2017-05

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ミスキャンパスコンテストに対する抗議行動

以前このブログでお伝えしたように、今年4月9日、李麦子さん、可さん、鳳さん、尚さん(いずれも仮名)ら数名の女子大学生が、西安でミスコンに反対するパフォーマンスアートをおこないました。彼女たちは、「ミスコンを拒否する。花瓶にはならない。自分自身にしかならない(拒绝选美 不做花瓶 只做自己)」と書いたパネル(そのパネルには、花瓶に×印を付けた絵も描いてある)を掲げつつ、花瓶を金づちで叩き壊すパフォーマンスをおこないました。

「花瓶」という言葉を中国語辞書で引くと、「花瓶」という意味の次に、「飾り物、お飾り(の女性)」(中日辞典)、「旧社会で事務室の飾り物的女事務員」(中日大辞典)という意味が出てくるほどで、女性を飾り物扱いすることを示す一般的な表現のようです。

可さんは、「現在多くの大学でミスコンをしていて、少なくない女子大学生が参加しています。しかし、それらは一部の企業の宣伝の手段になっています」と批判し、李麦子さんは、「ミスコン(選美)の問題は、誰が『美』を定義するのか? という問題です。その答えは、往々にして男性の審査員と大衆が定義するというものですが、女子大学生の美は、自分自身で決定するべきです」と主張しました(以上は、本ブログの記事「女性差別反対を訴える女子大学生のパフォーマンスアート続く」参照)。

その後も、ミスキャンパス選出に対する反対運動はおこなわれています。

9月 武漢でミスキャンパスコンテストに抗議行動

9月16日にも、数名の仮面をつけた女子大学生が、武漢大学の門の前で、花瓶を叩き壊してミスコンに抗議するパフォーマンスアートをおこないました(この抗議活動は仮面を付けておこなわれていますが、4月や後述の10月の抗議活動は素顔のままでおこなわれています)。

彼女たちのうちの2人は、「花瓶にはならない。自分にしかならない」と書いたプラカードを掲げました。その横では、別の女性が、高さが1.2メートルもある大きな古い花瓶を、金づちや煉瓦で叩き壊しました。その花瓶には、女性美に対するステロタイプな要求――「色白である」「鼻が高い」「乳房が大きくてまっすぐに立っている」「大きな目」「柳腰である」などと書いてある、多くの紙片が張ってありました。

下が、このパフォーマンスアートのビデオです(中国語字幕付き)。
实拍高校女生街头砸花瓶反对大学生选美

このアクションの発起人の樹葉(仮名)さんは、「私たちの目標は明確であり、あちこちでおこなわれているミスコン、とくに大学のキャンパス内での大学生のミスコン活動に抗議することです。なぜなら、ミスコンは、女性の多元的な性格と才能の発展に不利であるだけでなく、伝統的なステロタイプな要求にもとづく美の選択なので、女子大学生が将来職業選択をする過程でも容姿差別の問題を引き起こす可能性があります。」「私たちは、他の人に私たちの美醜を定義してもらう必要はありませんし、まして外部の力がそれを強化し、規範にする必要はありません」と語りました。

8月末に広州で、大学入試の男女差別を容認した教育部(日本で言う文科省)に抗議して坊主頭になった数人の女性(本ブログの記事「大学入試の男女差別に対する抗議活動つづく――差別を正当化する教育部を批判して、坊主頭になるパフォーマンスアートも」参照)も駆けつけて、このミスコン反対アクションを盛り上げました。[梁]小門さんは、「女子大学生に対するこのような消費文化とミスコン文化は、実際に女性の地位向上に不利です」と語りました。

差別に反対する公益機構である北京益仁平センターの武嶸嶸さんも、「現在、大学のキャンパスにもミスコンの波が押し寄せていますが、これは注意・警戒すべき問題です。女性を外見で判断することは、女子大学生に対する容貌差別をますます過酷にする可能性があります」と語りました(1)

なお、ミスコン批判をした女性たちの中には、「美男子選び(選美男、オスコン)」をやって対抗しようという意見を出す人もいたようですが、それに対しては、「主流のモデルをコピーするだけではないか。男女を逆さまにするにすぎない」といった意見が出て(於:「ジェンダー平等唱導・アクションネットワーク」のフォーラムと思われるgoogle groupの性別平等計画[性别平等倡导计划]のフォーラム)、おこなわれなかったようです(2)

ミスキャンパス審査に50項目の数値的な審査基準があったという報道をめぐって

彼女たちがこのパフォーマンスアートをしたきっかけになったのは、以下の報道です。

「中国キャンパスモデルネット(中国校园模特网)」が、湖北の大学の「十大ミスキャンパス」を選ぶコンテストをおこなったのですが、主催者は、その際に、50条の審査基準を発表しました。それは、「身長は頭部×7.1cm」「バストは身長×0.51cm」「アンダーバストは身長×0.432cm」「ウエストは身長×0.34cm」「腹周りは身長×0.457cm」「ヒップは身長×0.542cm」、「乳房は豊満で、均整がとれており、垂れていない。2つの乳房の大小・形状・位置は均一で、2つの乳の間の距離は20cmより大きく、乳房の底面の直径は10-12cmで、底面から乳頭までの高さは5-6cm。乳房はぴんと立っていて、トップとアンダーとの差は17-20cmが適当である」といったものでした(3)

もっとも、『中国婦女報』の取材に対して、主催者側は、「メディアに提供した資料の中に、私たちが準備活動をしている時にインターネットで収集した肉体美・人体美に関する資料が含まれていた」ので、誤解されてそのように報道されただけであって、それらは「私たちが審査基準として確定したものではけっしてない」と弁解しています(4)

私も、実際に上のような細かい測定ができるはずがないことを考えると、この弁解自身は、真実であろうと思います。また、上のような細かな基準が報道された結果、このミスコンはネット上で非難を浴びて、活動を一時休止せざるをえなくなっていますから、こうした基準は、中国でも非常識なものだと捉えられていることは押さえておく必要があると思います。

しかし、同じ『中国婦女報』のべつの記事(姚鵬執筆)で批判されているように、「いかなる基準で女性の身体を審査しても、その本質は男権社会の視点から女性を見つめることであり、女性に対する差別である」(5)と言えます。

また、細かな数値を書いた資料を参考にするということ自体、女性の美を数量化して測定する発想があるからでしょう。実際、キャンパスモデルネットの審査委員会の声明も、「最終的に確定した方法では『物差しのよる美人審査』『数字の物差し』を採用している。ただし、いささかのデリケートな物差しは除外したた。体形の審査の項目にあるのは、顔の形、五官[顔立ち。眼・耳・鼻・舌・唇]の比率、体重と身長の比率、スリーサイズの比率、身体全体の比率である」(6)というふうに述べています。

なお、主催者は、「百度[中国のサーチエンジン]で、『顔面美学基準(面部美学标准)』とか、『肉体美学基準(形体美学标准)』で検索すると、多くの検索結果が出てくる」から、そうしたものを参考資料にしただけである、とも述べています。そこで、私が実際に、百度で「面部美学标准」で検索したり「形体美学标准」で検索したりしたみたところ、出てきたのは美容整形のサイトが大半でした。こうしたことは、美容整形業界の発想とミスコンとの間に共通性があることを感じさせます。

10月 北京で全国ミスキャンパス選出の予選会場前で抗議行動

10月21日、第4回舒蕾中国ミスキャンパスコンテスト(舒蕾中国校花大赛)の北京ブロックの予選が北京の尚客でおこなわれました。その会場の入り口に、中国人民大学の女子学生2人が、「ミスキャンパスをボイコットする」「花瓶になることを拒絶する」と書かれたパネルを掲げてやって来て、花瓶を叩き壊すパフォーマンスをおこなって、抗議しました。彼女たちは、「私たちはミスキャンパスコンテストを拒絶します。拒絶するのは男性の審美の覇権であり、拒絶するのは、千篇一律でまったく個性がない美です」と語りました。

それに対して、大会組織委員会の樊冬梅さんは、「私たちのミスキャンパス選出も、大学生の個性の美、特色の美を発掘することを望んでいます。」「彼女たちのミスキャンパスと私たちの今回の活動の主旨に対する理解は一面的です。私たちは今回の活動によって、単なる花瓶ではなく、内面も外面もすぐれており、人品と容貌を兼ね備えていて、21世紀の中国の大学生の斬新なイメージの新しいミスキャンパスを選出したいと願っており、これは私たちの4回のミスキャンパス大会の一貫した主旨です」と語りました(7)

「美貌だけを審査するのではない」と言っているのは中国の他のミスコンも同じなのですが、実際に選出されている女性たちを見ると(「中国校园模特网」「舒蕾中国校花大赛」のサイト参照)、一般的に言う「美女」ばかりであるということは、少なくとも美貌が相当の水準に達していないといけないのでしょう。また、とくに「個性」ある美女という感じもいたしません。

ミスキャンパスコンテストの参加資格

なお、湖北十大ミスキャンパスコンテストの参加資格は、「湖北省内の各大学の在校女子学生(大学院生を含む)」で、「身長162cm以上、体重55kg以下、年齢23歳以下、容姿端麗、身体健康」となっています(「中国十大校花评选活动选手条件」)、また、舒蕾中国ミスキャンパスコンテストの参加資格は、「18歳以上、30歳以下」の「大学在学中の女性」となっていますが、「附則」に「美容整形や性転換手術を受けた人の参加を拒否する」とあります(「大赛章程」)。

「校花」を「ミスキャンパス」と訳しましたが、「未婚」であることは条件に書かれていません。しかし、年齢には制限があります。「湖北十大~」のほうは、やはり数字にこだわっているようです。なお、「美容整形や性転換手術」を受けた人の参加を拒否するという点は、新聞報道で見るかぎりは、今のところは、とくにその点を取り上げて批判することはおこなわれていないようです。

フェミニズムの見地からのミスキャンパスコンテスト批判

散発的な、少人数の行動であるとはいえ、上のような抗議が何度もおこなわれている背景には、市場経済化に伴って、ミスキャンパスコンテストが盛んになってきたことがあります。

また、以上で見てきたように、女子大学生らの運動がミスコンを批判しているのは、女性が飾り物(花瓶)にされることや、女性の美を自分自身ではなく他者(とくに男性)に定義されること、女性に画一的でステロタイプな「美」が要求されていること、就職の際の容姿差別にも結びつくような「美」が女性にとってが規範化されること、企業の宣伝の手段になっているといった理由でおこなわれています。大きくまとめれば、フェミニズムの見地からのミスキャンパス批判だということになると思います。

こうした女子大学生による明確なフェミニズムの見地からの、花瓶を叩き壊すパフォーマンスアートをおこなうミスキャンパス反対運動がおこなわれるようになったのは、今年からです。4月のアクションに李麦子さんが登場しており、8月のアクションも「性別平等計画」フォーラムで話し合われている点から見ると、これらの反対運動は、「ジェンダー平等唱導・アクションネットワーク(性别平等倡导行动网络、Gender Equality Advocacy and Action Network)の活動(本ブログの記事「若い行動派フェミニストたちの『ジェンダー平等唱導・アクションネットワーク』」参照)と深くかかわっていると考えられます(8)

ミスキャンパスコンテストの主催者について

湖北の大学の「十大ミスキャンパス」に選ばれると、称号や証書、トロフィーだけでなく、芸能プロダクションに推薦したり、テレビ番組への出演の機会もあるということが主催者のサイトに書かれています(9)。また、「舒蕾中国ミスキャンパスコンテスト」は、中国の大学生向けのファッション雑誌である『新鋭』誌が主催しています。こうしたことは、中国のミスキャンパスが、モデル業界や芸能界、ファッション業界主導でおこなわれていることをうかがわせます(もっとも、ミスキャンパスになった女性たちのその後については、まだ調べられていませんし、本当に何らかの形で人生のチャンスをつかめているのかどうかはわかりませんが……)。

日本におけるミスキャンパスコンテストも、そうした業界とつながりがあるようです。ただ、日本の場合は、学園祭で学内団体(その団体に学外のスポンサーがついているケースが多いにしても)が主催しておこなわれる場合が多いので、反対運動の側も、学内の主催団体などと話し合って中止を求める場合が多いのですが(たとえば、昨年の「ICUの企画に反対する会」)、中国の場合は、こうした学外の団体が学外で選出しているようで、それが反対運動のあり方の違いになっているのかな、と思います。

なお、それとは別に、中国でも、ミスコンを公的機関が参与しておこなう場合もあって、中華全国婦女連合会が、共産党や政府はミスコンに関与しないように要望したりしています(10)(婦女連合会のミスコン批判は、フェミニズム的見地からの批判とは少し相違もあるのですけれども)。

日本の場合は、1980年代後半から90年代初めごろにかけては、自治体が主催するミスコンに対する反対運動が高まったけれども、運動はその後鎮静化し、最近は商業主義とも結びついたミスキャンパスが盛んになって、昨年は国際基督教大学で反対運動がおこったといった経過を山口智美さんがまとめておられますが(「ICUミスコン論争に関して思ったこと」ふぇみにすとの論考2011年6月7日)、中国の場合はどういう歴史的経過になっているのか調べてみなければならないと思います。

(1)以上は、「抗议"乳间距"评选 女大学生砸花瓶」新浪新聞2012年9月17日(山東商報)、「女大学生街头砸花瓶 抗议“乳间距”评选 」合肥在線2012年9月17日(来源:漢網-武漢晩報)、「女大学生砸碎花瓶 抗议乳间距20cm标准」網易女人2012年9月17日。
(2)Re: 【性别平等倡导计划】 60万高校女生选美 湖北高校10大校花开评,辣评:大学校花评选要求测乳间距 选美不能成猎色借口 」性别平等倡导计划2012年9月6日。
(3)双乳间距超过20cm才是好校花?」網易女人2012年9月6日(→「中国ミスコンの美人基準が以上の細かい件」ロケットニュース24 2012年9月9日)、「『乳首の間は20センチ以上』、中国ミスコンの審査基準」AFPBB News2012年9月9日。
(4)“湖北高校十大校花评选”调查:主办方否认曾发布乳间距标准」『中国婦女報』2012年9月12日。
(5)姚鵬「无论何种选美标准都难改歧视本质 」『中国婦女報』2012年9月15日。
(6)校花评选组委会 声 明(2012湖北高校10大校花评选组委会2012年9月12日)」中国校园模特网
(7)校花大赛北京赛区遭“砸场”抗议称拒当校花」第一視頻2012年10月26日。
(8)4月や10月のアクションについても、どのように具体的に彼女たちが関わっていたのかまではわかりませんが、「性別平等計画」フォーラムの中に出てきます(嵘嵘「WOMEN在行动!她们“占领男厕”之后又“砸花瓶”」性别平等倡导计划2012年4月10日、李麦子「舒蕾杯中国校花大赛场外 拒做花瓶“砸场”抗议」性别平等倡导计划2012年11月6日)。
(9)湖北高校10大校花评选9月5日启动」中国校园模特网
(10)「全国妇联《遏止美女经济》提案建议: 禁止党政部门参与组织选美」『中国婦女報』2005年3月11日。
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コメント

わかります

こんにちわ

ブログを読ませていただきました。

とても面白いですね~

更新を楽しみにしています


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