2017-05

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江蘇省、極めて限定的に婚姻内強姦を禁止か?

 婦女権益保障法が2005年に改正されたのに伴って、各省で制定されているその施行規則(辨法)も、2006年から各省で改正されはじめています。

 江蘇省の施行規則も今年中に改正される見通しですが、その中で中国で初めて婚姻内強姦の禁止が規定されるようです。
 このことは、婦女権益保障法が2005年に改正された際、新しく「女性に対する家庭内暴力を禁止する」(46条)という規定が導入されたこととも関係があると見られます。
 江蘇省の「婦女権益保障法」施行規則の草案では、「女性に対するいかなる形態の家庭内暴力も禁止する」(下線は引用者)というふうに、家庭内暴力の定義を広くする(現在の最高人民法院の司法解釈では、家庭内暴力の定義は身体的暴力に限定されています。まあ江蘇省の規則も、「家庭内暴力」という言葉自体の定義がないと言えばそれまでですが)とともに、婚姻内強姦の禁止にも踏み込んだわけです。

 しかし、この婚姻内強姦の禁止は、非常に限定的なものです。すなわち「離婚事件の一審判決がまだ効力を生じる前、あるいは二審の期間に、夫は妻に性行為を強要してはならない」というものです(1)
 1990年頃から、離婚訴訟中の婚姻内強姦に関しては有罪判決もすでにいくつか出ていますので、その線で立法化した、あるいは一審判決後に限定した分、より限定的に立法化したにすぎないと言えると思います。

 こうした限定的な立法をすることは、「一審判決以前だったら(まして離婚訴訟前だったら)、性行為を強要してもよい」と解釈される危険もあるように感じます。中国の刑法の強姦罪にはもともと「夫を除く」と書いてあるわけではありませんので、とくにそういう感じがするのです。
 ただし、婚姻内強姦禁止という「世界的な立法の趨勢」の中に位置づけるという、非常に大きな視点で見た場合、江蘇省の規定は「夫が合法的婚姻の衣の下でほしいままに勝手なことをするのを取り締まることができるだけでなく、同時に社会的に男女平等のジェンダー観念を養成し、男女の実質的な平等の日に一歩近づく助けになる」(2)という面もあることは見なければならないでしょう。

(1)「江蘇擬修改婦女権益保障法実施辨法 婚内強奸性騒擾或被追究刑事責任」『中国婦女報』2006年12月30日。
(2)佟吉清「強奸,丈夫没有豁免権」『中国婦女報』2007年1月4日。
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