2017-05

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中国、女性同性愛者の献血禁止を撤廃

中華人民共和国衛生部と中国国家標準化管理委員会が昨年12月に公布した「献血者健康検査要求(献血者健康检查要求[GB18467-2011])」(献血できる条件を定めた規定)が、今年7月1日から施行されました。

以前の規定は、「同性愛者」の献血を禁止していました(献血者健康检查要求[GB18467-2001]の4.5.3)。しかし、この7月1日から施行された新しい規定は、「同性愛者」という身分には言及せず、「男どうしで性行為をする(男男性行為)」者の献血だけを禁止しています(5.2.2)。したがって、新聞も報じているように、少なくとも「女性同性愛者は献血できる」(1)ようになったわけです。

女性の同性愛者とバイセクシュアルの組織のリーダーである嫻さん(ニックネーム)も、この決定を歓迎しています。嫻さんは「以前も同性愛者という身分を隠して献血することはできたけれども、それでも新しい政策は意義がある。それは、私たちの尊厳と献血の差別と関係している」と述べています(2)

以下、この件に関する、これまでの同性愛者の動きを振り返ってみます。

2008年

嫻さんは、2008年の四川大地震の時に、同性愛者は献血できないと知らされたとのことですが、2008年の「中国10大セクシュアル・マイノリティニュース」(ゲイサイト淡藍網による。以前ご紹介しました)の6番目も、この件を取り上げました。

6.四川大地震後、同性愛者の献血の話題がメディアの関心を集めた原文

5月12日、四川地区で大地震が起き、大量の負傷者への輸血が必要になったため、血液が不足した。同性愛者の献血が話題になり、同性愛者グループの内部でも多くの討論がなされ、若干のメディアの関心を引いた。

6月2日、インドの英字紙Daily News & Analysisの記事“No gay blood in quake aid”(2008/06/02)は、以下のように伝えた。中国のレズビアン雑誌《Les+》は、多くのレズビアンが献血をしようとしたのに、「同性愛者はエイズのハイリスクグループだ」という理由によって、珍しいタイプの血液の人さえも献血を拒否されたこと伝えた。北京のレズビアングループ「同語」は、性的指向を理由として献血を拒否する規定を改正するように訴えた。《Les+》は、レズビアンはけっして感染のハイリスクグループではなく、エイズウイルスやB型肝炎を含めて、ローリスクグループであることを指摘した。この問題に関してはネットで議論になり、同性愛者の献血禁止については賛否両論が出たが、ある人は「血液の安全を保証するには、厳格な血液検査がカギである。」「それなしに献血を禁止するのは、同性愛者に対する差別である」と述べた。



2009年

これも以前に本ブログでご紹介しましたが、2009年5月には、広西レズ聯合社(Guangxi Les Coalition)のレズビアンたちが、女性同性愛者の献血禁止に抗議する意味を込めて、集団で献血をしました(公然と「私たちはレズビアンだ」と名乗って献血したわけではなく、国際反ホモフォビア・トランスフォビア・デーのワッペンを付けたりして献血したということです。Mis S「5.17“無声的抗議──広西蕾絲聯合社拉拉集体献血”」[写真あり](2009年5月19日)、本ブログの記事「中国各地で反ホモフォビア・トランスフォビア・デーの活動」参照)。

2009年7月には、献血を拒否されたレズビアンのLi Yu(李玉?)さんが、差別をなくすことを求めるインターネット署名を募ったところ、少なくとも540名のレズビアンが署名したと報じられました(3)

2010年

彦暁さんのブログ「二人の男の勇気(两个男人的勇气)」が発表した「2010年中国10大同性愛ニュース」(ゲイサイト「淡藍網」にも転載。2010年中国十大同性恋新闻事件)の11番目には、男性同性愛者の献血問題が出てきます。

10+1.同性愛者が献血を拒否され、血液センターの差別を訴えた

6月6日、同性愛者の王梓政が北京西単図書ビルディングの献血スポットで献血しようとしたところ、「『献血法』の規定により、献血できない」と言われた。また、衛生部が出した「献血者健康診断基準」にも、「献血を受ける人の安全を保証するために、同性愛者には献血しないよう訴える」という一条がある(4)

4日後、32歳の王梓政は告訴状を持って海淀法院に行き、北京赤十字血液センターに対して、彼の献血を許可することと、彼の献血を拒否したことについて公に謝罪することを要求した。王は、単純に性的指向だけによって献血できるか否かを判断することは、非常に非科学的であって、自分は公民として、憲法と法律が賦与したすべての合法的な権利と義務を有していると考えた。

海淀法院は一カ月後、「上級の法院の指示を仰いだ結果、立件しないと決定した」と表明したけれども、この事件はそれでも私たちが銘記するに値する。同性愛の献血についての議論は、すでに長い間続いているが、同性愛者が公に法律的支持を求めたのは初めてであり、そのメルクマールとしての意義は忘れられるべきではない。


(関連記事:「中国の裁判所、ゲイ男性の献血訴訟を却下」みやきち日記2010年7月9日)。

今回、新しい「献血者健康検査要求」が出された具体的な背景はわかりませんが、以上のようなさまざまな同性愛者(とくにレズビアン)の動きも一つの要因ではないかと思います。

[追記] 本ブログの記事「女性同性愛者らの組織『同語』、新献血政策に対して見解――男性同性愛者に対する政策の問題点も指摘」も併せてご覧ください。

(1)献血者健康检查要求新国标将实施 7月1日起60周岁可献血」『城市晩報』2012年5月29日。『人民日報』の記事は、女性同性愛者には言及していませんが(「卫生部发布新规定:无偿献血年龄可延长至60岁」新華網2012年7月3日)、レズビアン系やLGBT系のサイトは、『城市晩報』の記事を、「女性同性愛者が献血できるようになった」という見出しを付けて転載しています(「【拉拉资讯】献血者检查新国标将实施 女同性恋者可献血」右域拉拉女同资讯2012年6月6日、「献血者健康检查要求新国标将实施 女同性恋者可献血」愛白網2012年6月6日)。また、ザ・タイムズ・オブ・インディア(世界最大の英字紙)やデイリー・ビースト(ニュースサイト)も、「中国がレズビアンが献血することを認めた」という見出しで報じています(次の注2および「China Allows Lesbian Blood Donors」The Daily Beast2012.7.6)。
(2)China permits lesbians to donate bloodThe Times of India,2012.7.3→中国語訳付き「中国允许女同性恋献血」三泰虎2012年7月3日。
(3)Lesbian donors take action over being shunned”By Shan Juan (China Daily)2009-07-28→(中国語訳)「禁止女同性恋者献血规定亟待修改」中国日報網2009年7月28日。そのほか、China Dailyの記事をもとにした記事として、「中国で女性同性愛者が抗議活動―『法により献血禁止』」サーチナ2009年7月28日、「中国のレズビアンたちが請願、『わたしたちにも献血させて』」AFP2009年7月29日。
(4)1997年に公布され、1998年に施行された「中華人民共和国献血法(中华人民共和国献血法)」自体は、献血者には健康検査をする必要があると述べているだけですが、同時に施行された「献血者健康検査基準(献血者健康检查标准)」の六の18が同性愛者の献血を禁じていました。

※この件については、「中国の女性同性愛者献血差別について(作成中)」(RyOTAの日記 2009年8月3日)もご参照ください。日本でも1990年代まであった女性同性愛者献血差別や、世界の男性同性愛者の献血(差別)についての規定もまとめてあります。
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