2017-05

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道理がないWAN理事会の主張、理事会は今回の謝罪を生かした行動を

 WANの理事会とユニオンWANとの争議に関して、5月12日、ユニオンWANは以下のような発表をしました。

 昨日5月11日付けで、理事会からの以下の3点についての謝罪および、ごく少額の[*この金額を、多額の、と取る人はいるかもしれませんが、ユニオンWANのふたりにとっては取れる/取るべきであると思っていた額よりも、少額であったという意味です]解決金の支払いをもって、ユニオンWAN組合員2名が「円満退職」することで合意しました。

 ①平成21年12月に組合員遠藤礼子の仕事を外したこと、その後、事務所の閉鎖及び突然の2人の退職勧奨に至ったこと
 ②それらのことについて組合及び組合員と事前に相談、協議がなく実施したこと
 ③これまでの労使のやり取りの中で組合に対して不適切な言動があったこと

 (「【速報】WAN争議解決【勝利和解】」より。*は5/15に追加された箇所)


あっせんで合意した事項も、公開してはならない?

 ところが、上のユニオンWANの発表に対して、WAN理事会は、WAN-NEWS 16号において、「労働委員会から、労使双方に対し、あっせんの合意内容や経緯について、第三者に情報を漏洩しないよう、厳に求められてい」るにもかかわらず、ユニオンWANが情報を公開したと言って、ユニオンWANを非難しています。

 私は、上のWAN理事会の主張は、以下の4つの理由から、まるで説得力がないと思います。

 第一に、ユニオンWANの側は、「結果的にあっせんで合意したことについては、公開は禁止されていない」ということを、あっせん委員に再三確認しているからです。

 すなわち、WAN理事会の側は、抽象的に「第三者に情報を漏洩しないよう、厳に求められている」と述べているだけなのに対して、ユニオンWANの側は、労働委員会から、「あっせんの経過」に関しては、「非公開だという安心感からすすむ話もある」からあっせん継続中は、中身についてサイトに書くことは遠慮してほしいし、「あっせん制度の趣旨からして、合意後もサイトに詳細に書くことは遠慮してほしい」と言われたけれども、「結果的に合意したことに関しては、公開は禁止されていない」ということを「あっせんの席で委員に再三確認しています」と述べています(「あっせんの結果の説明について」)。

 私は、「あっせん制度は、非公開が原則だ」と言う場合の「非公開」の意味は、「裁判所の和解協議は、非公開だ」とか言う場合と同じ意味にすぎないと思います。裁判所の和解協議も、協議の経過については、終了後も含めておおむね非公開だと思うのですが、ご存じのとおり、和解して合意した結果はたいてい公開されています。

 もっとも、あっせんでは、労使が同室となることはないそうなので、WAN理事会が労働委員会からどのような説明を受けたかはユニオンWANにはわからないそうなのですが、これまでに双方が公表した文書から見るかぎり、私は以上のように思います。

 第二に、WAN理事会の側は、あっせんで合意した事項も公開してはいけない理由をまったく説明できていないことです。

 WAN理事会は、「労使協議においては、労使双方が公開を合意したこと以外は、公表しないのが原則です。(……)この見地から、とくに労働委員会あっせんでは、事案の内容について第三者には情報を流さないことが双方に厳格に求められています」と言っており、その理由として、労使協議においては、「公開で、自分たちの立場から相手方を一方的に批判非難したりすれば、なおさらに事態は紛糾し、歩み寄りが困難になる恐れが大いにある」という点と「そのような批判非難の応酬は、双方が属する組織の信頼信用をいたずらに傷つけることにもなりかねない」という点を挙げているのですが(→この2点が理由だとしたら、百歩譲って理事会の言い分に従うとしても、合意した事項については、べつだん「双方が公開を合意」までしなくても、公開してもいいことになる)、労働委員会のあっせんについては、合意した結果すら公開してはいけない理由を示せていません。

 もちろん、労働委員会のあっせんの場合でも、使用者側が、自分たちの都合から、合意した事項も「非公開」にしてほしい場合はあるでしょう。その場合、労働者側も、もし使用者側の「非公開にしてくれ」という条件を飲んだら、自分たちの要求が実現するなら、合意事項を「非公開」にすることに同意する場合もあるでしょう。しかし、それはあくまで労使の合意によるものです。もしWAN理事会が合意内容も非公開にしてほしかったのなら、和解条項の中に「非公開にする」という文言を入れるように提案すればよかったのです。ただし、遠藤さんにうかがったところ、もし「非公開」という条件が付いていたら、絶対に今回の和解は飲まなかったということですが……。

 第三に、理事会がおかしいのは、理事会側も、自分たちに有利な点についてだけは、事実上、あっせんでの合意内容を公表しているということです。

 理事会は「今般、あっせんが成立し、5月11日付で両氏に円満退職いただきました」と発表しています。この文を読んで、「あっせんの合意内容」と「両氏の円満退職」とが無関係だと考える人は誰もいないでしょう。ですから、この発表は、事実上、あっせんの合意内容を伝えており、しかも、理事会が求めていた点(理事会に有利な点)だけを伝えたものだと言えます。

 もし理事会が言うように、本当に「本メールでは、和解に至った点のみをお知らせする」つもりならば、理事会は、文字通り「今般、あっせんが成立し、解決いたしました」とだけ書くべきでしょう。

 私は、ユニオンの発表のほうが、今回の合意内容の理事会に有利な点(=遠藤さんもカサイさんも雇用の継続はできなかったこと)にも触れているぶん、公正だと思います。

 第四に、理事会が謝罪内容を公表することは、WANにとってもプラスになると思います。だから、私は、理事会は、むしろ自らすすんで合意内容を発表してほしいと思います。

 なぜかといえば、今回の謝罪を今後生かしていくためには、謝罪内容を公表することが基礎になるからです。後でも述べるように、WANをより良い団体にするため(ひいては、他の団体を含めた非営利団体における雇用や労働のあり方をより良いものにするため)に、今回の謝罪内容は生かせると思います。きちんと謝罪内容を公表することは、理事会に対する評価も高めるでしょう。

今回理事会が謝罪した①や②は、今迄にすでに文書で謝罪していた問題か?

 ところが、WAN理事会(の代理人の弁護士)は、私が冒頭で引用したユニオンWANの記事「【速報】WAN争議解決【勝利和解】」について、「名誉毀損」だと主張して、同記事の削除や謝罪文の掲載を求めており、もし誠意ある対応がなければ、「断固たる法的手段を執る」と述べた通告を送ってきたそうです(「5/17 内容証明郵便物」)。

 この件については、私は、遠藤さんのそれに対する回答(「5/22 5/17内容証明郵便物への回答」)やユニオンWAN(遠藤さんとカサイさん)の訴え(「迷走!WAN理事会、恫喝訴訟*を予告!?」)に述べておられることに賛成なのですが、私も、以下、若干意見を述べてみます。

 理事会(の代理人の弁護士)は、今回理事会が謝罪した「①平成21年12月に組合員遠藤礼子の仕事を外したこと、その後、事務所の閉鎖及び突然の2人の退職勧奨に至ったこと」や「②それらのことについて組合及び組合員と事前に相談、協議がなく実施したこと」は、すでにこれまでの「文書中に謝罪してきている」と述べています。

 私は、驚きました。理事会が述べていることは、事実とまるで異なるからです。

 たとえば、この2月に理事会が出した「この間の事情の説明」という文書では、「A[=遠藤礼子]さんは、業者によるリニューアル[によって仕事の多くの部分を取り上げられたこと]について事前に相談がなかったことが問題であると主張して」いることや「事務所の閉鎖についても、そういう考えが浮上した時点で相談すべきであると組合は主張して」いることに対して、理事会は、「謝罪」するどころか、むしろ「Aさん」や「組合」を非難しつつ、自らの態度を正当化しています(同文書の「3)サイトリニューアルとAさんの労働条件変更」の4~5段落目参照)。

 理事会の態度がこのようだったからこそ、私は、2回にわたって、このブログで、業者によるリニューアルや事務所の閉鎖について、理事会が事前に相談や協議をしなかったことを正当している点を批判したのです(「WAN理事会の文書は、サイトリニューアルについて事前に遠藤さんと相談しなかったことを正当化しうるか?」[2010-04-28]、「WAN理事会の行為は、労働者との『信頼関係の消失』を理由にすれば、正当化されるのか?」[2010-05-08])。

理事会が「不当労働行為を行いそれを謝罪したかのような誤った印象」?

 また、理事会(の代理人の弁護士)は、③の点について、「あたかも通告人[理事会]が不当労働行為を行いそれを謝罪したかの誤った印象を与える名誉棄損表現もされました」と言っていますが、遠藤さんと同じく、私も、全然そうは思いませんでした。

 第一に、該当エントリーにはそんなことは全く書いてありません。むしろ、ブログを全体として読むと、「ユニオンの側は、理事会の行為の一部について『不当労働行為』だと主張してきたけれども、あっせんでは、そこまでは踏み込まず『不適切な言動』という表現になった」ということが伝わると思います。

 第二に、理事会が「組合に対して不適切な言動があったこと」を謝罪したのは(「組合に対して」という文言になっていることに注意)、それらの言動には、不当労働行為に近い言動か、そうと疑われかねない不適切な言動も含まれていたのだろうという印象を、読む人が持つことは、ある意味、当然であろうと思います。

理事会は、今回のせっかくの謝罪を生かす行動を

 WAN理事会が、代理人の弁護士を通じて上記のようなことを言ってきたことについて、ユニオンWANは「WAN理事会が、今回の謝罪をなかったものにしているかのように見える」と指摘しておられます。私もそう感じました。

 私は、理事会には、そうではなく、今回のせっかくの謝罪を生かす行動をしていただきたいと思います。具体的には、以下の点を要望いたします。

 第一に、上で述べたように、今回の和解で合意した内容について、理事会からも発表すること。

 第二に、これまで理事会が発表した文書のうち、今回の謝罪の内容と相反するものを訂正・撤回すること。

 たとえば、この2月に理事会が出した「この間の事情の説明」という文書は、上で述べたように、今回の謝罪と相反する個所が含まれていますので、少なくともその個所については撤回ないし訂正することが必要だと思います。この点は、たとえ理事会が今回の謝罪を公表しない場合でも、謝罪内容と上記の文書が現実に矛盾している以上、おこなってほしいと思います。

 第三に、今回理事会が謝罪した問題について、それが生じた原因を解明したり、今後の活動に生かしたりなさることです。

 理事会が今回謝罪した行為について、その原因を掘り下げることは、WANや他団体で今後は同様なことが起きないようにするために重要だと思います。使用者側がそうした掘り下げをすることには困難もあるかもしれませんが、もし掘り下げられれば、それは非常に貴重なものになると思います。

 WANは当面は賃労働者を雇用しない方針だとうかがっていますので、ひょっとしたら、理事会は、今回の謝罪は、今後はもう関係のない問題だと考えておられるのかもしれません。たしかに、もし今回の紛争が賃金水準などをめぐって起きたものならば、ある程度はそうかもしれません。

 しかし、今回理事会が謝罪なさった行為の内容は、組織における民主主義や人権と関わる内容であり、たとえ賃労働者に対してでなく、ボランティアや一般会員に対してであっても、おこなってはならないことであると思います。そう考えると、今回の謝罪の内容は、たとえば、以下のような教訓にも読み替えることができるのではないでしょうか?
 ・WANのあり方ついての民主的な「相談・協議」なしに、ボランティアの仕事を奪ったり、押しつけたり、働く条件を変えたりしてはいけない。
 ・理事会に対する批判をするボランティアや会員に対しても、「不適切な言動」はしてはならない。

 私は、べつに今の理事会が、いま上のような行為をおこなっていると言うつもりはありません。しかし、将来こうしたことが起きない保証はありませんから、上のような点は今後の教訓にすることができると思います。

 また、私は、今回のサイトリニューアルなどが、どこまで幅広く会員やユーザーの意見を聞いてすすめられたことなのか疑問に思います。もちろん今度の総会ではそうした点について報告がおこなわれると思いますし、私が入会したのは昨年度末ですから、それ以前の会の中の事情はわかりません。しかし、私としては、理事会が今回の教訓を生かして、こうしたことについても、もっと会員とも相談してものごとをすすめていただきたいと思います。もちろん理事の方々はご多忙だと思いますので、できる範囲で結構なのですが、そうしてこそ、サイトも繁栄すると思いますので。

 なお、私は、理事会の文書で述べられている「WANのウェブ上のポリシー」にも疑問があるのですが、その点については、またの機会に述べたいと思います。

 ※6月6日(日)、東京で「非営利団体や市民運動における雇用や無償・ボランティア労働を考える~ユニオンWANの事例から」という集会が、遠藤さん、カサイさんをお招きして開かれるそうです。

 ※6月20日(日)、大阪で、日本女性学会のワークショップ「フェミニズム運動や研究組織における非正規・無償労働問題を問い直す」があるそうです。上の集会とは性格は異なる集いですが、おそらく、こちらのワークショップも、今回の問題を深めるうえで役に立つものだと思います。
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