2017-08

さまざまな都市でDV反対を訴える「傷を負った新婦」パフォーマンスアート

11月25日は「女性に対する暴力撤廃の国際デー」でした(1)。国連は、この日から12月10日の「人権デー」までの16日間を、「ジェンダーにもとづく暴力反対のために行動する16日間」に指定し、世界中の個人や団体に女性と女児へのあらゆる暴力を根絶するために行動を起こすよう呼びかけています(2)

この期間に、中国のさまざまな都市で、若い女性たちが、DV反対を訴える「傷を負った新婦」パフォーマンスアートをおこないました。彼女たちは、殴られて怪我をしたかのような化粧をし、血で染まったように見えるウェディングドレスを着て、通行人に向かって、親密な関係における暴力をなくすために、ビラをまいて訴えました。

この「傷を負った新婦」パフォーマンスアートは、すでに今年2月14日のバレンタインデーにも、李麦子さんら3人の女子大学生が北京の前門でおこなっています(本ブログの記事「女子大学生の『男子トイレを占拠する』アクション」の5「今回のアクションと中国のフェミニズム」参照)。今回は、国連のキャンペーンにあわせて、それを集中的におこなったということです。

11月25日の「女性に対する暴力撤廃の国際デー」に武漢で

まず、11月25日の「女性に対する暴力撤廃の国際デー」には、武漢市の漢口の江漢区の民政局の入口の大通りの前で、午前10時に、葉さん、華さん、王さんという3人の若い女性が、殴られて顔に怪我をしたかのような化粧をし、「血染めのウェディングドレス」を着て、「暴力が身近にあるのに、相変わらず黙っているの?」「DV[家暴]は家庭内部の問題[家事]ではない、DVは違法である」と書いたプラカードを掲げ、通行人にチラシをまいて、親密な関係の中での暴力をなくすように訴えました。

葉さんは、「みんなは、DVは私領域の問題、家庭内部の問題だから、第三者には口を出す権利がないと思っています。しかし、実際は、暴力は公民の人身の安全を侵犯する行為であり、法律によって制裁されなければなりませんし、親密な関係の中の暴力はもっと許してはならないのです」と語りました(3)

別の報道では、「樹葉」さんが組織者であること、樹葉さんは同級生たちと募金を集めて、3着のウェディングドレスを買ったとも報じられています(4)

樹葉さんは、華中師範大学文学院の大学院生として、世界トイレの日(11月19日)に、同大学の学長に女子トイレ増設を要望する手紙を出した人であり(本ブログの記事「全国の12師範大学で女子学生が各学長に女子トイレ増設求める手紙」参照)、9月16日に武漢大学の門前でおこなわれた、花瓶を叩き壊してミスコンに抗議するパフォーマンスアートの発起人でもあります(本ブログの記事「ミスキャンパスコンテストに対する抗議行動」参照)。

12月2日には5都市でいっせいに

12月2日には、杭州・上海・広州・西安・東莞という5つの都市で、いっせいに、あわせて数十名の若い女性が街頭で「傷を負った新婦」のパフォーマンスアートをおこないました。以下、各市の具体的な状況をまとめました。

杭州市

浙江大学社会学系2年生の陳芳さん(仮名)と張晴さん(仮名)が、午前10時、朱墨で赤く染めた「血染めのウェディングドレス」を着て、「傷を負った」かのような化粧をして、他の2人の仲間とともに杭州市の武林の繁華街にやってきました。彼女たちは、ある大きな百貨店の入口で、「殴るのは親しさではなく、罵るのは愛ではない」「DVをいっさい容認しない」と書いたプラカードを掲げ、宣伝ビラをまきました。

彼女たちは、記者に対して、自分たちはずっと女性の権利に関心を持ってきたこと、親密な関係における暴力が中国では深刻だから、全社会が重視する必要があると述べました(5)

広州市

広州市番禺区の繁華街では、鄭楚然さんと梁小門さんが、血の色の染料で染めたウェディングドレスを身にまとい、顔が痣だらけになって腫れ上がったかのような化粧をして、「彼女が被害に遭っていたとき、あなたがたはどこにいたの?」「彼女が自衛するのを待っていてはならない。夫を殺したときになって、たびたびDVの被害にあっていたのを知ることになる」と書いたプラカードを掲げました。彼女たちは、寒風と小雨の中、DVに反対するスローガンを大きな声で叫びつつ、親密な関係における暴力に反対するビラを配りました。

数分もしないうちに、彼女たちの周りには数十名の人垣ができました。けれど、彼女たちの訴えに対して、ある男性は「もし女房がひどいことをしたり、怠けていたり、ばくち好きだったりしたら、絶対殴らないといけない」と言い、ある通行人の男性は「自分は妻や子どもは殴らないけれど、他人が女房を殴るのを見ても他人の家の中の問題だと思うから、干渉すべきじゃない」と言うといった具合で、同意しない人も多かったとのことです(6)(けれど、無視されるのではなく、このように議論になっただけでも、すごいとも言えると思います)。

西安市

西安市の雁塔区育才路の陝西省婦女連合会の前でも、格蕾さんら2人の女子大学生が、顔に殴られて青いあざができた化粧をし、血に染めたウェディングドレスを着て、DV反対のパフォーマンスアートをしました。彼女たちとこの活動の組織者の黄文さん(男性のようです)とは、「殴るのは親しさではなく、罵るのは愛ではない」「暴力が身近にあるのに、相変わらず黙っているの?」と書いたプラカードを掲げて、道行く人に訴えました。

格蕾さんは、「私たちが婦女連合会の門の前の街頭このような活動をしたのは、多くの大衆と市民に、親密な関係の暴力を含めた家庭内暴力は、実際は私たちの身のまわりに存在していることを知ってもらって、みんなに黙ったままでいてはならないことを訴えるためです」と語りました(7)

下が、このパフォーマンスアートのテレビ報道のビデオです。
视频:女大学生穿“染血婚纱” 行为艺术反对家庭暴力

東莞市

東莞市では、中堂鎮センターの前の広場で、「丸子」「小玉」「大雁」と名乗る3人の女子学生が、「暴力は身近にあるのに、どうして黙り続けていられるだろうか?!」「愛のために声を上げよう 愛のために暴力を禁止しよう」と書いたプラカードを掲げてDV反対を訴えました。写真を見ると、ウェディングドレスを着ているのは1人だけですが、3人とも、顔に赤い血の跡や青いあざができきているような化粧をしています(8)

「青年女性実践とジェンダー平等」秋令営で決定

以上のように一斉にパフォーマンスアートがおこなわれたのは、もちろん偶然の一致ではありません。

11月23日から26日まで、武漢で「青年女性実践とジェンダー平等」秋令営(オータムキャンプ、合宿)が開催され、中国の中部地区の、ジェンダー問題に関心を持つ青年活動家35名(女性30名、男性5名)が参加しました。そのとき、パフォーマンスアートの計画についても話し合われたのですが、11月25日は「女性に対する暴力撤廃の国際デー」であることから、いくつかの候補の中から、「傷を負った新婦」パフォーマンスアートなどが選ばれたのです。

もちろん女性に対する暴力やDVに対する反対運動は、パフォーマンスアートという形でだけおこなわれているのではなく、DV防止法についての署名運動などもおこなわれています。それについては、次回ご紹介したいと思います。

(1)その起源は、「ドミニカ共和国がトルヒーヨ独裁時代に反対運動をしていたミラバル3姉妹が、投獄されていた夫たちに面会に行った帰りにトルヒーヨ政権の放った男たちにより殺害されました。当局側はそれにより反政府運動が鎮静化すると考えていましたが、逆に民衆の怒りを買い、半年後にトルヒーヨ自身の暗殺へと結びつくことになりました。国連は1999年、彼女らの活動を称賛し、女性への暴力に抗議するため彼女らが暗殺された11月25日を『女性に対する暴力撤廃国際デー』として採択しました」というものだそうです(「女性に対する暴力撤廃国際デー」国連情報誌SUNブログ対応版)。
(2)女性に対する暴力撤廃デー」UN Women 日本事務所公式サイト。
(3)以上は、「武汉3名女青年化身“受伤新娘” 街头反对家暴」荆楚网2012年11月26日(来源:楚天都市报)。
(4)武汉3女子穿带血婚纱缠绷带宣传反对家暴」荆楚网2012年11月26日。
(5)以上は、「五城市女青年穿“染血的婚纱”演行为艺术反家暴」新華網浙江頻道2012年12月2日。
(6)以上は、「5城市数10名女青年街头穿染血婚纱宣传反家暴」中国新聞網2012年12月3日(来源:羊城晚报)。
(7)以上は、「西安女大学生穿"染血婚纱" 呼吁别对家暴沉默」西部網2012年12月2日。
(8)东莞年轻女子身穿"血"婚纱 宣传反家暴」東莞陽光網2012年12月3日。
(9)嵘嵘「武汉青年社会参与与性别平等主体秋令营培训公报」google group性别平等计划2012年12月3日。
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