2017-08

[日本]「館長雇止め・バックラッシュ裁判」についての私の投書が『世界』に掲載

岩波書店の『世界』2011年4月号の「読者談話室」に、「館長雇止め・バックラッシュ裁判」を取り上げた私の投書が掲載されました(18-19頁)。内容は以下のとおりです(タイトルは、編集者が付けたものです)。


女性運動の意義を改めて考える

        遠山日出也

本誌が「ジェンダーフリーって何?」という特集を組んで、男女共同参画に対するバックラッシュ(逆流)を取り上げたのは2005年4月号だったが、その前年の12月に、三井マリ子さんが「館長雇止め・バックラッシュ裁判」を提訴した。

三井さんは、2000年、大阪府豊中市の男女共同参画推進センター「すてっぷ」の初代館長(非常勤)になり、北欧から要人を呼ぶなど数々の独創的企画をおこなって大きな成果をあげた。

しかし、そうした三井さんが目ざわりだった「日本会議」などのバックラッシュ勢力が豊中市やセンターに圧力をかけたため、豊中市は非常勤館長職を廃止して館長を常勤化する「組織変更」を三井さんに知らせずにすすめ、2004年、彼女を雇止めした。

三井さんは雇止めを不当として、豊中市を提訴したが、一審は原告敗訴だった。しかし昨年3月、大阪高裁は三井さん逆転勝訴の判決を下し、慰謝料など150万円の支払いを命じた。そして本年1月20日、最高裁は豊中市の上告を棄却し、三井さんの勝訴が確定した。

大阪高裁判決は、豊中市幹部らが「一部勢力の動きに屈し」て、「中立的であるべき公務員の立場を超え、三井さんに説明のないままに常勤館長職体制への移行に向けて動いた」ことや、後任館長候補には「三井さんには続投の意思はない」とウソをついて就任を受諾させたことについて、「現館長の地位にある三井さんの人格を侮辱した」ものであり、「人格的利益を侵害する不法行為」だと指摘した。

また、判決は、三井さんの「雇用契約が年単位だからといって、常勤館長職制度への移行や次期館長について何らの説明、相談を受けなかったことは、現館長の職にある者としての人格権を侵害する」とも述べた。

三井さんがこの裁判をした理由は、自らの雇止めの背景に、女性の人権を脅かすバックラッシュや女性が多数を占める非正規雇用の問題があることだった。私もこの裁判を傍聴してきたが、傍聴者の9割以上は女性であり、この判決は女性運動によって勝ち取られたといえる。

けれど、今回の判決は、女性にだけ関係があるのではない。豊中市に圧力をかけたのは、日本会議系の議員や活動家だったが、日本会議は憲法改悪を推進しており、活動家の中には「在日特権を許さない市民の会」の関西支部長もいた。今回の判決は、そうした勢力に行政が屈することを断罪したのである。

また、現在、非正規雇用は男性にも大きく広がっているが、そこでは、契約期間が終わったというだけで、説明や相談なしに雇止めがなされている。今回の判決は、こうした状況に歯止めをかける足掛かりにもなる。

すなわち、この裁判は、男性の人権や生活をも脅かしている国家主義や新自由主義に対抗する上でも、女性運動やジェンダーの視点には意義があることを示したと思う。

(草津市・50歳・非正規労働者)
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