2017-08

「すてっぷ」の役員と研究者の社会的責任

 バックラッシュ勢力に屈した豊中市によって女性センターの館長の座を追われた三井マリ子さんの裁判の件ですが(事件の概要この裁判を支援する会のHP)、三井さんを直接雇い止めしたのは、その女性センター、「とよなか男女共同参画推進センター・すてっぷ」の理事会です。

 先日、その理事会の理事や評議員の名簿を見て、私はいささか驚きました。
 伊藤公雄氏や藤枝澪子氏といった女性学やジェンダー論の著名な研究者が、理事の一員だったからです。伊藤公雄氏は、バックラッシュ反対の立場で論陣も張っておられます。また、理事と違って決定権はありませんが、評議員の中にも著名な研究者がおられるようです。
 これはどうしたことでしょうか? 私は、「研究者の社会的責任」という観点から見て問題でないかと思うのです。ご承知のように、研究者の社会的責任は、核兵器や公害・薬害などの問題をめぐってたびたび社会的にも問題になってきました。私はいちおう歴史学が専門なのですが、学生時代は「何のための歴史学か、誰のための歴史学か」という議論をいろいろした覚えがあります。まして女性学やジェンダー論は、当初から女性解放やジェンダー関係変革のための学問として登場してきました。

 最近は大学の先生は多忙化していて、なかなか社会的活動の時間が取れないということをよく聞きます。だから、三井さんの雇止め事件についても、十分調べる時間がないのかもしれません。あるいは、いろいろ文献を読んだけれども、三井さんの言い分には納得できないという方もいらっしゃるかもしれません。また、理事会のようなところは私にとっては雲の上の世界なので、私などには分からない事情ももちろんあるでしょう。
 しかし、いずれにせよ黙っているだけでは、研究者の社会的責任を果たしているとは見られないように思うのですが、どうでしょうか? 著名な研究者の権威を隠れ蓑にして、行政が悪いことをするのを助けることにもなりかねないと思います。へたをすると、女性学やジェンダー論自体に対しても不信感を持たれてしまうのではないでしょうか?

 「理事」といっても、何もそれで生計を立てているわけではなく、ボランティア的なもののようです。でも、だからこそ自由な立場で発言できるのだと思います。もちろん内部ではあれこれ意見を言っておられることと思いますが、公に意見を言っていただけると良いと思います。
 実際、女性学研究者である評議員の小松満貴子氏は、この事件について公に意見を発表しておられます。しかも、三井さんを支持する立場からの意見です(「『館長雇い止めバックラッシュ裁判―原告・三井マリ子さんのお話を聞く』に参加して」)。

 この事件がバックラッシュ勢力による雇止めならば、きわめて重大な歴史的事件であることは論をまちません。他の理事や評議員の皆様も、ぜひこの事件を十分研究し、できればご意見を発表してほしいと思います。
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