2018-11

林さんへのお応え――「自分はWANのために何ができるか」という問いをめぐって――

日本女性学研究会でご一緒してきた林葉子さんが、「WAN(ウイメンズ・アクション・ネットワーク)のこと」という文をお書きになりました。

その文の中で林さんは、「『WANの今後を、どうすればいいのか』という問題は、やはり他人事としてではなく、『自分は、WANのために何ができるか』という形で、皆さんに答えてほしい」(以下、便宜上、林さんの主張を赤字にしています)と問いかけられました。そのコメント欄に私が書き込んだコメントの中で、私は、「私はユニオンWANの支援者で、WANの会員ではないのですが、WANには発展していただきたいと思っていますので」という前置きをして、まず、以下のように述べました。 

第一に、私は、WANを発展させるには、広く投稿を集めることが効果的だと思いますので、もし私がWANという場で訴えたい問題が出てくれば、自らWANに投稿してみようと思います。

第二に、私は、先々月、わずか2000円ですが、カンパをしました。それ程度のものは既にWANから得ていると思ったからです。また、私は、自発的なボランティアの方にも、少なくとも(「賃金」とまではいかなくても)何らかの手当を払ったほうがいいように思いますので(私は、とりあえずそんなふうに思います)、今後も、ささやかながら財政的に貢献するつもりです。まして、もし自らが投稿したならば、掲載(+審査)作業の「賃金」に相当するお金を払うつもりです。

WANへの記事の投稿と「掲載料」について

この私のコメントに対して、林さんから、「WANのこと(2) 遠山さんのコメントにお応えして」という応答をいただきました。その中には、以下のように書かれていました。

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WANの団交に参加して

 2月12日、私は、ウィメンズ・アクション・ネットワーク(WAN)の労組「ユニオンWAN」(遠藤礼子委員長)の団体交渉に参加しました(この間の経過については、労組のサイト「非営利団体における雇用を考える会(仮)」に詳しい)。

 私は自分のメモだけを頼りに書ていますので、以下の内容には正確さに欠ける点もあると思います。文責はすべて私にあります。また、当日は多くの細かなやり取りがありましたが、以下では、私が特に印象に残ったことのみを書きました。また、ここで書いているのは、もちろん私の個人的な意見です。

 団交では、まず最初に、理事側が「今回の事態については、NPO会員やそれ以外の人にも説明します」「その前に組合に説明したい」とおっしゃって、その説明内容について口頭で述べられました。

 その説明によると、「WANは、女性の非正規雇用やNPOでの働き方に強い問題意識を持っており、WANの労働者は一般的と思われる以上の待遇にしてきたし、労働者からの要望も受け入れてきた」そうです。この点に関しては、具体的な数値なども挙げられました。私は、それを聞いて、それ自体はWANが誇れることだと思いました(もっとも、あとで遠藤さんから、理事側の挙げた数値には、いくつか不正確な点もあることが指摘されましたけれども)。

 しかし、理事側の説明が、ユニオンWANが現在の団交で問題にしている「一方的な外注化、仕事の取り上げ」「一方的な現事務所の閉鎖→退職勧奨」という肝心の点になったとたん、私は、説明の説得力がガクッと落ちた気がいたしました。さらに後で遠藤さんに反論されると、ガタガタになった感じです。

 たとえば理事側は、外注化などについて事前に十分話せなかったのは、「コミュニケーションの不足・悪化(一方だけの責任ではない)」のためだったという言い方をしていました。しかし、私は、たとえ当時、関係がぎくしゃくしていたとしても、労使関係の場合には、使用者側は、「使用者としての責任」として、話し合うべきことはきちんと話し合わなければならないと思います。理事側の説明には、そうした観点が欠けているように思いました(→文末の追記も参照)。

 遠藤さんは、業者を入れて自分が仕事から外されることについて、理事側からは一方的に「決定済の事項」として話されたということを具体的に語られました。「事前協議制があったにもかかわらず、そうされた」ということも指摘なさいました。

 この点について、理事側は、「事前協議制の対象は、『労働条件』そのもの(=賃金と労働時間)だけで、『労働条件と関わる重大事項』(=今まで担当していた業務から外すことや事務所閉鎖)までは含んでいないと思っている」と述べておられました。しかし、今まで担当していた業務から外せば必然的に遠藤さんの労働条件は下がるのですから、これは形式論としか私には思えませんでした。誠実な対処をしたとは言えないと思うのです。

 また、遠藤さんは、今後の労働条件について前回の団交で話し合うことになっていたにもかかわらず、理事側は、その団交2日前に退職勧奨を突き付けてきたということに怒りを表明しました。今回の団交では、理事側は「財政上の理由から、現事務所を閉鎖して家賃のかからない場所に移さざるを得ない」ということを述べましたが、労働条件の協議中に退職勧奨をするというやり方については、まともな弁明はありませんでした。

 理事側は、協議中なのにユニオンが一方的に情報を労組のサイトで流したことが「信頼関係を損なった」「理事会の信用を失墜させた」と言うのですが、私にはその意味がよくわかりませんでしたし、そういうレベルの理由でこうしたやり方が正当化されるのかな? と疑問に思いました(追記:理事側のこの発言については、山口ともみさんが詳しく批判しておられます)。遠藤さんは、労働条件の協議中に退職勧奨をするようなやり方こそが信頼関係を損なうと述べました。

 それから、私が気になったのは、理事側が「理事会からの説明は、サイトには掲載せずに、NPO会員やその他の支援者などに説明する」と述べていたことです。「説明する」というのは、恐らくメールか何かで流すということだと思いますが、だとすると、それらの人々に対しては、理事会側に都合のいい説明のみが流されるということにならないでしょうか?

 なぜなら、それらの人々のメールアドレスを把握しているのは、理事会側だけで、組合側は把握していないでしょうから、たとえ事実と異なる説明や一面的な説明だったとしても、反論のしようがないからです。もちろん、ユニオンWANのサイトでは反論できますが、その反論を読むのは、理事会からのメールが来た人のうちの一部でしかないと思いますから、フェアなやり方でないように思います。

 やはりサイトに両方の主張を出し合うのが、公平かつオープンだと思います。たしかに同じサイトで労使がやり合うなどというのは、企業のサイトなどでは絶対やらないことでしょう。しかし、この争議に関心を持っている人は多いですし、NPOなら、それぐらいオープンにした方が良いと思います。お互い誠実な態度で議論するならば、たとえ立場の違いや認識の一面性、若干の勘違いなどがあっても、第三者にも悪い感じは与えないと思います。

 また、理事側は、サイトが見にくいので、業者を入れて大幅にリニューアルすることが必要だと強調していました。そのために相当の支出をするようです。この点自体は当日の団交では議論になりませんでしたが、私は、業者に頼んで今のサイトをリニューアルしてもらっても、それほどはアクセス数が上がるような気はしません。

 やはり記事の内容次第だと思うのです。もちろんWANは良い記事を多く掲載していますが、「他のフェミ団体・個人サイトと比べて特に記事の内容がすぐれている」というわけでは別にないと思いますし、内容が現状のままなら、アクセス数はそうは多くならないと思います。お金や手間をかけるとしたら、サイトのリニューアルも結構ですが、良い記事を毎日もっとたくさん掲載したり(*)、サイト内外のコミュニケーションを活発化するために使った方が良いような気がします。

 理事会は「雇用と経営の見通しについて甘さがあった」と述べ、責任を感じているとおっしゃって、WANの組合員に謝罪するとともに、解決金も払うと述べていました。ただ、私は、その「甘さ」の原因も掘り下げないと、業者に頼んでも、また別の形で問題が出てくるような気がしました(この点は余談ですが)。

 遠藤さんは、この日の団交で、議論がゴチャゴチャして私にはよくわからなくなったり、私が漫然と聞き流していたりしていた箇所についても、ポイントをつかんで鋭く追及して理事の側を追い詰めておられました。「やっぱり、さすが遠藤さんだ」と感服しました。

 理事会の見解には疑問が多く、立場のズレを感じさせました。しかし、理事の姿勢にまったく誠実さがないとか、対話がまるで成立していないなどとは私は思いませんでしたので、今後の粘り強い話し合いの中で、ぜひ、良い形で解決をしてほしいと思います。

 なお、この問題に関しては、「WAN労働争議への支援および理事会への要望」という署名がおこなわれています。私からもご協力をお願いいたします。

(*)たとえば、インターネット新聞社のJANJANは、毎日何本も個人の投稿を掲載しているために、多くの記事があるので、1日20万ページビュー(人数的には、数万アクセス?)だそうです。もちろんWANとJANJANでは条件が全く異なりますが、たとえばの話、そんなふうに個人投稿を受け付けて、そのチェックや掲載のために人やお金を使ったらどうだろう、と思うのですが……。

[追記]
 2月12日の団交では、理事側は、「コミュニケーションの不足・悪化」について、「理事側にも責任があった」という意味のことを何度も述べていました。実際、私の当日のメモを見ても、理事側の発言を、「担当[理事]─webに不慣れ─遠藤さんもフラストレーション─コミュニケーションの悪化」とか、「コミュニケーション 私たちにも責任がある」とかいうふうにメモしています。私の記憶では、理事側は、「コミュニケーションだから、一方だけを責めているのではない」という趣旨の発言もしてしました。

 ですから、上の記事では、私は、理事側の発言を、「コミュニケーションの不足・悪化(一方だけの責任ではない)」というふうにまとめ、その上で、私は、たとえ当時関係がぎくしゃくしていたとしても、労使関係においては、「使用者側の責任」として、「話し合うべきことはきちんと話し合わなければならないと思います」と述べたわけです。

 ところが、その後理事会がWANの会員などに対して発表した、今回の問題についての事情説明文書では、コミュニケーションの悪化について、ひたすら遠藤さんを非難したうえで、理事側の責任については、抽象的に「使用者であるWANにコミュニケーション改善の責任の一端があったことは承知していますが」と述べるにとどまっています。

 私は、理事会が、このように当事者に対する説明とWANの会員に対する説明とでニュアンスを区別するのは、結局のところ、当事者の前では言えないようなことを会員に説明していることになるので、ちょっとおかしいと思います。

 なお、2月12日の団交については労組のサイトにも報告が掲載されており、理事会の事情説明文書に対しても簡単な反論をしています。ぜひお読みください(→「2/12の団交」)。

[日本]ウィメンズ・アクション・ネットワーク(WAN)とその労働争議

ウィメンズ・アクション・ネットワーク(WAN)について

 昨年、日本で、「ウィメンズ・アクション・ネットワーク(WAN)」というフェミニズムの総合サイトが出来ました。今の日本にはフェミニズム系のサイトは比較的少ないのですが、そうした中で初めてできた総合サイトでしたから、私も、2~3日に一度は見るようなり、多くのことを学んできました。

 WANのサイト本体には、現在のところコメント欄はありませんが、昨年12月、「WAN裏方日記」というブログに、「ご感想などお待ちしています」という記事が出て、「このブログのコメント欄に、WANの記事に対する感想を書いていただけたらうれしい」という趣旨のことが述べられていました。

 そこで私は、今年の1月3日、以下のようなWANについての感想を、ブログの最新の記事(1月1日付)のコメント欄に書き込んでみました(実際には、ブログのコメント欄の字数制限の関係で、2回に分けて書きましたが)。



 私は会員でも女性でもありませんし、個別の記事に対する感想でなくて申し訳ありませんが、私の場合ですと、やはり深刻な事態がリアルに述べられた記事、たとえばシングルマザーや非常勤職員についての文が、現実を突き付けられる感じがして、印象に残っています。それから、衆院選の公開質問状はヒットだったと思います。マスコミでは、女性に関する争点がわかりませんでしたから……。

 また、本について著者や読者が語る記事があることは、ユニークだと思います。「この本を読んでみよう」と思った記事がいくつもありました。

 その他にも、私には、このサイトがなければ出会えなかった文章がたくさんありました。個人サイトでできるだけ多くの方が発信することは今後ますます重要になってくる思いますが、すべての人がすべての問題を個人サイトで発信するわけにはいかないことを考えると、総合サイトの役割もけっして少なくないと感じました。

 ただ、総合サイトの場合、書く人と作業する人が別の場合が多いので、負担の片寄りから来る無理が生じないか心配ですが、その意味で、WANの労働組合がサイトに掲載されているのは、きちんとしておられると思いました。良心的だと言われるNPOや出版社でも、労働問題はうまくいっていない場合が多いとうかがっていますが、この点でも、WANが模範になれば──といっても、もろちん試行錯誤が必要なのでしょうが、労働問題を解決する試みについても伝えてくだされば、すばらしいと思います。

 あと、研究と運動を結ぶという意味では、研究者の方に自分の研究の問題意識を語っていただいたり、逆に運動家や生活者の立場から、研究への要望や質問を語っていただいたりする試みがあってもいいのでは? とか、ネットワークづくりという意味では、さまざまなサイトへのリンクをしてみてもいいのでは? とか(自分が会員でもないのに無責任に)いろいろ思いつきますが、今のままでも十分に意義があると思いますので、どうぞご無理をせずにやっていただきたいと思います。



 「WAN裏方日記」のコメント欄は承認制をとっており、上のコメントはまだ掲載されていませんが、これは、単にまだ承認されていないだけかもしれませんし、ひょっとすると私のコメント送信がうまくいかなかったのかもしれません(「送信しました」というメッセージは確認したのですが)。また、「WAN裏方日記」の文を読むと、個別の記事に対する感想を求めているようですので、私のコメントがそうした趣旨とは異なっているために承認されなかったのかもしれません。

[1月6日追記]
 私のコメントは、無事、承認されていました。

WANの労働争議

 それはともかく、私がコメントを投稿した翌日の1月4日、WANのサイトに、WANの労働組合「ユニオンWAN」の委員長・遠藤礼子さんが書かれた「WANはウェブマスター業務の外注化を撤回せよ」という記事が掲載されました(私は、一瞬、「ひょっとしたら私のコメントに答えてくれたのかな?」などと思いましたが、遠藤さんが「WAN裏方日記」をやっているわけではないと思いますし、偶然の一致でしょう)。

 遠藤さんの記事の内容は、ごく簡単に言えば、遠藤さんはWANにウェブマスターとして雇用されたけれど、昨年末でウェブマスターを辞めさせられるとともに、簡単には許されないはずの「労働条件の不利益変更」(具体的には、労働時間を半分にした上で、賃金を下げて、収入を今の1/4~1/5程度にまで減らされる)が一方的におこなわれた提案されているので(*)、それに抗議しているというものでした。

 ところが、その数時間後、この遠藤さんの記事は削除されてしまいました。

 そこで、「ユニオンWAN」は、新しいサイト「非営利団体における雇用を考える会(仮)― WAN争議を一争議で終わらせない ―」をお作りになり、削除された「WANはウェブマスター業務の外注化を撤回せよ!」(←遠藤さんの抗議の詳しい内容は、これをお読みください)という文も掲載しました。

 この「非営利団体における雇用を考える会(仮)」のサイトには、ほかにも、理事長が遠藤さんに記事の削除を通知なさったメールの中に事実と異なることが書かれていることを指摘した文(「理事長からのメール」)なども掲載されています。

 遠藤さんが関西圏大学非常勤講師組合の副委員長をやっていらっしゃた時には、私も、ごく短い間ですが、お世話になりました。遠藤さんはきっと今回も筋を通して、ハッキリものを言っておられるのだと思います。 

 といっても、私はWANの会員ではなく、その詳しい内情を知っているわけではありません。たぶん使用者側にも言い分があることと思います(ユニオンWANの記事の中にも、ある程度理事の方々の言い分も書かれていますが)。WANの理事の方で私が存じ上げている人は少ししかいませんが、その方々は、私の知る限り、とても誠実に学問や活動をなさってきた方々です。

 ぜひ、私がお送りしたコメントでも期待を表明させていただいたように、WANの方々には、ご苦労や紆余曲折はあると思いますが、遠藤さんにも納得がいくような形でこの争議を解決していただきたいと思います。

(*)[1月10日追記]この点については、当初の私の記述が不正確でした。お詫びして訂正いたします。遠藤さんの現在の状態は、簡単に言えば、WANが
 ・(合意や引き継ぎもせずに、いきなり)仕事を取り上げた(→この点はすでに行われた)。
 ・「よって、今後は他のことをやってもらい労働時間を半分にしたうえで、給料も下げたいがどうか」と言ってきたが、この点については、今のところ、まだ決定も実行もされていない。
 という状態だそうです。この点については、詳しくは、「非営利団体における雇用を考える会(仮)」のブログの記事「WAN争議の論点整理(1)」(労働条件の不利益変更)をご覧ください。

[2012年2月9日追記] この争議のその後については、「ウィメンズ・アクション・ネットワーク(WAN)の労働争議・まとめ」というサイトをご覧ください。

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