2017-08

中国の行動派フェミニストのNGO閉鎖と習近平政権のNGO弾圧政策

目次
1.2012年以来、行動派フェミニストの中心的グループだったNGOが閉鎖
2.活動に対する弾圧――5人への厳重な監視、フェミニストの出国禁止、企業の性差別の通報活動に対する圧力
3.習近平政権成立後、次第に強まっていたNGO弾圧――従来は容認されていた活動も弾圧、最近は北京益仁平センターと関連団体が標的に
4.「国外NGO管理法」草案――国外NGOの活動や国内NGOの国外からの資金獲得を規制
5.習近平政権のジェンダー・家族イデオロギーとフェミニズム運動との矛盾
6.弁護士らによる「フェミニスト五姉妹」事件の撤回要求、北京益仁平センターによる警察の捜査に関する情報公開申請

1.2012年以来、行動派フェミニストの中心的グループだったNGOが閉鎖

5月29日、中国の女性NGO「杭州蔚之鳴(ハンチョウ・ウェイジーミン)」機構が閉鎖を宣言した。このNGO自体は2014年8月に設立された団体だが(1)、その前身は「ジェンダー平等活動グループ(性別平等工作組)」(正式名称は「ジェンダー平等唱導・アクションネットワーク」、中国語名「性別平等倡導行動網絡」、英語名「Gender Equality Advocacy and Action Network」)であり(2)、同グループは2012年1月の設立以来、2月の「男子トイレ占拠」アクションなど、さまざまなパフォーマンスアートや署名活動をおこなってきた行動派フェミニストの中心的グループだった(拙稿「中国の行動派フェミニストの活動とその特徴」『女性学年報』34号、「中国の行動派フェミニスト年表、リンク集」参照)。

「杭州蔚之鳴」は、専従職員の武嶸嶸(ウー・ロンロン)さん、鄭楚然(ジョン・チューラン)さん、メンバーの李婷婷(リー・ティンティン)さん、王曼(ワン・マン)さん、韋婷婷(ウェイ・ティンティン)さんの5人が3月7日に拘留されたうえに、機構自体も警察の捜索を受けたため、「多くの人員は仕事をストップさせられて家におり、プロジェクトも停止している状態で、職員の賃金と家賃などの支払いができず(……)何重もの圧力に直面して、『杭州蔚之鳴』という身分で活動を継続することができないため、本日、業務の停止と閉鎖を宣言する」(3)と発表した。

2.活動に対する弾圧――5人への厳重な監視、フェミニストたちの出国禁止、企業の性差別に対する通報活動への圧力

上の5人のフェミニスト活動家(「フェミニスト五姉妹」と呼ばれる)は、先に本ブログで述べたように4月13日に釈放されたが、5月末になっても「現在なお当局の厳重な監視を受けており、家に出たり入ったりするのも尾行されている。これは未だかつてない状況だ」(4) (武嶸嶸)という。

5月25日には、フェミニストの郭晶(クオ・ジン)さんが広州から香港に行くために越境することを阻止された(5)。郭晶さんは、昨年11月、中国大陸で初めて就職の男女差別(男子のみ求人)に関して勝利判決(慰謝料2000元)を勝ち取った女性だが (本ブログの記事「求人の男女差別で中国初の勝訴判決――慰謝料2000元の支払い命じる」参照)、今回はべつに拘留などはされなかったのに、そうした制約を課されている。郭さんだけでなく、長い間フェミニズムの活動に参加しなかったために、武さんも忘れてしまっているようなメンバーさえ、外国に行けないという(6)

さらに、武さんによると、「以前は、私たちは差別をしている企業を見つけたら直ちに[行政当局に]通報したが、現在は通報するボランティアはみな国保(公安部国内安全局)にお茶を飲んで話をされた(=そういう口実で、法的手続きなしに、訪問されたり呼び出されたりして、活動をしないように警告・恫喝された)ので、通報活動をすることができなくなった」(7)という。

3.習近平政権成立後、次第に強まっていたNGO弾圧――従来は容認されていた活動も弾圧、最近は北京益仁平センターと関連団体が標的に

中国の人権弁護士で、以前、公盟(後述)というNGOのメンバーだった滕彪さんによると、習近平が政権を握って以来、独立した民間組織の生存環境はいっそう悪化したという(8)

まず、2013年5月、中国共産党中央委員会は、9号文書「現在のイデオロギー領域の状況に関する通達(关于当前意识形态领域情况的通报)」(非公開。ただし、『明報月刊』に掲載[「《明鏡月刊》獨家全文刊發中共9號文件」拉清单2013年8月20日])を出した。この文書は、「7つの言ってはならない」こととして、「欧米の憲政民主」「世界に普遍的な価値」「公民社会(市民社会)」「新自由主義」「欧米の報道観」「歴史虚無主義(注:中国共産党中心の歴史観を信じないといった意味)」「改革開放への疑い」を挙げた。これらを否定することは、新自由主義の否定などを除いて、独立した民間組織の理念や活動に対する攻撃にもなるものである。

2013年7月には、許志永さんと彼のグループの百人あまりが拘留され、許さん本人は、2014年1月、北京市第一中級人民法院で「群衆を集めて公共の場所の秩序を乱す罪(聚衆擾乱公共場所秩序罪)」で懲役4年に処せられた。許さんは、2003年に出稼ぎの青年が収容所で暴行を受けて死亡した「孫志剛事件」をめぐって、「都市浮浪乞食収容送還法」の廃止を実現したことで広く知られるようになった人だ。許さんは、2005年には公盟(北京公盟諮詢有限責任公司)を創設して、民主・法治・憲政を重視する「公民社会(市民社会)」の実現をめざす「新公民運動」を提唱し、農民労働者への差別是正や汚職への抗議などの活動をおこなってきた。それらの活動のうち、教育部の前での抗議活動が、「群衆を集めて公共の場所の秩序を乱す罪」に問われたのだ(9)

2013年11月には、中国共産党は、第18期中央委員会第3回全体会議の決定にもとづいて、「国家の安全を確保する」のために、「中央国家安全委员会(国安委)」を設立し、その主席には習近平総書記が就任した(10)

翌2014年5月から7月末にかけて、その中央国家安全委員会が、国外のNGOに対して、全国いっせいに内情を探る調査をおこなった(11)。改革開放当初は、国外のNGOは国際的資金や先進的な技術・理念をもたらして、中国の科学技術・民生・公益事業にとってプラスになると考えられていた。しかし、21世紀に入って、一部の国外のNGOが政治・経済・環境・人権などの領域に関心を持って、大陸の政治の方向に影響を持ち始めると、中国当局が警戒するようになり、上のような調査がおこなわれたのである。その結果、海外の基金ら資金提供を受けていた、ある民間教育機構も、正常な活動ができなくなり、業務を停止した(12)

また、この調査がおこなわれている最中の6月17日、鄭州億仁平機構(もと北京益仁平センター鄭州事務局)が、警察による捜索を受けた。

9月18日には、農村で民間図書館を運営していた「立人郷村図書館」が、当局の弾圧を受けて、活動を停止した。

また、10月9日には、「北京伝知行(北京伝知行社会経済諮詢有限公司)」の創立者の郭玉閃さんらが「挑発してトラブルを起こした罪」で警察に拘留された。翌2015年1月3日には、北京市公安局は、郭さんらを「不法経営」罪で逮捕した。郭さんは、許志永さんらと公盟を結成した人だが、2007年に自ら設立した「伝知行」は、研究活動を重視した組織であり、社会問題を解決するための改革モデルについての調査や政策提言をおこなってきた団体だ(13)

伝知行が「不法経営」罪に問われた背景の一つに、伝知行が「工商部門」で登記をしていたことがある。しかし、中国では、NGOが正規の「社会団体」として登記するのが難しいために、工商部門で登記している場合が多い。そうしたやり方をしていても、近年規制が厳しくなり、たとえば外国からの寄付を受けることなどは難しくなってきたという(14)

立人郷村図書館や伝知行などは、直接社会的運動をしていたわけではない。しかし、以前と異なって、「伝知行や立人郷村図書館などあまりデリケートではない機構も閉鎖された」と滕彪さんは述べている(15)

ジェンダー平等の問題も「デリケート」な問題ではないと一般に考えられてきたのだが、本ブログで報告してきたように、2015年3月6日から7日にかけての「フェミニスト五姉妹」が拘留され、「杭州蔚之鳴」が警察の捜索を受けた。3月24日には、彼女たちの多くが関わってきた北京益仁平センターも警察の捜索を受けた。

もっとも、イギリスの『エコノミスト』によると、中国共産党の一部の人々は、大きくなりつつある中産階級が社会に参与することを完全に禁止することは不可能なので、市民に社会的な物事に参与することをある程度許すことは、共産党が民衆の支持を得るのに役立つと考えているという(16)。この点は、フェミニスト五姉妹の釈放に関して、「中国政府は一枚岩の存在ではない」と述べた王政さんの指摘(17)や4月18日付『朝日新聞』が報じた、「5人の拘束後、共産党傘下の有力団体である中華全国婦女連合会の有志幹部らが北京市公安局に拘束の是非を問う非公式の文書を送付」した(18)という事実につながるものであろう。

しかし、最初で述べたように、釈放後もフェミニストたちの活動が非常に厳しい制約の下に置かれていることに変わりはない。

さらに、2015年6月12日には、楊占青さんと郭彬さんも「不法経営」罪の疑いで警察に拘留された。楊さんと郭さんは、北京益仁平センター鄭州事務局(のちに独立して、鄭州億仁平機構になる)の主任を務めたことがある。楊さんは、中国最大のB型肝炎ウィルス保有者のフォーラムの法律版の管理人であり、中国初のC型肝炎差別の訴訟で弁護士をつとめたこともある。郭さんは、今は差別反対の民間団体「広州衆一行」の代表を務めている(19)

楊占青さんは、2012年には、大学入試の一部専攻の合格ラインの男女差別に抗議して、坊主頭になって「光頭哥要求 招生平等(坊主頭の男が、学生募集の平等を要求する)」と書いた紙を掲げたことがある。これは、女性たちが「光頭姐」になって入試の男女差別に抗議したのに呼応した活動だった(20)

北京益仁平センターは、「公益人士である郭彬・楊占青が鄭州の警察に連行されたことに関する声明」を出し、その中で、「『不法経営』罪は。すでになくなった『投機空売買罪』がもとになっている。わが国の刑法とその司法解釈によると、この罪は(……)不法な経営活動をおこなって、市場の秩序をかく乱して、情状が悪い行為を指している。郭彬・楊占青が鄭州やその他の都市でおこなっている差別反対活動は、なんら料金を取る行為をしておらず、完全に非営利の性格のものであって、『経営』行為ではなく、市場の秩序をかく乱しえないものであるから、明らかに『不法経営罪』とはまったく関係がない」と述べた。

北京益仁平センターは、さらに、フェミニスト五姉妹を国内外の抗議によって釈放せざるをえなくなったのに、次の日には、外交部のスポークスパーソンが、北京益仁平センターを「違法の疑いがあり、処罰する」と述べて、同センターの多くの元職員や協力パートナーを出国できなくしたり、2人のメンバーの父母のところにまで行って捜査したりしているのは、明らかに法治に反する「連座」行為だと述べて批判した(21)

楊さんと郭さんの弁護を引き受けた弁護士も、記者が「実際には、これは益仁平というNGOに対する弾圧の行動なのか?」と尋ねたのに対して、「まったく疑問の余地なく、そうである」と答えている(22)

2人とは1週間近く誰も面会できず、行方も確認できなかったが、19日になって、ようやく弁護士が2人と鄭州第三拘置所で面会することができた。彼らは身体的虐待は加えられていなかったが、訊問の際に、警察は、楊占青さんが言ったとおりに記録をせず、しかもそれを改めないまま楊さんの署名を要求しているという(23)

この事件についてはさまざまな国外のメディアも取り上げており(24)、アムネスティ・インターナショナルも緊急のアクションを開始した(25)。中国国内でも彼らを釈放など要求する署名運動も始まり(26)、「フェミニスト五姉妹」も、インターネット上で2人に声援を送っている(27)

以上のように見てくると、「フェミニスト五姉妹」拘留事件は、習近平政権のNGO弾圧政策の流れの中で起きたことであり、とくに北京益仁平センター弾圧と関係していることがわかる。「フェミニスト五姉妹」を釈放させた中国内外の世論や運動も、習政権の政策の方向を変えるまでには至っていないと言えよう。

4.「国外NGO管理法」草案――国外NGOの活動や国内NGOの国外からの資金獲得を規制

2014年12月、全国人民代表大会法制事務局は、「中華人民共和国国外NGO管理法」の草案を全国人民代表委大会の常務委員会に提出した。2015年4月、常務委員会はその草案を審議し、5月5日には、その第二次審議稿(「境外非政府组织管理法(草案二次审议稿)全文」中国人大网)を公表して、6月4日までの期間、パブリックコメントを求めた。

人権活動家は、この法案は、習近平国家主席が異見を抑圧するための措置の一つだと考えている(28)。具体的には、この法案には、以下のような問題点が指摘されている(29)

(1)国内のNGOが外国のNGOから資金の獲得することが困難になる。
・国外のNGOは、事前の登記または臨時の許可がなければ、中国国内で活動をしたり、中国国内の個人や組織に資金援助をしたりできない(第6条~第7条)。
・また、そうしたことをする際には、多くの登記(第10条~第20条)と報告・会計・人事などの要求(第23条~第38条)に従わなければならない。
・しかし、資金の獲得は、結社の自由の権利に不可欠であることは、各種の国連人権機関も認めている。

(2)国外NGOに対して、公安部門(警察)が「国家の安全」や「公衆の秩序」の名の下に、権限を濫用する危険が大きい。
・国外のNGOが中国で活動する場合は、国内のNGOと同様、登記管理機関と業務主管単位の二重の管理制度が設けられるが、それは国内のNGOより厳しい。すなわち、国内のNGOは、民政部門が登記管理機関であるのに対して、国外のNGOについては、「中国の国家の統一、安全、民族の団結」や「中国の国家の利益を損なわない」(第5条)という観点から、国務院の公安部門および省レベルの政府の公安機関が国外のNGOの登記管理機関になり、国務院の関係部門と県レベル以上の地方政府の関係部門が業務主管単位になると規定されている(第7条)。
・公安機関に、国外NGOの業務の場所や活動の場所を検査したり、職員を訊問したり、調査する事件と関係がある文書を調べたりコピーしたりする権限を(おそらく刑事訴訟の手続き抜きに)与える(第48条)。また、刑事犯罪にならない場合でも、当局にNGOの人員を15日間拘留する権限を与える(第59条)。

中国の国外NGO管理法は、ロシアのNGOに対する管理の経験を参考にしているとも言われる。2013年4月、ロシアは、9000近いNGOの活動の停止を要求し、6000近い組織に罰金を科した(30)

この国外NGO管理法に対しては、10あまりの省の30名の弁護士が、制定をしばらくストップするよう建議の手紙を出し、アムネスティなどの国際人権団体も関心を示しているが(31)、それらが直ちに効力を発揮するのは難しそうだ。

5.習近平政権のジェンダー・家族イデオロギーとフェミニズム運動との矛盾

6月2日付『朝日新聞』も、習近平政権がNGO、とくに海外から資金提供を受けるNGOに対して警戒を強めていることを述べており、フェミニスト活動家に対する弾圧も、彼女たちが職員や関係者だった人権NGO「北京益仁平センター」への弾圧として記述している(32)。『朝日新聞』の記述は正しい。

ただし、私は「フェミニスト五姉妹」事件や「杭州蔚之鳴」弾圧については、同時に、習近平政権のジェンダーイデオロギー・家族イデオロギーとの関係も見なければならないと思う。もちろんそうしたイデオロギーが習政権のNGO弾圧とは別個に存在しているというのではなく、弾圧を支えるものになっているという意味である。

すでに本ブログで以前ご紹介したが、2013年10月、中華全国婦女連合会(官制の女性団体)の新指導部に対して習総書記がおこなった講話に以下の一節があった。

中華民族の家庭の美徳を発揚し、良好な家風を築くための女性の独自の役割を発揮させることを重視しなければならない。(……)広範な女性は、老いたるを尊び、幼きを愛し、子どもを教育する責任を自覚的に担い、家庭の美徳を建設する上で役割を発揮し、子どもが良い心をはぐくむことを助け、健康な成長を促して、国家と人民に有用な大人になるようしなければならない。

「ここ数回の大会の指導者の祝辞や講話では、これほどはっきりと女性役割への期待が表明されたことはなかった」(馮媛)と言われる。この講話に対しては、多くの女性が微博(中国版ツイッター)上で批判し、「広州ニューメディア女性ネットワーク」というNGOが批判のまとめを作成したら2000回以上転載されるなど(以上は、本ブログの記事「中国婦女第11回全国代表大会、習近平講話に対する微博上での批判」参照)、既にこの時点で両者の矛盾は顕在化していた。

さらに、2015年2月17日、習近平主席は、春節の祝賀会で、「中華民族は昔から家庭を重視し、肉親の情を重視してきた。家庭が円満ならば、何もかもうまくゆく。一家団欒の楽しみ、老人を尊び、幼きを愛すること、賢い妻であり、良き母であること、夫を助け、子どもを教育すること、勤勉で節約して家を興す、これらはみな中国人のそのような観念を体現している」と述べ(33)、中華全国婦女連合会も、それを受けて、「習近平総書記の春節の祝賀会での重要な講話の精神を真剣に学び貫いて、家庭建設における女性の独特の働きと婦連組織の優位性を発揮しよう」という指示を出した(34)

習近平の講話のすぐ後に中国中央テレビが放映した春節の大晦日の交歓の夕べでは、孝道が宣伝の重要なテーマになり、番組ではいまだかつてない性差別が出現した。フェミニズム団体は抗議の署名を発起し、中国中央テレビの思想統制と洗脳教化を批判し、春節の大晦日の交歓の夕べの放映停止と娯楽市場の開放を要求した(35)

さらに、フェミニストたちは、春節で帰省した際に結婚を強いられることに反対する歌や踊りによるパフォーマンスもおこなった(36)

しかも、5人が拘留される6日前、中国の代表的ネットメディア新華網は、下のように伝えていた。

20歳前後を主とした「90後(1990年代生まれ)」の女性たち(……)の中から「フェミニズム[女権]団体」が誕生した。それについての公式の確かな統計データはないが、記者の観察では、公衆の視野の中に入る、活躍している団体が10前後あり、常に「フェミニズム」活動を組織・参加している若い人が数百人前後いる。(……)100名あまりの中核メンバーを擁する「フェミニスト行動派」と「フェミニズムの声」という民間団体が近年非常に活躍している。長い間インターネットの下で生活している彼女たちは、街頭でのパフォーマンスアートなどの方法でニュースを作って、最速のスピードで活動内容をメディアに伝達している(37)

このように、弾圧直前には、習総書記が女性役割を強調する一方、フェミニズム運動はかなりの規模に達していたのであり、政権と彼女たちとの矛盾は、以前よりさらに拡大していたと考えられる。

6.弁護士らによる「フェミニスト五姉妹」事件の撤回要求。北京益仁平センターによる警察の捜査に関する情報公開申請

5月25日、5人についている7弁護士は、今回の「フェミニスト五姉妹」事件は完全な冤罪であり、この事件の捜査のプロセスでも、当局が多くの違法行為(物品の押収、拘留中の迫害など)をおこなったことを指摘して、この事件を撤回するように訴えている(38)。釈放されたフェミニストたちも、先日の本ブログでご紹介したように勇敢に法律的な異議を唱えている。

また、4月20日、北京益仁平センターの代表の陸軍弁護士は、海淀区公安分局に対して、政府条公開申請を提出している。公開を申請したのは、3月23日から24日にかけて警察が北京益仁平センターを捜査した際の、「警察の捜査・物品押収という行為の性質・原因・法律執行の根拠、物品の『押収目録』」である。しかし、5月29日、海淀区公安分局は、「得ることを申請した情報は『中華人民共和国政府情報公開条例』第2条に規定する政府情報ではない」といった理由で、公開を拒絶した。それに対して、6月11日、陸軍弁護士は行政再議を申し立てた(39)

こうした異議申し立ても直ちに効力を発揮するとは考えにくいが、自らの正当性を内外にアピールする上では重要な意味を持っていると考えられる。

また、いまフェミニストたちは、身近な問題に取り組んでいる。「フェミニズムの声」は、「私はいかにしてフェミニストになったのか」というテーマで文章を募集している。また、若いフェミニストの女性たちは従来から身体に関する性別規範を問うさまざまな活動をしてきたが、女性は腋毛を剃るという規範を批判して、微博上で「第1回女子腋毛コンクール」をおこなった。これらの活動については、また次回ご紹介したい。

(1)杭州蔚之鸣文化创意有限公司」智联招聘网。
(2)「杭州蔚之鳴機構は、前身は性別平等工作組であり、若い女性をエンパワメントすることをつうじて、彼女たちを女性の権益のために積極的に声を上げ、権利のために立ち上がらせる」と記されている(杭州蔚之鸣「妈妈社群需求及社会支持公益论坛邀请函」NGOCN 2015年1月22日 14:03)。
(3)女权行动派更好吃的微博「杭州蔚之鸣妇女机构将被迫关闭声明」2015年5月29日。
(4)女权者郭晶被禁出境旅游 女权要求撤案」Radio Free Asia2015年5月26日。
(5)同上。
(6)同上。
(7)小社工大社会嵘嵘的微博[女权五姐妹后续之武嵘嵘告诉海淀公安什么是妇女社会工作]6月8日 18:19
(8)独立NGO在中国遭遇寒冬」(美国之音2015年3月10日)。この節の記述の、注記のない個所は、この記事に依拠している部分が多い。
(9)中国:許志永氏への見せしめ裁判での判決を撤回せよ」Human Rights Watch 2014年1月26日、ふるまいよしこ「許志永: 北京当局に説明を求め続ける法学者」2014年1月29日。
(10)习近平任国安委主席,权力空前」德国之声2014年1月25日。
(11)全面清查在华NGO:不胫而走的内部通知?」德国之声2014年6月20日。
(12)境外NGO面临监管严冬」『凤凰周刊』2015年第7期(2015年3月6日)。
(13)及川淳子「【Views on China】納税者意識の向上を目指す社会運動――民間シンクタンク『伝知行』弾圧事件」2015年2月10日。
(14)萬延海專欄:傳知行『非法經營罪』敲響的警鐘」2015年5月1日。
(15)独立NGO在中国遭遇寒冬」美国之音2015年3月10日。
(16)同上。
(17)王政さん(ミシガン大学准教授)のコメント(アジア女性資料センターFacebookより。翻訳は大橋史恵さん)。
(18)「市民運動抑圧に異論 中国、活動家5人釈放 党の傘下団体からも批判」『朝日新聞』2015年4月18日。
(19)zhuhanhku的微博6月16日 14:00 、公益老男孩的微博「在中国做公益反歧视是一种什么样的体验?」2015年6月15日21:49。
(20)羊驼青的微博2015年6月15日 17:46。
(21)公益老男孩的微博「在中国做公益反歧视是一种什么样的体验?」2015年6月15日21:49。
(22)两公益人士被以“非法经营罪”抓捕」Radio Free Asia2015年6月14日。
(23)公益老男孩的微博6月19日 18:37、郑州马连顺律师的微博6月19日 20:43
(24)『ガーディアン』紙(Fears of new crackdown as China holds two former members of rights group)、ロイター電(Chinese police detain two activists linked to prominent NGOJun 15, 2015)、AFP通信(China anti-discrimination group protests 'arrest' of staff )、South China Morning Post(Fears for Chinese NGOs as activists arrested)、デイリーメール紙( China anti-discrimination group protests 'arrest' of staff)などが取り上げている。
(25) China: Release Guo Bin and Yang Zhangqing (UA 137/15) ” Amnesty International 2015年6月17日。要求項目は、・ただちに無条件に郭彬と楊占青を釈放せよ、・ただちに郭彬と楊占青が拘留されている場所を明確にせよ、・拘留期間は、郭彬と楊占青に定時に制限なく弁護士と家族と面会し、必要な医療のケアを受け、拷問されない権利を保証するよう訴える、である。
(26)联署声援释放反歧视公益人郭彬、杨占青」2015年6月18日。
(27)公益老男孩「做公益、进监狱? ----女权五姐妹网上声援被刑拘的公益同仁郭彬、杨占青」2015年6月19日 12:11、女权之声的微博「反歧视公益老男孩被刑拘,“女权五姐妹”网上声援」2015年6月19日12:42。
(28)在华境外NGO管理法: 以保护之名进行取缔?」德国之声2015年3月9日など。
(29)中国人权法律评论:境外非政府组织管理法草案损害了中国的民间社会和中国政府的国际参与」中国人权2015年5月21日、「中国: NGO締め付け法院を取り下げよ」アムネスティ・インターナショナル日本2015年6月9日(アムネスティ国際ニュース2015年6月2日)。他に、「中国当局、『国家の敵』外国NGOを標的に」(ウォール・ストリート・ジャーナル2015年5月27日)も参照。
(30)萬延海「管死境外组织,中国何去何从?」2015年6月4日 01:57。
(31)关于暂停制定《境外非政府组织管理法》的法律建议书」新公民运动2015年6月3日、「中国: NGO締め付け法院を取り下げよ」アムネスティ・インターナショナル日本2015年6月9日(アムネスティ国際ニュース2015年6月2日)。
(32)(消される言葉 天安門事件から26年:上)中国、NGO封じ込め」『朝日新聞』2015年6月2日。
(33)习近平:在2015年春节团拜会上的讲话 」新华网2015年2月17日。
(34)认真学习贯彻习近平总书记在春节团拜会上重要讲话精神在家庭建设中发挥妇女独特作用和妇联组织独特优势」『全国妇联简报』第8期。
(35)工评社聚焦:她们与我们每一个受压迫者息息相关(2015-3-10)」工评社博客2015年3月15日、「深切关注遭受当局打压的女权运动:她们与我们每一个受压迫者息息相关」工评社 新声代2015年3月11日、「长平观察:北京向女权亮剑」德国之声2015年3月11日。
(36)女权之声的微博【春节将至反逼婚 女青年街头跳“小苹果”】1月28日 18:02
(37)中国年轻一代女性更关注自己权益」新华网2015年3月1日。
(38)关于撤销“女权五姐妹”案的法律意见书」维权网2015年5月25日。
(39)益仁平对北京海淀警方提起行政复议,要求答复搜查办公室原因」2015年6月16日 12:46。
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