2017-09

[日本]「私たちはジェンダー平等政策を求めます」政党アンケート

今回の総選挙で、「『ジェンダー平等』を求める会」(呼びかけ人・賛同人[団体]は24団体280人(1))が、「私たちはジェンダー平等政策を求めます」キャンペーンとして、各政党に男女平等政策に関するアンケート調査をおこなった。私も賛同人の1人だ。

その質問と回答、同会による分析は以下のとおりである(リンク元は、いずれも、「『ジェンダー平等政策』を求める会」に場所を提供している「P-WAN」である←このサイトには他にも今回の調査に関する記事があり、現在はここをクリックすれば、「私たちはジェンダー平等政策を求めます」キャンペーンを一覧できる)。

●質問
・「アンケートの質問(PDF)」

●回答
・「政策リスト回答書・政党別(PDF)」
・「政策リスト回答書・政策カテゴリー別(PDF)」

●「『ジェンダー平等政策』を求める会」による分析や解説
・「10政党からの回答がそろいました/政党別回答をチャート化
・「政策リスト(回答書) いくつかの質問の相関図を作成し比較したデータ(PDF)」
・「「アンケート集計結果 チャート&相関図解説(PDF)」
・「全政党公開アンケートの結果報告及びコメント(PDF)」

12月7日には、このアンケート結果について、「『ジェンダー平等政策』を求める会」の事務局から、以下のような報告が出ている(上記との重複個所などは省略)。 

「ジェンダー平等政策」全政党公開アンケートの政策リスト(全26項目)は2009年女性差別撤廃委員会(CEDAW)勧告をもとに作成したものです(憲法と脱原発、防災復興を除く)。したがって国連女性差別撤廃条約の遵守と遂行に対して各政党がどのくらい積極的かを測る指標となります。CEDEAW勧告については、2009年度、過去2期6年進捗が見られなかったことに対し強い勧告を受け、今年日本政府は進捗がなかったことの報告を国連に提出したばかりです。

さらに今回の政策リストにはトップに、憲法と脱原発、防災復興を加えました。不戦と非核はジェンダー平等政策の前提、と考えるからです。全政党公開アンケートは11月21日に14政党(2党に追加)に郵送(配達証明付)。

昨日までに事務局に届いた回答書は、到着順に「民主党」「国民の生活が第一」「社民党」「日本共産党」「公明党」「緑の党」「自由民主党」「日本維新の会」「国民新党」「日本未来の党」の10政党です。私たちのアンケートに答えてくれた政党に、まず感謝いたします。
 
回答書は4択で「賛成+2ポイント・どちらかといえば賛成+1ポイント・どちらかといえば反対-1ポイント・反対-2ポイント」として、「ジェンダー平等政策」指数を表しました。ポイントが低い順に、「国民新党」‐2、「日本維新の会」9、「自民党」11、「日本未来の党」36、「公明党」38、「民主党」44。「日本共産党」50、「国民の生活が第一」51、「社民党」と「緑の党」は52です。

 
このアンケート調査の意義

私は、このアンケートの意義は、何よりジェンダー平等政策を争点の一つに押し上げる力になっていることだと思う。実際、このアンケート結果を『毎日新聞』や時事通信のようなマスメディアも報道した(「衆院選:ジェンダー政策 各党の違い浮き彫り」『毎日新聞』2012年12月1日、「ジェンダー政策、政党間で大きな違い=女性グループがアンケート」時事通信12月7日)。

たとえば、『毎日新聞』は、このアンケートの結果について以下のように報じている。

専業主婦優遇とされる配偶者控除と第3号被保険者制度の廃止・見直しを巡る設問では、民主、社民、共産などは「賛成」、公明は「どちらかといえば反対」、自民は回答しなかった。また、「婚外子差別の廃止」と「性的マイノリティーへの差別・社会的排除をなくす」については、自民のみ「反対」「どちらかといえば反対」と答えた。一方で「男性の育児介護休業制度の取得促進」は全党が「賛成」と答えた。


時事通信は、以下の点に注目している。

回答した全政党が「賛成」「どちらかといえば賛成」としたのは、「防災復興に女性の参画」「被災地の女性雇用の創出」「ワークライフバランス」など。一方、専業主婦優遇とされる配偶者控除廃止と第三号被保険者制度見直しは、公明党と国民新党が「どちらかといえば反対」、自由民主党と日本維新の会、日本未来の党は答えなかった。民法改正については、民主党、社民党、日本共産党、公明党、緑の党が「賛成」「どちらかといえば賛成」とした。


もちろん、以上のように、このアンケートは、各政党のジェンダー平等政策を知るうえでも有用である。特筆すべきなのは、このアンケートが日本の主要政党10政党すべてから回答を得ていることである。それは、多く人(団体)が賛同人(団体)になったからであるとともに、事務局の方々が多くの政党に丁寧かつ粘り強く働きかけたからであろう。

事務局の方々は、アンケート結果を公表するだけでなく、それを整理し、分析しておられる。この点も、多大な努力を要したと思われる。感謝したい。

また、後述のように、このアンケート結果は、一種の「公約」とも言えるので、今後各政党に働きかける上でも役に立つであろう。

もう少し具体的に尋ねたほうがいい設問もあるのでは?

ただ、今後も選挙の際に同様のアンケートをするとしたら、もう少し具体的に尋ねたほうがいい設問もあるのではないか、とも思った。

たとえば、「実効性のある同一(価値)労働、同一賃金を実現する」「保育所・学童保育の待機児童の解消など子育て支援策を強化する」という政策については、ほとんどの政党が「賛成」と答え、唯一そう答えていない国民新党も「どちらかと言えば賛成」と答えている。また、「育児・介護休暇制度の普及・啓発を促進し、男性の取得を促進する」「家族介護者の負担軽減と介護職従事者の待遇改善を図る」という政策についても、ほとんどの政党が「賛成」と答え、日本維新の会と国民新党だけが「どちらかと言えば賛成」である(こうした回答をもとにして、さまざまな分析もなされている(2))。

こうした結果は、多くの政党から言質を取ったという点では意義がある。しかし、各政党の政策の違いを知る上ではあまり役に立たない。それは、これらの質問が一般的・抽象的なものであることと関係していよう。

上記の「ジェンダー平等政策」を求める会の声明は、「今回の政策リストは2009年女性差別撤廃委員会(CEDAW)勧告をもとに作成したものです(……)したがって国連女性差別撤廃条約の遵守と遂行に対して各政党がどれくらい積極的かを測る指標となりえます」と述べている。

しかし、2009年の女性差別撤廃委員会の最終見解は、上のような雇用の分野についても、さまざまな具体的な問題を指摘し、それらを改善するように勧告している。すなわち、女性差別撤廃委員会は、「2006年に改正された(……)男女雇用機会均等法に(……)間接差別の狭い定義が採用されたことは、遺憾である(……)[女性差別撤廃]委員会は、本条約及び本条約第1条に記載された女性に対する差別の定義を国内法に十分に取り入れるために早急な措置を講じ(……)ることを締約国[=日本]に要請する」とか、「委員会は、とりわけ、男女雇用機会均等法に基づく行政ガイドラインの『雇用管理区分』が、女性を差別するコース別制度を導入する余地を雇用主に与えているかもしれないと懸念している」とか、「委員会はまた、現行の労働法の不十分な保護及び制裁措置についても、懸念を表明する」とか、「委員会は特に、本条約及びILO100号条約に沿った同一労働および同一価値の労働に対する同一報酬の原則と認識できる条項が、労働基準法にないことを懸念する」とか、「暫定的特別措置を含め、具体的措置を講じるよう締約国に勧告する」かと述べている(「第6回報告に対する女子差別撤廃委員会最終見解(PDF)」男女共同参画局サイトより)(以上のアンダーラインは遠山による)。これらの文言が盛り込まれたのは、もちろん、ワーキング・ウィメンズネット・ワーク(WWN)などの女性運動がCEDAWに働きかけたことよる成果である。

とすれば、たとえば、「実効性のある同一(価値)労働、同一賃金を実現する」という質問には、「労働基準法を改正して~」といった具体的な文言が付けたほうがよかったのではないだろうか? 「育児・介護休暇制度の普及・啓発を促進し、男性の取得を促進する」という設問に対しても、「育児・介護休業法を改正して~」という文言を付けることも考えられる。

といっても、以上は、アンケートの回答がわかってから私が考えたことであり、結果論とも言える。

それに、「『ジェンダー平等政策』を求める会」は、ひょっとしたら、短い期間に多くの政党からアンケートをもらうために、より単純な質問になさったのかもしれない。P-WANとWAN(ウィメンズアクションネットワーク)とは別団体だが(協力関係はある)、3年前にWANでは、雇用問題を含めて詳細なアンケートをおこなっていること(【特設:衆院選/アーカイブ】衆院選は「女性」が争点!――緊急政党アンケート政党アンケート全文)を見ると、そうした可能性も感じる。

あるいは、上で挙げたような具体的政策は、選択的夫婦別姓や婚外子差別解消を実現する民法改正などと違って、まだ国会の審議日程にのぼっていないので、このアンケートの設問に取り入れられていないという面もあるのかもしれない。だとしたら、今後運動をもっと前進させなければならないと思う。

もう一点述べると、「憲法9条を厳守する(不戦)」という項目については、国民新党と日本維新の会が「どちらかと言えば反対」と答えているが、自民党を含めたほとんどの政党が「賛成」と答えている。

この点について、「ジェンダー平等政策」を求める会による「解説」では、「自民党は9条を改正しようとしているのではないかという質問をいくつかいだいたが、これは設問『不戦』の厳守であるとわせてみる必要がある。全ての政党には回答を党としての公式見解としていただいている。 自民党の改正案は集団的自衛権の行使に力点があり、不戦条項の削除ではないとうことなのだろう。それが現実的に不戦の原則を犯すことになるのではないかという議論とは別に、このアンケート結果からは、自民党が『不戦』それ自体に反対を唱える維新、国民新党とは異なる立場をとっていることがわかる」とある。

しかし、日本維新の会は、カッコ内の「不戦」ではなく、「憲法9条」そのものへの賛否を答えた可能性も大いにあるだろう。むしろ、明確に「改憲」「国防軍」を謳っている自民党がこのような回答をしてしまうような「不戦」というカッコ書きのほうに問題があったのではないだろうか?

また、「外国籍住民に対する排除や差別をなくす」という政策に対して、自民党は「賛成」しているが、高校無償化からの朝鮮学校排除に熱心なのも自民党である。こうした点も、質問が抽象的すぎるがゆえの弊害だろう。

ただし、その自民党は、「性的マイノリティ(LGBT)に対する差別や社会的排除をなくす」ことには、「どちらかといえば反対」と答えている。こうした建前さえかなぐりすてた自民党の姿を浮き彫りにしたのも、このアンケートなので、一概に今回のような設問が悪いとはいえない面もある。

今回は、建前さえかなぐり捨てるような右翼ないし極右政党の比率が増したので、建前を尋ねるようなアンケート項目にも存在感が出てきたのかもしれない。憂うべきことだ。

このアンケート結果だけでなく、各政党の行動自体を見ることも重要

アンケート事務局は、上記のように「全ての政党には回答を党の公式見解としていただいている」と述べている。しかし、その党で決定した「方針」や「政策集」や「公約(マニフェスト)」に含まれていない問題に対しては、各党はいったいどのようにして回答するのだろうか? まさかいちいち全党で議論して回答するわけではあるまい。

私は、党としての政策や決定がない場合は、多分に回答をおこなった担当者の理解に左右されざるをえないと思う。実際、2001年からTMGF[=東京メトロポリタンゲイフォーラム]でゲイに関する政策アンケートをおこなってきた赤杉康伸氏は、「こういうアンケート調査で回答をおこなうのは、各党の事務局か政調担当の党職員でした。なので、自党が回答している事実さえ知らない国会議員が多いです」と述べている(3)

だから、その党の実際の行動とは、大きく異なる回答が寄せられている場合もある。

たとえば、「国民の生活が第一」は、「河野談話、村山談話を引き継ぐ」という政策に対して、「賛成」と答えている。私はこの回答に驚いた。

今年8月27日の参議院予算委員会で、同党の外山斎議員は、「河野談話が歴史をゆがめ、そして更に言えば、今日の日韓の関係を間違った方向に導いたのではないか」という立場から野田内閣を追及し、談話作成にかかわった河野氏と石原信雄元官房副長官の参考人招致を求めている。さらに、外山議員は、以前から河野談話を否定していた松原仁・国家公安委員会委員長に対して、「大臣の方から内閣の方にこの河野談話を踏襲しないように、本当は否定すべきだというふうに言っていただきたい」と要請した(4)

そして、参院予算委終了後、「国民の生活が第一」の森裕子幹事長代行(参院担当)自身が、理事会で河野氏と石原元官房副長官の参考人招致を求めた(5)

続く9月3日の参議院決算委員会では、外山議員は、「松原大臣の方からはその後何か御提案はありましたでしょうか」と松原大臣がまだ閣議で提案していないかを質問し、まだ提案していないことがわかると、「松原大臣、いつ、どのような場で提案をされるおつもりでしょうか」「いち早く行動をしていただきたい」と求めるという念の入れようだ。この日は、外山議員は、藤村官房長官にも質問を重ねている(6)

質疑応答を数えてみると、8月27日に6回(往復)、9月3日は8回(往復)、問答しており、生半可な力の入れようではないことがわかる。

国会議事録検索システム」で調べてみると、「国民の生活が第一」の議員が国会審議の中で「慰安婦」という言葉を口にしたのは、外山議員のこの2回の質問だけである。

こんな状況で、「国民の生活が第一」が「河野談話、村山談話を引き継ぐ」ことに「賛成」していると、どうして言えるのだろうか??

時事通信社は、外山議員の質問について、「河野元官房長官の招致要求=生活」という見出しで報じている(7)。森幹事長代行が河野氏らの参考人招致を求めたことは、どう見ても党として河野談話を問題視しているとしか受け取れない。

外山議員や森議員だけではない。「国民の生活が第一」の牧義夫議員(政策担当・幹事長代行)は、2007年に『ワシントン・ポスト』に掲載された「慰安婦」問題に関する意見広告「THE FACTS」に賛同している。また、小宮山泰子議員(組織・団体委員長)は「慰安婦問題と南京事件の真実を検証する会」のメンバーであった。これらの議員も、日本軍「慰安婦」問題についての歴史修正主義者といって差支えないだろう。

たしかに「国民の生活第一」が「河野談話反対」の方針を公然と決定したという事実はないようだ(8)。だから、「国民の生活が第一」の中にも、河野談話に賛同している(否定していない)議員もいるだろう。しかし、彼(彼女)らが上記の議員を批判したという話は聞かない。また、同党には、日本軍「慰安婦」問題に対して熱心に取り組んでいる議員は見当たらない。

以上から見ると、「国民の生活が第一」の実態に即した答えは、河野談話に対して「反対」であり、どんなに甘く見ても「どちらかと言えば反対」であろう。「国民の生活が第一」は、今回のアンケートに対して、党の実態と異なる回答をしたと言える。ジェンダー平等に関する他の問題についても、この党は、今年7月結党したばかりだからであろうか、はっきりした政策は見つけられなかった(少なくとも同党のサイトには見当たらない)。だから、今回のアンケートについて、何にもとづいて党としての回答をしているのかがよくわからなかった。べつに同党がジェンダー平等に対して否定的だったというつもりはない。むしろ民主党よりも上かもしれないが、回答の根拠が不明なのである。

これは極端な例だが、その他の党に関しても、投票の際には、このアンケートを見るだけでなく、これまでのその党の行動(国会質問、運動への協力など)を確認する必要があろう。

ただし、このアンケートの回答は各政党の行動を変えさせるテコとしても利用できるだろう

ただし、このアンケートは、それに対する回答をテコにして、党や議員の態度を変えさせるという使い方もできるだろう。赤杉康伸氏は、このアンケートに対して、望ましくない回答をした政党の支持者に対しては、その政党の態度を変えるように働きかけることを提言し、望ましい回答をした政党の支持者に対しては、その回答に沿って具体的に行動するよう働きかけるように述べておられる(9)。こうした使い方をするならば、たとえ実態とは少々のズレがあった場合でも、このアンケートに意味があると言えるし、そうしたことは私も今後やりたいと思う。

共産党がクオータ制に賛成していないのはなぜだろう?

私は相対的には日本共産党を最も支持しているのだが、同党はクオータ制には賛成していない。なぜなのだろう?

マルクス主義から直接にその回答を引き出すのは難しそうだ(マルクス自身の時代は第一波フェミニズムの時代なので、「クオータ制」は課題としては浮上していない)。マルクス主義との関係はよくわからないが、北欧の左翼系政党は、クオータ制を取り入れている。

日本共産党のクオータ制に対する回答には「政党の取り組みとしては(……)政党の自主的努力が問われていると考える」という文が付記されている。厳密に言えば、クオータ制も、法律で制定されないかぎりは「自主的努力」なので、どうもこの点に対する同党の無理解(質問自体に対する誤解かもしれないが)があるような気がするが、私は、それと同時に、こうした回答は、同党が外部からの介入を嫌っていることとも関係しているように思う。

この点は同党が置かれてきた歴史的・今日的状況とも関係があろうが、同党がかなり固い組織論を取っていることとも関係がありそうだ(べつに他党が民主的だという意味ではない)。こうした固い組織のあり方は、ジェンダーのような新しい課題を導入する上で妨げになってきたように思う。同党が「同一価値労働同一賃金原則」を受け入れるのも遅かった。この点はもう少し詳しく調べてみなければならないが、今後改革される必要があるように感じる。

(1)「ジェンダー平等政策」を求めるキャンペーンのよびかけ人・賛同人は24団体280人になりました」P-WAN
(2)たとえば、民主党について「雇用・労働・ワークライフバランスに関連する項目は積極的だ」、自民党について「労働・経済に直接関連しないジェンダー項目にはあまり関心を払っていない。反面、子育て休業や男性の育児休業取得推進、貧困解消には積極的である」といった分析がなされている。ただし、自民党に関しては「総論賛成、各論反対の観があり、差別をなくすということには賛成するものの、そのための法整備や条約批准(……)については消極的か、積極反対の立場をとる」ということも指摘されてはいる(「「私たちはジェンダー平等政策を求めます アンケート集計結果 チャート& 相関図解説(PDF)」)。
(3)各々の立場で政治に対してできること」NOV'S BLOG2012年12月10日。
(4)『第百八十回国会参議院予算委員会会議録第九号』p.32-33
(5)河野元官房長官の招致要求=生活」時事ドットコム2012年8月27日、「思わぬ『李明博効果』 河野談話見直し論噴出」MSN産経ニュース2012年8月28日。
(6)『第百八十回国会参議院予算委員会会議録第二十五号』p.6-7
(7)以上で述べた「国民の生活が第一」の問題を早くから指摘しておられたのが古寺多見(kojitaken)さんである(「従軍慰安婦問題で河野洋平氏の参考人招致を求めた右翼政党『国民の生活が第一』が衆院選で社民党と連携か」kojitakenの日記2012年8月27日、「『河野談話見直し』で安倍・橋下・小沢(「生活」)が足並みを揃えたなw」同8月29日、「『国民の生活が第一』の花形議員・森ゆうこ(森裕子)も河野洋平氏の参考人招致を求めていた(呆)」同9月1日)。「たんぽぽ」さんは、「ジェンダー平等アンケート(2)」(たんぽぽの礼拝堂2012年12月9日)で、P-WANのアンケートを根拠に、「[河野・村山談話の]継承に反対であれば、すくなくとも『どちらともいえない』とお茶をにごすところであって、『賛成』なんて心にもない回答をすることは、ないと考えてよいでしょう」と述べておられる。しかし、私は、党の議員の実際の行動にあらわれない(むしろ反している)「賛成」の回答に現実に何の意味があるのか、疑問に思う。せいぜい「党としての方針ではないから、河野談話を肯定していても党員・党議員としては批判されない」という程度の意味しかないが、現実に河野談話を肯定・実践しなければ、その意味も現実のものにならないと思う。
(8)国民の生活が第一」のサイトには、日本軍「慰安婦」のことは特に書かれていない(比較的詳細な「第 2 次基本政策検討案」にも言及はない)。というより女性やジェンダーに関する政策そのものが見当たらない。
(9)以下は、上杉さんのブログの記事「各々の立場で政治に対してできること」(NOV'S BLOG2012-12-10)からの抜き書きである。

私なりの色々考えた上での提言を。とにかく左右両派とも、自分と考え方の違う人を叩くだけでなく、各々の立場でできることは何なのか、書いてみます。

(1)自由民主党・国民新党支持者のLGBTのみなさんへ

 自由民主党・国民新党が「LGBTへの差別・社会的排除」に「どちらかと言えば反対」を選んでも、他の政策面における積極的理由ないしは消極的理由で、あなたは自由民主党・国民新党を支持なさっているのだと思います。どの政策を重視するのかは、それこそ個人による選択の問題ですので、他人にとやかく言われる筋合いはないですよね。

 ただ、特に自由民主党は、設問によっては「どちらとも言えない」と回答していることもある中で、LGBT問題については明確に「どちらかと言えば反対」を選択しているのは正直言って寂しくないですか? これって、「差別解消に賛成しなくても、負の影響は出ない」と見なされているようなものではないでしょうか?

 もしあなたが、自由民主党・国民新党を支持し、なおかつLGBT政策について前進を望んでいるのであれば、自由民主党・国民新党の国会議員に「自由民主党・国民新党支持のLGBTもここにいるので、党としてLGBT問題に取り組んでほしい」という声を伝えませんか?

 直接国会議員に会うのがてっとり早いですが、国会議員のウェブサイトを通しても意見を伝えることができるし、それも心理的に抵抗があれば、Twitterで自由民主党・国民新党の国会議員にリプライを飛ばすことでもOKです。自党の支持者に対して、国会議員も無碍に接することはできないでしょう。自由民主党や国民新党のLGBT政策を変化させることができるのは、支持者であるLGBT、そう、あなたの声なのです。 

(2)LGBT政策について積極的な回答を寄せている政党支持のLGBTのみなさんへ

 その政党が具体的にLGBT政策に取り組むよう、その政党の国会議員に、自分の声を届けませんか。(1)で書いたのと同様に、国会議員のウェブサイトへ意見を寄せたり、Twitterでリプライを飛ばすことが可能です。議員さんは有権者の声は無視できないものですが、逆に有権者から声が上がらない政策については取り組みにくいものです。

 また、最近は地方分権の絡みで、例えば公営住宅の入居要件が地方自治体の条例で決められるようになりました。そこで、自分の住んでいる地方自治体の議会に、「公営住宅法に同性同士でも入居できるように、条例上の要件を修正して欲しい」との陳情や請願を上げてみてはいかがでしょうか?今や、地方自治体議員さんの中でもTwitterを使っている人が増えてきていますし、最初はTwitterで理解のありそうな議員さんにリプライを飛ばしてみるのも手だと思います。

 さらに、LGBTが物理的にはどうしても少数派である以上、多数派とも対話や交渉を続け、理解者や支援者を増やすことでしか、事態は動きません。しかもそれはネット上だけではなく、いわゆる「リアル」での動きも重要です。意見が同じどうしだけで固まらず、そしてネット弁慶にもならず、意見の違う人とこそ対話によって繋がっていくことが大切ではないでしょうか? それが、ロビイング活動や自治体議員の連れ合いをしてきた自分にとっての大いなる実感です。


[2012年12月15日追記]「時事通信社は、外山議員の質問について~」という文言で始まる段落は、最初に書いた際は新聞記事の内容を取り違えていましたので、最初に書いた文を少し書き直しました。
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