2017-09

各地のセクシュアル・マイノリティのサイト(2)──レズビアンの近年の運動史と現在のサイト

 レズビアンサイトに関しても、現在のサイトの状況を見る前に、近年の運動の歴史をまとめてみました。

一 近年のレズビアンの運動の歴史

 ※「女同志」という言葉は、「レズビアン」だけでなく、「女性のバイセクシュアル」「女性のトランスジェンダー」を含めて指している場合もありますが、以下では、便宜的に「レズビアン」と訳した場合が多いことをお断りします。

活動の始まり

 中国では1990年代初めから、同性愛を研究した書籍や雑誌が刊行され始めましたが(李銀河・王小波『他們的世界──中国男同性恋群落透視』、方剛『同性恋在中国』、張北川の『朋友通訊』など)、何人かのレズビアンは、その著者に手紙を書いて、他のレズビアンを紹介してくれるように頼みました。そうして彼女たちは、手紙をやり取り合うグループを作りました。この文通グループは、陽陽さんという人がまとめ役をつとめ、メンバーは、全国各地のレズビアン3~40人に発展しました。このメンバーたちは、のちの第1回全国レズビアン大会の主な代表になりました(1)

 また、1995年夏、北京では同性愛者が活動する場が出現し、呉春生さん(男、中国人)とスージーさん(女、イギリス人)が共同で、毎週水曜日、バーで集いをしていました。彼らは毎回、知り合ったすべての男女の同性愛者にその集いのことを知らせましたが、集いに来る人の大多数は男性で、毎回来ていた女性は2、3人にすぎませんでした。というのも、女性の同性愛者は、情報を得るルートが少ないうえに、バーの文化やタバコ・酒の場には慣れていなかったからです。

 ですから、レズビアンどうしの集まりは、最初は、個人的で小さなものでした。すなわち、数人で家で食事をしたり、ダンスをしたり、食事に出かけたり、ダンスを踊りに行ったりするものでした。初めはスージーのアパートでやっており、スージーが活動を組織していましたが、彼女がアパートを出て学生の宿舎に住むようになると、そこにキリスト教徒がいて同性愛に反対していたので、中国人の家でやるようになり、活動の組織も中国人がするようになりました。

 活動に参加する人数はしだいに増え、活動も定期的になるとともに、さまざまな問題に関する討論(テーマは、性関係、映画、結婚の圧力など。ゲイと一緒に討論することもあった)もやるようになりました。組織に名前をつけなければということで、「女同志」という名前に決めました(2)

 なお、1997年、アメリカでも、中国からの留学生や移民のレズビアンらが、Lavender Phoenix―Networking of Lesbians and Bisexual Women from Mainland China(紫鳳凰)という団体を設立しました。

1998年10月 第1回全国レズビアン大会

 前回の記事で述べた1998年8月の北京の大覚寺での全国男女同性愛者大会にも、全体の参加者30数人のうちの10人足らずでしたが、レズビアンも参加しました(3)。大会が終わった後、何小培さんは、よその土地から北京に来ていた3、4人を家に招いて食事やおしゃべりをしましたが、まだ話し足りないことがたくさんありました。また、地方から来ていた人は、帰ったら自分の回りには他のレズビアンがいなくて独りぼっちだと嘆きましたので、何小培さんや陽陽さんたちの文通グループが話し合って、女性の同性愛者大会をすることに決めました。地方から出てくる女性のために募金活動もしました(4)

 1998年10月2日と3日、第1回全国レズビアン[女同志]大会が、北京市海淀区のバーの地下室で開催されました。全国各地から、30人あまり(40人あまりとする記録もある)が北京に集い、2日間、各種の討論や講座をおこないました。討論の内容は、以下のようなものでした。
 1)全国的なレズビアンのネットワークを設立する。
 2)全国的なレズビアンの内部の通信を計画する。
 3)レズビアンの経験を分かち合う書籍を共同で編集する。
 4)レズビアンの家族、仕事、婚姻の圧力などを探究する。(5)

1998年末~2001年5月 北京姐妹小組の活動

 レズビアン大会を受けて、1998年の年末、北京姐妹小組というグループが設立されました。小組のメンバーは10人を越えるものではありませんでしたが、事務室を持ち、毎月、1~2回討論会を開催しました(6)

 レズビアンホットライン開設

 北京姐妹小組は、中国大陸初のレズビアンホットラインを開設しました。このホットラインについては、すでに大会の前の9月28日付の『桃紅満天下』に告知が出ており(7)、早くから始めたようです。いったん中断しますが、2000年3月14日付の同誌に、別の電話番号で再開の告知が出ており、それによると、毎週火曜日午後7─10時には当番がいるとなっています(8)

 『天空』創刊

 北京姐妹小組は、また、1999年3月、『天空』というレズビアン誌を創刊しました(4期まで刊行。1期2期は、ネットで読める)。

 創刊号の『発刊のことば』は、「自由な大空、私たちの夢[自由的天空,我們的夢想]」と題されており、以下のように述べています。

 「この異性愛が主流である社会文化の中で、同性愛者の地位はずっと周縁に置かれていた。(……)同性愛者の感情も、分かち合うことはできず、秘密にされていた。
 喜ばしいことに、社会の進歩、情報の発展によって、さらに同志の活動家の懸命の努力によって、同性愛者は、外の世界の目に入るようになった。『あたかも存在しない』状態から『人に発見される』までの過程は、とても長く苦しいものだった。けれど、その中で、私たちは、女の同志自身の声と叫びを聞いたことはずっとなかった。たしかに現在のこの社会状況では、私たちには自己を表現する場がなく、ましてや完全に自己を表現することはできない。
 私たち女の同志自身の内部通信を出すことは、私たちの長い間の共通の夢であった。私たち自身の女の同志のために、全く新しい、平和で、安全な空間を創造すること、私たち自身の言葉・自分の経験によって、私たち自身のすべてを軽々と自由に示すことは希望であった。」

 第1回レズビアン文化芸術祭、警察に中止させられる

 北京姐妹小組は、フォード財団の資金援助も得て、2001年5月1日─4日「第1回レズビアン[女同志]文化芸術祭」を北京で開催する計画を立て、以下の内容でおこなう通知を出しました。

 5月1─3日 レズビアンがテーマの座談・研究討論会
 5月1─3日 レズビアンがテーマの映画コンクール
 5月4日午後 ファッションショー(北京在住のレズビアンで関心のある者は参加を申し込むことができる)
 5月4日午後 集団結婚式(双方が1年以上共同生活している者は参加を申し込むことができる)
 5月4日午後 文芸の夕べ(出演したい者は、あらかじめ出し物の内容と時間の長さを明記した上で申し込む)
 5月4日夜 懇親の夕べ(9)

 けれども、直前に警察の取り締まりにあい、中止させられました(10)。その原因として「事前の宣伝が多すぎ、人目を引き過ぎた」からだとも言われていますが(11)、「この失敗がレズビアンの運動に与えた打撃は大きく、この後数年、首都圏内には、レズビアンの運動はほとんど見られなかった」とのことです(12)

 以上、レズビアンの活動は自然発生的な形で始まり、しだいに発展してきたが、大きく展開しようとした段階で当局につぶされたと言えそうです。2001年の段階では、公然とこうしたイベントをおこなうのは無理だったようです(13)

レズビアンサイトの登場

 一方、インターネットとともに、レズビアンサイトが登場してきました。私が見たかぎり、現存しているサイトのうちで最も古いのは、1999年に設立された「拉拉倶楽部」です。さまざまなサイトが設立され、たとえば、「女人香」(2002年3月開設)は、有料会員を募り、投票により運営に当たる人を選んでおり、討論のコーナーや心理相談コーナーもあります。

 とくに、2002年1月1日上海で開設されたレズビアンサイト「花開的地方」は、ネットラジオ(花開電台)を開設したり、ネット誌(花開網刊。2004年~)を刊行するなど、2007年1月1日に閉鎖されるまで多様な活動をすすめました(→本ブログの記事「レズビアンサイト『花開的地方』閉鎖」)。

2004年・2005年、「北京レズビアンサロン」・「同語」設立

 2001年以後も、北京でもバーでは緩やかな集まりは開催されていましたが、2004年11月、そうした集会のメンバーがもとになって、「北京レズビアンサロン」が設立されました。「北京レズビアンサロン」は、毎週、レズビアンをめぐるさまざまな問題を話し合い、ホットラインも開設しています(北京拉拉沙龙简介)。

 2005年1月には、「同語」が結成され、女性の同性愛者・バイセクシュアル・トランスジェンダーのためにさまざまな活動を開始しました(关于同语)。「同語」は、ホットラインを開設しただけでなく、調査研究や出版もしています。たとえば、同年11月には、中国大陸では全く研究されてこなかった、レズビアンの健康問題について北京で調査をおこない、報告書(「北京地区女同性恋者健康调查报告(PDF)」)を出しました(14)。2007年からは、女性の同性愛者やバイセクシュアルに対するDV調査プロジェクトをおこない、2009年に『家庭暴力知多少 給拉拉的対策建議』(PDF)を刊行しました(本ブログの記事「女性の同性愛者やバイセクシュアルに対するDV調査プロジェクトはじまる」「レズビアンのための反DVハンドブック刊行」参照)。

 2005年6月 大陸レズビアンコミュニティ活動研究討論会

 同語は、2005年6月24─26日、大陸レズビアンコミュニティ活動研究討論会を北京で開催しました。1998年の大会以来の全国的な会議です。この会議は、北京愛知行健康教育研究所、レヴィ・ストロース財団、Astraea Lesbian Foundation for Justice、オランダのMama Cashのサポートを得ました(なお、Astraea Lesbian Foundation for JusticeやMamacashのサイトは、「Common Language」[同語]を詳しく紹介しています→Astraea Lesbian FoundationMamacash)。

 この会議には、15の地区から、18の組織の41人が参加しました。参加したのは、各地のレズビアングループ、レズビアンサイト、学術機構の代表などです。

 会議の主題は「分かち合い、助け合い、発展、多元」で、会議では「レズビアンコミュニティ活動の経験を交流し、困難と対策を討論し、民間草の根組織とレズビアンの健康の研修を進め、また、各地のレズビアンコミュニティと活動の発展を期して、広範な連携と協力のネットワークを打ち立てた」といいます(15)

その後

 その後の動きについては、このブログでもお伝えしてきました。

 ・2005年12月、レズビアン雑誌『Les+』(新ブログ旧ブログ)が創刊されました。創刊の趣旨は、「まわりにはレズビアンの刊行物はなく、レズビアンサイトは繁盛しているけれども、はっきりした声がどうしても欠けているという状況の下、私たちは『Les+』を創刊した。その目的は同性愛者自身を含む人々にもっと多くの声を聞かせ、同性愛者たちの明るく自信のある生活を見せることである」(「关于les+的一切」2007-04-10)とのことです。

 ・2007年7月13日―16日、北京の同語台湾性別人権協会香港女同盟会、ニューヨークの華人性別人権協会(Institute for Tongzhi Studies)Qwave、シカゴのLavender Phoenix(紫鳳凰)が、レズビアン運動の経験交流と指導能力の訓練のために、第1回華人多地域レズビアンオルガナイザー・トレーニングキャンプを開催しました。その後も、毎年、4日間、同様の催しがおこなわれています。2008年のキャンプの最後には、華人レズビアン連盟が設立され、昨年のキャンプは、同連盟が主催しておこないました。

二 現在のレズビアンの組織とサイト

 以下では、サイトを持っている団体を中心に、現在のレズビアンの諸団体を見てみます。

1 LGBT団体の中のレズビアングループ

 レズビアン団体の一つの形として、ゲイなどとも一緒にやっている団体の中で、レズビアンのグループを設立している場合があります。

 LGBTの権利保護を目的としているような比較的大きな団体の場合は、レズビアンのためのグループやホットラインも設置する場合が多いようです。たとえば、2008年に設立された北京LGBTセンターは、さまざまな活動の中でよく女性の同性愛をテーマに取り上げており、レズビアンによるグループ活動も常におこなわれています。たとえば昨年は、「拉拉扯扯(レズビアンのおしゃべり)」という会を17回開催して、DVや親密な関係、文化、ジェンダーなどのテーマで話し合い、のべ500人が参加しました(16)。LGBTのための総合的な活動をしている愛白文化教育センターは、2005年、初のコミュニティ活動センターである「愛白成都青年LGBT活動センター」を設立しましたが、このセンターにもレズビアングループがあり、レズビアン相談ホットラインやレズビアンサロン(交流・議論)をやっています(拉拉小组)。

 また、より地方的な、元来はエイズ防止を目的としているような組織においても、下のように、後日その中にレズビアングループが設立されている場合もあります。こうしたグループも、ホットラインを開設したり、サロンで交流や討論をしたりしています。
 ・鞍山同志コミュニティ(2002年設立)―鞍山同志コミュニティレズビアン工作組(2007年2月設立)(「北京拉拉沙龍」サイトでの紹介
 ・智行基金会(上海での熱線開設は2006年5月)―上海智行基金会レズビアンホットライン(2006年11月開設)(ブログ
 ・広州「同城」コミュニティ(2006年9月設立)―コミュニティ活動センターレズビアン小組(ブログのレズビアンカテゴリー
 ・雲南ゲイ健康相談ホットライン(2002年8月開設)―雲南レズビアン健康相談ホットライン(2003年6月開設)(「同語」サイトでの紹介文
 ・貴州黔縁工作組(2005年設立)―貴州黔縁LES工作組(2007年1月設立)(「同語」サイトでの紹介文

 たとえば、広州「同城」コミュニティの、コミュニティ活動センターレズビアングループは、以下のようなさまざまなテーマを語り合う会をしています。
 「なぜどうしても恋愛をしなければならないのか?」
 「あなたのレーダーを鍛えよ」(誰が自分の恋人になるレズビアンかを見分ける話)
 「LESの影響力」
 「女になることの辛酸」
 「TT[男性的なレズビアン]の成長史」
 「私たちには子どもが必要か?」

 また、曹晋・曹茂両氏は、上の「雲南レズビアン健康相談ホットライン」を取り上げた研究をしているのですが(17)、その中で、両氏は、「1998年以後、商業化したレズバーが繁盛し、国際基金の資金援助プロジェクトに資金援助されたレズビアン活動も日を追って盛んになったけれども、資源は主に北京・上海などの大都市に集中しており、多くのレズビアン組織は経費・政策の持続的なサポートがない」という状況を指摘しています。

 雲南省昆明市という辺境の地に設置された「雲南レズビアン健康相談ホットライン」は、雲南省中英性病エイズ防止協力プロジェクトの一つの事業として設置されましたが、当初のプランの中にはレズビアンホットラインを設立する考えはなかったとのことです。「『雲南レズビアン健康相談ホットライン』は、レズビアンのボランティアが積極的に実現を目指して努力したことによってはじめて、プロジェクトの事務局が同意し、最終的に開設できたのである。それは、プロジェクトの第二領域──『ハイリスクグループの性病・エイズの予防と治療』の中の第三部分『MSM関与』活動の中の一つのきわめて小さな活動であり、レズビアンホットラインは、相談時間もゲイホットラインの相談時間よりも少ない」。

 しかし、「雲南レズビアン健康ホットライン」は中英プロジェクトの執行期間が終わった後も、「調和社会」(そのための格差是正)のために、という趣旨で、雲南省健教所・雲南省政府の同意を得て、サービスを継続したそうです。

 両氏は、レズビアンを軽視する「同性愛の公共政策内部の父権的な態度」を批判しつつも、「国際的および国家の資源が提供した『政治的機会』を借りることは(……)レズビアンが公共政策の配慮と社会運動を推進する有効な戦略であることは失っていない」と述べて、レズビアンのボランティアたちの努力を評価しています。

2 レズビアン団体

 もちろん独立したレズビアンの団体もあります。こうした団体は、「レズビアンの仕事に集中しており、ゲイが主体の組織・機構に付属したものではない」(広州同心工作小組)(18)ことに一つの意義を見出している場合もあります。ブログなどを持っている団体は、大都市部にある場合がほとんどです。

 ・天津馨心サロン(2009年1月設立)(ブログ「同語」サイトでの紹介文
 ・上海女愛(2005年6月設立)(豆瓣「同語」サイトでの紹介文「同語」サイトでの紹介文
 ・広州同心工作小組(2007年7月設立)(ブログ「同語」サイトでの紹介文
 ・広西蕾絲聯合社(Guangxi Les Coalition)(2007年8月設立)(サイト「同語」サイトでの紹介文
 ・成都LES愛心工作小組(2005年5月設立)(サイト「同語」サイトでの紹介文
 ・同話舎―女性自助工作坊(2007年6月、電話相談などをしていた「雲南女同志願工作組」が改称)(サイト「同語」サイトでの紹介文
 ・西安Relax同学社(2010年1月設立)(ブログ「同語」サイトでの紹介文

 設立時期を見ると、現在ウェブサイトがある(かつ活動がウェブ上だけではない)上のような団体を見るかぎり、2005年ごろ以降、つまり割合最近、設立されています。それには、以下のような事情があると考えらます。
 (1)前回述べたように、2003年頃から中国疾病予防対策センター(CDC)がMSMに対するエイズ防止の宣伝・教育のために各地で工作組の設立を促進したけれども、レズビアンの団体に関してはそうしたことは起きなかった。
 (2)首都圏の場合、2001年の第1回レズビアン文化芸術祭失敗による打撃から回復するには、2004、5年まで待たなければならなかった。
 (3)2007年以降毎年おこなわれている全国レズビアンキャンプが刺激になっている場合もある。たとえば、広州同心工作小組は、2007年7月の全国レズビアンキャンプの最終日に結成された(19)

 多くの団体がホットラインを設けていることも特徴です。レズビアン向けのホットラインは、2009年7月の時点で全国に14本あります(香港を除く、中国女同热线一览)。週1回、数時間程度のものが多いとはいえ、同志ホットラインが20本程度である(全国各地同志热线)のに比べて、それほど少ないとは言えません。何小培さんは、レズビアンは、ゲイに比べてバーなどには行きにくいので、特にレズビアンにとってホットラインは重要だと述べています(20)

 電話での相談の内容はさまざまで、「私はレズビアンではないか心配だ」「ガールフレンドが私を捨てた」「ネット友だちに恋をしたが、私が女だと知ると、逃げた」「父母がまた私にお見合いをさせようとしているが、どうしたらいいか」(上海智行ホットラインの場合)などありますが(21)、「雲南レズビアン健康相談ホットライン」の統計では、以下の内容が多いそうです。
 ・感情・心理:28.83%(家庭の圧力、カミングアウトするか否か、同性愛者であることがばれないか心配、形式的家庭を作る[=ゲイとレズビアンが結婚すること]、いかにして長い間同性の関係を持続させるか)
 ・交友:28.10%(レズビアンの集まって活動している地点の相談、どのようにガールフレンドを見つけるか)(22)
 2005年の同語による「北京地区女同性恋者健康調査報告」でも、レズビアンにとっての圧力として、「婚姻」(父母から見合いや結婚を迫られる、結婚後のパートナーに対する義務)という答えが最も多かったのですが(23)、やはりレズビアンの人々にとっては、婚姻に関することが大きな圧力になっているようです。

 また、当然交友や出会いを求める要求も多いので、各団体とも、懇親の場を作っています。

 レズビアンサロンをしている団体も多いです(天津、上海、広西、雲南)。サロンの内容はよくわかりませんが、少なくとも上海では単なる交流ではなく、レズビアンをめぐる問題の議論をしています。

 他には、以下のようなことをしている団体が多いです。
 ・2008年以来、中国クィア独立映画小組、同語、Les+が全国各地でクィア映画の巡回展をおこなって回っているが(→2008年4月の北京での上映についての本ブログの記事「北京でクイア映画文化月間および上映会」)、各地の巡回展に協力して、レズビアン映画の上映会をする。
 ・各地で分散開催された2008年のレズビアンキャンプの分担をした。
 ・雑誌や書籍の刊行(出版社からの出版ではない):上海女愛は『她們的愛在説』(オーラルヒストリー)を出版し、広西蕾絲聯合社は電子雑誌『好・生活』を出版してきた。

 ただし、「現在直面している困難」は「主に経費と人手」である(広州同心工作小組)(24)といった声はやはり聞かれます。

 また、現在、多くの団体がQQ群(内輪の掲示板)を内部の交流や相談活動に活用しているようですが、私はQQ群までは見ることができませんでした。

3.その他のレズビアンサイト

 ゲイの場合、ほとんどの省に総合サイト的なものがあるのですが、レズビアンサイトは、省ごとのサイトは多くありません。リンク集は見かけるので、省や市ごとのサイトも設立されてはいるのでしょうが、そうしたリンク集を見ても、すでにリンク切れになっているものが多く、なかなか長続きしないのだと思います。

 また、ゲイの総合サイトの場合は、ニュースを積極的に掲載したり、サイト自身が電話相談やエイズ防止のためのオフラインの活動をしているものもありますけれども、レズビアンサイトの場合は、そうした活動をしているサイトはほとんどなく、自由に書き込む掲示板形式が多いようです。ニュースを掲載する際も、掲示板に書き込む(張り付ける)方式です。

 レズビアンの場合、総合サイトの内容は、以下のようなものが多いでしょうか。
 ・情報交換
 ・気持ち、悩み、趣味などの交流、相談、
 ・交友(相手を探す)

 ただし、「遼寧拉拉社区」の「公益」コーナーは、レズビアンをめぐる社会問題を扱っていますし、「中国LES群盟」の「ニュース」コーナーにもそうした記事が書き込まれています。

 また、文学や映画に関しては、レズビアンサイトは、むしろゲイサイトよりも力を入れているように思います。その代表が、2000年4月に開設された「深秋小屋女性文化芸術網点」で、文学や芸術専門のサイトです。また、「女人香」や「拉拉倶楽部」も文学や映画に力を入れています。

 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 いろいろまとまりなく書いてきましたが、レズビアンの場合、女性の社会的地位が低く、社会的自由に乏しいうえに、「エイズ防止」という文脈で発言することも難しいので、活動には困難があるようです。しかし、そうした中でも、さまざまな形で主体的な活動がおこなわれていると言えます。

(1)何小培「女同性恋者的过去与今天」『中国“同志”人群生态报告』(北京紀安徳諮詢中心 2007年)→転載した一部分:「拉拉系列报道之三」山東彩虹官方博客(2009-07-14)。
(2)以上は、何小培「1990年代的中国女同性恋组织」『朋友通信』64期
(3)关于“拉拉”的少数派报告」『中国新聞週刊』32/2005(2005年8月29日出版)。
(4)(1)および(2)。
(5)第一次大陆女同志会议召开」『桃紅満天下』31期(1998.10.12)。ただし、「海淀区のバーの地下室」、「40人あまり」とするのは、「北京同性恋婚礼:从地下到街头」(『南都周刊』2009年2月27日)によります(石頭さんの話に依拠した記述のようです)。
(6)关于“拉拉”的少数派报告」『中国新聞週刊』32/2005(2005年8月29日出版)。メンバーは10人は越えていなかったという点は、石頭さんによります(「北京同性恋婚礼:从地下到街头」『南都周刊』2009年2月27日)。
(7)中国女同性恋者热线」『桃紅満天下』30期(1998.9.28)。
(8)「北京的女同志热线再次开通」『桃紅満天下』68期(2000.3.14)。
(9)「中国第一届女同志文化艺术节通知」『桃紅満天下』93期(2001.3.16)。
(10)关于“拉拉”的少数派报告」『中国新聞週刊』32/2005(2005年8月29日出版)。
(11)“中国同志网站健康教育”会议特别报导:为了心中的明灯」『桃紅満天下』増刊46期(2001.11.30)。
(12)北京同性恋者日趋活跃:空间仍受限」朋友別哭2009-08-13
(13)この失敗のために、第1回中国同志サイト健康教育研究討論会は、当初の日程を遅らせて、11月におこなわれました(上記「“中国同志网站健康教育”会议特别报导:为了心中的明灯」)。また、同年12月におこなわれた第1回中国同性愛映画祭は、宣伝に工夫をしましたが、それでも途中で中止させられています(本ブログの記事「第4回北京クィア映画祭と同映画祭の歴史」参照)。
(14)以下、内容の一部をかいつまんでご紹介します。「―→」は報告書の中のコメントの内容です。
・調査方法――北京のレズバーと北京レズビアンサロンでアンケート調査を配布。
[調査対象の特性]
・年齢――18-22歳:30.7%、23-27歳:46.6%、28-32歳:12.5%、33-37歳:5.7%、38-42歳:2.3%、42歳:0.6%
・学歴――大卒:43.1%、大学在学:20.5%、専科学校(高等専門学校)卒18.2%など。
[生活様式]
・性行為の相手の性別(経験のある人のみ)――女性のみ:71.4%、男女両方:25.3%、男性のみ:3.2%。
・現在までの性行為の相手の人数(〃)――2人以下:46.1%、3―6人:32.9%、7―9人:12.5%、10人以上:8.6%。
 ―→「同性愛=乱交」は偏見にすぎない。ただ、両性との性行為や多数のパートナーを持っていることは、感染症の危険を高める要因。
・婦人科の検査を受けたことがあるか?――ある:34.7%(うち、定期的に:17.0%)―→婦人科の検査のやり方(既婚と未婚の区別で、性行為の有無を区分して、検査項目を変えるようなやり方など)に問題があるのかも。
[心理状況]
・自分が同性愛者であることに困惑があるか?――ある:19.1%、ない:80.9%。
・自分が同性愛者であることによって、以下の問題において、他の人や社会から大きな圧力を感じたことがあるか?
 婚姻―44.3%、出産―10.8%、仕事の問題―10.2%、人間関係―13.1%。―→婚姻がレズビアンが直面している主な圧力の源だ。
[外部環境]
・以下の人にカミングアウトできるか?
 良い友だち―92.3%、同級生―34.5%、普通の友だち―26.8%、父母―21.8%、同僚―16.9%、親戚―15.5%、上司―7.0%。―→父母には21.8%だけ。これは、中国の社会文化、中国の伝統的観念における子どもと父母との関係と不可分だ。
・カミングアウトをする原因
 他の人の理解を渇望―55.1%、友だちをだましたくない―51.0%、同類を探す―32.0%、同性愛者の感情のあかし―%、誇りのため―22.4%、結婚をしたくないから―17.7%など。―→社会環境のサポートを渇望していることを示す回答が多い。
・カミングアウトしない(または現在カミングアウトしていない)原因
 機が熟していないと思う―65.3%、煩わしさが怖い―46.5%、更なる大きな圧力が怖い―36.1%、家族に捨てられるのが怖い―18.8%、排斥されるのが怖い―16.0%、友人を失うのが怖い―15.3%など。―→「カミングアウトできる」と答えた人も、実際にしている人ばかりではなく、「機が熟していない」と考えて、していない人が多い。これら回答は、社会環境のサポートが不十分であることを示している。
(15)以上は、「2005年女同社区工作研讨会」2005年5月10日、「大陆女同社区工作研讨会在京召开」2005年8月13日、「大陆女同社区工作研讨会在京召开」『桃紅満天下』207期(2005.8.19)。
(16)北京同志中心2009年年度报告(上)」北京同志中心的博客(2010-02-10)
(17)曹晋 曹茂「辺陲城市的女同健康热线研究」曹晋『媒介与社会性别研究:理论与实例』(上海三聯書店 2008年)115-134頁→『朋友通信』63期に転載。ただし、『朋友通信』に転載されたものは、紙幅の関係で、論文の一部の内容が削除されており、摘要・キーワード・注釈・参考文献も略されている。
(18)广州同心工作小组2010年第一次讨论会议纪要」广州同心的博客(2010-01-21)。
(19)【广州同心小组简介】」广州同心的博客(2009-08-30)。
(20)(2)に同じ。
(21)渴望理解 上海首条女同性恋者热线接听火爆」新華網2007年01月22日。
(22)(17)に同じ。
(23)同語「北京地区女同性恋者健康调查报告(PDF)」13頁。
(24)(18)に同じ。
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