2018-11

ホモフォビア教科書是正運動の展開――出版社・編者に働きかけた成果、民事訴訟、「中国の精神障害の分類と診断基準(第三版)」の限界

<目次>
はじめに
一 47冊の教材の出版社や編者に働きかけ、20冊に是正を約束させる
二 教科書の出版社に対する民事訴訟
三 「中国の精神障害の分類と診断基準 (第3版)」の限界が露呈
おわりに

はじめに

中国では、2001年に中華精神病学会が決定した「中国の精神障害の分類と診断基準(第三版)」によって、同性愛は精神病とは見なされなくなり、「非病理化」されたと言われる。しかし、大学教科書においては、その変化が反映されているのは今なお一部にとどまり、多くの教科書が、同性愛を「障害」や「異常」として記している。中国の同性愛問題についての活動家は、それらの教科書を「ホモフォビア教科書 (恐同教科書)」として批判してきた。

秋白さんは、その点に関する教育部の責任を問う裁判を起こしたが、2016年9月、一審で敗訴したのに続き、2017年3月には二審(中国では最終審)でも敗訴した(本ブログの記事「ホモフォビア教科書を放置する教育部を訴えた裁判の紆余曲折とその敗訴」参照)。

一 出版社や編者に働きかけた教材47冊のうち、20冊に是正を約束させる

秋白さんはそれに屈せず、今度は、誤りがある教材の出版社や編者に直接に働きかける道を選んだ。秋白さんは裁判に敗訴したときは、すでに問題がある教材の目録を作成しており、今後、10人の編者に対して、教材から同性愛に汚名を着せる内容をなくすよう手紙を出して、その次には電話やメールで説得するつもりだった。

さらに、そうした活動を一緒にしてくれる人も募集した(1)。このアクションには、すでに出版社や編者への働きかけをしてきた西西さんも参加した(2)。秋白さんは、裁判中から、こうしたアクションなどにかかる費用として、教材の購入費、手紙の郵送料、交通費・宿泊費などを計算しており、カンパを求めてきた(3)

4月から6月にかけて、秋白さんらは、集まった仲間たちとともに、同性愛に対する誤った記述をしている全国の47冊の教材について、その出版社22社と編者79人に対して、速達や電子メールによって、99通の手紙を送った。

7月12日までに計29通の返事が届いた。教科書ごとに見ると、以下のような結果だった。

・教材の誤りを認め、修正を承諾した―――――――――20冊
・教材に誤りが存在することを否認した――――――――2冊
・中立。同性愛に対する認識に論争があることは認めた―3冊
・あいまいな態度。「事情を斟酌して考慮する」など―――4冊
・何の回答もまだ受け取っていない――――――――――18冊

修正を承諾した返事としては、たとえば『大学生心理健康』の編者の周春明さんは、「新版では変更をする。深くお詫びしたい。私たちは、大学生の心理的健康という科目を教えるすべての先生に、この章の内容について正しく話してもらって、学生が誤解しないように求める」というきちんとした回答をした。

また、『婚姻と相続法学(第5版)』を出版している中国政法大学出版社らは、「ちょうど本書の改訂をしているところなので、一週間以内に編者の先生に渡して確認する」という答えがかえってきた。続いて編者の夏吟蘭さんから「以前の私たちの同性愛についての認識は、たしかに伝統的観念の影響を受けていた。今後この教材を改訂するときは、必ずこの部分の内容について修正する。あなたが意見を出してくれたことに非常に感謝する」という返事がきた。

逆に、誤りを認めない返事としては、『現代青年心理学』の編者・張進輔さんの次のような返事があった。「同性愛は当然、性変態である。性変態は精神病と同じではない。変態は異常な変化の状態を指している」、「人が、もしある面が異常で、社会生活に適応が困難ならば、まず改めることを考えるべきである。同性愛者も自分の感覚や興味、習慣だけを考えるのではなく、親戚や友人の感覚や圧力についても気にかけなければならない」、「私たちは、多くの人が同性愛者にならないように、できるだけ早く、青少年の中の同性愛的傾向がある者を発見し、治療・矯正しなければならない」、「現在同性愛者が増加しているのは、ほかでもなく社会が管理を緩めた結果である」、「同性愛者は、自然の規定に背いた行為方式を選択した以上、さまざまな圧力と困難を受けるのが必然であり、伝統的社会や他の人の同性愛に対する態度と見方を変えようと試みることは、不必要かつ不可能である。」

秋白さんらは、こうした人に対しても、必死で冷静になってあらゆる方法で議論をしたが、うまくいかなかったという。

また、態度があいまいな回答としては、「あなたの観点と提案は価値があるので、私は非常に重視し、まじめに考慮する」、「あなたのメールを受け取った。私たちはまじめに対応する」といったものがあった(4)

しかし、いずれにせよ、出版社や編者の4割が訂正を承諾したことは相当の成果だと言えよう。

二 教科書の出版社に対する民事訴訟

7月6日、広州の大学生・西西さんは、ホモフォビア的記述のある張将星・曾慶編『大学生心健康教育』(2013年 曁南大学出版社)を出版している曁南大学出版社と同書を販売していた京東ネットを、同書の内容に誤りや誤解を招く箇所があるなど、明らかに同書の質に問題があることによって消費者に損害を与えたとして、江蘇省宿遷市宿豫区法院に訴えた。

同書のどのような記述が問題だったかというと、同書は、「よく見られる性心理障害」の中の一つに「同性愛」を挙げていた。また、「同性愛」について、「性愛の面での紊乱、あるいは性愛の対象の倒錯であると考えられる」と記していた。

2016年6月から、西西さんは、同書の編者や出版社の副編集長に対して、何度もメール送ったり、面談をしたり、300人以上による連名の手紙を手渡ししたりして、そうした記述を是正するように訴えてきた。しかし、編者は対話に応じなくなり、副編集長も西西さんの訴えを編者に転送する以上のことはしなかった(これまでの経過については、本ブログの記事「大学のホモフォビア教科書の編者・出版社に対する働きかけ」の参照)。

そこで、西西さんは、上記のように7月6日に、江蘇省宿遷市宿豫区法院に訴えを起こしたところ、17日に同法院がこの訴えを受理したという通知が来た(5)

しかし、曁南大学出版社のほうは、その件について記者に取材を受けた際、「すでに2017年3月に新版を出しており、その中では同性愛に関する部分を削除している」と述べた。

けれども、西西さんは編者からそのことを知らされていなかった。

また、西西さんが新版を購入して見てみたところ、教科書は一部、修正されていたが、「同性愛」を「性心理障害」の一つとして挙げている点には変わりがなかった。また、新版は「大学生は、不法なルートで性に関する音声・画像の製品・物品に接触するべきではない」と述べているのだが、その理由として「性的指向に偏りを引き起こす可能性がある」ことが書いてあった(6)

この裁判の審理は、10月31日の午前9時から裁判所の第二法廷でおこなわれることも決まった(7)

しかし、27日、裁判官がこの件についてはもっと多くの研究時間が必要だと述べ、開廷が延期されることになったと西西さんが伝えた(8)。このことは、裁判所が本気でこの裁判に取り組んでいることを示しているのだろうか? もしそうだとしたら、期待が持てるのだが‥‥。

三 「中国の精神障害の分類と診断基準 (第3版)」の限界が明らかに(9)

西西さんの注意を引いたのは、新版は、中国で同性愛を非病理化したと言われる「中国の精神障害の分類と診断基準(Chinese classification of mental disorders )(第3版)」(CCMD-3)を引用しつつ、同性愛は性心理障害であると述べている点だった。

といっても、CCMD-3は「同性愛は性心理障害である」とは書いていない。しかし、この教科書は、それ以外の箇所自体は、たしかにCCMD-3の中から引用していた。

なぜ、中国で同性愛を非病理化したと言われるCCMD-3が、同性愛は性心理障害であることの根拠に用いられたのか? 

CCMD-3は、「性的指向障害(性変態)」という概念はなくしていないのである。ただし、CCMD-3の言う「性的指向障害(性変態)」とは、「さまざまな性の発育と性の指向によって起きる障害を指し、性愛自身は必ずしも異常ではない。しかし、ある人が性の発育と性的指向が心理的障害を伴う、たとえば、そうであることを希望せず、あるいは躊躇して決められず、そのために、焦慮、憂鬱、内心の苦痛を感じ、ある者は治療によって変えようとする」というものである(10)

西西さんは、以下のように指摘している。

CCMD-3は、同性愛者の自己感覚が良好で、性的指向を変えたいと思っていないならば(自我調和的同性愛)、同性愛を異常だとはみなしてはならないと言っているが、そうでない同性愛(自我不調和的同性愛)については、異常だとみなしている。

これは、CCMD-3は、同性愛という性的指向自体は病気だとはみなしていないとはいえ、その同性愛の非病理化と脱スティグマ化が、けっして徹底したものではないことを意味している。

この点は、CCMD-3が制定された経過と関係していることが指摘されている。CCMD-3制定当時、専門家内部で激烈な議論があり、病理化と非病理化の両派が対峙して譲らなかった。しかし、社会のセクマイフレンドリーな人々との協力によって、同性愛は最終的には非病理化を実現した。しかしながら、CCMD-3には、「心理的障害」・「自我不調和的」という記述が残った。この残余は、まさに当時の両派の妥協の結果だという(11)

CCMD-3と異なり、世界保健機関の「国際疾病分類(International Classification of Diseases)第10版」(ICD-10)とアメリカ精神医学会の「精神障害の診断と統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)第5版」(DSM-5)は、それぞれ1990年と1973年に同性愛を完全に削除することによって、同性愛の徹底的な非病理化を実現している。

これに対して、CCMD-3は、「自我不調和」的同性愛を性心理障害とみなしており、実は国際基準から遅れている。

こうしたCCMD-3の記述には、以下のような問題がある。

(1)性的指向は、障害や心理的問題として見なしてはならない。同性愛者に「自我不調和」という心理的問題、すなわち焦慮、憂鬱、苦痛、治療による改変要求といったことが起きる原因は、けっして同性愛という性的指向自体にあるのではなく、社会の中の同性愛に対するスティグマ、差別、排斥によって自己を受け入れられなかったり、他人との交際の中での障害があったりすることなどがもたらす心理的問題である。

(2)CCMD-3の性的指向障害という情況は、もっぱら「自分を受け入れられない同性愛とバイセクシュアル」を指しており、異性愛には適用されない。CCMD-3が同性愛とバイセクシュアルだけを提示しているのは、実際は、異性愛だけを唯一の自然で、正統な、合法的な性的指向であり、その他は、区別して扱わなければならない、不正常で、非正統的ものだと仮定していることを意味している。

以上のようにCCMD-3が保守的で、立ち遅れていることは、同性愛の脱スティグマ化にとって、以下のような障害と困難をもたらしている。

【同性愛矯正治療にとって】CCMD-3に同性愛者に対する差別的な記述が存在しているうえに、中国の心理カウンセラーの訓練システムでは、多元的ジェンダーの知識が非常に欠けているために、本来の意図としては自分の性的指向を受け入れられない同性愛者の精神的健康のために「自我不調和」的同性愛を治療が必要な範疇にとどめたことが、同性愛の「矯正治療」に変わってしまうと同時に、利益を追い求める不良な動機の医療機関と心理カウンセラーにつけ込む隙を与えて、違法な性的指向の矯正治療をおこなわせた(12)

【「教材の脱スティグマ化」にとって】同性愛を病理化している教材の内容を修正するように編者や出版社を説得しているプロセスにおいて、以下のように、CCMD-3は編者が教材の修正を拒否する口実になっている。

1.ある編者は、その教材に誤りはないと言うために、CCMD-3もまだ同性愛を心理的障害として挙げているから、この言い方は、CCMD-3という基準に合致していると詭弁を弄した。

2.ある編集者たちは、教材の中でCCMD-3がまだ「自我不調和的同性愛」を性の心理のせいにしていることを理由にして、「同性愛という性的指向を矯正する」ことを「助けを求めるものを援助する」方法として述べている。

3.『大学生心理健康教育』の新版の改訂の時に出現した問題である。
 (1)いかなる性的指向自身も偏向や障害、心理的問題ではないので(異性愛、同性愛、バイセクシュアルを含めて)、「大学生は、不法なルートで性に関する音声・画像の製品・物品に接触するべきではない。なぜなら、その中から不適切あるいは誤った性の情報を得るかもかもしれず、さらに重大なことには、性的指向に偏向に出現させるかもしれない」という文の中の「性的指向に偏向が出現する」という言い方は誤っている。同時に、179頁の「性的指向に偏向が出現する」と178頁の性心理障害の同性愛の間には、間テキスト性(=テキストが相互に関連しているように読まれること、といった意味のようです)が存在しているので、「性的指向に偏差が出現する」の中の「性的指向」は、「同性愛」であると非常に理解されやすく、そのために誤解が生じやすい。
 (2)教材が、CCMD-3が「同性愛を性心理障害として挙げている」とし、それを「性的指向障害」に分類している。しかし、CCMD-3は「自我不調和的同性愛」だけを「性心理障害」とみなしており、同性愛を全体として性的指向障害には分類していない。それゆえ、教材の中のCCMD-3の記述は誤っている。
 同時に、『大学生心理健康教育』はCCMD-3の原文をそのままコピーペーストしていて、編者はCCMD-3に対してまったく解析をしておらず、そのうえCCMD-3の原文は曖昧さと誤解を招く点があるので、多元的ジェンダーの知識と専門の訓練を受けていない学生は、その中に引用した原文を、同性愛は心理的障害の一つなのだと理解してしまいやすい。
 (3)新版の教材はCCMD-3だけを引用しており、かつCCMD-3は2001年以来何ら更新されていないので、知識のレベルから見て、非常に立ち遅れている。それなのに、この教材はその他の権威ある基準であるICD-10とDSM-5のようなものを参考にしていないので、同性愛についての記述が非常に一面的である。

西西さんは、国内の心理学と精神医学の専門の教材の中では、銭銘怡『変態心理学』(2006年 北京大学出版社)が最も全面的かつ正確な教材だと評価している。その中ではCCMD、ICD、DSMの同性愛に対する見方を比較して、国内外の同性愛の脱病理化のプロセスを詳細に記述し、同時に「来訪者が自分の性的指向を受け入れるように援助する」ことを通じてその心理的問題を改善するよう提唱しているからである。

それゆえ、西西さんは「曁南大学出版社は、教材に修正をしたとはいえ、新版の教材にも誤り、誤解を招く記述、一面的な記述がある。だから、私は曁南大学出版社と京東に対する提訴を撤回せずに、『大学生心理健康教育』が一層の修正をするように求めてく」と述べている。

同時に、西西さんは、『大学生心理健康教育』の修正が不徹底であることは、自分に、以下のような問題を考えさせると述べている。

(1)同性愛がCCMD-3ではまだ徹底的な脱病理化がなされていないという情況の下で、私たちは、どのようにしたら出版社と編者を説得して、新版の『大学生心理健康教育』に出現したような問題を出現させないようにするか?

(2)結局、教材をどのように書けば、LGBTに対してフレンドリーで、かつ全面的になるのか?

(3)精神的疾病や心理的健康を中心とした教材の中で(たとえば変態心理学)、教材は同性愛を「性心理障害」という一節の中で論じる以外に、どのように扱えばいいのか? あるいは、新しい教学体系の中で、同性愛は「精神的疾病」という枠組みの中でだけ議論しないようにするのか?

(4)私たちはCCMD-3の「性的指向障害」および「同性愛」という項目における保守的な扱いをどのように理解すればいいのか? 精神的疾病の判定は純粋の科学的実証なのか、それとも道徳的判断が混じるか? 私たちはどのように理解すればいいのか?

おわりに

秋白さんらの働きかけによって出版社や編者に働きかけた教材47冊のうち、20冊に是正を約束させることができたのは、秋白さんらがこれまで運動を続けてきたことによって、教科書の問題点を指摘する主張に対する理解が広がってきたことの反映ではないかと思う。

西西さんが教科書の出版社に対する民事訴訟を起こしたことにも見られるように、ほんとうに粘り強いたたかいをしている。

CCMD-3の限界については、早くから批判が出されているが(13)、運動が発展したことによって、そのような限界に直面したことは、理論的批判とはまた別の意義があろう。

(1)以上は、「三诉教育部|败诉,终结还是开始?」2017-03-11 秋白 秋白的自由野。
(2)恐同教材就像巨石,她选择做一个推石头的人」NGOCN 2017-08-23 11:07:45。
(3)筹红包/祝福,支持秋白2017年改变10本毒教材! 」2017-01-31 秋白 秋白的自由野。
(4)以上は、陈秋颜「捷报|四成编者/出版社承诺修正教材中的“恐同”内容」知乎专栏2017年9月16日。
(5)-推石头的西西弗斯 「教材“恐同”,女大学生诉暨大出版社、京东在江苏获立案!」2017-09-04 19:58:05。
(6)-推石头的西西弗斯「分析|暨大出版社,你真的有诚意修改教材吗?! 」2017-09-04 20:27:16。
(7)-推石头的西西弗斯「国内首例“恐同”教材民事诉讼案,31日开庭!」2017-10-25 23:51:26。
(8)-推石头的西西弗斯 10月27日 12:27
(9)この節は、主に、-推石头的西西弗斯「分析|暨大出版社,你真的有诚意修改教材吗?! 」2017-09-04 20:27:16によっているが、節の中で注記した個所は、その注記に詳しい。
(10)CCMD—3 《中国精神障碍分类及诊断标准》
(11)大咪「在中国同性恋还是病吗?|CCMD-3和同性恋的那些事」知乎专栏。
(12)この点については、「同性恋在中国真的去病了吗?」2017-04-20 LGBT权促会。
(13)『桃紅満天下』増刊38期(2001年)「中国同性恋非病理化专辑」、童戈「中国同性性活动的历史沿革和现状」童戈ブログ(http://tongge2005.blog.sohu.com)2010年3月26日。
関連記事

トランスジェンダー団体が次々に設立、継続的に活動

<目次>
はじめに
1 トランスジェンダーセンター
 (1)「トランスジェンダーの声」――活動家を招いてオンラインで語り合い
 (2)広州以外にも広がる活動
 (3)トランスジェンダーに対するDVについての取り組み
 (4)センターの現在――「トランスジェンダー」の定義と3つのグループ
 (5)h.cさんの話
2 トランスチャイナ
3 トランスジェンダーシェルター
4 トランスジェンダー生活社
5 他のLGBT団体のトランスジェンダー問題への取り組み
 (1)北京LGBTセンター
 (2)同語
おわりに

はじめに

前回は、2016年に提訴されたトランスジェンダーの就職差別裁判についてご紹介した(「トランスジェンダーの就職差別、労働紛争訴訟と人格権訴訟の両方で勝訴」)。こうしたトランスジェンダーの活動が、最近、活発化しているように思う。

この1、2年、組織の面においても、トランスジェンダー独自の団体が次々に設立され、継続的に活動している。

トランスジェンダーに関しては、2006年ごろ、「トランス中国」(この名称になるのは2008年だが)という団体ができ、電話相談もおこなった。また、LGBT関係の組織の中でトランスジェンダーをテーマにした集いがおこなわれることもあった。2009年3月には、北京LGBTセンターの中に、バイセクシュアルやトランスジェンダーのための「無界限小組」が設立された(「各地のセクシュアル・マイノリティのサイト(4)──トランスジェンダーの状況・サイト・思想」)。しかし、そうした動きは、数年前まではあまり目立たなかったように思う。

以下、最近のトランスジェンダー団体の活動を、団体ごとに見てみよう。

1 トランスジェンダーセンター

2016年5月、F女権小組(1)の中核メンバーであるトランスジェンダーレズビアンのh.cさんらが、広州に「トランスジェンダーセンター」を設立した(2)。h.cさんが「別の2人のフェミニストの若者といっしょにトランスジェンダーセンターを設立した」と記している記事もあることから見ても(3)、少なくとも当初はフェミニストが主導して設立したと言えそうだ。

トランスジェンダーセンターは、トランスジェンダーに交友の場を提供したり、集会・サロン・映画鑑賞会・読書会などをおこなうとしている(4)

具体的には、同センターの微博を見ると、まず2016年6月5日に、「広州トランスジェンダー顔合わせパーティー」をおこなうと書かれている(5)

また、トランスジェンダーセンターは、金曜日に定期的に活動をしているようだ。たとえば、2017年3月3日には、「トランスジェンダーをテーマにした軽いゲームの夜」を広州でおこなうと書かれている。この日は、ゲームをしたのちに、参加者がジェンダーアイデンティティと関係がある家庭での話をしたり、テーマを決めた弁論(この日は、「すでに成年になっていて、一定の経済的能力のある人も、父母の許可が得られなければ手術ができないか?」など)をしたりするという(6)

また、同年11月11日-13日には、北京LGBTセンターとトランスジェンダーセンターが主催して、広州で、カウンセラー・教師・ソーシャルワーカー・医師など、セクシュアル・マイノリティに接する人々のために、セクシュアル・マイノリティにフレンドリーなカウンセリングをするための研修を実施している。その研修は、3日間にわたるもので、具体的には、7人のジェンダー/セクシュアリティに関する研究者やカウンセリング指導者を招いて、7つのワークショップをしたり、L・G・B・Tそれぞれの代表をゲストとして招いて参加者との交流をおこなったりしている(7)

(1)「トランスジェンダーの声」――活動家を招いてオンラインで語り合い

2017年の元旦、トランスジェンダーセンターは、今年1年のうちに、国内の10人のトランスジェンダーの先駆者らを集めて、9回、「トランスジェンダーの声」というオンライン上の分享会(シェアリングをする会)を開くことを発表した。以下が、それぞれの会のテーマとゲストである(8)

第一期・上 菜食主義クィアフェミニストとトランスジェンダーレズビアン
1月14日
 小雲:トランスジェンダーレズビアン。南京・北京・東北を行き来するフェミニストで、レズビアン運動の参加者。2013年にレズビアン文化やそのコミュニティに接し、その後、菜食主義フェミニズムとレズビアンサブカルチャーに関心を持つ。トランスジェンダー女性という自らのアイデンティティにもとづいて、フェミニズムとジェンダーの探求は、単なる知識の学習ではなく、生活方式の探求であることに確信を持っている。
 h.c:菜食主義クィアフェミニスト、トランスジェンダーレズビアン。トランスジェンダーセンター現代表。

第一期・下 トランスジェンダーのカミングアウト指南
1月15日
 皮皮:トランスジェンダー女性、パンセクシュアル。現在は主にトランスジェンダーに関する相談の活動に従事している。トランスジェンダー生活社と北京LGBTセンターでボランティアをしている。

第二期・上 第三のジェンダーのトランス――非二元的なジェンダー区分
1月22日
 方羽然:トランスジェンダーの第三のジェンダーのパンセクシュアル。本当に男と女だけなのか? 何故に男と女なのか~。

第二期・下 《陰道欲言》 (《ヴァギナ・モノローグス》の中国版の一つ) から、トランスジェンダー女性と就職差別を語る
 然然:トランスジェンダー女性で、ホルモン剤を服用して3年。蘇州LES GO公益小組(豆瓣微博)のメンバーとして、蘇州とその周辺のフェミニズム運動とLGBTグループの発展と交流に尽力している。2015年と2016年に《陰道欲言》の編集と演出をする。2015年には、その中の〈トランスジェンダー〉の脚本を書いて出演もし、2016年にはその中の〈就職差別〉の脚本を書いて出演した。

第三期・上 トランスジェンダーの医療における権利侵害事件での権利擁護
 雪小霖:調香師、トランスジェンダー女性。「トランスジェンダー危機援助と相談公益グループ」(=後述の「トランスジェンダーシェルター」を運営しているグループであろう)の創始者・運営者として、トランスジェンダーのための緊急保護やフレンドリーな医療のリソースの提案をしたり、トランスジェンダーの法律上の性別変更の提案などをするサービスプロジェクトをおこなっている。

第四期 下 トランスジェンダーの婚姻・子ども・父母家庭
 A哥:「同性愛者の親と友人の会(同性恋親友会)」の中核的ボランティアで、トランスジェンダーセンターの中核メンバーの1人で、レインボー医療(彩虹医療[LGBTiBaby])創始者。トランスジェンダー男性(FtM)。

第五期 学校はいかにしてトランスジェンダーフレンドリーな政策を発表するか
 絲絲:2014年に性別適合手術をし、証書類も変更した。トランスジェンダーキリスト教徒で、《陰道説》(《ヴァギナ・モノローグス》の中国版の一つ)の出演者。新浪ブログは、丝丝公主(http://blog.sina.com.cn/investigatecosmos)。2015年に整形医療で事故にあい、左目の末梢神経が壊死。弁護士を頼んで、数か月後、示談で解決。

第三期・下 トランスジェンダー男性と服薬の安全
 Top:トランスジェンダー男性。今年4月からホルモンの服用を開始。今月中旬、兄弟(=トランスジェンダー男性を指す思われる)微信グループを設立した。その目的は、第一にみんなを集めること、第二に、市場の薬品は偽薬が氾濫していて、価格もばらばらなので、みんなに薬の正確な価格を知らせて、だまされないようにすること。

第四期・上 トランスジェンダー男性・トランスジェンダー女性の手術紹介
 Hitomi:トランスジェンダー男性。北京LGBTセンターのトランスジェンダープロジェクトのコーディネーター。主な活動はトランスジェンダーホットライン。2016年には合計170件の相談を受けた。

ただし、「第一期・上」に関しては、その後の予告では、「フェミニストトランスジェンダーのジェンダー宣言」というタイトルになっており、以下のような文言が書かれている(9)

私たちトランスジェンダーは、性別を間違って生まれたのではない
「セックス(生理性別)」は、生まれつきではなく、人為的な設定である
間違っているのは、粗暴な性別指定制度である

私たちトランスジェンダーの外見は、誰にも判定される必要はない
人の身体は多元的で美しいものだ
強壮さや繊細さは、性別とは無関係だ

私たちトランスジェンダーは、性別を鑑定される必要はない
性別は生まれつきのものではなく、人が選択するものだ
すべての人は、自分に適合した性別を選択する権利がある

トランスジェンダーは、性別のステロタイプなイメージの再生産を拒否する
トランスジェンダー女性は、必ずしもセクシーで美しくなくてもよい
トランスジェンダー男性は、異性愛男性の女性蔑視を基準にする必要はない

私たちトランスジェンダーは、手術をしたか否かで判定することを拒否する
人の身体は性別とは関係ない
身体の改変の有無とジェンダーアイデンティティとは関係がない

私たちはトランスジェンダーだ‥‥

そして、当日のテーマについても若干変更されて、「クィアフェミニズムをテーマにし、フェミニズムを基本的なジェンダー理論として基礎に置いて、2人のフェミニストトランスジェンダーレズビアンが参加者に語る自らの生活体験と観点によって、トランスジェンダーのジェンダー宣言をし、あわせて、各自の菜食主義観についても討論する」となっている。

(2)広州以外にも広がる活動

2017年3月25日には、トランスジェンダーセンターと武漢同行同志センターとの共催で「トランスジェンダー集会+トランスジェンダー互助団準備会」というものがおこなわれている。「トランスジェンダー互助団(跨性别互助团)」とは、武漢同行同志センターに属する、「Trance for Trance」をモットーにしたトランスジェンダーどうしの互助団体だということだ(10)

さらに、4月29日には、トランスジェンダーセンター深圳分部を設立した。トランスジェンダーセンターが国内に設立した初の分部である。Agender(エイジェンダー)パンセクシュアルのVybeさんが執行主任を担当しているという。

その頃すでに、トランスジェンダーセンターは、広州・寧波・成都・武漢・東莞などの都市で公衆に対してトランスジェンダーの経験を伝え、広州・長沙・武漢などの都市の大学と中学(=日本で言う中学と高校の両方を含めた語)の教室でトランスジェンダーの経験を伝えていた(11)

(3)トランスジェンダーに対するDVについての取り組み

2017年5月、トランスジェンダーセンターは、反DVグループ(反家暴小組、Anti-domestic Violence Groupe)を設立する準備を開始した(12)

トランスジェンダーホットラインも、月~金の15:00~17:30に設けた(13)

トランスジェンダーセンターの考えでは、大陸のトランスジェンダーの直面している最も直接的で、最も深刻な暴力は、家庭内暴力、とくに未成年や経済的に独立していないトランスジェンダーの人々の身に起こる家庭内暴力であるという。「最も深刻」だというのは、暴力が発生したとき、しばしば以下の3つの状況に直面するからだ。
(1)家族に殺すと脅される/殺される。
(2)家族に監禁される。
(3)家族に家から追い出される――この場合、追い出されたトランスジェンダーは、いい就職の機会がみつからなければ、自殺する可能性もある。

2016年8月~2017年5月の10ヶ月間にトランスジェンダーセンターがぶつかった11件のトランスジェンダーDV事件のうち、
5件は、トランスジェンダーの未成年者に対するもので、
5件は、当事者が自殺を試みており、
1件は、殺すと脅され、
1件は、殺人未遂であり、
10件は、家族が経済的サポートをやめた後の就職問題と関係しており、
2件は、明白な就職差別と関係しており、
1件は、[この報告が書かれた]昨日(5月29日)起きた。

こうした状況に対して、トランスジェンダーセンターの活動家のh.cさんとL.xさんは、トランスジェンダーセンター反DVグループを設立して、トランスジェンダーをDVやDVの脅しから解放されるよう援助することを決めた。グループ長の一人のL.xさん自身が、典型的なトランスジェンダーによるDV被害者であり、さらに就職問題と就職差別に遭遇している。

L.xさん(17歳、トランスジェンダー女性、高校生)――学校をやめさせられ、差別によって就職もできない

L.xさんは、家族にカミングアウトしたら、家族によって強制的に学校をやめさせられた。L.xさんは、仕事を探しに広州に来て、14歳のトランスジェンダー女性のCZさん(現在家族に監禁されている)と知り合って、トランスジェンダーセンターを紹介された。L.xの仕事を見つけなければならない圧力を緩和するために、センターは、L.xさんにセンターでアルバイトをしながら仕事を探してもらっている。

L.xさんは、CZさんが家族に監禁されているのを知った後、すぐに応急グループを作って、CZさんに関する情報を積極的に探し集めた。このグループがトランスジェンダーセンターの反DVグループの前身である。

L.xは、センターで仕事をしながら(ホットラインの応対、組織活動、反DV救援)、仕事を探していると、フルタイムの仕事が見つかり、面接試験も通った。

しかし、出勤初日に、経営者に身分証のコピーを提出するよう求められた。L.xさんの身分証の性別は元のままだったため、性差別にあい、経営者にすぐ解雇された。

現行の規定とL.xさんの現状では、L.xさんは彼女の身分証の性別を改めるのはほとんど不可能である(L.xさんの外観は、明らかに社会の主流が理解する女性の外観である)。また、高校を中退していて、未成年であるので、L.xさんに主流の社会で仕事を見つけることは至難の業であり、またあらゆるところで性差別にあう(14)

芳さん(14歳、トランスジェンダー女性、中学生)――暴力を振るわれ、家から追い出され、友人の家に身を寄せてアルバイト

また、14歳の中学生のトランスジェンダー女性の芳さんの場合は、さらに困難な状況だった。芳さんは、勇気を出して母親にカミングアウトした。しかし、その後、母親は、たえず芳さんを「変態」と罵るようになった。3か月後には父親もそのことを知り、芳さんを殴るようになった。芳さんは、ほとんど窒息するまで首を絞められ、芳さんの助けを求める声を聞いた隣の家の人が駆けつけて助けられたこともあった。芳さんの父母は「私にはあんたのような子はいない」と言って、わずか14歳の芳さんを家から追い出した。

芳さんがトランスジェンダーセンターに来たが、しばらくすると父母が連れて帰った。トランスジェンダーセンターのh.cさんは、その際に父母に理解してもらうようにしたが、芳さんが家に帰ると、芳さんはまた父親に暴力を振るわれて、追い出されたので、芳さんは他の都市の友人のところに行くしかなかった。h.cさんは、芳さんに弁護士を付けて生活費を父母に出させることも考えたが、芳さんは、自分の父母と裁判をすることに同意しなかった。芳さんはあちこちを転々として、現在は福建の友人の家に間借りして、昼はアルバイトをして生活費を稼いでいる。

最近もまた家から追い出された中学生が2人来たが、その2人も父母を訴えることを拒否した。すなわち、「父母が子どもを殺してしまおうとしても、子どもは肉親の情ゆえに父母を訴えたくない」という情況があるという。だから、h.cさんは、「トランスジェンダー児童反DV」活動を推進しようと固く決意したという。h.cさんの構想では、この反DVプロジェクトは、緊急の救助だけでなく、法律意識の養成も含むもので、トランスジェンダーの児童に自分の正当な権利を擁護することを理解してもらうものにしたいという。

いったん家から追い出されて、もし援助が得られなかったら、トランスジェンダーの児童はあちこちを流浪するしかなく、たとえトランスジェンダーのコミュニティの援助が得られても、小さな子は、児童労働をして自らを養うしかない。社会的差別があるから、たとえ成人で卒業証書を持っていても、きちんとした安定した仕事は見つけにくいのである。h.cさんは、トランスジェンダーの子どもが「安全」に、「尊厳をもって」成長できるようにしたいと思っている(15)

さて、2017年8月末の時点での累計をみると、さらに活動が積み重ねられるとともに、DVの深刻さや未成年者に対するDVの問題が明らかになっている。

直接または間接に接触したトランスジェンダーのDV事件は、のべ26人であり、そのうちのべ11人がトランスジェンダーの未成年者に対するものであり、のべ8人はトランスジェンダーが自殺しようとした(そのうちのべ4人はトランスジェンダーの未成年者)、のべ3人は保護者がトランスジェンダーを殺すと脅しており、1人は、保護者のトランスジェンダーの息子に対する殺人未遂であった(16)

もちろんトランスジェンダーセンターは、DVだけに反対しているのでも、トランスジェンダーに対する暴力にだけ反対しているのでもない。

2016年6月12日のオーランド銃乱射事件の際には、トランスジェンダーセンターのメンバーがそれぞれ「Transgenders Stand with Orlando」と書いた紙を持っている写真を公表して、連帯を表明している☆。(17)

(4)センターの現在――「トランスジェンダー」の定義と3つのグループ

「トランスジェンダー」の定義

現在のトランスジェンダーセンターの「トランスジェンダー」の定義は、広義かつ開放的な「トランスジェンダー(英語のTrans)」であり、過去の狭義の「トランスジェンダー(英語のTransgender)」ではないという。

広義かつ開放的な「トランスジェンダー」とは、個人のジェンダーアイデンティティと社会から貼られたレッテルとが一致しないことだという。すなわち、伝統的な意味であるトランスジェンダー女性(Trans women)、トランスジェンダー男性(Trans men)のほかに、ジェンダー・ノンバイナリー(Gender non-binary)、ジェンダー・ノンコンフォーミング(Gender non-conforming)、ジェンダークィア(Gender queer)などを含み、ジェンダーの自主的定義権を認め、貼られたジェンダーのレッテルを認めないすべての人々を開放的に包括し受け入れる。広義で開放的な「トランスジェンダー」には、限りなく絶えず添加されるジェンダーのレッテルが含まれる、とする。

現在、トランスジェンダーセンターは、3つのグループに分かれて、以下のような活動をしているようだ。

服務グループ[小組]
 トランスジェンダーたちとその親戚・友人に関心を寄せ、リソースにつなぎ、問題に関与する行動をおこなう。現在の服務グループが関心を払っているテーマは主に反DVであるが、将来はその他のテーマにも取り組んでいく。

トランスジェンダーセンターの反DV事件に対応するときの主な手法は、以下のようなものだという:トランスジェンダーの当事者に対して安全と解決のための提案をし、全国のトランスジェンダーたちのネットワークと全国のLGBT組織のネットワークを使って、さまざまな都市の当事者に対して実地のサポートをし、弁護士、ソーシャルワーク団体、シェルター、全国の反DV民間団体につなぐなど。

活動グループ
 トランスジェンダーの人々とトランスジェンダーではない人々とをつなぎ、トランスジェンダーの人々とトランスジェンダーではない公衆との溝をなくし、差別のない未来を推進する。活動グループは、活動の設計、準備、挙行、記録に責任を持つ。活動にはオンラインの活動とオフラインの活動がある。

宣伝唱導グループ
 トランスジェンダーセンターおよびトランスジェンダーたち(トランスジェンダーとその親戚・友人・パートナー)、トランスジェンダーに関する問題を人々に知らせ、トランスジェンダーセンター‐トランスジェンダーたち‐社会の間の交流を促進し、トランスジェンダーに関する議題を推進し、社会文化と法律制度の改善を促進して、トランスジェンダーたちの生活・仕事の環境と質を改善する。

トランスジェンダーセンターの現在の宣伝唱導の主な手法は、セルフメディアでの宣伝唱導、微信による教室、オフライン活動、トランスジェンダーの経験の記録と伝達、相談報告、調査報告、研究報告、フォーラムと交流会に参加するなどである。

8月末に、この三つのグループにボランティアを募集している。服務グループに3人、活動グループに4人、宣伝唱導グループに4人募集しているのだから、いっそう活動を広げていこうということであろう(18)

(5)h.cさんの話

以下では、トランスジェンダーセンターの創設者のh.cさんがセンターを創設するまでと、創設後の経験について見てみたい(19)

トランスジェンダーセンター創設まで

h.cさんは、小さいころ、家族から「人妖(化け物。ふたなり、ゲイボーイの意味もある)」だと呼ばれてきた。h.cさんは、無理やり男らしい軍人のような格好をさせられ、頭髪が少し伸びたら無理やり刈られた。

大学に入って、はじめて頭髪の自主権を得て、他人にも女子学生だと見られるようになって、言い表せないほど気が晴れたという。

h.cさんは、友人の紹介で学校のジェンダー課程の修習を始めるとともに、フェミニズム運動に参加した。演劇(=中国版《ヴァギナ・モノローグス》と推察される)を手段とする、あるジェンダー教育機構の中で、h.cさんは、暴力の被害女性に接し、レズビアンに接し、多くの力のあるフェミニストに接した。彼女は、自分がレズビアンという身分に強烈な帰属感を持っていることを発見し、だんだんと自分を理解していった(20)

h.cさんとフェミニズム機構は、暴力の被害女性を取材して、反DVの演劇の稽古をし、いくつかの学校にG Spotグループ(G点小組。広州の大学でジェンダー/セクシュアリティ問題に取り組むグループ(21))を設立して、LBTIとフェミニズムの活動に集中した(22)

トランスジェンダーセンター創設――多くのトランスジェンダーの結集、弾圧

ある休業中の実習の後、h.cさんはトランスジェンダーセンターを設立する決意を固めた。h.cさんによると、そのときは「多くのトランスジェンダーの人が周囲の都市から駆けつけてきて、ついにトランスジェンダーの機構ができた。私が知っている多くのトランスジェンダーが、私に『あなたは私が初めて知り合いになったトランスジェンダーだ』と言ってくれた」。

その一方、ずっとおとなしかった大学の補導員がh.cさんに訓話をしに来て、彼女のますます女性化してきた外観と「道徳に背いた」思想とを嘲笑した。大学も、ジェンダーグループの活動を弾圧し、h.cさんを危険人物とみなしたという。

出会ったトランスジェンダーの悩み――ホルモン剤や手術のこと

トランスジェンダーセンターを創設したのち、h.cさんはますます多くのトランスジェンダーの友人と知り合いになった。

その第1回目の活動で、h.cさんは、ホルモンによって性徴を変えようとしているトランスジェンダーに出会った。ネットの掲示板は、トランスジェンダーが多く集まるところで、ホルモン使用についての書き込みが多いが、どのように薬を飲んだらいいのかがみんなが非常に関心を持っている問題である。各自が使っている薬はさまざまで、用量もさまざまであり、国内には何の規範もない。

また、性別適合手術も、衛生部の「性転換手術管理規範(試行)」は、性転換者は未婚で、手術前に心理的・精神的治療を1年以上続けて効果がなくて、性転換への要求少なくとも5年以上持続し、思い直さないなどの条件が必須であると規定している。h.cさんは、中国のこうした規定は、実際にはきわめて不合理だと指摘する。「当時、ある友人を心理の医者に治療に行かせたが、医者はどのように治療したらわからないと言った。なぜなら、医者たちの知識の範囲では、それは全く病気ではないからだ」。実際、WHOの呼びかけによって、トランスジェンダーは、世界各地の精神病の分類から取り消されつつある。また、「性転換手術管理規範(試行)」は、心理学的に性的指向が異性であることの証明も必要としているが、「これは、制度面から、トランスジェンダーの同性愛の存在を許さないことである」。しかし、トランスジェンダーの中には、h.cさんのようなトランスジェンダーレズビアンがたくさんいる☆。

このように性別適合手術が困難であるため、2017年4月5日、17歳のトランスジェンダー女性の凌雪が3月31日、自ら手術を試みた。しかし失敗し、中山大学付属第六病院で緊急手術をしたのだが、その時の写真や資料を同病院が本人に無断で微信で公開、各マスコミも転載したという事件が起きた。それに対して、トランスジェンダーセンターは厳しく抗議している(23)

2 トランスチャイナ(環跨中国、TRNASCHINA)

2016年6月9日には、「トランスチャイナ(環跨中国、TRNASCHINA)」(http://transchina.org.cn/)という団体が設立された。

その呼びかけ人には、Joanne Leung (トランスジェンダーレズビアン、香港トランスジェンダーリソースセンター主席)とCさん(前回ご紹介したトランスジェンダー就職差別訴訟の原告)とが共同でなっている。

その趣旨などについては、以下のように書かれている。
・趣旨――中国のそれぞれの地区でトランスジェンダーの声を聞こえるようにすること。
・目的――映像・物語・事例などの方法でトランスジェンダーの経験を分かち合い、それによって一人ひとりが生命を再認識して尊重し、より多くの人の生活をより良くする。
・活動内容――巡回講演、話のシェアリング、ドキュメンタリー撮影、個人の経験の収集、各地の組織と現地のトランスジェンダーのゲストとを結びつなげる、など。
・組織の名前の意味――「環跨」の二文字は、中国の異なる地区をまたがり越える、という意味だが、それと同時に、ここでの「跨」という字は「トランスジェンダー」をも意味する。英語名称の中の「Trans」も同様に、「またがり越える」という意味と「トランスジェンダー」という意味に解される(24)

具体的活動としては、ウェブサイトを見るかぎり、以下のような講演が中心のようである。

環跨・北京站第一講
・日時:2016年11月12日
・場所:706青年空間
・主催:環跨中国
・共催:706青年空間、同語、北京LGBTセンター、レインボー暴力終結所
・ゲスト
 超小米:流性人
 絲絲:トランスジェンダー女性、キリスト教徒、《陰道説》出演者(25)

環跨・北京站第二講
・日時:2016年11月16日
・場所:北京LGBTセンター
・ゲスト
 Bobbie Huthaart:トランスジェンダー
 Cさん
 小妖:バイセクシュアル、北京LGBTセンタートランスジェンダープロジェクト主管、ソーシャルワーカー、LGBTの精神領域の完全な非病理化に尽力(26)

環跨中国・全国巡講第二站-上海
・日時:2016年6月25日
・共催:上海女愛、上海青艾
・ゲスト
 Joanne
 Cさん
 然然(上海で活動している姉妹[MtFの意?]) (27)

環跨・蘇州站
・日時:2017年1月16日 公益と私、1月17日 ジェンダーとは何か
・ゲスト
 卡醤
 天外

杭州站
ボランティア研修
・日時:2017年1月20日
・場所:杭州LGBTセンター
公衆に対する巡講
・日時:2017年1月21日
・場所:THE OOPENコーヒーハウス

さらに予定として以下のような日程がウェブサイトに書かれている。
2017年1月 南京、蘇州、杭州、上海
2017年2月 成都、長沙
2017年3月 広州、昆明、大理
各地の協力組織:南京self公益小組、蘇州LESGO公益小組、向陽花開-杭州LGBT、上海女愛、成都les愛心小組、成都米尓克[ミルク]、平等家庭ネット、トランスジェンダーセンター、雲南同話舎、大理エイズ防止相談センター(28)

上の記載からは、トランスチャイナが各地のLGBT団体と協力して巡回公演をすすめていることがわかる。予定された集会の具体的内容についても、広州站についてはわかる。

環跨・広州站│一連三場:
・日時
 2017年3月8日 トランスジェンダー優先の場
 2017年3月9日 公衆の場
 2017年3月10日 大学の場
・主催:トランスチャイナ、トランスジェンダーセンター
・共催:中山大学レインボーグループ(彩虹小組)
・テーマ:トランスジェンダーの権益、どのようにトランスジェンダーと付き合うか
・ゲスト:
 Cさん/トランスジェンダー男性
 熊猫/貴州黔程工作組運営主管。トランスジェンダーの仲間。
 狐狸/向陽花開-杭州LGBTプロジェクト主管。トランスジェンダーの友人。
 h.c/トランスジェンダーレズビアン。トランスジェンダーセンター執行主任。
 A哥/トランスジェンダー男性。トランスジェンダーセンターの中核メンバーの一人。レインボー医療(彩虹医療[LGBTiBaby])創始者。(29)

厦門站
 上記の予定には書かれていないが、2017年3月におこなわれた厦門站についても、以下のような内容が報告されている(30)
・ゲストは、貴州黔程の運営主管・熊猫さんで、トランスジェンダーのパートナーである。熊猫さんの話によって、みんなはトランスジェンダーの異性愛のパートナーは、実は同性愛のパートナーとは異なることを理解した。
・部屋の中が人でいっぱいだった。
・討論は熱の入ったものになり、アメリカでとくにホットな話題になっているトランスジェンダーのトイレの問題にも議論は及んだという。

なお、現在トランスチャイナのウェブサイトには、巡講の足跡として(巡讲足迹)、北京、南京、蘇州、上海、杭州、長沙、厦門、広州、成都、貴陽、昆明、大理の12都市が書かれている。

3 トランスジェンダーシェルター

2016年12月、霖霖(雪小霖)さんは「トランスジェンダーシェルター」を設立した。

香港のトランスジェンダーリソースセンター主席のJoanneさんが、2017年7月、霖霖さんにインタビューをしているので、それをご紹介しよう(31)

トランスジェンダーシェルターは、この時点で、すでに計6人に住む場所を提供したという。

Joanneさんが「なぜトランスジェンダーシェルターなのか?」と質問したのに対して、霖霖さんは「トランスジェンダーがDVや就職差別を受けたとき、しばらく部屋を借りる金がなかったり、臨時に過ごす場所がなかったりするから」だと答えている。

「なぜシェルターを開設したのか?」という質問に対しては、霖霖さんは、当時、何人かに家から追い出されて、自分のところに臨時に住まわせてくれと言われて、何人かを助けたので、ぜひそうした場所が必要だと感じた、と述べている。また、ロサンゼルスLGBTセンターや台湾にはシェルターがあるが、国内でもトランスジェンダー、とくにMtFに対するDVが特に深刻だということも述べている。

霖霖さんによると、DVは、具体的には、家でカミングアウトしたときに、身体的な暴力や言語による暴力を受ける場合が多い。ホルモン剤を捨てられたり、むりやり頭髪を刈られたりすることもあるという。殴られることは非常によくあり、最後には家から追い出されたり、家の中に軟禁されて、夜、こっそり逃げ出したりするそうだ。また、仕事を探すとき、自分の性別と身分証の性別が一致していないために、壁にぶつかり、金もなく、家にも頼れないので、しばらく霖霖さんのところで過ごす人もいる。

彼/彼女たちは、一般に1カ月前後滞在し、霖霖さんは、彼/彼女に仕事を探すように促す。

しかし、シェルターの運営資金は不足しており、現在の資金では3、4か月しか維持できないという。

霖霖さんは、現在、それぞれの都市にレズビアンかゲイの民間団体があるが、トランスジェンダーのグループは非常に少ないことや、トランスジェンダーはとくに弱い立場に置かれており、セクシュアル・マイノリティの中でもDVを受ける比率が高いということを訴えている。

トランスジェンダーシェルターは、クラウドファンディングなどをして、多くの人から家賃や設備の費用を集めているが(32)、2017年2月末以後の毎月の残金を見ると、1万1786元→8919元→1万0005.92元→1万1397.5元→8632.28元→3201.48元→5789.08元となっている(33)

現在、「海外の勢力の資金援助を受けられない中で、私たちはずっと国内(少し海外の友人)の人々の中から資金援助を得ているが、9か月運営してきて、寄付が可能なメンバーはすでに1回は寄付をしていただいている(苦笑)」(34)という情況のようだ。

4 トランスジェンダー生活社

2015年1月24日には、16人のトランスジェンダーによって「トランスジェンダー生活社」というものも結成されている(サイト微博)。

トランスジェンダー生活社は「ジェンダー教育・サービス機構」であるとして、以下の2つの目標を掲げている。
・トランスジェンダーの健康と法律の知識を伝え、公衆にトランスジェンダーに対する理解を増進させることによって、トランスジェンダーがフレンドリーに対応されることを促進する。
・多くの性に対するプロジェクトを提供し、トランスジェンダーの積極的な自己認識を援助し、トランスジェンダーの心理と生理の両方の健康水準を向上させる。

また、「生活社は、同時に、トランスジェンダーたちに、多くのサービスをおこなう。その中には、証明書の性別の変更の援助、職場の研修、社会に溶け込むための相談などによって、トランスジェンダーがよりよく社会に適応できるよう援助する」、「私たちは、トランスジェンダーにたゆみなく貢献し、社会大衆のトランスジェンダーに対する誤った認識を是正することによって、国内のトランスジェンダーの生活の境遇を改善することを望む」とも述べている(35)

ただ、ネット上での発信を見るかぎり、今のところ、やっていることとして具体的に確認できるのは、2015年6月18日から「トランスジェンダー生活」という微信(メッセンジャーアプリ。「LINE」に近い)の発信することである。開始以来、一年間に157号を出し、376篇の文章を掲載したとのことである(36)

また、ウェブサイトにも、トランスジェンダーについての認識を深めるための文章などを掲載している。

5 他のLGBT団体でのトランスジェンダー問題についての取り組み

また、他のLGBT団体でのトランスジェンダー問題についての取り組みも積極的になっている。先述のようにトランスジェンダーセンターやトランスチャイナとイベントを共催するほかに、主要なLGBT団体も、以下のような取り組みをしている。

(1)北京LGBTセンター

2015年11月24日、北京LGBTセンターは、「トランスジェンダーホットライン」を開始した。

「トランスジェンダーホットライン」とは、単に電話を一本引いただけではなく、インターネット上で、QQ、スカイプ、微信のどれでもOKで、1人60分相談できる。北京LGBTセンターの相談室でも、1人90分相談を受け付ける(37)

2017年2月には、「トランスジェンダープロジェクト」担当者を募集している。

正確には「北京LGBTセンター性別無界プロジェクト」担当者で、条件としてトランスジェンダーであることが必須だが、「この職位はフルタイムの仕事であり、毎週の労働時間は40時間である」というのだから、相当力を入れていると言えよう。

また、その職責については、「性別無界プロジェクトの実習生とボランティアを管理し、本プロジェクトの実習生とボランティアの研修に責任を持ち、激励と評価をする」とも記されており、担当者一人が作業をするような体制ではない(38)

実際、9月には「トランスジェンダー部門実習助手」を募集している。この助手もトランスジェンダーであることが条件の一つだが、「毎週の労働時間が20時間以上」であり、かなりの時間をトランスジェンダーのための取り組みに使うことになる(39)

(2)同語

「同語」は、トランスジェンダーに対する就職差別訴訟を起こしたCさんを金銭的に支援していることは前回ご紹介したが、2017年4月9日 (14:00-17:00)にこの件についての「模擬法廷」をおこなった。Cさん、王永梅弁護士、劉明輝弁護士を招いて、北京LGBTセンターとの共催である(40)

「同語」では、2014年12月から、トランスジェンダー(MtF)の文軍さんという人が、運営管理主任をつとめているようだ(41)

中国を代表する上の2つのセクシュアル・マイノリティ組織が、トランスジェンダーの問題を位置づけているということは、重要なように思う。

おわりに

以上見てきたように、2016年ごろ、中国ではトランスジェンダーの独立した団体が4団体、設立された。トランスジェンダーセンターが最も活動が活発のように見えるが、トランスチャイナもさまざまな都市で活動しており、他の団体も、何らかの形で定期的に活動をしている。

トランスジェンダーが直面する問題として、DV(とくに子どもに対するDV)が非常に深刻な問題としてとらえられている。また、他にもホルモン剤や性別適合手術など、トランスジェンダー特有の重要な問題がある。

前回ご紹介したCさんの経験にもあるように、トランスジェンダーはセクシュアル・マイノリティの中でも孤立しがちだが、トランスチャイナの巡回公演活動に見られるように、トランスジェンダー団体と他のLGBT団体との連携も進みつつある。また、北京LGBTセンターなどはトランスジェンダー問題に力を入れていると言える。

また、フェミニストであるトランスジェンダーの活動も目につく。中国版《ヴァギナ・モノローグス》上演運動と結びついている場合があることも、その一つの現れだろう。

ただ、トランスジェンダー団体は、政策提言活動のようなことは、まだあまりおこなっていないように見える。

また、2016年6月に「境外NGO境内活動管理法」が制定され、国外のNGOからの資金獲得が困難になっていることもあり、トランスジェンダーシェルターのような資金を要する活動に関しては、資金不足の問題がついて回っている。

なお、《有性無別(Gender in Bias Out)》というトランスジェンダーに取材したドキュメンタリー作品が制作されており、その中には、ヴァギナ・モノローグスの中国版の一つである《陰道説》のトランスジェンダー女性の出演者である絲絲、トランスジェンダーの調香師である雪小霖、トランスジェンダーセンターのh.cが登場している(「跨性别纪录片:《有性无别》上下集+跨性别中心单独版 」2016-12-23 跨性别中心)。

(1) F女権小組とは、「広州の最も酷(クール)で婊(bitch)なフェミニストグループ」を自称しており、「FとはFeministであり、FとはFuckである」という(F女权小组「广州最酷婊的女权小组要招新啦~」女权之声的微博2016年9月12日)。F女権小組は、最初は、2015年10月に、肖美麗さんがメンバーを募集して作ったようだ。その際には、「F女権小組」は「主に演劇と文化活動をつうじて、ジェンダー理念を伝達し、自我の成長といささかの変革の実現を望むフェミニズムグループである」(「一个神秘的女权小组开始招人啦! 」2015-10-22 F女权小组 削美丽)と述べられおり、ヴァギナ・モノローグスの中国版《陰道之道》の上演活動をしたり、広州の地下鉄に痴漢に反対する公益広告を出す運動をおこなったりしてきた(本ブログの記事「中国版《ヴァギナ・モノローグス》上演運動の展開――2003年~2016年――」「広州地下鉄にクラウドファンディングによって痴漢反対ポスターを掲示する試みなど――2016年の女性たちの公共交通での痴漢反対運動」など参照)。
(2)跨性别中心招人啦~坐标广州,这可能是最有趣的跨性别组织」跨性别中心2016年5月12日 15:50。F女権小組の中核メンバーであるh.cらが設立したという点については、跨性别中心的微博2016-10-18 03:17参照。
(3)新年上线|跨性别之声:系列深入有观点的线上分享」2017-01-01 h.c. 跨性别中心(現在閲覧不能)、「跨性别之声 | 第一期·上:女权跨性别者之性别宣言」2017-01-11 h.c 猫 跨性别中心。
(4)跨性别中心招人啦~坐标广州,这可能是最有趣的跨性别组织」跨性别中心2016年5月12日 15:50。
(5)派对 | 哇哇哇!广州跨性别大见面!! 」2016-06-01 跨性别中心
(6)周五定期活动·明晚:跨性别主题轻游戏之夜 |广州」跨性别中心2017-03-02 19:22:38
(7)广州|培训如何为性少数提供友好的心理咨询」2016-10-21 跨性别中心
(8)新年上线|跨性别之声:系列深入有观点的线上分享」2017-01-01 h.c. 跨性别中心(現在閲覧不能)、「今晚!跨性别之声 | 第一期·下:出柜者的必修课」2017-01-15 h.c 猫 跨性别中心。
(9)跨性别之声 | 第一期·上:女权跨性别者之性别宣言」2017-01-11 h.c 猫 跨性别中心。
(10)武汉·周六 | 跨性别聚会+跨性别互助团预备会 」2017-03-23 Trans Center 跨性别中心
(11)以上は、「跨性别中心深圳分部简介」跨性别中心2017-05-03 17:32:39
(12)跨性别中心反家暴小组招募志愿者啦!截止:5月26日」跨性别中心2017-05-24 13:49:29
(13)跨性别中心反家暴」跨性别中心2017-06-2317:33:50
(14)支持我们!我们在怼针对跨性别人士的最严重暴力!」2017-05-30 TransCenter 跨性别中心
(15)小歪「一个跨性别女权主义者的反家暴之道|国际跨性别纪念日」破土工作室2016-11-20
(16) h.c「跨性别中心三小组招志愿者,加入我们吗!」跨性别中心2017-08-29 12:30:37
(17)全国跨性别者拍照撑奥兰多 反对针对性少数的暴力」2016-06-14 Trans Center 跨性别中心(現在閲覧不能)
(18) h.c「跨性别中心三小组招志愿者,加入我们吗!」跨性别中心2017-08-29 12:30:37
(19)小歪「一个跨性别女权主义者的反家暴之道|国际跨性别纪念日」破土工作室2016-11-20
(20)この点について、別の資料では、h.cさんは、2015年6月にシスジェンダーの反DV活動に参加して、性/別(≒ジェンダー/セクシュアリティ)の民間活動に参加する人生を歩むようになったと書かれている(「约起来|其实我很讨厌“跨性别”这个词」豆瓣同城)。なお、中国における《ヴァギナ・モノローグス》上演に関しては、本ブログの記事「中国版《ヴァギナ・モノローグス》上演運動の展開――2003年~2016年――」とともに、村田晶子・弓削尚子編『なぜジェンダー教育を大学でおこなうのか 日本と海外との比較から考える』(青弓社 2017年)の第3章の柯倩婷(熱田敬子訳)「グループを育て、社会とつなげる――大学でのジェンダー教育を活性化する新しい試み」、熱田敬子「『まんこ語り』が育むフェミニズム・アクション」参照のこと。
(21)「大学のジェンダー/セクシュアリティグループであり、半開放的な場でフェミニズムとジェンダー多元のテーマを研究し、それと関連する一連のオフライン活動と行動によるアドボカシーをおこなう」(「G点×女友组:拉拉初次性体验故事有酬征稿(截至4.29)」@兔子走丢了 2016-04-22 10:33) とか、「広州市の大学城に出没する神出鬼没のジェンダー公正グループであり、不定期にオフライン活動をする」(「G点×Yummy×女友组|韦婷婷双性恋微课」2016-01-06 GSpot小组)と自らを紹介している。上の2つの注記にも書かれているように、女友組(広州のレズビアングループ)とともに活動をしている。また、広州大学で、学長にトイレの男女比率の是正を求める手紙を書いて、要求を実現している(「女权青年在行动:一封信,让男厕变女厕!」新媒体女性的博客2016-05-25 16:21:37)。
(22)この点について、別の資料では、h.cさんは、2015年末に同じ学校の学生と、大学に性/別グループを設立して、シスジェンダーのテーマのほかに、LGBTI+のテーマに関心を持つようになり、ジェンダーアイデンティティを「クィア」から「女性」に変え、自分を「トランスジェンダーレズビアン」と考えるようになったと書かれている(「约起来|其实我很讨厌“跨性别”这个词」豆瓣同城)。
(23) h.c&夜子(2017-04-06)「愤怒!中山六院擅曝手术照片谑辱跨性别!」跨性别中心2017-04-07 00:49::07
(24)关于环跨中国」环跨中国2016年6月9日
(25)环跨中国北京站第一讲 」环跨中国2016年11月10日。
(26)环跨中国巡讲北京站第二讲 」环跨中国2016年11月11日。
(27)[环跨中国]全国巡讲第二站-上海总结 」2016-06-29 C先生 贵州黔程C先生。
(28)以上は、「关于环跨中国」ウェブサイトより。
(29)环跨·广州站 | 一连三场:跨性别权益&如何与跨性别相处」跨性别中心2017-03-06 19:10:28
(30)关于环跨中国」ウェブサイトより。
(31)【影片】【環跨中國】南京站:跨性別避難所創辦人霖霖專訪|跨性別資源中心」G點電視2017-07-08
(32)【众筹】跨性别避难所以及危机救助」知乎专栏、「跨性别避难所11月财务公示」知乎专栏。
(33)跨性别危机援助与咨询2017年3月收支明细」知乎专栏、「跨性别危机援助与咨询2017年5月收支明细」知乎专栏、「跨性别危机援助与咨询2017年6月收支明细」知乎专栏、「跨性别危机援助与咨询2017年8月收支明细」知乎专栏。
(34)跨性别危机援助与咨询2017年8月收支明细
(35)About Us」05 12月, 2016
(36)《跨性别生活》一岁了! 」2016-06-18 雨雪霏霏 跨性别生活
(37)北京同志中心的微博2015-12-17 09:56
(38)跨性别项目官员招募 | 成长的烦恼,谁来和我一起面对」2017-02-09 北京同志中心 北京同志中心
(39)北京同志中心的微博9月18日 18:51
(40)模拟法庭|当跨性别遇上就业歧视」2017-04-07 钟灵毓卿 同语
(41)李银河事件 | 跨性别者在中国」南方人物周刊2015-01-03
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トランスジェンダーの就職差別、労働紛争訴訟と人格権訴訟の両方で勝訴

<目次>
はじめに
1 労働人事仲裁委員会の調停は失敗
2 労働人事仲裁委員会の裁定、Cさんの訴えを認めず
3 裁判でCさん勝訴――違法な解雇と認定、トランスジェンダー差別とは認定せず
4 人格権訴訟も起こす
5 この裁判でも Cさん勝訴――平等な就業権を侵害したと認定
6 書面による謝罪は認められず、控訴
7 Cさんのこと――子どもの頃からのいじめ、提訴への無理解、自分の性別への模索
おわりに

はじめに

ここ2年ほど、中国でもトランスジェンダーの運動が活発化している。

まず今回は、トランスジェンダーに対する解雇裁判についてご紹介したい。この裁判は、解雇の違法性と平等な就業権の侵害を認めさせた裁判である。

2015年4月、トランスジェンダー男性(FtM)のCさん(1)は、貴陽慈銘健康診断センター有限公司(以下、慈銘と記す)に就職したが、7日後、もう来なくていいと通知された。

Cさんがその原因を会社に尋ねたら、「男装は、会社の要求に合致しない」と言われた(2)

最初Cさんが会社の人力資源部主任に面接を受けたとき、その主任はCさんを見て、妙な気がして、同性愛者ではないかと思ったという。その主任は、「私たちは健康診断に従事している会社なのに、もし職員が不健康だったら、なんで顧客にサービスできるのか」とも言った。

Cさんはその時の会話を録音していて、のちに裁判で証拠として提出することになるのだが、主任に対して、Cさんは、「私はトランスジェンダーであり、同性愛者ではない。また、絶対に健康に問題はない」と言った。しかし、無駄だった。

1 労働人事仲裁委員会の調停は失敗

2016年3月7日、Cさんは、この件について、貴陽市雲岩区労働人事仲裁委員会に労働仲裁を申請して、慈銘に対して、賃金と賠償金の支払いと公開での謝罪を求めた。14日、Cさんの訴えは受理された(3)

3月30日、調停がおこなわれた。慈銘は、試用期間中の賃金を支払うことには同意したが、公開での謝罪と経済的賠償を拒否したため、調停は失敗に終わった。

レズビアンなどの団体である「同語」の代表の徐玢さんは「セクシュアル・マイノリティの中の、少なからぬ人が就職差別を受けているが、トランスジェンダーの場合はより顕著だ。なぜなら、隠すことが難しいので、いったん見つかったら、解雇される可能性が極めて高いからだ」と述べている(4)

2 労働人事仲裁委員会の裁決も、Cさんの訴え認めず

調停が失敗したので、4月11日、労働人事争議仲裁委員会は、仲裁法廷を開いて審理をおこなった。

慈銘は、Cさんが制服を着なかったことが辞めさせた主な原因であると言った。さらに、Cさんは仕事を学び始めたばかりであり、本当に出勤したと言えるのは二、三日であるとも主張した。

それに対してCさんの弁護士は、制服は、慈銘が支給しなかったことを述べた。また、Cさんはすでに9日間、仕事をしており、試用期間は過ぎていると主張した。そして、慈銘がCさんをやめさせたのは、トランスジェンダーに対する差別であるとして、その証拠になる録音を提出した(5)

しかし、5月9日の労働人事仲裁委員会の裁決は、Cさんの訴えを証拠不十分として退けるものだった。

3 Cさん勝訴――違法な解雇と認定、トランスジェンダー差別とは認定せず

Cさんは、仲裁の結果を不服として、貴陽市雲岩区法院に訴訟を起こし、慈銘に対して7日分の賃金と経済的賠償を求めた。

6月17日、貴陽市雲岩区法院は、この事件を審理した。

慈銘は、Cさんの「試用職員の仕事の評価表」と「労働組合小組の会議の決議」を提出して、それによって、Cさんの仕事ぶりは採用基準に合致していないことを証明しようとした(6)

しかし、Cさんとその弁護士は、会社は、上記の2つの文書を仲裁の際には提出していないことから見て、訴訟が始まった後で捏造した疑いがあると主張して、文書の鑑定を要求した。そのため審理は中断されたが、裁判所が指定した西南政法大学司法鑑定センターでは、文書の真偽は確定できなかった(7)

次の12月14日の審理では、Cさんとその弁護士は、慈銘がCさんをやめさせた手続きが合法であることを主張するために持ち出した「労働組合小組の会議の決議」は、労働組合の構成が違法だから、無効だと指摘した。なぜなら、「『貴州省労働組合条例』の規定によると、労働組合の主席は、会社の人事責任者であってはならないにもかかわらず、慈銘の労働組合主席は、会社の人事責任者の金某である」からだ。

また、Cさんは、「慈銘が提出した証拠は他の従業員の試用期間は2か月であることを示しているというが、私の試用期間の評価表は、明確に試用期間は4日であると書いている。だから、私は辞めされたときには正式の従業員だった」と主張した(8)

さらに、この日の法廷には、「中国反就業差別法(専門家意見稿)」(9)の起草者である中国政法大学・劉小楠教授をCさんが招いて、専門家として証人になってもらった(10)

12月30日、Cさんは、貴陽市雲岩区法院が民事判決書(作成日は12月18日)を受け取った。判決は、慈銘がCさんとの労働関係を解除したのは違法だと認定し、慈銘に対して、Cさんに賃金438元のほか、賠償金1500元を支払うよう命じるもので、Cさんの勝訴だった。

判決は、原告と被告との争点を以下の3点だとした。
(1)双方の労働紛争が起きたのは、試用期間なのか、契約期間なのか?
(2)被告は原告との労働関係を解除したのは、違法か否か?
(3)被告が原告との労働関係を解除したのは、トランスジェンダーという身分に対する就職差別なのか否か?

裁判所は、それぞれの争点に関して、以下のような判断を下した。

(1)労働契約法は、試用期間を決めるためには、双方が書面の労働契約に署名しなければならないと規定している。ところが、慈銘はCと書面で労働契約を締結していないので、本裁判所は、Cは2015年4月21日に慈銘に入職し、労働関係を打ち立てたと認定する。したがって、双方の労働紛争が起きたのは、契約期間内である。

(2)慈銘は「試用期間の職員の仕事の評価表」と「労働組合グループの会議の決議」にもとづいて、Cが一日、無断欠勤したと言っているが、出勤記録を提出していない以上、慈銘が提出した証拠からは、契約が解除可能な状況だったとは認定できない。慈銘は労働契約法の規定に違反してCさんとの労働関係を解除したと言えるのであり、経済補償金の2倍を原告に対して賠償金と経済的補償として支払わなければならない。

(3) Cが提出した録音によると、Cと慈銘の職員の楊某との会話はCがトランスジェンダーであることにも触れている。しかし、楊某は被告の企業の一般職員であり、その言論は企業の意見を代表しているとは言えないので、原告が「被告は原告との労働関係を解除したのは、慈銘のトランスジェンダーという身分に対する差別だ」と主張している点は、認定することができない(11)

勝訴は画期的だが、人事の責任者を「一般職員」とみなしていいのかは疑問だ。

また、原告の弁護士の黄沙さんは、賠償金額についても、「この事件は、企業の法律違反のコストが非常に低いことを示している。だから現在の就職差別の状況が非常によくないのだ」と指摘した(12)

4 人格権訴訟も起こす

Cさんは、今回の訴訟を起こした最初の日から「私は金のためにこの裁判を起こしたのではない」と言ってきた。実際、Cさんは、この訴訟において、終始、被告の会社に謝罪を求めてきた。

Cさんは、もしも会社が「私たちは多元的ジェンダーの人々を差別せず、すべての人の性的指向、ジェンダー表現、ジェンダー・アイデンティティを尊重し、彼/彼女らに平等な就業権を与える」と公に声明したら、訴訟を撤回してもいいと思っていたほどだ。しかし、会社は、今に至るまで、自分が誤りを犯したことや差別の事実を認めていない(13)

だから、2017年2月9日、Cさんは、裁判所に、この事件を一般人格権事件としても審理するよう申請した(14)

なぜ「一般人格権訴訟」にしたのかというと、中国の現行の法律の枠組みには、「就職差別」という訴因がないので、就職差別という権利侵害については、一般人格権紛争として訴えるしかないからだという。「一般人格権」とは、人格の独立、人格の自由、人格の尊厳を主な内容とする人格的利益のことである(15)

2017年4月20日、その裁判の法廷が開かれた。20名あまりの傍聴者が来たが、法廷が狭かったため、傍聴者の半数は法廷の外で待たざるをえなかった(16)

Cさんは、慈銘は平等な就業権と人格の尊厳を侵犯したので、書面での謝罪と慰謝料5万元を支払うように求めた(17)

この日は、王永梅弁護士、劉明輝弁護士(劉明輝弁護士は、中華女子学院法学院教授でもある)が訴訟代理人として出廷した。

それだけでなく、西南財経大学法学院副教授で、国務院とILOのプロジェクトである「中国のILO111号条約実施を促進する専門家委員会」でも専門委員をつとめた何霞さんが、専門家補助人と出廷し、多元的なジェンダーと法律について裁判官に詳しく説明した。

何さんは、まず、「性別アイデンティティ(性別認同)」、「性別表現(性別表達)」などの一般的概念について説明した。そのうえで、「性別」概念というのは、男女両性に限られたものではなく、多元的性別という内容を包括したものであることを指摘した。そして最後に、「性別アイデンティティと性別表現による差別も、性差別にあたる」と述べた。この何さんの証言は、この事件の判決の中に、「労働法」と「就業促進法」の中の性差別禁止に関する条項を適用するための学理的基礎を提供するものだった(18)

裁判では、証人として心理カウンセラーも出廷し、Cさんが仕事を辞めさせられたために、心身に損害をもたらしたことを立証した(19)

その一方、慈銘は、Cさんを辞めさせたのは、試用期間に会社の基準と条件に合致しなかったためであり、会社には従業員を選択する自由があると主張した。慈銘は、Cさんが自分は差別されたと言っているのは、一方的な憶測にすぎないと述べた(20)

5 この裁判でも Cさん勝訴――平等な就業権を侵害したと認定

7月26日、貴陽市雲岩区法院は、被告の慈銘が原告のCさんの平等な就業権を侵犯したことを認定し、正当な理由なくCさんに対する労働契約を解除したことに対して、被告に対して慰謝料2000元を支払うよう命じる判決を下した。

判決は、慈銘が労働契約を解除した本当の原因は慈銘自身にしかわからないとした。しかし、慈銘がCさんとの労働契約を解除することが可能だったのはCさんが任に堪えない場合のみであるにもかかわらず、慈銘は証拠を示してそれを立証できなかったと指摘した。判決は、この案件において、Cさんは支配される地位に置かれているのだから、もしその立証責任をCさんに押し付けるならば、事実上立証は不可能になって、労働者が自分の権利を守る際に障害を置くことになり、労働者の権益を保護するのに不利であり、社会の進歩に不利であると述べた。

判決は、それゆえ、慈銘が合理的理由なしにCさんとの労働契約を解除したことは、Cさんの平等な就業の権利を侵犯したことであり、Cさんの自信を失わせ、気持ちを落ち込ませ、自己を否定させるなど、Cさんの精神に一定の損害を与えたと認定した。判決は、この案件の実際の状況を総合すると、慈銘のCさんに対する慰謝料は2000元であるとした(21)

6 書面による謝罪は認められず、控訴

ただし、判決は、Cさんが慈銘に謝罪を求めたことに関しては、「原告が被告に要求した、公開の書面の形での謝罪の請求は、根拠が不足しており、本裁判所は支持しない」と述べた。

この点について、劉明輝弁護士は、以下のような批判をしている。

「中華人民共和国権利侵害責任法」第15条には、「権利侵害責任を引き受ける方法」の一つとして「謝罪」が規定されている。最高人民法院の「民事権利侵害・精神的損害賠償責任の若干の問題に関する解釈」(法釈[2001]7号)第8条も、「この司法解釈が列挙する各項の権利と利益の侵害については、被害者は謝罪を請求することができる」と規定している。

裁判所は慈銘がCさんの権利を侵害したと認定しており、「権利侵害責任法」の規定は「謝罪」の法律的根拠を提供している。「根拠が不足している」という結論は、どこから来たのか?

このことは、よくある次のようなシーンを連想させる。強者が弱者を傷つけたにもかかわらず、謝罪を拒否し、弱者に紙幣を投げつけて、大手を振って去っていく。このような慣性的な思考は根が深い。金によって片を付ければいいと考えて、被害者がその紙幣から、強者の弱者の人格的尊厳に対する二次的侮辱を感じることは考慮しない。裁判所が謝罪の請求を支持しないことは、人格の尊厳に対する軽視と金によって片をつけるという慣性的な考え方を感じさせる。

わずか2000元は被告の会社にとっては些末な金額であり、まったくとるに足りないものである。就職差別をなくし、セクシュアル・マイノリティを含めた一人ひとりの平等権を尊重するという戦略的意義から見て、この裁判が本来もたらすことができる社会的効果は、謝罪の要求を認めないことによって大きく損なわれた。

劉弁護士は、2016年9月、高暁さんがコック見習い募集において女性であることを理由にして不採用を訴えた裁判の二審判決が会社側に謝罪も命じたこと(本ブログの記事「就職の男女差別裁判で、会社の謝罪も命じる初の判決」参照)も引き合いに出して、謝罪も命じた判決を出す必要性を説いている(22)

Cさんは、謝罪の請求が認められなかったため、貴陽市中級人民法院に控訴した(23)

7 Cさんのこと――子どもの頃からのいじめ、提訴への無理解、自分の性別への模索など

この事件については、『ニューヨークタイムス』も報道したが、その『ニューヨークタイムス』の中国語ネットがCさんにインタビューしているので、以下、その内容の一部をご紹介したい(小見出しは私が付けました)。

Cさんのこれまで

Cさんは、生理的には女性だが、自分は男性だと認識している。Cさんは、髪型や服装は男性の装いをしてきていて、女性であることを示すものを身に着けることを嫌ってきた。

そのため、Cさんは、かつて、長年学校で同級生に殴られたり罵られたりされてきて、以前は父母とも喧嘩をしていた。

10年前、大学に通っていたときに、Cさんは「貴州黔程工作組」(微博博客)を設立し、貴州のセクシュアル・マイノリティに心理カウンセリングや宣伝活動をしてきた。経費はどこからも出ないし、活動の場所もなかったが、自腹を切って長年活動を続けてきた。

今は、Cさんは、北京の「同語」という多元的なジェンダーに関心を寄せる団体(もともとはレズビアン団体)に経費を申請して、毎月約2500元の活動資金と賃金をもらっている。Cさんの希望は、正規の部門が彼の事業をサポートすることで、最終的には商工登記を申請して、法律で認められたNGOを作ることだ。

提訴に対する社会やLGBTコミュニティからの圧力

2016年2月、Cさんが法律の学習会に参加したときに、自分の職場での経験を話したところ、反就業差別法の専門家である劉小楠先生に、「それは、道理から言えば、法律に違反している。このことで裁判をしてみる気はないか」と言われた。それがきっかけでCさんは今回の裁判を起こした。

当時、Cさんの提訴を報じた新聞のタイトルは、「装いが個性的すぎるので、女子が会社を辞めさせられた」(24)とか「貴陽の28歳の女子が『外観がセクシーすぎるので』会社を辞めさせられた」(25)といったものだった。

また、当時付いたコメントも、すべてCさんを罵るものだった。「この写真は明らかに男なのに、なんで女なのか」とか、「もし女がこんな格好で我々の会社に来たら、私は絶対やめさせる」とかいうものだった。

LGBTコミュニティの中でも、Cさんは悪く言われた。「Cさんのような行為が私たちを誤解させる。あなた一人によって私たちみんなが悪影響を受けた」と言われたのだ。同じ「兄弟」(FtMのトランスジェンダー)たちからも、こんなことは止めてくれと言われたという。なぜなら、多くのトランスジェンダーは、おとなしくして、自分がそうした人だということを他人に知られたくないようにしていたからだ。

トランスジェンダーの中には金星(著名なダンサー。男性から女性への性別適合手術を受けた)のような人はほとんどいない。また、金星は自分をトランスジェンダーだとは言っておらず、性転換者であり、女だと言っていた。

Cさんには、コミュニティの中からも悪く言われたことが特につらかった。当時、Cさんには仕事がなく、生活を支える金がなかった。会社側からも圧力を受け、コミュニティからも圧力を受け、社会からも圧力を受け、親戚友人からも圧力を受けて、まわりはすべて真っ暗のように思った。Cさんは自分が死んで終わりできたら、と思った。

黒龍江の男装しているレズビアンから共感の声

しかし、北京の「同語」など若干のコミュニティ団体の代表が支えてくれた。

Cさんは、最初は記者の取材も断っていたが、支援している先生方に「あなたのこの裁判はもともと世論を動かすためのものなのに、記者の取材を断るとは……」と言われて、記者の取材に対しても、率直に誠実に話をするようにした。

また、裁判を起こした後、あるときモザイクをかけ忘れて、連絡先を公開してしまったら、黒龍江の男装しているレズビアンが、Cさんに、「私もあなたと同じような目にあった。あなたの裁判を知ったとき、私は光を見たような思いがした。私もあなたと同じようにできることを知って、希望を与えてくれた」と言ってくれた。彼女がそう話してくれたことによって、Cさんはこの裁判の意義の大きさがわかった(26)

Cさんの自分の性別に関する模索

Cさんは、子どものときから小さいときからいじめられてきた。男子生徒の服装をしていたからだ。Cさんは、自分で髪を切って、男の子と同じ髪型にして、服も男の子のものを着ていた。Cさんは道を歩くときも、前を見ずに下を向いて歩き、いつも同級生に殴られたり、罵られたりした。女子生徒にも、男子生徒にもいじめられた。

いじめられていること父母も話さなかった。中高生のときには、薬を飲んだり、手首を切ったり、飛び降りたりして自殺をしようとしたこともある。ブラジャーをせずに、布を巻いていたので、「同性愛だ」「人妖(化け物。ゲイボーイ、ふたなりなどの意味でも使う)だ」と罵られたりした。

しかし、Cさんも、大学に入学すると、自分のことを知らない人ばかりだったので、いじめられなくなったので、やりたいことができるようになった。

Cさんは、自分がトランスジェンダーであることを知ったのは2009年だった。それまでは、自分は同性愛だと思っていた。自分の身分証は女で、女が好きだからだ。しかし、後に、自分は小さいころから自分は女子学生にはなりたいとは思っていないことに気づいた。2009年に「トランスジェンダー」という語を知ってから、Cさんは、自分を探求するようになった。

Cさんは香港トランスジェンダーリソースセンター(香港跨性別資源中心)主席のJoanneさんと知り合いになった。Joanneさんは手術をしたトランスジェンダーで、MtFだった。CさんはJoanneさんの話を聞いて、世界の大門が開けたような気がした(27)

おわりに

LGBTの中でもトランスジェンダーには独自の困難がある。Cさんのケースを見ても、外見だけからわるので、たえずいじめや就職差別の標的にされてきた。また、自らがトランスジェンダーだと認識することも、当時はけっして簡単ではなかった。裁判をしても、LGBTコミュニティの中でさえ理解をあまり得られなかった。それらの困難によって、Cさんは自殺をしようとしたほどだった。

Cさんは、それを乗り越えて法的解決を求めて立ち上がった。最初の労働人事仲裁委員会では訴えが認められず、裁判をせざるをえなかった。裁判においても、労働裁判特有の会社側の事実の歪曲や立証責任の問題に直面した。裁判は、労働紛争と人格権の2つを起こさなければならなかった。

しかし、そうした闘いの結果、解雇の不当性と平等な就業権の侵害とを認めさせた。まだ謝罪は実現していないので、さらに控訴して、それを求めている。

このようなトランスジェンダー独自のたたかいが中国で出現したことの意味は大きいと思う。もちろん、それには、裁判でCさんを支えたNGOや裁判での証人になった学者のように、トランスジェンダーのたたかいに協力する人々が出現したことを含めて述べている。

(1) Cさんは、ネット上で「Mr.C」と名乗っていたので、中国語では「C先生」(先生=男性への敬称)と記されているというが(「贵阳跨性别青年“爱穿男装”被单位辞退,申请劳动仲裁获受理」澎湃新闻2016-03-15)、ここでは「Cさん」と記す。
(2)贵阳28岁女子因“外形太性感”遭公司开除人民网2016年03月10日(来源:贵阳网—贵阳晚报)。
(3)以上は、“Job Discrimination Case Raises Questions of Transgender Rights in China”,APRIL 11,2016→「中国跨性别就业歧视第一案启动仲裁」纽约时报中文网(VANESSA PIAO)2016年4月12日。
(4)贵阳跨性别就业歧视案调解失败,即将开庭审理」澎湃新闻2016-03-31。
(5)贵阳跨性别就业歧视案开庭,公司辩称辞退该员工因不穿工装」澎湃新闻2016-04-11。
(6)以上は、「贵阳跨性别就业歧视案宣判:被告属违法辞退,但不认定是歧视」澎湃新闻2016-12-31。
(7)Transgender Man Was Unfairly Fired, but Bias Not Proved, Chinese Court Says, JAN. 2, 2017→「中国跨性别者被解雇,法院:无歧视证据」纽约时报中文网(VANESSA PIAO)2017年1月3日。
(8)贵阳跨性别就业歧视案宣判:被告属违法辞退,但不认定是歧视」澎湃新闻2016-12-31。
(9)少なくとも2009年には、全国人民代表大会に提出するために作成されており、第2条で性的指向による差別にも触れている(「中华人民共和国反就业歧视法(专家建议稿)」知乎专栏2016年4月19日)。
(10)跨性别C先生的微博【国内首例:就业歧视案邀请专家证人出庭】2016-12-14 23:40
(11)贵阳跨性别就业歧视案宣判:被告属违法辞退,但不认定是歧视」澎湃新闻2016-12-31。判決の原文は、跨性别C先生的微博【国内首例胜诉的多元性别就业歧视案:法院判决确认用人单位违法解除并支付赔偿金!!】2016-12-30 16:16に掲載されている。
(12)“Transgender Man Was Unfairly Fired, but Bias Not Proved, Chinese Court Says”, JAN. 2, 2017→「中国跨性别者被解雇,法院:无歧视证据」纽约时报中文网(VANESSA PIAO)2017年1月3日。
(13)全国首例跨性别就业歧视案人格权诉讼开庭」2017-04-25 C先生 同语。
(14)跨性别C先生2月10日 00:55
(15)同语说法 | 深度解读——全国首例跨性别就业歧视案一般人格权胜诉判决(上篇)」2017-07-27 K总 同语。
(16)同语说法 | 深度解读——全国首例跨性别就业歧视案一般人格权胜诉判决(下篇)」2017-07-28 K总 同语。
(17)同语说法 | 深度解读——全国首例跨性别就业歧视案一般人格权胜诉判决(上篇)」2017-07-27 K总 同语。
(18)同语说法 | 深度解读——全国首例跨性别就业歧视案一般人格权胜诉判决(下篇)」2017-07-28 K总 同语。
(19)刘明辉「你给我钱,但我只想要道歉:跨性别就业歧视第一案胜诉背后」橙雨伞公益21 八月 2017 - 10:08。
(20)因“爱穿男装”被辞退?公司被判赔偿精神抚慰金」成都商报2017年8月1日。
(21)因“爱穿男装”被辞退?公司被判赔偿精神抚慰金」成都商报2017年8月1日。
(22)刘明辉「你给我钱,但我只想要道歉:跨性别就业歧视第一案胜诉背后」橙雨伞公益21 八月 2017 - 10:08。
(23)跨性别C先生8月17日 20:48
(24)贵阳28岁女子因“外形太性感”遭公司开除人民网2016年03月10日(来源:贵阳网—贵阳晚报)。
(25)打扮太个性 女子遭单位辞退:已提请劳动仲裁」贵阳网—贵阳晚报 2016-03-10。
(26)跨性别者C先生(上):我为何告诉中国我是直男」纽约时报中文网(王媛)2017年3月22日。
(27)跨性别者C先生(中):我不想不男不女」纽约时报中文网(王媛)2017年3月22日。
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反痴漢アクションに対する弾圧強化の一方で、公的機関による反痴漢ポスター登場

<目次>
はじめに
一 反痴漢アクションの呼びかけ人らに対する警察の執拗な広州からの引っ越し強要
二 北京での警察の痴漢取締り活動が報じられる
 1.各紙が痴漢取締り活動を報道
 2.警察の対応の問題点に対する批判
三 被害者が痴漢に重傷を負わされる事件
 1.北京でバスの中の痴漢が、反抗した被害者に重傷を負わせる
 2.フェミニスト団体の反応
四 公的機関などによる、痴漢に警告するポスターが各地に登場
 1.上海 2.北京 3.成都 4.深圳
おわりに

はじめに

広州市を中心にした中国の行動派フェミニストたちは、2014年から、公共交通(バス・地下鉄)の痴漢問題に対して、交通管理委員会や地下鉄会社に、痴漢反対ポスターを掲示するなどの痴漢対策を要求する運動をしてきた。

しかし、2015年3月、バスの中で痴漢反対ステッカーを配布しようとしたフェミニスト活動家の五女性(女権五姉妹=フェミニスト・ファイブ・シスターズと呼ばれる)が刑事拘留されるという事件が起きるなど、当局は、彼女たちの運動に対する弾圧を強めてきた。

そうした中でも、張累累さんらは、広州の地下鉄に掲示するための痴漢反対ポスターを制作して、広州市交通管理委員会にポスターを出すように要請した。彼女たちは、そのポスターの製作費や広告料をクラウドファンディングまで集めたのだが、掲示は許可されなかった(本ブログの記事「広州で若い女性たちが公共交通の痴漢対策について交通管理委員会、地下鉄公司、警察、婦女連合会などと会談――各地で『赤ずきん』姿で痴漢・セクハラ反対活動」「広州地下鉄にクラウドファンディングによって痴漢反対ポスターを掲示する試みなど――2016年の女性たちの公共交通での痴漢反対運動」参照)。

そこで、今年5月1日から、張累累さんらが呼びかけて、全国各地の街頭、大学、電車、バス、駅の中で、合計100人近い若い女性のフェミニストたちが、それぞれの場で、掲示を断られた痴漢反対ポスターを貼った掲示板を身につけて歩いて、痴漢防止措置をするようアピールした 。

一 反痴漢アクションの呼びかけ人らに対する警察の執拗な広州からの引っ越し強要

しかし、5月17日、張累累さんの家に警官がやってきて、「あなたが呼びかけたこの反痴漢アクションを止めさせなさい」「広州では今年後半にフォーチュン・グローバルフォーラム(全球財富論壇)があるから、引っ越して、広州から出ていきなさい」と要求した。これは、累さんがこの一年間で求められた3回目の引っ越し要求だったという。かくしてこのアクションは中止に追い込まれた(「自作の痴漢反対ポスターを身につけて街頭や地下鉄・バス内で見せる全国各地のフェミニストのアクション」参照)。

当時、張累累さんと肖美麗さん(北京から広州までの性暴力反対の「フェミニズム・ウォーク」をしたことで有名)、鄭楚然さん(女権五姉妹の一人)は、広州で家を借りていっしょに住んでいたのだが、6月22日には、大家が電話をしてきて、「あなたがたは!必ず!3日から7日以内に!引越しなさい! 警察はあなた方には問題があると言っている 良くない文字を印刷した服(=痴漢反対ポスターを印刷したTシャツ)を持っていると! 私は大家だ!あなた方に引越しを要求する権力を持っている!!!! 警察が引っ越さなくていいと言わないかぎりは!」と言った。

鄭楚然さんが、大家の言った警察の電話番号に電話をかけてみると、警官が「張累累と肖美麗があなた方を巻き添えにしている。彼女たちは過激で騒いでいる。あなた方はまあいい、それほどひどくない」と言った(1)

けれど、引越ししなればならない理由を説明するよう求めると、自分に道理がないことがわかっていたのか、私たちが住み続けてもいいと妥協して言ったという(2)

そこで、3人は、家主にも警察に問い合わせるように言うと、家主の娘が電話をしてきて「警察は『赤色の髪と青色の髪をした2人は、地下鉄やバスで国家に不利なものを配布したから、家にいさせてはならない』と言った」という。張累累さんは髪を赤く染めており、肖美麗さんは髪を青く染めていたので、警察はやはり張累累さんと肖美麗さんを追い出したがっていたということだ。

しかし、鄭楚然さんは、張累累さんや肖美麗さんと絶交しろという警察の要求を拒否し、「共通の価値観を持った友情は、人生の中で非常に価値のある財産であり、フォーチュン・グローバル・フォーラムよりも重要だ」と述べた。

さらに鄭楚然さんは「今後わが家に遊びに来る人は、必ず青色か赤色の鬘をかぶらなければならない!」と宣言した(3)

6月27日には、朝9時に、郭晶さんと鄭楚然さん、熊仔さんが住んでいる家(上記の家と同一か否かはわからない)に、家主と制服を着た人がやってきた。この制服を着た人は、海珠区公安分局の陳剣陶という輔警(補助警官)であり、「消防検査をしなければならない」と言った。しかし、彼は家に上がると、「印刷機を持っているか」と尋ねたり、床に置いた服をひっくり返したりした。しかし、何の問題も発見できなかった。後に来た警官と輔警も、捜査をする合法的な理由を何も言わなかった。

しかし、家主は、また、借家契約を無視して、かたくなに、7月20日までに引っ越すように言った。警察がここ数日ずっと家主に電話してきて、よく眠ることさえできないのだという。

警官の大きなパトカーもやってきて、住宅地の入り口に12時近くまで停まっていた。警察は、型どおりの検査だと言ったが、郭晶さんたちの家だけを検査して、隣近所は検査しなかった。

郭晶さんは「女性がバスの中で痴漢に会ったとき、あなた方はどこにいるのか? 女性がDVの被害にあったとき、あなた方はどこにいるのか? あなた方は、良い人を弾圧するのに時間を使っているから、そんなときは登場しないのだ」と怒りを表明している(4)

その日にやってきたのは4人で、派出所から来たと言い、彼女たちを「警務室」(という小さな一階建ての建物)に連れて行った。

彼らは、自分のはっきりした身分を言わなかった。

警官たちは「あなた方がやったことは、彼女たち五人の娘がやったことと実際は本質的な区別はないではないか?」、「あなた方がやったことはそれよりもっと大きい。もしこれが北京だったら、とっくに彼女たちと同じことになった」と言った。

警官たちは、張累累さんらのインターネット上の活動を非難して、「(張累累を指して)毎日、あんなにたくさん写真に出てはいけない」と言ったり、「毎日、お互いにリアクションしている」と言ったしたりした。

それに対して、肖美麗さんは、「あなた方がそう言うなら、なぜ私たちを捕まえないのか?」と尋ねると、警官は「ここに座って話をして解決できるならば、私たちはその以外の方法で解決したくない。この解決方法は、あなた方にとっても私たちにとっても、有利な点だけがあり、欠点はない」と言った。

肖美麗さんは「もし私たちが違法なことをしたのなら、直接捕まえることができるはずだ」と言った。

つまり警察は、彼女たちがしているのは違法行為でないのに止めさせようとしているわけだ。本当は、かつて五姉妹のように拘留したいのだろうが、そのときのような国際的批判を浴びるようなことはやりにくいのだろう。

張累累さんは警官に、「私がこの活動をしているのは、私が[反痴漢広告のためにクラウドファンディングで]集めた4万元を使えないためだから、もしあなたが私にこの4万元を使う[って反痴漢広告を出す]のを助けてくれたら、私はこんなことをしなくてもよくなる」と言ってみたら、警官は「広告はだめ。」「女性の問題については、婦女連合会に言えばいい」などと言ったので、張累累さんは「私たちは婦連にも、直接電話した」と答えた。

警官は、「婦連も女性の権利を守っている。実はあなた方のやっていることも同じだ。しかし、あなた方の現在の主体がこのようなことをするのはふさわしくない」と言った。肖美麗さんが「私たち自身はこの活動には何の問題もないと思っている。だからこそやっている」と言うと、警官は「若干のことは、同じことをやっても、異なる人がやるなら、異なる。主体の身分が重要だ」と述べた。

つまり、女性の権利を守る活動も、官制の団体がやるのはよくて、民間の女性がやるのはよくないというわけだ。

そして、警官たちは、執拗に彼女たちに広州から引っ越すように要求した。

警官たちは、「引っ越したときは、微博で一言、言ってほしい。『私たちはもう広州から引っ越しました』と。微博で一言言ってくれれば、私たちは指導者に知らせる」、「警察のことは言ってはいけない。あいまいに言いなさい」、「ある人がハラスメントをしたと言ってもいいが、警察のことを言ってはならない」と厚かましい要求をした(5)

二 北京での警察の痴漢取締り活動が報道される

1.各紙が痴漢取締り活動を報道

7月ごろから、北京の警察が地下鉄で痴漢取り締まり活動をおこなっていることが報じられた。

7月8日、『北京青年報』が、北京の警察が地下鉄で痴漢取り締まり活動をおこなっていることを報じた。具体的に言えば、北京市公安局公共交通総隊の四恵駅派出所がそのためのチームを作って、6月16日から、20日あまりで、22人を捕まえたという(6)

8月3日付『北京晨報』の記事によると、四恵駅派出所では、私服警官が、毎日朝夕のラッシュアワーのときに地下鉄をパトロールしたという。この記事では、男女1組の警官が、怪しい行動をしている男を監視して痴漢行為に及んだところを捕まえようとしたことが記されている。

隊員は最初10人くらいだったが、隊員が痴漢を捕まえると、周囲の人たちが喝采をおくったり、微博で賞賛されたりするので、活動に熱が入り、隊員もしだいに増えたという。

隊員は、痴漢を捕まえても、自分が痴漢行為をしたとはっきり認める人はほとんどいないといった苦労もあると語っている(7)

8月7日付『北京晩報』も、この四恵駅派出所の痴漢取締り活動について報じた(8)

報じられているのがすべて四恵駅派出所の活動であるのは、北京での痴漢取締り活動のすべてを公にしないためであるのかもしれないが、他の派出所ではしていないからなのかのかもしれない。

ある記事は、「夏になって以後、北京では気温の高い日が続き、人々のだんだん薄着になった」(9)ことと痴漢とを結び付けているので、夏だけの活動である可能性もある。

けれど、こうした活動が開始された(ひょっとしたら以前からやっていたことが報道されるようになっただけかもしれないが)背景には、フェミニストたちの痴漢反対運動の影響があるのかもしれない。

2.警察の対応の問題点に対する批判

しかし、その一方、7月11日、北京の地下鉄で、自分で痴漢を捕まえて警察に通報したのに、警察の対応がまったく不十分だったことを批判する記事が「橙雨傘公益」という女性に対する暴力に反対する団体の微博に同月18日に掲載されている。

その女性は、やってきた警官に、警察に行って調書を作成することを求めたにもかかわらず、警官は、監視ビデオを見るなどして証拠を集めるのは大変だ、などと言い訳をしたり、「何か賠償をさせたいのか」と尋ねたりした。女性が「何もいらない! 私は彼に前科をつけて、再犯させないようにしたいのだ」と言うと、やっと痴漢を警察に連行した。警察に行った後も、警官は、手で口を隠して笑いながら、「その男はどのようにして尻を触ったのか」と尋ねたりしたという(10)

三 被害者が痴漢に重傷を負わされる事件

1.北京でバスの中の痴漢が、反抗した被害者に重傷を負わせる

7月17日、バスで痴漢の被害にあった女性が痴漢を平手打ちしたら、刃物で刺されて重症を負うという事件が起きた。

その日の8時ごろ、北京のバスの中で、通勤中の女性が、年上の男に痴漢をされて、すぐさま相手を平手打ちした。すると、その男が果物ナイフでその女性を刺した。その男はその場で運転手と乗客に取り押さえられたが、その女性は救急車で病院に運ばれた。彼女は、出血多量で意識を失っており、手術後ただちにICUに運ばれた。医師の診断によると、頚部の静脈と付近の神経が切断されていて、背中を4回刺されており、傷は肺に達していたという(11)

2.フェミニズム団体などの反応

この事件は、さまざまなメディアが報じ、痴漢の凶暴さをに知らしめ、それ対する怒りを巻き起こした(12)

フェミニズム団体「新メディア女性ネットワーク」の微博は、この事件について、「私たちは何度も女の子たちに『痴漢にあったときは黙って我慢するのではなく、勇敢に立ち上がらなければいけない』と言っているが、それはけっして、このような一幕を見るためではない」と言った(13)

フェミニズム団体「女権の声」のサイトは、痴漢にあったある女性の経験を掲載した。彼女は、痴漢にあったとき、大声で叫ぶようなことはできず、逃げるのが精いっぱいで、まわりの人も関わろうとしなかったことを記した。地下鉄の職員には、警察に通報するかどうかを聞かれたが、職員は、もし警察に通報しないのならば、痴漢を捕まえても、痴漢に説教するだけだと言った。また、監視カメラを見るように訴えても、警察でなければ権限がないと言われた(14)

「女権の声」の微博は、「痴漢がこんなに猛威を振るっているのに、公共交通の痴漢防止宣伝はまだ不十分だ。いつになったら北京地下鉄は自分で反痴漢広告を出すのか」と述べた(15)

後述の『中国婦女報』の記事もこの事件に言及しているところを見ると、この事件も下の反痴漢広告の出現に少し影響を与えたのかもしれない。

四 公的機関などによる、痴漢に警告するポスターが各地に登場

6月以後、いくつかの都市の地下鉄に、公的機関による痴漢に警告する広告が登場した。

1.上海

以前のべたように、6月14日、上海地下鉄に痴漢に警告する広告が掲示されたことが、微博アカウントで報じられた。それは、「今日の咸猪手(口語で痴漢の意)は、明日にはブタの頭になる」という文字が大きく書かれて、鳥がブタを食べようとしているように見える漫画が描かれていたものである。広告を出したのは「看看新聞」であり、上海テレビ・ラジオ局傘下のメディアなので、中国では公的機関であり、公的機関による初の痴漢に警告する広告だと言える(「自作の痴漢反対ポスターを身につけて街頭や地下鉄・バス内で見せる全国各地のフェミニストのアクション」の)。

2.北京

8月3日、北京市婦連が地下鉄に反痴漢広告を出していることを李麦子さんが微博で伝えた。その広告は、「痴漢を防止するために、共に声を上げよう」「沈黙した子羊にはならない 冷淡な見物人にはならない」というスローガンが書かれたものだった(16)。この広告には、伸ばした手を、何人もの手がつかんでいる写真も添えられていた。これは、痴漢行為を何人もの人が止めようとしているありさまを示しているのだろう。

このデザインは、2016年4月にフェミニストたちが作成した、痴漢の手を女性の手がつかみ、周りの者たちが「やめろ!」「やめろ!」「やめろ!」と声を上げているものと似ているように思う(写真→「广州公共交通工具应加强反性骚扰宣传」2016-04-29 01:48:25 来源: 新快报(广州))。

北京市婦連によると、この広告は、北京地下鉄の1、2、5、6、7、10号線と八通線、亦荘線の計8路線に出したという。この広告は、8月1日から14日まで出すという(17)

張累累さんは「とてもすばらしい! 北京婦連が痴漢反対のために立ち上がった。フェミニストの行動がついに政府当局部門を促して反痴漢広告を出させた」と述べた(18)。鄭楚然さんも、「北京婦連は張累累が呼びかけた地下鉄の反痴漢広告アクションに積極的に応えた」と述べた(19)

武嶸嶸(女権五姉妹の一人)さんも、「すばらしい、今の苦しみは無駄ではなかった。これは、涙と汗の積み重ねの2年間だ」と述べた(20)

張累累さんは、「全国各地がみな学んでほしい」とも訴えた(21)

ただし、張累累さんは「しかし、期間は8月1日-14日だけだという。なんで反痴漢広告がずっとあったらいけないか?」という疑問も呈した(22)

また、肖美麗さんは微博アカウント「@広州公安」に対して、「提唱者に無理やり引越しさせることしか知らないようではだめだ」と言って、痴漢反対ポスターの提唱者をむしろ弾圧している広州の警察を批判した(23)

3.成都

8月10日、成都地下鉄もポスターを掲示していることが微博アカウント「@古敏怡」によって伝えられた。そのポスターは、「この地には『痴漢』はいない」というスローガンが書かれた下に、パンダの姿をした女の子とブタの手を禁止するマークの絵を描いて、「マナーを守った外出 地下鉄はあなたとともに」と書いてあるものだった(24)

郭晶さんは「張累累が呼びかけた反痴漢広告のクラウドファンディングと掲示板を持って歩く反痴漢の活動は、巨大な進歩を勝ち取った。北京地下鉄に反痴漢広告が出現した後、成都の地下鉄にも出現した。広告の中のブタの手は、張累累の広告のブタの手にそっくりだ。@広州市婦連と@広州地下鉄は行動しなさい!」と微博で述べた(25)。李思磐さんも「累累の広告が元になっているように見える」と微博で指摘した(26)

韋婷婷(女権五姉妹の一人)さんは、「女性車両を設置した広州と深圳はしっかり学ぶべきだ」と述べて、女性車両という手段を使った広州と深圳の地下鉄を批判した(27)(女性専用車両批判については、本ブログの記事「中国における女性専用車両導入とフェミニストによる批判」参照)。

4.深圳

8月20日、深圳の購物公園駅に、ゲーム会社「テンセント(騰訊)」がその人気ゲーム「王者栄耀」のキャラクターになった花木蘭を使った反痴漢広告を出したことを微博アカウント「@反性別歧視(反性差別)」が伝えた。それは、花木蘭が刀を抜いて「女は男に及ばないと誰が言ったのか? また痴漢をするなら、みておれ」と言っているものだった(28)

張累累さんは、「王者農薬(王者栄耀の別名)の反痴漢広告はとてもすばらしい! 痴漢反対の宣伝はますます増えている。商業でも、政府でも、フェミニストたちの行動と努力はたえず見られている」と述べた(29)

肖美麗は、再び、「@広州公安」に対して、「他の人の善意を悪意とみなしてはならない。つまらぬことにびくびくすることは本当に不必要だ」と言った(30)

おわりに

以上、フェミニストたちが痴漢反対ポスターの掲示などを要求した運動への弾圧が強化される一方で、公的機関によって、痴漢に警告するポスターが上海、北京、成都などで掲示されたことがわかる。

全国的な反痴漢アクションが5月におこなわれた後の、6月以降になって公的機関による痴漢に警告するポスターが各地に登場したというタイミングから見ても、北京市婦連や成都地下鉄が掲示したポスターがフェミニストたちのポスターと似ているという点から見ても、フェミニストたちの活動が公的機関の痴漢対策に一定の影響を与えたことは明らかだろう。

一方で運動を弾圧しつつ、一方でその主張を取り入れるという手法は、フェミニストたちが公共トイレの男女比の是正を要求した運動に対して、運動自体は弾圧しつつ、その要求はある程度とりいれたということにも見られた。

こうしたことは、フェミニストたちの運動の意義や影響力を示しているともいえるし、いかに民間の運動の要求が正当でも、中国当局は民間の下からの運動はあくまで否定していることを示しているともいえるだろう。

また、フェミニストの痴漢反対運動に対する弾圧が、彼女たちをいきなり逮捕せずに引っ越しを要求するという形をとっているのは、彼女たちがしていることは違法行為でないのに弾圧しようとしているという面でも、かつてのように刑事拘留をして国際的批判を浴びることを避けようとしているという面でも、巧妙かつ卑劣なものだといえよう。

(1)大兔纸啦啦啦「我宣布,以后来我家玩必须佩戴红蓝色假发」大兔纸啦啦啦的微博2017-06-23 12:13-04。
(2)社工郭晶的微博6月27日 17:59
(3)大兔纸啦啦啦「我宣布,以后来我家玩必须佩戴红蓝色假发」大兔纸啦啦啦的微博2017-06-23 12:13-04。
(4)社工郭晶的微博6月27日 17:59
(5)肖美腻的微博6月30日 09:59
(6)北京开展大规模打击地铁“色狼”行动 便衣藏客流中」中国新聞網2017年7月8日 05:41(来源:北京青年报)。
(7)晨报记者直击便衣地铁擒狼」『北京晨报』2017年8月3日。
(8)北京“猎狼行动小组”成立 民警地铁擒色狼」新华网2017-08-07 20:01:18(来源:北京晚报)。
(9)北京开展大规模打击地铁“色狼”行动 便衣藏客流中」中国新聞網2017年7月8日 05:41(来源:北京青年报)。
(10)我在北京地铁上亲手抓了一个咸猪手还报了警,但这根本不够」橙雨伞公益2017/07/17 15:49(界面新聞)→「我在北京地铁上亲手抓了一个咸猪手还报了警,但这根本不够」2017-08-03 Zoe 橙雨伞。
(11)北京女子掌掴“公交色狼”被割颈,失血过多送进ICU 」李阳煜/法制晚报2017-07-18 18:13。
(12)北京一女子掌掴“公交色狼”竟遭对方割颈,咸猪手已经这么猖狂了?」捜狐2017-07-19(北京青年报)、「公交上反击色狼 北京女乘客反被刺伤」联合早报2017年7月20日。
(13)新媒体女性的微博7月19日 15:07
(14)“下一次,我绝不放过你!”|记我的一次地铁被性骚扰经历」女权之声 2017-07-19 11:22:26。
(15)女权之声的微博【反抗公交性骚扰有风险?】后续 7月19日 11:47
(16)麦子家的微博【北京惊现反性骚扰广告,系北京妇联推动】8月3日 09:50
(17)以上は、中国妇女报的微博【防止性骚扰,共同发声!一一北京8条地铁线现反性骚扰拉手】8月3日 17:42(写真あり)→「北京地铁八条线路现反性骚扰拉手 北京市妇联呼吁:不做沉默羔羊 不做冷漠看客」『中国婦女報』2017年8月4日(写真あり)。なお、この広告を報じたこれらの記事には、先に述べた通州区の事件に言及して、「これに対して、北京の市・区の2つのクラスの婦連組織は、緊急に関係部門と連絡を取って、事件の状況を知り、態度を表明し、終始被害者の状況と事件の進展状況に関心を寄せ、随時援助を提供した」とも書いてあった。なお、より大きな写真が、大魔宙的微博8月4日 11:51に掲載されている。
(18)张累累累累的微博8月4日 16:21
(19)大兔纸啦啦啦的微博8月4日 17:51
(20)小社工大社会嵘嵘的微博8月4日 16:22
(21)张累累累累的微博8月4日 16:39
(22)同上。
(23)肖美腻的微博8月4日 17:52
(24)古敏怡的微博8月10日 13:18
(25)社工郭晶的微博8月10日 17:12
(26)李思磐的微博8月17日 17:25
(27)韦婷婷waiting的微博8月18日 08:21
(28)我遭遇了性别歧视的微博8月20日 17:21
(29)张累累累累8月20日 17:35
(30)肖美腻的微博8月20日 23:02
関連記事

中国における女性専用車両導入とフェミニストによる批判

<目次>
一 女性専用車両に対するフェミニストの批判
1.女性専用車両導入の提案とその実施
2.女性専用車両を導入の発想について
 (1)痴漢防止のためというより、「女性を思いやり、女性を尊重する」ため
 (2)強制ではなく「提唱」
3.全体的には賛成が多数
4.「新メディア女性ネットワーク」の調査に回答した3000人以上の女性は、不支持が圧倒的
5.「女権の声」の女性専用車両批判
6.他のフェミニストの論説
7.日本の「女性専用車両」をどう見ているか?
8.主流メディアにもフェミニストの意見
9.まとめ
二 女性車両の実施状況
1.深圳――宣伝が不徹底で誘導もなく、有名無実
2.広州――かなり実施されているが、不徹底
3.まとめ

中国の若いフェミニストたちは、地下鉄・バスにおける痴漢の問題に対して、2012年以後、さまざまな運動をおこなってきた。2015年以後は5人の活動家が刑事拘留されるなど、彼女たちの運動に対する弾圧が強まるが、そうした中でも、地下鉄・バス内に痴漢反対ポスターを掲示することを求めるなど、会社や政府に痴漢防止措置を要求してきた(本ブログの記事「痴漢を女性の服装のせいにする上海地下鉄ブログに対する、ネット内外での女性たちの抗議のうねり」「各地の弁護士・市民が地下鉄会社に対して痴漢防止策の建議・署名運動」「広州で若い女性たちが公共交通の痴漢対策について交通管理委員会、地下鉄公司、警察、婦女連合会などと会談――各地で『赤ずきん』姿で痴漢・セクハラ反対活動」「広州地下鉄にクラウドファンディングによって痴漢反対ポスターを掲示する試みなど――2016年の女性たちの公共交通での痴漢反対運動」参照)。

しかし、そうした要求に対して、地下鉄やバスの会社、政府は応えようとしなかった。

そのため、今年5月には、全国各地の街頭、大学、電車、バス、駅の中で、合計100人近い若い女性のフェミニストたちが、それぞれの場で、自作の痴漢反対ポスターを張った掲示板を身につけて歩いて、ポスターなどによる痴漢防止措置を取る要求をアピールした 。けれども、警察は、この活動を中止させてしまった(「自作の痴漢反対ポスターを身につけて街頭や地下鉄・バス内で見せる全国各地のフェミニストのアクション」参照)。

しかし、さすがに彼女たちの要求自体を無視できなかったからだろうか、6月から、中国でも女性専用車両が導入されたり、痴漢反対ポスターが電車内に掲示されるようになったりした。

今回は、そのうち、女性専用車両をめぐる動向、とくにそれに対するフェミニストの批判と女性専用車両導入後の状況の2点について述べたい。

一 女性専用車両に対するフェミニストの批判

最近、日本のネット上で、イギリスにおける女性専用車両導入案に対する批判が話題になった(「「女性専用車両の存在は性犯罪を認めることと同じ行為? 女性議員が導入案に猛反発 英国」(ZUU online 2017.8.29、「女性専用車両導入は敗北?英国で国民的議論に 日本で乗車経験のある記者は賛成」NewSphere2015.8.31)。

中国のフェミニストも、女性専用車両に対して同様の批判をしている。

1.女性専用車両導入の提案とその実施

2017年1月、広東省政治協商会議11期5回会議で、委員の蘇忠陽さんは、「広州地下鉄に女性専用車両を設置することに関する提案」をした。

蘇さんのその提案は、「広州の夏は猛暑が長く続くので、女性はみな涼しい身なりをするから、『地下鉄の痴漢』によって、女性が地下鉄に乗って外出するときに非常に困惑する」ので、「ヒューマナイズな管理を強化し、女性に対する保護と尊重をより体現するために」、列車の先頭や最後尾に「女性専用車両」を設置して、女性に安心して乗車してもらう、というものだった。

6月7日、広東省政治協商会議の主席・王栄さんが同会議の調査研究グループとともに、広州地下鉄グループ、深圳地下鉄グループに行って、蘇さんの提案について調査研究活動をおこなった(1)

6月23日、広州地下鉄は、6月28日から広州地下鉄1号線で、平日の7:30~9:30と17:00~19:00に、広州東駅方面行きの最後尾の車両と西朗方面行きの先頭車両を「女性車両」にすると発表した(2)

6月26日には、深圳地下鉄が、1・3・4・5号線の計4路線で「女性優先車両」の試験的実施を開始した。深圳の場合も、女性優先車両の位置は列車の先頭や最後であるのは同じだった。しかし、広州ではラッシュアワーのときだけ女性専用車両を設置したのとは異なり、深圳では、時間の制限はなく、一日中実行する(3)

私は、この時期に女性専用車両の導入が具体化した背景には、5月にフェミニストグループが公共交通の痴漢問題についてのポスターを身に着けて見せて回る活動を全国各地で展開したことがあるのではないかと思う。

2.女性専用車両を導入の発想について

(1)痴漢防止のためというより、「女性を思いやり、女性を尊重する」ため

6月7日、上述のように広東省政治協商会議の委員たちが広州と深圳の地下鉄公司グループに行って調査研究をした際、以下のような疑問が出された。

(1)広州地下鉄公司:「痴漢は一部の現象にすぎない」
(2)広州地下鉄公司と深圳地下鉄の部門の責任者:「女性車両の特定の集団のためだけのものだから、運輸能力の浪費にならないか?」、「他の車両が混雑するので、地下鉄の正常な運営にマイナスになる」
(3)ある政治協商会議の委員:「女性専用車両の設置は、新たな男女不平等を生み出して、男性乗客の不満を引き起こすかもしれない」(4)

私は、どの疑問の根底にも、痴漢問題に対する軽視があるように思う。しかし、それに対してきちんとした反論がなされたとはとても言えない。

すなわち、(1)の疑問に対しては、当日、委員たちは、「痴漢問題は女性専用車両設置の最も重要な理由ではない」と述べて批判をかわしており(5)、後日、蘇さんは、その点について、「実際は『女性専用車両』の設置は、ヒューマニスティックな思いやり――すなわち、女性に対する思いやり、レディーファーストである。一部のメディアが世論を間違った方向に導いて、焦点を、女性に対する思いやりではなく、痴漢と性差別に当てているが、実際はまったく逆で、これらのことは、女性に対する思いやりであり、性差別とは無関係だ」と言っている。もっとも、蘇さんも、「痴漢防止も『女性専用車両』設置の重要な要素である」とは言っているのだが、その際、「広東の夏はたまらなく暑いために、女子学生はしばしば薄着になり、多くの女子学生がスカートをはくので、混雑したときは具合が悪い」と女性の服装との関係を述べている(6)

広州地下鉄が女性専用車両を導入した公式の理由も、「広州の都市文明の窓口として、広州地下鉄は(……)女性車両の設置を通じて、『女性を思いやり、女性を尊重する』という文明的理念を不断に発揚することを希望する」というものだった(7)

(2)強制ではなく「提唱」

また、(2)の「運輸能力の浪費になる」「他の車両が混雑する」といった疑問に対しては、6月7日には、蘇さんは、「私がしているのは提唱であって、強制ではなく、完全に男性を入れなくするのではない」と反論した(8)

広州地下鉄も、女性車両導入を発表したときの公式のQ&Aで、「女性車両は、女性専用という性格のものか?」という質問に対して、「公共交通において異なる乗客に対して強制的に区別して対応することには、現在はまだ法律的根拠はない。また、女性専用にすると、男女が連れ立ったり、年寄りと若者や家族が連れ立ったりして外出するという実際の状況に合わない。だから、女性車両は『提唱する』という性格のものである」(9)と答えている。

ネーミング自体も、深圳では、女性専用車両ではなく、「女性優先車両」となっている。また、広州では、「女性車両」と表記されている。

2.全体的には賛成が多数

世論の動向はどうかというと、『南方都市報』のネット調査によると、女性専用車両の設置に対して、67%の市民が「賛成」と答え、「反対」は16%、「どちらでもない」も16%であった。男女別に見ると、「賛成」は、その74%が女性で、26%は男性だった。また、「反対」は、その34%が女性、男性が66%であった(10)

この調査の回答者は女性が多かったようだが、回答者の2/3、女性に限定すればそれ以上が女性専用車両に賛成していたと言える。

4.「新メディア女性ネットワーク」の調査に回答した3000人以上の女性は、不支持が圧倒的

しかし、広州のフェミニスト団体「新メディア女性ネットワーク」の微博アカウント「@新媒体女性」も、6月8日の夕方、「深圳地下鉄が女性専用車両を設置しようとしているが、あなたは支持するか?」という質問をしたのに対して回答を寄せた人々は、まったく異なる傾向を示した。

この調査では、1日たらずの間に3000名以上の人から回答を得ている。この点がまず注目される。

そして、回答者のうち、女性で賛成した人は479人(全体の13.8%)だけで、不賛成だった人が2854人(82%)を占めた。つまり、大半の女性が賛成しなかったのだ。なお、男性の比率はごくわずかだが、賛成44人(1.3%)に対して、不賛成は104人(3%)であり、女性ほどではないが、やはり不賛成が多い。

不賛成の理由としては、以下のような点が述べられていた。

(1)やり方が難しい――ex.「一本の列車の一両だけを女性車両にするのか。半分ずつにするのか。もし女性が非女性車両で痴漢に遭ってもかまわないのか」、「設置するなら比率を半分ずつにすべきだ。すべての女性が一両に乗るのなら、豚積車のようにならないか?」

(2)女性車両に行かない女性が責められる――ex.「女性が『普通の』車両で痴漢にあったら、『わざとあった』『なぜ女性専用車両に行かないのか』と責められないか?」

(3)方法が間違っている。解決すべきは痴漢である――ex.「犬が人を咬むことの解決方法として、人を籠に閉じ込める(ようなものだ)」

(4)女性のスペースを圧迫する――ex.「断固として支持しない、生存空間をさらに縮めるだけである」

(5)隔離と差別を招く――ex.「すでに『保護』の名の下に隔離をして女性の職場空間を縮小しているのに、同じ理屈で女性の社会空間を縮小するとは、人種差別のときに『黒人車両』を設置したようなものだ。隔離を打破すべきときに、あわてて囲いを築いている」

(6)文化的偏見を強める――ex.「断固不同意であり、不支持である!!!! なぜ女性が第二の性にならなければならないのか? 特殊な保護は、すなわち隠れた性差別である!!!」、「もし本当にそのような車両を設置したら、女性は『特殊』で、彼女たちは『保護』が必要だと思われるようになる」

(7)明らかにもっと良い方法がある――ex.「反痴漢広告をネットに上げさせず、呼びかけ人を広州から追い出し、その後で女性車両を設置して女を囲い込むとは、本当に痴漢を解決するいい方法だ!」、「1/3の車両を男性専用車両にして、すべての男性をそれらの車両に押し込めて、もし押し込められなければ、次の車両を待たせても、他の車両には乗せにないようにする」、「正しい方法は、各車両にたくさんライブカメラを設置して、痴漢事件をいったん確認したら、犯罪者に対する処罰を強め、拘留および多額の罰金を課して、痴漢を骨の髄まで痛めつけてこそ、恥知らずな痴漢は減る」(11)

これらは、今回報道されたイギリスでの女性専用車両導入反対論とほぼ同じだといえるだろう。

注目すべきは、ごく一部の理論家や小さなフェミニズム団体のメンバーだけが反対しているのではなく、何千もの女性たちがこの問題に回答を寄せて、反対の意を表明したことであろう。これは、それまでに、そうした発想が受け入れられるような活動が展開されていたからであろう。

5.「女権の声」の女性専用車両批判の論説

6月26日、別のフェミニズム団体「女権の声」(「女性メディアモニターネットワーク」)が「『女性車両』は、地下鉄の痴漢を防止できるのか?」という論説を発表した(以下の小見出しは、遠山によるもの)。

この論説は、「女性車両は応急処置であり、根本的な治療ではない『絆創膏』である」と言う。すなわち、「一面では、女性だけが入ることができる空間は、たしかに多くの女性に安全だと感じさせるし、彼女たちも歓迎する」と述べつつも、「その一面で、多くの人が納得できずに、『女性車両』の現実性とその背後のロジックに疑問を呈している」と言う。

(1)現実性――女性を収容しきれないし、トランスジェンダーや男にも女にも見えない人はどうするのか

まず「現実性」という点については、「2016年の公衆の地下鉄の一日あたりの平均の乗客は延べ701.7万人である。その混雑の程度から見て、女性専用車両は、すべての女性乗客を収容するにはまったく足りないから、実際に解決するのは難しい。それに、男性の家族と一緒に出かける女性はどうするのか? またトランスジェンダーの人、あるいは伝統的な性別ではない姿をしていて、見たところ『男でも女でもない』人はどうするのか?」と述べる。

(2)背後のロジック――「女性を思いやり、女性を尊重しよう」

また「その背後のロジック」について言えば、広州地下鉄が、「女性専用車両の設置をとおして『女性を思いやり、女性を尊重しよう』という文明的理念を発揚しよう」と言っていることなどに対して、この論説は、こうした議論は「たとえ主観的には善意によるものだとしても、『女性車両』は依然として女性を保護される弱者の位置に固定するものであり、真に痴漢問題を解決しないだけでなく、痴漢に対抗する女性の意識と能力を養成することもない」と批判している。

そして、「この『試験的措置』の考え方から見て、このような解決法は典型的な『保護的平等、すなわち保護するように見えて、実際には制限する措置によって女性が遭う権力的侵害に対処するものであり、侵害自体には対処せず、女性が不利な境遇を根本的には変えようとしないものだ』」と述べる。

(3)「女性車両」を設置している国は、女性の地位が低い

また、「女性車両」の提案が国外の経験を援用していることに対しては、この論説は、まず、「女性車両」を設置している都市は多くなく、それらの国の女性の地位は低いことを指摘する。

具体的には、まず、世界に200近くある軌道交通を有する都市のうち、「女性車両」を設置している都市はけっして多くなく、日本、インド、エジプト、イラン、ブラジル、インドネシア、フィリピン、マレーシア、アラブ首長国連邦などの国に分布していること、その主な理由は、宗教的理由による性別隔離と痴漢防止であることを述べる。

この論説は、「ジェンダー平等の角度から見ると、これらの国の状況は良くない」と指摘する。「世界経済フォーラム」が発表した「2016年グローバル・ジェンダー・ギャップ指数」の順位から見ると、フィリピンを除いて、これらの国はみな70位より下で、大多数は100位より下だからだ。

(4)ニューヨーク地下鉄の経験

次に、2014年にトムソン・ロイター財団が世界16都市の交通機関に安全状況について各都市400人の女性のアンケートによって調査した結果をもとにして、最も安全だと女性が感じたニューヨークの地下鉄はいかにしてそうなったのか? について以下のように述べる。

1990年代には、ニューヨークの地下鉄は、駅は暗くて危険で、犯罪率は高かった。状況が変わったのは、地下鉄の管理者であるニューヨーク運輸管理局(MTA)が、一連の有効な措置をとったからである。具体的には、監視ビデオを多数設置する、パトロールをおこなう警官を増やす、反痴漢教育の広告(痴漢は犯罪である、混雑は不当な接触の口実にはならない、など)や助けを求めるための広告(痴漢にあったら、許さずに、恐れず職員や警官に言おう、など)を出す、随所に助けを求めるための通話機を設置する、および地下鉄職員と警官に対して反痴漢教育をおこなうことである。

また、運輸管理局のウェブサイトの中に、専門のページを設けて、乗客に対して、どのような行為がセクハラであるかや、安全のための戦略、助けを求めるリソース、および、目撃者はどのようにすれば安全に介入できるかや、乗客はネット上でも匿名で痴漢を報告することもできることなどが述べられている。

この論説は、結論として、「公共交通での痴漢の問題を解決するために最も良い方法は、性別隔離のきらいがある「女性車両」を設置することではまったくなく、痴漢防止措置を強めるとともに、公衆教育を強めて、社会全体に痴漢防止問題をもっと重視させるようすることである。暴力との対抗のプロセスにおいては、積極的な行動が最もよい措置である」と述べて、これまでのフェミニストたちの痴漢反対のさまざまな活動を振り返っている(12)

6.他のフェミニストの論説

他にも、フェミニストは女性車両の設置を批判する論説を発表しているので、以上と重複もあるが、少し挙げてみよう。

たとえば、「澎湃新聞」という上海のニュースサイトに掲載されたある論説は、女性専用車両に対して批判として、以下のような点を述べている。

・女性専用車両は、「男性の欲望は猛獣のようなもので、制御できない」、「女性は生まれつきの弱者であり、自分を保護できない。男性と一緒にいないと女性は危険である」といった女性と男性のステロタイプなイメージを強化する。

・「女性専用車両は、痴漢の被害者は永遠に女性であると仮定しているが、この見方は事実に合致しない」、すなわち被害者には男性もいる。

・さらに重要な点は、トランスジェンダーに対する考慮が欠けていることである(13)

また、中山大学社会学・ソーシャルワーク系の副教授・丁瑜さんは、蘇さんが提案の中で「広東の夏は長いので、女性は涼しい服装をする」ことを強調していることに対して、「実際の痴漢の発生理由はけっしてそうではない。このような言い方は、痴漢を『客観的』な原因によるものとすることになり、また責任を女性に押し付けており、不適切だ」と批判している(14)

ただし、もちろん、「女性車両は、それが必ずしも完全なものではなくとも、女性にとって一定の積極性を持っている」と述べる論説もある。その論説は、以下の2つの事実を考慮すべきだとする。第一に、「中国の大都市で地下鉄に乗ることは、けっして楽で愉快なことではなく、とくにラッシュアワーのときはそうである」こと、第二に、「中国の都市の家庭の共働き比率は全世界で最高であり、とくに深圳のような移民都市では、大量の職業女性が地下鉄で通勤している」ことである。

しかし、その論説の筆者も、反対する者の懸念も理解できると言う。

といっても、「男性に対する差別であるという類」の反対意見は、「一笑にも値しない」とする。なぜなら「このような懸念は、過酷な税を取り立てている富豪階層が、赤貧の者に対する手当てを『金持ちに対する差別だ』と言うようなものであり、こっけいすぎる」からだ。

けれど、筆者は「反対する者の懸念が一概に根拠がないとは言えない」とも指摘する。「なぜなら、中国は典型的な男権社会なので(……) 『女性車両』の設置が、『女性車両』に乗ることができない女性の乗客に対して不利な副作用をもたらす可能性がある」からだとする。それが、普通の車両に乗っている女性の乗客が痴漢にあった場合、「なぜ女性車両に行かないのか」と責められるという状況だとする。

また、「『女性車両』の設置が社会の管理者と法律執行者に『政策的怠慢』の口実にされるかもしれない」ことも問題だという。「地下鉄でのセクハラ・性暴力は、『女性車両』の設置によってなくせるものではない」のに、である。

それゆえ、筆者は「たとえ『女性車両』の設置が論駁できない積極的意義を持っているとしても(……)、私は、多元的な観点がぶつかることによってこそ、『女性車両』を隠れ蓑に堕させず、その政策的副作用を防ぐことができると思う」と述べる(15)

7.日本の「女性専用車両」をどう見ているか?

女性専用車両に批判的な女性たちは、日本が「女性専用車両」を導入していることをどう見ているのかについては、以下の3点にまとめられるようだ。

(1)日本の女性の地位の低さを示している。
(2)日本はラッシュアワーの混雑が非常にひどいので痴漢防止が難しい。
(3)日本では、反痴漢広告を掲示していたり、警察が取り締まりに力を入れている点が中国とは異なることを強調する。

(1)の点は先述の「女権の声」が述べていた点だが、別の論説も、「女性専用車両」がある国の女性の地位がいかに低いかを説いている。挙げられているのは、日本、インド、イラン、アラブ首長国連邦、エジプト、サウジアラビアである(16)

(2)と(3)の点を主張しているのは、女性車両反対の論陣を張っている新メディア女性ネットワークの微博に掲載された論説で、以下のように述べている。

日本の女性専用車両は、実際はやむをえない措置である。これは日本の鉄道運輸の混雑、繁忙さと大きな関係がある。日本の軌道交通は世界的にも発達していることで有名だが、一部の路線は、ラッシュアワーのときは超満員で、そのように混雑している車両の中では痴漢を捕まえるのは難しい。犯人は混雑している状況を利用して逃げやすく、逆に被害者の近くにいる無辜の男性が痴漢だと誤認される可能性もある。

1980年代から、公共交通の痴漢問題が重視され始め、日本の警察は痴漢に対する処罰に力を入れるようになり、各大鉄道会社(現在日本の鉄道の多くは私営である)は、車両内に反痴漢広告を出している(…)。しかし、これらの措置の効果はわずかで、痴漢がはびこっている状況を阻止できていない。このような特殊な状況の下で、日本の鉄道運営者は女性専用車両あるいは専用席を設けて、公共交通の痴漢を減らしている。

中国の類似した政策に対する啓示として言えることは、以下のことである。
・日本の鉄道が極めて混雑しているという現実の下では、公共交通の痴漢問題は他の方法では解決が難しいことが、女性専用車両を導入した主な理由である。
・日本政府(ここでは警察)と社会はすでにその他の面から痴漢反対の努力をしている(反痴漢広告)(17)

この論説は以上のように述べているのだが、私(遠山)は、中国も世界経済フォーラムの指数では女性の地位は世界99位であり、地下鉄やバスが超満員であることもよく言われるので、中国における女性専用車両の有効性自体は否定できないと思う。

8.主流メディアもフェミニストの意見を取り上げる

メジャーなサイトでもフェミニストの声は取り上げられ、一定の影響を及ぼしている。

たとえば、鳳凰網に掲載され、中国網という中国を代表するニュースサイトに転載されたある論説は、「ネットユーザーが女性車両の設置についておこなった討論と論争の主要点」として、1. 女性車両は、痴漢問題に対するその場限りの対処であり、根治ではないのか? 2.痴漢をする人に新たな口実を与えて、さらなる問題を引き起こすか? 3.女性についてのステロタイプなイメージと差別をさらに深刻化するか? 4.無辜の男性に対して不公平さと差別を引き起こすか? を挙げている。

この論説の筆者は、結論としては、痴漢にあった女性の経験などをもとにして、女性車両の設置は女性にとって良い点もあると述べているが、1~3の論点について、フェミニストの主張を詳しく紹介している(18)

中国共産主義青年団の機関紙『中国青年報』にも、「張国」という人が、「普通の車両に乗った女性は、痴漢にあってあたりまえなのか?」、「『レディーファースト』は実は危険な言葉である。それは『女性は弱くて小さい性別だ』というステロタイプなイメージを強める可能性がある」、「差別は、通常無知かステロタイプな印象がもたらす偏見から生じる」など、フェミニズムの観点にもとづいて女性優先車両を論じている(19)

しかし、さすがに、中国の国営通信社である新華社のサイト「新華網」に掲載された「常江」という人の論説は、フェミニストの批判に否定的であり、「性別の強者である男性が女性に対して礼儀を尽くして女性に譲ることは、どの文化でも尊重に値する公序良俗である。広州と深圳の地下鉄が設置した女性専用車両には(……)十分な必要性と合理性があり、疑いなく二つの都市の文明の程度のメルクマールである」と述べている(20)

強くフェミニストの主張に反論している論説もある。たとえば、『新快報』に掲載されたある論説は、「このヒューマニスティックな思いやりにもとづく措置を『性差別』と関係付けるのは牽強付会である。私たちはずっと社会に女性と子どもを尊重し愛護する文明的な気風を作り上げるよう呼びかけてきた。地下鉄・バスなどの公共のリソースに女性車両を設置するのは、女性を思いやる具体的な行動である」、「女性車両を設置した初心は、『男性の体臭を避ける』『痴漢を防止する』というような『せまい意味』や『俗っぽいこと』とだけ理解してはならない」と述べている(21)

しかし、こうした論説も、フェミニストの批判を一つの主張として取り上げている点は、その影響力が無視できないことをあらわしている。

9.まとめ

中国のフェミニストの女性専用車両批判は、だいたい以下のようにまとめられるだろう。
・問題は痴漢なのに、女性のほうを女性専用車両に閉じ込めるのはおかしい。女性の空間がさらに圧迫される。
・女性車両以外で痴漢にあった女性は、女性専用車両に乗らなかったことを責められることになる危険がある。
・「男性の性欲は抑制できないものであり、女性は保護される存在だ」というステレオタイプを強める。
・被害者には男性もいる。また、トランスジェンダーなどの存在を無視している。
・女性専用車両を設置しているのは、イスラム諸国や日本など、女性の地位が低い国々だ。


以上に見られるようなフェミニズムの立場からの女性専用車両批判は、イギリスにもあった。また、女性専用車両がすでに導入されているブラジルやエジプトでも、同様のフェミニズムの立場からの女性専用車両批判はある(22)

日本では、「一笑にも値しない」レベルの女性専用車両反対論が多く、フェミニズムの視点からの女性専用車両に対する批判はそれほど表には出ていない。

しかし、そうした日本でも、たとえば、2007年に堀井光俊氏がおこなった女性専用車両についてのアンケートに対して、「女性に対して不公平」だから女性専用車両の導入拡大を望まないと述べた意見があったという。それは、「痴漢をしているのは男性なのに、なぜ被害者の女性が何かをしなければいけないのか」、「行動を改めるべきは男性であり、被害者に女性専用車両まで歩かせるような不便を強いるべきではない」というものだったという(23)

また、「性暴力を許さない女の会」も、2008年に、大阪府立大学大学院の研究グループによるインタビューに対して、「会として女性専用車両の導入を直接鉄道会社に要求したことはない」、その理由として「会の中で意見が分かれていた(根本的な解決にはならないのではという反対意見があった)こと」や「女性専用車両に乗らない女性が責められてしまうのではという懸念もあった」ということを述べている。

ただし、同会は、「現在、会の中で女性専用車両に反対するメンバーはいない。もちろん女性専用車両の必要がない世の中が一番いいが、現状としては必要である。女性専用車両のお陰で出歩けるようになったという性暴力サバイバーの声も多く聞く」という(24)

上野千鶴子氏は、女性専用車両は「後ろ向き」の対策であると表現している(25)

また、中国の場合、フェミニストに、女性車両の設置に批判の声が強い理由として、以下のような点も挙げられるだろう。

第一に、当局側が女性専用車両を導入した理由が、痴漢対策それ自体よりも、「女性に対する思いやり、女性の尊重」「レディーファースト」といったものだったことである。

第二に、中国のフェミニストの痴漢反対の活動
が、2012年に上海地下鉄内で1人の女性が全身を黒いベールで覆って、「涼しさは欲しいけど、痴漢はいらない」と書いたパネルを持ち、もう1人の女性が、乳房の形をした金属の器を二つ胸に付けて、「私はふしだらでもいいが、あんたのセクハラは許さない」と書いたパネルを持つパフォーマンスアートをおこなったことに始まったことに見られるように、女性の自由を拘束するような発想を拒否してきからであろう。

今回の女性専用車両を取り上げた記事の中にも、「『私はふしだらでもいいが、あんたのセクハラは許さない』というフェミニズム運動の名言は、いくらか偏見と独断があるとはいえ、地下鉄に女性車両の設置に適用すれば、風を通さない長衣で車両の中の女性を包んでしまうように見える」と述べられているところである(26)

第三に、すでに述べているように、この時点では、政府当局が、反痴漢ポスターを車両内に掲示することを拒否し続けてきており(6月14日ごろ、上海で掲示されたのが最初である)、そうしたフェミニストの活動を弾圧する一方で、女性専用車両を導入したからであろう。

ただ、中国でも、今後、日本の「性暴力を許さない女の会」が紹介しているような「女性専用車両のお陰で出歩けるようになったという性暴力サバイバーの声」がフェミニストの元に届くようになれば、若干、見解が変わっていくのかもしれない。

二 女性(優先)車両の実施状況

さて、女性(優先)車両が導入はうまくいっただろうか?

1.深圳――宣伝が不徹底で誘導もなく、有名無実

○6月26日(初日)

6月26日から、深圳地下鉄が女性優先車両の試験的実施を開始したが、広州の地下鉄とは異なり、深圳では、公式のインターネットや公式の微博では事前の通知がされなかった。これは、深圳の場合、あくまで「女性優先車両」だったからかもしれない。

それでも、プラットホームのホームドアや車両内にピンク色の「女性優先車両」という標識を貼ることによって、女性優先を示した。

しかし、少なくとも導入初日は、「女性優先車両」について、ネットで「少なくない男性が見て見ぬふりをしており、何の区別もしてない」とか、「車両の中の6割が男性だという」とかいう状況だったという(27)

実際に、午前11時、ある人が、4号線の女性優先車両に乗ってみると、車両内の乗客は、男性9人、女性8人だった。通過する各駅のプラットホームを見ても、ラッシュアワー時も、ラッシュアワーでない時も、「女性優先車両」の標識の前で待っている乗客の男女比は、他と変わらなかった。

その原因として述べられているのは、「『女性優先車両』という案内が多くないので、乗客は、最初はその存在に気づきにくい」(市民・張さん[女])ことだった。「みんな乗ってからその変化に気づいた」(市民・馬さん[男])とか、「ラッシュアワーのときは人が多すぎて、放送も聞こえなかったし、プラットホームの標識も見えなかった」(市民・李さん[女])とか言われている(28)

○6月28日(3日目)

導入3日目の6月28日にも、ある人が、広州地下鉄四号線の始発駅に女性優先車両の情況を見に行っている。

その人は、女性車両が停車するホームドアには「女性優先車両」という掲示の前で「張り込み」をした。

しかし、1分たち、2分たち、3分たっても、その車両に入る女性はいなかった。というのも、女性車両は一番前と後ろにあるので、みんなそこまで行くのが面倒だったのだ。

地下鉄に乗り込む人が増えて、はじめて女性車両にも人が乗るようになった。しかし、女性だけでなく男性も乗り込むようになり、一般の車両と変わらない状態になった。みんなは、あたかも「女性優先車両」という掲示と放送を無視しているかのようだった。しかし、車両の中の掲示自体、目につきにくく、顔を上げなければわからないかもしれないものだった(29)

その後の状況については、報じた記事が見当たらない。

しかし、少なくとも女性優先車両の設置初期の段階においては、深圳の場合、事前の告知もなく、掲示も目に付きにくく、職員の誘導もないために、有名無実だったいえよう。

2.広州

広州は、深圳といささか様子が違う。

○6月28日(初日)

広州で女性車両が設置された初日の6月28日、地下鉄の職員たちは、女性車両の前に並んでいる男性に声をかけて普通の車両の前に誘導した。また、プラットホームで宣伝チラシを配布している職員もいた(30)

ただし、けっしてすべての乗客が「女性優先車両」を理解したわけではなかった。おじさんが職員に対して「女には配慮して、老人には配慮しないとは、そんな馬鹿な話はない」と怒鳴ったりしたようだ(31)

この日、女性車両の停車位置で待っている乗客や女性車両内の乗客の男女比は、2:8だったという(32)

○6月30日(3日目)

3日目の6月30日、『南方周末』の記者が乗車したときも、地下鉄の職員が、女性車両の乗車位置に並んでいる男性に対して「これは女性車両です」と声をかけていた(33)

○7月4日(1週間後)

女性車両設置1週間後の7月4日、『羊城晩報』の記者が報じたところでは、現場の職員とボランティアの努力によって、大多数の男性乗客は女性車両ではなく、普通の車両の場所で電車を待ち、乗車するようになっていたという。

午前8時のラッシュアワーのときに記者が取材すると、乗客が多い公園前駅でも、女性車両に乗り込む男性はほとんどおらず、間違って女性車両の停車位置に並んでいた人も、職員に促されて他の車両に乗り込んでおり、女性車両に乗り込んだのは8名だけだったという。体育西路駅では、普通の車両と隣接したホームドアに1、2名男の乗客がいたのを除いて、女性車両の前で行列していたのは、みな女性だった。特に子ども連れで外出している女性と妊娠している女性は、女性車両が来るのを待っている人も少なくなかった。

体育西路駅で、西朗のほうに行く列車の女性車両を数えてみると、男性は4名だけで、楊箕駅では6名だった。東山口駅では、乗客が増加するのに従って、男性も15名に増えた。

夕方のラッシュアワーのときの状況も比較的似ていた。18時に記者が、体育西路駅と楊箕駅に行ってみると、プラットホームの職員とボランティアが、階段の入り口のところから、男性は普通車両を待つように誘導を始めていた。

女性車両の内部でも、女性の乗客が大多数を占めており、18時から西朗方面行きの3本の列車の女性車両内の男性は、平均5人以下だった。広州東駅方面行きの3本の列車では、それぞれ4人、8人、11人だった(34)

この記事では、大多数の男性は理解していることが強調されているが、客観的な数値を見ると、必ずしも徹底されているとはいえない。

○7月19日(3週間後)

『広州日報』の記者によると、7月19日の午前8時半、広州地下鉄1号線の楊箕駅の女性車両を待つ場所で待っているのは女性が主で、車両内でも女性が9割以上を占めていたという。

ただし、地下鉄が混み始めると、少数の男性が女性車両にも乗ってきて、楊箕駅でも先に乗ろうとした男性が、女性に車両から降ろされて、ばつが悪い思いをしたという。

広州と深圳を行き来しているある男性は、深圳の地下鉄は「女性優先車両」と書いてあるが、広州では、「女性車両」と書かれているので、女性専用か否かがはっきりわからないと言っている(35)

また、同日、『羊城晩報』の記者は、午後5時30分、楊箕駅では、女性車両に「混入した」男の乗客は「少数ではなかった」と報じている。車両内でも、並んで待つ乗客も、女性車両の男女比率は、他の車両とはっきりした差はなかったという。

記者は、その原因として、女性車両の隣の車両が女性車両より混雑しているという点を挙げている(36)

広州では、全体としてみれば、職員の誘導などがあるために、女性車両がある程度定着しているといえそうだ。しかし、まだまだ徹底しているとは言えないし、時間が経過すれば徹底するというものでもないようだ。

3.まとめ

以上、深圳と広州で大きな違いがあることは明らかであり、広州の場合は女性車両がある程度実質化しているといえそうだ。

ただし、まだ広州の場合も、まだ不徹底である。

その背景には、一で述べたように、女性専用車両は、「強制」ではなく、あくまで「提唱」だという姿勢があるのかもしれない。さらにその背景には、フェミニストが批判したように、女性車両の理念が「女性の尊重」や「レディーファースト」にとどまっている問題があるのかもしれないと思う。その意味では、この一と二の問題はつながっているのかもしれない。

さらに言えば、広州の地下鉄が女性車両の導入理由として「広州の都市文明の窓口として、『女性を思いやり、女性を尊重する』という文明的理念」を提唱してることと、広州の警察が、フェミニストたちの痴漢反対アクションの呼びかけ人の張累累さんに対して「広州では今年後半にフォーチュン・グローバルフォーラムがあるから、引っ越して広州から出ていきなさい」と言ったことは、広州の「文明的」な体面を重視するという意味で、どこかつながっているのかもしれないとも思う。

(1)以上は、「地铁要不要设女性专用车厢? 针对省政协委员提出“地铁设女性专用车厢”提案,“南都马上问”记者随省政协调研组赴广深调研」『南方都市報』2017年6月8日。
(2)6月28日起,广州地铁一号线试点女性车厢」广州地铁2017-06-23。
(3)深圳女性优先车厢,女性并不优先???」新媒体女性2017-06-26 13:50:33。
(4)(1)に同じ。
(5)同上。
(6)深圳地铁将设女性车厢 广东省政协委员苏忠阳:出发点是关爱无关性...」界面(作者:梁宙) 2017-06-16 18:04:00。
(7)(2)に同じ。
(8)(1)に同じ。
(9)(2)に同じ。
(10)(1)に同じ。
(11)以上は、「“关爱”女性的女专厢,居然遭到八成女性反对!」新媒体女性的微博2017-06-09 18:14:59。
(12)以上は、「“女性车厢”能治地铁性骚扰吗?」女权之声的微博2017-06-26 14:15:43。
(13)广州地铁设女性专用车厢:性别隔离能创造“安全空间”吗?」澎湃新闻2017-06-28 11:23:00。
(14)保护女性还是浪费资源:女性车厢防得住咸猪手吗?」中国网(作者:敏)2017-06-23 09:58:06。また、丁瑜さんも、「痴漢に遭うかもしれない人々を『閉じ込める』ことになりかねないやり方は、根本的な解決法ではない。痴漢をなくす最も根本的な方法は、市民に公共の場での性暴力について理解させることである。女性車両は、痴漢を男女両性の間のもので、男が女にするものと考えている。しかし、実際には、男と男の間、女と女の間、成人の子どもにおこなうものなど、もっと多くの状況がある」ことを指摘している。
(15)人民性 | 女性车厢不是遮羞布,也不是稻草人」唐映红 晒爱思PsyEyes 2017-07-07
(16)小寒Eirene「女性需要保护吗?——有“女性专用车厢”的国家,那里的女性都生活得怎么样?」小寒Eirene的微博2017-06-09
(17)日本有女性专用车厢,也有反性骚扰的法律和广告」新媒体女性(作者:@蒲公英的小白伞)2017-06-24 21:22:45。
(18)地铁开设女性车厢 只是打击性骚扰最不坏的第一步」中国网 2017-06-28 14:45 (来源:凤凰网)。
(19)中青报:设女士优先车厢是以保护名义行歧视之实」2017年07月05日 07:04 来源:中国青年报。
(20)我们争论女性车厢时,我们在争什么」新华网2017-07-07 08:38:36。
(21)地铁女性车厢:用试验回应争议」新快网2017-06-26 01:44(来源:新快报)。
(22)居永正宏 川端多津子 寺野朱美 橋爪由紀『女性専用車両の学際的研究 性暴力としての痴漢犯罪とアクセス権の保障』(大阪府立大学大学院人間社会学研究科人間科学専攻発行 2008年)47頁(寺野朱美執筆部分)。
(23)堀井光俊『女性専用車両の社会学』(秀明出版会 2009年)、32-33頁。
(24)居永正宏ほか前掲書、95-96頁。同会も、「痴漢対策として理想的なのは、やはり取り締まりのための人員(特に女性)の増加を行い、痴漢発生防止とともに、痴漢犯罪が起こった時に被害者が声を上げやすい環境を作ることである」と述べている。
(25)『朝日新聞』2005 年5 月9 日。ただし、原文は未見で、Wikipediaによる。
(26)地铁设女性车厢,为什么阿伯和姑娘都跑过来吐槽」『中国青年报』(作者:王钟的) 2017-06-29 18:09:00。
(27)深圳女性优先车厢,女性并不优先???」新媒体女性2017-06-26 13:50:33。
(28)尴尬了!地铁首开“女性车厢”结果塞满了男乘客」 凤凰网视频2017-06-29 14:43:00 2017年06月29日11:15。
(29)震惊!“女性优先车厢”很可能不是为了反性骚扰!」尖椒部落的微博2017-06-28 18:06:16。
(30)广州地铁女性车厢首日男女比例2:8」奥一网2017-06-29 08:11来源:南方都市报。
(31)广州地铁试行女性车厢,老伯被阻后大骂:照顾女人不照顾老人」 澎湃新闻2017-06-28 17:03(微信公号“中新社广东发布”)。
(32)(30)に同じ。
(33)广州地铁“女性车厢”体验记」『南方周末』(作者:关丽明) 2017-07-04 13:00:26。
(34)广州地铁试点女性车厢首周 女性车厢男士真的少了很多」『羊城晚报』(作者:李佳文) 2017-07-06 07:13:00。
(35)广州地铁女性车厢:一位男士把另一位女士挤下车」中国新闻网2017年07月22日 10:51 来源:广州日报。
(36)广州地铁女性车厢试设三周 仍是“混装”」金羊网2017-07-20 13:25 来源:金羊网。
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