2017-06

女性権益公益弁護士ネットワークの挑戦

 女性権益公益弁護士ネットワーク(2007年1月~)のサイトが、この3月に開設されました(「婦女権益公益律師網絡」)。
 このネットワークは、Open Society Instituteの資金援助を受け、北京大学法学院女性法律研究・サービスセンターが具体的に管理・実施するプログラムです。2007年1月に開始され、長期的におこなわれるもののようです。

 「公益訴訟」の定義は論者によってさまざまのようですが、このサイトではおおむね、個人の利害だけにかかわるのでなく、ある集団全体(あるいは社会全体)にとって意義のある訴訟という、広い意味で用いられているようです。
 たとえば、「世界の著名なジェンダー公益訴訟の事例」として挙げられているものを見ると(「世界著名性別公益訴訟案例選」)、日本の訴訟では、住友セメント事件(結婚退職制)と日産自動車事件(差別定年制)の2つが挙げられています。
 ただし将来的には、「公益訴訟制度」として、個人でなく団体が訴訟を起こせるような制度も視野に入れているようです。

 さて、このネットワークは、次の3つの機能を持つとのことです(「婦女権益公益律師網絡介紹」)。
 1.公益訴訟の実践。具体的には、ある領域(たとえば農村の女性の土地権益)について、全国各地で同一の類型の訴訟をすることによって、社会的な(立法部門と法律執行部門を含めて)関心を集め、立法と政策の改革を推進する。
 2.公益弁護士の隊伍の養成。訓練・訴訟の実践・シンポジウムなどを通じておこなうようです。
 3.公益訴訟の理論的探求と研究。そのための学習と交流の場になる。

 具体的には、以下の活動をするとのことです。
 1.サイトの開設。
 2.『女性権益公益弁護士ネットワーク月報』の発行。
 3.公益法と公益訴訟の研修。
 4.女性の権益の5つの重点領域(女性労働者の権益、農村女性の土地権益、家庭内暴力、職場の性差別、職場のセクハラ)で25の公益訴訟事件を取り扱う。
 5.「中国女性権益公益訴訟年次フォーラム」を今年終わりか来年初めに開催する。
 6.「女性権益公益弁護士年次人物」の選出

 このサイトには、『女性権益公益弁護士ネットワーク月報』もすでに3期収録されています(「網絡月報」)。
 第1期は、発刊の言葉などを収めています。
 第2期は、職場でのセクハラ事件についての特集です。
 第3期は、公益訴訟に関する、さまざまな専門家の見解が収められています。「公益訴訟とは何か?」「なぜ公益訴訟が必要なのか?」「誰が公益訴訟を起こすのか?」「どのようにして公益訴訟をおこなうのか?」などの点について論じたあと、「結語」で、公益訴訟の意義は単に裁判に勝つことだけでなく、弱者層が声をあげ、人々を立ち上がらせ、教育し、長期的に社会を変えていくことにあることが強調されています。
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