2017-10

湖南省で職場のセクハラ防止責任を規定。海南島訴訟判決

 7月31日、湖南省第10期人民代表大会常務委員会の第22回会議において「湖南省『中華人民共和国婦女権益保障法』施行規則[中国語で辨法]」が採択されたのですが、その中に「職場[用人単位]は、仕事の場所におけるセクシュアルハラスメントを予防・制止する措置を取らなければならない」という条文が入りました(1)

 先日(8月19付け)のブログでも触れましたが、昨年、婦女権益保障法が改正された際にも、職場のセクハラ防止義務を入れるべきだという意見が多数出ました。
 実際、昨年6月に国務院から提出された草案では「職場は、仕事の場所におけるセクシュアルハラスメントを防止する措置を取らなければならない」という条文が入っていました(2)
 しかし、昨年8月に採択されたものからはこの条文は消えていたのです(3)

 湖南省でも上で述べた条項が現実に力を発揮するにはまだ遠い道のりが必要なのでしょうが、僅かずつでも前進しつつあるのかな、と思います。

 なお昨日、海南島戦時性暴力被害訴訟の判決がありましたが、これについては、新聞記事(4)などとあわせて、中国海南島戦時性暴力被害者の謝罪と賠償を求めるネットワーク(ハイナンNET)のHPを見ていただきたいと思います。法律論に関しては、中国人戦争被害者の要求を支える会の「争点の解説」欄も参考になります。
 「日中関係」というと、首脳会談や小泉首相の靖国参拝、領土問題などに関心が向きがちですが(もちろんそれらも大切な問題ですが)、こういう裁判や裁判支援も大切な活動だと考えます。
 国際関係にもジェンダーの視点が必要ですし、なによりも一人一人の人生を大切にしてこそはじめて「友好」と言えると思いますので。

(1)「湖南細化反性騒擾立法」、陳陽「反性騒擾立法前進一大歩」『中国婦女報』2006年8月2日。また、この規則は、セクハラに「法律・倫理道徳に違反した、猥褻な内容がある言語・文字・図版・電子情報・行為」という定義も与えました。
(2)「婦女法修改解読」『中国婦女報』2005年6月27日。
(3)「中華人民共和国婦女権益保障法」『中国婦女報』2005年8月29日。
(4)「海南島戦時性暴力被害訴訟 請求棄却、事実は認定」『しんぶん赤旗』2006年8月31日。新聞記事としては、これが一番詳しいようです。
 それにしても、『朝日新聞』がまったく報じなかったのには驚きました。私は大阪本社発行の『朝日』を取っているのですが、ハイナンNETの金子美晴さんによると、東京の『朝日』にも報じられていなかったそうです。
 『中国婦女報』には翌31日に記事が出ていたのですが(「海南“慰安婦”在日敗訴」『中国婦女報』2006年8月31日)

[9月11日追記]
 中国海南島戦時性暴力被害者の謝罪と賠償を求めるネットワーク(ハイナンNET)は、9月5日からブログを始めたようです。
 9月10日付で、判決の要旨、弁護団声明、中華全国律師協会・中華全国婦女聨合会などによる共同声明、中国の原告の感想などが掲載されました。どうぞお読みください。

[9月17日追記]
 湖南省の「規則[中国語で辨法]」について、『中国婦女報』に以下の続報が出ていました。
 「尋求法律的突破―《湖南省実施〈中華人民共和国婦女権益保障法〉辨法》出台始末」『中国婦女報』2006年8月22日。
 「譲反性騒擾規定落地生根 湖南地方立法先走一歩」同上。

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