2017-11

アステラス製薬男女差別裁判・勝利和解!

 昨日、アステラス製薬男女差別裁判(原告・仙頭史子さん)の和解協議に行ってきました。
 和解協議は非公開でしたが、すぐに終わり、ついに和解が成立しました。
 仙頭さんが提訴したのは2002年3月27日ですから、それからちょうど5年目となる日でした。

 仙頭さんの勝利和解です。和解条項のポイントは以下のとおりです(読みやすくするために少し工夫してありますが、文意はまったく変えていません。原文は「支援する会」のHPをご覧ください)。

(1)和解条項には、次のような前文が付いています。「原告と被告は、裁判所から『本件審理の結果、被告(アステラス製薬)において、原告(仙頭史子)の処遇と、原告と同時期入社同学歴男性の処遇との間に格差が存在したことが認められ、これを是正すべきである』との指摘を受け、次のとおり和解する。」
 すなわち、「是正すべき」男女格差の存在が明確に認られました。

(2)「被告は、原告に対し、本件の解決金として2500万円を支払う。
 公表されたもののうちでは、1人当たりの和解金額としては、過去最高だそうです(たしか「男女賃金差別裁判の和解としては」という意味だったと思います)。

(3)「被告は、従業員の処遇について、今後とも男女の性別を理由とする差別が生じないように、原告を含む従業員の今後の処遇について、誠実に対応する。
 今後「とも」と書いてある点は気になります。けれども、「原告に金を払って終わり」ではなく、他の女性を含めて今後の処遇について言及していることは重要だと思います。

 この裁判は、会社が資料を出し渋ったために5年かかりました。しかし、一審判決前の和解であるという意味では、早期解決という点で意義があるということも当日の集会で語られていました。
 集会では、仙頭さんは、定年まで4年あるので、上の(3)の点を生かして、職場から男女差別をなくすよう頑張るという今後の決意も語っておられました。
 弁護士さんは、勝利の要因として、1.営業職に挑戦するなど、一貫して男女差別を許さない仙頭さんの頑張り、2.支援の力、3.住友などのこれまでの男女差別是正裁判の到達点、を挙げておられました。

 2の点に関して言えば、実際、この裁判で支援がぐんぐん広がっていくさまは、すごかった。最初は、傍聴者も10数人で、「支援する会」の結成総会にいったい何人集まるのか心配していたことも思い出されます。それが、昨年秋の証人尋問の時には、4回とも100人収容の大法廷がだいたい満員でした。
 その陰には、「支援する会」の方が、さまざまな団体に地道に支援要請に行かれたり、大阪争議団共闘会議に参加するなどして支援を広げていったことがありました。事業所や研究所、本社をはじめとした全国でのビラまき、支社への申し入れなどの活動も半端なものではなかったようです。
 私は傍聴に行っただけで、ビラまきなどに参加することはできなかったのが残念ですが、「男女差別許すな、労働者の人権まもれ」というパワーは大変なものでした。

 3の点では、当日の集会でも、支援する会の北之橋会長や支援対策会議の服部議長のほかに、住友金属元原告の北川清子さんやワーキングウィメンズネットワークの正路会長(住友化学・住友電工の方が東京の兼松の裁判に行っていたので、その代わりだとおっしゃっていました)、住友生命の元原告の方もお祝いの言葉を述べておられました。
 また、このブログでもう一つ報告している「館長雇止め・バックラッシュ裁判」(原告・三井マリ子さん)とも少し関係があります。というのは、二つの裁判は同じ裁判長(山田陽三さん)なのですが、「館長雇止め~」裁判が、大法廷を要請する運動を粘り強く繰り広げたことが、こちらの裁判の証人尋問での大法廷実現の一助になったからです。

 裁判の内容については、すでにこのブログでも何度か報告しましたので、以下、若干繰り返しになりますが、簡単に説明します(「勝利和解にあたっての声明文」などをもとにして書いています)。
 仙頭さんは大阪府立工専を卒業後の1973年、旧藤沢薬品に入社し、17年間、研究所で分析・理化学基礎研究に従事してきました。
 当時の賃金体系は、男性のみを昇格・昇給の対象としていたため男女の賃金格差は広がる一方でした。
 仙頭さんは、『このままではいつまでも男女差別を受け続ける』との思いから、1990年営業職に転じ、女性初のMR(医薬関連情報担当者)になりました。しかし、男性と同一の職務に就き、同僚男性に劣らない営業成績をあげても資格や賃金の是正は行われませんでした。
 それどころか、1997年の給与体系の変更で営業職が総合職コース(C職)に確定し、『これで差別が是正される』と期待した矢先に子会社への出向を命じられ、一般職(B職)に格付けられました。
 仙頭さんと同期・同学歴の男性は、入社後平均14年で主任に、22年で管理職に登用されるのに対し、仙頭さんは入社後27年でやっと主任に登用されるなどの著しい男女格差に我慢の限界を感じ、大阪地裁に提訴しました。

 裁判では、会社は男女差別的な賃金体系であったことを否定し、「採用区分」「職務区分」などのいわゆる「コース別」賃金体系だったと主張しました。また、二度にわたる賃金体系の改定によって「男女や学歴などの属人的要素を廃し、能力にもとづく賃金体系を確立した」とも主張しました。
 けれど、二度にわたる賃金改定によっても、男女別学歴別の賃金カーブはまったく変わっていません。すなわち、制度改定を隠れみのにして、運用面で男女別考課をおこなうことで、男女別賃金体系を維持してきたことが当時の資料から明らかになりました。
 こうした事実によって、「採用区分」「職務区分」などのいわゆる「コース別」賃金体系は、「にせコース制」であることが明らかになりました。

 今日、多くの企業では、当時の藤沢薬品よりもさらに巧妙なコース制を導入していると思います。また、パートや派遣などの非正規雇用の活用も多くなりました。
 けれども、「採用区分」「職務区分」「雇用形態」などを口実にして、女性を差別し、男性をも低賃金に押さえ込むというやり方は何ら変わっていないと思うのです。
 その意味で、私も微力ながら、この裁判の成果を受け継ぐような活動を頑張りたいと思います。
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