2017-06

同性愛者などの人権のための初の正式の学生団体

 昨年10月12日、中山大学に「レインボー社(彩虹社)」が設立されました。
 これは、中国内地の大学で初めて正式に登録された、同性愛やバイセクシュアルの人々の人権のための学生社団(結社団体)です。
 (「ニュース」というわりには、少し古い話が多くて、申し訳ありません。ただ、私としては、私が『中国女性史研究』に連載させていただいている「現代中国女性史年表」に書く可能性がある事項は、たとえ遅くなっても掲載するという方針でこのブログを書いています。)

 「レインボー社(彩虹社)」は、学生の廖明珠さんが責任者で、この記事(「“彩虹”進校園 倡“性向平等”」『羊城晩報』2006年11月30日)には、同社の旗であるレインボーフラッグが中山大学の珠海校区の教学棟にひるがえっている写真や全社員大会の写真も掲載されています。

 彩虹社の前身は、2005年に設立された「クイア研究グループ(酷児研究小組)」です。このグループは、広州の中山大学ジェンダー教育フォーラムの艾曉明さん(中山大学教授)が呼びかけて設立されました。そのメンバーは、主に艾さんの講義を受けていた学生とセクシュアルマイノリティーに関心を寄せる学生だったそうです。
 このグループは、同性愛に関する学術フォーラムや映画の上映、エイズ予防の宣伝活動のほか、広州の同性愛組織と連携した活動もしたようです。

 けれど、「クイア研究グループ」は正式の団体でなかったため、活動に困難が多かったとのこと。艾曉明さんへのインタビュー(「消除歧視,性向平等──艾曉明教授談彩虹社」2000-11-02)によると、公然とポスターを張ったり、公の宣伝コーナーで活動情報を公表したりすることもできず、教室を取るもの別の名義で取っていたそうです。
 そうしたところから、正式に登録した社団を設立しようという話が出てきました。登録すると、他の団体同様に、活動経費を申請したり、学校の公共の場を使ったりできるようになります。
 学校の関係部門に登録の申請したところ、一度は却下されましたけれど、艾曉明さんの力添えもあって設立が認められたとのことです。

 登録の申請の際の文書によると、「この社団の趣旨の一つは、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)の人権工作に力を尽くすこと」だそうです。艾曉明さんは、「社団の活動は、主にみんなに『クイア理論』を理解させて、過去の偏見を反省し、どのようにして偏見を克服するかを討論することにある」と述べています。
 そのメンバーになるには、自分が同性愛やバイセクシュアルでなくとも、情熱と工作能力がありさえすればよいそうです。
 やはり映画の上映や、学術講座、エイズ防止のため宣伝、同性愛組織との交流などを計画しているとのことです。

 「レインボー社」のことを、「同性愛社団」というふうに述べた報道もありました。李銀河さんもブログで、「全国最初の同性愛社団が中山大学で正式に設立され、登録に成功した」と言い、「これは、真に祝うに値することであり、ひとつの一里塚になる事件であり、歴史の進歩である。彼らは歴史を創造している」と評価しています(「祝賀全国第一個同性恋社団成立」2006-10-29)。
 ただ、「同性愛社団」というと、同性愛者が集まった組織というふうに思われがちで、そう思われると社会の偏見をまともに浴びることになるからか、廖明珠さんは、レインボー社は「同性愛社団ではない」と言って、その学術的・公益的な性格を強調しています。廖さんは反響の大きさに戸惑っているようで、校外の組織との交流も否定するなど、その発言には若干防衛的なニュアンスがあるように見えます(「中大彩虹社並非同性恋社団」新華網広東頻道2006-11-03)。

 『新民週刊』がその後、艾曉明さんと李銀河さんにインタビューをしていますが、ここで、艾さんは、むしろ「同性愛」ということを前面に出して偏見に挑戦をする姿勢を示しています。李さんも、同性愛に対する差別がまだ強い中で、レインボー社のような同性愛差別に反対する正式の社団が初めて大学に設立されたことの意義を強調しています。(「走近国内首家同性恋学生社団」2006-11-10)。

 まだ大変に困難な状況もあるようですが、そうした中でこの社団が設立されたことは、文字通り「一里塚」としての意義があると思います。
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