看護ヘルパーの劣悪な労働条件
先日の記事でも書いたように、中国では看護師が不足しているため、患者の日常の世話は家族や看護ヘルパー(護工、護理工)に頼っています。しかし、 看護ヘルパーの労働条件は劣悪です。
今年初め、上海市の婦連が「上海女性看護ヘルパー現状調査報告」(上海女性護理工現状調査報告)を発表したことが報じられました。この調査報告は、2006年5月から上海市女性学学会、復旦大学女性研究センター、上海交通大学医学院女性研究センターが共同で、30の病院の900人あまりの看護ヘルパーを調査したものです。
この調査によると、看護ヘルパーは、36歳から50歳までの中年の女性が78.9%を占めていました。大部分の看護ヘルパーは(農村などからやってきた)外来の人で、84.9%を占めています。学歴は、初級中学以下の人が88.8%でした。
労働時間は長く、1日の労働時間は、30.9%の人が9─12時間、5.9%の人が13─18時間、52.7%の人が19─24時間でした(=ずっと付き添って寝起きしているということだと思います)。しかも、73.3%の人が残業手当をもらっていませんでした。
このような重労働なのに、賃金は安いです。同時期の上海の一人当たりの平均月収は1869元だったのに、看護ヘルパーは、500元から1000元の人が59.9%を占めていました。上海の最低賃金の基準は750元なので、その前後にすぎません。また、77.7%の人が労働契約を締結していませんでした。また、84.2%の人が社会保険に加入していませんでした(1)。
北京でも、2004年にNGO「打工妹の家」が病院の看護ヘルパーについて調査をおこなったことがありますが、ほぼ同じような問題が指摘されていました(2)。
たとえば北京の調査では、賃金は、日給で平均で29.15元でした。毎月26.38日働いているので、平均月収は768.98元です。ウルムチでも調査がおこなわていますが、「看護の仕事はとても繁雑で重いのに、月収はふつう600−900元の間である」と述べられていたので(3)、どこでもだいたいこんな金額なのでしょう。
北京での調査は、休日についても調べていますが、1ヶ月に8日とか4日休めるのはごく少数で(3.1%と10.3%)、2日休める人も18.0%だけで、まったく休日がない人が33.5%もいました。休暇を取れる人も、有給である人は19.8%だけでした。
「打工妹の家」の「非正規就業農民労働者権益保護」課題グループの郭慧玲さんによると、もともとは看護ヘルパーは、病院の看護部か後方勤務部門が管理していました。しかし、近年、経済効率を追求するため、多くの病院では、看護ヘルパー業務を看護部から切り離したり、後方勤務部門を社会化・会社化して、病院に下属した「ヘルパーセンター」にしたりしました。さらには直接民間の会社に外注するようにしたそうです。すなわち、正規雇用から非正規雇用にしたわけです。だから不安定であるうえ、中間搾取もある。現在の中国の雇用の非正規化の問題や農民労働者([農]民工)の問題は、病院にも現れていると言えそうです。
本来なら看護師がするべき生活看護のかなりの部分を、看護師不足のために、事前にほとんど訓練されていない看護ヘルパーがやっている状況なので、この点も問題です。ですから、北京では、昨年から9つの病院が、看護ヘルパーはなくして、あらかじめ3ヶ月間の技能訓練を経た「看護員(看護補助業務をおこなう者、看護助手)」が身の回りの世話をするという試みを開始しました。
問題は、コストが増加することです。現在決められている看護料が安いので、看護員の賃金を病院が支払うと、病院が損をすることになるようです。だから、政策的な対処が必要だと指摘されています(4)。
(1)「上海九成女護理工工作時間超法定限度」『中国婦女報』2008年1月3日。なお、この調査報告については、すでに「護理工亟待納入職業労動管理」(『中国婦女報』2007年8月30日)でも報じられていますので、適宜、後者の記事からも数値などを補いました。
(2)「就業“臨時化”帯来新的貧困 京城医院護工保潔工生存状況堪憂」『中国青年報』2004年11月2日。
(3)「烏魯木斉護工現状調査」『中国婦女報』2004年7月5日。
(4)「護理員将逐歩替代護工」『現代護理報』2007年8月30日、「護理員真的能代替護工嗎」『健康報』2007年8月31日、「護理員逐歩取代護工是喜是憂?」『現代護理報』2007年10月9日、「護工,会从医院消失嗎」『人民日報』2007年9月20日。
ほかに、「医院護工現状調査:上崗多没合同 収費憑経験定」(『北京晨報』2007年8月29日)も、記者が独自に取材をしています。
今年初め、上海市の婦連が「上海女性看護ヘルパー現状調査報告」(上海女性護理工現状調査報告)を発表したことが報じられました。この調査報告は、2006年5月から上海市女性学学会、復旦大学女性研究センター、上海交通大学医学院女性研究センターが共同で、30の病院の900人あまりの看護ヘルパーを調査したものです。
この調査によると、看護ヘルパーは、36歳から50歳までの中年の女性が78.9%を占めていました。大部分の看護ヘルパーは(農村などからやってきた)外来の人で、84.9%を占めています。学歴は、初級中学以下の人が88.8%でした。
労働時間は長く、1日の労働時間は、30.9%の人が9─12時間、5.9%の人が13─18時間、52.7%の人が19─24時間でした(=ずっと付き添って寝起きしているということだと思います)。しかも、73.3%の人が残業手当をもらっていませんでした。
このような重労働なのに、賃金は安いです。同時期の上海の一人当たりの平均月収は1869元だったのに、看護ヘルパーは、500元から1000元の人が59.9%を占めていました。上海の最低賃金の基準は750元なので、その前後にすぎません。また、77.7%の人が労働契約を締結していませんでした。また、84.2%の人が社会保険に加入していませんでした(1)。
北京でも、2004年にNGO「打工妹の家」が病院の看護ヘルパーについて調査をおこなったことがありますが、ほぼ同じような問題が指摘されていました(2)。
たとえば北京の調査では、賃金は、日給で平均で29.15元でした。毎月26.38日働いているので、平均月収は768.98元です。ウルムチでも調査がおこなわていますが、「看護の仕事はとても繁雑で重いのに、月収はふつう600−900元の間である」と述べられていたので(3)、どこでもだいたいこんな金額なのでしょう。
北京での調査は、休日についても調べていますが、1ヶ月に8日とか4日休めるのはごく少数で(3.1%と10.3%)、2日休める人も18.0%だけで、まったく休日がない人が33.5%もいました。休暇を取れる人も、有給である人は19.8%だけでした。
「打工妹の家」の「非正規就業農民労働者権益保護」課題グループの郭慧玲さんによると、もともとは看護ヘルパーは、病院の看護部か後方勤務部門が管理していました。しかし、近年、経済効率を追求するため、多くの病院では、看護ヘルパー業務を看護部から切り離したり、後方勤務部門を社会化・会社化して、病院に下属した「ヘルパーセンター」にしたりしました。さらには直接民間の会社に外注するようにしたそうです。すなわち、正規雇用から非正規雇用にしたわけです。だから不安定であるうえ、中間搾取もある。現在の中国の雇用の非正規化の問題や農民労働者([農]民工)の問題は、病院にも現れていると言えそうです。
本来なら看護師がするべき生活看護のかなりの部分を、看護師不足のために、事前にほとんど訓練されていない看護ヘルパーがやっている状況なので、この点も問題です。ですから、北京では、昨年から9つの病院が、看護ヘルパーはなくして、あらかじめ3ヶ月間の技能訓練を経た「看護員(看護補助業務をおこなう者、看護助手)」が身の回りの世話をするという試みを開始しました。
問題は、コストが増加することです。現在決められている看護料が安いので、看護員の賃金を病院が支払うと、病院が損をすることになるようです。だから、政策的な対処が必要だと指摘されています(4)。
(1)「上海九成女護理工工作時間超法定限度」『中国婦女報』2008年1月3日。なお、この調査報告については、すでに「護理工亟待納入職業労動管理」(『中国婦女報』2007年8月30日)でも報じられていますので、適宜、後者の記事からも数値などを補いました。
(2)「就業“臨時化”帯来新的貧困 京城医院護工保潔工生存状況堪憂」『中国青年報』2004年11月2日。
(3)「烏魯木斉護工現状調査」『中国婦女報』2004年7月5日。
(4)「護理員将逐歩替代護工」『現代護理報』2007年8月30日、「護理員真的能代替護工嗎」『健康報』2007年8月31日、「護理員逐歩取代護工是喜是憂?」『現代護理報』2007年10月9日、「護工,会从医院消失嗎」『人民日報』2007年9月20日。
ほかに、「医院護工現状調査:上崗多没合同 収費憑経験定」(『北京晨報』2007年8月29日)も、記者が独自に取材をしています。
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