2017-03

就職の男女差別で2件目の勝訴判決――今回は宅配便配達という男性職。コック見習い採用の男性のみ求人も提訴

<目次>
一 宅配便配達員の採用の男女差別に関する勝訴判決と「女性労働者が従事することを禁止する労働の範囲」の縮小を求める運動
 1 北京郵政、宅配便配達は「女性労働者保護特別規定」の「女性労働者が従事することを禁止する労働の範囲」で女性の従事が禁じられていると主張
 2 馬戸、北京郵政の「男性のみ」求人を人社局にも通報。さらに、「女性労働者が従事することを禁止する労働の範囲の縮小を求める建議」を総理に郵送し、署名運動も。フェミニスト行動派の微博は「女子が重い荷物を持つコンクール」
 3 北京市順義区法院、北京郵政に慰謝料2000元などの支払い命じる馬戸勝訴判決
 4 馬戸、北京郵政への謝罪要求棄却と慰謝料の低額さを批判して控訴、北京郵政も控訴
 5 馬戸、人社部に「女性労働者が従事することを禁止する労働の範囲」の該当箇所の根拠について情報公開申請

二 高暁、女性であることを理由にしたコック見習い不採用を提訴
 1 黄蓉の就職の男女差別事件の判決を見せて、裁判官に訴えを即日受理させる
 2 若い女性たち、裁判所前で、料理をしている主婦の扮装で「女もシェフになれる」パフォーマンスアート
 3 鄭楚然、「主婦も、工場の食堂の炊事婦も女性だ。女は無料か安価でしか飯を作れない」と現状を批判
 4 高暁、広東省の人社庁の長官に、自分が作った食事に招待する手紙

2015年11日2日、就職の男女差別で2件目の勝訴判決(職種は宅配便配達員)があったことや8月18日、コック見習い採用の男性のみの求人についても提訴がされたことを、以下、ご紹介します。いずれも、これまで男性が多かった職種の採用の男女差別についてです。

一 宅配便配達員の採用の男女差別に関する勝訴判決と「女性労働者が従事することを禁止する労働の範囲」の縮小を求める運動

今年1月、北京郵政の宅配便配達員の求人に「男性のみ」と書かれていたにもかかわらず、馬戸さん(仮名)という女性が応募し、2日間試用してもらうことによって、任に堪えることを証明して営業所の主任に採用を承諾させた。けれど、本社は、馬戸さんが女性であるという理由で採用を拒否したため、馬戸さんは北京郵政を北京市順義区法院に訴えた(これまでの経過は、本ブログの記事「『男性のみ』募集を訴えた3件目の裁判――今回は翌日に受理、『男性向け』と思われがちな宅配便配達員での採用の性差別を問う」参照)。

1 北京郵政、宅配便配達は「女性労働者保護特別規定」の「女性労働者が従事することを禁止する労働の範囲」で女性の従事が禁じられていると主張

4月20日、馬戸さんの裁判の2回目の法廷が開かれた。北京郵政は、宅配便配達の仕事は女性には適していないと述べ、その根拠として、「女性労働者保護特別規定(女职工劳动保护特别规定)」の付録の「女性労働者が従事することを禁止する労働の範囲(女职工禁忌从事的劳动范围)」が「一時間に6回以上、20kg以上の荷物を持つ作業、または断続的に25 kg以上の荷物を持つ作業」に女性労働者が従事することを禁じていることを挙げた。北京郵政の弁護士は、「北京郵政には現在、女性宅配便配達員はいない。女性宅配便配達員を採用している企業は違法なので、労働監督部門はそれらの企業を処分すべきである」とまで主張した。

こうした主張に対して、まず、馬戸さんの代理人の劉明輝弁護士(女性。中華女子学院法学教授)は、「北京郵政は、証拠もなしに、配達する荷物の重量が25kgあるいは20kgを越えていると言っている。それに、日常生活の経験から見ても、小包が20㎏を越える状況は珍しい。ごく少数のそうした小包については、北京郵政は、法律に従って女性配達員に配達を割り当てなければいい。これは労務管理の問題だ」と反論した。

さらに、劉明輝弁護士は、「女性労働者が従事することを禁止する労働の範囲」の規定は、立法の初心は女性を保護することだったが、客観的には、男性が独占している高給の職務に女性が入ることの障害になっているのではないか、と述べた。つまり、「わが国の立法はいささか家父長的であって、『必ずあなたを保護しなければならない』というものだが、まず女性に『そのような保護をあなたは受けたいのか?』と問わなければならないのではないか?」(劉弁護士)ということである。劉弁護士は、今年の2つの会(全国人民代表大会と全国政治協商会議)の期間にも、女子大学生が百人近い全国人民代表大会の代表に手紙を書いて、女性労働者禁忌労働範囲を調整して、女性の個人の差異を尊重し、女性の選択権を保障することを求めるよう訴えたことも述べた。

当日は、釈放された李婷婷(李麦子)さんも駆けつけて、裁判所の前で、馬戸さんといっしょに、女性のパワーを示す「WE CAN DO IT」のポーズをとった写真に収まった(1)

2 馬戸、北京郵政の「男性のみ」求人を人社局にも通報。さらに「女性労働者が従事することを禁じる労働の範囲の縮小を求める建議」を総理に郵送し、署名運動も。フェミニスト行動派の微博は「女子が重い荷物を持つコンクール」

「男性のみ」求人を人社局に通報

5月18日、馬戸さんは、北京郵政が求人サイト「58同城」に相変わらず「男性のみ」という性差別的求人広告を出しているのを発見して、北京市朝陽区の「人力資源と社会保障局」(人社局)にそれを訴える手紙を出した(2)。7月7日にも、馬戸さんは、北京郵政とその募集の代理をしている労務派遣会社の「男性のみ」求人広告を人社局に通報する手紙を出した。馬戸さんは「『就業促進法(中华人民共和国就业促进法)』第60条によると、『労働行政部門は本法の実施状況に対して監督・検査をおこない、通報制度を設け、本法に違反する行為に対する通報を受理して、事実を確認して処理しなければならない』とある。私は、労働監察部門の監督を監督して、通報された者に対して法にもとづいて行政処罰をすることによって、労働者の合法的権益を守り、女性差別はもう代償なしにできる、免責されることではないようにすることを望んでいる」と述べた(3)

「女性労働者が従事することを禁止する労働の範囲の縮小を求める建議」

さらに、馬戸さんは7月27日から、「女性労働者が従事することを禁止する労働の範囲の縮小を求める建議」を李克強総理に提案する手紙と、性差別的な求人を出している単位(企業・機関など)を人社局に通報する手紙、その求人を出しているサイトを人社局に通報する手紙を1通ずつ送る活動を始めた(4)。馬戸さんは、9月6日まで、断続的に16日間、それをおこなった。

馬戸さんが書いた「女性労働者が従事することを禁止する労働の範囲の縮小に関する建議」は、その範囲を縮小すべき理由として、3点を挙げている。

まず、「1.伝統的な重い肉体労働の職種の実質は現在では変化している」と述べて、科学技術の進歩と機械化の程度の向上によって、たとえば坑内労働も、人力の採掘の大部分が機械にとって代わられて労働強度が低下し、ガス測定員のような肉体労働でない労働もできるなど、女性も、伝統的には重い肉体労働だった職種に携わることができるようになるという変化が生じたことなどを述べている。

また「2.女性労働者の職業禁忌は差別的な結果を招いている」として、四期(月経・妊娠・出産・哺乳の時期)以外に女性労働者を特定の職業に従事することを禁止することは、背が低くて弱小な男性もすべての職業に適しているとすると仮定していることになるが、これは男性を尊重していないし、また、女性なら、背が高くて強壮な女性も適していないとするものであり、これは、「女性の就業の機会を減少させ、一部の適した女性の就業の選択権を剥奪し、使用者には女性労働者を雇わない口実を与えるため、女性の就職難という状況を激化させる」と指摘している。

さらに、「3.時代遅れの『保護』は先進的な『エンパワメント』に変えるのが世界的な立法の趨勢である」として、ドイツでは、以前は女性の坑内労働と採鉱作業を禁止していたのを、「母親保護法」では、女性に対する特殊な保護を妊娠以後の一定の期間に限定したことや、ECの立法では、鉱業や林業などの職業では、各個人が、自分がその仕事につくか否かの選択権を持っており、使用者が性別によって不採用にすることは禁じていることを挙げている。

馬戸さんが李克強総理におこなった具体的な「提案」は、以下の3点である。

1.女性という集団の個人による差異の分類の規範について、保護的立法をエンパワメントする立法に改める。「エンパワメント」に立脚して、女性の権利主体としての地位を確立し、特殊な保護を必要としない女性が男性の独占している職業に進出できる選択権を付与する。

2.「中華人民共和国労働法」第59条の「女性労働者を坑内労働と国家が規定する第四級肉体労働強度の労働とその他の禁じられた労働に配置することを禁止する」を廃止する。

3.「女性労働者保護特別規定」の附録である「女性労働者が従事することを禁止する労働の範囲」の中の第1条「女性労働者が従事することを禁止する労働範囲:(一)坑内作業、(二)肉体労働強度分級基準の中で規定する第四級肉体労働強度の作業、(三)1時間に6回以上、毎回20㎏の重荷を負う作業、あるいは断続的に毎回25㎏の重荷を負う作業」を削除する。(5)

また、人社局への通報活動については、金華市人社局が、性別を制限するホームページの情報をなくしたことを回答する(6)などの成果があった。

さらに、9月7日、馬戸さんたちは、裁判所での3回目の審理に向けて、「女性労働者が従事することを禁止する労働の範囲の縮小を求める署名」を開始した。

その署名の内容は、これまでの裁判の経過と上記の「女性労働者が従事することを禁止する労働の範囲の縮小に関する建議」とを簡潔にまとめたもので、具体的な「提案」は上の1~3とまったく同じである(7)

第3回審理が終わった後、国家の人力資源と社会保障部(人社部)に建議信と200あまりのネット上で集めた署名を提出した(8)

「女子が重い荷物を持つコンクール」

また、9月12日から25日まで、「フェミニスト行動派」の微博(中国版ツイッター)アカウントが、「女子が重い荷物を持つコンクール」をおこなった。これは、「すべての女性が『配慮』されなければならないのか?」というテーマのもと、自分が重い荷物を持っている写真とメッセージを各自の微博で発表してもらうコンクールである(9)

このコンクールには、さまざまな写真やメッセージが寄せられたが(10)、1等賞から3等賞までを微博の転載(リツイート)数と「賛」(いいね)の数で決めた。その結果、1等賞には、李麦子さんの同性婚の相手が李麦子さんを持ちあげている@徐枣枣辣手摧花の写真、2等賞には、腰を痛めている鄭楚然さんがカートを使って荷物を運んで「人と多くの動物との違いは、人は道具を用いることができることだ」と言っている写真と、郭晶さんが「My vagina My power!」と書いたホワイトボードの前で、ヴァギナに見立てた切れ目を入れたスイカを持ち上げている写真が選ばれた(11)

3 北京市順義区法院、北京郵政に慰謝料2000元などの支払い命じる馬戸勝訴判決

11日2日、北京市順義区法院は、「北京郵政は就職差別をおこなって、馬戸に対して一定の精神的損害を与えた」と述べて、慰謝料2000元などの支払いを命ずる判決を下した。これは、中国における、男女の就職差別に関する2件目の勝訴判決である。1件目は、2014年11月、杭州市西湖区法院が、東方調理職業技能訓練学校が文書作成の仕事をする人を募集した際に「男性のみ」という条件を付けたために黄蓉さんの平等な就職の権利を侵害したことに対して慰謝料2000元の支払い命じた判決である(本ブログの記事「求人の男女差別で中国初の勝訴判決――慰謝料2000元の支払い命じる」)。

判決は、北京郵政側の主張に対しては、「宅配便配達員は、国家が規定している女性が従事するのに適していない職種やポストではない」として退けた(12)

馬戸さんは、判決に対して、「大変感激している。」「私は卒業したばかりの大学生で、郷里を離れて不案内な北京にやってきた、取るに足りない存在だ。また、女性なので、差別されやすい存在だ。」、だから「最初のころは、勝訴できるとはどうしても思えなかった。なぜなら、北京郵政は国有企業であるのに対して、正直に言って、私自身の力は小さすぎると思っていたからだ。しかし、事件の審理での、相手側が法廷で述べた筋が通らない弁護やあからさまな差別に対して、この判決は情理に合っている」と語った(13)

4 馬戸、北京郵政への謝罪要求棄却と慰謝料の低額さを批判して控訴、北京郵政も控訴

ただし、馬戸さんは、続けて、「しかし、心の底ではやはり不満足だ。まず、私が最も気にかけていたお詫びは裁判所の支持を得られなかった。また、起訴費と公証費も支持を得られなかったし、賠償の金額は黄蓉事件と同じ2000元で、私は法律違反のコストとして低すぎると思う」と述べ、弁護士と相談した結果、控訴するつもりだと語った(14)

一方、北京郵政も控訴した。北京郵政は、自分たちは道理にも法律にもかなっていて、差別はしておらず、馬戸のほうが悪意の訴訟をしていると断言している、とのことだ。馬戸さんは、やっと1審で勝訴したのに、もし敗訴したら、と考えると、思わず涙が溢れ出た。しかし、相手方の控訴状に、一審判決の取り消しや馬戸さんのすべての請求の棄却、一審と二審の訴訟費は馬戸さんに負担させることなどが書いてあるのを読み、怒り心頭に発した。

馬戸さんの控訴審での請求は、以下のとおりだ。
1.書面でお詫びをすること。
2.控訴人(馬戸さん)に対して、精神的損害の慰謝料5万元を賠償すること。
3.控訴人の公正費用(公証費用の誤記?)1千元を賠償すること。(15)

今回の勝訴は、募集段階での明文での女性排除についてなので、まだ初歩的な勝利だとは言えるかもしれない。しかし、1件めの勝訴判決は、事務職についてだったが、今回は、宅配便配達員という、かなり「男性職」的色彩が強い仕事ついての就職の男女差別についてのものだった点は、前進だと言えると思う。

5 馬戸、政府の人社部に「女性労働者が従事することを禁止する労働の範囲」の該当箇所の根拠について情報公開申請

11月16日には、馬戸さんは、政府の「人力資源と社会保障部」(人社部)に対して、情報公開申請をおこなって、「女性労働者保護特別規定」の「女性労働者が従事することを禁止する労働の範囲」が「一時間に6回以上、20kg以上の荷物を持つ作業、または断続的に25 kg以上の荷物を持つ作業」を女性労働者に禁止していることについての、事実にもとづく根拠と法律的根拠、および実現可能性に関する報告、調査研究報告を公開するよう求めた。同時に馬戸さんは、上記の「女性労働者が従事することを禁止する労働の範囲の縮小に関する建議」のほうも、政府の人社部に提出した。

馬戸さんは、「けっして、すべての男性が、肉体労働ができるわけではなく、すべての女性が、肉体労働ができないわけではない。女性がやりたくて、かつ、やれることは、『保護』という名目で女性の選択権を剥奪すべきではない。」「また、現代は機械化の時代であり、機械の発明は、肉体労働に対する要求を大きく軽減した。実習のとき、私が配達しなければならなかったのは、基本的には郵便物とインターネットで購入した小さな小包が主であり、10kg以上の重いものを運ぶときは、男性配達員であっても補助的な道具を使用していた。だから、体力は、もう女性がそれぞれの職業に入る制限にはならない。女性は自由に職業を選択する機会と権利を持たなければならない」と述べた(16)

中国の女性労働者保護が、女性がつく職種自体の制限をしている問題については、瀬地山角『東アジアの家父長制』(勁草書房 1996年)も触れているし(p.318-320)、近年は中国でも問題が提起されてきたが(本ブログの記事「『女性労働者特別労働保護条例(意見募集稿)』に対する女性団体の意見」など参照)、直接の当事者が運動として改正を求めたのは、今回が初めてであろう。

二 高暁、女性であることを理由にしたコック見習い不採用を提訴

1 黄蓉の就職の男女差別事件の判決を見せて、裁判官に訴えを即日受理させる

2015年8月18日、高暁さんという女性が、広州市海珠区法院に、広東恵食佳経済発展有限公司(以下、「恵食佳」と略す)がコック見習いを募集したとき、女性であることを理由に採用を拒否されたことを訴えた。裁判所は、即日受理した。

高暁さんは、「私は6月28日、この会社が『58同城』サイトにコック見習いの求人広告を出しているのを見つけ、自分にはこの職につく資格が十分にあると思ったが(高暁さんは、2014年に広東料理クラスの研修を受け、中国式調理師の高級資格証書も取得していた)、応募した後になって、『満員になった』という電話がかかってきた。けれども、同社はその後も同じ職位の求人広告を出しており、数日後に見てみると、その求人情報には『男性のみ』と書かれていた。私は納得できなくて、電話をして尋ねたら、コック見習いは男子学生しか募集していないと断られた」と語っている。

高暁さんは、以前から何度も「女の子がコックの仕事を見つけるのは難しい」と言われてきたが、事務の仕事をやめて研修に参加して、中国式調理師の高級職業資格証書をもらった。2015年6月から、高暁さんは、コック見習いのポストに応募するためにたくさん履歴書を送ってきたが、なしのつぶてだった。高暁さんは調理が好きで、調理の仕事をしたかったのに、女性であるために排除されるのは、やりきれなかった。

高暁さんは、ジェンダー平等の問題に長い間取り組んできた黄溢智弁護士のところに相談に行って、裁判をすることに決めた。

8月18日、高暁さんは広州市海珠区人民法院に行って、恵食佳に謝罪と賠償を求める訴状を提出した。裁判官は、初めは、高暁さんに労働局に行って労働仲裁を申請するように言ったが、高暁さんが、黄蓉さんの就職の男女差別事件の判決などを見せたら、裁判官は態度を変え、その日の午後には高暁さんの訴えは立件(受理)された。

高暁さんは、「就職の性差別の最初の裁判の曹菊は、立件(受理)に1年間の時間がかかった(本ブログの記事「就職の男女差別に関する初の裁判が和解――会社が謝罪、3万元を支払う」参照)。二番目の黄蓉の裁判も1カ月かかったが、私は当日立件できた。これは、女性の平等な就業件に対する注目を示しており、自分の裁判には楽観的な期待が持てる」と語った(17)

2 若い女性たち、裁判所前で、料理をしている主婦の扮装をして「女もシェフになれる」パフォーマンスアート

9月17日、高暁さんの裁判の審理がおこなわれた。黄溢智弁護士は、これは広東で最初の、女性が企業の募集の性差別を訴えて、裁判所が受理して立件した民事訴訟だと述べた。

この日、裁判所(法院)の入口では、エプロンを身に着け、フライ返しと白菜を手に持った、家庭で「料理をする女性」の扮装をした女性たちが、「主婦は高暁を応援する」、「女もシェフになれる」と書いた紙を掲げてアピールした(その写真を含んだ記事)。

当日の法廷で恵食佳の弁護士は、「募集したポストは一定の特殊性がある。伝統的な広東料理の店では、コックと見習いとは伝統的な師弟関係になるので、応募者を採用するのは、コックと指導者の同意も必要であり、料理店は採用の過程で自主選択権を持っている」と主張した。

それに対して、高暁さんのもう一人の代理人である劉瀟虎弁護士は、「採用の過程での自主選択権は限定的なものであり、『男性のみ』と明確に示すのは性差別である」、「現在多くの人はまだ男女の職業選択にステロタイプなイメージを持っていて、『あなたのためを思って』とか『男(女)には適していない』とかいった理由で求職を拒絶しているが、これも無意識的な就職差別であり、求職者の就業の自主権を侵犯している」と述べた(18)

3 鄭楚然、「主婦も、工場の食堂の炊事婦も女性だ。女は無料か安価でしか飯を作れない」と現状を批判

この事件に関して、8月21日、鄭楚然さんは、「女は男より力がないから、厨房の仕事は難しい」という考え方に対して、「多くの工場の食堂や建設現場の食堂で、50人以上の肉体労働者の飯を炊いている台所の労働者は中年女性だ。彼女たちは、大きな桶を洗い、大きな包丁を使い、大きな鍋で炒め、大きな鉢を持ち、大きなひしゃくでスープ・副食物・飯を取り分けている」、また、家庭でも女性は、大きな買い物をするときは、「私の母親も、少なくとも10kgをビニール袋に入れて家に帰る」ことを挙げて反論した。

鄭楚然さんは言う。「女はけっしてコックという職業につく能力がないのではなく、女は家でしか飯を作れず、大きな料理店では飯を作れないのだ。また、女は安い食堂でしか飯を作れず、高級な料理店では飯を作れないのだ。このような現象の実際の結果は、女は無料か安価でしか飯を作れず、飯を作ることで名誉と利益を得ることはできない、ということだ」と述べた(19)

4 高暁、広東省の人社庁の長官に、自分が作った食事に招待する手紙

高暁さんは、10月、広東省人力資源・社会保障庁の庁長の林応武さんに、自分が作った料理を食べてもらうよう招待するから、広東省の飲食業における女性従業員の比率の低さや女性差別の強さについて話をしようと呼び掛ける手紙を出した。

高暁さんは、さまざまな写真を示しつつ、家庭で炊事をしている母親は30~40斤(1斤は500g)あるような子どもを抱いて、手にスーパーマーケットで買った重い荷物を持っていたりすることや、学校の調理室の炊事婦や工事現場の農民工、田畑を耕作する農民の多くが女性であることを述べて、女性に調理師ができないはずはないことを訴えた(20)

明日、12月4日に、第2回目の法廷が開かれるそうである(21)

以上のように、3月~4月のフェミニスト5女性の拘留事件後の厳しい状況の下でも、フェミニストたちは、裁判、違法行為の行政当局への通報、情報公開申請、署名運動、パフォーマンスアート、ネット上での創意あるコンクールなど、さまざまな活動をつうじて闘いを続けていることがわかる。

とはいえ、以前のような、全国いっせいに何かをするような活動はまだおこなわれていないし、11月25日に開催が予定されていた、女性に対する暴力に反対する芸術展(そこで展覧予定だったさまざまな写真を含んだ記事)が開催寸前に中止させられた(22)というような事態もあるのだが……。

(1)熊婧竟称“招女快递员是违法”,性别歧视被告上法庭,北京邮政拒不认错| 女声」女权之声的微博2015年4月21日 12:04→熊婧「北京邮政称“招女快递员是违法”,性别歧视被告上法庭」女声网2015年4月21日。「女子大学生が百人近い全国人民代表大会の代表に手紙を書いて、女性労働者禁忌労働範囲を調整し、女性の個人の差異を尊重し、女性の選択権を保障することを求めるよう訴えた」というのは、3月1日に、フェミニストの猪西西さんが提出した手紙のことを述べている。その内容は、@兔子走丢了「女大学生致信人大代表得六回复:愿意关注女性就业选择权」(NGOCN2015年3月3日 11:23:55)を見るかぎり、馬戸さんが出した、後述の「女性労働者が従事することを禁止する労働の範囲の縮小を求める建議」と内容が同一であり、すでにこのときにはフェミニストの中で文面が共有されていたことがわかる。
(2)女权行动派更好吃的微博【“快递员性别歧视案”当事人投诉”58同城”发布性别歧视招聘广告】5月19日 18:44
(3)女权行动派更好吃的微博「北京邮政招聘又现性别歧视,起诉邮政当事人再举报」2015年7月9日 11:49。
(4)女权之声的微博【女大学生致信李克强,建议缩小女职工禁忌从事劳动范围】7月28日 11:44。「女大学生」(女声网2015年7月31日)。
(5) (4)にも書かれているが、より読みやすく書いてあるのは、「关于缩小女职工禁忌从事劳动范围的建议」(2015-09-07 女权行动派很好吃)。
(6)女权行动派更好吃的微博7月29日 14:54
(7)女权之声的微博「状告北京邮政性别歧视女生发起联署:呼吁缩小女职工禁忌从事劳动范围」2015年9月7日 18:18、「如果你觉得女生也可以当快递员 ,请加入联署!----关于缩小女职工禁忌从事劳动范围的建议」(马户 2015年9月7日)。
(8)
(9)女权行动派更好吃的微博9月12日 19:37
(10)女权之声的微博「给我一个快递,我能举起全世界」2015年9月21日 13:03。
(11)女权行动派更好吃的微博9月29日 18:33
(12)以上は、女权行动派更好吃的微博【恭喜马户胜诉!!】【女快递员起诉邮政胜诉!】11月2日 11:50、马户「女快递员诉邮政就业性别歧视案胜诉啦!【内有彩蛋一定要看!!】 」女权行动派很好吃2015年11月2日。
(13)以上は、「胜诉啦!女生应聘快递员遭拒,法院判定北京邮政性别歧视」女声网2015年11月2日、女权之声的微博「她是中国第一个状告国企就业性别歧视的女生,然后赢了」2015年11月3日 10:59。
(14)同上。
(15)女权行动派更好吃的微博「【悲惨的双十一】当不了快递员,连上诉都没带够钱」2015年11月11日 21:45。
(16)女权行动派更好吃的微博「不满女职工劳动禁忌范围,求职者马户要求人社部公开相关依据」2015年11月17日 11:02。
(17)女权之声的微博「为什么女人不能做厨师? 女生应聘厨房遭拒愤而起诉,当天立案」2015年8月19日 15:11、女权行动派更好吃的微博「为什么女人不能做厨师? 女生应聘厨师遭拒愤而起诉」2015年8月19日 20:53(両者の記事の内容は同一)。ただし、「高暁さんは、以前から何度も」という文言で始まる段落だけは、新媒体女性的微博「广东就业性别歧视第一案昨开庭 “煮妇”法院门前撑女大厨」2015年9月18日 10:27。
(18)新媒体女性的微博「广东就业性别歧视第一案昨开庭 “煮妇”法院门前撑女大厨」2015年9月18日 10:27。
(19)大兔纸啦啦啦的微博「周星驰没有告诉高晓,女人不能掌厨当食神」2015年8月21日。
(20)厅长,女大厨请你吃饭,约吗?」2015-10-19 女权行动派很好吃。
(21)新媒体女性的微博「【开庭公告】广东省就业性别歧视第一案12月4日二次开庭,欢迎旁听!」2015年12月2日 17:28
(22)女权之声的微博「一个女权主义展流产之后,留 下了什么?」2015年12月2日 15:37
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