2013-03

[日本] 第4回「なんで有期雇用なん!?」集会――阪大での先駆的な矢崎闘争と今日の阪大

さる2月2日に大阪大学でおこなわれた「【第4回「なんで有期雇用なん!?」集会】 つなげよう首を!~3年&5年の壁をぶち壊せ!~」に行ってきた。

この集会は、2010年から毎年おこなわれているもので、大学の非常勤教職員の不当な雇止めに反対する集会だ。仕事はずっとあるにもかかわらず、「3年」とか「5年」という期限を決めて人を雇うという「有期雇用」自体に対して闘っている。集会の実行委員会には、ツイッターアカウントもある。

大阪大学(阪大)には、約20年前、「矢崎闘争」という有期雇用に関する先駆的な闘いがあった。今回の集会で最初におこなわれたのは、その矢崎闘争のシンポジウムだった。

矢崎闘争というのは、阪大の付属図書館の定員外職員*だった矢崎邦子さんが、「3年で首切り」という新たに導入されたルール――その裏には文部省の方針があった――によって1984年に解雇されたこと対する闘いだ(*定員外職員:国の定員削減政策によって増加した、国家公務員法も労基法も適用されない無権利な職員)。

矢崎さんは、まず、教職員組合の支持の下に、就労闘争(出勤して働き続ける意思を示すこと)をおこなった。しかし、当局が「学外で再就職をあっせんする」と提案すると、教職員組合は、矛を収めてしまう。そこで、矢崎さんは、1985年、国を相手取って裁判を起こし、1994年に最高裁が矢崎さんの上告を棄却するまで闘い続けた。

配布された年表を見ると、裁判では通算して二十数回もの公判がおこなわれている。さらに、矢崎さんの裁判を支援する会は、10年間にわたって、数十回の学習討論集会や決起集会、各所への抗議・要請行動、デモを繰り広げており、そのいくつかは全国的な位置づけでおこなわれている。

こうした闘いの結果、それまで労働法の枠外に置かれてきた非常勤公務員に関して、最高裁は初めて、継続雇用の「期待権」について、国家賠償法にもとづく損害賠償請求を認めた判決を出した。最高裁は、矢崎さん本人のケースに関してはそれを適用しなかったので、結果的には敗訴になったが、この判例もとづいて、近年も中野区非常勤保育士解雇事件の判決などで損害賠償が勝ち取られてきたという(参考:「中野区非常勤保育士解雇事件控訴審で一審をさらに大きく上回る勝利判決」しいの木法律義務所・業務日誌2007年11月28日)。

当日配布されたレジュメには、矢崎闘争の意義について、「全国で闘われている臨職闘争の一翼を担い、日本の労働組合運動(非正規差別、企業内組合主義、女性差別など)が欠落されてきた諸問題と闘い抜く先進的な役割を担った」とある。

恥ずかしながら、私は矢崎闘争については、この日、初めて知った。それでつい長々と書いてしまったのだが、今日につながるような、こういう闘いについては、さまざまな場で、もっと歴史的事実として大きく取り上げていくべきではないかと思った。現状では、日本史という枠組みではおろか、女性史としても、労働(運動)史としても、こうした闘いがちゃんと記述されていない(ように思う)のは、おかしいと感じる。

この日の集会では、大阪大学が、非常勤講師に対して、この4月から、1年契約の更新上限を5年とすることを事前説明もなく、一方的に通告してきたことが問題にされた。職員についても、最長雇用年数をこれまでの6年から5年に縮めようとしているという。これらは、今年4月から施行される改正労働契約法が、有期雇用を更新して通算5年を超えた場合、労働者の申込みによって期限の定めのない雇用にすることを義務づけたのを逃れようとするための、悪質なやり方だ。また、阪大では、2004年に法人化される以前から働き続けてきた長期非常勤職員についても、これまでは「当分の間更新、可能年数に制限を設けない」として雇用を継続してきたのに、2009年に突然、2015年で辞めるように言ってきたという。

大阪大学は、全国の大学の中で、「規制緩和」の最先端を走っているという。今後、こうしたやり方は他の大学にも波及していく可能性も高い。

それと、今回驚いたのは、大阪大学のキャンパスには、まったく立看がなかったことだ。阪大には「大学の許可なしに立看や掲示板を立ててはならない」という非常識なルールがあるという。こんなやり方は、大学内の矛盾を見えなくさせて、陰で矛盾を拡大させるだけだろう。こうした場で学問や教育をおこなうことは、有為な人材を社会に送り出すうえでも、生きた学問を発展させるうえでも、有害無益でしかないと思う。大阪大学は「規制緩和」の最先端を走っていながら(走っているからこそ)、そうした面では、思いっ切り「規制強化」しているのだろうか? 聞くと、立看の問題は、阪大が一番ひどいが、他の大学にも同様の問題があるらしい。ほんとうに日本の未来が心配になった。

阪大以外に関しても、「名城大学・金城学院大学 非常勤講師裁判」についてなど、重要な報告がたくさんあったが、書ききれない。

集会は、最後に「アピール文」を採択した。

集会後におこなわれたデモは、阪大東門→阪急石橋駅のコースで40分ほどだった。デモでは、「阪大は長期非常勤の2015年解雇を撤回せよ」、「阪大は団交をおこなえ」、「仕事があるのに首にするな」、「3年、5年の壁をぶちこわせ」などのシュプレヒコールをあげた。昨年の京阪今出川駅→京大のコースよりも、多くの方が沿道におられて、阪大の近辺の人々にアピールできたと思う。

なお、大阪大学のこの問題は、2月21日、参議院で田村智子議員(共産党)も取り上げた(「論戦ハイライト 参院予算委 田村議員の質問」『赤旗』2013年2月22日)。
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