の話)

第4講 性別規範と「パフォーマンス」――扮装とトランスジェンダーの欲望(3月20日)
 担当教員 柯倩婷(中山大学中文系副教授)
 ゲスト 伊玲

第5講 流行文化と多元的性/別――サブカルチャーから転覆的な実践を語る(3月27日)
 担当教員 周周(香港中文大学ジェンダーと文化研究所博士候補者)

第6講 社会文化とジェンダー気質――ジェンダーのレインボーのスペクトラム(4月10日)
 担当教員 黄海濤(広州のフリーの評論家。前中山大学ジェンダー教育フォーラムのコーディネーターで、そのウェブサイトの責任者)

第7講 多元的性文化と愛情――愛情や他の親密な関係の可能なモデル(4月17日)
 担当教員 羅鳴(香港中文大学社会学博士候補者、レズビアンサイト「同語」のボランティア)

第8講 多元的性別と家族の形――カミングアウトと親子関係(4月24日)
 担当教員 宋素鳳(中山大学中文系副教授)
 ゲスト 梅さん(「同性愛者の家族と友人の会・上海」の呼びかけ人)

第9講 個人の身体と社会の身体――エイズの恐怖と防止について(5月8日)
 担当教員 艾暁明(中山大学中文系教授)
 ゲスト 張錦雄(香港のエイズ運動の活動家、「香港レインボー」ゲイコミュニティサービス機構の創設者)

第10講 グループの宿題の発表(5月15日)
 担当教員 宋素鳳(中山大学中文系副教授) (7)

他に、カリキュラム内容の全体は不明ながら、華南師範大学では、2012~2013年に、「社会文化とジェンダー気質――ジェンダーのレインボーのスペクトラム」(黄海濤)、「青年の感情と親密な関係」(陳杜[NGO「朋友公益」創設者])、「多元的性/別と家族関係――1人の母親から見たGAY」(呉幼堅[同性愛者の家族と友人の会])、「映画上映《レインボーは私の心とともに》」、「中国のセクシュアル・マイノリティの現状と思考」(陳杜)、「男女の間――私のトランスジェンダーの道」(Joanne)、「親子関係とジェンダー――愛は最も美しい虹」(呉幼堅)、「欲望とよろこび――珠江デルタのセックスワーカーの生存の現状」(厳月蓮[香港のセックスワーカー団体「紫藤」代表])、「同性パートナーの愛情」(ken仔)、「中国のインディペンデントフィルム――セクシュアル・マイノリティの文化と発声の空間」(魏建剛)といった講義がおこなわれていることがわかる(8)

2014年以降で、一つの課程の第7講までがわかるのは、2014年春季におこなわれた湖北工業大学の課程である。

2014年春季・湖北工業大学「ジェンダー文化」公共選択科目

第1講 女性と人権(4月13日)
 担当教員 呂頻(フェミニスト活動家、時事評論作家)

第2講 メディアとジェンダー研究(4月20日)
 担当教員 紀莉(武漢大学ニュースとメディア学院・副教授)

第3講 男女の間――私のトランスジェンダーの道(4月27日)
 担当教員 Joanne(トランスジェンダー、「香港トランス性/別センター」主席)

第4講 性の権利と色情のポリティクス(5月11日)
 担当教員 小曹(曹文傑)(香港のLGBTおよび性の権利運動で活躍。女同学社を創設した1人)

第5講 親子関係と性的指向(5月18日)
 担当教員 呉幼堅

第6講 同性愛が社会にもたらす啓示(5月25日)
 担当教員 曾子

第7講 エイズと共に生きて19年(6月8日)
 担当教員 ken仔、覃念(エイズ感染者、セクソロジー専攻大学院生) (9)

また、中山大学では、2014年には、「生命がエイズに出会うとき」(光光&小翔[レインボー中国代表、智同中国広州LGBTセンター])、「形式婚姻(ゲイとレズビアンとの偽装結婚)研究」(王穎怡[香港大学博士])、「キャンパスにおけるセクシュアル・マイノリティの生存と対応」(陳杜)、「香港のジェンダー運動」(小曹)、(前期の最後に)「親睦レインボーパーティー」、「ジェンダーのパフォーマンスと多元的性/別」(何其沃[モダンダンサー])、「性と道徳」(厳月蓮)、「レズビアングループの現状と発展」(大拿[華人レズビアン連盟事務局長])、「性の曖昧さとバイセクシュアル」(潘龍飛[カルマン症候群患者]、Sun[中山大学レインボーグループ代表])、「LGBTというテーマに関するメディアに対する提言」(阿強[同性愛者の家族と友人の会・主任])といった講義がおこなわれている(10)

以上の課程の特徴として、毎回教員やゲストが変わること、学者だけでなく、当事者性を持った活動家を多く登壇させていること、学者でも若手に多く話させていることが挙げられよう。そのために、話の内容も、バラエティに富んだ最前線のものになっているように思われる。また、同じ人が複数の大学で話をしている例も少なくなく、インターカレッジ的性格を持っているとも言えよう。

これまでも大学で同性愛などについての講義がなかったわけではない。2003年~2005年に復旦大学で同性愛に関する連続講座がおこなわれている(11)。しかし、民間のLGBT団体が意識的に教員に働きかけたり、協力したりすることによって課程を開設したのは、同城や朋友公益によるものが初めてではないだろうか。

ただ、中山大学に見られるように、こうした課程まで開設できるのは、ジェンダーやセクシュアリティの専門の教授、副教授がいる場が中心にならざるをえないのではないか。ただし、この点は、他の大学のケースを調べなければ断定できない。

2.教員にLGBTへの支持やホモフォビア教科書の拒否を表明させる

2014年10~11月、全国各地の15のLGBT団体(*)が共同で「Teacher, we need you!”全国の教師がLGBTをサポートするアクション」というものを開始した。そのテーマは、「教師はLGBTをサポートし、同性愛に汚名を着せる教材を拒否する」というものである。

(*)同城青少年資源センターのほか、北京LGBTセンター、重慶milk公益小組、杭州下沙-レインボー[彩虹]、武漢同行LGBT小組、山西藍典工作組、湖南大学愛smile工作組、中南高校レインボー連盟、湖南師範大学レインボー社、同在川農LGBT、江蘇同天工作組、 福建師範大学同心社、江西高校レインボー連盟、貴州黔程LES工作組の15団体。

これは、ごく簡単に言えば、教師がLGBTに対するサポートやホモフォビア教科書の拒否を表明した文をA4の紙またはプラカードに書いて、それを手に持った自分の写真を撮ってもらって発表する活動である。

教師が自発的にそうしたことをするだけでなく、LGBTの学生や支持者が積極的に教師に働きかけて上記のことをしてもらうのである。その場合、LGBTの学生や支持者は、同城が作成した『教師遊説実行ハンドブック(教师游说执行手册)』(http://pan.baidu.com/s/1o6KAcOiよりダウンロード)を参考にして、教師を説得する。説得の際には、最初に挙げたようなLGBTのいじめ被害やいじめ防止、ホモフォビア教科書について文献も活用する(12)

こうした努力の結果、2014年には60人の教師がこの活動に参加してもらうことができた。

日本でもジェンダー研究者として知られている、林紅・廈門大学副教授、柯倩婷・中山大学副教授、金一虹・南京師範大学元教授もこの活動に参加した。

しかし、60人のうち、80%にはジェンダー研究のバックグラウンドはなく、大多数は同性愛者と生活の中で接触したことがなく、まして同性愛というテーマで教学や研究をしたことはなかった。

たとえば、最初に宣言をおこなった呉奇・湖南師範大学教育科学学院心理学系講師は、湖南愛smile工作組がアプローチしたのだが、彼は同性愛について少し聞いたことはあったが、理解はしていなかった。しかし、湖南愛smile工作組と交流するなかで「同性愛に汚名を着せる教科書は拒否する。我々は同じ人間だ」と宣言する写真を発表した。ただし、この大学では、教師に働きかけるこの活動は、途中で大学当局にやめさせられ、学生は自己批判を書くよう求められる事態になったのだ。

また、山西省では、まだ教師と現地のLGBT団体との正式な交流がない中、山西藍天工作組が1ヶ月間努力して、王一濤・副教授と馬永新・教師という2人の教員に会うことに成功した。2人は思っていたよりはるかにセクシュアル・マイノリティに理解があったが、山西は保守的な土地柄であることもあって、写真を撮って公然とLGBTたちを支持することにはずいぶん躊躇したという。しかし、最終的には、「私は学生が私にカミングアウトしたとき、私は普通に受け入れる」という宣言とともに、写真に写ってくれた(13)

また、貴州黔程LES工作組は、一か月にわたって6人の貴陽市の教員を訪問したが、いずれも断られた。しかし、このとき、インターネットでの宣伝を見た貴州畢節学院の性健康教育の教師の李丹さんら電話がかかってきて、「このような活動を私は100%支持する。どうしてこの社会に同性愛に汚名を着せる教科書があってよいのか。私が前に出て、写真を撮って支持する」と言われた。さらに彼は、同僚の心理学系の趙占鋒・講師もこの活動に誘ってくれた。貴州黔程LES工作組のメンバー2人は、貴陽市から畢節市まで、バスで6時間半かけて会いに行って、ホモフォビア教科書について語り合った(14)

以上のことから、この活動は、従来からLGBT活動を支持してきた教員に活動に参加してもらうだけでなく、より幅広い教員に活動を広げていることがわかる。

2015年の8月20日~10月10日にも同様の活動がおこなわれた。この年は、同城のほか、西財同伴、南京柒彩公益、北京LGBTセンター、江西高校レインボー連盟、福建師範大学同心社、中珠雨后レインボー、珠海益蘿筐、武漢大学同志公益小組、華師CLS同志公益小組、朝夕青年空間、中南財経大学レインボー社、華中科技大学HGP小組、武漢同行がこの活動をおこなった(15)

前年とは異なる団体も多く取り組んだことがわかる。

こうして2014年と2015年で合計100名あまりの教員に公然とLGBTをサポートすることを表明してもらうことができた。

2016年にも、8月25日~10月10日までの期間、この活動がおこなわれた(16)

3.教え子から依頼により教員に宣伝資料を送付

2016年の教師節(9月10日)の前後には、自分の先生にセクシュアル・マイノリティの人権についての宣伝資料を送付する活動がおこなわれた。

ただし、自分の名前で送るのは難しいのであろう、この活動の参加者は、同城に50元のカンパを送り、自分の先生(または学校)の住所を伝えることによって、同城から「LGBTたちから」という名前で宣伝資料を送るのである。また、お金のない中高生が彼らの先生に宣伝資料を送ることを助けるために、50元のカンパを募る活動もおこなわれた。

その宣伝資料は「性/別フレンドリーな贈り物」と名付けられており、その中には、「この手紙は、あなたが教えたことがあるLGBTの学生に頼まれて~」という書き出しで始まる手紙とともに、『多元的性/別ハンドブック』、『「ホモフォビア」教材の七つの罪』、『学校でのいじめ、STOP!』などの冊子、同城のリーフレットやフォルダー、LGBTをテーマとした葉書などが入っている。

この活動は、同城と「同志の声」という団体が呼びかけて、華科HGP小組、蘇州LESGO公益小組、西政レインボー関愛小組、中山大学レインボー小組、関艾レインボー、楽窩LALAs_VOICE、南大性別性向平等協会、汕大橘子社、雨滴社、クィアフォーラム、江蘇同天、DiversityUNNCが協力しておこなわれた(17)

4.大・中・高・小学教員に対する研修活動

 2015年初めから、同城は、「教師性/別研習営(教師「ジェンダー/セクシュアリティ」研究学習キャンプ)」プロジェクトを開始し、主に武漢・広州・南京などの地で、教師ための学習の場を設けてきた。

これは、大・中・高・小学教師や在校ソーシャルワーカーを対象にしたものである。そうした教員が、セクシュアル・マイノリティの学生に対するいじめが起きていたり、セクシュアル・マイノリティの学生から助けを求める訴えがあったりしても、教師たちがどうしていいかわからないという状況に対応するためのものだ。

たとえば2016年には、5月24日に、同城と武漢同行とが共催して武漢で「教師“性/別”研習営」をおこない、17人の教師が参加した。

この研習営では、まずアイスブレイクをおこなったのち、性/別の基礎理論の知識を学習した。次に、教師たちは、現実の教学の中でぶつかった実例や疑問をシェアして、議論し、助言しあった。

さらに、「実在の人物による図書館(真人図書館)」と称して、4人のLGBTの青少年が、自分が成長してきた生活体験を教師たちに語った。その話の中には、自己受容、愛情と性、家族関係とカミングアウト、学校でのいじめなどがあった。

この研習営に参加した長江大学心理相談センターの王江橋先生は、「私は、真人図書館というプログラムがいいと思った。青少年学生と面と向かって交流することによって、私はセクシュアル・マイノリティの学生を本当に知ったし、彼らの人生について感性的な認識も得た。これは良い学習であり、マイノリティたちのために発言し、サポートを提供することは有意義であるとともに、心理の教師としての重要な使命であることがわかった」と感想を述べている(18)

12月3日-4日にも、珠江デルタ地域の教師を対象に、広州で「教師“性/別”研習営」がおこなわれた。この「研習営」には、30人の申し込みがあり、22人の小中学校の教員とソーシャルワーカーが参加した(19)

この「研習営」でも、参加者が自らジェンダーを語ったり、ジェンダー規範について話をしりたりした後、「真人図書館」で、4人のセクシュアル・マイノリティの青少年が自分のアイデンティティや家族関係、学校でのいじめなどについて話をしたという。

これに参加した「蘇先生」は、「最大の収穫は、ジェンダー平等を願い、他人を理解しようと願う活力に満ちた人々と知り合いになったことだ。研修の内容と一つ一つの討論によって、私は自分が知識に乏しいとことがわかったので、今後よく勉強し、自分にできるかぎりのことをしたい」という感想を述べている(20)

こうした研修は、初級の研修とさらに進んだ研修とで構成されてという。初級の研修では、性/別理論の知識やLGBTの青少年のニーズ、教師の介入やサポートの技術などを学ぶ。そして、進んだ研修では、地区を越えて、さまざまなテーマでの研究・討論、経験交流をする。

2016年11月の時点で、合計120人あまりの教師に対して研修がおこなわれたという。また、毎回の「研習営」の後には、現地のLGBT団体が教師の実践をサポートすることも予定されている(21)

こうした「研習営」は、セクシュアル・マイノリティの問題に関心がある教員に対して、より正確で詳しい知識と実際に当事者が語る経験をつうじた認識を得させるものだと言えよう。

おわりに

ホモフォビア教科書を放置する教育部を裁判に訴えることは、非常に有意義であり、その活動の粘り強さもあって、多くの人々の関心を呼び起こすことにも成功したが、ただちに成果を上げるのは難しかった。

それに比べれば、個別の教科書の編者や出版社に働きかけることは、いくらか成果もあげてきた。

個別の教員に働きかけることは、さらに地を這うような活動だが、全体から見ればごく僅かとは言え、少しずつ着実な成果を挙げているように思われる。

このようにさまざまな手段に尽くして、ホモフォビアに対するたたかいはおこなわれている。

(1)同城のブログ「同城青少年资源中心的博客」における自己紹介文。
(2)【漫画资料】同城青少年资源中心,赠送“校园欺凌”漫画手册!(欢迎捐款印刷)」2013-05-01 20:31:12)。
(3)基于性少数的“校园欺凌 STOP!”漫画手册(第三版),免费赠送!(欢迎合作洽谈) 」2016-03-22 GLCAC。
(4)【动态】五年沉淀,我们的高校多元性别教育的探索。快来听听同学们的听课感受吧!」同城青少年资源中心的博客2014-01-10 11:07:54。
(5)大学での講座開設プロジェクトは、この「朋友公益」も、同城と同じ2009年からおこなっている。朋友公益と同城はしばしば共同で科目を開設している。以下では、同城のブログ(同城青少年资源中心的博客)の記事を中心に紹介するが、「朋友公益」のブログ(朋友公益的博客)にも、講座の内容がわかる記事が掲載されている。
(6)「性/別」とは、何春蕤ら、台湾の国立中央大学に設立した「性/別研究室」などが依拠している概念。日本語の「ジェンダー/セクシュアリティ」という概念に近いと思うが、(1)「性別」の語の中間にスラッシュを引くことで、その内部の多元的な流動性や分裂を示すことによって、単純な男・女の二分法を乗り越える、(2)ジェンダー(性別)とセクシュアリティ(性)との相互連関および、両者が集約不可能であることを示す、(あ)「性」の多元的差異(「別」)を捉える、(4)その他の社会的差違(階級、エスニシティ、年齢など)との関連も捉える、という四つの認識を含む(何春蕤著 舘かおる・平野恵子編 大橋史恵・張瑋容訳『「性/別」攪乱―台湾における性政治』御茶の水書房 2013年参照)。
(7)以上は、「2012年中山大学“性/别”公选课 欢迎旁听(图)」淡蓝网2012-03-14、「201年(春季)高校【社会文化与多元性别】公共选修课程」朋友公益的博客2012-03-12 21:57:03。
(8)【性/别公选课•华师】社会文化与性别气质:性别的彩虹光谱」2012-09-24 11:38:08、「【性/别公选课•华师】青年情感与亲密关系」2012-10-08 20:53:01、「【性/别公选课•华师】多元性/别与家庭形式:一个母亲眼中的Gay」2012-10-11 00:51:18、「【性/别公选课•华师】播放电影——《彩虹伴我心》」2012-10-22 22:08:04、「【性/别公选课•华师】中国性少数生存现状与思考」2013-03-19 01:26:54、「【性/别公选课•华师】男女之间——我的跨性别路」2013-04-15 14:03:53、「【性/别公选课•华师】中国独立影像:性少数的文化与发声空间」2013-04-23 10:38:39、「【性/别公选课•华师】欲望与愉悦:珠三角区性工作者生存现状」2013-05-06 19:45:15、「【性/别公选课•华师】同性伴侣情感面对面」2013-05-13 20:52:17。
(9)【活动】高校性/别文化公选课(武汉湖工大),第三讲《男女之间-我的跨性别之路》」2014-04-25 15:12:29。
(10)【性/别公选课•中山大学】当生命遇上艾滋」2014-04-07 12:18:43、「【性/别公选课•中山大学】第八讲《形婚研究》」2014-04-23 12:33:20、「【活动】高校多元性/别公选课(中大),第十讲《香港性别运动》」2014-05-06 11:12:30、「【活动】高校多元性/别公选课(中大),最终讲-课程联欢彩虹趴」2014-05-12 14:15:49、「【多元性别公选课(中大版)】第四讲:性别表演与多元性别」2014-10-29 17:10:37、「【多元性别公选课(中大版)】第六讲:女同社群现状与发展」2014-11-10 22:21:18、「【多元性别课程(中大版)】第七讲:性与道德」2014-11-18 21:24:33、「【多元性别公选课(中大版)】第八讲:性模糊与双性恋」2014-11-24 22:27:08、「【多元性别公选课(中大版)】第九讲:LGBT议题媒体倡导」2014-12-02 20:56:14、「【多元性别公选课(中大版)】第十讲:彩虹Party到咯!约吗?」2014-12-09 20:54:23。
(11)その内容は高燕寧『同性恋健康干預』(復旦大学出版社、2006年)に収録されている。
(12)以上は、「老师,为了学生,U站出来吗?“Teacher,we need you!”全国教师撑同志行动,开始啦!」同城青少年资源中心的博客2014-10-19 13:37:07。
(13)【回顾2014】60位教师撑同志,够拼了!“盘点”60个温暖的力量」同城青少年资源中心的博客2015-01-06 00:12:44
(14)贵州首个站出来支持同性恋的两位老师!!」贵州黔程总组2014年11月13日 19:33
(15)教师撑同志行动|今年教师节,我们过得不一样」2015-09-10 GLCAC。
(16)【回顾】新生宝典,请速来认领你身边的友同老师」2016-09-04 GLCAC GLCAC、、「【预告】一批友同老师即将上线l文末有彩蛋」2016-09-07 GLCAC GLCAC。
(17)【加群】自己老师自己“教”!9.10让老师“同志”频道开脑洞!」2016-08-31 GLCAC GLCAC、「【预告】910!帮老师的“同志”频道开脑洞!撩么? 」2016-08-29 同志之声 GLCAC。
(18)【动态】学习、倾听,老师们和LGBT学生在一起|5月教师研习营回顾」2016-07-10 GLCAC GLCAC。ただし、「【预告】“打破区隔”—教师“性/别”研习营招募 (2016.5,武汉.初阶)」(2016-05-04 GLCAC GLCAC)には、5月21日の9:00‐18:00に武漢で、武漢やその周辺の地域の人のために「性/別研習営」がおこなわれることが予定されていたとある。ひょっとしたら、この日程が変更されたのにかもしれない。なお、2015年にも、11月22日に、武漢で、同城と武漢LGBTセンターが「校内心理相談と学生指導」という「初級検習営」をおこなうという告知がブログに出ている(「“打破隔阂”——教师 「性/别」研习营」同城青少年资源中心的博客2015-11-15 13:06:54)。
(19)【招募】老师怎么做性/别教育?│研习营广州站!」2016-11-11 GLCAC GLCAC。
(20)天凉了,来一锅性/别教育大补贴│11月简报」2016-12-19 GLCAC GLCAC。
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大学のホモフォビア教科書の編者・出版社に対する働きかけ

目次
はじめに
一、張将星・曾慶編『大学生心理健康教育』(曁南大学出版社)に対して
 1.西西、秋白の不屈の行動から励まし
 2.副編集長は「私は専門家ではない」と本の編者の責任にし、本の編者は対話を途中で拒否
 3.西西ら、ユーモアある抗議をし、別の副編集長が反省を表明するも、その後、態度急変
 4.副編集長「教材の内容は、現在の法律の条文に照らして判断」
二、高銘暄・馬克昌編『刑法学(第五版)』(高等教育出版社・北京大学出版社)に対して
 1.本の編者、訂正を表明
 2.訂正への賞賛と今後の行動を求めるアクション
 3.編集者、個人として、訂正個所の明示とセクマイ差別の重視の意向を表明
おわりに

はじめに

中国では、同性愛を「障害」や「変態」として記述している大学の教科書が少なくないという問題に関して、前回、本ブログでは、「ホモフォビア教科書を放置する教育部を訴えた裁判の紆余曲折とその敗訴」についてご報告した。

もちろん、ホモフォビア教科書の是正を求める働きかけは、教育部に対してだけでなく、教科書を出版した編者や出版社に対してもおこなわれているので(1)、今回は、それらについてご紹介したい。

一 張将星・曾慶編『大学生心理健康教育』(曁南大学出版社)に対して

張将星・曾慶編『大学生心理健康教育』(2013年 曁南大学出版社)は、「よく見られる性心理障害」の中の一つに「同性愛」を挙げていた。また、「同性愛」について、「性愛の面での紊乱、あるいは性愛の対象の倒錯であると考えられる」とも記していた(2)

1.西西、秋白の不屈の行動から励まし

広州の大学の女子学生の西西さん(仮名)は、同級生たちが「同性愛は病気だ」とか、「ゲイはエイズだ」と言うのを聞き、怒りを感じていた。しかし、それに反論すると、彼らに「同性愛は心理障害だと教科書に書いてある」、「教科書に同性愛はエイズのハイリスクグループだと書いてある」と言われ、西西さんが「教科書が間違っている」と言ってもわかってもらえなかった。西西さんは、教科書の権威の前には、自分が無力であることを感じ、涙をこらえきれないこともあった。

2015年末、広州市の曁南大学のゲイの男子学生が、その性的指向が一因となって自殺したと思われる事件(3)が起きたことも、西西さんに絶望感を与えた。西西さんは、友人の話から、曁南大学の公共選択科目の「大学生心理健康教育」で使用されている教材の『大学生心理健康教育』は、同性愛をスティグマ化する内容に満ちていることを知った。また、この教材の2人の編者は曁南大学の「大学生心理健康教育」の先生であり、「曁南大学心理健康教育センター」のメンバーでもあることも知り、この教材の影響力は非常に大きいと思った。西西さんは、斐然さんもこうした教材を読んだのかもしれないし、こうした教材がもたらした排斥と偏見が、彼を暗くて狭い空間に閉じ込めたのかもしれないと思った。

その後、西西さんは、LGBTの民間団体に加わった。しかし、そこでも、同性愛に汚名を着せる教材によって傷つけられた人々といつも接するようになったことによって、西西さんは、あらためて自分の無力さと絶望を感じるようになった。あるゲイの男性の父母は、大学の教材に「同性愛は矯正することができる」と書いてあったことから、息子を「矯正」しようとしていた。また、彼自身もどこかに助けを求める以前に、助けが得られるという希望自体を持てないという状況を聞き、西西さんは辛かった。

以上のようなさまざまな経験から、西西さんは自らの無力感と絶望を感じた。ギリシャ神話の中で、シジフォスは巨石を山頂近くまで運び上げるが、そのたびに巨石は山から落ちていく。西西さんは、自分がホモフォビア教科書を批判して、自由な空間を広げようとしていることも、シジフォスのしていることと非常に似ているのではないかと感じた。秋白さんにとって、巨石は、運動をする者に対する打撃の象徴だった。

しかし、西西さんは、秋白さんたちが行動によって自分の権利を守ろうとしている姿を見て、励まされた。西西さんは、社会の不公正に直面したとき、黙って受け入れることを選択するのではなく、そうした中でも、同性愛に汚名を着せる教科書の内容について対話を広げ、空間を変えることを求める選択をしているのがシジフォスだと思うようになったのである。

西西さんは、教科書の是正を求める行動を始める決心をした(4)

2.副編集長は「私は専門家ではない」と本の編者の責任にし、本の編者は対話を途中で拒否

6月1日、西西さんは、『大学生心理健康教育』の中にある同性愛に汚名を着せる/誤った内容について、曁南大学出版社と編者の張将星さん・曾慶さんに是正を求める公開書簡を送った(5)

6月4日、西西さんは、曾慶さんに電話をかけた。曾慶さんは、その章は張将星さんや自分が書いた章ではないので、著者に連絡しているところであり、公開の声明を出すと述べた。その声明は西西さんにもメールで送ると述べた。しかし、その後、曾慶さんからは何の連絡もなかった。

6月6日、西西さんは、曁南大学出版社に電話をかけた。翌日、電話は通じたが、相手は、公開書簡は受け取っていないと言った(ところが、西西さんは、郵便会社から、すでに6月2日には、配達および受渡済みの通知を受け取っていたのである)。そこで、西西さんは、電話で自分の訴えを話したが、相手は、すぐに電話を切った。

そこで、6月8日、西西さんと2人の若者は、直接曁南大学出版社に行って、副編集長であり副研究員である晏礼慶さんと1時間あまり話をした。

まず、西西さんらが記述の誤りを指摘すると、晏さんは、「私にどうして『同性愛は心理的障害である』という記述が誤りか否かがわかるだろうか。私に基準をください。これは、もともと、ある観念が正しいか間違っているかの問題だ」と答えた。

それに対して、西西さんらが中華精神医学会の「中国精神障害の分類と診断と基準第3版」が心理学界の科学的基準であり、観念の是非の問題ではないことを指摘すると、晏さんは、「公開書簡を編者に転送する」と言った。

さらに、西西さんらは、出版社と編者、西西さんらの3者が会って話をする場を設けるよう求めた。しかし、晏さんはそれを断り、西西さんらに、直接編者と話をするように言った。

西西さんらは、『大学生心理健康教育』は純粋の出版物ではなく、教材であり、学生に悪い影響を与えていることを指摘した。しかし、晏さんは「まずそれが誤りであることを確定させることが必要だ。私たち編集者がどうして『同性愛は心理的障害である』という記述が誤りか否かを判断できるというのか。私たちは専門家ではない」と答えた。

それに対して、西西さんらは「副編集長としてあなたは、『中国精神障害の分類と診断と基準第3版』を基準にして、その記述の誤りだと判断できないのか?」と追及したが、晏さんは「私は専門家ではない」と繰り返した。

それに対して、西西さんらは「出版社として、出版した内容が社会大衆に悪影響を与えていたら、出版社は本当にどんな責任も負うべきではないのか?」と問うた。

すると、晏さんは「当然、負わなければならない! 出版物は出版前に、本の内容について、以下の面から審査をする。
 第一に、出版物の内容に政治的方向に誤りがないかどうかである。たとえば反党があるのかどうか。
 第二に、出版物の内容に法律法規に反するものがないかどうかである。たとえば憲法に反してはならないし、四つの基本原則(社会主義の道、人民民主主義独裁、中国共産党の指導、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想)に反対してはならない。
 第三に、出版物の内容にロジックの上で誤りがないかである。たとえば、前後の文で矛盾したことを言っていないかとか、1+1=3のような常識的な誤りである。
 第四に、編者が剽窃していないかだが、もし剽窃があったとしたら、『文責は自らが負う』と説明する。
 もし、政治的方向やロジックの上で誤りがあったり、法律法規に触れる誤りがあったりしたら、教材について回収処理やお詫びをする。しかし、問題は、現在法律上は規定がない、あなたが言うところの理解の誤りだ。私はもう一度言うが、『同性愛は心理的障害である』という記述は学術的な専門的議論であり、それに対しては編集者には判断する能力がないので、出版社にではなく、編者に連絡すべきである」と答えた。

最後に西西さんらが「もし私たちが最終的に編者と話をして、編者が公開の声明を出して訂正したなら、あなたがたも訂正して、公開の声明を出して回収するのか?」と尋ねると、晏さんは、「それなら問題はない。しかし、私たちにできるのは、まだ市場に出ていない書籍を回収することだけだ。また、私は出版社が公開の声明を出す必要はないと思う。編者が出したいなら、それは彼の問題だ」と答えた。

西西さんらは、以上の晏さんの答えに次のような疑問を感じた。
1.教材の中で同性愛を「性心理障害」にするのは、どのような性質の誤りなのか? 事実の誤りという性質のものではないのか?
2.教材の属性は何か? 教材と一般の学術的専門書とを同じように扱えるのか?
3.出版社の編集者は、出版物の内容に学術的・専門的な誤りがあるか否かを判断する能力がないのか?
4.出版物に政治的方向かロジック上での誤りがなければ、出版物が社会大衆に悪い影響を与えても、出版社には出版物に対して何ら責任がないのか? また、出版社は出版物について処理(回収、お詫び、訂正声明など)する責任はないのか?(6)

6月19日には、西西さんの携帯電話の番号からは編者の曾慶さんにつながらなくなっていたので、学友の携帯電話の番号を使って曾慶さんに電話をかけた。しかし、西西さんが名乗ると、相手は、「間違い電話だ」と言った。その後、その学友の携帯電話の番号を使って曾慶さんに何度も電話をかけたが、ずっと話し中になっていた(7)

3.西西ら、ユーモアある抗議をし、別の副編集長が反省を表明するも、その後、態度急変

西西さんは、曾慶さんに対話を拒絶されて、シジフォスの話に出てくる巨石が落ちていくように感じた。しかし、西西さんは、「こんなときであっても、私は『シジフォス』の(あきめない)態度を忘れなかった」と言う。

このとき、西西さんの頭の中に、『夜と霧』の作者であるヴィクトール・フランクルの次の言葉がひらめいた。「ユーモアも自分を見失わないための魂の武器だ。ユーモアとは、知られているように、ほんの数秒でも、周囲から距離をとり、状況に打ちひしがれないために、人間という存在にそなわっている何かなのだ」。西西さんは、「鴨梨(河北省特産のナシで、甘くさくさくして汁が多く、香が高い)」を教科書の編者や出版社に贈るというアクションを思い立ち、人々から、彼らへのメッセージを募集した(8)

7月8日の午前10時、西西さんと同級生たちは、一カゴの「鴨梨」と「鴨梨は暑さを癒すことができる。教材は毒を取り除かなければならない(鸭梨可解暑,教材要解毒)」「曁南大学出版社よ、学生のために発言してください」というスローガンを書いたプラカードを持って曁南大学出版社の玄関に行った。一つ一つの鴨梨には、人々が曁南大学出版社と教科書の編者へのメッセージを貼りつけておいた。それらのメッセージは、曁南大学の学生、大学でのジェンダー/セクシュアリティ教育に関心を持つ人々、同性愛者の父母らが書いたものだった。西西さんは、こうしたメッセージをパフォーマンスアートの方式で伝えることによって、人々の期待を本当の「鴨梨」に変えたかったのだ。

その後、西西さんと同級生たちは、曁南大学出版社の副編集長の李戦女史の事務室に行って、鴨梨と300人近くが連署した手紙を手渡し、同出版社の無責任な態度に失望を表明した。

それに対して、李戦さんは、教材の中に同性愛に汚名を着せる内容があって、社会に対してマイナスの影響を与えていることを認めた。また、出版社にはこの問題について絶対に責任があるので、出版社のこれまでの消極的な対応についてお詫びの気持ちを持っているとも述べた。

しかし、西西さんが出版社から出て半時間後、李戦さんの態度は大きく変わった。西西さんに李戦さんから電話がかかってきて、「編者こそ第一の責任者なので、同性愛が病気か否かの問題は編者に判断をまかせなければならない」と言われた後、すぐに電話を切られた。

西西さんらは、編者の職場である曁南大学心理健康教育センターにも行って、同じように、鴨梨と連署をした手紙を渡した。編者本人は不在だったが、『大学生心理健康教育』はセンターの共同の編集なので、西西さんはセンターの先生と対話ししようとした。しかし、冷たく「私は聞かない」と言われただけだった(9)

4.副編集長「教材の内容は、現在の法律の条文に照らして判断」

その後1週間たっても、渡した手紙に対して、出版社や編者からは反応がなかったので、西西さんは、最初に会った晏礼慶さんに電話をした。

晏さんは、西西さんが無断で会話を録音して、その内容の一部だけをネットに公開したことに対したことに腹を立てていた。西西さんも、その点は謝った。

また、晏さんは、西西さんらが入口でプラカードを掲げたり、横断幕を広げたり、鴨梨を送る「パフォーマンスアート」をしたり、「毒教材」「心理不健康センター」といった言葉を使ったりしたことについても、「敵意と対立による方式は、問題をますます悪化させる」と批判した。

西西さんが「出版社として『大学生心理健康教育』という本をどうするのか?」と尋ねると、晏さんは、「もし図書に何か問題が起きたら、私たちはすぐに責任を持って処理と訂正をする。実際、あなた方のこの本についての『公開書簡』を受け取ったら、私たちは直ちに執筆者に連絡を取った。なぜなら、同性愛が精神病か否かは、中国と西洋にはさまざまな判断があるからだ。医学の専門家ではない者として、私たちはその判断を執筆者にゆだねる。なぜなら、彼らこそが専門的な学術権威だからだ。作者も、関係資料を受け取ったと言ったし、教材の内容を今の法律の条文と比較対照すると述べた」と答えた。

西西さんが、その比較対照の結果と、いつ訂正するのかについて尋ねると、晏さんは、「私たちはまだ比較対照の結果を知らないし、いつ訂正するかも今はまだ確定できない。しかし、明確に言えるのは、誤りがあれば、その図書は重版か改訂の際に、私たちは作者と相談してまじめに訂正するので、安心していただいていい」と答えた。

最後に西西さんが「『大学生の心理健康教育』の中に、『同性愛は性愛の面の紊乱あるいは性愛の対象の倒錯である』と書いてあることについては、晏さん個人はどのように見ているのか」と尋ねると、晏さんは、「私はこの面の専門家ではない。けれど、私が知るところでは、現在の中国の法律ではまだ同性婚の合法化に関する条文はなく、中国の社会的観念も、まだ同性婚を普遍的に受け入れる段階には発展しておらず、現在も国外にも同性婚がある国とない国があり、区別して扱わなければならない。もちろん、将来、必ず社会は発展して、しだいに多元的で包容的になって、マイノリティの権益と個性の主張も尊重されるようになるだろう。私はこのよう理解している」と述べた。

以上の晏礼慶さんの回答について、西西さんは、以下のように批判している。

・同性愛が精神病であるか否かについては、中国でも世界でも、科学の世界で、「同性愛は性心理障害ではない」という結論が出ている。

・法律の条文(まして同性婚姻法が成立しているか否か)によって、心理学の学術的観点を判断するのは完全に誤っている(10)

西西さんらの指摘にする編者と出版社の態度は、無責任で冷淡だと言えよう。政治的な「誤り」や現行の法律に直接違反する誤りには敏感でも、人権に関わる問題については学問的な誤りであっても鈍感だ。

しかし、ともかく何度か対話を成り立たせたことや、検討を表明させたことには意義があるだろう。

また、次の事例では、編者と出版社から、比較的良い反応が得られた。

二、高銘暄・馬克昌編『刑法学(第五版)』(高等教育出版社・北京大学出版社)に対して

高銘暄・馬克昌編『刑法学(第五版)』(2011年 高等教育出版社・北京大学出版社)は、その第七章「犯罪の主体」の第三節「刑事責任能力に関係する要素」の中の「精神障害」の項目において、「性変態」の一つとして「同性愛」を挙げていた。

1.本の編者、訂正を表明

2016年5月29日、江西師範大学の法学部の学生の「夏天」さん(後述の『南昌晩報』の記事には、3年生の「夏旭」さんとある)は、自らが履修していた「刑法学」の授業で『刑法学(第五版)』が使われていたことから上記の問題点に気付き、高等教育出版社と北京大学出版社にそのことを指摘する手紙を送った(11)。6月5日には、この本と該当の章の編者である北京師範大学の趙秉志教授にも手紙を送った。

夏天さんは、さらに出版社に電話をかけるなどして働きかけた結果、6月12日、北京大学出版社から電話がかかってきて、北京師範大学の趙秉志教授が「当時この教科書を編集した教授や私は比較的高齢で、この問題について細かい検討や考慮をしていなかった。この内容については、次に重版と新版のときに改める」と述べていることが伝えられた(12)

『南昌晩報』は、そのことを、「江西師範大学の3年生の女子学生、『刑法学』のテキストの『訂正』に成功」という見出しで伝えた(13)

2.訂正への賞賛と今後の行動を求めるアクション

ただし、夏天さんは、上の手紙の中で、出版社に対して、以下のことも求めていた。
 1.貴社が出版している図書について、同性愛とセクシュアル・マイノリティについての誤った/汚名を着せる内容が含まれている教材について検査をして、検査報告を作成し、メールと書面で私に回答する。
 2.貴社の出版物の中のこうした誤った内容について、公式サイトあるいは微信などで「内容の訂正の声明」を出して、教材がもたらしたマイナスの影響をなくす。
 3.誤った教材の編者と連絡を取って、次の出版/印刷の際に訂正するとともに、新しく出版/印刷する教材の目録の前に「内容の訂正の声明」を掲載する。
 4.貴社の職員、とくに教材の編集と校正をする職員に対して、同性愛とセクシュアル・マイノリティの科学的常識と専門知識の研修をして、誤りの再発を防ぐ。(14)

また、趙秉志教授に対しては、以下のことを求めていた。
 1.次の版本/刷の際には、現在の科学的基準にもとづいた訂正をお願いする。
 2.訂正する以前は、大学の日常の授業と教学の中で、この部分について訂正する説明をおこなう。
 3.後日の学術会議との交流の中で、学者や教授の皆さんと、この問題について改めて討論する。

以上の点については、その後も回答がないままだった。

夏天さんは、出版社と趙秉志教授に対して、もっと愛と激励が必要かもしれないと思った。そこで、彼らに対して、訂正すると表明したことに対して賞賛を示す赤い花のマーク(日本で言う「はなまる」に当たる意味があるようだ)やレインボーの各色の花のマーク、および上のような要望や自らの経験など書いたものを、多くの人に自分のところに送ってもらい、それらを贈るプランを立てた。

その結果、67人から協力が得られ、夏天さんがそれらをまとめて、北京大学出版社と趙秉志教授に贈った(15)

3.編集者、個人として、訂正個所の明示とセクマイ差別の重視の意向を表明

返事がなかったので、7月11日、北京大学出版社に電話をかけると、同社の法律類出版物編集部の哥さんに電話をつながり、以下のような回答を得た。

・私個人は、この問題だけのために単独の訂正の声明を出すことは、実際の可能性は大きくないと思う。私が個人の権力の範囲内でできることは、編集責任者に、目次の前の「重版の説明」に、たとえば、読者のフィードバックにもとづいて、私たちはどの章の度の節の内容にどのような訂正をしたかを示すように促すことである。

・趙秉志教授本人は、この点を訂正することに非常に同意している。この本は2000年から出版を開始しており、当時の基準では「同性愛は精神病だ」という結論も、完全にデタラメで道理がないとは言えなかった。しかし、私たちはこの領域について不案内で、最近の新しい基準と学界の通説についてよく知らず、すぐに訂正できなかった。出版社として、私たちは自分の責任として、時代とともに歩み、現在の科学の基準に合致しない内容を訂正しなければならない。

・私たちは、これまで、編集者としての仕事において、「敏感」な話題は政治・民族・宗教のようなこと、たとえば民族差別や宗教差別などをしないことであって、同性愛とセクシュアル・マイノリティ差別は敏感な話題ではなかった。しかし、あなたのフィードバックによって、今後は私たちの仕事において、少なくとも私は法律編集部として、必ずこの問題を重視して、私たちの編集責任者と意思疎通をする。

夏天さんは、「訴えがすべて実現したわけではないが、北京大学出版社と北京師範大学の趙秉志教授のフィードバックは、最近の広東の某出版社の某編者に比べれば、本当にすばらしい!」と述べた上で、今後を見守ることを表明した(16)

おわりに

この2例だけでは明確なことは言えないが、教育部などの官庁への働きかけと比べると、編者・出版社への働きかけは、曲がりなりにも対話になりやすく、検討や訂正を表明させるなど、成果も上がっているように思う。

しかし、全体的には、編者・出版社も、セクシュアル・マイノリティの差別・人権問題への対応は弱い。それは、政治的「誤り」に対する対応の敏感さと対照的である。

そうした困難に立ち向かうがゆえに、中国におけるホモフォビア教科書を是正する運動には、一般的には単なる「徒労」しか意味しないシジフォスの話を前向きの話として読み替えるような粘り強さがあることにも注目したい。

(1)上の裁判を起こした広東省広州市の中山大学の女子学生の秋白さんたちも、2015年3月、広東省教育庁に対して、「教科書の同性愛に対する誤った/汚名を着せる描写の内容に関する公開の通報の手紙」を出したことがあるが、その中で、とくに広東高等教育出版社の教科書の問題点を批判していた。たとえば、同社が出した『心理健康課程』(2003年。2008年再版)は、「よくある精神疾患とその対応」で、「性心理障害の類型」の一つとして「同性愛」を挙げている。また、『諮詢心理学』(2013年)は、同性愛を障害とみなしているのみならず、どのように同性愛を治療するかとして、電気的刺激などの方法で同姓愛の行為に嫌悪感を覚えさせて性的指向を変えることなどまで書いてある。
 広東省教育庁は、この手紙を広東高等教育出版社に転送したため、4月、秋白さんは、広東高等教育出版社から書面での回答を受け取った。しかし、その回答は、教材の中になぜ同性愛を入れたということと、入れた章・節の内容についてであり、秋白さんが批判した問題には触れていなかった。さらに、回答の中には、「同性愛の青少年は、思春期に感情・性などについて心理的な苦慮、憂鬱などを感じるので、『同性愛患者』という用語は合理的だ」とも書いてあった(以上は、本ブログの記事「大学教科書のホモフォビアの是正を求める運動」参照)。
(2)六一行动︱面对恐同教材,祖国的花朵Say No!」2016-06-01 西西 推石头的西西弗斯
(3)2015年12月30日、その男子学生は、微博で遺書を公表し、自分がうつ病であることのほか、父母に対して「私はあなた方に、実は自分が同性愛者で、男の子が好きだということを告白できませんでした」「私は自分が同性愛者であることを恥ずかしいと思ったことはありませんが、後継ぎを作ってほしいというあなた方の願いを実現できなくて申し訳ないと思っています。申し訳ありません」とも書かれていた(-小斐然「对不起,再见」2015-12-30 20:29:40)。この遺書には2016年1月1日時点で、120万アクセスがあるなど、大きな反響を呼んだ(「暨大同性恋男生抑郁跳楼 微博遗书称不敢跟父母坦白」『南方都市报』2016年1月1日)。教科書について裁判を起こした秋白さんは、彼の自殺の原因について勝手に断定はできないと述べつつも、2004年に台湾で葉永鋕さんというトランスジェンダーの学生がいじめにあって自殺した事件が2006年の「ジェンダー平等教育法」の成立に結びついたことを引き合いに出して、「ある生命が消え去ったことで、世界は何か変わるのか」という文を書いた(「一条生命的消逝,世界会因此有所改变吗」)。また、2015年にうつ病患者としての訴えをする「フェミニズム・ウォーク」をおこなった黄葉さんは(本ブログの記事「林鯨らの「性暴力反対・海南島一周自転車ツアー」と黄葉らの「直男癌に抗する、うつ病女性のフェミニズムウォーク」(北京~広州)」参照)は、セクシュアル・マイノリティや女性はうつ病になりやすいことを指摘し、曁南大学に対して、1.ジェンダーと多元的性別の公共選択課程を開設すること、2.すべての教職員に対して、セクシュアリティ/ジェンダー平等の意識研修をおこなうこと、を提案した(「暨大男同自杀 抑郁症女大学生致信呼吁建设友好校园」2015-12-31 黄叶韵子 黄叶假装在徒步)。
(4)以上は、「以“西西弗斯”的姿态面对“恐同”教科书」2016-06-19 西西 和夏天的一天
(5)六一行动︱面对恐同教材,祖国的花朵Say No!」2016-06-01 西西 推石头的西西弗斯。
(6)以上は、「与暨大出版社面谈“恐同教材”,对于我们的争论,你怎么看?(投票ing~) 」2016-06-08 西西 推石头的西西弗斯。
(7)以“西西弗斯”的姿态面对“恐同”教科书」2016-06-19 西西 和夏天的一天。
(8)同上。
(9)以上は、「教材恐同,出版社编者回应不给力,女大学生送“鸭梨”」-推石头的西西弗斯的微博2016年7月9日 22:10:12。「【动态】出版社编者,来!干下这碗鸭梨解毒汤吧!!」同城青少年资源中心的博客2016-07-10 16:47:20。
(10)以上は、「【动态】致暨大出版社:推卸责任哪有改教材好玩」2016-07-19 西西 GLCAC
(11)以上は、「沉默的刑法学 the Silence of the Criminal Law Textbook」2016-05-27 可爱又迷人的 和夏天的一天、「治愈星期天 Self-healing Sunday」2016-05-29 嗯我是 和夏天的一天。
(12) 6•20的小红花 Little Red Flower Campaign 620」2016-06-20 爱 和夏天的一天。
(13)江西师大大三女生 成功“修改”《刑法学》课本」『南昌晩報』2016年7月18日。
(14)以上は、「【新消息】您有新的考试月大礼包,请查收」 2016-06-03 你我都期末狗 和夏天的一天。
(15) 6•20的小红花 Little Red Flower Campaign 620」2016-06-20 爱 和夏天的一天。
(16)以上は、「“我不恐同!”---给不恐同的北京大学出版社&北京师范大学赵秉志教授的小红花」2016-07-11 711不恐同 和夏天的一天。
関連記事

ホモフォビア教科書を放置する教育部を訴えた裁判の紆余曲折とその敗訴

目次
はじめに
2015年11月 教育部が「通報すれば処理する」と述べたため、秋白、訴訟撤回
12月~2016年3月 秋白らが通報するが、教育部は受理・回答をせず
4月 秋白、教育部の無回答を行政不作為で再度提訴するが、裁判所は受理せず
5月 秋白、教育部に行政再議を申請するが、教育部は受理せず
6月 秋白、教育部の行政再議不履行を裁判所に訴え、受理される
9月 第一審の審理――秋白と弁護士の訴え
9月 判決――原告は「特定の利害関係者」ではないという理由で秋白敗訴
2017年1月 第二審の審理――教育部、教材の問題点は否定せず、しかし直接秋白を傷つけてはいないと主張
秋白の裁判、青年たちをさまざまな行動へ
おわりに
(以下、追記)
2017年3月 二審判決――同様の理由で秋白敗訴
秋白の今後の決意と呼びかけ

はじめに

中国では、2001年に中華精神病学会が決定した「中国の精神障害の分類と診断基準(第三版)」によって、同性愛は精神病とは見なされなくなった。これによって、中国でも同性愛の「非病理化」がなされたと言われる。しかし、大学教科書においては、その変化が反映されているのは今なお一部にとどまり、多くの教科書が、同性愛を「障害」や「変態」として記述している。

2015年5月、広東省広州市の中山大学の女子学生で、レズビアンの秋白さん(微博: @Qamily_Jonnie)は、教育部に対して、大学が誤った非科学的なホモフォビア教材を使用していることについてのどのような監督措置をとっているかについて情報公開申請をおこなった。政府情報公開条例の規定によると、教育部は申請を受け取った日から15日以内に回答をしなければならないが、その法定の期限内に教育部は回答しなかった。

そこで秋白は、広州市天河区人民法院(裁判所)に対して、教育部を行政不作為で訴えたが、同法院は訴えを受理しなかった。秋白は、広州市中級人民法院に控訴したが、結果は同じだった。そこで、秋白さんは、8月14日、北京第一中級人民法院に訴えたところ、17日、訴えが受理された(以上について詳しくは、本ブログの記事「大学教科書のホモフォビアの是正を求める運動」参照)。

2015年11月 教育部が「通報すれば処理する」と述べたため、秋白、訴訟撤回

11月24日、秋白さんが教育部を訴えた裁判が開廷した。

このときは、法院(裁判所)での話し合い(庭前对话)という形を取った。こういう形を取ったのは、教育部が法院に対して「原告の請求を棄却するか、法による調停をお願いしたい」と要請し、それを受けて法院が秋白さんに意向を尋ねると、秋白さんも教育部と対話することを望んだためである(1)

この日、秋白さんの支援者が20名あまり集まって、法院の外で、「同性愛についての誤った内容がある教材の使用を拒否する」、「私たちは、秋白とともにある」と書かれたプラカードを掲げ、レインボーフラッグを広げてアピールした(2)

話し合いは法廷の第七談話室でおこなわれ、裁判官と書記官、秋白さん、王振宇弁護士(秋白さんの代理人)、教育部の政策法規局の鄺璐さん、同事務局の職員(この2人は教育部の代理人)が出席した。

鄺璐さんは、「大学には教材を編纂・採用する自主権がある。教育部にはその内容について一字一句誤りがないかを審査する職責はない。教育部が負っている職責は、マクロな観点からの質の管理だ」と述べた。

秋白さんが「マクロな管理とは何か?」と尋ねると、鄺璐さんは「教材の内容は法律法規に違反すべきではなく、社会の安定を損なうべきではなく、他の公民の権利を損なうべきではない」と説明し、「教材が出版物として、その内容が合法か否かについては、出版管理部門に言うべきだ」と述べた。それに対して、すぐさま秋白さんは、「3月に私は出版管理部門に意見を述べたが、彼らは教育部の責任だと述べた」と言った。

また、鄺璐さんは、「この間、同性愛に汚名を着せる内容についての通報は受け取っていない(その理由は、教育部が法院に出した「答弁書」によると、文書受付室が郵便物を処理した際に、誤った部門に配達したからだという)ので、教材について処理しなかった。もし通報してくれたら、私が教育部の関係部門に取り次ぐ」と言った。さらに、その日の午後、この席にいた教育部の事務局の職員が秋白さんに電話をしてきて、「教育部統一監督通報受理センターに通報すれば、通報監督システムを通じて処理する」と言った(3)

もっとも、この日、秋白さんが教育部の職員に、「教育部で大学教育の質に対して監督・評価する職能は、具体的にはどの部門/工作組が責任を持っているのか? どのように評価するのか?」と尋ねたとき、教育部の職員は「よく知らない」と答えた。また、上述のように、鄺璐さんは「教材の誤りにつていの通報を受け取っていない」と言った。秋白さんは、教育部のこのような責任逃れをする官僚的態度に非常に不満を持った(4)

しかし、秋白さんが「教育部を訴えた初志は、実際は、勝訴するという期待にあったのではなく、訴えをつうじて教育部と対話し、教育部に問題を認識させ、確かな訴えのルートを提供させることにあった」。秋白さんは教育部と対話し、訴えのルートが示されたので、12月末、訴訟を撤回した(5)

12月~2016年3月 秋白らが通報するが、教育部は受理・回答をせず

12月17日、秋白さんのガールフレンドが、レズビアンたちに、各自が教材の同性愛についての記述の誤りについて指摘したものを「教育部統一監督通報受理センター」に郵送して通報するよう呼びかけた(6)

たとえば、こうした呼びかけもあり、12月から、秋白さんを含めた80人あまりの全国各地の大学生が、「教育部監督通報統一受理センター」に通報の手紙を出して、教育部に同性愛者に汚名を着せる教材の内容に対して、監督の職責を果たすよう求めた。

ところが、秋白さんの通報だけが、なんと「審査する機関がない」という理由で、返送された。その後、何度出しても、返送された。他の人々の通報も、返送こそされなかったものの、回答は来なかった。

そこで、秋白さんは、5回目は「教育部監督通報統一受理センター」に出した通報の手紙を、同時に教育部の袁貴仁部長にも送った。すると、やっとその2通の手紙は捺印されて受領された。

ところが、その手紙についても、3月末、教育部政策法規局の職員から秋白さんに電話がかかってきて、「秋白さんの通報は、比較的特別なので、書面での回答はできないし、このような通報を処理するシステムもない」と述べた。秋白さんが、「なぜ特別なのか」、「なぜ書面での回答はできないのか」と尋ねると、この職員は明確な回答をせずに、電話を切った。その後は、秋白さんが何度電話をしても、電話を取る人がないか、通話中だった。

以前、秋白さんに通報の資料を届けることを承諾した鄺璐さんの職務用の電話にもつながらなくなった(7)

4月 秋白、教育部の無回答を行政不作為で再度提訴するも、裁判所は受理せず

4月25日、秋白さんは、北京市第一中級法院に、教育部から回答がないことを行政不作為で訴えた。

しかし、1週間後、同法院から立件しない(受理しない)という回答が返ってきた。その理由は、「秋白の訴えの理由は、陳情の事項に属するが、この陳情の事項は、訴えたものの合法的権益を侵犯していないから」というものであった(8)

5月 秋白、教育部に行政再議を申請するが、教育部は受理せず

5月7日、秋白さんは、自らの微信で、「北京高級法院に控訴するか、それとも教育部に行政再議(中国における行政不服審査制度(9))を申請するか」について投票をしてもらうよう訴えた(10)。その目的は、自分の考える助けにするためだけでなく、人々の関心を引くためでもあった(11)

その結果、控訴と行政再議に対する投票数は、ほぼ同数だった。控訴したほうが影響を広げ、メディアの関心を引き付けるためにはよいという意見もあった。しかし、行政再議のほうが数票多く、そのことと、友人の意見とによって、秋白さんは行政再議を選択した。それは、「行政再議のほうが、焦点を教育部の教材の監督管理に当てられるからであり、行政再議のほうが速くて、1カ月程度で回答がもらえるからでもあった」。また、「もし行政再議の結果がダメでも、その後に教育部を提訴することもできるから」でもあった(12)

5月16日、秋白、教育部の政策法規局に行政再議を申請し、教育部に職責を履行するよう求めた。しかし、20日、教育部は、「申請人(秋白)が請求した事項は。申請人本人とは利害関係がなく、合法権益を侵犯しておらず、その権利・義務に実質的な影響はない」という理由で、秋白さんの申請を受理しなかった(13)

6月 秋白、教育部の行政再議不履行を裁判所に訴え、受理される

6月2日、秋白、教育部の行政再議不履行を北京市中級人民法院に訴えた。これは、同月14日に受理された。

今回は、教育部に対する2回目の訴訟になる(受理されなかったものを含めると3回目)。違いは、前回は情報公開申請に対して回答がなかったことであり、今回はホモフォビア教材の通報に対して回答がなかったことである。秋白さんが言うように(14)、今回のほうがより直接教材に対する対処方法を問題にしている。

この秋白さんの提訴については、募金活動もおこなわれた。まず、ネットを通じての募金で1万7542元が集まった。また、秋白さんの誕生日パーティーが開かれ、そこでは、「六色音符合唱団」というLGBTフレンドリー合唱団による合唱、ボランティアによる弾き語り、参加者全員での《勇気》(梁静茹)の合唱などがおこなわれた。この誕生日パーティーでも、入場券、会場での募金、バザーなどによって計1万1111元が集まり、ネット募金と合わせて、募金の合計は2万8653元(約50万円)に達した(15)

9月 第一審の審理――秋白と弁護士の訴え

9月12日、秋白さんの裁判の審理が北京市中級人民法院でおこなわれた。

この日、教育部からは政策法規局の鄺璐さんと高等教育局の李静さんが来た。

秋白さんは鄺璐さんに1年近く会えなかったので、開廷前、手に月餅を一箱持って、鄺璐さんのもとに駆け寄って、「お久しぶりです。この贈り物は私たちセクシュアル・マイノリティの学生たちの気持ちです。中には私たちが教育部に対して言いたいことが書いてあります。それは、教材から毒をなくして、LGBTの学生と教育部がいっしょに楽しい中秋(=旧暦の8月15日。名月を観賞し、供えた月餅などを一家で分けて食べる習慣がある)を過ごしたいということです」と言った。しかし、鄺璐さんはかたくなに受け取りを拒否した。

その後の審理は、30分という短い時間だった。教育部の主張は、以下の2点にまとめられると秋白さんは言う。
 1.「ホモフォビア」教材は学生の教育を受ける権利を侵犯しておらず、学生は影響を受けていない。
 2.「ホモフォビア」教材を処理するという職責を履行することを拒否する(16)

以下は、原告の秋白さんが、この日、裁判所に出した手紙の全文である(赤字は、秋白さんが自らの微信で赤にした箇所)。

裁判所はセクシュアル・マイノリティの学生のために声を発してください

尊敬する裁判長・裁判官:

私は原告の秋白です。教育部の行政再議不作為事件の訴えについて、私はこの貴重な機会を借りて、あなたがたにお話をさせていただきたいと思います。丁寧にお読みいただいて、セクシュアル・マイノリティの学生の声をお聴きくださることを望みます。

「ホモフォビア」教材は学生を傷つけています。教材と私たちには密接な関係があります。

私は在学中の大学生です。中山大学で勉強しており、大学での生活は他の学生と同じです。今でもまだはっきりと覚えていますが、私が自分の性的指向が大多数の人と異なることを意識したとき、心の中はパニックになり、自分は人間ではないかのようで心配でした。そこで、私はこっそり、あちこちでその答えを探して、自分は結局誰であるのかをはっきりさせようと思いました。大学ではちょうどその時「大学生の心理的健康」という公共選択科目(=学生なら誰でも選択できる科目)があったので、私はその授業を取ったのですが、先生は公然と授業の中で「同性愛は病気だから、急いで治療しなければならない」と言い、教室で使われていた教材にも、同性愛は「性変態」「性逸脱」「性的指向の障害」と書かれていました。それらの言葉は、私の頭の中から消そうとしても消せず、私が同性を好きなことは不正常な性的指向であるとたえず警告します。のちに仲間たちの助けによって、私はやっと少しずつ自分の性的指向を受け入れ、教材の内容が間違っていることがわかったのです!

その後、私は、他の、教材の害毒を受けている同性愛の学生にも接しました。彼らは私ほど幸運ではなく、そのうちの、ある医学生が使っていた教材には、同性愛は疾病だと書いてあったので、彼は恐くなって、医者に自分の性的指向を変えてもらおうとしました。こうした、学生を誤った方向に導く教材は各大学で広く使用されており、どれほど多くのセクシュアル・マイノリティの学生が、教材のせいで、黙って身を隠し、自分に向き合うことができなくなっているのかわかりません。

だから、教育部が法廷で「原告の教育を受ける権利を侵害しておらず、原告の合法的権益を侵害していない」と言ったことは、私は受け入れることはできないと同時に、怒りを感じました。教材は疑問を解き明かすための授業のツールであり、私たち一人一人の学生が教育を受ける最初から使わなければならないものです。どうして学生の教育を受ける権利と関係がないことがあるでしょうか。まったく逆で、教材は学生が教育を受ける権利を保障する重要な一環なのです。

教育部は何度も責任から逃避しています。裁判所が後ろ盾になってください。

私は普通の大学生にすぎません。私は大学で教材に同性愛についての誤った内容を見つけましたが、その表紙には「十二五[=中華人民共和国国民経済・社会発展第12次五カ年(2011~2015年) ]計画教材」「教育部重点研究成果」と書いてありました。このような最も専門的で、権威のある教材の中に多くの誤りがあったのです。だから、私は教育部に手紙を書き、問題について意見を述べたのですが、思いもかけず何度も傲慢な対応をされました。

2015年8月14日、私は「ホモフォビア」教材の監督管理の不作為を理由として教育部を訴え、裁判所に受理されました。当時私は興奮しました。これでついに顔を合わせて教材の問題を話すことができるようなったのだ。教育部はもう私をもう門前払いできなくなったのだと。また、2015年11月24日の法廷前の会議で、教育部の職員の鄺璐は、私の訴えを教育部の関係部門に手渡すことを承諾し、同時に私に「書面の訴えは教育部の統一監督通報受理センターに郵送したらどうでしょう。教育部が監督システムによって処理します」と言いました。私は、教育部の職員が法廷前の会議でした話を信じました。堂々とした教育部の職員が一名の普通の大学生に対して約束を破るようなことは絶対にないと信じたのです。だから、法廷前の会議が終わった後に、私は訴訟を撤回することを選択して、私の通報の手紙を教育部の統一監督通報受理センターに郵送しました。

この通報の手紙はまず何度も何度も訳もわからず返送されました。2016年2月22日にやっと教育部に捺印されて受領されましたが、60日の有効返答期間をひたすら待っても何の返答もありませんでした。このようであっても、私は対話の可能性を放棄せず、2016年5月16日、私は弁護士に委託して行政再議申請書を郵送して、再度教育部に対して私が申請した監督の職責を履行してもらうよう強調しました。最後も、また教育部に残忍に拒絶されました。

やむやく、私は、2016年6月に教育部を再度訴えて、法律という手段を使って教育部にやるべきことしてもらい、同性愛の学生の訴えに対して積極的な返事をしてもらおうと思いました。

2015年に教育部を訴えてから、2016年にふたたび訴えて法廷が開かれるまで、2年間ずっとまじめに頑張り続けてこられたのは、ただ私が、教材がセクシュアル・マイノリティについて正しく記述し、教育の分野において、異なる性的指向の学生を平等に扱ってほしかったからです。大学は何度も私に圧力をかけ、私の父母に通知しましたので、私は父母に病院に連れていかれて「治療」されました。このように大きな圧力を受けても、私は断念しませんでした。なせなら、私は、大学の無知や父母の無理解は、社会のセクシュアル・マイノリティに対する差別に根源があり、「ホモフォビア」教材が社会の差別を促進していることを知っているからです。私が父母に同性愛は病気ではないと説明しましたが、本の中には同性愛は病気だと書いてあります。私が大学に対して同性愛者について説明するときも、教材の中から客観的で全面的な記述を見つけて根拠にすることはできません。

2年間頑張り続けたのは、教育部は教材に同性愛に汚名を着せている状況があることを間違いなく知っていながら、何度も問題を回避し、責任逃れをするばかりであるのは、教育者のあるべき姿では絶対にないと信じるからです。私が闘っているのは、一つの教材の改変のためではなく、まして私一人だけのためではありません。セクシュアル・マイノリティたちが本来持っている平等な権益のためであり、公民が性的志向やジェンダーによっていかなる形態の差別や汚名を受けてはならないからです。

私は堅く信じています。法律が一人ひとりの合法的権益を保証し、公平・公正に、一人ひとりの当事者にとって道理に合った判決が出されることを!

教育部が何も言わないときには、裁判所がセクシュアル・マイノリティの学生のために声を発してください!

 以上のとおり申し上げます。
北京市中級人民法院
   原告:秋白
   2016年9月12日(17)

この裁判では、河北陳建仲弁護士事務所の于麗穎弁護士と王振宇弁護士が共同で秋白さんの代理人をつとめた。以下は、于麗穎弁護士の代理意見の抜粋である。

傷害に対して見て見ぬふりをしてはならない

この事件の原告が申請した事項は、「行政再議法実施条例」第28条の規定(=明確な申請者と規定に合致した被申請者がいること、具体的な行政再議の請求と理由があること、本人と利害関係が存在していること、法定の期限内に提出すること、行政再議法が規定している再議の範囲と再議機関の職責の範囲に属すること)に合致しているので、受理すべきであった。

一、原告が行政再議で提出した請求事項と本人には利害関係が存在している。

 原告が行政再議の申請において被告が履行するよう求めた法定の職責とは、原告が渡した「通報の手紙」の中の、同性愛に汚名を着せる/誤った内容の教材に対してその質の監督管理の職責を履行し、その結果を原告に知らせることである。

 1.関連する課程を選択した在学中の大学生として、教材の中に存在する「同性愛」に対する誤った記述は、当然原告と利害関係が存在する。原告の公共選択科目の「大学生の心理的健康」の中で使用した教材『心理健康教程』(張小遠・解亜寧編、証拠15)は、同性愛を「性変態」に分類している。また、その課程の補助教材『大学生の心理検査と行為指導』(許国彬・黄秀娟編、証拠17)は同性愛を「性逸脱」とし、「性変態」だとも言っている。また、原告が大学の図書館から借りた『諮詢心理学』(邱鴻鐘編、証拠16)は、同性愛を「病態的性的指向障害」だと述べている。

 2.原告本人は、同性愛集団の一人として、2015年に教育部を訴えた後に「アウティング」されて以来、ずっと社会・大学・家庭から何重にも心理的圧力を受けてきた。誤った教材が広く使われていることは、直接に原告の人格権を侵害し、原告に精神的損害を与えた。

 3.(略)

二、被告には教材を監督管理する法定の職責がある。

 1.被告の主要な職責の第三条に(国弁発[2008]57号[=国務院事務局が、教育部の主要な職責、内設機構、人員編制の規定を印刷配布したことに関する通知]、証拠8)、「義務教育のバランスのとれた発展の推進と教育の公平を促進し(……)基礎教育の国家課程の教材を管理し、資質教育を全面的に実施する」とある。

 2.被告は機構の中に、教材の監督管理に責任を負う機構を設置している。(略)

 3.被告は「教育部課程教材工作指導グループ」を設立して教材の監督管理をしている。(略)

 4.被告は、大学出版品質監督検査センターを設立して、大学の出版物の質に対して特別の検査をすることを2016年の業務のポイントにしている。(略)

 5.被告はかつて「大学の教材の中に存在する誤った内容」について監督管理の職責を履行したことがある。
 人民ネットの2015年11月18日の報道(証拠13)によると、「被告はかつて北京林業大学の教師・曾施兵の請求に応じて、大学の教材の監督管理の職責を履行したことがある」。曾施兵は、大学の英語教材の誤りの問題について、2015年、自分が2年かけて一人で完成させた30ページ近い『大学英語教材の品質分析報告』を被告に渡した。この報告の中で、曾施兵は、教材の中に存在する言語の誤りと非言語の誤りを明確に指摘した。それに対して、被告の高等教育局の関係する責任者は、非常に重視し、検証する措置をとると施兵先生に回答し、9つの出版社に向けて「教材の問題について調査の協力をお願いする手紙」を送り、出版社に対して、調査に協力し、その調査の状況を書面の形で高等教育局にフィードバックすることを求め、各出版社に改善する方法を提出して、教材の訂正版の中ですぐに訂正するようお願いした。同時に、曾施兵の手紙と資料を大学の英語教学指導委員会に転送した。(18)

この日、弁護士が裁判官に要請して、秋白さんは閉廷後に5分間、教育部の職員と話をする時間を持つことができた。秋白さんは、「私は在学中の大学生です。授業で使った教材が同性愛に汚名を着せていました。当時私はとても怖くなりました。自分が人間ではないかのようで怖かったのです。だから、私は、もう他の学生には私のように教材によって傷つけられないようにしたいのです。私が教育部を訴えたのは初めてではありません。もう一年経っています。教育部は責任逃れをしてほしくありません。LGBT学生の声を聞いて、セクシュアル・マイノリティの学生を含めた一人一人の学生の訴えに注意を払ってください」と、心をこめて訴えた。

しかし、教育部の職員2人は、ずっとうつむいたままで、聞こえないふり、見えないふりをしていたかのように秋白さんには見え、ますます憤りを感じた。

秋白さんは、教育部の態度は傲慢で、冷淡だと感じた(19)

この日は、少なからぬメディアが裁判所の出入り口で待っていて、裁判が終わると、秋白さんはずっとメディアに囲まれ、2時間取材を受けた。しかし、のちに、記者から続々と、文字のニュースは審査によって報道できなくなったというメッセージを受け取った。秋白さんには、訴訟の前途の困難と、メディアの報道禁止、教育部の傲慢さが、両手でますます自分の喉を絞めてくるように思えた(20)

9月 判決――原告は「特定の利害関係者」ではないとして秋白敗訴

9月30日、北京市中級人民法院は、秋白の請求を棄却する判決を下した。その理由は、「原告の請求は被告の職責との間に法律上の利害関係を有しない」、なぜなら原告は「特定の利害関係者」ではないから、というものだった。、「原告が主張する大学生及び同性愛者の一員として持つ権利」は、「被告に職責の履行を請求する権利の根拠にはなりえない」というのだ。

再議法実施条例(中华人民共和国行政复议法实施条例)第28条は、行政に対する再議の申請が合致しなければならない条件について具体的に規定しており、その中の(二)項は『申請者は、具体的行政行為と利害関係がなければならない』と規定している。この条文が指す具体的行政行為と利害関係がある申請者とは、申請者の合法的権益が直接、行政行為に侵害されたか可能性のある特定の利害関係者を指しており、不特定の社会公衆を指していない。この事件では、原告は被告に対して提出した行政再議申請が指している事項は、教育部に通報した大学の教材に存在する問題について監督管理する職責を履行するよう求めることである。教育部が、秋白(原文は実名)が通報した事項を処理するか否かは、特定の利害関係者の権益を保護することではない。原告が主張する在校中の大学生および同性愛者の一員として持つ権利は、どの不特定の学生あるいは同性愛集団のメンバーでも持っている権利であり、原告として被告に職責の履行を請求する権利の根拠にはなりえない。ゆえに秋白と教育部が履行する職責との間には法律上の利害関係はなく、被告に対して提出した再議の申請は、再議法実施条例第28条が規定した受理の条件に合致しないので、本院は支持しない。

この判決には、何人もの弁護士から強い非難の声が上がった。たとえば、昆明の付薇弁護士は「この判決は、ひどいデタラメの見本である――ある行政の職能が影響を及ぼしうる人数が多いか膨大な集団だったら、たとえその集団の中の任意の一人ひとりに対して、その職能を履行しないことの傷害が具体的・直接的であっても、それらの個人は権利を主張する資格を喪失するというのであるから。」と述べた。

10月12日、秋白さんは、北京高級人民法院に控訴した(21)

2017年1月 第二審の審理――教育部、同性愛者たちを傷つけたことは否認しなかったが、直接秋白を傷つけてはいないと主張

2017年1月10日、第二審の審理がおこなわれた。

この日、教育部の政策法規局と高等教育局の職員は、「秋白は教科書の直接の被害者ではない。教科書が同性愛は病気だと言うのは、同性愛者たち全体について言っているのであり、それがもたらす傷害は、何回も曲折を経て、はじめて秋白自身に達するのであって、原告の秋白は、行政行為の特定の利害関係者でないだけでなく、直接的傷害の原則にも合致しない」と述べた。

秋白さんは、それに対して、「私が受けた授業で使った教材には明確に同性愛は性変態だと書いてあり、先生もこの観点をPPTに書いて授業をおこなった。誤った教材が傷害をもたらす根源であり、教育部は傷害をもたらすことを承認したからには、この障害の原因を解決すべきである!」と述べた。教育部の主張に対しては、「私の行政再議を申請したのは、教育部が私の通報に対して回答しなかったことについてである。この行政不作為はこのように明確であるのに、こっそり概念を変えようとしている」と批判した。

原告の王振宇弁護士と于麗穎弁護士は、以下の2点を指摘した。
・秋白は差別的内容がある教材を買ったことによって、財産に損失が生じた。また、秋白は同性愛者として、「同性愛は性変態だ」という内容を読んで、人格権が侵害された。秋白が教育部に対して教材に対処するよう要求したのは、自分の人格権と財産権を保護するためだ。教育部が職能を履行しなかったことによって、秋白は行政不作為の特定の権利者になった。それゆえ、一審が原告は特定の利害関係者ではないという判決を出したことは、誤っている。
・一審判決は、「原告は集団の一員として持っている権利は、どの不特定のメンバーもみな持っている権利」だから、原告が被告に職責の履行を請求する根拠にはなりえないと述べた。このロジックは非常にでたらめなものである。このロジックでは、すべての人が行政に職責を履行することを要求できず、特権を持った人だけが要求できることになるのではないか?

最後に、秋白さんは、教育部の職員に対して、「もし教科書に、異性愛が病気だと書いてあったら、あなたがたは改めなければならないと思うか?」と尋ねた。回答は、「わからない! 私に尋ねるな」というものだった。

この日、裁判所には、10名あまりの秋白さんの支援者が駆けつけ、裁判所の外でホモフォビア教材を拒否するプラカードを掲げた。

また、「同志の声」という微博が審理の過程を中継し、それに対するアクセスは25.7万に達した。また、「LesPark(拉拉公園)」や「同性愛者の家族と友人の会(同性愛親友会)」というウェブサイトが動画で法廷の外の現場から生放送をし、2000人あまりが同時にネット上で見た(22)

秋白の裁判、青年たちをさまざまな行動へ

秋白さんの裁判は、各地の同性愛者らの青年を励まし、さまざまな行動を起こさせた。

2016年8月には、大学生や青年たちが教科書の記述の是正をさまざまな面(訴訟、図書館、教師など)からめざす「ホモフォビア教材救済(に関心を寄せる)計画(恐同教材拯救[关怀]计划)」を開始した(23)

同年10月には、秋白さんの勇気と行動に感激したゲイの青年が、「秋白を支援する漂流瓶」アクションを呼びかけた。これは、支援者がノートに教育部に言いたいことを書いて、それを自分自身と自分がいる都市を示す建築物などといっしょに写真に撮って、そのノートを次の人に回していくというものである。「漂流瓶」(という名称のノート)は、青島から出発して、臨沂、済南をすでに回り、さらに滄州、天津、北京を回る予定であることが発表されている。このアクションは、そのノートによって、教育部にLGBT問題ついての「補習」をさせるという発想でおこなわれた(24)

11月11日(独身の日)には、柳星宇さんという大学1年生のゲイの男性が、教育部に宛てて、毎日1通ずつ、1000日間に1000通のメッセージを送る活動を始めた。これは、さまざまな人に、「私は××大学に在学している(卒業した)。私は学校でのホモフォビア教材の使用を中止するよう求める」などと書いた紙と自分自身とを写した写真を、微信または微博で「ホモフォビア教材に関心を寄せる計画」や「同志平等権益促進会」宛てに送ってもらい、それを柳星宇さんが教育部に送るというものである。

柳星宇さんは、「私は今年大学1年生なので、1000日後には、まもなく卒業になる。私は大学が教科書から汚名を拭い去るプロセスの証人になりたい。あなたも私とご一緒しませんか」と呼びかけている(25)

12月27日には、広州新メディア女性ネットワークらが、秋白さんの話をネット上で中継するイベントなどもおこなっている(26)

秋白さんは、「幸い、私たちが『教材についてとことん反抗する』という精神は、多くの人が行動し、自分の力でこの社会をよりよいものにすることを始めることを励ました。あるいは、これらの人、これらのこと、これらの成長が、私たちが2016年に作り出した最大の変化かもしれない」と述べて、以下のような活動について述べている。

たとえば、「蘇州LESGO公益小組」のメンバーで、「2016蘇州ヴァギナ・モノローグス」の発起人の「Peter」さんは、《ヴァギナ・モノローグス》の中国版として作成した《陰道欲言》の中で、ホモフォビア教材の問題を取り上げた。それは、あるゲイの男子学生が、自己を探索し、自己を発見する過程において、教科書の中のホモフォビア的な内容を読み、授業でも、先生がたえず「同性愛は精神病だ」と強調するというものである。

「Peter」さんは、秋白さんが教育部を訴えているのを知り、自分もできるかぎりのことをしようと思い、この問題を取り上げたという。「Peter」さんは、「眼、耳、口、鼻は人体の器官であり、みな大声で言えるのに、ペニスとヴァギナは汚名を着せられ、言うことはできない。《陰道欲言》の本質は汚名をぬぐうことにある。教科書についての活動も同じであり、セクシュアル・マイノリティの汚名をぬぐうことである」と述べている。

また、「Barry」さん(「武漢同行同志センター」メンバー)は、「教科書についての活動の私に対する影響は、主に、口では言えないような多くの圧力に直面したとき、勇気が持てたことだ」と述べている。

また、黒龍江大学青年法学社の創設者の「晨曦」さんは、2016年1月、「大学学生団体管理暫定規則(高校学生社团管理暂行办法)」の全文が見つからなかったので、その全文の内容について、教育部に情報公開(のち、行政再議)を申請した。これは、国家secretとの理由で公開されなかったのが……。

さらに、2016年6月、法学部の学生の「夏天」さんは、授業で使われている『刑法学』の中に同性愛は変態だと書いてあったので、北京大学出版社と編者の趙秉志さんに手紙を書いた(27)。このような出版社や編者への働きかけは他にもあり、次回ご紹介したい。

おわりに

大学教科書のホモフォビアに対する秋白さんの裁判について、その提訴以前を含めた経過をもう一度まとめると、以下のようになる。秋白さんは、出版管理部門や出版社に働きかけた。それが、(1)の段階であり、教育部に働きかけたのが(2)の段階である。

(1)国家新聞出版総局、広東省教育庁、広東高等教育出版社に対して是正を求める書簡を送り、広東省教育庁前では宣伝活動もする(秋白さんはこれらの活動には1メンバーとして参加)→まともな回答なし→広東高等教育出版社を広州市天河区法院に訴える→受理されず。

(2)教育部に対して、大学の教材に対する監督管理について情報公開を申請→期限までに回答なし→教育部の無回答を行政不作為で広州市天河区法院に訴える→受理されず→広州市中級法院に訴える→受理されず→北京第一中級法院に訴える→受理→教育部が「教科書の問題点について通報すれば処理する」と述べたため、訴訟撤回→通報したが、教育部は、受理や回答をせず→教育部の無回答を行政不作為で北京市第一中級法院に訴える→受理されず→教育部に行政再議を申請→受理されず→教育部の行政再議不履行を北京市第一中級法院に訴える→受理→同法院、原告の請求と教育部の職責との間には「法律上の利害関係がない」とし、秋白敗訴→控訴。

中華精神病学会が15年以上も前に同性愛の非病理化をしたにもかかわらず、それに反する記述を是正させるというだけのことが、上のようにさまざまな手を尽くしても、そのたびごとに壁にぶつかっているのである。

しかも、秋白さんが教育部を裁判に訴えると、中山大学は秋白さん本人だけでなく、秋白さんの家族にも圧力をかけた。その際、大学は秋白さんが同性愛者であることを家族にアウティングしたので、秋白さんは家族からも圧力を受け、疎外されるという苦痛の中で裁判をすすめてきた。

訴えがここまで無視され、抑圧されるのは、近年習近平政権が民間の運動や弁護士に対する締めつけを強めてきたこととも関係しているだろう。教育部についても、2016年7月に教育部長が袁貴仁氏から陳宝生氏に変わって以降、同性愛に汚名を着せる教材は放置されている一方で、教材に対する政治的締めつけは強まったという(28)

以上のような困難な状況ゆえに、運動から離れた人々も多かった。ある活動家は、「2年前、私が最初に仲間たちに、私たちが教科書の同性愛のスティグマ化を変えていくと話したときの(……)力に満ちた感覚は2、3カ月しか続かず、バラバラの砂のようになり、周囲を見渡すと、たった数人の人しか残らず、(……)2年あまりの間に(……)多くの仲間と出会ったが(……)最後に残った人はきわめて少ない」と述べている(29)

しかし、以上のことは、何度跳ね返されてもぶつかっていく秋白さんたちの粘り強さや少人数でも闘い続ける意志の強さも示している。

また、去って行く人が多いことは確かでも、その一方で、先述のように、現在も、新しい人を含めて、秋白さんの裁判がきっかけになって、青年たちがさまざまな新たな行動を起こしていることも事実である。その背景には、この問題に関心を持つ多くの人々がいる。

当事者個人の直接の要求を超えて、社会の変革するための訴訟は「影響性訴訟」と呼ばれているが、その意義について、秋白さんは、「私は、その意義は、相手が最後に法律の改正をしたり規定を出したりするか否かにはないと思う。それは難しい。しかし、訴訟を通じて多くの人がLGBTIたちの権益が無視されていることに気づく。私はそれが訴訟の比較的大きな意義だと思う」(30)と述べている。

先述のようにマスメディアがこの裁判を報道することに対しても圧力がかかっているのが現状だが、それでも『新京報』は今年の第二審での審理に至るまで報道を続けている(31)。また、微博・微信などのネットメディアにおいて大きな関心を集めていることは第二審の審理への多くの人の注目を見れば理解されよう。また、いくもの英米のメディアでも報道されたことも無視できない(32)

こうしたことを考えると、この裁判は、その時々で人々を励ますだけでなく、長い目で見ると、その歴史的意義も十分あるように思う。


以下、追記(2017年4月4日)

2017年3月 二審判決――同様の理由で敗訴

3月2日、北京高級人民法院は、秋白さんの控訴を棄却し、秋白さんは敗訴した(33)

判決理由も、以下のような一審と同趣旨のものだった。

秋白が通報した事項は、秋白個人にだけ関わるのではなく、秋白を含めた多くの不特定の人に関わるものである。(……)ゆえに、秋白と教育部の間には通報によって具体的な行政的法律関係は形成されておらず、教育部が秋白の通報の申請を処理するか否かやどのように処理するかは、秋白がこの裁判で主張する個人的利益には直接には影響せず(……)法律上の利害関係を構成しない。

(1)秋白の感想――法理の面から

このような議論に対しては、秋白さんは、上述の二審での王振宇弁護士の議論を対置することによって反論している。

秋白は、さらに、中国人民大学法学院・王貴松教授の二審判決についてのコメント(34)も引用している。

秋白はその教材を使用した学生であり、秋白は同性愛者という集団に属するけれども、その受けた侵害は具体的である。およそこの教材を使用した同性愛者は、みな、具体的な侵害を受けた者である。上述の教材の問題は、同性愛者全体のイメージの問題であるだけでなく、特定の同性愛者の権利の問題でもある。(……)監督管理の職責は、公共の利益を保護する目的が同時に個人の法律上の権益を保護する目的を兼ねるときは、その法律上の権利を持っている者は、監督管理者が法定の監督管理の職責を履行するよう申請する権利を有する。

教育部は、被害者の通報を受けたら、回答する義務がある。これは、食品を購入した消費者が食薬部門に訴えたら、食薬部門は回答しなければならないことや、携帯電話を購入した消費者が物価部門に対して、電気通信会社がカードの費用を徴収することを通報することを通報したら、物価部門は回答しなければならないのと同じである。


結局のところ、秋白さんは「私たちが法廷でどのように努力して道理を説き、論証しても、最終的には一通の判決書によって、みな徹底的に否定された」と述べる。

(2)秋白の感想――教育部の対話の面から

また、秋白さんは「勝訴することより、私が期待したのは、教育部が『ホモフォビア』教材を正視して管理監督をするようになり、教員と学生が教材の面から客観的にセクシュアル・マイノリティを認識するよう保証することだった」と言う。

しかし、この面でも、秋白は、「教育部との3回の裁判の中で、相手が対話したいのかもしれないと感じたことはなかった。法廷では、私と弁護士が一方的に『話をする』ことが多く、相手は沈黙するか否認するかだった」と言っている。

秋白の今後の決意と呼びかけ

このようにこの裁判自体は、完全な敗訴に終わった。しかし、秋白さんは次のように述べる。

結論が出たということは、終わったことを意味するのか?
敗訴は、終結を意味するのか?
NO!
終結するべきなのは、差別だ! 汚名だ!

新たに始めよう! 続けて私たちがするべきなのは、着実な行動、行動、行動だ!

私がやろうとしているのは、次のことだ。
1.最高人民法院に教育部の件について再審を申請して、手続きを最後までする。
2.整理した誤った教材についての目録のうち、10人の編者/出版社に、教材のスティグマをなくすよう手紙を出し、次に電話やメールで説得する。

秋白さんは、他の人々にも、「とんとんまで闘う」ことを呼びかけている。

行動1 あなたの身の回り(学校/都市)のホモフォビア教材を見つけて、編者/出版社に手紙を出す、電話する、メールを出す、直接会って話をするなどの方法で説得する。
行動2 あなたがホモフォビア教材を読んだ経験を述べて、文章にし、それらの経験を私たちが編者/出版社に対して説得する事例にする。

(35)

このように秋白さんは、力のかぎり闘い続ける道を歩みつつある。

(1)她在法院与教育部官员聊聊课本中的“同性恋”」2015-12-10 张鑫明 Vista看天下。
(2)Chinese Student Protesting Books’ Stance on Homosexuality Meets With OfficialsThe New York Times NOV. 24, 2015→「中国同性恋大学生与教育部官员对话」纽约时报中文网2015年11月25日。
(3)以上は、「她在法院与教育部官员聊聊课本中的“同性恋”」(2015-12-10 张鑫明 Vista看天下)、および「同性恋遭教材污名化未获处理 大学生再告教育部」(财新网2016年6月15日18:32)による。また、この日、鄺璐さんは「この訴訟についての報道はすべて読んで、秋白さんの話と秋白さんが教育部に出した手紙も読んだ。私は同僚とともに同性愛と精神病との関係についても研究した」とも述べており(上記「她在法院与教育部官员聊聊课本中的“同性恋”」)、当日は比較的秋白さんに好意的態度を示したように見える。
(4)幸好一路上有你 与教育部沟通的漫漫长路」2015-11-30 秋白 秋白的自由野
(5)女生秋白再磕教育部:举报教材同性恋问题没回复,提行政复议」澎湃新闻2016-05-19 13:57澎湃新闻记者 徐晓阳 实习生 韩晓彤 吴伊端
(6)秋白女友:行动起来,让教育部看见“同志”!」2015-12-20 Janeway 秋白的自由野
(7)以上は、「同性恋遭教材污名化未获处理 大学生再告教育部」财新网2016年6月15日18:32。ただし、「秋白さんの通報だけが、なんと『審査する機関がない』という理由で、返送された。その後、何度出しても、返送された。他の人々の通報も、返送こそされなかったものの、回答は来なかった」という箇所は、この記事では、「彼らが出した通報の手紙の大多数は、『審査する機関がない』」という理由で返送された」と記している。しかし、秋白さん自身の記述を含めた他の記事(「2016,我们再试试改变世界好吗?|来自秋白的邀请」(2016-01-14 秋白 秋白的自由野)、「【动态】教育部,你挑逗了我,还一笑而过 」(2016-05-20 秋白 GLCAC)、「女生秋白再磕教育部:举报教材同性恋问题没回复,提行政复议」澎湃新闻2016-05-19 13:57澎湃新闻记者 徐晓阳 实习生 韩晓彤 吴伊端)では、本ブログのように記しているので、それに従った。
(8)女生秋白再磕教育部:举报教材同性恋问题没回复,提行政复议」澎湃新闻2016-05-19 13:57澎湃新闻记者 徐晓阳 实习生 韩晓彤 吴伊端。
(9)詳しくは、徐暁青・藤田直佑「行政再議に関する基礎知識」『SMBC China Monthly』第129号(2016年3月)[PDF]参照。
(10)秋白打官司,下一步由你来决定(姬/基情投票中) 」2016-05-07 秋宝宝 秋白的自由野
(11)女生秋白再磕教育部:举报教材同性恋问题没回复,提行政复议」澎湃新闻2016-05-19 13:57澎湃新闻记者 徐晓阳 实习生 韩晓彤 吴伊端。
(12)女生秋白再磕教育部:举报教材同性恋问题没回复,提行政复议」澎湃新闻2016-05-19 13:57澎湃新闻记者 徐晓阳 实习生 韩晓彤 吴伊端、「【动态】教育部,你挑逗了我,还一笑而过 」(2016-05-20 秋白 GLCAC)の中の「致参与《秋白打官司,下一步由你来决定》投票的各位亲们的情书」。
(13)女生秋白再磕教育部:举报教材同性恋问题没回复,提行政复议」(澎湃新闻2016-05-19 13:57澎湃新闻记者 徐晓阳 实习生 韩晓彤 吴伊端)にも出てくるが、「你们爱的秋白又去找教育部玩了」(2016-06-16 和夏天的一天)に、教育部が行政再議申請を受理しないことを述べた決定書自体の写真が掲載されている。
(14)秋白さんが言うには、前回の訴訟は、教育部の教材に対する監督管理についての情報公開についてであって、教育部がホモフォビア教材をどのように処理しているか、どのように扱っているかは直接問題にしなかった。しかし、今回の訴えの理由は、ホモフォビア教材に対する通報に対する回答がないことであり、これはすなわち、教育部がなぜ回答しないのか、なぜ私の通報申請を受理しないのかということだから、今回のほうがより直接に教材に対する対処を問題にしていると語っている(「如果每个人都怕,就永远不会有学生站出来」2016-09-10 NGOCN原创 GiveNGOA5)。
(15)【动态】告教育部有钱啦!秋白生日趴超额完成筹款目标」 2016-06-24 GLCAC GLCAC
(16)以上は、「再度被告的教育部回应恐同教材 王之冷漠│秋白记录」2016-09-13 秋白 秋白的自由野。
(17)请法院为性少数学生发声 —秋白诉教育部案致法院的一封信」2016-09-18 秋白 秋白的自由野
(18)于丽颖律师:你不能对伤害视而不见――秋白诉中华人民共和国教育部行政复议不作为案」2016-09-14 北京义派律师事务所
(19)以上は、「再度被告的教育部回应恐同教材 王之冷漠│秋白记录」2016-09-13 秋白 秋白的自由野
(20)再告教育部案宣判|当正义还没来的时候,我们要坚持」2016-10-12 秋白 秋白的自由野
(21)以上は、「秋白打官司│一把辛酸泪 六纸判决书」2016-10-14 秋白的自由野。2015年5月12日に秋白さんが最初に広州市天河区人民法院に告訴状を出したとき、同法院が受理しなかった理由も、「上述の書籍を発行する行為と告訴人には法律上の直接的な利害関係はなく、また告訴人は上述の書籍が直接間接にその利益を損なったという証拠を提出していないのに、訴訟を起こしたことは妥当でないため、受理すべきでない」(「开庭!女同性恋起诉教育部第一案24号开庭」)というものだったので、当初から類似したことを述べていたようだ。
(22)以上は、「教育部不否认教材伤害同性恋群体 秋白起诉教育部第二次审理」GS的微博2017年1月11日 19:08.31、「现场:教育部不否认歧视,但没有直接伤害秋白?」2017-01-11 不用恐同教材的人 GLCAC
(23)Barry「发刊词 | 是污名,练就了我们这批小愚公」2016-10-09 秋白的自由野
(24)灵澈子「第一弹|给教育部补补课の“撑秋白漂流瓶”,邀您来接力!」2016-10-26 秋白的自由野、秋白「第二弹|教育部同学,你有一份补课通知书请查收 」2016-11-06 秋白的自由野
(25)以上は、「双11,他决定用1千个日子每1天寄1封信给同1个人 」2016-11-11 LGBT权促会
(26)“女泉微课”第二弹――教材勿恐同,女生力很大!」女权之声 2016-12-20 18:43:54
(27)以上は、「2016│教科书又一年,我们终于站在了一起」2016-12-30 秋白 秋白的自由野
(28)【开庭】教育部这次要到北京高院当被告」2017-01-08 LGBT权促会。
(29)Barry「发刊词 | 是污名,练就了我们这批小愚公」2016-10-09 秋白的自由野
(30)如果每个人都怕,就永远不会有学生站出来」2016-09-10 NGOCN原创 GiveNGOA5。
(31)秋白打官司」新京报网2015年12月13日、熊丙奇(教育学者)「高校教材同性恋争议,为何久拖不决」『新京报』2016年5月20日、「女大学生秋白谈再诉教育部:“恐同”教材伤我心」新京报网2016-09-19 15:57:41(動画)、「称教材“污名”同性恋 秋白状告教育部案二审开庭」新京报网2017-01-10 20:16:06
(32)Chinese Student Protesting Books’ Stance on Homosexuality Meets With OfficialsThe New York Times NOV. 24, 2015→「中国同性恋大学生与教育部官员对话」纽约时报中文网2015年11月25日、Fighting the views of homosexuality in China’s textbooks BBC News 12 September 2016、Chinese student lodges over homosexuality terms in textbooks the Guardian 12 September 2016 16.54
(33)教材疑污名化同性恋 大学女生告教育部二审败诉」财新网2017年3月6日。この記事は、3月2日と記している。「3月3日」と記しているものもあるが、この記事によると、3月3日は、判決書が秋白さんのところに送られて、秋白さんが手に渡った日付である。秋白「三诉教育部|败诉,终结还是开始? 」(秋白的自由野2017-03-11)に写真が掲載されている判決書の日付も、3月2日となっている。
(34)同性恋污名教材风波:秋白不服教育部行政复议决定案 | 附评析 」中国宪政网2017年3月9日。
(35)以上は、秋白「三诉教育部|败诉,终结还是开始? 」秋白的自由野2017年3月11日。
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就職の男女差別裁判で、会社の謝罪も命じる初の判決

目次
はじめに
1.黄蓉さんと馬戸さんが起こした就職の男女差別裁判の判決――原告勝訴だが、慰謝料2000元のみ
2.高暁さんの裁判の第一審の経過
3.第一審判決(2016年4月)――勝訴だが、慰謝料はまたも2000元、謝罪なし
4.黄溢智弁護士の一審判決に対する評価
5.高暁さんが負った心の傷、損失、憤り
6.控訴審における請求と控訴理由
7.第二審判決(2016年9月)――書面での謝罪も命じ、訴訟費用も被告側の負担に。ただし慰謝料は2000元のまま
8.黄溢智弁護士の二審判決に対する評価
9.人力資源・社会保障局の責任を問う裁判は、一審敗訴
おわりに――馬戸さんも最後まで闘っている

はじめに

2012年以降、中国で「フェミニスト行動派」を自称する若い女性たちが、就職の男女差別について裁判を起こして、次々に勝利を勝ち取ってきた。それらは、まだ募集・採用段階における女性であることを理由として明示した直接差別に限定されているとはいえ、職種の面では、事務職から男性職へと対象を広げてきた。訴訟が受理されるまでの期間もしだいに短縮してきた。

しかし、判決において慰謝料が低額であることと会社の謝罪を勝ち取れていない点は限界だった。

けれども、それらの点に関しても、粘り強い運動が続けられ、昨年は謝罪などの面でも前進があったことを、以下、ご紹介したい。

1.黄蓉さんと馬戸さんが起こした就職の男女差別裁判の判決――原告が勝訴するが、慰謝料2000元のみ

黄蓉(仮名。以下の原告名もすべて仮名)さんは、東方調理職業技能訓練学校の文書作成業務の募集に応募した際、「男性のみ」の募集であることを理由に応募を拒否されたことを、2014年7月、裁判に訴えた。2014年11月、法院(裁判所)は、被告に対して、黄蓉さんに慰謝料2000元(約5万円)の支払いを命ずる判決を下した。これが、就職の男女裁判初の勝訴判決である(本ブログの記事「求人の男女差別で中国初の勝訴判決――慰謝料2000元の支払い命じる」参照)。

しかし、黄蓉さんは、書面による謝罪と慰謝料の増額も求めて控訴した。けれども、2015年2月、法院は、黄蓉さんの請求を棄却し、原判決を維持した(1)

2015年1月には、馬戸さんが、北京市郵政スピード郵便物流有限公司(北京郵政)が女性であることを理由に馬戸さんの宅配便配達員への採用を拒否したことについて、裁判に訴えた。2015年11月、馬戸さんは、黄蓉さんと同じく慰謝料2000元の判決を得た(本ブログの記事「就職の男女差別で2件目の勝訴判決――今回は宅配便配達という男性職。コック見習い採用の男性のみ求人も提訴」参照)。

馬戸さんも黄蓉と同様の趣旨の控訴をしたが、2016年3月、棄却された(2)

すなわち、職種こそ異なるが、同様の判決が下され、同様の趣旨の控訴がおこなわれたが、同様の控訴棄却が繰り返されたのである。

2.高暁さんの裁判の第一審の経過

広東恵食佳経済発展有限公司がコック見習い募集において高暁さんが女性であることを理由にして不採用にしたこと対して、2015年8月、高暁さんがは謝罪と賠償を求めて広州市海珠区人民法院に提訴した。

この裁判の経過については、本ブログでは、同年9月17日の第1回審理までしかお伝えしていなかったので、それ以後についてご紹介する。

第2回審理――被告側の新たな証拠にもとづく主張に反論

12月4日の第2回審理のとき、広東恵食佳経済発展有限公司(以下、恵食佳と略す)は新たな証拠を提出した。その一つは、4名の女性の厨房職員の労働契約と社会保険の記録である。恵食佳はそれによって、厨房でもけっして女性を採用していないわけではないことを主張した。

しかし、黄溢智弁護士によると、実際はこの4名の女性職員は、いくつかの職場に散在しているだけであるうえ、けっして直接厨房の仕事に採用されたのではなく、長年経ってからやっと厨房に関係する仕事につけたにすぎない。また、賃金水準も低く、広東省の最低賃金ギリギリでしかなかった。

つまり、被告が出した証拠は、むしろ自らの性差別を証明するものになった(3)

恵食佳が提出したもう一つの証拠は、厨房の男性が重ねた皿や品物を運ぶなど、重い仕事・力仕事をしている写真だった。

しかし、その写真も、その厨房には男性だけしかおらず、雇用における男女差別が存在していることを示しているものであり、また、そうした重い荷物を運ぶ仕事も、法規で決められた「女性労働者が従事してはならない仕事の範囲」には属さないことを示しているものだった。

さらに、高暁さんは、恵食佳が証拠として提出した写真の作業と自分も同じ作業をして、その写真を証拠として提出し、高暁さんにもできる仕事であることを示した(4)

また、被告側は、高暁さんの調理師免許が本物かどうか疑ったり、高暁さんが3カ月で初級調理師から高級調理師になれたのはおかしい、などと言ったりして、高暁さんが仕事につけないのは能力の問題であるかのような印象を与えようとした。

これに対しては、裁判官も、「性差別の議論に戻ってください」と2度も強調したほどだ。

しかし、裁判官は、その一方、高暁さんの弁護士に対して、「あなた方は、炒作(センセーショナルなやり方)はしないように」と言った(5)。これは、高暁さんが広東省人力資源・社会保障庁の庁長に対して、自分が作った料理を食べてもらうよう招待するから、広東省の飲食業における女性従業員の状況(比率の低さや女性差別の強さ)について話をしようと呼び掛ける手紙を出して(6)、マスコミなどにも取り上げられた(7)ことを指していると思われる。裁判官は、こうしたやり方は嫌うようで、この点は、社会運動的なやり方に対する嫌悪感なのかもしれない。

第3回審理――被告に名豪軒も加える

2016年3月9日の第三回審理では、高暁さんは、広州市越秀区名豪軒魚翅海鮮大酒楼(以下、名豪軒と略す)を被告として追加した。名豪軒は、恵食佳に委託して募集情報を発表した。恵食佳はそれを受けて広告を発表して、職位を募集したのであって、名豪軒も権利侵害行為の主体だったからである(8)

3.第一審判決(2016年4月)――勝訴だが、慰謝料はまたも2000元、謝罪なし

2016年4月3日、広州市海珠区人民法院は、恵食佳と名豪軒に対して、連帯して高暁に慰謝料2000元を支払うことを命じる判決を下した。

その主要部分は、以下のとおりである。

被告の両者は、募集広告の中あるいは実際の募集過程の中で、ずっと原告の能力について職務の条件を満たすか否かの審査をおこなわず、直接高暁の性別を理由として何度も高暁の応募を拒否し、原告に平等な面接試験の機会を与えることを拒否したことは、女性の応募者に対する区別および排斥であり、原告の平等な就業の権利を侵犯しており、原告に対する性差別であるので、原告の損失について、連帯して責任を負わなければならない。

この事件において、原告は、被告の就職差別の行為によって、気持ちが落ち込み、自信がくじけたと主張し、両被告に書面での謝罪を公開するするとともに、経済的損失、精神的損害の慰謝料などを賠償することを主張している。しかし、原告の気持ちが落ち込み、自信がくじけたことなどは主観的な描写であり、たとえ原告が述べた状況が本当にあったとしても、それは原告自身の耐える能力ともある程度関連があるため、権利侵害の程度を完全には反映していない。また、原告が提示した交通費などの領収書も、この事件と関係があることを証明できていない。被告の両者の過ちの程度および権利侵害がもたらした結果の大小を総合的に考慮すると、当裁判所は、被告の両者が連帯して賠償する原告の精神的損失の金額は、2000元が適切であると考える。(9)

この判決に対しては、「2000元の賠償は慣例になったのか?」という声も上がった(10)

4.黄溢智弁護士の一審判決に対する評価

高暁さんの代理人である黄溢智弁護士は、この判決文の中の性差別に関する認定や論理に関しては、評価した。また、以下に述べるように、女性差別撤廃条約との関係でも評価をしている。

原告に直接性別を理由として何度も原告に平等な面接試験の機会を与えなかったことは、「女性の応募者に対する区別および排斥であり、原告の平等な就業の権利を侵犯しており、原告に対する性差別となる」という認定は、女性差別撤廃条約の性差別に関する認定基準に合致しており、さらに司法判決という形式を通じて、現在の飲食産業に存在する性差別の問題を認定したことは、明示的な就職差別を減らすためにある程度役に立つ。

その一方、黄弁護士は、この判決について以下のように批判している。

しかし、この判決は、原告が要求した謝罪の請求を支持しておらず、精神的損害額も低すぎる。これでは、原告がこうむった実際の損失と権利擁護にかかったコストを補償できないだけでなく、女性が性別という理由だけで生活とキャリアの機会を失ったことによる精神的圧力を慰めることもできない。

同時に、就職差別をした被告に対しては、2000元の賠償は、2つの商業団体にとってはごく少ない支出であり、就職差別をした行為の重大性と比べて非常に不釣り合いである。

(11)

5.高暁さんが負った心の傷、損失、憤り

実際、原告の高暁さんが負った心の傷や損失は、上の判決が言うような主観的なものでも、軽いものでもなかった。

心の傷、憤り

高暁さんは子どものころから、中華料理のコックになることが夢で、広東料理のクラスに入って、刻苦勉励した。高さんの料理は先生や同級生にも賞賛され、良い成績を取り、コックの資格試験にも合格した。

ところが、恵食佳のコック見習いに応募すると、受付で「あなた本人が応募するのか」と驚かれ、実地試験もされずに、通知を待っているように言われ、その後、電話で「定員がいっぱいだ」と断られた。高さんは、次に名豪坊に応募したが、ここでも、「定員がいっぱいだ」と断られた。高さんは、やはり自分の性別が断られる原因なのだと思い、高さんは自分にコックの仕事ができることをわかってもらおうと、「私はコックの免許を持っていますし、苦しいことや疲れることも平気ですし、男子学生にできることは私もできますし」と続けざまに言ったが、相手は高さんが言い終わらないうちに、面倒そうな表情になって背を向けて出ていき、周りの人々は高さんに哀れみの視線を投げかけるだけだった。高さんは、その刹那、自分のすべてが否定されたと感じ、自分にはそれに抗う力が何もないと思い、意気阻喪した。高さんはうなだれ、ホテルから出て、よろよろ歩いていると、恵食佳がまた求人広告を出しているのを見つけたので、高さんは電話をかけたが、恵食佳は「わが社は、厨房では女は雇わないと規定している」と言われた。その瞬間、高さんは「この業界には自分は入れない」と思い、目が涙でいっぱいになった。

高さんは、こんな形で自分の夢が破れたとは信じられなかった。自分の能力によってではなく、性別によって排除されたことに、高さんは憤るとともに、どうしようもなさを感じた。

職業の道が断たれたことで、高さんはすっかり落ち込み、のちに病院でうつ病だと診断された。今でも高さんは薬を飲み続けている。その後も、高さんはホテルに電話して応募し続けたが、どこにも断られた。

高さんはあきらめずに、恵食佳を訴えた。しかし、裁判によって、高さんの病状はむしろ悪化した。恵食佳は事実を無視して、証拠を否認し、さらには高さんを貶め、人身攻撃をしたからだ。たとえば、恵食佳は、高さんが応募した時のことをよく覚えていることを「ずば抜けた記憶力を持っている」と風刺したが、高さんが深く傷ついた時のことをよく覚えているのは当然だった(12)

やむなく菓子職人の道へ――それまでの金銭と時間は無駄に

高暁さんは、性差別が比較的少ない菓子作りの職場にしか入れなかった。それは彼女にとってまったく新しい領域だったので、見習い労働者から始めるしかなかった。毎日の仕事の量は多かったのに、賃金は非常に低かった。高暁さんは家賃を払い続けることができなかったので、友だちや仲間と別れて、やむなく勤務先が提供した宿舎に引っ越した。

高暁さんは、「たとえ好みの話は置いておいたとしても、広東料理を学んだときに使った金銭と時間が、なんと大きな無駄になったことか! 卒業したばかりでまだ収入がなく、理想を持った若い人にとって、時間と金銭と理想は貴重であり、踏みにじることは許されない」と語っている。

裁判に対する当局の圧力

訴訟を起こして以後、高暁さんがますます安らかに生活できなくなった原因には、当局からの圧力がかかったこともあった。広州市人力資源・社会保障局(以下、「人社局」と略す)は、家主と居住組織を通じて高暁さんの個人情報と生活状況を調査し、労働監察大隊は高暁さんの家まで訪ねて来た。さまざまなハラスメントの電話もかかってきた。故郷の村の中国共産党支部の書記まで、高暁さんの家族を訪ねてきて、高暁さんは党員だから、党組織とは関係がない活動は必ず上級組織に報告するように要求した。

全ての生活が安全でない感じに満たされたうえに、にっちもさっちもいかない経済状況によって、高暁さんはいっそう束縛され、呼吸することもできないほどになり、精神科の病院に「双極性障害(旧い呼び方では躁うつ病)」だと診断された(13)

6.控訴における請求と控訴理由

4月13日、高暁さんは控訴した。

控訴審では、被告に対して以下の請求をすることにした。

1.控訴人[高暁さん]に対して公開の書面で謝罪をする。
2.控訴人が応募したことによる経済的損失21元(交通費20元、電話料金1元)を賠償する。
3.控訴人に精神的損害の慰謝料40800元を賠償する。
4.一審と二審の訴訟費を負担する。

以下が、控訴理由(抜粋)である。

まず、控訴人の訴訟での請求の第1項は、「権利侵害責任法(侵权责任法)」第15条第(7)項によって被控訴人に謝罪を求めるものである。「民法通則」第134条第10項も、「謝罪」を、民事責任を引き受ける方法の一つとしている。原審の法院が認定した権利侵害の事実の上に立って、訴訟で謝罪を請求することは、事実の根拠も法律的根拠もあるので、原審の裁判所は支持すべきであった。

同時に、「最高人民法院の民事権利侵害の精神的損害賠償責任を確定することに関する若干の問題の解釈」第8条は、「権利の侵害が人に精神的損害を与え、その影響が重大なときは、人民法院は、人に侵害を停止させる、名誉を回復する、影響をなくす、謝罪するなどの民事責任を判決によって命ずるほか、被害者側の請求にもとづいて精神的損害の慰謝料を賠償させることができる」と規定している。(中略)

次に、原審の法院が両被控訴人に支払わせた2000元精神的損害賠償は低すぎて、控訴人が被った実際の損失と権利を擁護するために支払ったコストを補償できないだけでなく、女性が性別のみによって、生計を立て能力を発展させる機会を失ったことを慰藉することもできない。同時に、就職差別をおこなった2つの企業にとっては、2000元という賠償はきわめて低額な支出であり、就職差別という行為をすうという重大性にふさわしくなく、法律に背いた者や潜在的に法律に背いている者を震え上がらせることもできない。これは、国家の法律・政策の中で、女性の平等な就業権を確実に推進するという精神にも合致しない。

(中略)

以上、控訴人は原審の法院が両被控訴人に2000元だけしか精神的損害の慰謝料を払わせず、謝罪と経済的賠償を支持しなかったことは、法律の規定と男女平等の国策に合致しないと考えるので、「民事訴訟法」第164条にもとづいて控訴し、二審の法院が法にもとづいて判決を改め、控訴人の控訴の請求を支持し、女性の平等な就業権を確実に保証するよう求める。

(14)

7.第二審判決(2016年9月)――書面での謝罪も命じ、訴訟費用も被告側の負担に。ただし慰謝料は2000元のまま

2016年9月20日、広州市中級人民法院は、次の2点で高さんの請求を受け入れた判決を下した。

(1)謝罪の請求を支持した。

被告の広東恵食佳経済発展有限公司と広州市越秀区名豪軒魚翅海鮮大酒楼は、判決の効力が生じてから10日以内に高暁に対して書面で謝罪し(謝罪の内容は法院が審査して決める)、もし履行しないならば、法院が広州地区の公に発行されている新聞に判決書の主要な内容を掲載し、それにかかる費用は被告側が負担する。

(2)訴訟費用を相手側の負担とした。

一・二審の事件の受理費の各500元は、ともに広東恵食佳経済発展有限公司と広州市越秀区名豪軒魚翅海鮮大酒楼の負担とする

(15)

8.黄溢智弁護士の二審判決に対する評価

以下、黄溢智弁護士が、この判決について述べたことを記した。これまで述べたことと重複もあるが、最終審での判決についての論評なので、詳しくご紹介してみた。

以前の北京[の馬戸さん]と杭州[の黄蓉さん]の2件の裁判と比べると、この事件の判決が進歩であることは疑いなく、この判決は司法の男女平等な就業権の保護について、また一歩段階を進めた。(中略)

2008年に施行された「就業促進法(中华人民共和国就业促进法)」は、その前の「労働法」と「婦女権益保障法」にすでにあった女性差別を禁止する条項を重ねて規定したが、就業促進法の第62条(「本法に違反して就職差別をした場合は、労働者は人民法院に訴訟を起こすことができる」)で、差別を受けた者が直接法院に訴訟を起こす権利を明確にした。高暁はその条文に依拠して、恵食佳に謝罪と損害賠償の慰謝料を要求したのである。

性差別の存在を証明することはあまり困難ではなかった。恵食佳は一貫して男性だけを募集したことを否認したけれども、高暁は恵食佳の職員と何度も話をしたときに、いつも「厨房では女性は募集しない」と言われ、その後、恵食佳は、求人広告に「男性」という条件を入れるようになったことは、故意に差別をしていることを明確に示している。恵食佳は、人を雇う自主権を主張したが、これは差別をしてよい理由にはならない。人を雇う自主権も、法律が禁止している規定に違反してはならない。恵食佳は、厨房には4名の女性従業員がいるという資料を提供して弁解した。しかし、これらの女性従業員の資料は、むしろ恵食佳に性差別が存在していることをいっそう証明するものだった。別々のホテルに4人だけいる女性従業員は、10年近く仕事を続けた後になってやっと厨房と関係がある仕事(主要な厨房のポストではない)に従事することができたにすぎず、報酬や待遇も依然としてきわめて低かった。厨房の重要なポスト、ひどい場合はすべてのポストは男性が独占している。裁判所は、高暁が提供した証拠にもとづいて、恵食佳の被告の両者が、求人広告においても、実際の採用過程においても、高暁の能力がポストの条件を満たしているか否かをまったく審査せずに、直接高暁の性別を理由として何度も高暁の応募を拒否し、原告に平等な面接試験の機会を与えることを拒絶しており、これは、女性の応募者に対する区別および排斥であり、原告の平等な就業の権利を侵犯しており、原告に対する性差別であると認定した。

性差別を認定し、当事者が謝罪を要求した以上、判決で謝罪を命じることは、本来、道理にも、法にもかなっている。しかし、杭州の黄蓉の裁判から北京の馬戸の裁判に至るまで、法院は謝罪の請求を支持してこなかった。けれど、2008年に「就業促進法」が施行された後、B型肝炎の就職差別裁判が多く起こされたが、その多く判決の中で、各地の法院は、差別された応募者が企業に求めた謝罪の請求を支持したことを私たちは知っている。「謝罪」は、法律が規定した民事責任を引き受ける方法の一つである。謝罪は原状回復に重点があり、慰謝料は金銭的賠償に重点がある。法院はまず前者を考慮すべきなので、法院は精神的損害の慰謝料の支払いを判決で命じた以上は、謝罪も支持するのが当然である。広州市中級人民法院は、高暁の控訴意見を認めて、恵食佳に公開での謝罪を命じる判決を出した。訴えを起こして以降、差別をした側である恵食佳の態度は傲慢で、差別を認めないだけでなく、法廷で高暁をあざけって、高暁に二次被害を与えたので、この謝罪の判決は、高暁個人にとっては慰めになる。同時に、これは性差別を受けた者に対する司法的救済を完全なものにする上で有利であり、謝罪は金銭的賠償の不足をある程度補う。しかし、まったく不十分である。

3件の性差別裁判で法院が判定した損害賠償は、みな、わずか2000元である。馬戸の裁判では、この2000元の賠償は、訴訟費用さえまかなうことができず、まして公証費、旅費、仕事に支障をきたした出費などはまかなえなかった。この2000元は、企業にとってはきわめて低額な支出であり、就職差別という行為の重大性にふさわしくなく、法律に背いた者や潜在的に法律に背いている者を震え上がらせることもできず、国家の法律・政策において、女性の平等な就業権を確実に推進するという精神にも合致しない。私たちが多くの就職差別の判決を収集したところ、法院が、B型肝炎によって就職差別をされた応募者に対して与えた賠償は、就職の性差別の判決の中の2000元よりもはるかに高額だったことがわかった(16)。B型肝炎差別問題の解決と有効な司法的救済とは密接に関連していた。就職の性差別問題も司法のルートを通じて早急に有効な解決をする必要があるが、差別の被害者に対する賠償の基準を引き上げることによって企業の法律違反のコストを増加させることがそのカギとなる。

この判決のもう一つ進歩は、法院が訴訟費用の分配を改めたことである。この裁判の一審判決の受理費は500元だったが、一審の法院の判決は、高暁に476元を負担させ、会社は24元しか負担しなかった。この裁判は、平等な就業権に対する権利侵害の訴訟であり、財産についての裁判ではなく、人格権の裁判である。原審の法院は恵食佳の行為は就職差別だと判決で認定し、高暁の人格権が侵犯されたという訴えはおおむね認められたが、賠償金額上では、40800元の訴えとは開きがあったというだけである。しかし、原審の法院は、財産についての裁判として処理し、高暁が獲得した賠償金額の比率にもとづいてのみ訴訟費用を配分し、人格権の裁判の中で恵食佳の権利侵害行為が成立したことによって敗訴した責任を負わなければならないことを考慮していなかったため、大部分の訴訟費用を、差別を受けた被害者の側に支払わせた。一審の法院の訴訟費用に対する配分はきわめて不公平である。この問題は馬戸の裁判の中でも出現した。このことは、法院が扱った就職差別裁判の件数が少なすぎるために、普通の労働争議裁判と本当に区別して扱っていないことと関係があるのかもしれない。いっそう反差別裁判の司法的救済を整備し(受理した事件の内容?およびこうした事件の審理の規範を制定することを含む)、長期的には、反就職差別法を制定し、反差別システムを設立することも必要である。(17)

9.人力資源・社会保障局の責任を問う裁判は、一審では敗訴

2015年6月、高暁さんは、広東省人力資源・社会保障庁にも、恵食佳の採用の性差別について訴えを提出した。これはのちに、広州市人力資源・社会保障局に取り次がれた。

しかし、11月24日、高暁さんは、広州市人社局から、「調査したところ、恵食佳は男性に限定して採用を拒否したという事実を否認しており、また、高暁はすでに訴訟を起こしているので、受理せず、法律的手続きによって処理してほしい」という回答を受け取った。その回答には印章も押されていなかった(18)

高暁さんは、「就業促進法」「人材市場管理規定」などの法律法規は、労働行政部門は企業の就職差別に対して監督責任があることを規定しているので、たとえ裁判が起こされていたとしても労働行政部門は訴えの受理を拒否できないと考え、広州市人社局と広州市労働保障監察支隊を相手取り、以下のことを求めて裁判を起こした。
・人社局が高暁さんの就職差別の訴えを受理しなかったという行政行為は違法であることを確認すること。
・人社局に高暁さんの就職差別の訴えを受理するように命じること。

2016年5月24日、その裁判の1回目の審理が広州市鉄道運輸第一法院でおこなわれた。その日の午前中、女子学生の王月さんら数人の青年が、広東省の人社庁に行って建議の手紙を渡して、人社庁が就職の男女差別を重視し、それを監督するシステムを作るよう訴えた。その際、青年たちは、人社庁の前で、黒い中華鍋を手に持って、「就職差別にコストはない、黒い鍋は女性には背負わせない」という、性差別的現状を批判したプラカード掲げてアピールした。人社庁の陳情室の職員は、彼女たちの手紙を受け取り、事情を聞いた後、人社庁は高暁の事件をずっと重視しているし、たしかに就職の性差別はずっと存在しているので、この件には注目していきたいと述べた。青年たちは、午後は法院に行って裁判を傍聴した(19)

しかし、9月13日、広州市鉄道運輸第一法院が下した判決は、高暁さんの就職差別の訴えを受理することを求める請求は支持せず、人社局の回答に印章が押されていない点のみを違法とするものだった。

高暁さんは控訴した(20)

おわりに――馬戸さんも最後まで闘っている

2016年3月に控訴が棄却された馬戸さんも、それで諦めたわけではない。

まず、馬戸さんは、「申訴」をおこなった。申訴とは、すでに効力を発した判決について上級裁判所に改めて審理を要求することである。中国は二審制だが、そうした道もあるのである。しかし、これは失敗に終わった。

さらに、馬戸さんは、2017年1月5日、北京市人民検察院に「抗訴」の申請をおこなった。抗訴とは、検察院が法院の判決に対して不服な場合、再審をおこなうことである。馬戸さんの場合、高暁さんの二審判決と異なり、勝訴とはいえ、謝罪は獲得できなかったし、訴訟費用のうち2129元のうち、北京郵政は100元しか負担せず、残りは馬戸さんが負担する判決だった。その一方、北京郵政が馬戸さんに支払った精神的損害賠償(慰謝料)の金額は、(これは高暁さんの場合も同じだが)2000元にすぎなかった。その点について変更を求めたのである。

2016年8月22日、最高人民法院のウェブサイトは、「社会主義の核心的価値観を発揚した典型的判例」の一つとして、馬戸さんの裁判の判決を挙げた。そのこと自体は注目すべきだ。しかし、最高人民法院は、慰謝料は、募集要項の「過ちの程度」にもとづいて決めたと記した。また、就職の性差別をしようとした企業に「威嚇」を与えるものだとも記した。

それに対して、馬戸さんは次のように述べている。「法院はどのようにして過ちの程度を測ったのか? 2000元だけで賠償できるとは、どの程度なのか?」「賠償金額が2000元だけだというのは、企業に対する威嚇なのか、それとも権利を守る者に対する威嚇なのか、私にはわからない。北京郵政が登記している資本は4000万元だ。」「男女平等という社会主義の核心的価値観はこんなにも安いのか?」と(21)

フェミニスト行動派の女性たちは、2012年7月に最初に就職の男女差別を裁判に訴えた曹菊さんの訴えを裁判所に受理させるだけのために、1年以上もの期間、さまざまな努力を重ねた(「求人(募集)の女性差別に対する初の提訴をめぐって」「求人の男女差別をなくすための女性たちの粘り強い行動」)。

上で述べてきたことからは、そうした闘いは、さまざまな困難にも負けず、今なお続けられており、わずかずつだが成果も勝ち取ってきていることがおわかりいただけよう。

(1)求职遭歧视案续:女生二审胜诉却仍未获道歉」搜狐2015年2月5日(来源:大河网-大河报、原題:「案件二审维持原判女生仍未获道歉」)。
(2)女权之声【马户诉就业邮政性别歧视案终审判决结果:维持原判】3月2日 14:30
(3)广东就业性别歧视案一审第二次开庭」女权之声的博客2015年12月4日。
(4)女权行动派更好吃的微博【“我们没有歧视女性,女人真的做不了大厨”】2015年12月4日 14:26、「想做女厨师不成 她要做饭请厅长吃」『南方都市报』2015年12月9日。
(5)注(4)の箇所からここまでは、法官捎话给:原告你们不要炒作」新媒体女性的博客2015年12月5日。
(6)厅长,女大厨请你吃饭,约吗?」2015-10-19 女权行动派很好吃。
(7)想做女厨师不成 她要做饭请厅长吃」『南方都市报』2015年12月9日。
(8)遭遇性别歧视的女厨师终于赢得道歉!」女权行动派很好吃2016年9月20日→「遭遇性别歧视的女厨师终于赢得道歉! 」女权之声2016年9月21日 15:08:57
(9)性别歧视2000块就了事?想当大厨被拒的她发起众筹继续上诉」女权之声2016年4月18日 11:33。
(10)广州就业性别歧视第一案一审判决:赔偿2000块成为惯例?」女权之声2016年4月5日 16:13。
(11)以上は同上。
(12)以上は、「“性别歧视不足以阻止我”……去炒菜!」女权之声2016年8月19日 13:54:54(作者: 女权行动派吃不完)。
(13)以上は、(10)に同じ。
(14)以上も、(10)に同じ。
(15)以上は、「遭遇性别歧视的女厨师终于赢得道歉!」女权行动派很好吃2016年9月20日→「遭遇性别歧视的女厨师终于赢得道歉! 」女权之声2016年9月21日 15:08:57
(16)黄弁護士が調べたところ、2008年、2009年のB型肝炎の就職差別裁判では、裁判官は1万5000元の精神的損害賠償の判決を下したこともあるし、広西と武漢では、それぞれ1万元、5000元の精神的損害賠償を命じているとのことだ(「违规成本只要2000块? 广州就业性别歧视第一案判决遭炮轰」自由亚洲电台2016年4月7日)。
(17)黄溢智「高晓案胜诉对完善我国反歧视司法有何意义?」女权之声2016年9月21日 17:55:23。劉明輝弁護士(中華女子学院法学院教授)の判決に対する評論は、刘明辉「女大厨遭遇就业性别歧视:判决赔礼道歉为何如此艰难?」橙雨伞公益的微博2016年9月29日 11:00:53参照。
(18)法院纵容人社局对就业性别歧视不作为! 刚胜诉的高晓马不停蹄上诉」女权之声2016年9月29日 17:11:07(来源:微信公众号“女权行动派很好吃”)
(19)この段落と上の段落については、@小田切菜「女青年背黑锅现身人社厅,呼吁关注厨师行业招工性别不平等」2016-05-25 15:19:54、明燚feminist的微博2016年5月24日 17:31
(20)以上は、(18)に同じ。
(21)只值2000块的社会主义价值观」2017-01-05 马户 女权行动派很好吃
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