2017-10

来春にもDVに関する初の保護命令?

 「女性に対する暴力撤廃国際日(11月25日)」の前日の11月24日、北京で、北京大学法学院女性法律研究・サービスセンターと北京紅楓女性心理カウンセリングサービスセンターという2つのNGOが合同で「中国反DV法律救助・心理救助フォーラム」を開催しました。

 この席では、夫の暴力によって右目を奪われた、湖北省利川市で農業をいとなむ夏紅玉さんの涙の訴えがありました。
 2004年の12月、産後17日しかたっていない21歳の夏さんが、寝室に入って休もうとしたところ、夫も一緒に入ってきて、セックスを求めました。
 夏さんは、子どもを産んだばかりだったこともあり、それを断ると、夫はかっとなり、妻が寝入ったのに乗じて、布団で彼女の口をふさいだうえで、妻の右目にドライバーを突き刺して、失明させました。もちろん妻は病院に送られましたが、右目の眼球は摘出せざるをえませんでした。

 夫は懲役8年に処せられるとともに、夏さんに対する賠償を命じられました。
 しかし、夫には賠償する金がないという理由で、賠償はされておらず、夏さんは義眼を買うこともできません。義援金なども寄せられましたが、義眼を買うには足りません。
 夏さんは、「義眼を買う」という小さな、しかしなかなか実現できない願いを上のフォーラムで訴えたのです(こうしたケースは多いので、中国でも国家賠償制度を求める動きがあるようです)。

 その一方で、このフォーラムでは明るい話題も伝えられました。
 それは、中国で初めてDVに対する保護命令が、来春にも内蒙古で出される見込みがあるとのことです。
 北京大学法学院女性法律研究・サービスセンターの主任の郭建梅さんが、このニュースを伝えました。

 中国でも婚姻法や婦女権益保障法の中にDVを禁止する規定はあるのですが、まだ単独のDV防止法はありません。各省や市で出されている地方的な法規としては、DVを禁止する単独の法規もありますが、それらにも保護命令制度はありません。

 しかし、北京大学法学院女性法律研究・サービスセンターによると、保護命令を出すことが法律で禁止されているわけではなく、また裁判官には裁量権があるから、保護命令を出すことも可能だということです。
 郭建梅さんによると、現在すでに、センターが、内蒙古自治区の婦連や裁判所と協力して、保護命令を出すことを試験的にやっているそうです。
 具体的には、裁判所の判決や調停の中に、保護命令に当たる内容を書き込んで法律的な効力を持たせるようにするとのことです。
 ここらへんの詳しい事情は私にはわかりませんが、さまざまな模索がおこなわれていることは確かです。

資料
 「在反暴力日期間,因丈夫施暴而痛失右眼的夏紅玉,悲切地発出呼声 她渇望再生明亮的眼睛」『中国婦女報』2006年12月5日
 「中国第一個家暴保護令有望在内蒙古出台」『中国婦女報』2006年12月7日
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