2017-10

北京でクイア映画文化月間および上映会

 この4月、北京で「クイア映画文化月間および上映会(酷児影像文化月曁放映会 Queer Culture month and Film show)」が、単向街サロンで、雑誌『Les+』北京レズビアングループ「同語」、北京同性愛映画祭組織委員会(北京同性恋電影節組委会)、中国クイアインディペンデント映画小組によって開催されました(以上、「酷児影像文化月曁放映会」←ポスターなどの写真あり)。

 中国クイアインディペンデント映画小組(中国酷児独立影像小組)というのは、3月24日に上の「同語」が、北京同性愛者文化活動センターで、クイアのインディペンデント映画に関する討論会をしたときに結成されたグループです。

 その討論会には、下記の石頭さんや、中国大陸の同性愛やクイアの映画文化のサイトである「酷児影像文化」(英語版あり)を創設した毛雷さんなども参加しました。この討論会では、クイアに関する映画は、資金や出演者、上映、DVD作成の各面で困難を抱えているので、クイア映画を支えるために中国クイアインディペンデント映画小組(グループ、委員会)を作ることになりました。このグループは、以下のような活動をするそうです。
 1.クイア映画の上映会……コミュニティ内部だけでなく、広く社会の大衆にも見てもらう。
 2.関連する活動……サロンやワークショップなど。
 3.映画の創作・上映・批判の面で協力し合う。
 4.ネットの活用。
 5.メーリングリスト。
(以上、智行北京工作組的BLOGの中のエントリー「中国酷児独立影像小組在北京成立」より)

 さて、「クイア映像文化月間と上映会」は以下のようなプランでおこなわれています。

テーマ1:青春啦啦啦(4月6日)
 《小樹の夏天(小樹的夏天)》(朱一葉制作)(制作グループのブログ:《小樹的夏天》劇組博客

 内容:小樹と夏天は、似たような経歴を持っていて、世界の中のもう一人の自分を求めている2人の女の子である。夏天は小樹に愛情を感じるが、小樹はそれを受け入れられず、夏天はひどく落胆する。夏天は小樹の役を演じはじめ、現実と幻覚が交錯して……(というような映画だそうですが、見ていないのでわかりません。)

 朱一葉さん(女性)は1984年生まれ。2006年にインディペンデント映画《啦啦啦》(同映画のブログ)を製作、トリノGLBT映画祭で入選。

テーマ2:唐唐の美と哀愁(4月13日)
 《唐唐》(張涵子制作)

 内容:唐唐は昼は男だが、夜は厚化粧をして女に扮し、バーやナイトクラブに出没している。毎日、彼の意識は、男と女の間を行き来している。彼はある男を愛するが、ほどなくして振られてしまう。また、ある同性愛者の女性(薫)が、女装した唐唐を好きになって、恋人同士になる。その恋愛の中で、唐唐が女のようになるとともに、薫は男のようになって、二人は普通の男女と同じような関係になり、2人は生活の中に埋没するが、唐唐は自殺してしまう。この映画は、生と死、男と女、愛と憎悪が不断に転化する家庭を描いている――というような映画だそうです。

 張涵子さん(男性)は1969年生まれ。テレビ番組やコマーシャルフィルムの制作に携わってきた人のようです。

テーマ3:春の短い歌(4月20日)
 《陽春の春(陽春的春)》
 《私たち(我們)》
 《春の歌(春歌)》
 これらは、いずれも短編です。

テーマ4:石頭とDV(degital video)(4月27日)
 《レズビアンマーチの日(女同志游行日)》(石頭制作)
 内容:サンフランシスコで毎年6月末に行われるレズビアンマーチの記録だそうです。

 《女の50分(女人50分)》(石頭制作)
 内容:青蔵高原の女たちを描いた作品のようです。

 石頭さん(女性)は、2000年に、李玉さんが監督した中国映画史上初のレズビアン映画である《今年の夏(今年夏天)》で主役を演じた人です。《今年夏天》は、恥ずかしながら私は見ていませんが、ベルリン国際映画祭の受賞作で、その内容は、白水紀子さんによると「主人公の女性は母親に自分が同性しか愛せない人間であることを告白して周囲が勧める結婚を拒否するが、異性愛を自然なものと信じる母親にはそれを理解することができない。しかしそれでも母親は娘の生き方を尊重し、母の再婚と娘のレズビアンとしての生活が同時進行する形でエンディングを迎える」というものだそうです(注)。この作品については、Rainbow Net Japanでも紹介されており、サイト地獄天堂朝日堂の中に、阿美さんの感想も掲載されています。

 また、4月17日には、レズビアンやフェミニズムの映画の先駆者であるバーバラ・ハマーさん(Barbara Hammer ハマーさんのサイト)との交流もおこなったようです(「独立電影芸術大師芭芭拉・漢黙訪問北京」)。

 北京では2001年12月に第1回北京同性愛映画祭がおこなわれたことがあり、その時に《今年の夏(今年夏天)》も上映されました。ただし、2006年12月に行われる予定だった同性愛文化祭(Gay and Lesbian Culture Festival)は直前に、警察の圧力で中止になったりと、まだ公にはセクシュアルマイノリティが十分認められていない面もあります。ですから、今回の上映会をきっかけに運動が発展していくならば、明るいニュースだと思います。また、「同性恋(ゲイ&レズビアン)」から「酷児(クイア)」へと言葉が変わりつつあるように見えるのは、より幅広いセクシュアルマイノリティが主体になってきていることを示しているように思えます。

(注)白水紀子「中国のセクシュアル・マイノリティー」『東アジア比較文化研究』第3号(2004年9月)71頁。白水さんはこの論文の中でも「現代中国文学に描かれるレズビアン」について触れていらっしゃいますが、最近、「中国の同性愛小説の作家とその周辺」(『南腔北調論集―――中国文化の伝統と現代』東方書店 2007年)という論文もお書きになりました。また、林祁 『めしべのない花 中国初の性転換者莎莎の物語』(新風社 2006年 ブログAnno Job Logさんのこの本についての感想)の「監修者あとがきにかえて」も書いていらっしゃいます。
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