2017-05

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2008年「中国10大セックス/ジェンダー事件」

 この12月に、全国各地の青年学者14名が、今年起きたセックスとジェンダーに関する10大ニュースを選びました。その14名とは、方剛、趙合俊、張玉霞、胡曉紅、黄燦、李扁、彭濤、裴諭新、沈奕斐、徐兆寿、楊柳、遠小近(薄叢)、張敬婕、張静の各氏です。ニュースの選定に当たっては、たんに話題になった事件を選ぶのではなく、性の権利やジェンダー平等の理念を推進するという観点から選び、それゆえ、コメントも付けたということです(「2008年“中国10大性/性別事件”評選結果公告」)。

 以下、おおざっぱに紹介します。「*」は、選者のコメントとして書かれている内容(のうちの一部)で、「←」は私の追記です。1~10の順番は、事件の発生順だということです。

1.「艶照門」事件

 2008年初め、香港の女性芸能人の性行為を撮影した写真がネット上に大量にばらまかれた。←この事件については、アジア女性資料センターHPに「香港:女性芸能人のプライバシーを守れ」という記事が日本語で出ています。その記事は、香港の新婦女協進会の「不再侵犯私隠、停止道徳審判」という署名も紹介しています。

 *この事件は、ネットの違法な性暴力事件、集団的盗視事件であるとともに、性差別事件でもあった。女性芸能人が性に関する二重規範によって裁かれた。

2.《色・戒》の風波と封殺令

 3月初め、映画《色・戒》(ラスト・コーション)のヒロインの湯唯(タン・ウェイ)が、その中の全裸シーンのために、国家放送映画テレビ総局(国家広播電影電視総局)に封殺された(←彼女のテレビCMの放送が禁止されたことを指していると思われる。ただし、この点については、彼女の役柄が日本の軍事政権のスパイのボスを愛する女性であったことが原因だったとも言われている)。

 2007年12月29日、国家放送映画テレビ総局が「色情映画の製作と上映を禁止することに関する通知(関于禁止制作和播映色情電影的通知)」を出し、《苹果(りんご)》(ロスト・イン・ベイジン)が「色情映画」としてやり玉に挙げられた。3月21日には、「色情映画の製作と上映の禁止を重ねて声明することに関する通知(関于重申禁止制作和播映色情電影的通知)」が出された。その中で起きた事件である。

 *またも現在の文化管理モデルの悪弊が明らかになった。争点の一つは、映像管理の基準である。たとえば、「エロは禁じて暴力は禁じない」というアンバランスがある。また、湯唯のCMを禁止するのは公権力の乱用ではないかという問題、湯唯の恋愛やセックスの問題をあれこれ取り上げたメディアの問題などもある。

3.「守貞課」事件

 4月11日、浙江大学が「守貞課」という講義を開設し、大学生の婚前の性行為禁止を唱えた。そのことに対して社会的な論争が起こり、「守貞性教育」理念と「安全性教育」理念とが対立した。

 *「安全性教育」は、「守貞」に反対するわけではなく、守貞に代表される禁欲的な性教育の理念に反対するのであって、多元的な性情報を提供し、性の主導権を青少年に返すことを主張する。この事件に関する論争は、中国で開放的で開明的な性教育を推進する助けになった。

4.三亜のヌーディストビーチおよびヌーディズムに関する論争

 7月、三亜に自発的にヌーディストビーチが出現し、性学者の方剛がブログで公のヌーディストビーチの設立を呼びかけたため(→「支持並強烈呼吁設立裸体海灘!」「設立裸体海灘,有助于建設和諧社会!」など)、社会的な論争になった。支持者は、「少数者の権益の保護」を言い、反対者は「公序良俗を損なう」と主張した。

5.中国初の「セクハラの刑事処罰」

 この事件については、本ブログの記事「セクハラで初の刑事処罰」を参照(注)

 *これは、典型的な誤報事件である。改正後の「婦女権益保障法」は確かに「セクハラ」を規定したが、同法の58条は、セクハラを治安事件あるいは民事事件として規定している。この事件は、刑法に以前からある「女性に対する強制わいせつ罪」によって起訴され、処罰されたものであり、「セクハラ」や「婦女権益保障法」とは全く関係がない。

 (注)私のブログの記事では、「この事件について、多くの中国メディアは、『国内で初めて「セクハラ」によって刑罰に処せられた事件である』と報じました」という書き方をしています。また、私は「判決の中には、『セクハラ(性騒擾)』という言葉はまったく出てきません。というのは、婦女権益保障法の中には『女性に対してセクハラをすることを禁止する』といった文言しかなく、これは、刑事処分の根拠になるようなものではないからだそうです」とも書いています(この点は、「“首例性騒擾判刑案”曝盲区」[『青年周末』2008年7月24日]という記事の中にそのような指摘があったからです)。しかし、私は、当時、ずばり誤報であるとは指摘できせんでした。また、記事のタイトルを、引用符も何もつけずに、「セクハラで初の刑事処罰」としたのは問題でした。この点、お詫びするとともに、訂正します。

6.南陽のネチズン(網民)がポルノグラフィをダウンロードして、警察から罰金を取られた

 南陽市民の任超奇がインターネットからポルノグラフィ(色情品)をダウンロードしたために、インターネット警察から罰金を取られた。任超奇は行政に再議を求めたため、任超奇の行為が違法であるか否かが議論になり、警察は罰金を撤回し、批判・教育に改めた。

 *インターネット警察を支持する人は、「コンピュータ情報ネットワーク国際インターネット安全管理規則」(計算機信息網絡国際互聯網安全保護管理辨法、1997年公布)の規定を引用し、反対する人は、公権力の私人の領域に対する侵犯だと主張した。公民がポルノグラフィ(色情品)を得ることが保護に値する情報権であるか否か、法律を改正すべきか否かという問題も今後に持ち越された。

7.婚姻に失意した女性が連続して自殺

 10月、北京体壇週報の女性編集者・李穎河が自殺し、ほどなくして、貴州の一テレビ局の責任者(主持)の余静も自殺した。聞くところでは、二人とも夫との愛情の問題が原因だという。

 *この事件は、依然として男権社会において女性は弱者であって、女性が婚姻や愛情に自己の価値を見いだしていることを示した。

8.中国政法大学の教授が学生に刺殺される。この事件は男女関係のスキャンダルによるものだと伝えられる。

 10月28日、中国政法大学の副教授が男子学生に刺殺された。伝聞によると、その副教授は、男子学生のガールフレンドと関係していたためだという。その伝聞が正しいかどうかは証明されていないが、教師と生徒の恋愛について議論になった。

 *教師と学生とは不平等な権力関係だからという理由で、両者の恋愛は否定的に見られてきたが、学生の自主的な選択を尊重すべきだという見方もある。この事件は、また、性がなぜ男性の尊厳と結びついているのかを考えさせれられる出来事でもあった。

9.政府高官が女児に猥褻な行為をした嫌疑を受けた事件

 10月某日、深圳市海事局の党グループの書記であり、副局長である林嘉祥が11歳の女児に猥褻な行為をしたことが疑われた。林は女児の父親に責められて、暴力をふるった。深圳の警察の調査では、林の行為は猥褻には当たらないとされたが、女児の父母は警察の調査結果を受け入れないという声明を発表し、警察に対する批判が高まった。

 *林の行為は、刑法上の児童猥褻には当たらないが、少なくとも治安管理処罰法の児童猥褻である。警察は、林の「動作が不当で」「行為に慎重さを欠いた」ことを認めながら、それを、「小さな女の子に対して善意と謝意を示した」ものだと認定したのは、非常におかしい。この事件は、社会的権力の欲望の膨張とジェンダー意識の薄さとの矛盾を反映している。また、政権意識と民衆の合法権益(性の権利を含む)との深刻なアンバランスを反映している。この事件はまた、司法過程の問題や官僚主義、官僚の腐敗の問題を示した。

10.「北京市『婦女権益保障法』施行規則[弁法]」(修正草案)が一般から意見の募集を開始

 12月、「北京市『婦女権益保障法』施行規則」(修正草案)に対して、ネット上で一般から意見の募集が始まった。この規則のうち、とくに次のような規定が注目された。
 ・女性労働者がセクハラにあったら、使用者が予防や制止の措置を講じていなければ、連帯して賠償の責任を負わなければならない。
 ・DVは社会的治安総合管理の範囲に入り、加害者に対して行政処分を科しうる。
 ・女性の部[処]クラス以上の指導者と女性の高級知識分子の定年を延長する。

 *この草案は、婦女権益保障法を執行する役に立つ。けれども、依然として女性を区別して対処するという現象がある(定年問題)。
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 また、「中国女性・ジェンダー関係主要HPリスト」(リンク集)も併せてご覧いただければ幸いです。日本の問題の一部は、「ウィメンズ・アクション・ネットワーク(WAN)の労働争議・まとめ」や「館長雇止め・バックラッシュ裁判」でまとめています。
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