2017-07

広州で若い女性たちが公共交通の痴漢対策について交通管理委員会、地下鉄公司、警察、婦女連合会などと会談――各地で「赤ずきん」姿で痴漢・セクハラ反対活動

<目次>
 はじめに
 一、2014年11月27日 若い女性2人が、広州市交通管理委員会にバス・地下鉄での痴漢防止についての建議を手渡す。同委員会の前でも「赤ずきん」の扮装でアピール
 二、12月5日 5人が、広州市の交通管理委員会、地下鉄総公司、旅客輸送管理処、公安局(地下鉄分局・公共交通分局)と会談、前向きの回答を得る
 三、12月5日に会談した四者に加えて広東省の婦連と婦女児童工作委員会にも六者会談への招待状を送る。12月23日、招待状を持って婦連を訪問し、痴漢対策について権益部長と会談、前向きの回答を得る
 四、12月31日 公共交通の痴漢反対の活動をするボランティアを正式に募り、2015年の運動開始へ
 五、2015年1月10‐12日 広州市の人民代表大会の代表に公共交通の痴漢対策を義務づける法規の制定を訴える手紙とメール
 六、他の地方でも、「赤ずきん」の扮装でセクハラ・性暴力反対の活動
 おわりに――今回の運動の特徴

はじめに

地下鉄の痴漢問題に関しては、2012年6月、上海地下鉄の公式微博(中国版ツイッター)が痴漢を女性の服装のせいにする発信をしたことに対して若い女性たちが抗議したことをきっかけに運動が起こり、同年9月には広州でも運動が起きました。その中では、若い女性たちが「私はみだら(ふしだら)でもいいが、痴漢はいけない」と訴えるパフォーマンスアートをしたり、地下鉄会社に痴漢対策を求める署名運動をしたりしました。また、弁護士や大学教授も、地下鉄会社などに痴漢対策を求める建議などを送りました(本ブログの記事「痴漢を女性の服装のせいにする上海地下鉄ブログに対する、ネット内外での女性たちの抗議のうねり」「各地の弁護士・市民が地下鉄会社に対して痴漢防止策の建議・署名運動」参照)。

この問題について、昨年12月から広州で、若い女性たちが交通管理委員会や地下鉄会社、公安局(警察署)、婦女連合会と会談をおこなうなど、新しい動きが起きています。

一、2014年11月27日 若い女性2人が、広州市交通管理委員会にバス・地下鉄での痴漢防止についての建議を手渡す。交通管理委員会の前でも「赤ずきん」の扮装でアピール

2014年の11月25日~12月10日の「国際女性に対する暴力防止16日期間」の最中の11月27日、中山大学の女子学生の万欽さん(@羊驼青)と市民の于磊さん(@我形象好气质佳)が、広州市交通管理委員会に行って、「バス、地下鉄でのセクシュアルハラスメントの防止についての提案の手紙」を手渡しました(「バス」の原文は「公共交通」ですが、地下鉄も公共交通に含まれるので、ここでは市内の公共交通として地下鉄と並ぶ重要な役割を果たしている「バス」と訳してみました)。2人は、女性の権利保護グループ(妇女权益保护小组)のメンバーだとも報じられています。

2人は、まず、広州市交通管理委員会の入口で、「赤ずきん(中国語では「小紅帽」)」の扮装をして、右手に「公共交通の会社さん、地下鉄さん、こんにちは。4割の河南の女性が痴漢にあっています。60%近い女性が恐怖やばつの悪さなどの理由で、沈黙を選択しています。痴漢行為の処理に対して不満を持つ者の39%は若い女性です」と書いたボードを持ち、左手には「女が助けを求めたとき、“関係部門”は何と言っているのか?」と書いたボードを持って自らの主張をアピールしました。赤ずきんの扮装をしたのは、色狼(中国で痴漢の意味)に襲われる存在であることを示すためでしょう。

万欽さんは、記者の取材に対して、「インターネットで少し探しただけでも、公共交通の車上でセクハラに遭った話はいくらでもあるのに、多くの場合は、うやむやになったり、禁じても止まらなかったり、です。助けを求めても、バスや地下鉄の職員はきちんと対応しないと被害者は言っています」と述べました。

2人が書いた「バス・地下鉄でのセクシュアルハラスメントの防止に関する建議の手紙」(1)は、広州市交通管理委員会と広州地下鉄道総公司に宛てたもので、多くの女子大学生が公共交通でセクハラに遭っていることや、「都市のバス電車旅客運輸管理規則(城市公共汽电车客运管理办法)」第28条には「乗客は安全で速い旅客運輸サービスを得る権利を有する」とあり、「安全」には、セクハラや性暴力を受けないことも重要であることを述べたうえで、以下の6カ条の建議を記していました。

1.セクハラ防止工作制度を制定する。この制度は以下の点を含む。防止の原則、訴えへの対応、職責の分担、処置のプロセス、監督・審査など。また、この制度を、下級の会社の従業員の研修と審査に組み込むこと。

2.従業員のセクハラ防止研修をおこなう。研修の中では、次のことをおこなう。・会社にはセクハラを防止する法定の義務があり、従業員は会社を代表してこの義務を履行することが自分の仕事の責任であることを知らせる。・セクハラに関する認識の誤りを正す(「露出が多いとセクハラが増える」など、研究や証拠によって誤りが証明させているいわゆる「常識」を正すことを含む)。・従業員のセクハラ防止業務の分担とプロセスを明確にする。・セクハラ事件に応対する具体的な方法を訓練する。

3.セクハラの訴えのルートを設置・公表する。たとえば、ホットラインを設置する、処理の責任者を公表する、バス・地下鉄の目立つ場所に貼る。

4.セクハラ防止の宣伝を強める。バス・地下鉄の中に不法分子を震え上がらせるスローガンを貼ると同時に、市民に主体的に制止あるいは通報することを呼びかける、たとえば、「セクハラは違法行為です、制止と通報にご協力ください」などと。

5.セクハラの「首問責任制 (最初に対応した職員が最後まで責任を持って対応すること)」を実行する。職員はセクハラの訴えを受けたら、直ちに制止して、加害者を取り押さえ、証拠を固め、すぐに警察に通報して、被害者にその他の必要な援助を提供しなければならない。

6.微博(中国版ツイッター)のセクハラ防止の窓口としての機能を強化する。微博でセクハラ防止の訴えの方法を公表し、積極的に回答をし、微博上でのセクハラの訴えを処理する。被害者を責めたり、乗客の私的言論を暴露したりすることを杜絶し、公衆の監督を誠実に受け入れる。

2人は、「実はこの建議書は、2年前にある大学の教授が手渡したものですけれども、今日までずっと何も改善されていません」と述べています。2人は元の建議書(2)を修正・改善して、自ら手渡すことを決めたとのことです。

事前にアポイントメントを取っていたわけではなかったので、広州市交通管理委員会ではしばらく待たされましたが、万欽さんらは、交通管理委員会の職員と会うことができました。その職員は、「正規の手続きにのっとって、広州市の交通管理委員会の陳情室に行って渡すべきだ」などと言いつつも、万欽さんらが手渡した建議の手紙を受け取り、旅客輸送管理処に渡して処理することを承諾し、「陳情条例の規定にもとづいて60日以内、早ければ次週にも回答する」と述べました(3)

二、12月5日 5人が、広州市の交通管理委員会、地下鉄総公司、旅客輸送管理処、公安局(地下鉄分局・公共交通分局)と会談、前向きの回答を得る

12月4日、広州市交通管理委員会(以下、「市交委」と略す)から、于磊さん(@我形象好气质佳)に電話がかかって来て、翌日、市交委や公安局(警察署)、地下鉄公司が面談することが伝えられました。

かくして12月5日、中山大学の女子学生の万欽さん、小鐘さんと市民の于磊さん、小鄢さん、小胡さんが、市交委の陳情応対所で、地下鉄やバスでのセクハラ問題について、市交委、広州市地下鉄総公司、広州市旅客輸送管理処、広州市公安局地下鉄分局、広州市公安局公共交通分局の職員と会談しました(4)

万欽さんらは、6カ条の建議の内容について説明しました。さらに、各部門がセクハラ防止の研修をやりやすいよう、広州在住のセクハラについての専門家や学者の名簿を、建議の手紙とともに、それぞれの部門に手渡しました。

当日の会談では、万欽さんらの建議について、すぐに同意が得られたわけではありません。公安局地下鉄分局の代表は、「セクハラ事件は自分から通報する人が少ないので、重視されていない」と言いました。それに対して、万欽さんらは、「通報する人が少ないのは、この問題についての宣伝が不十分だからだ」と述べました。また、広州市地下鉄総公司の代表は、「さまざまな人が旅客輸送業務に要求を出しているので、その一つ一つには応えられない」と述べました。それに対して、于磊さんは、1年の12カ月でそれぞれ別のテーマを宣伝する、たとえば毎年特定の時期にセクハラ防止の宣伝をするなら、宣伝しないのに比べれば進歩であると言いました。

良い反応もありました。会談の中で、市交委など、部門・公司の何人かの代表は、公共交通でのセクハラはたしかに関心を寄せるべき社会問題なので、それぞれの部門・公司で、セクハラ防止のために何ができるかを検査すると表明しました。

なかでも、万欽さんらがおこなった、セクハラ防止研修の提案に対しては、多くの部門から回答が得られました。市交委と市の公安局公共交通分局の代表は、おのおの、今後、セクハラ防止について、職員に対する講座などの形で研修をおこなうことができると表明しました。さらに、市交委の代表は、もし出席している他の政府部門がセクハラ防止研修を必要とするなら、市交委が手助け・仲介できると表明しました。市の旅客輸送管理処の代表も、もし研修をやるなら、広州市の各公共交通公司に強く推薦したいと表明しました。

セクハラ防止の宣伝を強化するという提案については、市交委と市の旅客輸送管理処の代表は、もし婦女連合会(以下、婦連と略す)が宣伝活動を主導して、ポスターや標語、ビデオ広告などの宣伝材料も提供してくれるなら、市交委と市の旅客輸送管理処は、宣伝に協力して、宣伝スペースを提供したいと述べました。これに対して、万欽さんらは、省や市の婦連と話をして、婦連に公共交通系統やその関係部門と協力してもらって、セクハラ防止の面でもっと多くのことができるようにしたいと表明しました(5)

三、12月5日に会談した四者に加えて広東省の婦連と婦女児童工作委員会にも六者会談への招待状を送る。12月23日、招待状を持って婦連を訪問し、痴漢対策について権益部長と会談、前向きの回答を得る

12月5日の話し合いで、もし婦連がセクハラ防止活動をするなら市交委なども協力する、という話が出たことから、12月23日、于磊さん(@我形象好气质佳)と小魏さんが、広東省の婦連の主席で、同省の婦女児童工作委員会(女性・児童政策の調整・推進機関。以下「婦児工委」と略す)の副主席でもある閻静萍さんへの会談への招待状を持って、広東省婦女連合会を訪れました。

その招待状は、婦連、婦児工委、市交委、広州地下鉄、公安局、および民間で公共交通のセクハラ防止に関心を持つ広州の女性たちという六者が公共交通のセクハラ問題に対して、それぞれ、するべきこと、できることを話し合う会談に閻静萍さんを招待するものでした。

この招待状は、その会談について以下のように述べています。

一、このたびの会談は、けっして「上訪(上級機関に陳情に行くこと)」や「信訪(=来信来訪の略。投書・陳情)」ではなく、民間と政府側の機構との最初の公共の対話です。ですから、私たちは、省婦連の主席であり、婦児工委の副主任としてのあなたや、関係する業務部門の責任者と顔を合わせて交流と検討がしたいのであって、業務を管轄する職能がない陳情事務局に応対してもらいたいのではありません。

二、このたびの会談には、婦連、婦児工委、市交委、広州地下鉄総公司、公安局と私たちという六者が参加するように、私たちはそれぞれに招待状を出しています。もし婦連・婦児工委がイニシアチブをとって、交通管理委員会などの部門に連絡をとってもらい、六者面談の時間の場所を決めてもらえるならば、私たちは非常に感謝いたします。そうしてもらえれば、私たち普通の女性も、婦連・婦児工委がセクハラ防止問題に注目していると感じるでしょう。

三、私たちは会談の中で、省婦連、婦児工委および市交通管理委員会などの多くの部門・公司と、以下の問題で交流ができることを期待しています。
 1.公共交通のセクハラ防止について、法律・法規は、各部門に対して明確な職責を規定しているか?
 2.省婦連、婦児工委などの部門は、現在すでにどのような措置をとって、セクハラ防止のメカニズムを構築しているのか?
 3.現在とっている措置及び宣伝は、有効で十分なものか? それとも、問題がいささか存在しているのか? (実際の事例)
 4.他の国家・地区の公共交通のセクハラ防止の経験は、広東省で実施することができるか?
 5.公共交通のセクハラ防止システムを制定し、関係人員に研修をし、宣伝をし、警告や注意をする掲示を貼り、責任を明確にするなどの面で、出席した五部門は、長期的な協力メカニズムを構築することができるか?


その次に、「四」として、面談の時間は、遅くとも2日前には私たちに知らせてほしいということ、「五」として、面談の場所は、プロジェクターが使えるような、ゆったりとした場所にしてほしいということ、「六」として、公共の対話として、メディアの傍聴や取材もできるようにしてほしいことなどが書かれています。

上で、「一、このたびの会談は、けっして『上訪(上級機関に陳情に行くこと)』や『信訪(=来信来訪の略。投書・陳情)』ではなく~」と述べているのは、市民と政府との関係についての彼女たちの理念を示していると言えますが、後の―(2)で述べるように、「陳情」では、なかなかラチがあかないこととも関係しているのだろうとも思います。

この申し入れに対して、省婦連からは権益部の楊世強部長が出てきて、于磊さんらに応対しました。楊部長は、于磊さんらの招待状と建議について肯定し、「もし5つの部門・公司と女性の乗客の代表がこの問題について交流できるなら、公共交通のセクハラ防止を推進する上できわめて大きな進歩になる」と述べました。さらに、市婦連に対して、市婦連が市交委・市地下鉄総公司、公安局などの部門を仲介・連絡をして、この問題の措置について座談をするように指示することも承諾しました。省婦連も座談会に参加するとともに、この問題の進展に関心を持ち続けたいとも表明しました。

ただし、楊部長は、セクハラ防止のための宣伝を公共交通や地下鉄などでおこなうことは、宣伝経費の面で実際には困難であるとも述べました。それに対して、于磊さんは、「現在、鄭州・香港などの都市では、すでに公共交通の車両に『痴漢にあったら、職員に助けを求めてください』などの警告や援助の標語が貼ってあって、これらの標語は、コストがかからない宣伝方法だけれども、すでにある程度、普通の乗客をサポートし、犯罪者に警告を発するという働きができている。また、市交委はすでに12月5日の会談の中で、宣伝スペースを提供したいと言った」と述べました。

于磊さんと小魏さんは、婦連・婦児工委に招待状を手渡しただけでなく、上の招待状の文中にもあるように、市交委、市の地下鉄総公司、市の公安局の3部門にも郵送しました(6)

12月31日、公安局から電話があり、公安局が招待状を地下鉄分局に送ったところ、地下鉄分局は六者会談に参加したいと言ったと伝えてきました(7)

四、12月31日 公共交通の痴漢反対の活動をするボランティアを正式に募り、2015年の運動を開始

12月31日、「行動派フェミニスト(女権行動派)」の微博は、バスや地下鉄のセクハラを防止するための「小紅帽(赤ずきん)」ならぬ「大紅帽(大きな赤ずきん)」のボランティアを募集しました。「大紅帽」というのは、台湾のテレビドラマ「大紅帽與小野狼」(大きな赤ずきんと小さな狼。日本名「逆転! 赤ずきん」)という、SPという職業で背も高く強いヒロインと、彼女を狙うちょっと弱い御曹司とのラブコメディから取ったもののようです。あえて「大紅帽」を名乗るということは、女性が単に弱くて守られる存在ではないということを意味しているのだと思います。

その募集の文は、以下のようなものです。

今年12月から、広州では、童話と同じ身なりをした「小紅帽(赤ずきん)」が市交委、公安部門、公交公司、地下鉄公司、婦連などの機構に招待状を送って、バスや地下鉄のセクハラ問題について共に話をするように求めてきました。ボランティアたちは、自らを「大紅帽(大きな赤ずきん)」と称しています。さまざまな部門がさまざまな態度で大紅帽(大きな赤ずきん)に回答していますが、これらの機構の態度をまとめるならば、「セクハラは問題だから、なくさなければならない」ということです!! それらの機構は、それぞれが、セクハラをなくしてジェンダーフレンドリーな乗車環境を作り上げるために努力しなければならないことに同意し、もう一度セクハラ防止の方法について話し合いをすることを計画しています。

あなたも、その中の1人の赤ずきんになりませんか?
私たちは、あなたも赤ずきんになることを期待しています!!

公共交通のセクハラ反対のボランティアの募集を正式に開始します。

・計画1:バス・地下鉄のセクハラの状況および解決するための措置の調査研究をしよう!!
・計画2:大紅帽(大きな赤ずきん)の建議を両会(人民代表大会と政治協商会議)の代表や委員に提出してもらうよう説得しよう!!
・計画3:交委、バス・地下鉄公司、婦連、公安に行こう!!
・計画4:おもしろいパフォーマンスアートをして、厳重なセクハラ防止システムを提起しよう!!

大紅帽のボランティアたちは、不定期に集会をおこない、演劇や弁論、飲食などさまざまなやり方で、自分や身近な公共交通のセクハラの話をして、みんなで創意や才能を生かして、各部門に提案をおこないます。

活動期間:2015年の1年間、不定期に、ボランティアは興味を持った活動を選んで参加します。

活動地点:広州や杭州、北京など。詳しくはメールボックスに申し込んで、尋ねてください(8)

2015年1月8日にバス・地下鉄セクハラアフタヌーンティー討論会をおこなうことも鄭楚然さんが告知しました(9)
五、2015年1月10‐12日 広州市の人民代表大会の代表に公共交通の痴漢対策を義務づける法規の制定を訴える手紙とメール

2015年1月10‐12日、万欽さんたちは、もうすぐ開催される広州市の人民代表大会の代表(日本で言う議員)に、「公共交通のセクハラ防止メカニズムを構築する建議」を審議するように求めて、119通の書留と140通の電子メールを送りました。彼女たちの建議の内容は、以下のようなもので、要するに、彼女たちがこれまで主張してきた痴漢防止の具体策を法律で規定することを求めるものだと言えます。

1.当地の法規に、公共交通のセクハラ防止工作の制度を入れる。各部門の職責を明確にし、防止の原則、訴えへの応対、職責の分担、処理のプロセス、監督審査などを明確にする。この制度を各部門の下級の公司の従業員の研修と審査に組み入れる。

2.立法によって、各部門、とくに公共交通管理運営部門の従業員の研修にセクハラ防止の内容を加えることを規定する。

3.立法によって、セクハラ防止の宣伝を強化することを規定する。バス、地下鉄などの公共交通施設の中に標語を貼り、セクハラ防止とその法律的根拠のビデオを定期的に放送して、音声による注意を増やして、不法分子を震撼させ、通報・訴えのシステムを作ることを規定する。

4.セクハラ処理の「首問責任制 (最初に対応した職員が最後まで責任を持って対応すること)」を実施すること。公共交通の施設運営部門の職員がセクハラの訴えを受けたら、ただちに制止し、セクハラした者を確保し、証拠を固め、すぐに警察に通報し、被害者のために必要な援助を提供する。

(10)

六、他の地方でも、「赤ずきん」をかぶってセクハラ・性暴力反対の活動

なお、「赤ずきん」が登場したのは、広州市だけではありません。

 (1) 9月10日 10大学の門前で女子大学生が「赤ずきん」の扮装でキャンパスセクハラ防止を訴える

すでに2014年の9月10日の「教師の日」に、10の大学(厦門大学・天津大学、東北師範大学・北京外国語大学・西北大学・武漢大学・西北師範大学など)の門前で、女子大学生たちが「赤ずきん」の扮装をして、キャンパスセクハラ防止を訴えたことがありました。彼女たちは、全国116カ所の「211プロジェクト大学(1995年に教育部が、21世紀に向けて重点的に投資すると決めた約100大学)」の校長に、彼女たちが起草した大学でのセクハラ防止規範を提案する手紙も送りました(11)

この時の「赤ずきん」は、右手に剣を、左手に盾を持ち、その盾には「自由と夜を女子学生に返せ」と書かれていました。なぜそのようにしたのかというと、この活動に参加した「小五」さんは、「伝統的な理解では、赤ずきんが狼に食べられたのは、彼女が警戒していなかったからだとされており、この物語は、家にいなければならず、どこにも行ってはならないことを教えているとされてきました。セクハラや性暴力の事件がおきるたびに、それは女子学生が警戒していなかったからだと言われてきました」、「私たちが赤ずきんの扮装をして、手に剣と盾を持ったのは、私たちは、家にいてどこにも出かけない人になるつもりはない、と言いたいからです」と述べました(12)

上の説明は、2014年の年末に、「小紅帽」ではなく、「大紅帽」を名乗ってボランティア募集の呼びかけをしたことと相通じるものがあると思います。

 (2) 12月4日 北京の教育部に李麦子さんと肖美腻さんが陳情

12月4日には、李麦子さんと肖美腻(肖美麗)さん、王宇弁護士が、スクールセクシュアルハラスメントの問題の解決を求めて、教育部に行きました。その際、李麦子さんと肖美腻さんは、教育部の前で赤い頭巾をかぶった写真を撮影しています。

王宇弁護士が訴えたかったのは江西省瑞昌市の事件についてです。2013年、江西省瑞昌市で、小学校の教師が多くの女子児童に対して性暴力をおこなっていたことが発覚しました。この事件の犯人は投獄されましたが、保護者は、事件が起きた江源小学校とともに、瑞昌市政府と瑞昌市教育局を裁判所に訴えて、管理責任を問うとともに、今後の治療費と精神的損害賠償(慰謝料)を要求しました。ところが瑞昌市の蒋賢智副市長は、「もし私の子どもがそういう目にあったら、黙って治療を受けさせて、政府には一銭も要求しない」と述べるありさまでした(13)

彼女たちは、教育部に行こうとしたのですが、陳情事務局が教育部を代表していると言われて、陳情所に回されました。また、弁護士は入ることが許されず、担当者に、名前や職務を尋ねても答えてくれず、スクールセクシュアルハラスメントについての事件や対策について質問しても、まともな答えは返ってこず、具体的な議論はまったくできなかったようです(14)

 (3) 12月15日 北京で、石畳に水で字を書くパフォーマンスアートによって、家族内の性暴力は隠蔽される現状を批判

また、12月15日にも、北京の後海の銀錠橋のそばで、「赤ずきん」の扮装をした2人の若い女性(「女声網」には、「小猫」と「児玉」という仮名が書かれています)が「家族が円満ならば、何事もうまくいく」と書かれた大きな扁額を背中に背負って、石畳に水で字を書いていくパフォーマンスアートをしました。水で書いた字は、時間が経つにつれて消えていきます。2人は、このパフォーマンスアートによって、家族の中の子どもに対する性暴力が「家庭内の醜いことは外へは出してはいけない」といった観念によって隠蔽されている現状を批判したのです(15)

おわりに――今回の運動の特徴

先に述べたように、地下鉄の痴漢問題については、2012年にも運動がおこなわれましたが、今回の運動は、それと比べて、いくつかの点で新しい展開があると思います。

第一に、地下鉄だけでなく、バスなどを含めた公共交通全体を問題にしたことです。

第二に、2012年は、若い女性たちは主にパフォーマンスアートや署名運動をしており、地下鉄会社へ建議などを出したのは主に弁護士でした。今回は、2012年の建議を元にしているとはいえ、若い女性が中心になって建議を出しています。

第三に、今回は、行政機関(交通管理委員会、旅客輸送管理処、公安局)、地下鉄会社、婦女連合会と会談をおこない、しかも、それらの機関・企業や団体から、ある程度前向きの反応を得たことです。また、彼女たちは「陳情」ではなく、民間と政府側機構との「公共の対話」を主張しており、実際、12月5日の会談は、陳情所で行われたとはいえ、実質的には対話になっていると思います。

第四に、この件で、公にボランティアを募集したりしている点も新しいと思います。人民代表大会の代表への働きかけも、2015年の働きかけは、痴漢対策の要請としては、従来にない系統的なもののように思います(16)

また、「赤ずきん」について興味深いのは、彼女たちは、狼に襲われる存在としての「赤ずきん」の扮装をしていて、この点は一般にもわかりやすいのですが、それは必ずしも旧来の「赤ずきん」ではなく、旧来の男女像を逆転させた「大紅帽(大きな赤ずきん)」を称したり、剣や「自由と夜を女子学生に返せ」を書いた盾を持って、女性の権利をアピールしたりしていることです。

なお、2014年は、2013年に続いて、スクールセクシュアルハラスメントについても、さまざまな運動が繰り広げられた年でもありました。そのことについては、また別にまとめたいと思います。

(1)全文が羊驼青的微博2014年11月28日 11:41に掲載されています。
(2)2012年には、複数の弁護士や大学教員が地下鉄公司などに対して、痴漢対策に関する情報公開申請や建議を送りましたが、そのうち、8月に、10人の男性弁護士が上海申通地下鉄集団有限公司に出した建議を、本ブログの記事「各地の弁護士・市民が地下鉄会社に対して痴漢防止策の建議・署名運動」の「8月 10人の男性弁護士が上海地下鉄に痴漢防止策を建議」の箇所に書いています。この建議は、今回提出されたものとほとんど同じ内容の6項目です。ただ、今回の2人の発言には、「教授」とありますので、これは、同年9月、広州市の中山大学中文系副教授で、中山大学ジェンダー教育フォーラムの柯倩婷さんが、広州市交通管理委員会、広州地下鉄総公司に提出した情報公開申請にも同じような事項が書かれていたのかもれません。
 なお、上で「ほぼ同じ」と書きましたが、2012年のものは「地鉄」となっていた箇所が、今回は「公交、地鉄」となっていますので、バスなどを含めた公共交通全体を問題にするようになったという違いはあります。
(3)以上は、「妇女权益保护小组约谈广州市交委」南方快报2014年11月27日(来源:南方日报)、「中大女生化身 “小红帽” 吁请关注公交性骚扰交委 请设防堵截公交“大灰狼”!」『羊城晚报』2014年11月28日、「中大女生化身 小红帽求惩公交地铁“射狼”」『南方都市报』2014年11月28日。
(4)女权行动派很好吃的微博【进展:市交委再次来电】2014年12月5日 15:11
(5)以上は、女权之声的微博【广州女大学生“约谈”市交委,交委携公安局应约,共谈性骚扰防治机制】2014年12月6日 14:24
(6)我形象好气质佳的微博2014年12月23日 16:00、女权行动派很好吃的微博 2014年12月23日 17:32、女权行动派很好吃的微博「“反公交地铁性骚扰,约吗?” 女乘客约谈妇联妇儿工委 望积极推动公共交通性骚扰防治机制」微博文章2014年12月23日 17:30
(7)女权行动派很好吃的微博【小红帽作战公交咸猪手之公安回电】2014年12月31日 15:36
(8)以上は、女权行动派很好吃的微博2014年12月31日 21:56
(9)大兔纸啦啦啦的微博1月7日 11:15
(10)以上は、「女乘客游说人大代表建立公共交通性骚扰防治机制」2015年1月16日(来源:女权行动派很好吃微信公众账号)、「广州女乘客呼吁公共交通系统建性骚扰防范机制打击咸猪手」Radio Free Asia2015年1月16日。以下の建議の内容は、上記の「女乘客游说人大代表建立公共交通性骚扰防治机制」に書かれています。
(11)女权之声的微博【“小红帽”现身大学 十地女大学生要求校长反性骚扰】2014年9月10日 11:27 、「十地女大学生起草性骚扰防治规范 致信百所“211”高校校长呼吁禁止“师生恋”」法制日报——法制网2014年9月10日。
(12)Group Urges Action Against Sexual Harassment on University Campuses,The New York Times,September 10, 2014→「与中国校园性骚扰斗争的“小红帽”」2014年9月11日。
(13)女权行动派很好吃的微博【幼女遭受性侵害――小红帽在哭泣】2014年11月19日 17:09
(14)以上については、麦子家的微博【行动派+律师约谈教育部】2014年12月3日 16:02、肖美腻的微博2014年12月4日14:51
(15)小猫,儿玉「她们用清水写下受害者故事,呼吁重视家庭内性侵害」女声网2014年12月16日。
(16)ただし、すでに2013年の全人代にも、公共交通のセクハラ防止に関して、弁護士らや万欽さんらが提案した6項目とほほ同様の内容の提案を、全人代代表で阜陽師範学院外国語学院副院長の盧凌さんが提出していますので(「【直击两会】卢凌:公共交通系统建性骚扰防范机制打击咸猪手」今视网2013年3月15日)、昨年時点から人民代表大会の代表への働きかけ自体はおこなわれていた可能性もかなりあるように思います。
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