2017-11

女性の同性愛者・バイセクシュアルの状況調査

 女性の性の権利のための組織である「ピンクスペース文化発展センター(粉色空間文化発展中心)」が、このたび「2008女性同性愛者・バイセクシュアル生存状況調査報告(《2008女同性恋・双性恋生存状況調査報告》(徴求意見稿)」をまとめました(調査用紙は、「女同状況問巻調査2008(ワードファイル)」です)。

 この調査は、2008年の2月から10月までに、20歳─50歳の80人余りの女性の同性愛者やバイセクシュアルの人々を対象におこなわれました。調査対象者は、北京・天津・秦皇島・北戴河・邯鄲・長春・鞍山・威海など9つの都市に住んでいる女性で、バーやレズビアンサロンに出入りしていて、自分がレズビアンだという自覚を持っている人が大多数だということです。

 以下、その結果を簡単に紹介します。

1.カミングアウト
 自分の性的指向をカミングアウトした──友達や同級生に:24人、父母に:13人、兄弟姉妹に:4人、親戚に:1人、同僚に:1人。誰にもしていない──33人。

 カミングアウトの原因……多くの人が「本当の自分になりたくて」カミングアウトするが、家族から結婚を迫られるなどして、しかたなくカミングアウトする人もいる。
 カミングアウトの言葉……大多数の人は「私は女が好きです」「私は男は好きではありません」である。「同性愛(同性恋)」という言葉を使う人は少ない。「同性愛」という言葉は、周囲の抵抗が大きい。「レズビアン(女同、拉拉)」は、同性愛コミュニティ内部の言葉で、外部の人は、そうした身分的な認知がない。
 カミングアウトに対する反応……反対、驚き、不信、好奇、無理解。黙認・受け入れる人もいる。少数の人は理解・支持する。殴られた人もいれば、曲折を経て受け入れられた人もいる。
 カミングアウトしない……カミングアウトしない人の理由は、「性的指向を他人に言う必要はない」、「度胸や機会がない」、「国情が許さない」などである。

2.婚姻と子ども

 異性婚姻……18人は結婚しているか、かつて結婚しており、28人は未婚(その他の人は未回答)。未婚のうち、12人は結婚の圧力を受けている。
 形式的婚姻(結婚の圧力から逃れるために、ゲイとレズビアンが形式的に結婚すること)……43人が支持し、21人が反対。反対の人は、財産や子どもの紛争を恐れていたり、父母を騙すことが嫌だったり、同性愛者であることを隠すことが嫌である。また、一部の男性同性愛者はバイセクシュアルであり、結婚後に女性にセックスを強要する。
 同性婚……64人が支持。3人は、「愛情があれば婚姻は不要であり、婚姻は愛情を踏みにじる」と思いつつ、異性愛者との平等という意味では支持。同性婚を支持する人も、約半数は同性のパートナーとの結婚を望んでいない。このことは、同性婚に対する支持は、個人の願望というより、異性愛者との平等を求めるからであることを説明している。
 子どもの養育……無回答が多いが、15人は、子どもは要らないとし、15人は、子どもがほしいと思っている。
 子どもに対するカミングアウト……子どもに言うべきだとする人が5人、言うべきでないとする人が6人。

3.性と健康

 性のパートナー……(これまでに)0─1人:6人、2-3人:22人、4-6人:12人、9人─:12人。
 一夜の恋……反対:45人、支持:14人、反対も支持もしない:7人。
 愛と性……性には愛が必要:45人、愛がなくとも、性はありうる:21人。
 気を誘う言葉……言語が好き:52人(要你、fuck、親愛的、小祖宗、など)。
 性のテクニック……性のテクニックを学ぶ必要があると思う:52人、その必要はない:19人。
 マゾヒズム……嫌い:52人、好き:6人、反感はないが、やったことはない:16人。
 (女性どうしの)ポルノグラフィー……見るのが好き:37人、どちらでもない:18人、見たことがない:12人。
 レズビアンとエイズ……レズビアンはエイズにならない:32人、なるかもしれない:29人。

4.社会的な差別と組織の設立

 社会的差別……「差別されたことがない」:56人(80%)、「ある」:8人(11%)。「社会を改善する必要があるか」という問いに対しては、「ない」:24人、「ある」:12人、未回答:22人。
 コミュニティ組織……多くの人が、レズビアンのコミュニティ組織を設立して、権益を守ったり交友の機会を作るべきだと回答した。

《状況分析》

1.レズビアン文化を創造し、社会的認知を高めよう

 一部のレズビアンは、カミングアウトして、家族や社会の理解と支持を得ている。けれども、レズビアンに対する無理解、差別、殴打、迫害などの状況があるので、多くのレズビアンは本当の自分になることができない。

 同性愛運動や同性愛映画(同志運動、同志電影)は、同性愛者という身分に積極的な意味を持たせた。映画「断臂山」(ブロークバック・マウンテン、李安監督)によって、「断臂」という言葉が流行した。しかし、「同志」や「断臂」という言葉は、男性の同性愛者の表象である。レズビアンが、カミングアウトのときに、「私は女が好きです」「私は男は好きではありません」と言うのは、レズビアンがまだ正式の身分の言葉になっていないあらわれである。多くのレズビアンは、一方では異性愛の覇権の圧迫を受け、もう一方では女性として男性の覇権の抑圧を受けて、自らの性の欲望や権利を実現することができないでいる。

 このような状況は、レズビアンの組織の出現により変わりつつある。2006年にはレズビアン雑誌『LES+』の刊行が始まり、2008年には上海女愛小組がレズビアンの口述史である『她們的愛在説──愛上女人的女人』という書籍を出版した。いくつものレズビアンサイトや十数本のレズビアンホットラインもできた。しかし、さらにレズビアン自身の文化と歴史を推進・宣伝し、公衆に影響を与え、社会を変える必要がある。

2.伝統的性観念を打ち破り、女性の性の健康を提唱しよう

 みんなが性の知識や性のテクニックを学びたいと思っているのに、それらを提供するところはほとんどない。このような状況は、レズビアンが性の快楽を享受するのを妨げているだけでなく、自らの性の健康を保護するうえでも不利である。

 伝統的な性観念は、性は男が享受するもので、女は男にサービスするものだと考えている。女性が性を論じ、享受し、しかも男なしで性を享受することは、伝統的な性観念に挑戦することである。

 エイズについて語られるときも、レズビアンは無視されている。しかし、レズビアンも実際には結婚している場合もある。また、レズビアンどうしの性行為でエイズが感染することもある。こうした知識を、衛生の専門家やレズビアンのコミュニティに普及させ、自分たちを守る必要がある。

3.コミュニティの動員を強め、社会的差別に反対しよう

 レズビアンはさまざまな差別(カミングアウトをめぐる圧力、結婚の圧力、子供の養育などの面で)をされているにもかかわらず、11%の人しか「差別されたことがある」と答えていない。これは、差別があるために、レズビアンが自分の性的指向を隠さざるをえないので、レズビアンの存在や社会的差別が目に見えなくされているからである。レズビアンコミュニティの内外で議論を起こして、レズビアンに対する社会的差別を目に見えるものにしよう。
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