2017-08

中国のDVについての最近の中国語書籍

中国のドメスティック・バイオレンス(DV)に関する(20)00年代半ば頃までの中国語文献については、拙稿「中国におけるドメスティック・バイオレンスに対する取り組み」『中国21』第27号(2007年3月)の注記などをご参照いただければ、大体のところはおわかりいただけると思います。その後、本ブログでも、「陳敏『吶喊:中国女性反家庭暴力報告』」をご紹介しました。

しかし、ここ2~3年の間にも、中国本土ではすぐれた研究が次々に現れ、単行本にもまとめられましたので、それらを今回ご紹介してみたいと思います。以前からのことですが、今回ご紹介する書籍も、民間団体である「DV反対ネットワーク(反对家庭暴力网络)」の方々が執筆したものが目立ちます。彼女たちの研究は、学術的にすぐれているのみならず、DVを克服するための実践と深く結びついていることに特徴があります。

●卜衛・張祺主編『消除家庭暴力与媒介倡導:研究、見証与実踐(Media Activism to End Domestic Violence: Research,Witness Reports and Practice)(家庭内暴力をなくすためのメディアの唱道:研究・証拠・実践) 』(中国社会科学出版社 2011年)ネット書店「書虫」のデータベースの中のこの本の書誌データ[購入ページ]

本書は、DV反対ネットワークの「ウェブサイト・サブプロジェクト」の参加者の文集であり、構成は以下のとおりです。

第一単元 女性・子どもに対する暴力の現状の調査分析
 第一章 DVサバイバーの声に耳を傾ける
 第二章 児童に対する暴力に関心を持つ
第二単元 民間女性組織のメディア行動
 第三章 ジェンダー暴力のメディアでの再現の研究
 第四章 民間女性組織とメディアの行動
 第五章 《ヴァギナ・モノローグ》とジェンダー暴力に反対する全世界の運動
第三単元 能力建設と国際交流
 第六章 国際交流の報告

いずれの章も、研究報告に加えて、さまざまな実践の記録も掲載されています。

第一章「DVサバイバーの声に耳を傾ける」では、「研究報告」として、DV反対ネットワーク・ウェブサイトサブプロジェクトと河北省婦連権益部よる(執筆は張祺)「絶望の『暴力を以て暴力を制する』――河北省女子監獄受刑者の親密な関係の暴力の調査報告」が掲載されています。この研究は、河北省女子監獄の受刑者全員を調査対象にしていますが、とくに「暴力を以て暴力を制した」女性たち(=長い間暴力を振るわれ続けたために、暴力的手段で加害者に反撃したたため、犯罪者になってしまった女性たち)に注目しています。この研究は、たとえば、以下のような点を明からしています。
 ・調査対象者のDV被害の約半数は法定の婚姻外(未婚、離婚後、配偶者死亡後)で被害に遭っており、「家庭暴力」という言葉には問題がある。
 ・DVに遭ったことがある人の比率は44%であったが、これは、身体的暴力と性暴力に限った数値であることなどから、実際はさらに高いと推測される。
 ・身体的暴力や性暴力は、親密な関係における人身の自主権の阻害(仕事に就いたり、友人と会ったりすることを阻止されることなど)と相関が高い。このことは、DVが支配の手段であることを示している。
 ・被害者に対する社会的サポートは少なく、とくに正式なシステム(婦女連合会、警察など)のサポートは少ない。また、その中には、「言うことを聞く女になりなさい」といった「教育」もある。
 ・DV被害に遭ったことがある受刑者のほうが、遭っていない受刑者よりも、暴力犯罪(殺人・傷害など)で受刑している人が多い。「暴力を以て暴力を制した」女性たちは、44.6%が自らの生命の危険を感じており、34.9%が家族の生命の危険を、17.2%が子どもの生命の危険を感じていた。
 ・けれど、彼女たちは、事件後の司法の場では、自らのDV被害を語る機会がなかったり、二次被害にあったりすることが少なくない。
この章では、そのほか、DVサバイバーからの手紙やDVサバイバーとの対話・インタビュー、「反家庭内暴力早わかり」といったものも収録されています。

第二章「児童に対する暴力に関心を持つ」は、研究報告としては、卜衛「わが国の児童に対する暴力的侵害の状態の分析報告」が掲載されています。この論文は、2004、5年頃から始まった、児童虐待に関するさまざま調査・研究をもとにして、児童に対する暴力(家族・学校・コミュニティ・仕事場での暴力、性暴力)の実態をまとめ、その原因を分析しています。この論文は、本書に収録された論文のうちでは、比較的初歩的な研究のように見えますが、従来中国では立ち遅れていた、児童に対する暴力に関する多くの研究を現段階で包括的にまとめたものとして貴重だと思います。現在までのところ、中国で一番まとまった児童に対する暴力防止活動は、中華全国婦女連合会とユニセフが2006年から2010年にかけて広東・陝西・浙江でおこなった、児童に対する暴力の予防と関与のための試験的なプロジェクトだと思いますが、本章では、そのプロジェクトの際に、広東省でおこなわれた児童に対する暴力の報道に関する研修やワークショップについても報告されています。

第三章「ジェンダー暴力のメディアの再現の研究」は、研究報告として、龐明慧「『中国婦女報』の家庭内暴力の報道の内容分析」と張祺「法制類の新聞における性暴力事件報道の『強姦神話』の研究」を収録しています。前者は『中国婦女報』の家庭内報道の優れた点と、同紙の報道が歴史的に改善されてきたことを詳細に分析しています。後者は、2004年の法制関係の新聞(『○○法制報(○○には地方の名前が入る)』といった名称のものが多い)の強姦事件の報道記事781篇を分析して、その問題点を明らかにしています。さらに、この章には、DV反対ネットワークが開催した、DV報道に関する討論会の簡単な記録や同ネットワークが著した「家庭内暴力報道専門準則」も収録されています。

第四章「民間女性組織とメディア行動」は、研究報告を3篇収録しています。まず、卜衛・米曉琳(Cecilia Milwertz)「小を以て大を制する――民間女性組織のDV反対アクティビズムとその宣伝戦略」は、1990年代から21世紀初頭にかけての、北京の民間女性組織のDVに対する取り組み(とくにそのメディア戦略)の歴史を明らかにしたものです。卜衛「伝統的メディアを利用して組織する――農村コミュニティにおける民間演劇のDV反対運動における役割」は、2005年に卜さんが発表したOrganizing Against Domestic Violence――Exploring the Use of a Popular Theater Troupe as Alternative Media in Rural Chinaの翻訳であり、都市のようにはマスコミやインターネットが普及していない農村で、鄭州の民間女性団体である「河南コミュニティ教育と研究センター(河南社区教育与研究中心)」が、民間演劇をオルタナティブ・メディアとして活用した実践を報告しています。卜衛「オルタナティブ・メディアと大衆メディアの相互伝播――DV反対サイトのケーススタディ(2000―2003)」は、DV反対ネットワークのサイトが、独自の視点や情報によって、大衆メディア(マスコミ)との間にも相互作用を形成することに成功した経験などを述べています。この章は、ほかに、卜衛「延慶農村コミュニティプロジェクト視察記」などの活動ノートも収録しています。

第五章「《ヴァギナ・モノローグ[阴道独白]》とジェンダー暴力に反対する全世界の運動」は、研究論文としては、米曉琳(Cecilia Milwertz)・卜衛「『訴苦(苦難を訴えること)』と喜び――性暴力に反対する演劇《ヴァギナ・モノローグ》に関する対話」を収録しています。これは、演劇《ヴァギナ・モノローグ》(イブ・エンスラー作)が中国のDV反対運動で活用されたことについて、Milwertzのさまざまな問いかけ(たとえば、アメリカの作品を中国で上演することの有効性とか、第二波フェミニズムの中の「コンシャスネス・レイジング」と中国革命の中でおこなわれた「訴苦」との差違とか)に対して卜衛が答えているものです。この章は、ほかに、各地の《ヴァギナ・モノローグ》上演の記録を収録しています。

第六章「国際交流の報告」は、2つの国際会議についての詳しい研究報告を掲載しています。卜衛「家庭内暴力反対の国際知識ネットワーク――第9回家庭内暴力反対国際会議報告」は、2004年に開催されたThe 9th International Conference on Family Violenceへの参加報告、卜衛「公共と私的領域の政治の再検討――北欧・中国ジェンダーと政治国際シンポジウム概要」は、2002年に開催された同シンポジウムについての報告です。そのほか、タイやデンマークの視察報告も収録しています。

本書に掲載されている研究報告は、多くの先行する調査や研究をきちんと押さたうえでの実証的で緻密な研究、意欲的な実践ばかりです。たとえば、最初に挙げた、「絶望の『暴力を以て暴力を制する』――河北省女子監獄受刑者の親密な関係の暴力の調査報告」の中の「文献回顧」の節では、DVの定義・発生率・被害者サポート・「暴力を以て暴力を制した女性」に関する従来の諸研究の方法と結果を総括しており、ここだけでも、読む価値があるほどです。

本書からは、ここ5~6年の間にも、中国においてDV研究の水準が大きく向上したことを感じます。また、それは、運動の発展と結びついていることもわかります。本書は、中国のDVとDV防止運動を知るうえで必読の文献だと思います。

●朱東武 斉小玉編『城市社区多機構干預家庭暴力的実踐(都市の地域コミュニティで多くの機構がDVに関与する実践)』(中国社会科学出版社 2011年) ネット書店「書虫」のデータベースの中のこの本の書誌データ[購入ページ]

本書は、DV反対ネットワークの中の「都市の地域コミュニティで多くの機構がDVに関与する」サブプロジェクトの活動理念と活動内容をまとめたものです。このプロジェクトは、2000年以来、北京市豊台区の右安門街道で試験的にDV防止活動をおこなってきました。

「多くの機構の協力」というのは、DVに対しては、単一の機構だけでは対処できないので、ソーシャルワーカー、社会福祉、警察、裁判所など、多くの機構や人員の協力によって対処するということです。以前は、DVは「家庭の中の私事」であり、「女性にだけ関係があること」だと考えられていたので、DVに対する介入は、婦女連合会の職責だとされていました。また、DVは「家族関係の問題」で、「夫婦両方の責任」だと捉えられていたために、「調停」という方法によって解決しようとする傾向もありました。それに対して、「多くの機構が協力してDVに関与する」ことは、DVを「社会問題」・「社会全体が取り組むべき問題」として捉えることを意味します(本書、p.64-65)。

本書の構成は以下のとおりです。
第一部 地域コミュニティで多くの機構がDVに関与する理念
 第一章 ジェンダー平等の目標
 第二章 多くの機構が協力して関与する戦略
 第三章 ソーシャルワークの専門的方法による介入
第二部 地域コミュニティで多くの機構がDVに関与する実践
 第四章 地域コミュニティの多くの機構が関与する工作ネットワークの構築
 第五章 DVに反対する地域コミュニティの文化的雰囲気の構築
 第六章 工作人員のDVに関与する能力の向上
 第七章 積極的に介入して、DVの当事者を援助する
 第八章 男性や地域コミュニティのボランティアの参与を励ます
 第九章 地域コミュニティ建設の中に右安門モデルを植え付ける

本書の第一章~第三章では、このプロジェクトが、「ジェンダー平等」という目標、「多くの機構が協力して関与する」という戦略、「ソーシャルワーク」という方法によるものであることが説かれています。

第四章には、このプロジェクトが右安門街道を協力相手にした事情や、多くの機構が協力するネットワークの構造、具体的な行動・実践事例が書かれています。

第五章では、さまざまな宣伝活動をおこなうことによって、コミュニティの中にDVに反対する文化的雰囲気を作り出したことが述べられます。

第六章では、公務員や婦女連合会の幹部、ボランティア、DVが発生した家族のメンバー、派出所・病院・裁判所のメンバー、小学校の教師などに対して、DVについての研修をおこなったことやその効果について述べられています。

第七章では、DVが発生した場合に積極的に介入したこと、DVの被害に遭った女性たちのために「被害女性サポートグループ」を作って被害者を援助したこと、加害者のためには「幸福家庭成長グループ」を作って自らを反省させたことなどが述べられています。

第八章では、男性たちもDV防止活動に参加したことやDV防止活動にボランティアを組織したことが述べられています。

第九章では、このプロジェクトがおこなった活動を「右安門モデル」として概括しています。また、右安門街道ではこのプロジェクトが終了した後もDVに関与する活動が続けられていることも述べられます。

本書の強みは、現実に成功した実践をもとにして議論をしていることだろうと思います。

ただ、私は、このプロジェクトがぶつかった障害や克服できなかった問題点に関しても、もっと記述してほしかったと思いました。もっとも、プロジェクトがぶつかった障害に関しては、若干は言及されており、たとえば、2000年初め頃は、DVの問題はまだデリケートな話題であったため、プロジェクトを受け入れてくれる地区を見つけるのが困難で、ある区の婦女連合会の主席は「私がもしこのプロジェクトを受け入れても、区は、私が『区の暗い面を暴露する』と思って、けっして同意しないだろう」と語ったことが記されています(p.61)。しかし、本書では、このプロジェクトでは克服できなかった問題に関しては明示的な言及はありません。たとえば男性の参加や加害者の変革については、それほど高い到達点は築くことはできていないように見受けられますが、それならば、今後の課題について明示しておくことにも重要な意義があるのではないでしょうか。

●呂頻主編『中国反家庭暴力行動報告 (Report on Anti-domestic Violence Actions in China)』(中国社会科学出版社 2011年)ネット書店「書虫」のデータベースの中のこの本の書誌データ[購入ページ]

2008年初め、DV反対ネットワークは、中国のDV防止のための行動の各領域における進展を、全面的に回顧・評価・分析して、今後に向けての提案を研究するプランを立てました。その目的は「中国のDV反対のための行動の成就と進展を総括するためであるとともに、民間女性組織のために、今後の関与・援助・唱道活動の拠りどころを提供するため」でした。本書は、その成果をまとめたものです。

本書は、「法律政策」(朱莉・于懐清執筆)、「司法による保護」(朱莉・于懐清執筆)、「警察による関与」(于懐清執筆)、「地域コミュニティによる関与」(朱東武執筆)、「シェルター」(呂頻執筆)、「法律援助」(于懐清執筆)、「心理的サポート」(呂頻執筆)、「医療による関与」(蔡一平執筆)、「男性の参与」(呂頻執筆)、「大衆メディア」(蔡一平・呂頻執筆)、「理論研究」(蔡一平執筆)、「行動の広がり」(蔡一平・戴静執筆)という項目に分かれており、項目ごとに、「進展と現状」「問題と障害」「対策と提案」の3点を論じています。

最後に、「結語」として、「DV防止を実現する国家の責任――現状・問題・建議」を呂頻さんがまとめています。呂さんは、国連事務総長の「女性に対するあらゆる形態の暴力に関する掘り下げた研究」 (A/61/122/Add.1) (In-depth study on all forms of violence against women、关于侵害妇女的一切形式的暴力行为的深入研究)が指摘した、DV防止における国家の7つの責任に即して、国家の政策や制度の問題点を指摘するとともに、今後努力すべきポイントを挙げています。

本書は、中国のDV防止のための施策と運動の到達点と課題をひと目で知ることができる、非常に良い文献だと思います。また、同じ内容が中国語と英語の2か国語で書かれていますので、中国語が読めなくとも、英語が読めれば、全文を読むことができます。中国語の記述が125ページ、英語での記述が160ページですから、非常に簡潔に書かれています。しかし、内容は豊かで鋭いもので、他の研究が指摘していないような点にも言及されています。

本書は、2008年9月の時点の報告ですが、その後の展開についても、ごく簡単にですが、p.2-4(英文篇ではp.2-5)にまとめてあります。

●林建軍主編『反対針対婦女歧視与暴力的跨学科研究(女性に対する差別と暴力に反対する学際的研究)』(中国社会科学出版社 2010年)ネット書店「書虫」のデータベースの中のこの本の書誌データ[購入ページ]

本書は論文集で、3つのテーマに分かれており、「家庭内暴力」というテーマの下に21篇の論文、「セクシュアルハラスメント」というテーマの下に5篇の論文、「大学院生フォーラム」に4篇の論文を収録しています。

とくに各論文の間につながりは見当たりませんし、出版の経緯についての説明なども書かれていませんので、どのような趣旨で出版されたのか、よくわかりません。

しかし、内容的には読みごたえのある論文が多い。たとえば、張艶霞「男性の女性パートナーに対する暴力:中国大陸と香港地区の現状・原因・関与――近年の関連する英文の研究の解説と評論」は、英語文献の研究案内として役立ちます。また、肖建国「民事保護命令の中国における実践」や劉明輝「企業における職場セクハラ防止メカニズム構築の試みと考察」は、新しいテーマについての研究です。孫曉梅「中国の女性に対する暴力的侵犯問題の立法手続き提出の問題の研究」は、全国人民代表大会などに出された、女性に対する暴力防止のための様々な提案を整理しています。金一虹 陳晴鈺「『女児に対する家庭内暴力に反対する』:宣伝・唱道における困難と困難の分析」は、女児は、男児よりも身体的暴力を受けることは少ないけれども、精神的暴力(無視・軽視・差別)を受けることは多いこと、しかし、それらは暴力として認知されにくいことを明らかにしています。田小梅「家庭内暴力事件に調停を適用すべきか否かの法律的思考」は、DV事件について調停をおこなうことの問題点を指摘し、もし調停をする場合に守るべき原則を提起しています。

●王向賢『親密関係中的暴力:以1015名大学生調査為例(親密な関係における暴力:1015名の大学生の調査を例にして)』(天津人民出版社 2009年)ネット書店「書虫」のデータベースの中のこの本の書誌データ[購入ページ]

本書は、2006年から2007年にかけておこなった、ある大学の大学生1015名に対するアンケート調査をもとにして、配偶者間の暴力、親子間の暴力、恋人間の暴力について分析しています。

●劉曉霞 王麗麗主編『反家庭暴力研究』(中国政法大学出版社 2012年) ネット書店「書虫」のデータベースの中のこの本の書誌データ[購入ページ]

本書は、甘粛政法学院民商経済法学院の論文集で、以下の5つのテーマの論文が収録されています。

一、法苑随筆(1篇)
二、調査研究と地方立法(2篇)
三、理論的探究(13篇)
四、比較研究(3篇)
五、関連研究(2篇)

しかし、全体として、一般論を述べた比較的短い論文が目立ち、私には、あまり面白くありませんでした。

ただし、張永来 解暉「甘粛農村家庭内暴力問題の調査と思考」は、いちおう地方の調査にもとづいた論文です。また、蒋為群「民事安全保護命令の保護を論ず――民事安全保護令の執行の視角から」は、民事保護命令という新しいテーマを扱っています。

以上、さまざまな書籍を紹介してきましたが、最近の中国のDVをめぐる研究と実践の発展がおわかりいただけると思います。

ただ、これらの研究からは、被害者(サバイバー)の主体性のようなものは、まだはっきりとは浮かび上がっていないように感じます。実際、たとえば、DVシェルターに関して、「シェルターを設置すべきか否か、シェルターにどのような機能が必要かという議論の中では、普通の女性、とくに被害女性の声はほとんど聞こえてこず、ましてシェルターの創建と管理には彼女たちは参与していない」(呂頻「婦女庇護」呂頻主編『中国反家庭暴力行動報告』p.52)ということが指摘されています。また、DV反対ネットワークのウェブサイトの今後の課題として、「公衆個人との相互作用のモデルを構築する」ことが挙げられ、「被害女性からのフィードバックに対しても、反応モデルを探究しなければならない」(卜衛「替代性媒介与大衆媒介的互動伝播――反対家庭暴力網站的個案研究(2000―2003)」卜衛・張祺主編『消除家庭暴力与媒介倡導:研究、見証与実踐』p.296)と述べられています。そうした点は、今後の課題なのでしょう。
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