2014-08

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女子大学生らが性教育の必要性を訴える街頭でのパフォーマンスアート、避妊の重要性を訴えるコンドーム配布――今回は女性の性の快楽と結びつけたスローガンも

<目次>
1.北京師範大学の門前で女子大学生らが、大学生の性教育の必要性を訴えるパフォーマンスアート
2.北京と広州の街頭で、若い女性たちがコンドームを配布してセイファーセックスを訴え
3.これまでにおこなわれた、女子大学生らが性教育の必要性を訴える街頭パフォーマンスアート
4.これまでにおこなわた、女子大学生らがコンドームを手にして避妊を訴える街頭での活動
5.性教育や避妊の重要性を、女性の性の快楽と結びつけたスローガンの登場は、今回の2つのアクションの新しさ

1.北京師範大学の門前で女子大学生らが、大学生の性教育の必要性を訴えるパフォーマンスアート

7月28日午後2時ごろ、北京・天津・黒河・ハルピン・瀋陽・西安・武漢・広州・棗荘・河源・合肥などの10余りの都市から来た女子大学生たちが、北京師範大学南門で15分間ほど、全国の大学が性教育をおこなうように訴えるパフォーマンスアートをしました。

Performance Art for Sex Education 公益青年街头呼吁系统性教育(中国語&英語字幕付)


このパフォーマンアートでは、向かって左側では、1人の男性が「AV(アダルトビデオ)は性教育ではない」と書いたボードを持って立ちました。その右の女性は、両腕で×印を作り、その下には、1人の女性が白い下着のようなものとバスタオルとをまとって寝そべり(これはAVを意味しているようです)、「NO」と書かれた紙をその前に置いています。

まん中の2人の女性は、「大学生性教育教材」と書かれた、本の形をしたものを持ち、「大学生には性教育が必要だ」というパネルを掲げて立ちました。

右側では、1人の女性が、ピンク色のヴァギナの形をしたものから首を出して「私には性の安全がほしい、性のよろこびもほしい」と書いたパネルを持って立ちました。その足元では、別の女性が、股を広げて地べたに座り、その股のところには、切れ目を入れて赤い身が見えているスイカを置いて、あたかもヴァギナを見せているかのようなポーズをとりました。

中国のネットユーザーのなかには「AVは私の性教育だ」と言う人もいるそうですが、今回の活動に参加した達達さんは、「性教育は学校の責任です。インターネットは、間違ったことを言っているかもしれません。間違った性教育は、性教育をしないことよりも害が大きい。性教育は絶対に生理教育の段階にとどまってはなりません。学生にコンドームを使うことを教え、もしパートナーがコンドームの使用を拒否したら、パートナーとどのような話し合いをするかを学生といっしょに考えなければなりません」と語りました。

「私には性の安全がほしい、性のよろこびもほしい(我要性安全,也要性愉悦)」というスローガンについて、上のビデオや「女権の声」の微博は、このスローガンは「女性は性の被害者として保護されるだけであってはならず、主体である個人として、性の喜びを主体的に追及する権利があることを観衆に気付かせる」と解説しています(1)

また、「女権の声」は、「1人が1枚の写真で大学生の性教育を要求する」という微博(中国版ツイッター)のハッシュタグを作って、ネットユーザーにも意思表明を呼びかけました。その結果、少なくとも、8人が微博で意思表示をしました(#一人一照片要求大学生性教育# )。 その中の1人の女性は、「守貞≠性教育」というボードを掲げ、方剛著『性の権利とジェンダー平等:学校の性教育の新しい理念と新しい方法(性权与性别平等:学校性教育的新理念与新方法)』(ネット書店「書虫」のこの本の書誌データ)を手に持った写真とともに、「貞操を守ることと性教育とは異なる。オーガズム困難症の女子学生の大多数は、抑圧的すぎる貞操教育を受けて病根を埋め込まれたのだ! ジェンダー平等の性教育を提唱する」と微博で発言しました(2)

2.北京と広州の街頭で、若い女性たちがコンドームを配布してセイファーセックスを訴え

8月2日の(旧暦の)七夕には、北京の西単大街と広州の歩行街で、それぞれ数人の若い女性がコンドームを配布して、避妊の重要性を訴えました。彼女たちは「きちんと保護することが『愛』である」、「ほしいのは愛、事故はいらない。ほしいのはオーガズム、傷つきたくはない」と書いたボードを持ったり、チラシを配ったりしながら、コンドームを配布しました。

七夕は「中国のバレンタインデー」とも言われています。今回の活動に参加した于磊さんは、バレンタインデーや春節のような長期休暇の間の性行為がもとになって妊娠中絶をする女性が多いので、性の安全の問題を訴えるためにこうした活動をしたと述べています。

国家人口計画生育委員会によると、中国では、毎年1300万人が妊娠中絶をしています。しかも、この数値には、そのほかに1000万人が薬物や私人の診療所で中絶をしているということは入っていません。また、女性のエイズ患者の増大速度は男性を上回っていて、その原因の1つに、69%の男性が性のサービスを買っており、かつその41%はその際にコンドームをしていないということがあるそうです。于磊さんは、そういう状況は、人々が性の安全についてあまり意識していないからであり、「男性は自発的にコンドームをつけ、女性は自分からパートナーにコンドームをつけるように要求できるようになることが、望まない妊娠を避ける最も便利で、安全な方法です」と語っています。

「ほしいのはオーガズム、傷つきたくはない(要高潮,不要伤害)」という文言について、この活動に参加した小睿さんは「女性が自分からパートナーにコンドームするよう求めることは、自分を保護する第一歩であり、同時に自分の性の自主権を守ることです」と語りました(3)

4人がそれぞれ、「男」「请」「戴」「套」という文字を書いた、風船のように膨らませたコンドームを手に持って整列することによって、男性にコンドームをつけるように訴えたりもしました(4)

3.これまでにおこなわれた、女子大学生らが性教育の必要性を訴える街頭パフォーマンスアート

女子大学生らが性教育の必要性を訴えるパフォーマンスアートをしたのは、今回が初めてではありません。これまでにも、以下のようなパフォーマンスアートがおこなわれてきました。

[1] 2013年7月、鄭州市で、性暴力の被害防止のために性教育の必要性を訴える

2013年5月、海南省万寧市の小学校で校長らによる女子児童への性暴力が明るみに出るなど、中国各地で教師の児童に対する性暴力が問題になった際、フェミニストたちは、加害者の処罰だけでなく、性教育の充実なども求めて運動しました。

そうした運動の一つとして、同年7月19日、河南省鄭州市の河南省教育庁の前で、数名の大学生が、学校の中での性教育の充実と性侵害の防止を訴えるパフォーマンスアートをしました。これは、性教育が不十分であるために、性侵犯を受けてもどうしたらいいのかわからないという状況を示したものでした。

このパフォーマンスアートの第一のシーンは、両目と両耳をふさがれた女の子(の役割を演じている大学生)が、空中を手探りしているというものです。その近くには、一人の女性が、「性教育」というタイトルの書物の模型を持って立っているのですが、女の子の手には届きません。女の子の後ろには、一人の男性が、「見ることを許さず、聞くことを許さず、話すことを許さない」というプラカードを持って立っています。

次のシーンでは、「性侵犯が来た」という紙を背中に貼った男性が、ある女性の手を引っ張っています。その女性の背中には「私はどうしたらいいの??」と書いた紙が貼ってあります。2人の左側には、「校内での性侵犯を防止しよう」と書かれたプラカードを持って立っている人がおり、右側には、「私たちには性教育が必要だ」と書かれたプラカードを持って立っている人がいます(5)

[2] 2013年12月、昆明市で、望まない妊娠防止のための性教育や妊娠した女子学生に対するサポートを訴える

2013年12月30日には、雲南省昆明市の南屏歩行街噴泉広場で、5人の女子大学生が「街頭で出産する」パフォーマンスアートをおこなって、全面的な性教育や性の健康(セクシュアルヘルス)のサービスをおこなうように訴えました(6)

彼女たちのうちの3人は、白い紙の上に股を広げて座り、股の間から赤ん坊の人形の頭と体を出して、声を上げ、いきみながら出産する真似をしました。紙の股の前方の箇所には、血だまりに模した朱墨が塗ってありました。また、3人の後ろでは、2人の女性が立って、それぞれ「性教育が教えてくれなかったから、出産はトイレに隠れてするしかない」「望まない妊娠でパニックだ 性の健康のためのシステムに助けを求める」と書かれたボードを掲げました。

[動画]
实拍女大学生行为艺术 模仿街头产子

このパフォーマンスアートは、当時、女子大学生がトイレで出産したというニュースが複数報道された(7)ことから企画されました。

この活動の発起人の1人の梁晨さん(雲南の大学4年生)は、「私の高校時代にも身近にこうしたことがありました。女子生徒が妊娠してパニックになり、叱られるのが怖くて、大きくなっていくお腹にきつく腹帯を巻いて妊娠を隠そうとしていました。この出来事によって、私は、するべき性教育がおこなわれていないことを意識するようになりました。この場合の性教育には、どうようにして避妊をするかとか、望まない妊娠にどのように対応すべきかということだけでなく、ジェンダー平等教育と心理健康教育を含んでいなければなりません」と語りました。

彼女たちは、もっと重要なこととして、妊娠した女子学生には心身のサポートが必要であって、妊娠したからといって責めてはならないということを挙げました。今回の活動に参加した小舒さんは、「彼女はきっと学生の未婚の母になるのが怖かったのです。同級生や先生、家族に叱られるのが怖かったのです。もっと怖かったのは、学業ができなくなって、将来の人生計画が損なわれることだったでしょう」と語りました。

雲南社会科学院のジェンダー工作室の武承睿副教授は、「現在多くの学校がしているのは、学生に早恋をさせないようすることだけです。それでは問題を何も解決できません。性教育は、学生にコンドームの使い方を教えるだけでは不十分であり、リプロダクティブヘルスの教育、ジェンダー平等教育もしなければならず、心理的な健康の教育も必要です」と語っています。この発言は、梁晨さんの発言と同じです。プレスリリースでも、連絡先として、梁晨さんと馮媛さん(ジャーナリスト)のほか、武承睿副教授も挙げてあるので、武承睿さんも、このパフォーマンスアートでそれなりの役割を果たしているようです。

4.これまでにおこなわた、女子大学生らがコンドームを手にして避妊を訴える街頭での活動

また、女子大学生らが街頭でコンドームを手にして避妊を訴えたのも今回が初めてではありません。

[1] 2002年5月、南京で性教育を重視するように訴える「提議書」とともにコンドームを配布

2002年5月28日、南京の大学の2人の女子大学生(兪友宏さんと呉鈺さん)が、少女の堕胎が多発していることを憂えて、社会全体が性教育を重視するように訴える「提議書」とともにコンドームを街頭で配布しました。

もともとこの活動には5人の女子大学生が参加する予定でしたが、大学側の圧力で3人の女子大学生が辞退しました。大学側は、「彼女たちの活動に異議があるわけではなく、授業に出なければならない時間にコンドームを配布することは止めてほしいと言っただけだ」と述べましたが、当日は日曜日でした(8)

[2] 2013年9月、鄭州で、コンドームも手にして避妊は男女の責任であることを訴え

2013年9月26日の世界避妊デーに、2012年2月の「男子トイレ占拠」アクションの発起人として有名な李麦子さんと鄭州の数名の大学生が、避妊の重要性を訴えるパフォーマンスアートをしました。彼女たちは「中絶を避妊にしてはならない」というプラカードを持ち、「あなたは避妊は誰の責任だと思いますか」というシール投票をしつつ、コンドームを膨らまして避妊をするように訴えました。

活動に参加した小楓さんは、「現在、いたるところに無痛中絶の広告があって、みんなに中絶が簡単なことであるかのような誤解を与えています。しかし、中絶が女性にどのような傷害を与えるかを知ってから、自分で判断するべきです。避妊は本来男女双方の責任なのに、避妊をしないことで、女性は望まない妊娠をするという大きな代価を支払わなければなりません。私たちは女性に自分の意志で避妊をし、安全でない性行為には『ノー』を言うように呼びかけます」と語りました。

シール投票では、避妊を男女双方の責任であるとした人が12人、男性の責任であるとした人が4人、女性の責任であるとした人が1人でした(9)

5.性教育や避妊の重要性を、女性の性の快楽と結びつけたスローガンの登場は、今回の2つのアクションの新しさ

今回(2014年)の7月28日と8月2日の行動で注目されるのは、「私は性の安全がほしい、性のよろこびもほしい(我要性安全,也要性愉悦)」「ほしいのはオーガズム。傷つきたくはない(要高潮,不要伤害)」という、性教育や避妊の重要性を女性の性の快楽と結びつけたスローガンが街頭に登場したことでしょうか。

こうしたスローガンからは、台湾の何春甤さんが1994年の反セクハラデモで叫んだ「私が欲しいのはオーガズム。セクハラは要らない」というスローガンが思い出されるのですが、昨年出版された何さんの翻訳『「性/別」攪乱――台湾における性政治』(舘かおる・平野恵子編 大橋史恵・張瑋容訳 御茶の水書房 2013年)にも、若い女子大学生たちが性的な行為主体性が強い活動を繰り広げたことが書かれていますので(10)、若い世代だからこその活動だという面があると思います。

ただし、7月28日のパフォーマンスアートについては、女性メディアウォッチネットワークの代表で、若いフェミニストたちにも大きな影響力を持っている呂頻さんも、「伝統的な家庭教育と映画やテレビの中では、女性の性意識はいつも受動的で、男性の侵犯や求愛によってだけ性意識が目覚めるかのように描かれます。これは事実とまったく異なります。以前から欧米の研究は、女性は自分で性意識を開発できることが証明していますし、そうした結論は、近年、国内のいくつかのセクソロジーと女性研究の中でも証明されています。女性の性に対する自己保護措置だけを宣伝するのでは、女性が人間関係における性の役割と自分の主体的地位を正しく認識することはできません」(11)と語っています。この点から見ると、何春甤さんや呂頻さんのような知識人の果たしている役割というものもあるだろうと思います。

(1)以上は、女权之声的微博【“我要性安全,也要性愉悦!” 女大学生北师大门口上演行为艺术】7月29日 16:09 、大兔纸啦啦啦的微博7月28日 15:48
(2)53度GJ的微博7月29日 11:42
(3)以上は、女权之声的微博【#七夕请戴套# 女生街头派发安全套】8月2日 13:52、新媒体女性的微博【七夕情人节倡导性安全,广州女青年街头派送安全套】8月2日 22:09、女权之声的微博【只见玫瑰,不见性安全? 广州女青年街头派送安全套】8月4日 11:28
(4)女权之声的微博【#七夕请戴套# 女生街头派发安全套】8月2日 13:52
(5)本ブログの記事「海南万寧の女子小学生の性侵害事件と女性運動」参照。
(6)以上は、「“性教育没教我,生孩只能厕所躲” 云南女大学生上演“街上产女”行为艺术 呼吁社会各界为女学生提供性健康服务体系」凤凰博报2013年12月30日。梁小门「【新闻线索】“性教育没教我,生孩只能厕所躲” 云南女大学生上演“街上产女”行为艺术 呼吁社会各界为女学生提供性健康服务体系 」(GEAAN2013年12月30日)のプレスリリースと同文である。他に、「5名大学生昆明南屏街“产下”玩具娃 呼吁关注性教育」(云南网2013年12月31日)も参照。
(7)以上は、「云南大一女生大冷天厕所产子后回教室正常上课」新华网(来源: 昆明日报-昆明信息港2013年12月20日)、「女学生接连“厕所产子”该痛在谁身上?」新华网2013年12月26日。
(8)以上は、「女大学生街头派发安全套背后」伊人风采2002年6月7日(来源:生活时报)。
(9)以上は、「926世界避孕日,女大学生呼吁“不避孕,不日”」社会性别与发展在中国2013年9月27日(来源:邮件)。
(10)舘かおる・平野恵子編 大橋史恵・張瑋容訳『「性/別」攪乱――台湾における性政治』(御茶の水書房 2013年)p.18-20,35-36,191。
(11)女权之声的微博【“我要性安全,也要性愉悦!” 女大学生北师大门口上演行为艺术】7月29日 16:09
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