2017-10

村民委員会における女性

 最近発表された、北京工業大学の銭王呈さんの調査報告「北京東部の農村女性が村民委員会に入る状況の調査および対策の分析」は、農村の女性が政治に参加することが困難な状況を明らかにしました(村民委員会というは、農村の自治組織ですが、政権の末端としての性格も持っており、そのメンバーは一応選挙で選出されます)。

 その調査報告によると、村民委員会は一般に3~7名で構成されていますが、大部分の村民委員会では、女性のメンバーは1~2名です。3名を越えている村民委員会はごく少なく、平均すると女性メンバーの比率は22%前後にすぎません。

 しかも、村民委員会において女性委員が担当している職務は、73%が婦女代表会議の主任や婦女連合会の委員などで、22%が会計だそうです。村民委員会の主任や副主任のような重要な職務を担っている女性委員はごく少数だということです。

 また、既婚女性の投票権を、「一家の長」である夫が代わりに行使しているという実態もあるそうです。

 さらに、女性組織に関しても問題点が指摘されています。村に婦女代表会議や村の婦女連合会のような女性組織があることは知っていたのは62%で、それらの組織の役割を知っていたのは23%だけでした(以上は、(1))。

 村民委員会に女性メンバーが少ないという問題は以前から指摘されており、女性メンバーを増やす試みもいくつか行われていますが、最近『中国婦女報』で取り上げられているのは、女性委員の「専職専選」というやり方です。女性委員の「専職専選」とは、村民委員会の定員を一人増やし、その一人に関しては必ず女性を選出するというものです。従来からの定員のメンバーにも今までどおり女性を選出することもできるので、女性委員を増やすことができます。

 このやり方は、今年初め、浙江省の中共党委員会と省政府の弁公庁が発した通知によって推進されました(2)。たとえば同省の温嶺市の浜海鎮では、女性委員が17%増えたということです(3)

 女性委員の「専職専選」を報じた記事はいろいろありますが(4)、「専職専選」で選出された女性委員が村民委員会の中でどういう働きをしているのかはよくわかりません。結局のところ、女性役割を担っているのではないかという疑いも捨てきれませんので、そうした点には今後、注目していきたいと思います。

(1)「農村婦女参選権利受到諸多隠性限制」『中国婦女報』2008年4月30日。
(2)「浙江試点村委女幹部専職専選」『中国婦女報』2008年1月11日「確保村女性“専職専選”崗位落実」(『中国婦女報』2008年4月29日)によると、《省委組織部・民政庁〈関于認真做好2008年村民委員会換届選挙交錯的意見〉》という通知の中に、「加大女幹部的推選力度,村民委員会選挙中要単独設立婦女委員崗位,実行専職専選」とあるということです。
(3)「“X+1”模式浜海鎮村委会選挙実行女委員専職専選」『中国婦女報』2008年1月19日
(4)女性委員の「専職専選」を扱った記事は(2)(3)で挙げたほかに、「専職専選“村官” 婦女参選熱情高」『中国婦女報』2008年4月12日「“専職専選”実現村村都有“女委員”」『中国婦女報』2008年4月22日などがあります。
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