2017-07

中国各地で反ホモフォビア・トランスフォビア・デーの活動

 5月17日、中国でも、いくつかのところで、国際反ホモフォビア・トランスフォビア・デー(International Day Against Homophobia & Ttansphobia, IDAHO)(Wikipediaの説明。今年から反トランスフォビアが加わった)の活動がおこなわれました。

1.北京──大学生が自転車隊を組んで、各大学で宣伝

 北京では、16名の大学生が自転車隊を作って、国際反ホモフォビア・トランスフォビア・デーの宣伝活動をしました。彼らは、「同愛無国界(Love Knows No Border)」という字句が書かれた、揃いのTシャツを身にまとい、レインボーフラッグを掲げて、北京の7カ所の大学を回りました。各大学のボランティアの70人あまりも、この活動に加わりました。ボランティアには、LGBTの学生も、そうでない学生もいました。

 ボランティアたちは、国際反ホモフォビア・トランスフォビア・デーを紹介するカードや『同性愛のABC』というパンフ(1)など、宣伝物5000部あまりを配布しました。また、「同性愛者を理解し、差別に反対し、調和を築こう」と書かれた幕を準備して、そこに、署名をしてもらったりもしました。

 今回の活動は、中国大陸初の、国際反ホモフォビア・トランスフォビア・デーをテーマにした活動だと言われています(2)。ただし、中国大陸の他の場所でも、以下で述べるように、ごく小規模な活動はあり、その中には、以前からおこなわれていたものもあります。

(1)『同性恋ABC 関于性別和性傾向的基本知識与問答(同性愛ABC ジェンダーと性的指向に関する基本的知識と問答)』(PDFファイル)。このパンフは、「同性愛小辞典」と「よくある質問と答え」から構成されています。
 「同性愛小辞典」では、たとえば、「同志」という言葉について、「男女の同性愛、バイセクシュアル、トランスジェンダーの人々の別称。香港の監督の林奕華によって1989年に初めて使用が唱えられ、『志同道合(志と信念を同じくする)』を意味し、それによって社会の『同性愛』のスティグマ化に対抗する」と説明してあります。「同志」は、辞書などでは、(「志を同じくする者」という意味以外に)「同性愛者」と書かれている場合が多いのですが、やはり「LGBT」と訳したほうが良さそうです。「北京同志文化活動中心」の英訳も、「Beijing LGBT Culture and Activity Center」となっていますし。
(2)流動的彩虹――北京高校学生組自行車隊,支持“国際不再恐同日”」愛白網(2009-5-18)(写真多数)

2.南寧──レズビアンの人々が集団で献血

 中国にも「同性愛者は献血ができない」という暗黙のルールがあるそうです。広西蕾糸聯合社(Guangxi Les Coalition)のレズビアンの人々は、それに抗議する意味を込めて、集団で献血をしました。

 この活動を報告した記事では、「無言の抗議」と称されており、文中でも「ほほ笑みによって、その場の人たちに、私たちはレインボーの人だ! 私たちには献血する権利がある! 同性愛者=エイズではない! と告げた」と述べられていますので、公然と抗議したわけではないようです。といっても、写真を見ると、国際反ホモフォビア・トランスフォビア・デーのワッペンを付けたりしているので、少なくとも、「わかる人にはわかる」程度の意思表示はなさったのだと思います。

 広西省の南寧のようなところでは、大都市のように公然とした活動はできないということです。けれど、活動に参加した人は、「自分たちの活動で社会を変えていく」という意志を持った、ということだそうです。

 なお、同性愛者と献血の問題に関しては、日本でも同性と性交渉を持っている男性は禁止されており、それに対しては、さまざまな批判や抗議もなされてきました(全面的に否定する意見ばかりではないようですが)。ただし、日本の場合は、女性の同性愛者は最近、献血が可能になったようです。私は勉強不足で恥ずかしいですが、後日、また中国の問題も含めて報告したいと思います。

[資料]
Mis S「5.17“無声的抗議──広西蕾絲聯合社拉拉集体献血”」(2009-05-19)同語HP(写真多数)。著者のMis Sさんは、サイトも持っています。

3.広州──中山大学でフォーラム

 広州の中山大学ジェンダー教育フォーラムでは、当日の主催者2人が、国際反ホモフォビア・トランスフォビア・デーの由来やレインボーフラッグの由来、中国のLGBTQの活動の発展について語ったり、ジュディス・バトラー『ジェンダー・トラブル(性別麻煩)』のクィア理論について紹介しました。また、「なぜ必ず男/女という性別で世界を分けるのか?」「なぜ男の子は女の子と結びついてこそ正常と見做されるのか?」といった問題をみんなに投げかけました。

 また、呉幼堅さんを招いて、彼女が設立した同性恋親友会(Parents, Fammilies and Friends of Lesbians and Gays))の経験をお聞きしました。

 最後に、毎年このフォーラムがおこなっているように、キャンパスの芝生の上に、大きなレインボーフラッグを掲げました。

[資料]
李瑩瑩「牽手絵彩虹――性別和諧倡導日活動紀実」(2009-05-18)中山大学性別教育論壇HP

4.香港──デモの中で、宗教勢力に抗議してダイ・イン

 香港では、2005年から毎年おこなわれている国際反ホモフォビア・トランスフォビア・デーのデモが、5回目を迎えました。

 このデモのサイトでは、「この1年は、香港のLGBTとその平等のために闘う人々にとって、最も悲しい1年であり、性的指向による差別に満ちた1年だった!」と述べています。以下のようなことがあったからです。
 ・同性カップルをDV条例の対象にする改正が、何度も引き延ばされたこと。
 ・反LGBTのタリバン(原理主義者)がセクシュアルマイノリティを支援するNGOへの攻撃を強め、そのことがNGOの活動に困難をもたらしたこと。
 また、性別や障害、人種による差別を禁止する条例はすでに制定されているのに、性的指向による差別を禁止する条例が制定されていないことにも、怒りを強めています。

 今回のデモの主旨は、次の2点でした。
 1.香港政府に、すぐに、性的指向及びジェンダーアイデンティティに対する差別解消のための立法をすることを求める。
 2.差別のモンスターを打倒し、白色テロに反対し、私たちの平等に権利を実現する。

 デモには、約300人が参加し、白い布の上に横たわるダイ・インもおこなわれました。ダイ・インは、宗教勢力や立法会の委員が、同性カップルをDV条例の対象にすることに対して「同性愛を奨励するものだ」と言って反対するの行動を「白色テロ」に見立てたものだということです。

 You Tubeにいくつか画像も上がっています。
 IDAHO Hong Kong 2009「國際不再恐同日」香港區遊行
 黄毓民、長毛彩打虹手印國際不再恐同日 2009(黄毓民、長毛は、社民連の立法委員)
 社民連 黄毓民、長毛撑 國際不再恐同日 2009

[資料]
Hong Kong: 300 march to protest anti-gay legislators, demand equal rights」、「『第五届國際不再恐同日(香港區集会)』(IDAHOHK2009)遊行訪問片段」、「国際不再恐同日在香港:300人立法会抗議 促保障同志権益」愛白網(2009-5-17)(写真多数)
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