2017-08

大学入試における男女差別の現状とそれに対する批判・抗議

昨年夏以来、本ブログでは、一部の大学の一部専攻が、大学入試において男女別に採用人数を決めて、女子学生の合格ラインを男子学生よりも高くするという男女差別をおこなってきたことが明るみに出たこと、教育部もそうした男女別採用を「国家の利益」などの名の下に擁護したために、女子大学生らが坊主頭になって抗議するなど、さまざまな抗議活動がおこなわれてきたこと、それによって「小語種(英語以外の外国語)」専攻の男女差別は大幅に改善されたけれども、まだ問題が残っていることをお伝えしてきました(本ブログの記事「一部大学・専攻の入試合格ラインの男女差別に対する批判高まる」、「大学入試の男女差別に対する抗議活動つづく――差別を正当化する教育部を批判して、坊主頭になるパフォーマンスアートも」、「教育部、大学入試の男女差別について、外国語専攻などの専攻名を挙げつつ正当化――女性団体はすぐ反論」、「大学入試の外国語専攻の合格ラインの男女差別は撤廃、残る警察・航海専攻などの差別に女性たちが抗議」参照)。

その件に関して、今年8月15日、NGOの「女性メディアウォッチネットワーク」は、大学入試における男女差別の現状とそれに対する批判を述べた詳細な報告書を発表しました。さらに、新しい年度の講義が始まった9月1日には、昨年坊主頭になって教育部に抗議した5人の若い女性が、教育部が出した規定にさえ反して男女差別をしている大学を教育部に通報しました。同日、11人の女性弁護士は、大学を監督すべき教育部に対して、それらの大学の差別を是正するように求めました。今回は、そうした動きについてご紹介いたします。

一、「2013年『211』プロジェクト大学学生募集性差別報告」

8月15日、「女性メディアウォッチネットワーク(妇女传媒监测网络)」という女性の権利のため活動をしている民間団体が、「女子学生に平等を返せ――2013年『211』プロジェクト大学学生募集性差別報告(还女生平等――2013年“211”工程学校招生性别歧视报告[女声网2013年8月15日])」という報告を発表しました。このネットワークは、昨年来、大学入試の性差別を撤廃させるために、先頭に立ってさまざまな活動をしてきた団体です。

なお、この報告書の末尾にある教育部に対する建議の手紙は、昨年教育部の性差別に対して抗議の意思を示すために率先して坊主頭になった呂頻、李婷婷[=李麦子]、鄢溢夢、小鉄(仮名)、熊婧、肖月[=肖美麗、肖美腻]、梁暁雯[=梁小門]の7人の連名です。

以下、この報告の要旨をご紹介します(文中の中国語の新聞記事などは、原文にはリンクの形で示されているものです)。

一、背景の情報

(この章の内容については、すでに上記の本ブログの諸記事にも詳しく書いていますので、簡単要旨だけを紹介します)

1、2005:性差別が初めて明らかになり、教育部が許可をする規則を設けた

2005年、メディアが、北京大学の小語種(=英語以外の外国語)専攻が長い間、女子学生の合格ラインを引き上げる「隠れたルール」を設けていたことを明らかにし、世間を騒がせた。同年、教育部は、「大学は教育部の許可なく、勝手に男女の採用比率を規定してはならない」という通知を出した。

しかし、このことは、大学が学生募集で男女の比率を決めて、女子学生を制限するというやり方が食い止められたことを意味しなかった。逆に隠れたルールが、教育部の許可を得ることをつうじて、合法化されたのだった。

しかし、そのことについては、それらの専攻の受験生や保護者は知っていたが、大多数の人々はよく知らなかった。

2、2012:繰上げ採用の性別による点数の差が抗議を巻き起こした

2012年7月、メディアが、一部の大学が、繰上げ採用(*)において、男女の比率を決め、それによって女子の合格ラインを男子の合格ラインよりも高くしているという差別を報道した(「高校招生提前批投档线出炉 北大小语种文科又夺魁 香港中大理科再居首 提前批“女高男低”有高校男女生相差40多分」『南方都市报』2012年7月8日など)。(*)繰り上げ採用(提前录取)……少数の大学と専攻がその年の大学入試が終わった後、大規模な学生募集の前に受験生を前もって採用すること。軍事など、特定の専攻に多い。

3、教育部が「国家利益」と「特殊な職業」を説明したが、多くの人は納得しなかった

7月、女性メディアウォッチネットワーク代表の呂頻と弁護士の黄溢智が、それぞれ教育部に対して、「2012年の大学入試の学生募集で、教育部は、どの大学のどの専攻に男女の採用の比率を制限してもいいと許可したのか? その根拠は何か?」という点について情報公開を申請した。8月下旬、2人は、それぞれ、教育部から「国家の利益を考慮して、一部の特殊な職業またはポストの特殊な専門人材の養成については、特定の手続きをへて、少数の学校の一部の専攻は、男女の学生募集の比率を適当に調整することができる」という回答を受け取った。

それに対して、8月30日、4名の若い女性が広州で坊主頭になって、教育部に抗議した(坊主頭は「教育部の回答はゼロに等しい」という意味)。翌日には、3名のNGO関係者が北京で坊主頭になって抗議し、他の人々もそれに続いた。

その後も、この問題について、さまざまな活動がおこなわれた。
 ・北京衆沢女性法律相談サービスセンター(NGO)が、教育部に対して、「どんな国家利益にもとづいて考慮したのか」、「『少数の学校の一部の専攻』とはどの学校のどの専攻なのか」という点について情報公開申請をした(「2012年10月16日」北京众泽妇女法律中心的博客2012年10月16日)。
 ・李麦子が、「教育部はどの大学のどの専攻を、性別のバランスのニーズにもとづいて、男子学生の合格ラインを上げて、女子学生の採用比率を増やして、男子学生が多い専攻の中で、女性が教育を受ける機会を保障したのか」という情報公開申請をした(「“光头姐”再问:哪些专业可限招男生?」『羊城晩報』2012年10月19日)。
 ・北京衆沢女性法律相談サービスセンターが、教育部に法律的意見書を出した(「众泽妇女法律咨询中心致教育部意见书」网易女人2012年9月2日)。
 ・大学入試性差別弁護団を組織して、性別が原因で教育の機会を失った女子学生に法律的援助を提供するという声明を出した(「高考性别歧视女律师团得到12省20律师加盟」新浪教育2012年8月9日[来源:法制网])。
 ・国内8大学の法学院の10名の女子大学生が、全国人民代表大会の代表と全国政治協商会議の委員に手紙を出して、男女の合格ラインの差別をなくすよう訴えた(「多位全国人大代表吁关注高考录取性别歧视」搜狐新闻2013年3月9日[来源:南方都市报、原标题「同一专业录取线 凭什么女生比男生高几十分」)(1)
 ・6人の大学生らが、広州市の学生募集試験委員会の前で、公然と「サツマイモを売って」性別による合格ラインの区別の撤廃を訴えた(「大学生“烤番薯”抗议招生歧视 6人到市招考办门口反对高考录取男女有别」『南方都市报』2013年3月1日)(2)

4、2013:教育部が政策を改め、性別を制限する範囲を縮小した

2012年10月15日、教育部は、北京衆沢女性法律相談サービスセンターに回答をし、以下の3つの類型では、大学が男女の学生募集の比率を決めることが許されるとした。
 1.特定の職業上の必要と密接に関連しており、かつ職業に男女の比率に対して要求がある専攻、たとえば軍事、国防、公共安全(≒警察)などの専攻
 2.女性を保護する視点から、適当に女性の出願を制限する、たとえば航海・採鉱などの専攻
 3.一部の専門の、教育のリソースに限りがあって募集する学生の数に限りがあり、かつ社会的ニーズに一定の性別のバランスがある専攻、もし男女の比率を制限しなければ、重大な男女の比率のアンバランスが生じる可能性があって、実質的に教育の効果と社会の利益に影響して、国家の関係部門のニーズにも影響があるものがある専攻、たとえば、一部のあまねく通用しない言語の種類[=「小語種(英語以外の外国語)」]、アナウンス・司会[播音主持]専攻など

2013年5月、教育部は「2013年普通大学学生募集工作規定(2013年普通高等学校招生工作规定)」を出して、その中で「軍事・国防・公共安全などの一部の大学(専攻)以外では、大学は男女の採用比率を規定してはならない」と規定した。

2013年7月初め、メディアが、北京語言大学・人民大学・北京外国語大学が小語種の学生募集の性別の比率を取り消し、男子学生の採用人数が減少したと報じた。

二 報告の説明

・2013年、大学の学生募集のジェンダー平等の状況はもう楽観できるのか? これが、本報告が証拠を挙げて回答しようとする第一の問題である。

・もし性差別を徹底的になくしたいなら、教育部と各大学は何をするべきか?  大学入試の性別政策に対する全面的検討によって、この第二の問題に回答する。

1、統計の範囲は、2013年の「211」大学の本科生の学生募集に限定している

「211プロジェクト」大学(1995年に教育部が、21世紀に向けて重点的に投資すると決めた約100大学のこと。現在112大学ある。wikipediaによる説明[中国語日本語])の中国の大学における地位にかんがみ、この報告は、その112大学の2013年の本科生の学生募集政策・募集計画だけを統計的に分析した。

2、情報源はみな公開されているインターネットである

この報告の情報源は、教育部が指定した、大学の学生募集情報発表の場である「陽光高考網」や各大学の公式サイト、マスコミ報道などである。

3、三つの面の内容

・「211」プロジェクト大学の大学入試の性差別の現状の総括的記述と分析
・教育部と各大学の学生募集の性別政策の合法性の分析
・大学入試の性差別の現実を分類、是正するための現実に即した提案

三、「211」および「985」大学の本科の学生募集計画の性別の制限の統計

112校の「211」大学のうち、性別の制限をしていないのは31校であり、総数の約28%である。そのうち「985」大学(教育部が1998年5月に定めた、「211」の中でもさらに重点的に投資する大学で、39校ある。wikipediaによる説明[中国語日本語])では8校であり、総数の約21%である。

すなわち、性別の制限が存在する「211」大学は81校で、総数の約72%を占めており、性別の制限が存在する「985」大学は31校であり、総数の約79%を占めている

それらの学校の制限の状況は以下のとおりである。

きつい職業類(艰苦行业类)
・航海類――大連海事大学、武漢理工大学→「女子学生は募集しない」
・飛行技術――北京航空航天大学、南京航空航天大学→「男子学生のみ募集」
・採鉱――吉林大学、中国鉱業大学→「男子学生が適している」、太原理工大学、貴州大学(定向生[卒業後の進路が定められた学生])→「男子学生のみ募集」
・地質とトンネル工程――長安大学→「女子学生は出願を慎むようすすめる」
・地下資源探査、測量、地質――青海大学→「女子学生は10%を超えない」

軍事類→「女子学生は10%を超えない」。一部の大学は女子学生を募集していない。
・軍事大学――国防科学技術大学、第四軍医大学、第二軍医大学
・国防生[大学教育と同時に軍事教育・軍事訓練を受ける。将来は軍隊の幹部になれる]――北京大学、清華大学、北京理工大学、中国政法大学、河北工業大学、内蒙古大学、大連理工大学、東北大学、吉林大学、ハルピン工程大学、華東理工大学、南京大学、南京理工大学、河海大学、安徽大学、合肥工業大学、山東大学、武漢大学、中南財経政法大学、中南大学、中山大学、華南理工大学、四川大学、西南交通大学、西南財経大学、雲南大学、中国人民大学、北京交通大学、北京航空航天大学、北京科技大学、北京林業大学、天津大学、太原理工大学、遼寧大学、ハルピン工業大学、復旦大学、上海交通大学、南京航空航天大学、浙江大学、中国科学技術大学、南昌大学、中国海洋大学、華中科技大学、武漢理工大学、湖南大学、湖南師範大学、広西大学、重慶大学、電子科技大学、西南大学、貴州大学、西北大学、西北工業大学、長安大学、新疆大学、西安交通大学、西安電子科技大学、蘭州大学、寧夏大学、石河子大学、中国石油大学、中国地質大学
・公安類――中国政法大学、中南財経政法大学→「女子学生の比率は15%を超えない」

芸術類
・その他――内蒙古大学→芸術類の一部の専攻は男女に分けて学生募集
・ダンス――四川大学、延辺大学、西藏大学、武漢大学→男女に分けて学生募集
・演技――中国メディア大学、四川大学→男女の学生は別々に順番をつけて、採用比率を1∶1にする。
・アナウンス・司会――中国メディア大学、東北師範大学、華東師範大学→男女の学生は別々に順番をつけて、採用比率を1∶1にする。西藏大学→男女に分けて学生を採用する。
・ファッションショー実演――海南大学、江南大学→女子学生のみ募集
・演劇・映画・テレビ監督(演出家)――中国メディア大学→男女の学生は別々に順番をつけて、採用比率を1∶1にする。
・声楽――中央音楽学院、四川大学、鄭州大学→男女を1:1の比率で別々に募集する

外国語類
・小語種――北京外国语大学→繰上げ募集の一部の専攻は男女に分けて学生を募集

体育類
・ハイレベルのスポーツ選手――新疆大学→「国防性とハイレベルのスポーツ選手以外の専攻は、原則的に男女の比率を制限しない」とある
・その他――雲南大学→男女に分けて学生を募集

看護――天津医科大学、山東大学、北京中医薬大学、湖南師範大学、青海大学→男子学生を制限(女子学生のみ、志願している男子学生のみ、一部の省の第一志望の男子学生のみ)、吉林大学→「女子学生が適している」、華中科技大学→「女子学生の出願をすすめる」

その他
・電子科学と技術――遼寧大学→四川では「男子学生のみ募集」

以上の統計から、以下のことがわかる。

●大学が性別を制限する現象は広範に存在しており、多種多様である。

●性別の制限は、基本的には、教育部が昨年説明した3種類にまとめられる。・国家安全類(軍事・警察・国防)65大学、特殊なニーズ類(芸術・体育・小語種・看護)24大学、きつい職業類(航海・飛行・採鉱・地質)10大学。その他1大学。

●きつい職業類の女子学生排除が最も強く、次が国家安全類である。ファッションショーの実演を除く芸術類の専攻は男女を1:1で募集している。男子学生に対する制限は、看護とファッションショー実演に集中している。

●学生募集の人数から言えば、国家安全類の学生募集の規模は、他の2種類よりはるかに上回っており、関係している大学の数も最も多い。

●教育部の「2013年普通大学学生募集工作規定」によれば、「軍事・国防・公共安全などの一部の特殊な大学(専攻)を除いて、大学は男女の学生の採用比率を規定してはならない」。この規定によれば、34の「211」大学が直接規定に違反している。

●しかし、その中の大多数の大学の学生募集規則と学生募集計画は「陽光高考網」で発表されており、教育部が認可していることを示している。それゆえ、教育部は監督不行き届きという責任がある。

●また、一部で性別の制限をなくしたと報道されている大学にも、実際は依然としてこうした現象がある。すなわち、北京外国語大学のアラビア語・ペルシャ語・インドネシア語専攻の学生募集がそれである。

しかしながら、教育部の同意を得ているか否かや「2013年普通大学学生募集工作規定」に符合しているか否かに関係なく、この81カ所の「211」大学の学生募集の性別の制限が差別であるか否かは、差別撤廃のための国際条約や国家の法律にもとづいてのみ判断できるのであり、教育部の規定自体も、法律的な検証をする必要がある。

四、「211」大学の本科の学生募集の性差別の分析

「女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」の第1条は、「女性に対する差別」という言葉は、「性に基づく区別、排除又は制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のいかなる分野においても、女性(婚姻をしているかいないかを問わない)が男女の平等を基礎として人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを害し又は無効にする効果又は目的を有するもの」を指している。

同条約の精神にもとづけば、性差別には三つの要素がある。第一に性別にもとづいていること、第二に、区別して扱っていること、第三に、不利な結果である。

性差別に反対することは、合理的および必要な取り扱いの区別を拒否することを意味しない。しかし、教育領域における合理的および必要な取り扱いの区別については、必ず具体的に、教学、学習、未来の就業の内在的要求と性別とが関係があるかを考察しなければならない。

1、きつい職業に関連した専攻の「善意の保護」? 根拠はなく、実は差別

きつい職業と関連した専攻には、航海・飛行・地質・採鉱などの専攻が含まれる。これらの専攻が女子学生の募集を制限することは、就職する仕事がきつくて、女性には適さないと考えられていることと直接的な関係がある。

まず、航海・飛行・地質は、「女性労働者保護特別規定」の中の女性労働者の禁忌労働保護の範囲に入っていない。これらの領域で、「保護」の名の下に女性の就業を制限することは、実際には女性の就業の機会を剥奪することになる。

たとえば、船員は伝統的に男性の就業領域であり、統計によると、全世界の船員の中で女性が占める割合は2%しかない。しかし、ある研究(赵碧倩「性别视角下我国高考招生政策分析之保护性政策:航海类专业」2013年7月4日[来源: 妇女观察网])は、中国では、早くも前世紀の50年代に最初の世代の女性船員が出現しており、「改革開放」以後になってはじめて海運業に従事することに対する制限が設けられ始め、「船員訓練システムの性別の制限がしだいに確立してきた」ことを指摘している(この趙碧倩論文については本ブログの記事「大学入試の外国語専攻の合格ラインの男女差別は撤廃、残る警察・航海専攻などの差別に女性たちが抗議」の中で詳しく紹介しています)。しかし、今に至るまで、公表されている航海の就業政策は依然として女性を受け入れている。

国際海事機関[国際連合の専門機関の一つ]が今年4月に発表したある情報には、「海運は古来ずっと男性が仕事をするのに適した職業であるというイメージが世間の人に深く刻まれてきた。しかし、女性が海運に参与するグローバルな計画の実施を通じて、国際海事組織は水上運輸業が伝統から離脱して、女性が海運業の中できちんとした地位を築くことを全力で援助している」(3)とある。

2001年から、上海海事大学は、航海技術専攻が上海・江蘇・浙江の3地で、一部に女性を採用するように規定している。

次に、女性の坑内労働を禁止することは、女性が鉱業の企業で働くことを禁止することや女性が採鉱専攻で学ぶことを禁止することと同じではない。「女性労働者保護特別規定(女职工劳动保护特别规定)」は、女性は「鉱山の坑内作業」に従事してはならないと規定しており、これは女性に対する保護措置である。しかし、採鉱を専攻することは、卒業後、必然的に坑内作業をすることを意味しない。鉱業の企業には女性が従事することができる坑外のポストがたくさんあり、ある石炭企業では、女性労働者の人数が総数の36%前後を占めている。

さらに、航海と採鉱という業界では、今に至るまで依然として普遍的にタブーが存在しており、女性が船に乗ったり坑内に入ったりすることは不吉だと考えているが、これらは、業界が一掃すべき迷信である。

最後に、けっしてすべての、きつい職業と関連した専攻が女子学生を制限しているのではない。たとえば、中国地質大学や中国石油大学は性別の制限をしていない。このことも、ある面から、女子学生の採用を制限することが不合理であることを示している。

空軍にはずっと女性の非戦闘機のパイロットがおり、近年は女性も戦闘機を操縦し始めた。空軍に女性パイロットが存在していることは、民間航空のパイロットが女性に門戸を閉ざす必要があるのかどうかを考えさせる。

以上、きつい職業と関連した専攻が女子学生の募集を制限していることについての本報告の観点は、以下のものである。

●多くのきつい仕事は、法律が規定した女性の禁忌労働の範囲ではないので、女性が従事するのが不適当だという理由で女性が専攻することを禁止する法律的根拠はない。

●あるいくらかの作業のポストが禁忌労働の範囲であることは、女性が関連する専攻に進学することを全面的に禁止することが合理的であることと同じではない。

●大学は、関係する業界がタブーや迷信によって女性を排斥していることを制止すべきである。

●けっして、きつい職業と関係する専攻を設けている大学のすべてが女子学生の募集を制限しているわけでないことは、まさに募集の制限が不必要であることを示している。

●空軍の女性パイロットの存在も、民間航空の飛行専攻が女性を募集していないことが必ずしも合理的ではないことを説明している。

2、国家の安全と関連した専攻は「国家の利益」? 女性も任に堪える

軍事大学と国防生が女子学生を制限したり、軍隊と関連する職種が女性を制限したりすることに、法律的根拠はあるのだろうか?

「中華人民共和国兵役法」・「中華人民共和国国防法」には、女性が兵役に服することや国防に参与することについての制限はない。

教育部と総政治部が2002年6月に公布した「普通大学国防生募集暫定規定」には、国防生の募集の際の性別の条件は書かれていない。

2008年6月に下達した「軍事大学の普通中学・高校卒業生の募集工作実施細則」第39条は「投档(合格ラインに達した受験生の身上調書を受験先に送付すること)時には、男子学生と女子学生、指揮類と非指揮類の区分をしなければならない」と規定しているけれども、その比率までは述べていない。

2008年1月1日に正式に施行された「中国人民解放軍軍事大学学生募集工作条例」にも性別に関する規定はない。

軍事大学と国防生の学生募集は、指揮専攻と非指揮専攻とに分かれるが、指揮専攻について言えば、一線の戦闘のポストにいる女性はますます増えつつある。非指揮専攻について言えば、その役割は、部隊のために専門的技術者を養成することであるが、その専門の幅は非常に広く、臨床・法学・国際貿易・コンピュータ・外国語……などなどが含まれており、その学習と将来の職責から見て、けっして男性だけが任に堪えるようなものではない。

国家が軍事大学と国防生に手厚い保障を与えているので、多くの学生が出願している。湖北省の解放軍学生募集事務局の責任者は、メディアに対して、「現在、大学卒業生が就職難であるという状況の下では、軍事大学や大学の国防生に出願する利点ははっきりしている。第一に、卒業後、士官になって従軍する夢が実現できる。第二に、軍事大学と普通の大学の国防生はどちらも繰上げ採用なので、もし何らかの原因で採用されなくても、第1回の本科とその後の志望の採用に影響しないので、採用の機会が1回多いのとほぼ同じことである」と述べている(「湖北省今年招1023名军校国防生 不招文科女」捜狐教育2013年5月31日[来源:汉网-武汉晚报])。女子学生の数を制限することは、採用・学習・就職という段階における利益を男性のほうに多く保障していることを意味している。

要するに、教育部の政策は募集制限を明確に許可しているけれども、軍事大学と国防生が女子学生の募集を制限していることはやはり差別的である。

●法律や政策の根拠がない。

●軍隊が女性に門戸を開いているという発展の趨勢に合致しない。

●軍隊に関連する職務、とくに専門技術の職務はけっして男性だけが任に堪えるのではない。

●採用・学習・就職の段階の各種の保障が男性に偏向しており、直接的な利益の不公平を作り出している。

中国政法大学・中南財経政法大学の公安類専攻は、明確に女子学生が15%を超えないことを規定している。教育部の大学学生局と司法部の法規教育局が2003年3月11日に公布した「中国政法大学・西南政法大学・中南財経政法大学・華東政法学院・西北政法学院・中央司法警察学院繰上げ採用専攻学生募集規則」の中で、前5カ所の大学の捜査学・治安学・国境警備管理・刑事科学技術専攻と中央司法警察学院の各専攻の繰上げ採用時には、「6大学の繰上げ採用の専攻で採用する女子学生の比率は、各校とも学生募集の15%以下とする」と規定している。それゆえ、中国政法大学・中南財経政法大学の公安類専攻の性別の制限は教育部の政策に合致している。

しかし、軍事大学や国防生の場合と同様、公安専攻が女子学生を制限することは、十分な根拠が欠けている。ジェンダー問題の専門家の栄維毅は「公安大学の女子学生の比率についての問題のジェンダー視点からの討論(「扩大公安院校招生女生比例问题讨论」荣维毅的博客2013年6月7日)という一文において、2011年の中国の女性警察官の比率は13.7%だけであり、女性警察官が少なすぎるのは「観念・体制・警察文化の中に普遍的に存在する性差別」によって引き起こされたのであり、また、こうした業界の状況が、関連する専攻の女子学生に対する制限を決定していると指摘している。

もし公安専攻が女子学生の募集を制限することが合理的かどうかを確めようとするなら、いわゆる警察業務の中の「国家利益」と「職業的要求」をはっきりさせなければならない。栄維毅は、もっと客観的に女性警察官の資質・働き・能力を評価しなければならないと述べる。「女性警察官が各種の犯罪を取り締まり、社会の治安と世界の平和を維持する働きは国家利益に合致している。現在中国でさまざまな社会矛盾が激化し、社会的安定を維持するニーズが増大しているという条件の下では、もっと多くの女性警察官が必要である。現在頻発している女性と女児に対する性暴力も、もっと多くの女性警察官を必要としている。……何が真の『職業的要求』なのかは、どのような観念、どのような立場を基準にするかによりけりである。伝統的性別規範と職業の性別分離を固守するならば、当然、女性は、警察官の職業的要求に合致しないということになる。もし女性が能力を持っていることを承認し、就業機会の平等を承認するならば、警察官という職業には、女性を排除すべきだという『職業的要求』は存在しない。また、女性警察官は配慮が必要だから警察機構に負担になったり、資源を浪費したりするのだろうか? もし伝統的性別規範とステロタイプな印象を放棄するならば、女性警察官は警察によって正当に処遇され、用いられるであろう。」

また、栄維毅は、伝統的な男性的警察文化を変えなければならないと言う。「警察官という職業は、従来男性が主体になって、公共の暴力によって犯罪を取り締まることを主な内容としており、それによって形成された伝統的警察文化の特徴は、ジェンダー観念においては、男を至上として、女性を差別し、被害女性を信じないものだった。また、警察官のイメージを構築する際には、『男らしさ』を崇め尊んだ。また、法律執行の理念においては、重大事件を重視し、逮捕を重視して、サービスを軽視した。警察業務の仕事と手法においては、攻撃性が強く、ジェンダーと関係がある事件を処理するときには、被害者に二次被害を与えやすい、などなど。以上はすべて、警察官の職責である人権の保障と犯罪行為の防止を実現する上で不利である。」

栄維毅の論述は、「国家の利益」を理由として女子学生が公安専攻に進学することを制限することは、不合理であるだけでなく、有害であることを示している。すなわち――

●女性の資質と能力は、完全に公安の仕事の任に堪えるし、男性ができない働きもする。

●特定の類型の事件は、もっと多くの女性警察官が扱うことが必要である。

●公安という職業において男性が優勢であること自体が、人権の全面的保障にとって不利である。

3、「性別のバランス」は必要か? 専攻と職業の内在的ニーズを見る

17カ所の「211」大学は、芸術・体育(高いレベルのスポーツ選手)、小語種専攻の学生募集において性別を制限している。これらの専攻は「社会的ニーズに一定の性別のバランスの要求がある専攻」に分類できる。男女の学生の比率は一般に1:1である。

これらの専攻とドッキングしている職業のニーズは、性別のバランスが必要なのだろうか? 実際はけっして必ずしもそうではない。たとえば、アナウンサーや司会者は必ずしも1人の男と1人の女がコンビになる必要はないし、同じドラマの俳優も、男女が半々でなくともよい。監督の協力?[协作]は、もっと性別とは無関係である。「社会」が「性別のバランス」を必要としているということでは、これらの専攻の性別の比率は十分には説明できない。

しかし、その一方、スポーツ、ファッションショーの実演、ダンス、演技専攻の学習においては、たしかに男女がコンビになる、あるいは男女が別々にやるというニーズがある。スポーツ、ファッションショーの実演は、一般に男女別々に仕事をする。

これらの性別の分化のニーズが合理的で必要かどうかは、慎重にもっと考察する必要があるため、この報告では結論を出さなかったので、性差別だとはしていない。

しかし、私たちの相談の中で、ある受験生と教師が、男女比を1:1にして学生募集をしているダンス・声楽・演技専攻では、女子学生の成績の方が良いので、男子学生に対する要求を下げているという現象を指摘した。また、他のいささかの国の演技専攻の学生募集は、性別の比率を決めていない。

ただし、芸術専攻の中のアナウンス・司会、監督(演出家)専攻の性別の制限は性差別であり、これらの専攻の女子学生の合格ラインは、男子学生よりもどこでも高い。

●スポーツ、ファッションショー実演、ダンス、演技専攻の中の性別の制限が性差別になるのか否かについては、なおいっそうの考察が必要である。

●アナウンス・司会、監督(演出家)、小語種専攻の性別の制限は、差別である。

4、看護専攻が男子学生を制限していることも、差別である

看護職に従事しているのは女性が主であることは、ケアを女性の責任/能力だと見なす伝統的性別規範を反映している。しかし、情況はいま変わりつつあり、実践は、男性も看護職に従事できるし、歓迎もされている(「男护士有望成为中国职场“香饽饽”」『中国妇女报』2013年5月13日)ことを証明している。

多くの「211」大学の看護専攻の学生募集が性別を制限していないことも、この専攻に性別の制限をする必要がないことを証明している。

五、「211」および「985」大学の本科の学生募集計画の性差別の統計

(略)

六、その他の重視すべき問題

性別の比率を制限するという直接的で顕著な差別以外にも、「211」大学の2013年の本科の学生募集の中には、重視すべき差別の問題が存在する。

1、「男子学生の出願を勧めた」後

(略)

2、性別に関連した差別

直接性別を制限してはいないが、性別と関連する差別的規定をしている場合も、性差別になる。

たとえば「北京体育大学2013年本科学生募集規則」には「5 スポーツ人体科学、スポーツリハビリテーション、応用心理学、ニュース学、広告学、英語、公共事業管理、スポーツ経済・管理専攻の身長の条件は、男子学生は1m68cm未満であってはならず、女子学生は1m 55cm未満であってはならない」とある。「西南交通大学2013年普通大学入試学生募集規則」には「外国語類専攻の受験生は、どもりでないことが条件であり、同等の条件の下では、外観や気質が優れている受験生を優先する。障害者や身長が低い受験生は慎重に考えることを勧める」とある。

3、投档後のブラックボックスの中の違法行為

大学の学生募集には一定の投档比率(一般的には120%、高ければ140%、低ければ105%)があり、その後の採用の際に、女子学生比率を抑制する「ブラックボックスの中での操作」が存在する。『新民週刊』は、かつて上海社会科学院研究員の徐安琪が以下のような発見をしたことを報じている。

「多くの女子学生の試験の点数が高い専攻(主に文科)では、男子学生に入学基準を低める優待をおこなっている。すなわち、120%(最高で140%)の投档範囲内の男子学生は、たとえ点数が比較的低くても優先的に採用する。いささかの大学は、女子学生の比率が50%以上ならジェンダー平等に到達したと思ったり(しかし、実際は、その専攻の女子学生の60-90%は、試験の点数が男子学生よりも高い)、女性は本を丸暗記するだけで、創造的な思考ができないとか、入学後の頑張りが足りないとか、卒業しても就職難だとかいうことを口実にしたり、はなはだしきは学生寮のトイレなどの設備が足りないから女子学生をもう入居させられない、などさまざまな理由を付けて、女子学生を制限したり募集を少なくしたりする。……『男に恩恵を与えて、女を抑える』、これがこの業界の人々の多くが知っている『道理に合った』隠れたルールであり、公衆には監督されていない教育上の不公正である客観的事実である」(「男孩危机是个伪命题」新民周刊2012年1月2日)。

4、工科大学での同等の条件下での女子学生優先

「211」学校の中には見られなかったけれども、あるメディアは、広東工業大学の学長が「現在広東工業大学の男女の比率は7:3だが、われわれは女子学生が工科専攻を受験するよう励ますために、同等の条件下では、女子学生を優先的に採用したい」と述べたと報じている。

工科大学と工科専攻は、どこでも男子学生数の方が多いけれども、成績から見ると女子学生はけっして男子学生に劣っていない。たとえば、電子科技大学の入試事務局の責任者は、2013年の大学入試のインタビューで、同大学の女子学生の比率は25%だが、奨学金の獲得人数は30%近いと答えていた(「[权威访谈]电子科技大学招办主任解读2013高招政策」新华教育2013年5月8日)。すなわち、成績から見ると、けっして女子学生を優待する必要はない。

それゆえ、女子学生を優先して採用する理由は何であるかを明確にする必要がある。女性の発展を促進するためなのか? それとも「性別構造を改善する」ためなのか? もし前者であれば「女性に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」の中で規定されている「暫定的特別措置」であり、実質的な平等を達成するために採る臨時の対応策だということになる。もし後者であれば、小語種専攻が男子学生を優待するのと同様に、大学が人為的措置をとることによって学生の性別の比率を維持する必要や権力があるのかどうかを議論したり、考えたりしなければならない。

教育領域における性別隔離は真剣に対処する必要があるけれども、一つの性別を優先的に採用するのは重大な政策なので、真剣な論証・公開・監督を経る必要がある。

七、建議と結論

この報告は、「211」大学の2013年の本科の学生募集政策と学生募集計画しか分析していない。以下の理由により、この報告は、中国の大学の性別の制限と性差別の全貌をまだまだ反映できていない。

・学生募集政策には公には示されていないものもある可能性があるので、「211」大学には、この報告が収集できていない性別の制限と性差別がある可能性もある。
・この報告は211大学の普通全日制本科の学生募集をついてのみであり、それらの大学の専科[短期高等教育]、高等職業学校、専昇本[専科から本科への進学]、自主募集、少数民族予科クラスなど、その他の類型に中に、さらに多くの性別の制限や性差別が存在している可能性もある。
・さらに多くの大学の学生募集の性別の制限と性差別については、私たちはいま全面的に追跡する能力がまだない。

大学の性差別に対する私たちの基本的観点は、以下のとおりである。

●大学と教育の主管部門には、教育の差別を制止する責任がある。また、教育を受けることは特定の専門の就職と必然的にリンクするものではなく、就職差別が教育差別につながることには反対であり、就職の困難が学生の教育機会を制限することに反対する。

●保護の名目で女性の教育を受ける権利と就業権を制限することに反対する。法律が規定している女性禁忌労働範囲はどの専門の学校教育とも直接的な対応関係はないのであり、きつい職業と関連する専攻も女子学生に開放するべきである。

●伝統的性別規範の就職と教育に対する不合理な影響を反省して、時代の変化に従って、学生募集の中の、内在的必要がない性別のバランスの設定と一方の性別の制限(たとえば芸術類専攻や看護専攻)を一掃するべきである。

●一部の就学と就業の待遇が良い専攻(たとえば国防生や飛行技術)の性別の制限は、とくに警戒するべきである。

2013年7月14日、教育部に対する公開書簡の中で、7名のかつて大学の性差別に抗議した「光頭姐(坊主頭の若い女性)」が、以下の建議をした。

●「女性に対するあらゆる形態の差別撤廃条約」・「婦女権益保障法」・「教育法」などの条約・法律の中の関連規定に照らして、軍事・国防・公共安全関係の大学や専攻が性別の比率を設け続けることの合法性を検討し、社会公衆に対して十分で丁寧な説明をし、「特殊」という2文字だけで曖昧に済ませないこと。もし現在それらの大学の専攻で性別の比率を設ける合法的な根拠がないことがわかったら、きっぱりと取り消すこと。

●各大学の軍事・国防・公共安全の以外の専攻の学生募集で、勝手に性別の比率を決めている違法行為の監察をし、直ちに取り消すようにきちんと促すこと。

●大学入試の性差別問題について、NGOや法律界の人々、広範な大学生・保護者と対話して、公衆の意見や専門的な反差別の政策設計の提案に対して耳を傾けること。

2012年から2013年にかけて、教育部の学生募集の性別政策には、人々が驚き喜ぶような進歩があったけれども、まだ盲点や特区が残っている。短期間に大学の学生募集の中の性差別を完全になくすことは現実的ではなく、教育部だけで決定できることでさえない。しかし、少なくとも、その過程においては、民間社会の監督や督促がきわめて重要である。この報告は、政策決定者と公衆に、差別は、見慣れていて珍しくないからといって合理化してはならず、政策と法律は差別を裏書きしてはならず、平等原則の検証は例外があってはならないということを訴えるものである。


この報告は、きめ細かな調査と論証をおこなっており、たとえば、小語種についても、完全に差別がなくなったわけではなく、北京外国語大学も、アラビア語・ペルシャ語・インドネシア語については、男女別に採用するとしていることを指摘しています。また、ごく一部の大学とはいえ、身長、吃音、障害、容姿などによる差別を指摘していることも重要でしょう。

ただし、この報告には、軍隊への女性の進出について疑問を示すような視点はありません。もちろんその原因は、この報告のテーマが性差別だからでしょう。しかし、警察に関しては、その男性的文化の問題が指摘されているのに対して、軍隊に関してはそうした視点がないのは、中国では軍隊の体質に対する批判が難しいことを示している可能性もあるように思います。

二、教育部の規定にさえ違反している大学について、若い女性5人(昨年坊主頭で教育部に抗議した女性たち)が教育部に通報、11人の女性弁護士は教育部に情報公開申請

9月、各大学で新しい年度が始まりました。しかし、上記の「2013年『211』プロジェクト大学学生募集性差別報告」で指摘された性差別を、どの大学もなくそうとせず(3)、教育部も見て見ぬふりをしたままでした。

1、教育部の規定にさえ違反している11大学について、昨年坊主頭で教育部に抗議した5人の若い女性が連名で教育部に通報する手紙

そこで、昨年大学入試の男女差別に抗議して坊主頭になった5人の女性が、教育部が5月に出した「2013年普通大学学生募集工作規定」にさえ違反している大学――すなわち、「男女の採用比率を規定してはならない」とされた、「軍事・国防・公共安全[≒警察]などの一部の大学(専攻)以外」の大学で、男女の採用比率を規定している大学を教育部に通報する書簡を出しました。

それらの大学は、大連海事大学、武漢理工大学、北京航空航天大学、南京航空航天大学、中国鉱業大学、太原理工大学、貴州大学、青海大学、中国メディア大学、東北師範大学、華東師範大学の11大学です。

2、女性弁護士11人は、教育部に情報公開申請

また、黄溢智弁護士をはじめとした全国(北京、広東、江蘇、浙江、河南、陝西、黒龍江)の11人の女性弁護士は、教育部に対して、「女子学生を差別するこれらの大学の学生募集規定を承認したのか否か。もしそうならばその根拠を出さなければならない。もしそうでないならば、教育部は相応の処罰をするべきである」という点について情報公開を申請しました(5)

3、教育部の回答――昨年と変わらず、3つの類型の専攻では男女別採用(男女の合格ラインの格差)が許されるとする

9月25日、教育部の責任者は、以下のような回答をしました(6)(以下の1~4のナンバリングは私によるものです)。

1.大学の学生募集の全体的状況から見ると、現在の男女の学生募集の比率は基本的にバランスが取れている。2013年の大学入試では、出願者と合格者に占める女子学生の比率は、それぞれ50.3%と51.9%である。

2.国務院が決定し公布した行政審査・許可項目にもとづけば、教育部には大学の学生募集における男女の比率を審査する権限がない。

3.しかし、教育部は、男女が平等に教育を受ける権利を一貫して非常に重視するとともに、断固として法によって擁護しており、今年出した大学学生募集工作規定の中で、明確に「軍事・国防・公共安全などの一部の大学(専攻)以外では、大学は男女の採用比率を規定してはならない」と規定している。

4.現在、関係する法律に違反しないという原則の下、大学の学生募集で男女の比率を決める、あるいは女子学生の出願を制限することを許している特殊な専攻には主に3種類ある。第一に(……)第二に(……)第三に(……)(というふうに、2012年10月15日の回答とほぼ同じ、3つの類型を答えている)。

以上の回答を分析してみると、まず、上記の1は、女子学生の大学進出を物語る数字ではあっても、情報公開申請の内容とは関係がありません。

2で、教育部には「審査する権限がない」と言っていることは、3や4で「してはならない」とか「許している」とか述べていることと論理的に矛盾しています。しかし、実は、女性弁護士らが教育部に情報公開申請をする以前に、『女声』(女性メディアウォッチネットワーク)の編集部が、「教育部統一監督通報電話」に、教育部が許可した専攻以外の専攻が女子学生の募集を制限していること(具体的には、大連海事大学が女子学生を募集していないこと)ことを通報しているのですが、その際、電話で応対した人は、「教育部のこの通知は、指導的意見である。航海のような仕事は、一般に男性が従事するものであり……」と答えており(7)、この回答と符合しています。つまりたとえこの規定で禁止したとしても、少なくとも教育部の認識においては、それは強制的なものではないということです。

それはともかく、教育部は、3で、軍事関係など以外は男女の採用比率を制限してはならないと言いつつも、4では、相変わらず、3つの類型では男女の採用比率の設定が許されると述べています。つまり、2012年10月15日の教育部の回答は、けっして撤回されたわけではないということです。他の2つの類型については、「軍事・国防・公共安全など」のうちの、「など」に含まれるということなのでしょうか?

ただし、厳密に見ると、今回の教育部の回答で男女比率の制限が許される3番目の類型として挙げられているのは、「アナウンス・司会」と「演技」であり、昨年は「アナウンス・司会」と「小語種」が挙げられていたのとは異なります。この点は、今年は「小語種」については、男女比率の制限が大幅に減少したことと関係があると考えられます。

以上から見ると、教育部は、大学入試における女性差別を維持する大きな政策的枠組みはまったく変えておらず、小手先の運用を変えたにすぎないと言えそうです。

しかし、女性たちの運動が実質的に大きな成果を上げたことには変わりはありません。たとえば、上記の報告書の最初のほうでも触れられていることですが、今年「小語種」の合格ラインを男女平等にした北京外国語大学では、以前は合格者の男女比率が1:1だったのが、今年は1:3になりました。また、北京語言大学では、以前は30人中18人が男子学生だったのが、今年は、34人中(合格者数を増やした)、男子学生は13人だけになりました(8)

その成果の上に立って、残る性差別について詳細な分析をした報告書を作成し、その報告書にもとづく運動を開始したのが現段階だということだと思います。

(1)詳しく述べると、3月1日から、華南理工大学法学院3年生の梁暁雯さんや北京大学法学院の学生である何緑寧さんら、国内8大学の法学院の10名の女子大学生が、200名あまりの全国人民代表大会の代表と全国政治協商会議の委員に対して、教育部が入試で女子学生を差別している大学を調査・処分するように訴えました。北京衆沢女性法律相談サービスセンター・副主任の呂孝権さんも2月26日に、知り合いの5名の全人代の代表や全国政協の委員に同様の訴えをしました。その結果、2、3名の代表や委員が彼女たちの訴えを取り上げた提案などをしました。
(2)他にも、「女大学生当街“烤番薯”追问高考分数线为何“重男轻女”」(新华网广东频道2013年3月2日)という報道があります。また、プレスリリースとして、「不满高考提前批分数女高男低 广州女学生上街卖烤番薯 “分数划线男女不同,番薯面前人人平等”」社会性别与发展在中国2013年2月28日(来源:邮件组)があります。これらの報道によると、このパフォーマンスアートは、以下のようなものだったようです。
 2月28日、広東省入試委員会の前で、中学生の制服を着た女子学生数人が、大学入試の合格ラインの男女差別に抗議して、こんなことなら、教科書を焼いて焼き芋を作った方がましと訴えるパフォーマンスアートをおこなった。
 彼女たちは、「教育部が何もしないのなら、家に帰ってサツマイモを売った方がましだ」、「点数(分数)のラインが男女で異なる。サツマイモ(番薯)の前には誰もが平等だ」(「分数」と「番薯」は、広東語の諧音[=字音が近いこと]です)、「いにしえは焚書坑儒があり、今は(女子学生による)焚書烤番薯[=焼き芋を作る]がある」というプラカードを掲げた。また、彼女たちは、高校の教科書を(パネルに描いた)火の中に投げ捨てるパフォーマンスもした。
 発起人の一人である大学の新入生の郭青さんは、入試の際、合格ラインの男女格差のために、繰上げ採用のチャンスを逃したという(ただし、『南方都市報』の報道では、郭青さんのクラスメイトの一人が国際関係学院に出願したが、614点で、男子学生の合格ラインには達したが、女子学生の合格ラインには14点足りなかったために落第したと書かれている)。
(3)Women in the maritime industry”International Maritime Organization (IMO)のことと思われる。
(4)この9月1日の抗議活動を受けて、大学に取材したメディアもあったのですが、それに対しても、中国メディア大学は「第一に、ここ数年、アナウンサー専攻は女子学生が多すぎるし、第二に、社会ではおしなべて男性アナウンサーに対するニーズが多いので、就職と社会のニーズを考えて、男女を1:1の比率で採用する。来年・再来年の学生募集計画も今年の学生募集要項を基準にする」、華東師範大学は「わが校には性差別の状況はないので、それについてはよくわからない」、武漢理工大学「女子学生は船に乗ったり、海に出たりという環境にけっして適していない」と言って、それぞれ開き直っています(「大学招生男女有别涉嫌性别歧视 女律师申请政府信息公开讨说法」『中国青年报』2013年9月11日)。
(5)以上の1、2に関しては、「女律师申请信息公开“求解释” “光头姐”联合举报高校违规」女声网2013年9月2日(来源: 邮件)、「开学日,5名女生联名向教育部举报――多所高校招生涉嫌性别歧视」『羊城晚报』2013年9月4日、「大学招生男女有别涉嫌性别歧视 女律师申请政府信息公开讨说法」『中国青年报』2013年9月11日。
(6)教育部回应高考歧视质疑:男女招生比例基本均衡」新华网2013年9月26日。
(7)女权之声的微博【举报高招性别歧视 教育部规定是“指导性意见”?】8月27日 21:21
(8)三高校小语种专业分数线划定」『新京报』2013年7月7日。
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