2017-05

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「長沙市反DV男性参与行動グループ」設立

 2月22日、湖南省長沙市で「長沙市反DV男性参与行動グループ(長沙市反家暴男性参与行動小組)」が設立されました。

 長沙市は1996年に「DVの予防と制止に関する若干の規定」(中共長沙市委辨公庁 長沙市人民政府「関于預防和制止家庭暴力的若干規定」)を作成した市です。この規定は、地方政府が最初に出した反DVの規範的文書[規範性文件](法律ではないが、各クラスの機関や団体が発布する制約力のある文書)であり、長沙市は早くからDV問題に取り組んできた市だと言えます。

 今年の2月3日、長沙市婦連は、DV反対のための男性のボランティアを募集しました(1)。30名の応募があり、長沙市婦連は、その中から17名を選出するとともに、DV反対活動の経験が豊富な女性3名を特別にグループに招請して、計20名で「長沙市反DV男性参与行動グループ」を設立しました。

 このグループは、今後、DV防止に男性が参与する道筋や方法を探索し、ジェンダー意識を広め、DVに反対する活動をおこなうということです。そのメンバーには、司法・行政機関の幹部、地域コミュニティ組織(社区)の幹部、弁護士、メディア関係者、大学の教員・学生、ソーシャルワーカーが含まれています。長沙市婦連は、彼らの持つ社会的なリソースや職業的特徴に期待しているとも報じられています。

 設立大会では、メンバーは口々に決意を述べました。たとえば、ある定年退職後の男性は、自作の「暴力をいさめる歌」を披露しました。また、ある地域コミュイティ組織(社区)の幹部の男性は、自らの経験から、警察に通報するだけでは限界があることを語り、「加害者の多くは男性だから、男性の方が意思疎通がしやすい」と述べました(以上、(2))。

 設立大会の後、メンバーに対して、中国法学会DV反対ネットワークの馮艶代表が研修をおこないました。馮艶さんがメンバーに「ジェンダーと男性性」「ジェンダーと暴力」「男性の反DVにおける役割と責任」や団体としての活動についてプレーンストーミングをおこない、メンバーは今後のグループの活動について議論しました(3)

 中国でも、これまで男性のDV反対の活動がなかったわけではありません。

 そうした活動は、以下のように、主に「ホワイトリボン運動(“白絲帯”活動、1991年にカナダで始まった国際的な男性の反DV運動)」の名の下におこなわれてきました。

 ・中国におけるホワイトリボン運動の最初の活動だと言われているのは、2001年2月、武漢市で百名近い男性が、武漢大学の社会学研究所の所長・周運清教授と全国婦連権益部長・丁露さんのDVについての講義を聴いたことです(4)。これが「ホワイトリボン運動」だと言うのは少し奇妙な感じですが、丁露さんは、取材に対して、「国外のホワイトリボン運動は男性公民の自発的な活動で、下から上へと展開したが、中国では、各面の条件の制限のために、ホワイトリボンの宣伝普及工作は、上から下への形式を取るしかなかった」と述べています(5)

 ・2002年10月には、河北省婦連がおこなった全省女性法律サービス(援助)機構基幹弁護士養成クラスにおいて、弁護士としてDV事件にかかわって、女性の苦しみを知った24名の男性弁護士が、ホワイトリボン運動を起こしました。彼らは「いかなる時、いかなる情況においても、いかなる家族のメンバーに対しても暴力をふるわない」「DVを予防・制止する行動に積極的に参加しよう」「DVの被害者の女性に対して援助の手を差し伸べよう」という呼びかけをし、自らもそう誓約しました(6)

 ・河北省では、同年11月25日に婦連の幹部と訓練を受けた弁護士が積極的に参与して、ホワイトリボン運動の高まりを起こしたといいます。具体的には、全省の11の市と130の県(市・区)、155の郷鎮、4大学の11万人が同時に大規模な署名活動をし、3.3万人が「DVの予防と制止は私から始める」という横断幕に自分の名前を署名し、そのうち2.8万は男性でした(7)。また、河北省政法幹部学院の大学生2000人余りが、「DV反対、家庭文明の提唱」を誓う儀式をしました(8)

 ・2002年11月には、北京で、30名余りの男性によって「女性に対する暴力に反対し、ジェンダー平等を促進する」男性ボランティアグループが設立されました。このグループも白いリボンを身に着けて、それまでのホワイトリボン運動と同様に、「女性に対する、いかなる形の暴力にも反対する」「女性に対してけっして暴力をふるわず、女性に対する暴力にけっして黙っていない」「暴力、とくにDVを受けている女性に対して援助をすることに最大限の努力する」「女性に対する暴力をなくし、ジェンダー平等を促進するために、自分がやるべきことを積極的にする」という提唱と誓約をしました。このグループのメンバーは、中国法学会DV反対ネットワークや婦連が反DV活動をしていた右安門街道の機関の幹部や住民、医者、大学教師、法律・メディア関係者でした。彼らは、「ジェンダー研修」を受けて、女性に対する暴力反対の宣伝の任務についたといいます(9)。しかし、このグループは、その後はほとんど活動していない(10)と指摘されています。

 以上から見ると、これまでの中国の男性のDV反対活動は、全体としては、婦連のイニシアがかなり強かったと言えます。また、その活動内容も、署名や誓約をすることによる決意表明や呼びかけが主で、グループとしては継続的な活動はしていないようです。

 今回結成された「長沙市反DV男性参与行動グループ」も、もともとは婦連の呼び掛けによるものです。自発的にボランティアを志願した人々ではありますが、社会的影響力が強い職業に就いている人が多い点は、2002年11月に北京で結成された男性ボランティアグループに近いようにも見えます。

 ただし、今回、長沙市婦連は、これまでの男性の反DVのボランティア組織が「持続性と行動力が普遍的に欠けていたという問題」があったことを認識しており、昨年の末から準備をすすめていました(11)。長沙市の今回のグループは、「ホワイトリボン運動」という形をとっておらず、何項目かの「提唱」や「誓約」「署名」をするということ形式もとっていませんので、これで終わりになることはないでしょう。また、活動経験のある女性3名をグループに含めており、研修の内容も今後の活動を含めたものなので、今後も、グループとしての活動がある程度期待できるように思います。

(1)長沙首招男性反家暴志願者 2月5日前報名」『長沙晩報』2009年2月4日。
(2)全国首個反家暴男性参与行動小組長沙成立」『長沙晩報』2009年2月23日、「反家暴“男性別働隊”成立」『瀟湘晨報』2009年2月23日、「男性反家暴志願者隊伍在長亮相」『湖南日報』2009年2月23日、「長沙市婦聯成立反家暴男性参与行動小組」(長沙市婦聯権益部)2009-2-23(中国法学会反対家庭暴力網絡HP)、「我市家暴男性参与行動小組成立会図片新聞」2009-2-23我們婦女網(長沙市婦聯HP)[←写真多数]
(3)長沙市反家暴男性参与行動小組培訓影像」(長沙市婦聯権益部)2009-2-24(中国法学会反対家庭暴力網絡HP)[←写真多数]
(4)「聯合国“白絲帯”活動在武漢首次開課 百名男性聴反家庭暴力課」『中国婦女報』2001年2月17日。
(5)譲“白絲帯”永遠飄起来 全国婦聯与聯合国婦女基金会聯手宣伝反家庭暴力」『北京青年報』2001年3月8日。
(6)河北省婦聯権益部「河北省婦聯組織“白絲帯”活動」『項目通訊』第14期
(7)河北省婦聯権益部「促進地方立法」『項目通訊』第20期
(8)倡揚家庭文明 反対家庭暴力――河北各界群衆・大学生加入“白絲帯”活動」『項目通訊』第15期。
(9)30名好丈夫佩上白絲帯 我国首個反家暴男性志願小組在京成立」『京華時報』2002年11月30日(人民網)、「“反対針対婦女的暴力,促進社会性別平等”男性志願小組倡議書」『項目通訊』第15期。
(10)方剛『男性研究与男性運動』(山東人民出版社 2008年)174頁。
(11)男性参与反家暴的現実和期待」2009-2-14(長沙市婦聯網站)(中国法学会反対家庭暴力網絡HP)
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