2017-06

「第5回(2012年)中国10大セクシュアリティ/ジェンダー事件批評」

12月17日、「第5回(2012年)中国10大セクシュアリティ/ジェンダー事件批評」が発表されました(「第五届(2012)年度中国十大性与性别事件评点公告」方剛ブログ2012年12月17日)。この活動は、方剛さんが呼びかけて、10人あまりのセクシュアリティ/ジェンダー領域の学者や社会的活動家が共同でおこなっているものです。
 (*昨年までは「性」を「セックス」と訳してきたのですが、日本語の「セックス」は狭く「性行為」の意味で使われることが多いので、今回は「セクシュアリティ」と訳してみました。と言っても「セックス」自体の話題の比重も高く、迷っていますが)

昨年までの結果についての本ブログの記事は以下のとおりです。
・「2008年『中国10大セックス/ジェンダー事件』
・「2009年度『中国10大セックス/ジェンダー事件批評』
・「『第3回(2010年)中国10大セックス/ジェンダー事件批評』
・「『第4回(2011年)中国10大セックス/ジェンダー事件批評』

この活動は、毎年、中国大陸で起きた、社会的関心を集めたセクシュアリティやジェンダーに関する事件を選んで、性の人権とジェンダーの多元的平等の視点から論評するものです。彼(彼女)らは、この活動をつうじて、性の権利とジェンダー平等を促進し、社会の民主と寛容を増進させることを目的としています。そのため、必ずしも有名な事件を選んでおらず、また、コメントに力を入れていることが特色だとのことです。

今年のメンバーは、以下のとおりです(各人の説明は、昨年・一昨年の発表による)。
 陳亜亜(上海社会科学院文学研究所研究員、サイト「女権在線」責任者、フェミニスト)
 方剛(北京林業大学・性と性別研究所所長、性社会学博士、セクシュアリティとジェンダー研究に携わる)
 郭暁飛(法学博士、中国政法大学教師、主に性法学の研究に携わる)
 黄燦(独立セクソロジー学者、芸術家、世界華人性学家協会性文学芸術委員会副主任、『華人性文学芸術研究』編集長、主に女陰文化と妓女問題の研究に携わる)
 胡曉紅東北師範大学女性研究センター副教授、哲学博士、主にジェンダー研究に従事、ジェンダー教育の視点を重視)
 彭濤(ハルピン医科大学性健康・教育センター副主任。主に性の健康の研究と教育に携わり、ジェンダーの視点にもとづいて健康を促進)
 裴諭新(女性研究博士、中山大学社会学・ソーシャルワーク系講師。研究方向は性・ジェンダー・女性研究で、社会的変化の状況における女性の性選択と生活の政治に関心を持つ)
 沈奕斐(復旦大学社会学系教師、復旦大学ジェンダーと発展研究センター副秘書長。研究方向は、ジェンダーと家族)
 魏建剛(北京ジェンダー相談センター[北京纪安德咨询中心]執行主任、同志亦凡人ビデオ監督、主にセクシュアリティとジェンダー、そのほか多元的権益運動に従事)
 呉筱燕
 朱雪琴(フェミニストカウンセラー、ソーシャルワーカー、主にジェンダーと性の研究に従事)
 張玉霞(新疆大学中文系副教授、新疆大学女性研究センターのメンバー、中国メディア大学映画学博士課程在学、ジェンダー研究に従事、大衆メディアの視角に重点)
 張静(中華女子学院教師、中華女子学院性とジェンダー研究センターのメンバー、ソーシャルワーカー。主に青少年の心理健康教育と相談、青少年の性教育、児童と青少年のソーシャルワークに携わる)

 今回は裴諭新氏が復帰し、呉筱燕氏が新たに加わりましたけれども、郭巧慧、李扁、王小平、張敬婕、趙合俊の各氏が抜けたために、少し人数が減っています。

1.38歳の修士の女性がネットで「貞操」をさらした

事件
 2月、武漢大学の38歳の修士の女性である涂世友が、結婚前は貞操を守るべきだと宣伝するウェブサイトを創建し、自分が「処女」であるという医学検査報告も公表して、激しい議論を巻き起こした。ネットユーザーは、ほとんどみな、彼女の「貞操観」に対して批判的態度を取り、彼女に対して強烈な皮肉を言う者もいた。

コメント
 公民は性生活のやり方を自由に選ぶ権利を持っているけれど、貞操観念自体は性を抑圧する。本当の性の革命は、自主的な選択権に干渉するそうした束縛を打ち破ることに力を尽くす。ネットユーザーの涂世友に対する攻撃は、彼女の年齢・身体・性別・学歴に対する嘲笑に満ちていた。彼女に「誰も欲しがらない高学歴の醜女」というレッテルが貼られたとき、女性ジェンダーのステロタイプなイメージと汚名化は、またもや強化された。

私による補足
 涂世友のサイトは、「雅品贞操网」です。

2.葉海燕が「十元店」で無料のセックスサービスをした

事件
 今年初め、葉海燕は「十元店」と言われる低価格のセックスサービスの場所で、無料で農民工のためにセックスサービスをし、それをミニブログで公表したため、セックスワークが合法化か否かの議論を引き起こした。葉海燕は身体的暴力を受け、[民間女権]工作室は壊された。

コメント
 いささかの人が葉海燕を攻撃したことは、彼女がセックスワークの権利を宣伝したことに対して恐れ慌てたことを示している。その背後には、相変わらず、「女は自分の欲望と身体を自主的に支配してはならない」、「性の売買を目的にした性行為は不道徳である」という観念がある。彼女の行動は、社会の底辺の性の権利と性の現状を明らかにした。この事件は、葉海燕のセックスワーク合法化運動の熱心な活動家してのイメージが確立したことを示している。

私による補足
 「十元店」というのは、1回の料金が10~20元程度の低価格の、主に農民工を相手に売春をするする店です。しかし、売春をする女性たちは、1回警察に捕まると罰金を1500元も支払わないといけません。「中華人民共和国治安管理処罰法(中华人民共和国治安管理处罚法)」第66条では、「売春や買春をした者は、10日以上15日以下の拘留に処し、あわせて5000元以下の罰金を科すことができる。情状の軽いものは、5日以下の拘留または500元以下の罰金に処す」とされており、現実には、累犯者は労働矯正1年に処せられることもあるとのことです。当局が「売買春一掃」キャンペーンなどをすると、そうした取締りはいっそう厳しくなり、罰金を取られることによって、売春する者は、さらに貧困に追いやられるうえに、プライバシーも守られなかったりするので、警察の建物から飛び降り自殺をする女性もいるということです。葉さんには、「私が地獄に入らなければ、誰が地獄に入るのか」という思いがあって、自らセックスサービスをしたそうです。彼女は幸い警察に捕まることはなく(ミニブログは閉鎖させられた)、彼女が自らセックスサービスをしたことによって、周りの妓女と一つに溶け合うことができたとのことです(「“流氓燕”:性工作者站出来」南方周末2012年4月27日)。
 本ブログでも、昨年から今年にかけての葉海燕さんの活動について取り上げましたが(「葉海燕さんの婦連批判と『民間婦連』、底辺の女性への視点」)、民間女権工作室が壊されたのは、単にセックスワーク合法化を唱えたからだけではなく、「中国民間婦女連合会」の設立に動いたことなども含めて権力に危険視されたからではないかと思います。

3.ジェンダー[性別]教育

事件
 2月、鄭州第十八中学が試行した新しい校則は、「力強く勇ましい男子生徒」と「優れた賢い女子生徒」の基準を示した。3月、上海市教育委員会が批准した「上海市男子高級中学基地実験クラス」は、「浩然たる正気(正大で剛直な正しい気風)、楽学善思(よく学び考える)」男子学生を養成することを理念として唱えている。両校とも、子どもがますます「中性化」しているから、こういうやり方で「ジェンダー[性別]教育」を推進すると言っている。

コメント
 ジェンダー[性別]教育は、ジェンダーの平等を提唱し、多元的なジェンダーを尊重することを目標にしているが、この2校のジェンダー[性別]教育は、性別の差違を強化することを出発点にしている。こうしたジェンダー[性別]教育は、本質的には、人々の既成の性別規範が変わることに対する焦りであり、また、各領域における女性の台頭に対する恐れである。こうした教育によって差違を強化することは、多元的な性別の人々にいっそう汚名を着せ、抑圧するものである。私たちは、「多元的な差違」の存在を尊重することによってこそ、社会的平等と各個人の十分で自由な発展が促進されると考える。

私による補足
 鄭州第十八中学の新しい校則については、「郑州一所中学制定“阳刚男生秀慧女生”标准」(中国網2012年2月28日)に詳しく、日本語でも「河南省の中学校、男らしい男子と女らしい女子を提唱」(人民網日本語版2012年2月29日)に詳しく書いてあります。
 人民網日本語版の翻訳を参考しつつ、若干の修正をして紹介させていただくと、
 ・「力強く勇ましい男子」の基準は、女子を尊重し正しく交際し、無駄口を叩かず悪口を言わない。強い意志で挫折を恐れず、英雄を崇拝し模範的人物を敬う。心理的に健康で落ち着きのある振る舞いをし、正義感に満ちている。生活が健康的で上品な趣味を持ち、礼儀正しい振る舞いを心がけ、奇抜な髪型や服装を避ける。
 ・「優れた賢い女子」の基準は、自尊心を持ち身を清く保ち、異性との交流で羽目を外さず、品行も学力も優れた淑女を目指す。男子を追いかけたり罵ったり騒いだりせず、勝手気ままな人付き合いを避ける。恥を知り見栄を張らず、品のある振る舞いを心がけ、自立心と競争心を尊ぶ。
 なお、上海市男子高級中学基地実験クラスについては、「上海拟创办男子中学 称优化教育环境培养真男儿」2012年4月1日(来源:成都晚报)に詳しく書かれています。

4.幼女買春罪の存廃の議論が続いた

事件
 1997年の刑法改正で、幼女買春罪は単独の罪名になり、強姦罪と区別されるようになった。しかし、幼女買春罪にもとづく量刑は強姦罪よりはるかに軽いので、金と権力を持っている階層が低年齢の性のサービスを購入することを保護するものになっており、また、幼女に対して汚名を着せていると、ずっと考えてきた学者もいる。今年3月、中華全国婦女連合会の副主席の甄硯は、幼女買春罪が設置されていることは、未成年者の保護に不利なので、幼女買春罪を廃止する声を再び起こすように呼びかけた。

(私による補注)
 中華人民共和国刑法(中华人民共和国刑法)第236条(強姦罪)は、「14歳未満の幼女を姦淫する者は、強姦と見なし、重く罰する」としています。強姦は「3年以上10年以下の懲役」で、「情状が劣悪」な場合は「10年以上の懲役・無期懲役・死刑」です。
 その一方、刑法は、第360条2項(幼女買春罪)では、「14歳未満の幼女を買春する者は、5年以上の有期懲役に処し、あわせて罰金を課す」としています。「有期懲役」は刑期が「15年以下」に決まっていますから(刑法第45条)、「幼女買春罪」は、最低刑は強姦よりも重いけれども、「情状が劣悪」な場合でも、「強姦罪」ほどは重く罰せられません。
 また、中華人民共和国刑法では、「強姦罪」は「公民の人身の権利、民主的権利を侵害する罪」に属するのに対して、「幼女買春罪」は、「社会の管理と秩序を妨害する罪」に属しています。これは、幼女が自分で売春したので、幼女にも問題があったとされているからです。

コメント
 幼女買春罪の廃止を主張することは、女児と性関係を持った成人を厳罰にすることによって、女児を「保護」する目的を達することを望むことである。社会が児童を保護するという理想は良いものだけれども、この過程において児童の性の権利を侵犯することは避けなければならず、児童自身の声を取り入れ、児童の自己保護と自己決定の能力についての教育を強化しなければならない。簡単に「廃止する」あるいは「廃止しない」というだけではこの問題を根本的に解決することはできない。青少年の性の権利の中で、自ら望むか否か、暴力か否か、年齢の境界、性別の差違などの要素をもっと重視しなければならない。

私による補足
 現行の「幼女買春罪」の規定が不合理であることは間違いないと思いますが、この問題については、私はまったく不勉強です。日本の「淫行条例」と人権との関係についての議論とも関わりがあるのではないかとは思いますし、日本の性交同意年齢は13歳であるのに対し、中国では上記のように14歳であるという相違も気なりますが……。

5.ゲイの妻の自殺事件

事件
 6月15日早朝、成都の某大学の教師の羅洪玲があるマンションから飛び降り自殺をした。その夫はかつてミニブログで、自分は「同性愛だ」と認めて羅に対してお詫びをしたことがある。メディアは「ゲイの妻」の死に注目した。この事件は、同性愛コミュニティでも、同性愛が異性婚姻に入ることや同性愛の婚姻権に関する討論を引き起こした。

コメント
 女性の性の権利の勃興によって、「ゲイの妻」の権利が社会的関心を集めた。「ゲイの妻」現象で起こりうる悲劇の背後には何重もの被害者(「ゲイの妻」、男性同性愛者、双方の家族など)がいて、その背後には多くの社会の深層の原因がある。同性愛者が異性愛の婚姻に入るのに反対することは、けっして根本的には問題を解決しない。この事件は、私たちに、性と婚姻の関係及びその意義を改めて考えさせる。同時に、「ゲイの妻」という議題が、「男性同性愛者」と「女性」という2つの弱者集団の間の戦争にならないよう警戒しなければならない。

6.「私はふしだらでいいが、あなたはセクハラをしてはならない」アクション

事件
 6月20日、上海地下鉄第二運営公司の公式ミニブログが、背中が透けた服を着た女性の写真と、「こんな服装ではセクハラに遭うのも不思議はない」「女の子は自重してください」という言葉とを掲載して、地下鉄の中での痴漢に注意しなければならないと女性に「善意」で注意した。24日に、2人の若い女性が、地下鉄で、手に「私はふしだらでいいが、あなたは痴漢をしてはならない」というボードを持って抗議した。

コメント
 「私はふしだらでいい」は、女性が「セクハラ反対」の議題の中で受動的で保守的になる傾向をひっくり返し、「ふしだらさ」から汚名を拭う視点から、女性の公共空間の中での主体的態度と身体の自主権を宣伝した。「あなたはセクハラをしてはならない」は、婉曲で慎み深い方法ではなく、直接的・主体的方法によって、女性のセクハラに対する拒絶を表明している。この両者の結合は、主流のセクシュアリティ/ジェンダー文化の女「性」の権利に対する制約に力強く挑戦し、公衆に向けて女性の主体的訴えをみごとに表している。

私による補足
 私のブログの記事「痴漢を女性の服装のせいにする上海地下鉄ブログに対する、ネット内外での女性たちの抗議のうねり」も参照してください。

7.84歳のトランスジェンダーが高らかにカミングアウト

事件
 6月、広東の銭今凡は84歳の高齢で高らかにカミングアウトし、トランスジェンダーの身分で記者の取材を受け、トランスジェンダーに対する社会の偏見を変えるように望み、トランスジェンダーの就業の権益を保障するよう訴えた。

コメント
 同性愛者に比べても、トランスジェンダー(トランスヴェスタイト、トランスセクシュアル、インターセックス、異性装パフォーマーなど)の権利の訴えは、現れることが少ない。銭今凡の意気盛んなカミングアウトは、長い間汚名を被り、無視されてきたトランスジェンダーが社会的承認を勝ち取るうえで積極的な意義を持っている。しかし、84歳の高齢になってやっと自らの選択を実現できたことからは、彼がこれまでどのような圧迫と差別を受けてきたのかがわかる。その勤務先と公衆が現在、想像以上に「差別をしていない」[=銭今凡さんはそのように言っています]ことは、主流社会の多元的な性の者に対する態度を本当に示しているとは言えない。

私による補足
 銭今凡さんは、3歳の時に女性になりたいと初めて思いましたが、ずっと男性として生活してきました。2008年に退職幹部として、仏山市当局に「女性になる」と書信で声明を出し、ホルモンによる豊胸をおこない女装を開始しました。2010年には正式に仏山市当局に「女性として生活する」という手紙を出しました。つまり、勤務先には4年前から女性になることを表明していたのですが、メディアのインタビューを受けて広くカミングアウトしたのは、今年6月なので、今年の十大事件に選ばれたということのようです。
 (資料)
 ・「84歳退職幹部、女性へ性転換 元勤務先『問題ない』 中国広東省」新華経済株式会社サイト2012年6月14日。
 ・「84岁变性者钱今凡:8岁时即希望能雌雄同体 」凤凰网2012年6月21日(来源:凤凰网访谈)

8.男性がジェンダー暴力反対に参与した

事件
 11月25日~12月10日の「国際女性に対する暴力防止16日行動期間」に、国連人口基金の在中事務局が提携する「国連 団結して女性に対する暴力を制止する運動の男性指導者ネットワーク」の中国のメンバーの方剛博士が、インターネット上で、男性が女性に対する暴力に反対する活動を起こし、16日で351名の男性が実名で承諾をした。

コメント
 ジェンダー暴力は、力強い勇ましさを軸にした「男性らしさ」の現れであり、根源はジェンダーの不平等にある。ジェンダー暴力に反対する運動は、生理的な男性を敵にしてはならず、ジェンダー平等意識のある男性を養成し、激励し、支持し、彼らと団結してジェンダーが調和した社会を構築することでなければならない。男性は、ジェンダー平等運動に積極的・主体的に参与し、女性に対する差別と傷害をなくすことを力強く推進すれば、男性自身もジェンダー平等の受益者になる。

私による補足
 方剛さんは、長年、男性学研究を含めたジェンダーやセクシュアリティの研究をしてきただけでなく、2010年から、この16日間に、男たちの手で「ホワイトリボン ジェンダー暴力反対男性ホットライン(白丝带反性别暴力男性热线)」を設立し(「著名学者方刚牵头设立“白丝带热线” 反对性别暴力 欢迎男性参与」『都市女報』2010年9月29日など)、上記のように国連の「男性指導者ネットワーク」の中国初のメンバーにもなりました(「制止侵害妇女暴力行为男性领导人网络 联合国首邀中国学者加入」『中国婦女報』2012年11月22日)。
 今年、方剛さんは、男性たちに向けて、「1.私は、永遠にいかなる理由があっても、女性に対していかなる形態の暴力もふるわないことを保証する。」「2.私は、他の人の女性に対する暴力に対して、黙って傍観せずに、きちんと制止する措置を取ることを保証する。」「3.私は、あらゆる可能な機会を利用して、反暴力の行動を宣伝・推進し、ジェンダー平等を全面的に実現することを保証する」という3点を承諾する署名を集めました(「“制止针对妇女的暴力”,男人们一起来承诺吧!”」方剛ブログ2012年11月23日、「“制止针对妇女的暴力”男性承诺活动」捜狐公益2012年11月23日)。
 これを「10大事件」の一つまで挙げるのは少し疑問もありますけれど、この署名は、ネットで実名が公開されるので、方剛さん自身も述べているように、「監督」されることによる効果が期待できます。だからでしょうか、有名人からはあまり集まっていないようなのですが……(「性学家彭晓辉等199人承诺不对女性施暴,受邀公众名人无一回应」方剛ブログ2012年11月26日)。

9.インターネットの「わいせつな写真で不正・腐敗に反対」

事件
 公職についている人のわいせつな写真とビデオが絶えずインターネットで晒され、当事者は「厳罰」を受けた。8月、某大学の共産主義青年団委員会副書記と妻の2人が党籍を剥奪され、公職を解任された。11月、山東の某職業技術学院の団委員会副書記が団籍を剥奪され、学院を辞めさせられた。11月、重慶市北碚区の区委員会書記の雷某某が免職され、立件・調査もされた、などなど。

コメント
 インターネットの集団のお祭り騒ぎ的な「わいせつな写真で不正・腐敗に反対する」中では、「性道徳」が人々が公権力の不正・腐敗に反対する鋭利な武器になった。当事者の「性事」は、そこに不正・腐敗行為が存在するか否かにかかわりなく、「性の政治」のまな板の上の魚肉になった。覗き見、暴露、個人のプライバシーの濫用する方法での「不正・腐敗反対」によって、当事者個人、とくに女性の当事者は深刻な傷を受ける。インターネットの「わいせつな写真で不正・腐敗に反対」は、すでに公民の私的権利を公然と侵害する「性暴力」になっている。

10.フェミニストは行動している

事件
 2月、麦子家が真っ先に「男子トイレ占拠」アクションを起した。4月、中山大学の女子学生がトップ500企業に採用の際の性差別の解決を訴える手紙を送った。8月、多くの女性が坊主頭になって教育部に対する不満を表明し、大学入試の性差別を禁止するよう要求した。11月、多くの女性が裸の胸の写真を出して、ネットユーザーにDV防止立法を支持する署名を呼び掛けた。12月、広州など5つの都市で若い女性が血で染まった[ような色を付けた]ウェディングドレスを着て歩いて街頭で「DV反対」を訴えた。それらを批判する者は、いささかの行為は訴えている理念と無関係であり、「過激」な行動は、訴える人々の反感を招いて、その目的が妨げられると述べた。

コメント
 すでにある社会制度と公共空間にはけっしてフェミニストに十分な訴えをするチャンネルがないので、若い世代のフェミニストは街頭での運動とインターネットでの宣伝とを組み合わせて女性の権利を主張し、家父長制文化に対して挑戦した。彼女たちはアピールをする行動によって、公衆の女性の権利に対する関心を喚起し、抑圧され蔑視された声を伝達し、伝統的性別役割に挑戦した。坊主頭になる、上半身裸になるなどの行為は、身体の自主権に属し、伝統的性別規範に対する挑戦である。

私による補足
 私も、彼女たちの行動についてはブログで取り上げました。
 ・全体の年表→「中国の『ジェンダー平等唱導・アクションネットワーク』年表
 ・2月→「女子大学生の『男子トイレを占拠する』アクション
 ・4月→「各地で雇用における女性差別反対を訴える女子大学生らのパフォーマンスアート」で言及。
 ・8月→「大学入試の男女差別に対する抗議活動つづく――差別を正当化する教育部を批判して、坊主頭になるパフォーマンスアートも
 ・11月→「DV防止法の制定プロセスと内容に民間の関与など求める1万人署名運動
 ・12月→「さまざまな都市でDV反対を訴える『傷を負った新婦』パフォーマンスアート

2012年セクシュアリティとジェンダーの権利擁護人物賞も、行動するフェミニストに与えられました(「向“行动的女权主义者”敬礼!」)。これは当然の結果でしょう。

「中国10大セクシュアリティ/ジェンダー事件批評」は開始当初ほどは話題になっていないようで、現状では方剛さん中心になっているような感じもするのですが、こうした若いフェミニストもメンバーに加えればもっと盛り上がるかもしれない、などと思います。学者中心であることも、一歩引いた視点で見る上では意義があるのだと思いますが。
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遠山日出也

Author:遠山日出也
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 また、「中国女性・ジェンダー関係主要HPリスト」(リンク集)も併せてご覧いただければ幸いです。日本の問題の一部は、「ウィメンズ・アクション・ネットワーク(WAN)の労働争議・まとめ」や「館長雇止め・バックラッシュ裁判」でまとめています。
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