2017-11

トランスジェンダーの就職差別、労働紛争訴訟と人格権訴訟の両方で勝訴

<目次>
はじめに
1 労働人事仲裁委員会の調停は失敗
2 労働人事仲裁委員会の裁定、Cさんの訴えを認めず
3 裁判でCさん勝訴――違法な解雇と認定、トランスジェンダー差別とは認定せず
4 人格権訴訟も起こす
5 この裁判でも Cさん勝訴――平等な就業権を侵害したと認定
6 書面による謝罪は認められず、控訴
7 Cさんのこと――子どもの頃からのいじめ、提訴への無理解、自分の性別への模索
おわりに

はじめに

ここ2年ほど、中国でもトランスジェンダーの運動が活発化している。

まず今回は、トランスジェンダーに対する解雇裁判についてご紹介したい。この裁判は、解雇の違法性と平等な就業権の侵害を認めさせた裁判である。

2015年4月、トランスジェンダー男性(FtM)のCさん(1)は、貴陽慈銘健康診断センター有限公司(以下、慈銘と記す)に就職したが、7日後、もう来なくていいと通知された。

Cさんがその原因を会社に尋ねたら、「男装は、会社の要求に合致しない」と言われた(2)

最初Cさんが会社の人力資源部主任に面接を受けたとき、その主任はCさんを見て、妙な気がして、同性愛者ではないかと思ったという。その主任は、「私たちは健康診断に従事している会社なのに、もし職員が不健康だったら、なんで顧客にサービスできるのか」とも言った。

Cさんはその時の会話を録音していて、のちに裁判で証拠として提出することになるのだが、主任に対して、Cさんは、「私はトランスジェンダーであり、同性愛者ではない。また、絶対に健康に問題はない」と言った。しかし、無駄だった。

1 労働人事仲裁委員会の調停は失敗

2016年3月7日、Cさんは、この件について、貴陽市雲岩区労働人事仲裁委員会に労働仲裁を申請して、慈銘に対して、賃金と賠償金の支払いと公開での謝罪を求めた。14日、Cさんの訴えは受理された(3)

3月30日、調停がおこなわれた。慈銘は、試用期間中の賃金を支払うことには同意したが、公開での謝罪と経済的賠償を拒否したため、調停は失敗に終わった。

レズビアンなどの団体である「同語」の代表の徐玢さんは「セクシュアル・マイノリティの中の、少なからぬ人が就職差別を受けているが、トランスジェンダーの場合はより顕著だ。なぜなら、隠すことが難しいので、いったん見つかったら、解雇される可能性が極めて高いからだ」と述べている(4)

2 労働人事仲裁委員会の裁決も、Cさんの訴え認めず

調停が失敗したので、4月11日、労働人事争議仲裁委員会は、仲裁法廷を開いて審理をおこなった。

慈銘は、Cさんが制服を着なかったことが辞めさせた主な原因であると言った。さらに、Cさんは仕事を学び始めたばかりであり、本当に出勤したと言えるのは二、三日であるとも主張した。

それに対してCさんの弁護士は、制服は、慈銘が支給しなかったことを述べた。また、Cさんはすでに9日間、仕事をしており、試用期間は過ぎていると主張した。そして、慈銘がCさんをやめさせたのは、トランスジェンダーに対する差別であるとして、その証拠になる録音を提出した(5)

しかし、5月9日の労働人事仲裁委員会の裁決は、Cさんの訴えを証拠不十分として退けるものだった。

3 Cさん勝訴――違法な解雇と認定、トランスジェンダー差別とは認定せず

Cさんは、仲裁の結果を不服として、貴陽市雲岩区法院に訴訟を起こし、慈銘に対して7日分の賃金と経済的賠償を求めた。

6月17日、貴陽市雲岩区法院は、この事件を審理した。

慈銘は、Cさんの「試用職員の仕事の評価表」と「労働組合小組の会議の決議」を提出して、それによって、Cさんの仕事ぶりは採用基準に合致していないことを証明しようとした(6)

しかし、Cさんとその弁護士は、会社は、上記の2つの文書を仲裁の際には提出していないことから見て、訴訟が始まった後で捏造した疑いがあると主張して、文書の鑑定を要求した。そのため審理は中断されたが、裁判所が指定した西南政法大学司法鑑定センターでは、文書の真偽は確定できなかった(7)

次の12月14日の審理では、Cさんとその弁護士は、慈銘がCさんをやめさせた手続きが合法であることを主張するために持ち出した「労働組合小組の会議の決議」は、労働組合の構成が違法だから、無効だと指摘した。なぜなら、「『貴州省労働組合条例』の規定によると、労働組合の主席は、会社の人事責任者であってはならないにもかかわらず、慈銘の労働組合主席は、会社の人事責任者の金某である」からだ。

また、Cさんは、「慈銘が提出した証拠は他の従業員の試用期間は2か月であることを示しているというが、私の試用期間の評価表は、明確に試用期間は4日であると書いている。だから、私は辞めされたときには正式の従業員だった」と主張した(8)

さらに、この日の法廷には、「中国反就業差別法(専門家意見稿)」(9)の起草者である中国政法大学・劉小楠教授をCさんが招いて、専門家として証人になってもらった(10)

12月30日、Cさんは、貴陽市雲岩区法院が民事判決書(作成日は12月18日)を受け取った。判決は、慈銘がCさんとの労働関係を解除したのは違法だと認定し、慈銘に対して、Cさんに賃金438元のほか、賠償金1500元を支払うよう命じるもので、Cさんの勝訴だった。

判決は、原告と被告との争点を以下の3点だとした。
(1)双方の労働紛争が起きたのは、試用期間なのか、契約期間なのか?
(2)被告は原告との労働関係を解除したのは、違法か否か?
(3)被告が原告との労働関係を解除したのは、トランスジェンダーという身分に対する就職差別なのか否か?

裁判所は、それぞれの争点に関して、以下のような判断を下した。

(1)労働契約法は、試用期間を決めるためには、双方が書面の労働契約に署名しなければならないと規定している。ところが、慈銘はCと書面で労働契約を締結していないので、本裁判所は、Cは2015年4月21日に慈銘に入職し、労働関係を打ち立てたと認定する。したがって、双方の労働紛争が起きたのは、契約期間内である。

(2)慈銘は「試用期間の職員の仕事の評価表」と「労働組合グループの会議の決議」にもとづいて、Cが一日、無断欠勤したと言っているが、出勤記録を提出していない以上、慈銘が提出した証拠からは、契約が解除可能な状況だったとは認定できない。慈銘は労働契約法の規定に違反してCさんとの労働関係を解除したと言えるのであり、経済補償金の2倍を原告に対して賠償金と経済的補償として支払わなければならない。

(3) Cが提出した録音によると、Cと慈銘の職員の楊某との会話はCがトランスジェンダーであることにも触れている。しかし、楊某は被告の企業の一般職員であり、その言論は企業の意見を代表しているとは言えないので、原告が「被告は原告との労働関係を解除したのは、慈銘のトランスジェンダーという身分に対する差別だ」と主張している点は、認定することができない(11)

勝訴は画期的だが、人事の責任者を「一般職員」とみなしていいのかは疑問だ。

また、原告の弁護士の黄沙さんは、賠償金額についても、「この事件は、企業の法律違反のコストが非常に低いことを示している。だから現在の就職差別の状況が非常によくないのだ」と指摘した(12)

4 人格権訴訟も起こす

Cさんは、今回の訴訟を起こした最初の日から「私は金のためにこの裁判を起こしたのではない」と言ってきた。実際、Cさんは、この訴訟において、終始、被告の会社に謝罪を求めてきた。

Cさんは、もしも会社が「私たちは多元的ジェンダーの人々を差別せず、すべての人の性的指向、ジェンダー表現、ジェンダー・アイデンティティを尊重し、彼/彼女らに平等な就業権を与える」と公に声明したら、訴訟を撤回してもいいと思っていたほどだ。しかし、会社は、今に至るまで、自分が誤りを犯したことや差別の事実を認めていない(13)

だから、2017年2月9日、Cさんは、裁判所に、この事件を一般人格権事件としても審理するよう申請した(14)

なぜ「一般人格権訴訟」にしたのかというと、中国の現行の法律の枠組みには、「就職差別」という訴因がないので、就職差別という権利侵害については、一般人格権紛争として訴えるしかないからだという。「一般人格権」とは、人格の独立、人格の自由、人格の尊厳を主な内容とする人格的利益のことである(15)

2017年4月20日、その裁判の法廷が開かれた。20名あまりの傍聴者が来たが、法廷が狭かったため、傍聴者の半数は法廷の外で待たざるをえなかった(16)

Cさんは、慈銘は平等な就業権と人格の尊厳を侵犯したので、書面での謝罪と慰謝料5万元を支払うように求めた(17)

この日は、王永梅弁護士、劉明輝弁護士(劉明輝弁護士は、中華女子学院法学院教授でもある)が訴訟代理人として出廷した。

それだけでなく、西南財経大学法学院副教授で、国務院とILOのプロジェクトである「中国のILO111号条約実施を促進する専門家委員会」でも専門委員をつとめた何霞さんが、専門家補助人と出廷し、多元的なジェンダーと法律について裁判官に詳しく説明した。

何さんは、まず、「性別アイデンティティ(性別認同)」、「性別表現(性別表達)」などの一般的概念について説明した。そのうえで、「性別」概念というのは、男女両性に限られたものではなく、多元的性別という内容を包括したものであることを指摘した。そして最後に、「性別アイデンティティと性別表現による差別も、性差別にあたる」と述べた。この何さんの証言は、この事件の判決の中に、「労働法」と「就業促進法」の中の性差別禁止に関する条項を適用するための学理的基礎を提供するものだった(18)

裁判では、証人として心理カウンセラーも出廷し、Cさんが仕事を辞めさせられたために、心身に損害をもたらしたことを立証した(19)

その一方、慈銘は、Cさんを辞めさせたのは、試用期間に会社の基準と条件に合致しなかったためであり、会社には従業員を選択する自由があると主張した。慈銘は、Cさんが自分は差別されたと言っているのは、一方的な憶測にすぎないと述べた(20)

5 この裁判でも Cさん勝訴――平等な就業権を侵害したと認定

7月26日、貴陽市雲岩区法院は、被告の慈銘が原告のCさんの平等な就業権を侵犯したことを認定し、正当な理由なくCさんに対する労働契約を解除したことに対して、被告に対して慰謝料2000元を支払うよう命じる判決を下した。

判決は、慈銘が労働契約を解除した本当の原因は慈銘自身にしかわからないとした。しかし、慈銘がCさんとの労働契約を解除することが可能だったのはCさんが任に堪えない場合のみであるにもかかわらず、慈銘は証拠を示してそれを立証できなかったと指摘した。判決は、この案件において、Cさんは支配される地位に置かれているのだから、もしその立証責任をCさんに押し付けるならば、事実上立証は不可能になって、労働者が自分の権利を守る際に障害を置くことになり、労働者の権益を保護するのに不利であり、社会の進歩に不利であると述べた。

判決は、それゆえ、慈銘が合理的理由なしにCさんとの労働契約を解除したことは、Cさんの平等な就業の権利を侵犯したことであり、Cさんの自信を失わせ、気持ちを落ち込ませ、自己を否定させるなど、Cさんの精神に一定の損害を与えたと認定した。判決は、この案件の実際の状況を総合すると、慈銘のCさんに対する慰謝料は2000元であるとした(21)

6 書面による謝罪は認められず、控訴

ただし、判決は、Cさんが慈銘に謝罪を求めたことに関しては、「原告が被告に要求した、公開の書面の形での謝罪の請求は、根拠が不足しており、本裁判所は支持しない」と述べた。

この点について、劉明輝弁護士は、以下のような批判をしている。

「中華人民共和国権利侵害責任法」第15条には、「権利侵害責任を引き受ける方法」の一つとして「謝罪」が規定されている。最高人民法院の「民事権利侵害・精神的損害賠償責任の若干の問題に関する解釈」(法釈[2001]7号)第8条も、「この司法解釈が列挙する各項の権利と利益の侵害については、被害者は謝罪を請求することができる」と規定している。

裁判所は慈銘がCさんの権利を侵害したと認定しており、「権利侵害責任法」の規定は「謝罪」の法律的根拠を提供している。「根拠が不足している」という結論は、どこから来たのか?

このことは、よくある次のようなシーンを連想させる。強者が弱者を傷つけたにもかかわらず、謝罪を拒否し、弱者に紙幣を投げつけて、大手を振って去っていく。このような慣性的な思考は根が深い。金によって片を付ければいいと考えて、被害者がその紙幣から、強者の弱者の人格的尊厳に対する二次的侮辱を感じることは考慮しない。裁判所が謝罪の請求を支持しないことは、人格の尊厳に対する軽視と金によって片をつけるという慣性的な考え方を感じさせる。

わずか2000元は被告の会社にとっては些末な金額であり、まったくとるに足りないものである。就職差別をなくし、セクシュアル・マイノリティを含めた一人ひとりの平等権を尊重するという戦略的意義から見て、この裁判が本来もたらすことができる社会的効果は、謝罪の要求を認めないことによって大きく損なわれた。

劉弁護士は、2016年9月、高暁さんがコック見習い募集において女性であることを理由にして不採用を訴えた裁判の二審判決が会社側に謝罪も命じたこと(本ブログの記事「就職の男女差別裁判で、会社の謝罪も命じる初の判決」参照)も引き合いに出して、謝罪も命じた判決を出す必要性を説いている(22)

Cさんは、謝罪の請求が認められなかったため、貴陽市中級人民法院に控訴した(23)

7 Cさんのこと――子どもの頃からのいじめ、提訴への無理解、自分の性別への模索など

この事件については、『ニューヨークタイムス』も報道したが、その『ニューヨークタイムス』の中国語ネットがCさんにインタビューしているので、以下、その内容の一部をご紹介したい(小見出しは私が付けました)。

Cさんのこれまで

Cさんは、生理的には女性だが、自分は男性だと認識している。Cさんは、髪型や服装は男性の装いをしてきていて、女性であることを示すものを身に着けることを嫌ってきた。

そのため、Cさんは、かつて、長年学校で同級生に殴られたり罵られたりされてきて、以前は父母とも喧嘩をしていた。

10年前、大学に通っていたときに、Cさんは「貴州黔程工作組」(微博博客)を設立し、貴州のセクシュアル・マイノリティに心理カウンセリングや宣伝活動をしてきた。経費はどこからも出ないし、活動の場所もなかったが、自腹を切って長年活動を続けてきた。

今は、Cさんは、北京の「同語」という多元的なジェンダーに関心を寄せる団体(もともとはレズビアン団体)に経費を申請して、毎月約2500元の活動資金と賃金をもらっている。Cさんの希望は、正規の部門が彼の事業をサポートすることで、最終的には商工登記を申請して、法律で認められたNGOを作ることだ。

提訴に対する社会やLGBTコミュニティからの圧力

2016年2月、Cさんが法律の学習会に参加したときに、自分の職場での経験を話したところ、反就業差別法の専門家である劉小楠先生に、「それは、道理から言えば、法律に違反している。このことで裁判をしてみる気はないか」と言われた。それがきっかけでCさんは今回の裁判を起こした。

当時、Cさんの提訴を報じた新聞のタイトルは、「装いが個性的すぎるので、女子が会社を辞めさせられた」(24)とか「貴陽の28歳の女子が『外観がセクシーすぎるので』会社を辞めさせられた」(25)といったものだった。

また、当時付いたコメントも、すべてCさんを罵るものだった。「この写真は明らかに男なのに、なんで女なのか」とか、「もし女がこんな格好で我々の会社に来たら、私は絶対やめさせる」とかいうものだった。

LGBTコミュニティの中でも、Cさんは悪く言われた。「Cさんのような行為が私たちを誤解させる。あなた一人によって私たちみんなが悪影響を受けた」と言われたのだ。同じ「兄弟」(FtMのトランスジェンダー)たちからも、こんなことは止めてくれと言われたという。なぜなら、多くのトランスジェンダーは、おとなしくして、自分がそうした人だということを他人に知られたくないようにしていたからだ。

トランスジェンダーの中には金星(著名なダンサー。男性から女性への性別適合手術を受けた)のような人はほとんどいない。また、金星は自分をトランスジェンダーだとは言っておらず、性転換者であり、女だと言っていた。

Cさんには、コミュニティの中からも悪く言われたことが特につらかった。当時、Cさんには仕事がなく、生活を支える金がなかった。会社側からも圧力を受け、コミュニティからも圧力を受け、社会からも圧力を受け、親戚友人からも圧力を受けて、まわりはすべて真っ暗のように思った。Cさんは自分が死んで終わりできたら、と思った。

黒龍江の男装しているレズビアンから共感の声

しかし、北京の「同語」など若干のコミュニティ団体の代表が支えてくれた。

Cさんは、最初は記者の取材も断っていたが、支援している先生方に「あなたのこの裁判はもともと世論を動かすためのものなのに、記者の取材を断るとは……」と言われて、記者の取材に対しても、率直に誠実に話をするようにした。

また、裁判を起こした後、あるときモザイクをかけ忘れて、連絡先を公開してしまったら、黒龍江の男装しているレズビアンが、Cさんに、「私もあなたと同じような目にあった。あなたの裁判を知ったとき、私は光を見たような思いがした。私もあなたと同じようにできることを知って、希望を与えてくれた」と言ってくれた。彼女がそう話してくれたことによって、Cさんはこの裁判の意義の大きさがわかった(26)

Cさんの自分の性別に関する模索

Cさんは、子どものときから小さいときからいじめられてきた。男子生徒の服装をしていたからだ。Cさんは、自分で髪を切って、男の子と同じ髪型にして、服も男の子のものを着ていた。Cさんは道を歩くときも、前を見ずに下を向いて歩き、いつも同級生に殴られたり、罵られたりした。女子生徒にも、男子生徒にもいじめられた。

いじめられていること父母も話さなかった。中高生のときには、薬を飲んだり、手首を切ったり、飛び降りたりして自殺をしようとしたこともある。ブラジャーをせずに、布を巻いていたので、「同性愛だ」「人妖(化け物。ゲイボーイ、ふたなりなどの意味でも使う)だ」と罵られたりした。

しかし、Cさんも、大学に入学すると、自分のことを知らない人ばかりだったので、いじめられなくなったので、やりたいことができるようになった。

Cさんは、自分がトランスジェンダーであることを知ったのは2009年だった。それまでは、自分は同性愛だと思っていた。自分の身分証は女で、女が好きだからだ。しかし、後に、自分は小さいころから自分は女子学生にはなりたいとは思っていないことに気づいた。2009年に「トランスジェンダー」という語を知ってから、Cさんは、自分を探求するようになった。

Cさんは香港トランスジェンダーリソースセンター(香港跨性別資源中心)主席のJoanneさんと知り合いになった。Joanneさんは手術をしたトランスジェンダーで、MtFだった。CさんはJoanneさんの話を聞いて、世界の大門が開けたような気がした(27)

おわりに

LGBTの中でもトランスジェンダーには独自の困難がある。Cさんのケースを見ても、外見だけからわるので、たえずいじめや就職差別の標的にされてきた。また、自らがトランスジェンダーだと認識することも、当時はけっして簡単ではなかった。裁判をしても、LGBTコミュニティの中でさえ理解をあまり得られなかった。それらの困難によって、Cさんは自殺をしようとしたほどだった。

Cさんは、それを乗り越えて法的解決を求めて立ち上がった。最初の労働人事仲裁委員会では訴えが認められず、裁判をせざるをえなかった。裁判においても、労働裁判特有の会社側の事実の歪曲や立証責任の問題に直面した。裁判は、労働紛争と人格権の2つを起こさなければならなかった。

しかし、そうした闘いの結果、解雇の不当性と平等な就業権の侵害とを認めさせた。まだ謝罪は実現していないので、さらに控訴して、それを求めている。

このようなトランスジェンダー独自のたたかいが中国で出現したことの意味は大きいと思う。もちろん、それには、裁判でCさんを支えたNGOや裁判での証人になった学者のように、トランスジェンダーのたたかいに協力する人々が出現したことを含めて述べている。

(1) Cさんは、ネット上で「Mr.C」と名乗っていたので、中国語では「C先生」(先生=男性への敬称)と記されているというが(「贵阳跨性别青年“爱穿男装”被单位辞退,申请劳动仲裁获受理」澎湃新闻2016-03-15)、ここでは「Cさん」と記す。
(2)贵阳28岁女子因“外形太性感”遭公司开除人民网2016年03月10日(来源:贵阳网—贵阳晚报)。
(3)以上は、“Job Discrimination Case Raises Questions of Transgender Rights in China”,APRIL 11,2016→「中国跨性别就业歧视第一案启动仲裁」纽约时报中文网(VANESSA PIAO)2016年4月12日。
(4)贵阳跨性别就业歧视案调解失败,即将开庭审理」澎湃新闻2016-03-31。
(5)贵阳跨性别就业歧视案开庭,公司辩称辞退该员工因不穿工装」澎湃新闻2016-04-11。
(6)以上は、「贵阳跨性别就业歧视案宣判:被告属违法辞退,但不认定是歧视」澎湃新闻2016-12-31。
(7)Transgender Man Was Unfairly Fired, but Bias Not Proved, Chinese Court Says, JAN. 2, 2017→「中国跨性别者被解雇,法院:无歧视证据」纽约时报中文网(VANESSA PIAO)2017年1月3日。
(8)贵阳跨性别就业歧视案宣判:被告属违法辞退,但不认定是歧视」澎湃新闻2016-12-31。
(9)少なくとも2009年には、全国人民代表大会に提出するために作成されており、第2条で性的指向による差別にも触れている(「中华人民共和国反就业歧视法(专家建议稿)」知乎专栏2016年4月19日)。
(10)跨性别C先生的微博【国内首例:就业歧视案邀请专家证人出庭】2016-12-14 23:40
(11)贵阳跨性别就业歧视案宣判:被告属违法辞退,但不认定是歧视」澎湃新闻2016-12-31。判決の原文は、跨性别C先生的微博【国内首例胜诉的多元性别就业歧视案:法院判决确认用人单位违法解除并支付赔偿金!!】2016-12-30 16:16に掲載されている。
(12)“Transgender Man Was Unfairly Fired, but Bias Not Proved, Chinese Court Says”, JAN. 2, 2017→「中国跨性别者被解雇,法院:无歧视证据」纽约时报中文网(VANESSA PIAO)2017年1月3日。
(13)全国首例跨性别就业歧视案人格权诉讼开庭」2017-04-25 C先生 同语。
(14)跨性别C先生2月10日 00:55
(15)同语说法 | 深度解读——全国首例跨性别就业歧视案一般人格权胜诉判决(上篇)」2017-07-27 K总 同语。
(16)同语说法 | 深度解读——全国首例跨性别就业歧视案一般人格权胜诉判决(下篇)」2017-07-28 K总 同语。
(17)同语说法 | 深度解读——全国首例跨性别就业歧视案一般人格权胜诉判决(上篇)」2017-07-27 K总 同语。
(18)同语说法 | 深度解读——全国首例跨性别就业歧视案一般人格权胜诉判决(下篇)」2017-07-28 K总 同语。
(19)刘明辉「你给我钱,但我只想要道歉:跨性别就业歧视第一案胜诉背后」橙雨伞公益21 八月 2017 - 10:08。
(20)因“爱穿男装”被辞退?公司被判赔偿精神抚慰金」成都商报2017年8月1日。
(21)因“爱穿男装”被辞退?公司被判赔偿精神抚慰金」成都商报2017年8月1日。
(22)刘明辉「你给我钱,但我只想要道歉:跨性别就业歧视第一案胜诉背后」橙雨伞公益21 八月 2017 - 10:08。
(23)跨性别C先生8月17日 20:48
(24)贵阳28岁女子因“外形太性感”遭公司开除人民网2016年03月10日(来源:贵阳网—贵阳晚报)。
(25)打扮太个性 女子遭单位辞退:已提请劳动仲裁」贵阳网—贵阳晚报 2016-03-10。
(26)跨性别者C先生(上):我为何告诉中国我是直男」纽约时报中文网(王媛)2017年3月22日。
(27)跨性别者C先生(中):我不想不男不女」纽约时报中文网(王媛)2017年3月22日。
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