2017-08

アステラス製薬・仙頭史子さんの男女差別裁判

 今日は午後から、アステラス製薬の仙頭史子さんの男女賃金差別裁判の傍聴に行ってきました。
 藤沢薬品(いまのアステラス製薬)では、男性は誰でもおおむね35歳で主任、45歳で主任研究員に昇格していました。けれど男女差別のために、仙頭さんがやっと主任になれたのは48歳でした。つまり、男性よりも13年も遅れたわけです。
 仙頭さんは研究活動で男性に劣らず成果をあげたり、女性初のMRとして男性と同じ営業活動に従事して同等以上の成績をあげたりしていらっしゃったのに、です。
 仙頭さんは「これからの女性には私のような思いをしてほしくない」と、裁判に踏み切りました。アステラス製薬・仙頭史子さんの男女差別裁判を支援する会も結成されています。

 今日の裁判は大阪地裁の大法廷でおこなわれたのですが、原告側の支援者だけで、大法廷の定員をはるかに上回る147人の方が詰めかけ、法廷に入れない人もたくさん出ました。
 手元のメモによっているので不正確な箇所もあると思いますが、以下、簡単に報告します。

 今日は、会社側の証人である、元人事部長の尋問がおこなわれました。
 証人は、仙頭さんの昇進が遅いのは、仙頭さんが1973年に入社した際、あくまでも「研究アシスタント」として雇われたからであると主張しようとして、当時の求人広告を持ち出しました。
 当時は「研究アシスタント」は、「高卒の男子」と「短大卒の女子」を採用していたのであり、仙頭さんは高専卒なので短大卒と同等であって、男性とは「採用区分」が違うのだというわけです。「高専卒の男子」は、「研究技術職」というより高いクラスで採用していたのに、です。

 これは、「昭和30年代や40年代の男女差別採用は、当時としては民法の『公序良俗』には反しないので、違法ではない」という判決があることに悪乗りした主張であり、聞き飽きた理屈ですが、「男女平等を謳った憲法はとっくに施行されていたのに」「当時から雇用の男女差別は問題になっていたのに」と思うと、何度聞いても不愉快です。
 また仙頭さんは、実際はけっして「アシスタント」ではなく、男性と同じような研究業務をおこない、成果も上げていたのですから、二重に間違っています。この裁判を支援する歌として「輝いて生きていきたいパート2」(仙頭史子作詞、豊田光雄作曲)という歌が最近できたのですが、その中に
 「同じ仕事をしていても、男がすれば研究職、女がすればアシスタント。もらう給料、男の半分」
 という一節があるのですが、そういった状況があったわけです。

 証人はさらに、近年は人事・賃金制度の文言から「性」や「学歴」による区別をなくしたことを延々と説明しました。
 しかし、人事・賃金制度の文言からそうした区分をなくしただけで男女差別をなくしたように言うのは、現実をまったく知らない主張のように感じました。女性差別にペナルティーを付けるなり、男女差別意識をなくす研修でもしたなら話は別ですが‥‥。

 こうした会社側の理屈に理論的に反論するのは簡単ですが、具体的な証拠によって反論するのはそれほど簡単ではありません。
 しかし、仙頭さんの弁護士さんらによる反対尋問では、就業規則などの文書には「研究アシスタント」などの区分が記されていないことや、当時の会社の求人広告にも、「男女社員一般事務」とか、性を限定しない「一般事務」の求人があることを追及して、「求人広告では採用区分は明らかにできない」と述べました。証人は、完全にしどろもどろになりました。
 こうした求人広告は、裁判を支援する会の事務局の人が、当時の新聞のマイクロフイルムを丹念に調べて見つけたとのこと、地道な努力に頭が下がりました。

 また、証人が人事制度から「性・学歴別の昇進の標準在任年限を廃止した」と主張したことに対しては、制度変更後の文書にも「現行の標準在任年限を尊重する」という文言があるのを見つけて追及しました。
 さらに性別・学歴別の賃金分布の表や、同期同学歴の人の昇格のしかたを示して、その後も事態は変わっていないことを証人に突きつけしまた。
 また、新しい人事制度では、営業職は最低「+5」という評価が付くと決めているのに、仙頭さんには「+3」しか付いてないことを追及しました。すると、証人は「まれには付く」と、「まれ(言葉は正確でないかもしれませんが)」であることを認めざるをえませんでした。

 裁判後の交流会では、会社側の証人は入念にリハーサルをしてきているけれども、反対尋問で自分が考えていないことを聞かれると、ピントはずれの応答しかできないことなどが話題になりました。

 次の裁判は、仙頭さんの元上司ら4人が証人です。
 これまで出ている陳述書によると、彼らは「昇進の遅れは、男女差別のせいではない」と主張しようとして、仙頭さんの昔のミス(といっても、誰でもやっているようなミスにすぎない)をほじくりだして、仙頭さんが「無能」だと主張しているそうです。
 そんなひどい主張をするしかないほど、彼らは追い詰められているのですが、仙頭さんは精神的に大変でいらっしゃると思います。
 私は行けないかもしれませんが、傍聴に行って、証人を監視して仙頭さんを見守っていただける方がいれば、と思います。

 次回:10月23日(月)10:00~16:30 大阪地裁大法廷
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