2017-08

同性愛者の妻のための電話相談

 ピンク空間文化発展センター(粉色空間文化発展中心/Pink Space Culture and Development Centre)という、とても小さなNGOがあります。このセンターは、ウェブサイトを見ると、今年から活動を始めたようですが、「女性の性の権利」についての活動家が設立したものです。設立の趣旨は「性の文化がもたらす差別と偏見を打破し、平等で多元的な新しい型の性の文化を創り出すことにある」そうです。彼女たちは、そのための研究や討論をするとのことで(「関于我們」)、たとえば今年の3月から、女性同性愛者の状況についてのアンケート調査をおこなっています(「粉色空間進行女同状況問巻試調査」、「粉色空間正式開始女同状況問巻調査」、「女同状況問巻調査2008[アンケート用紙(ワードファイル)]」)。

 このセンターは、今月から、同性愛者の妻のための電話相談(同妻熱線)を開設しました。

 この電話相談と関連して、センターのサイトには「私の夫は同性愛者だった」(「我的丈夫是同性恋」)という文章が掲載されています。この文章には、同性愛者の夫と結婚した妻の苦悩が詳しく述べられています。

 その妻(孟さんといいます)は、結婚してから8~9年もの間、夫が同性愛者ではないかと疑い、苦しんできました。夫は妻との性生活にはきわめて冷淡な一方、何人かの男性とは大変親密で、家にも泊まらせ、ときに同じベッドで寝たりしているようだったからです(孟さんは、最後には、パソコンの記録によって夫が同性愛者であることの確たる証拠をつかみます)。夫は、性的能力がなくて妻と性生活を送らないのではなくて、妻に対する愛情そのものがないというのが、孟さんにとって苦痛でした。

 夫は、暴力も何度か孟さんに振るいました。「夫は私を殺そうとしている」と感じたこともあったそうです。暴力が子どもに向けられることもあって、子どもも夫の前ではのびのびできないので、孟さんは離婚を決意しました。けれども、夫は承諾せずに、「おまえに思いやりがなかったから、俺が同性愛になった」などと言います。孟さんはうつ病になってしまいました。離婚の際にも、夫が家や財産を「自分のものだ」と主張するなど、さまざまな苦労がありました。ただし、孟さんも、夫が、自分が同性愛者であることを恥ずかしがって、自らを卑下する心情になっていたこと(父母にも言えないことなど)には同情したようです。

 孟さんは「現在は同性愛が水面に浮上して、みんなが彼らを助けているが、私たちのような人が受けた傷は、実は彼らよりもずっと大きい。けれど、みんなは、こうしたことを認識していない。男権社会だから、中国の女性は値打ちがないのだ。」「まず、私たちのような人が存在していることを知ってほしい。次に、結婚していない同性愛者は、もう結婚しないでほしい」と訴えています。ただし、孟さんは同時に、「同性愛者に対する差別をなくして、同性愛者も結婚する権利を持てるようにすべきだ」ということも主張しています。

 「男性の同性愛者」と「同性愛者の妻」のどちらが傷つけられいているかという点は、ケースによるのでしょうが、後者の場合は、女性としての抑圧も絡まることがあるので、後者の立場からも結婚制度のあり方・是非を問う視点は重要だと思いました。

[付記]
 先日、「レスビアンのためのネット商店が抹消される」とお伝えしましたが、その後、復活させることができたようです(「贏了!!! 噢耶!!!」)。人民網にも下のような記事が掲載される時代ですので、当然のことと思います。

 10月11日と12日、北京林業大学で、方剛さんが司会して、異性装愛好者と性転換者、男性同性愛者、女性同性愛者が1人ずつ、体験談を講義しましたが、このことは人民網の日本語版にも掲載されました(「異性装、同性愛者、大学授業で『体験を講義』(1)」「(2)」。カミクズヒロイさんのサイトで知りました)。方剛さんのブログには、カラー写真入りで出ています(「性少数人高校現身説法紀実」、「新京報文章:易装恋男子進大学講課」)
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