2017-05

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各地のセクシュアル・マイノリティのサイト(3)──バイセクシュアル

 今回はバイセクシュアルのサイトを見てみたいのですが、中国大陸には、まだはっきりしたバイセクシュアルの組織はありません。

台湾の「Bi the Way」

 台湾では、2007年6月、「Bi the Way」というバイセクシュアルの組織(ブログfacebook)が設立されました。Bi the Wayは、設立の際に、次のような「創社宣言」と「設立の背景」、「歓迎宣言」を発表しています(以下の翻訳は、あまり良くないと思いますが)。

 創社宣言

 双性恋(bisexual)は、昔から黙々と存在している。男性も、女性も、トランスや無性でさえ、私たちが気に入り、恋をする範囲である。なぜなら、私たちは、流動的な情欲は、セクシュアリティやジェンダーの区分ではなく、精神や肉体の美に忠実だと信ずるからである。

 ここに、私たちは、二重のクローゼットの抑圧・誤解と無視とを打ち破って、誇り高く姿を現す。「異なっていなければ同じである」という二元的社会の中に、暖かく多元的な私たちのグループを建設する。同時に、私たちは、勇敢に自分の可能性を探索する訪問客たちを歓迎し、招待する。人はみな、潜在的な、唯一無二のバイセクシュアルな主体である(かもしれない)から!(1)

 設立の背景

 2003年の台湾の『セクシュアルマイノリティ認識ハンドブック』[認識同志手冊。台北市政府民政局が出版。台湾同志諮詢熱線協会が請け負った]は、初めて「バイセクシュアル」というテーマを増設した。しかし、今に至るまで、BSSのPTTと5466バイセクシュアル版を除いて、私たちが身を寄せられる、バイセクシュアルが主になったグループはほとんど見つからない。

 ちょうど従来、異性愛者たちに同性愛がどうしても見えなかったのと同様に、モノセクシュアルたち(同/異性愛)には、バイセクシュアルが見えない。たとえ見えても、常に誤解に満ちたまなざしで見る。そこでは、私たちは「愛人に浮気をする、度を越した情の者、二元的な性的指向の間の曖昧で過渡的な者、はなはだしきは、『正常』な道を選択できるのに裏切った日和見派」になるのだ! こうしたレッテルと、くわえて同性の愛が受ける社会的圧力とによって、バイセクシュアルは「二重のクローゼット」の中に置かれ、多くの人に自分の真実の存在を隠し、歪曲せざるをえなっている。

 幸い、国内のセクシュアリティ/ジェンダーの差別撤廃運動が盛んになり、バイセクシュアルの存在を正視し理解する人がだんだん増え始めた。この数年、私たちは歩調を合わせ、力を吸収し、グループを拡大してきた。2007年初め、数回、バイセクシュアルのネットユーザーがみんなの力と共通認識を集めて、このバイセクシュアルの社会団体を正式に設立することを決定した(2)

 歓迎宣言(共同発起人・陳洛葳)

 私たちはBi/双/擺/拜である。どのようにあなたが命名しても、私たちはここにいる。

 いにしえより、何の名称も付けられないうちから、あなたに私たちの存在が見えるか否かにかかわらず、私たちはずっと生活してきており、愛欲してきている。しかし、私たちは、もう、否定され、汚名を着せられ、分析され、定義され、あるいは、もっとひどいことに、無視されることに飽き飽きしている。私たちは、この「黒でなければ白である」世界において、一方を選び、異性愛か同性愛に区分されることを拒絶する。

 私たちの情欲は、超越した、流動的なものであり、性別主義の枠組みに制限されない。しかし、このことは、私たちが困惑し混ぜこぜになっていて、何が自分に必要なのかわからないとか、何もかもが欲しいということを意味しないし、必ず同時に両性とつきあわなければ満足できないことも意味しない。私たちは、けっして世界には2つの性別しかないとは思わない。私たちの情欲が、超越した流動的なものであることと、浮気性や乱交とはけっして同じでない。実際は、性的指向・性自認と個人の行為とは、けっして直接の関連はないのだ。

 あなたは、ここで、「一つの種類の」バイセクシュアルの「正しい」姿を見つけられると期待してはならない。なぜならバイセクシュアルには幾千幾万の種類があるからだ。あなたはここで「一つの種類の」バイセクシュアルのはっきりした定義を見つけられると期待してはならない。なぜなら、一人一人のバイセクシュアルには独特の個性があり、自らの独自性によって自己を定義するからだ。

 バイセクシュアルの情欲は、私たちの生命力のまったき現れである。私たちは、真実の情欲の真相が消し去られ、沈黙させられることを拒絶する。いまこそ声を上げるときだ! 私たちはモノセクシュアルな者に別の可能性を見ることを要求する。その可能性が私たちの身に発生したのだ。

 私たちは門を開き、クローゼットを歩み出て、大きく口を開けて呼吸する。その時の愛欲が直流か交流かにかかわらず。
 私たちは心を開き、自らのリズムを抱きしめ、各種の可能性が訪れるのを迎え入れる。

 Bi the Way, By my Side!!!
 私たちは、あらゆるモノセクシュアルでない情欲の主体がここに来て、私たちに加わることを歓迎し、迎え入れる。(3)

 設立後の活動

 ブログを見ると、「Bi the Way」は、設立後は、以下のような活動をしているようです。
 ・バイセクシュアルの困難についての討論会
 ・バイセクシュアルについての読書会(Loraine Hutchins, Lani Kaahumanu(ed) Bi any other name: bisexual people speak outの翻訳(陳錦華訳)である『另一個衣櫃:雙性戀者的生命故事與認同』[周商出版、2007年]など)。
 ・雑誌の作成(2008.10創刊號:看見台灣雙性戀!
 ・さまざまなセクシュアルマイノリティの団体のイベント(集会、パレードなど)に参加、講演。

 また、「Bi the Way」は、昨年11月、広西の桂林でおこなわれた華人レズビアン連盟のキャンプでも報告をおこない、中国からの参加者にも刺激を与えました(4)。今年1月には、レズビアングループの上海女愛が、Bi the Wayの人を上海に招いて、集いをしました(5)

 「Bi the Way」のメンバーの男女の別はわかりませんが、「数人の女の子が発起した」という記述もありますし(6)、上の「歓迎宣言」を書いた陳洛葳さんは、写真で見るかぎり、女性です(彼女のブログ:焦糖貓の旅行故事書)。また、陳さんのブログに掲載されているワークショップの写真(【雙性情欲工作坊】影像紀錄)を見ても、皆さん女性のようですし、レズビアンキャンプにも行っているのですから、「Bi the Way」は、少なくとも女性が主体なのだろうと思います。

中国大陸のバイセクシュアルの活動

 中国大陸にもバイセクシュアルの人々は当然たくさんいて、困難な状況に置かれています。レズビアンサイトの「深秋小屋女性文化芸術網点」のサイト長のdongdongさんによると、サイトの会員にはバイセクシュアルの女性も少なくないが、「バイセクシュアルは、しばしば周囲の理解を得られません。バイセクシュアルと言うと、周囲の人は往々にして、3P、乱交、エイズ、『陰陽人』を連想します」ということです(7)

 1999年の『天空』にもバイセクシュアルの主張

 もちろん中国大陸でも、バイセクシュアルの人が声をあげていないわけではありません。

 たとえば、初のレズビアン雑誌『天空』の第2期(1999年)にも、「バイセクシュアルフォーラム」として、「バイセクシュアル──パートナーの選択に女か男かの区別をしない」という文章が掲載されています。

 その文は、「人には自分の性自認を選択する権利がなければならず、性別を、社会の論述の唯一あるいは最も重要な基礎として絶対化する理由はない。自分を引きつけるのがある人の性別ではなく、その人の気質や内面である以上、なぜ性別によって自分とパートナーとの関係を確定しなければならないのか?」と述べており、台湾の「Bi the Way」などの主張と同じです。

 初のバイセクシュアルサイト「愛無界」が開設予定

 また、「博性芸術サロン」が、もうすぐ中国大陸初のバイセクシュアルサイト、「愛無界」(http://www.aiwujie.com)を開設するそうで、現在、内部で試験中だとのことです。

 「愛無界」は、昨年10月8日、初のバイセクシュアル相談ホットライン(火、木、土の午後9─11時)も開設しました。これも、現在は試験段階だそうで、少なくともインターネット上ではまだ話題になっていません。

 ただし、QQ群は活発なようで、以上の情報もQQ群のページ(爱无界-中国首个双性恋网站/双性恋交友/双性恋聊天室/双性恋论坛正在测试中!)に書かれているものです。

 「愛無界」を開設する「博性芸術サロン」というのは、2005年、何転強さん(男性)が創設した「性の多元的美学、芸術」を主題にしたサロンです。このサロンは、「男・女・無・同・異・双」などの多元的な性別・性行為に分類したサロンを下に持ち、不定期的に、そうした各分類のサロンの各種形式の芸術活動を(展覧、サロン、パーティー、講座など)をし、また芸術界・性学界の有名な人を招く」(博性艺术沙龙)というものだそうです。

 「博性」という言葉は、私は耳にしたことがないのですが、「博愛」の「博」ですから、特定の性にこだわらないという意味合いなのでしょう。しかし、サロンのサイト(http://www.bosexart.com/)は不通であり、サロンの掲示板( 【博性艺术沙龙】)を見ても、活動の実態がいま一つよくわかりません。

 「無界限小組」――北京LGBTセンターのバイセクシュアル、トランスジェンダーなどのグループだが……

 より活動実態がはっきりしたものとしては、バイセクシュアルだけのグループではありませんが、2009年3月から、北京LGBTセンターでおこなわれた「無界限小組(Beyond Boundaries Support Group)」の活動があります。このグループの趣旨は、「バイセクシュアル、トランスジェンダー、クィア、またはラベルを貼れないあなたに、生活と感情を分かち合う場を提供する」というものです。

 「無界限小組」の呼びかけの文には、以下のようにあります。

 「あなたは、自分の性的指向が確定していないために、ストレート(異性愛者)や同志(同性愛者など、セクマイ全体を指す)に自分の感情を言えないことはありませんか?
 公衆トイレ・浴場はあなたの死地になっていませんか? あなたの身体はあなたの不倶戴天の敵になってありせんか? 欲望を言えないことが、あなたの死穴[致命的弱点]になっていませんか?
 あなたは現在日を追って大きくなる同志グループの中で、自分と共通の言葉を持つ人を見つけられないと感じていませんか?」(8)

 発起人は、Evaさんと小黒狼さんです。Evaさんは、一度は、自分をレズビアンだと思ったが、その後、しっくり来ないと思うようになった人です。小黒狼さんは、女性として生まれたトランスセクシュアルの人です。

 このグループは、昨年3回集まり、のべ50人が参加しました(9)。ただし、活動内容は、3回ともトランスジェンダーがテーマでした(10)

 電話相談の中で、バイセクシュアルの人々にエンパワメント

 レズビアン向けのホットライン上海智行基金会拉拉熱線で相談員をしている織顔kittyさんはバイセクシュアルです。彼女によると、このホットラインでも、10本の電話のうち、1、2本はバイセクシュアルに関する悩みだということです。

 織顔kittyさんは、バイセクシュアルの人に対して、「おめでとう、決して悩む必要はないですよ。あなたは、選択の範囲が人の二倍あるのですから。異性愛は性別の半分しか選べませんが、現在、あなたの目の前には、すべての世界があるのです。なんと幸福なことではありませんか」と言って、励まします。

 また、かかってる電話の中には、「今は女の子が好きだけど、もしまた気に入った男の子が現れたら、どうすべきでしょうか?」という電話もあります。そうした電話に対して、織顔kittyさんは、「多くの物事は、焦れば焦るほど、わからなくなります。あなたの好きな人が現れてから考えればいいのです。一人の好きな人に出会ったら、それが男であっても女であっても、彼が好きなのです。それが答えです」と言います(11)

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 以上から見ると、中国大陸には、まだバイセクシュアルのグループは、はっきり目に見える形では現れていないと言えるように思います。上で挙げたdongdongさんは、「トランスジェンダーの人々がすでに人々に重視されている時でさえも、バイセクシュアルはまだ水面に浮上するのは難しい」と述べています(12)。そうなのかもしれません。

 ただし、それでも、さまざまな形で、単なる「同性/異性愛者」でないバイセクシュアルの人々の活動の芽が生じているようです。また、「Bi the Way」の宣言も、「愛無界」「無界限」というネーミングも、バイセクシュアルが男や女という性別の違いを越えた愛であるというメッセージを発しているところは共通しているように思います。

 ※日本では、ひびのまことさんが以前からバイセクシュアルについて問題提起をしておられます(特集「バイセクシュアル」

(1)Bi the Way‧拜坊―成立宣言 2007.6
(2)同上。
(3)Bi the Way‧拜坊―歓迎宣言 2007.6
(4)09拉拉营行思之(二):彩虹色,多元的思考模式」中山大学性别教育论坛2010年4月12日。
(5)【分享沙龙】认识双性恋 @拜坊.Bi the Way
(6)探访双性恋 你是那46%吗?」『上海壹周』2009年4月7日。
(7)同上。
(8)【提前预告】3月28日无界限小组NO、1——TransAmerica」北京同志中心的博客
(9)北京同志中心2009年年度报告(上)」北京同志中心的博客(2010-02-10)
(10)それぞれの会の内容は、以下のとおりです
・第1回(3月28日):トランスアメリカ(映画「トランスアメリカ」を観賞した後に、討論)。
・第2回(4月26日):ホモフォビアだけでなく、トランスフォビアにも反対しなければならない!
・第3回(5月23日):映画「ビューティフルボクサー」の観賞と趙剛さん(トランス中国)との交流
(11)(6)に同じ。
(12)同上。
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