2017-08

『中国婦女報』による「2008年10大女性ニュース」

 今年の元旦の『中国婦女報』に、編集部が選んだ2008年の10大女性ニュースが掲載されていました(「本報編輯部評出十大女性新聞」『中国婦女報』2009年1月1日)。

 私は、この10大ニュースの選び方やコメント(以下に、その概略を書きました)を読んで、『中国婦女報』は、やはり根本的には体制派の新聞だとあらためて感じました。

1 2人の女性農民労働者が初めて全人代の代表に当選

 2008年3月に招集された全国人民代表大会において、上海から来た朱雪芹と広東仏山から来た胡小燕の2人の打工妹(出稼ぎの若い女性)が、初めて全人代の代表という身分で最高国家権力機関に入った。このことは「国家権力機構の変化を体現しているだけでなく、農民労働者の政治的地位の実質的向上を示している」。

2 障害者の女の子の金晶が、体で聖火を守る

 4月7日、パリで、北京オリンピックの聖火リレーがチベット独立分子の妨害にあった。車椅子に乗った金晶は突然の襲撃に対して「両手でしっかりをトーチを抱き、障害を持った弱い体でオリンピック精神を守り、その場にいたあらゆる人の心の琴線に触れた。金晶は、その行動によって祖国のために栄誉を勝ち取った。」

[資料]
・「聖火リレー“妨害”にも負けず…『車椅子の天使』が人気沸騰」(スポーツCHINA~体育中国 2008年4月10日)
・「聖火リレーでトーチを守り中国国内で絶賛され、バッシングも受ける金晶さん」(話題の人登場[深川耕治]2008年4月22日)。

3 汶川地震で、中国の女性の勇敢さと優しさが世界を感動させる

 5月12日、四川の汶川で起きた地震のとき、「中国の女性は勇敢に、かつ力強く『天の半分』の責任を担い、女性特有の優しさによって、情け容赦ない天災に抵抗・反撃した」。46名の生徒を救出した女教師、婦連や広範な女性の救援活動、婦連が組織したボランティア、各地の「代理母親」などなど。

4 北京オリンピック・パラリンピックが成功し、中国の女性選手がすばらしい成績を収める

 北京オリンピックで、わが国は100個のメダルを獲得したが、そのうち女性選手が58個を取り、「中国選手団が初めてメダル数でトップの座を取ったことに不朽の功勲を立てた」。北京パラリンピックでは、中国選手団は金メダル数でもメダル数でもトップだったが、女性選手がすばらしい成績だった。

5 中央宣伝部・公安部・全国婦連など7つの部門がDVの予防と制止に関する意見を出す

 →本ブログの記事「『DV防止のための意見』を公布」参照。

6 三鹿の粉ミルク事件が、母乳育児の難題を浮かび上がらせる

 9月初め、甘粛などの地で、多くの赤ちゃんに腎臓結石が多発した。そうした赤ちゃんは、三鹿集団のメラミンに汚染された粉ミルクを飲んでいたことがわかった。三鹿の粉ミルク事件は、食品の安全の問題に警鐘を鳴らすとともに、「もう一つの社会問題を明るみに出した。なぜ母乳育児はだんだん少なくなっているのだろうか? この事件が起きた後、ますます多くの保護者が赤ちゃんのために伝統的な母乳育児を開始した」。

7 各地の村民委員会の選挙において、女性委員の専職専選モデルが推進される

 →本ブログの記事「村民委員会における女性」参照。

8 中国婦女第10回代表大会が北京で開催され、陳至立が全国婦連主席に当選

 →本ブログの記事「中国婦女第10回全国代表大会(1)──規約改正」、「中国婦女第10回全国代表大会(2)──活動報告」、「中国婦女第10回全国代表大会(3)──女性の期待と大会」参照。

9 世界的な金融危機の下で、帰郷した女性の就労や創業の問題が大きな関心を呼び起こす

 世界的な金融危機の下で、多くの出稼ぎの女性が帰郷し、創業の難度が増加した。12月29日に北京で開催された「2009年就労サービス系列行動」の始動式の席上、全国婦連は「各クラスの婦連は、帰郷した女性の創業や就業の推進を一つの重要な任務にしなければならない」と表明した。

[資料]
 「関于開展2009年就業服務系列活動的通知(人社部発[2008]116号)(2008年12月19日)」(中国網2009-01-05)、「六部門啓動2009年就業服務系列活動 全国婦聯将重点指示務工婦女返郷創業及女大学生・失業失地婦女就業」『中国婦女報』2008年12月30日。

10 妊婦の李麗雲の死亡事件は論争を巻き起こしたが、問題を解決する立法が有望である

 12月23日に全国人民代表大会の常務委員会で2回目の審議をした権利侵害責任法(侵権責任法)の草案の中で、「危険な状況の患者を応急措置をするなど緊急の状況において、患者あるいはその近親者の同意を得るのが難しいときは、医療機構の責任者の承認を経て、ただちに適切な医療措置をとることができる」と規定した。

 2007年11月21日、北京で、家族が署名を拒絶したために、妊婦の李麗雲と腹中の胎児が2人とも死亡した事件は全社会的な論争を巻き起こした。権利侵害責任法は、患者と医療関係者の権益を守るものである。


 *私は、の「国家権力機構の変化を体現しているだけでなく、農民労働者の政治的地位の実質的向上を示している」というのは、あまりにも過大な評価だと思いますし、は、「障害者の女性」ということを悪用しているとしか思えません。は、災害におけるジェンダーという視点や女性NGOの活動に触れていないのは一面的で、むしろ既成の女性役割を肯定しています。は、明らかにナショナリズムでしょう。について言えば、母乳育児に関してもう少し多面的に考えなければ、母親の私的な努力に問題を委ねることになると思います。については、金融危機の影響で女性労働者が失業に追いやられていること自体は問題にせずに、後追い的、尻拭い的な対策をしている感が免れません。
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