2017-04

三井マリ子さんの裁判に関する読書会

 昨日、私が入っている日本女性学研究会のある分科会で、「館長雇止め・バックラッシュ裁判」の原告の三井マリ子さんの『陳述書』の読書会があったので、参加してきました。
 三井さんのHPのなかにある「Fem-News」は、私がこのブログを始めるヒントになりましたので、三井さんとその裁判については、このブログの最初の記事である「開設にあたって」でも少し触れました。

 三井さんは、豊中市の女性センターの初代館長に全国公募によって選ればれ、全力を尽くして仕事をなさいました。
 しかし、旧来の性別分業に固執して男女平等の推進に反対する勢力(バックラッシュ勢力と言われている)の攻撃を受け、行政もそれに屈したために、館長の座を追われてしまいます。この背景には、女性センターで働く多くの女性が非常勤職員であるという問題もありました(仕事が一時的だから「非常勤」なのではなく、賃金や雇用契約において権利を抑圧するために、「非常勤」にされているのです)。

 この『陳述書』を読んで私が強く印象に残ったのは、三井さんの館長としての素晴らしい仕事ぶりです。三井さんは、「館長出前講座」と言って、自ら公民館や学校に出かけて話をして回ったり、英語でフェミニズムを教える手作りの講座の講師を毎年つとめたりしました。また北欧から数々の要人を招いて、自ら通訳や司会もやる企画を何度も成功させたり、自分で集めてきた欧州各国の女性運動のポスター約100枚に一枚一枚解説を付けて展示したり‥‥。こんな館長さん、他にいますか?
 それだけに私は、三井さんが館長の座を追われたことは悔しく残念で、バックラッシュ勢力とそれに屈した行政は許せないと思いました。
 また、三井さんを追い出す目的が「男女平等の推進に反対する」という反民主的なものであるだけに、その手段も反民主的で汚い。バックラッシュ勢力は、「三井館長は『専業主婦は知能指数が低い人がすることで、専業主婦しかやる能力がないからだ』と言った」という根も葉もない噂を流しました。豊中市も、「三井さんは最初から3年契約だった」などと真っ赤な嘘を言って、三井さんに隠れて後任の館長を探したりしました。

 昨日の読書会には、地元の豊中市で女性運動をしている方もおいでになり、豊中市の女性センターや女性運動や行政の状況をいろいろ教えてくださいました(その方は、「ここは女性学研究会だけど」と前置きしつつ、「女性学を研究している人が女性運動を十分サポートしていない」という批判もなさいました)。また、裁判所にわざわざ証人尋問の記録を読みに行かれた方からもお話しが聞けました。
 私はそうしたお話を聞いて、研究会などで女性センターを利用するだけでなく、女性センター自体が置かれている状況をもっと知らなければならないこと、地元の運動が大事であることを改めて感じました。女性運動と女性学の関係も、まさに私がいま模索している課題です(自分は男性だという問題も別にありますが)。また裁判所についても、市民の権利として活用できる点については積極的に権利を行使するべきことの手本を示された思いでした。

 上の『陳述書』は裁判所に提出した文書ですが、三井さんが自分の体験を自分の言葉で書いておられ、裁判用語はまったく使われていません。難しい理論ではなく、三井さんの身近に起きた事実の積み重ねによって記述されているので、迫力と説得力があります。また、事件やその背景について何も知らない裁判官に理解してもらうための文書ですから、とてもわかりやすく書かれていて、一気に読めました。
 『館長雇止め・バックラッシュ裁判原告・三井マリ子 陳述書』は、111ページの冊子で、カンパ込みで800円です。この裁判を支援する会で販売中であるほか、大阪のドーンセンターにある「ウイメンズブックストア・ゆう」などで発売中ですから、ぜひ皆さんもお読いただければ、と思います。
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