2017-04

女性労働者保護規定の改正をめぐる議論(1)――たいした改正にはならない?

 中国では、1988年に「女性労働者保護規定(女職工労動保護規定日本語訳(1))」(以下、「規定」と略す)が制定されました。これは、女性労働者の月経、妊娠、出産、授乳期などの保護をするための規定です。

 しかし、その後、農村からの出稼ぎ労働者が多く働く非公有制企業が増大し、それらの企業では女性労働者の保護がお粗末であるにもかかわらず(2)、「規定」は罰則などが明確でなく、違法行為を有効に是正できませんでした。そのため、2000年以降は、全国人民代表大会や全国政治協商会議にも、全国総工会や全国婦連などによって、「規定」を改正強化する議案が提出されてきました(3)

 2006年からは、労働と社会保障部(当時)と中華全国総工会が「規定」の改正作業を始めました。2008年には、女性労働者保護規定は「女性労働者保護条例」と名称を変更することになり、国務院の立法計画に入りました(4)

国務院が招集した専門家座談会での議論

 今年10月27日、国務院法制事務局[弁公室]が、「女性労働者保護条例(改正草案)」の専門家座談会をおこないました。座談会には、政府の各部門の官僚、中華全国総工会の指導部、医学・法学の専門家が出席しました。

 この座談会では、草案について、以下のような点が焦点になったと報じられています(5)(草案の全文は、まだ新聞やインターネットでは公表されていません)。

焦点1.健康診断

 草案第16条より:「人を雇う単位[企業、機関、団体など]は……女性労働者に定期的に婦人科の病気の検査を受けさせることができる」

 現行の「規定」には、草案第16条のような条文はありません。この条文に対しては、次のような意見が出ました。

 ・李麗娟(衛生部疾病予防制圧センター母子保健センター主任):「少なくとも2年に1回、健康診断をすると規定すべきである。健康診断の内容は、女性がよくかかる病気をスクリーニングするものとし、基本的検査項目と提案検査項目(子宮ガン、乳ガン、生殖道感染)を包括したものにすべきだ」
 ・丁輝(北京産科病院・母子保健院教授):「近年子宮ガンと乳ガンの発病率が増大しているので、少なくとも2年に1回、この2つのガンを基本にした健康診断をすべきである」

焦点2.授乳時間

 草案第13条より:「満1歳未満の嬰児に授乳する女性労働者には、人を雇う単位は、勤務時間内に毎日少なくとも1時間、授乳(人工授乳を含む)時間を与えなければならない」

 この条文については、すでに現行の「規定」の第9条に似た条文がありますが(ただし、現行では「勤務時間ごとに2回、30分ずつ」となっています)、以下のような意見が出ました。

 ・ある専門家が「1時間というのは、女性労働者が職場と住まいとを往復するのに使う時間を含んでいるのか否か」と疑問を出した。
 ・白蓮湘(全国工商連法律部副部長):「1時間授乳時間を与えるというのを、1時間早く退勤させるに改めても良いかどうか」と意見を述べた。

焦点3.月経時の休暇

 草案第7条:「女性労働者の月経期間には、人を雇う単位は、国家が規定した月経期間に従事することを避けるべき、高所、低温および第3級の肉体労働強度の労働およびその他の従事することを避けるべき労働を割り当ててはならない」

 この条文も、現行の「規定」の第7条にほぼ同じ条文がありますが、以下のような意見が出ました。

 ・陶永嫻(北京予防医学研究センター主任医師、首都医科大学教授):「女性労働者が月経痛で正常に仕事ができず、医師の証明書があるときは、1日か2日の有給の病欠を保障すべきだ」
 ・張帥(北京大学法学院女性法律研究・サービスセンター):陶永嫻さんの意見に同意する。「韓国では、すでに女性には1日の有給の生理休暇がある。3月に湖北省が出した女性労働者保護規定も同様に、女性労働者は月経痛の場合、有給休暇を1~2日取ることができると規定しており、参考に値する」

 座談会では、国務院法制事務局の政法局副局長の彭高建さんが最後に総括的な発言をしました。彭さんは、「現実から出発すると、『女性労働者保護規定』はたしかに改正する必要があり、改正の重点は妊娠期・授乳期の女性労働者である」、「座談会で討論された細かな点は、さらにいっそうの調査研究をする」、「草案の改正は、国際的経験を参考にし、国外の動態に注目し、若干の内容は国際条約と結びつけなければならない」と述べました。

 以上のから見るかぎり、現在の「草案」には、とくに画期的な条文はないように見えます。上で述べたとおり、2や3の点は現行とほとんど変わりませんし、1の健康診断は、たしかに現行の「女性労働者保護規定」には含まれていませんけれども、「できる[可以]」というだけの規定です。

 もちろん議論にならなかった個所に画期的な条文が含まれている可能性はありますが、たとえば企業の抵抗が強くて紛糾するような条文は、今の「草案」には含まれていないのではないかと思います。

 ただ、条文の数が増えていることは間違いありません。現行の「規定」は全部で19条しかないのですが、ある文書(6)を読むと、現行では「第15条」である計画出産違反者への措置が、今回の条例では「第23条」になっているようです。その意味では、若干強化されたのだと思います。しかし、たとえば1988年以降に制定された他の法規にすでに盛り込まれた規定をこの条例にも書き込むだけでも(今回の改正の目的の一つは、「規定」が制定された後に公布された法律に対応することだとされています(7))、条文の数は増えますから、今回、どの程度実質的に強化されたと言えるのかはわかりません。

座談会での専門家の意見も、地方ではすでに規定されているもの

 もちろん、もしこの座談会で発言した専門家の意見が今後取り入れられるならば、事態はいくらか変わってきます。

 ただ、1の健康診断については、たとえば1990年に制定された「上海市女性労働者保護規則[上海市女職工労動保護弁法]」も、「各単位は2年ごとに女性労働者(退職した女性労働者を含む)に婦人病の検査をし、すぐに治療をしなければならない」(第21条)と定めています。

 また、その上海市では、健康診断については、「国有企業では執行の面で問題はないけれども(……)非公有制や労働集約型の小さな企業で問題が出ている」といいます(ちなみに上の2の授乳時間に関しても、「一部の労働集約型の企業では、女性労働者は妊娠後、しばしば自発的に離職する。その原因を追究すると、一つには、労働きつくて妊娠後は耐えられないことであり、もう一つには、上海では検査や出産の費用が高いので、一部のよそから来た労働者は妊娠後は故郷に帰って出産することである」とのことです)(8)。ですから、「規定」に新しい条項を盛り込むだけでは、条件の良いところでしか実行されない可能性が強いと思います。

 また、3の月経時の休暇についても、張帥さんが言及している湖北省女性労働者保護規定(湖北省女職工労動保護規定)は、草案第7条の規定に加えて、「月経過多または月経痛のために、正常に仕事ができない女性労働者に対しては、所属単位が指定した医療機関の証明を経て、所属単位は適当に1日から2日の休息を与えることができる」というものですが、これは、すでに1993年に出た「女性労働者保健工作規定[女職工保健工作規定]」の第7条第4項の規定とほぼ同じものにすぎません。

 もちろん湖北省女性労働者保護規定は、あくまでも湖北省だけの地方性法規であり、「女性労働者保健工作規定」も、あくまでも「衛生部・労働部・人事部・全国総工会・全国婦連」の文書でした。ですから、もし今回、こうした月経時の措置が「国務院」の法規に取り入れられるならば、法律のランクが一段アップしたとは言えるのですが……。

法規の実効性の強化は?

 それから、以前から問題になっている「非公有制企業などでは保護がお粗末なのに、『規定』は罰則などが明確でなく、実効性が弱い」という点は、上記の国務院での座談会では、あまり問題にされた形跡がありません。「改正の重点は妊娠期・授乳期の女性労働者である」という国務院法制事務局の彭高建さんの発言も、法律の実効性の強化は改正の重点ではないかのような感じを抱かせます。

 しかし、実は、改正草案に対しても、実効性の強化を主張する意見はたくさん出ています。たとえば、昨年[2008年]12月、ILO北京事務所と全国婦連女性研究所が「『女性労働者保護条例』(改正草案)討論会」を開催し(9)、それを受けて今年初め、全国婦連女性研究所と中国女性研究会の機関誌である『婦女研究論叢』が、条例の改正草案についての特集を組みました(10)。それらの場、とくに『婦女研究論叢』の特集では、さまざまな観点から、法律の実効性の強化を主張する意見が多くの人から出ていました。それらは、だいたい以下のようなものです。

1.政府などによる法律の監督を強化すべきだ。違法行為に対する処罰を強めるべきだ。司法も改革すべきだ。

 劉伯紅(全国婦連女性研究所副所長):政府と法律執行部門の監督・管理の力を強めるとともに、より多くの社会的パートナーと公民社会の代表が女性労働者保護条例の執行の監督者になるべきである。具体的に言えば、・労働監督の隊伍伍を増強して、違法行為の処理を強める。・裁判での立証の規則を改革し、労働専門の法廷を設立し、法律援助制度を確立して、不利な立場にいる女性労働者に対して法律的なサポートをする。・労働組合や婦連に監督権を与えるほかに、NGOによる監督・評価も奨励する。

 蒋月娥(全国婦連権益部部長):違法行為に対する懲罰の力を強めるべきである。具体的に言えば、・政府の職責についての規定を強化し、労働保護の状況に対して監督・査察をする政府の部門とその具体的職責を明確にする。・現行の「女性労働者保護規定」の条文は非常にわずかで、法律違反の責任と処罰の措置が規定されていない。違法行為と違法な単位を震え上がらせるために、権益を侵害された女性労働者の賃金または単位の労働者の平均賃金の倍数を基準にして処罰を規定し、法律違反のコストを高くせよ」

2.労働保護や託児所の費用を社会的に分担せよ、生育保険(妊娠・出産時に手当を支給したり、医療費の補助をする保険(11))を整備せよ。その際に政府が財政的に責任を持て。

 劉伯紅:政府は、家族的責任を担う労働者の平等な就労や女性労働者の保護に対して、より多くの政策的・財政的責任を負うべきである。政府の財政収入は大幅に増大しているのだから、そうすべきである。具体的に言えば、・政府が非正規部門や経営が苦しい中小企業、個人企業の女性労働者の労働保護に対してサポートを強化するよう規定を改めるべきだ。・政府は託児施設を設立する企業に資金的なサポートをするべきだ。・政府は生育保険の基金に一定の責任にを負うことを考慮すべきだ。・婦人病の検査についても、企業でなく、政府がより多く金を出すようにすべきだ。

 蒋月娥:婦人病の検査の費用は、政府の関係部門と単位が持つようにし、検査の時間は労働時間とみなすべきである。

 潘錦棠(中国人民大学労動人事学院教授):女性の労働保護にかかる費用を社会的に分担するメカニズムを規定するべきである。もしも個別の企業だけが費用を負担すれば、女性を多く雇う企業が損をすることになるので、女性を雇わなくなったり、女性の賃金を下げたり、法律執行の部門が厳格に法律を執行しなかったりする。だから、「女性労働者保護条例」などで、女性労働保護の費用をどのように分担するかを規定するべきである。

 李瑩(北京大学法学院女性法律研究・サービスセンター副主任):女性労働者保護の具体的措置において、国家の責任を具体的に示さなければならない。現在、中国では、生育保険がカバーしている比率が不十分であり、また経費は全部企業が負担している。生育保険に参加していない企業は、女性労働者の生育の費用を負担するとともに、産休の期間の賃金を支払わなければならない。このような「生育の損失」は、企業が女性労働者を雇いたがらない主な原因の一つである。人類の再生産は、人類・社会に対する貢献なのだから、そのコストは社会が負担しなければならない。だから、生育保険に全員を入れ、国家の責任を体現しなければならない。

「女性労働者保護規定」の内容自体が知られていない

 法規の執行以前に、そもそも女性労働者保護規定の内容自体が女性労働者自身によく知られていないという問題もあります。

 『中国婦女報』の記者が妊婦20人に授乳時間の規定について尋ねたところ、1人だけ「聞いたことがある」という人がいただけで、多くの人々の反応は、「本当なの?」というものでした。四川省労働庁の法制課と市の総工会の労働者法律援助センターの人も、授乳時間に関する訴えはほとんど受けたことがなく、「みんなよく知らないのに、なんで訴える人がいるの?」と言っていたということです(12)

 特に農村からの出稼ぎの人の場合は、知っている人は少ないと思われます。少し古いデータになりますが、香港キリスト教工業委員会が2001年に広東省の輸出用玩具製造工場で調査したところ、女性労働者保護規定を「知っている」と答えた労働者は0%で、「聞いたことがある」という人が1%、残りの99%は「知らない」という状態でした(13)

 もしも以上のような状態や意見を踏まえずに「規定」が改正されても、2005年の婦女権益保障法改正のときと同じように、実効性は強化されず、「新しい条文は幾つか出来たけれども、あまり役に立たない」というようなことになりかねないと思います(以前のブログの記事「セクハラを例にした、婦女権益保障法の実効性に対する厳しい批判」参照)。

他にも重要な論点

 2008年12月の討論会や『婦女研究論叢』で、劉伯紅さんは、下の1~3のような点も述べています。

1.男性の育児休暇も

 ジェンダー平等意識を政策決定の主流に入れるべきである。男性が家庭責任・ケア責任を担うようにするために、夫が看護休暇(産休)を取る条件を作るなどすべきだ。

2.職場の安全・衛生の問題も扱うべき

 条例草案は、女性の特殊な生理的時期や出産に関連した保護が中心だが、それだけでなく、職場の安全衛生、たとえば沿海地区の電子・玩具などの非公有企業が有毒・有害な化学物質を使用している問題なども扱うべきである。

3.企業の保育所をつぶすな

 企業や機関は、家族的責任がある労働者に生育の保障と家族のケアのための施設を提供することを促進するべきである。経済体制改革の中で、多くの企業や機関が託児施設を転売・閉鎖したが、「条件がある所属単位は独自にまたは共同で託児所・幼稚園を設置する」(14)という政策をあっさり取り消してはならない。

4.セクハラ問題などの心理的健康も重視すべき

 また、今年の国務院での座談会での議論を受けて、『中国婦女報』の記者が、劉明輝さん(中華女子学院法律系経済法研究室主任、教授)を取材した際、劉さんは、女性労働者の「心理的健康」にも関心を持つべきだとして、職場のセクハラの問題も条例の中で重視する必要があることを述べました(15)。セクハラの問題を入れるべきだという意見は、他の人からも出ています。

5.隠然たる就職差別をなくせるようにせよ

 現行の「女性労働者保護規定」の第3条は「女性労働者が従事するのに適した単位は、女性労働者の採用を拒絶してはならない」です。

 この条文が改正草案でどのように変わったのか(またはそのままなのか)わかりませんが、改正草案に対して、鄭州大学女性労働者委員会は、「草案の第3条の規定は、『公然とした』就職の男女差別の問題はいくらか改善するかもしれない。たとえば男女共に適した仕事に対して、人を雇う単位が募集広告で『男性のみ』として、女性は不要だと示す行為は違法だとできるけれども、人を雇う単位が人員を採用するときに『隠然たる』差別をすることに対しては、草案第3条の規制力は依然として不十分である。たとえば、男にも女にも平等に試験を受ける機会を与えるけれども、採用される機会には大きな違いがあって、単位が最後に採用したのは全部男性であるとか、少ししか女性を採用しないという行為に対しては、やはり有効な規制をおこなうのは難しい」と意見を述べています(16)

 しかし、2008年12月の座談会や『婦女研究論叢』の特集でも、人力資源と社会保障部の法規局立法工作部の調査研究員・副所長である呂鴻雁さんは以上のような論点には触れておらず、政府は法改正が以上のような点をどれほど取り入れようとしているかは疑問です。

 以上の幾つかの点から見て、現状では、今回の女性労働者保護規定の改正は、それほど大きな意義があるものにならないのではないかという感じを抱きます。もちろん条文が発表されるまでははっきりしたことは言えませんが……。

(1)活字になった日本語訳は、『日中対訳 中国労働関係法令集 2004年度改訂版』(アイ・ピー・エム 2004年)330-337頁にあります(これ以前の年度の版にも収録されているかもしれません)。
(2)たとえば、総工会女職工部が2003年に広東・福建・上海・重慶などの12省・市の3285の企業(公有制企業2244、非公有制企業1041)を調査したところ、以下のようでした。
 ・労働協約を締結している‥‥公有性企業:83.8%、非公有制企業:66.9%。
 ・男女同一労働同一賃金‥‥‥公有性企業:95.5%、非公有制企業:88.4%。
 ・毎週の労働時間が40時間を超えない‥‥公有性企業:80.7%、非公有制企業:60.1%。
 ・妊娠した女工の定期産前検査‥‥公有性企業:87%、非公有制企業:81%。
 ・妊娠した女工に残業・休日出勤、夜勤をさせない‥‥公有性企業:95.1%、非公有制企業:56.7%。
 ・産休が90日以上‥‥公有性企業:78.7%、非公有制企業:56.7%
 ・産休の際の賃金が満額出る‥‥公有性企業:90.1%、非公有制企業:55.8%
 ・女工の出産費用を部分的または100%償還する‥‥公有性企業:90.8%、非公有制企業:64.6%
(全総女職工部「数字与解読 関于企業女職工労動保護情況的調査報告」『中国婦女報』2003年7月10日)。
(3)まず、2000年、全人代に浙江代表団の32名が連名で「女性労働者労働保護規定」を修正する議案を提出しました。「この議案は、すでに実施されて10年の長きになる『女性労働者労働保護規定』の執行の中で出現した新しい問題に基づいて提出された」という。その問題とは、以下のようなものでした。
 ・全国で非公有制経済が迅速に発展し、労働関係が日増しに多様化・複雑化する状況の下、「規定」があっても、女性労働者の労働の権益がなお法律的な保護が得られていない。
 ・相次いで公布された法規が整合性に欠けている。「規定」の公布後、続々と「婦女権益保障法」「労働法」が公布されたが、この「規定」をそれらと合わせなければ、具体的に執行する際に規範性と統一性が欠ける。
 ・「規定」には罰則が欠けていて、法規に違反する行為を有効に制止することが難しい。たとえば、労働契約を締結しない、締結した労働契約が規範に合っていない、任意に休日出勤や残業をさせ、労働時間を延長する、女性労働者の賃金の支払いを滞らせたりピンはねしたりする等々について、「規定」中には法定の罰則がなく、労働仲裁機構が労働者に法律的保護を提供するのが難しい。(「浙江代表団三十二名代表団聯名提出議案認為女工労保規定亟待修改」『中国婦女報』2000年3月15日)
 2002年には、全国総工会が、全国政協に、「女性労働者保護規定」を修正し完全にすることを建議する議案を提出しました。
 議案の内容は、「各種の違法行為に関する法律的責任を明確にし、法律執行主体の法律執行の権限・手続きおよび法律執行が不十分な際に負うべき法律的責任を明確して、たとえば、命令を下し責任を持って改めさせる、罰金、期限を決めて整頓ないし営業停止・粛正改正するなど各種の措置をとれるようにする」というものでした(「女職工労保機制亟待完善―椒江女嬰致畸案思考之一」『中国婦女報』2002年8月14日)。
 2003年には、全国婦女連が、「労働と社会保障部」に「女性労働者労働保護規定」の修正を行うことと、「労働法」の執行の力を強めることを提案しました(「この議案は今年の『両会』に正式に提出される」と報じられています)。その議案の内容については、以下のように報じられています。
 (まず、非公有制企業で女性労働者の権利が侵害されていることを指摘したのち)「こうした問題が生み出される主な原因は、現在ある法規制度が不健全で、『女性労働者保護規定』が全体的に現在の経済発展に立ち遅れ、使いにくく[可操作性差]、非公有制企業の特徴をまったく考慮していないために、法律のすきに乗じて、やり口を変えて女性労働者の権益を侵害する企業があることである。非公有制企業は地方経済の中で重要な役割を果たしているため、一部の政府は、いつも比較的寛大に取り扱う政策をとって、労資の紛争が発生したとき、地方経済の利益に対する考慮から、法律を執行する力が不十分で、持続的な監督と処罰のメカニズムが築かれておらず、一部企業が女性労働者の権益を無視する態度を助長している。
 このため、全国婦連は、労働と社会保障部に『女性労働者保護規定』を改正し、使うことができる条項を増やし、とくに非公有制企業の女性労働保護の特徴に焦点を当てて規範化をすすめ、行政処罰の力を強めることを提案する。企業に女性労働者の労働保護に一定の資金を投入させ、必要な施設と条件を作ることを要求すべきである。女性労働者の労働保護の状況に対する検査と監督を強め、健全で力のある労働監督のメカニズムを設立し、行政の法律執行の力を強める。同時に、非公有制企業の中に普遍的に労働・青年・女性組織を築き、企業の女性労働者の労働権益を保障する監察の隊伍を築き、女性労働者の利益を表すルートを作らなければならない。」(「女工労動保護法規滞后 全国婦聯提議修改」『中国婦女報』2003年2月25日)。
(4)「“《女職工労動保護保護条例》修改討論会”簡介」『中国婦女研究会会議簡報』2008年第2号(2008年12月24日)[全国婦聯婦女研究所&中国婦女研究会のサイトで読めるが、現在サイト改修中]9-10頁。
(5)国務院召開《女職工労動保護条例》修改工作専家座談会」中国工会網2009年10月27日、「女職工労動保護条例将修訂 痛経休假等成焦点」新華網法治頻道2009年10月28日。
(6)昨年、鄭州大学工会女工委員会が提出した意見(「我校女工委召開《女職工労動保護条例(修訂草案)》徴求意見会」2008.6.10、鄭州大学HPより)。
(7)「“《女職工労動保護保護条例》修改討論会”簡介」『中国婦女研究会会議簡報』2008年第2号(2008年12月24日)9頁。
(8)《女職工労動保護条例》面臨修改 将更細化 懲罰要明確」『新民晩報』2009年11月16日。
(9)「“《女職工労動保護保護条例》修改討論会”簡介」『中国婦女研究会会議簡報』2008年第2号(2008年12月24日)、「女職工労動保護与性別平等――《女職工労動保護条例》(修訂草案)討論会綜述」『婦女研究論叢』2009年1期。
(10)本刊編輯部「女職工労動保護与性別平等――《女職工労動保護条例》(修訂草案)専題討論」『婦女研究論叢』2009年2期。この討論には、呂鴻雁「女職工労動保護立法的重点問題」、蒋月娥「修訂《女職工労動保護規定》応処理好幾個関係」、李瑩「修改《女職工労動保護規定》応体現的立法原則和精神」、馬憶南「“女性禁忌従事的労働”再思考」、劉明輝「関注女職工職業禁忌的負面影響」、潘錦棠「建立女職工労動保護費用分担機制」の各文を含みます。また、同じ号には、劉伯紅「中国社会転型期的女職工労動保護」も収録されており、これは、注(9)の文献の記述と照らし合わせると、前年12月の討論会での発言に近い内容であることがわかります。
(11)生育保険については、沙銀華「出産育児保険」(中国研究所編『中国は大丈夫か? 社会保障制度のゆくえ』創土社 2001)に詳しい。
(12)哺乳時間有法律保護多数母親不知」『中国婦女報』2008年9月23日。
(13)孩之寶・麥當奴・美泰和迪士尼如何製造玩具? 中國外資玩具廠工人権益及職業安全与健康問題報告」基督教工業委員会HP
(14)この文言は、現行の「規定」の11条にあります。全国総工会女職工部副部長の張青さんは「現在の形勢に合わない条項は削除した」と述べていますから(『中国婦女研究会会議簡報』2008年第2号、9頁)、あるいはこの条項は削除されたのかもしれません。
(15)“保護”転為“授権”法制進歩的標誌 専家熱議《女職工労動保護条例》修訂」『中国婦女報』2009年11月12日。
(16)我校女工委召開《女職工労動保護条例(修訂草案)》徴求意見会」2008.6.10(鄭州大学HPより)
関連記事

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://genchi.blog52.fc2.com/tb.php/286-f08d0dd5
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | HOME |  »

プロフィール

遠山日出也

Author:遠山日出也
 検索から来られた方へ:このブログの記事を分類した一覧である「『中国女性・ジェンダーニュース+』記事総覧」を見ていただくか、下の「カテゴリー」欄を使われると、関連情報がご覧いただきやすいと思います。最近の行動派フェミニストについては、「中国の行動派フェミニスト年表、リンク集」をご覧ください。
 また、「中国女性・ジェンダー関係主要HPリスト」(リンク集)も併せてご覧いただければ幸いです。日本の問題の一部は、「ウィメンズ・アクション・ネットワーク(WAN)の労働争議・まとめ」や「館長雇止め・バックラッシュ裁判」でまとめています。
 恐れ入りますが、スパム対策などのため、コメントは私が拝見した後で表示させていただきます。
 私への連絡はこちらまで

最近の記事

月別アーカイブ

カテゴリー

最近のトラックバック

最近のコメント

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

リンク

このブログをリンクに追加する

RSSフィード