2013-01

DV防止法制定に関する署名1万2000筆に達し、全人代などに提出

すでに本ブログでもご紹介したように、現在中国で立法作業が進められているDV防止法の制定プロセスやその内容に民間の声を反映させることなどを求める署名が、昨年11月5日に開始されました。この署名は、以下の3点を要求したものでした。

[1] 立法の過程において、広範に民間の意見を聴取し、民間の参与と監督を奨励すること。
[2] 法律の中に、責任部門の問責のメカニズムを明記すること。
[3] 法律の中に、国家は民間の家庭内暴力反対活動にリソースを与えて、サポートしなければならないことを明記すること。


この署名は、「1万人」という、中国における署名としては大きな目標を掲げたことが特徴でした(以上については、本ブログの記事「DV防止法の制定プロセスと内容に民間の関与など求める1万人署名運動」参照)。従来も、多くの民間団体が連名でアピールするというやり方は、しばしばおこなわれてきたのですが(1)(たとえば、本ブログの記事「24の民間団体が共同で被災地の女性の権利を訴える建議を発表」「民間諸団体、映画やテレビでの同性愛描写禁止規定の削除を訴え」)、今回は個人としての署名です。

<目次>
1.さまざまなグループの協力と多様な方法によって、民間女性団体によるものとしては史上最高の署名数に
2.自らの裸の写真でDV反対を訴えた活動について
3.署名を全人代や婦連に直接手渡すことはできず、郵送で提出

1.さまざまなグループの協力と多様な方法によって、民間女性団体によるものとしては史上最高の署名数に(2)

この署名は、最終的には1万2000筆余り集まったのですが、すでに昨年12月18日の時点で8600筆を超えており、「民間の女性の権利の提唱の参与のレコードはすでに作った。1万人は中国ではけっして多いとは言えないが、政府と婦女連合会ではなく、民間の女性組織の初めての試みがこのような規模に達したのは、人々を驚喜させる」(『女声』誌[民間団体「女性メディアウォッチネットワーク」のネット雑誌])と述べられるに至っています(3)

さまざまなグループの協力

この署名運動には、以下のグループの協力がありました。

・ジェンダー平等活動グループ(性别平等工作组)
・女性メディアウォッチネットワーク(妇女传媒监测网络)
・一元公社(一元公社)
・反DVネットワーク/北京帆葆(反家暴网络/北京帆葆)
・北京レズビアンセンター(北京女同志中心)
・中山大学ジェンダー教育フォーラム(中山大学性别教育论坛)
・ニューメディア女性ネットワーク(新媒体女性网络[广州])
・広州Sinner-B フェミニズムレズビアングループ(广州Sinner-B女权拉拉小组)
・深圳「手と手をつなぐ」労働者活動室(深圳手牵手工友活动室)
・武漢レインボー公益グループ(武汉Rainbow公益小组)
・河南レズビアンワークショップ(豫同女性工作坊)
・北京鉄営病院(北京铁营医院)
・東莞市普恵ソーシャルワークサービスセンター(东莞市普惠社会工作服务中心)
・広東石油化学工学院文法学院学生ニューメディアセンター(广东石油化工学院文法学院学生新媒体中心)
・網易女性チャンネル(网易女人频道)
・河北体育学院武術系学生会(河北体育学院武术系学生会)
・石家荘鉄道大学人文学院学生会および思想政治部(石家庄铁道大学人文学院学生会及思政部)

冒頭に「ジェンダー平等活動グループ」(詳しくは本ブログの記事「若い行動派フェミニストたちの『ジェンダー平等唱導・アクションネットワーク』」参照)の名前が挙げられているのは、同グループが中心になったということでしょう。また、女性団体や反DV団体のほか、レズビアン・LGBT団体、学生団体などの協力を得られていることも特徴だと思います。

オンラインで集めるととともに、オフラインでも――「国際女性に対する暴力防止16日行動期間」などに

「宣伝と動員の効果について言えば、オンラインとオフラインの比重は、あるいはほぼ同じだったかもしれない。オンラインでは、メーリングリスト、QQ群、微博(マイクロブログ、中国版ツイッター)などによって、オフラインでは、講座、フォーラム、街頭活動、教室で……。2つの方法にはそれぞれ良さがあって、オンラインの呼びかけは拡散しやすいけれども、ネットユーザーの実際の署名率は必ずしも高くなかった。それに対して、成功したオフラインの活動では、一度に数十、ときには数百名の署名が直接得られた」(『女声』誌)。

毎年そうですが、11月25日~12月10日の「国際女性に対する暴力防止16日行動期間」には、さまざまなDV反対の活動が取り組まれました。昨年は、北京では、DV反対ネットワーク、北京LGBTセンター、同語(レズビアンと女性バイセクシュアル中心の団体)などの組織が協力して、多くの大学で「『16日』キャンパス活動」をおこない(4)、女性メディアウォッチネットワークは上海と北京の多くの大学で講座を開催したのですが、そうした場を活用して署名を集めたようです。

以下は「国際女性に対する暴力防止16日行動期間」の活動の写真入り記事ですが、上の協力団体が関わっている活動が多いことに気づきます。

 ・北京林業大学でのジェンダー暴力に反対する署名活動(「北京林业大学开展反对性别暴力签名活动」社会性別与発展在中国サイト2012年12月11日)。
 ・鉄道大学でのジェンダー暴力反対の16日間の活動(「铁道大学成功举办消除性别暴力十六日活动」(2012年12月13日)。
 ・鉄営病院の反DV「16日」の活動(「铁营医院成功举办反家暴“十六日”活动」2012年12月13日)。
 ・広東石油化学工業学院の16日反ジェンダー暴力活動の写真集(「广东石油化工学院16日反性别暴力活动照片集」2012年12月17日)。
 ・東莞反ジェンダー暴力16日アクションの写真集(「东莞反性别暴力16日行动照片集」2012年12月17日)。
 ・蘭州西北師範大学反ジェンダー暴力燭光幸福祈念の夕べの写真集(「兰州西北师大反性别暴力烛光祈福晚会照片集2012年12月17日」。
 ・広西師範大学ソーシャルワーク協会の反ジェンダー暴力16日活動の写真展(「广西师范大学社会工作协会16日反性别暴力活动照片展」2012年12月17日)。
 ・山東女子学院16日反ジェンダー暴力活動の写真集(「山东女子学院16日反性别暴力活动照片集」2012年12月19日)。
 ・河北体育学院16日反ジェンダー暴力活動の写真集(「河北体育学院16日反性别暴力活动照片集」2012年12月20日)。

とくに、河南省鄭州市の豫同女性工作坊が、12月9日にAmor[艾檬]レズバーの協力の下、反ジェンダー暴力サロンを開催して(28人参加)、「レズビアンの間の親密な関係の暴力」についても話し合ったことを伝えている記事には、「家庭暴力防治法督促1万人署名」の署名簿が写っています(「豫同女性工作坊反性别暴力16日活动」2012年12月26日)。

以上から見ても、今回の署名運動は、一般的な「女性に対する暴力反対」ではなく、セクシュアル・マイノリティの視点も含んだものであることがわかります。

署名した人の階層、地域

署名した人は学生とホワイトカラーが多く、4253名が学生でした。地域別では、広東省が3497名で最多でした(5)。学生が多いのは、運動の参加者の若さ、大学での運動の広がりを示していると思います。ブルーカラーへの広がりはまだ乏しいのでしょう。広東省が多いのは、「男子トイレ占拠」が広州で始まったことに見られるように、女子大学生たちのネットワークが広州を一つの拠点にしているからでしょうか?

2.自らの裸の写真でDV反対を訴えた活動について(6)

すでに本ブログの記事「DV防止法の制定プロセスと内容に民間の関与など求める1万人署名運動」でも、自らの裸(主に上半身)の写真を公表してDV反対を訴えた活動についても述べましたが、結局、11月7日以来、合計15人(組)が裸の写真を新浪微博(中国版ツイッター)で公表してDV反対を訴えました。その15人は、「けっしてみんながお互いに知り合いではなく、また彼らに公然と呼びかけた人もいない。これは微博上でフェミニズムに関心がある者が自発的に呼応して形成した、中心のない活動である」とのことです(15人[組]の写真が全部見られるのは、「万人签名促反家暴立法裸胸行动专题报道」[社会性別与発展在中国サイト2012年11月28日更新]です)。

裸の写真で訴えた目的

「署名活動に『目』を引き付け続けるためというのが、ネット上で裸の写真を発表した初志だった」ようです。

ただし、単に人目を引く目的ではなく、それぞれの裸の写真に意味があったことは、すでに前回の記事(「DV防止法の制定プロセスと内容に民間の関与など求める1万人署名運動」)でも述べたところですが、その点について、前回とできるだけ重複しない形で、もう少しご紹介します。

たとえば、肖美麗(肖美膩、いずれもハンドルネーム)さんは、裸の上半身に、「平らな胸は光栄だ」「DVは恥ずべきだ」(「平胸光荣」「家暴可耻」)と書いた写真を公表しました。

この写真を支持する「@反瓶閑逛」さんは、「DVと平らな胸を差別するロジックとは一致しており、どちらも男性の女性の身体に対する支配権を示すものであり、前者は赤裸々であるのに対して、後者は隠蔽されているにすぎない。また、女性が暴力を振るわれる対象・客体から、身体が支配されることを内面化した『主体的意識』になるプロセスを完成させているのである。女性の身体は戦場であり、身体の自主権はDV反対の上に体現されているだけでなく、平らな胸を自ら誇ることにも体現されている」と述べました。きっと肖さん自身の意図もそうしたものでしょう。

肖美麗さんは、上の写真を公表したことを通じて、「私は私の身体を徹底的に受け入れた」、「タブーを犯すことは、自分のタブーを犯すことでもあり、自分の姿形に対するさまざまな恥ずかしさは、あとかたもなく消えていった」と述べています。

また、別のある人は、鮮血を模した赤い染料を使って、顔じゅう、体じゅうに赤い色の手形を付けて、苦痛が爆発したかのように叫びをあげている写真を公表しました。この写真は、わかりやすいからか、ネットメディアでもよく使われました。

二人組で裸の写真を公表した人たちもいました。その2人の体には、それぞれ、「経血は恥ずべきでない」「DVこそ恥ずべきである」と書かれています。さらに、血の色を付けた大きなサイズのナプキンを肩や腰に貼りつけ、口には血の色がついたタンポンを咥えています。これも、女性の羞恥と関係している月経のタブーを暴き、誤った幻想から解放したものだと評されています。

また、ある男性が、無精ひげを生やしつつも、ブラジャーとミニスカートを身に着け、赤い口紅を塗って、身体には、「私は少女になれるけれども、あなたは殴ってはいけない」というスローガンを書いて、ジェンダーにもとづく暴力を告発しつつ、トランスジェンダーの権利を訴えている写真もあります。

ネット上での非難・批判

裸の写真をインターネットに発表すると、すぐさまネット上で多くの非難が浴びせられました。「俺の女房がこんなことをしたら、殴り殺してやる」、「こんな恥知らずなことをすれば、殴られるのは無理もない」といった具合にです。

反対の声は、大きく2つに分けられました。

一つは、DV反対の意見については何も言わず[または上のように反発して]、裸の写真を発表したことに対する批判でした。

もう一つは、DV反対は支持するが、裸で訴えたことには反対するというものでした。この批判にも2つの立場があって、1つは、裸を使うというやり方が、大衆を騒がして、人気を得ようとするものだと考えて、反感を抱くもの。もう1つは、こうしたやり方は、実際はやはり男性の欲望に迎合するものであり、男性が「凝視する」ことからは逃れようがない、というものでした(7)

ただし、『女声』誌の評論が、肖美麗さんの「平胸光栄、家暴可恥」の写真について、「注視する視線を平然と迎え、自分が見られているとがわかりつつも、同時にまた抵抗して、その視線を跳ね返そうとしている」と述べているように、肖さんあたりには、男性からの視線は織り込みずみだったかもしれません(8)

また、典典さんは、「裸でDV反対」に対する反対意見について、たしかに活動の効果はとくに良くはなかったかもしれないけれど、別の偏見を打ち破る良い機会ではなかったと言えなくもないのではないか、すなわち、「なぜ女性の身体は、人に見られてはならない『神聖なもの』であるか、広告の中で他者を喜ばせる『玩弄物』であって、自主権を持つことはできず、それを、権利を訴え、権利を勝ち取る戦場として用いてはならないのか?」と問うたことに意義を見出しています(9)

典典さんの場合

実は、典典さんは、最初「裸でDV反対する」写真を見たときは、それに参加するつもりはありませんでした。しかし、友だちからかかってきた電話が、彼女の考えを変えました。

その女性は、非常に伝統的な考え方をしている人で、婚約者の男とも一線を越えることはありませんでした。ただ、遊びに行ったとき、きちんと服を着ていない写真を撮られたことがあっただけでした。のちにその男が信用できない人だとわかって、彼とは別れる決心をしたのですが、その写真があるために、彼に付きまとわれることを恐れて、別れるのを1年半も引き延ばしている、という電話でした。

典典さんは、その友だちを慰めるとともに、今回のアクションに加わることを決めました。典典さんは、その友だちに、身体は自分のもので、人に見られることも、殴られることも、過ちではなく、まして罪ではなく、恐れる必要はなく、他人からの暴力に耐える必要もないと言いました(10)

彼女たちが望んだほどには、写真は広がらなかったが……

ただし、上記の写真は彼女たちが狙ったほどには広がりませんでした。12月23日に広州でおこなわれた討論で、彼女たちがその点について話し合ったところ、以下のような原因が指摘されたということです(11)

 1.女性の裸自体は現在ではインターネットではけっして珍しくない。また、恥ずかしげで、性のプライバシーと関係するような実際の生活の中の写真ならば、ネットユーザーが拡散するが、生活の場面から切り離され、かつ正面からの訴えをしている写真は、大多数の人を興奮させない。
 2.裸の写真を発表したことには2つの目的があった。第一は、DV反対の署名の推進で、第二に、女性の身体の自主を主張することだった。しかし、多くの人から見れば、その2つは、まだ別々のものであって、裸の写真を公表した目的がはっきりわからなかった。
 3.全体的に見れば、写真の形式が比較的単一で、見る者が関心を持ち伝達するような興味を持つのが難しかった。
 4.国内の伝統的なメディアはこの活動を伝えなかった。インターネットの「網易」と「鳳凰網」は報道したけれども(12)、ネットよりも影響力を持っている新聞は、この活動を報道しなかった。新聞は、言論の審査と自己規制が最もきついメディアであり、裸の写真は、スキャンダルとして報道する可能性はあっても、DVに反対するという硬い話題の中では、載せるのは難しい。

しかし、ここでも、「けれども、裸の写真の活動は、署名を推進する以外に、参加者が自己解放の過程を体験したという価値をすでに持っている。それは、以前より『過激』に男権文化にぶち当たっていったという創意の実践であり、また、関心を持ったすべての者が共有した思想的なステップアップである」(『女声』誌)という点が指摘されています。

興味本意で裸の写真を拡散させてもあまり意味がないわけですから、それだけで十二分の意義があったように私は思いますし、私自身も教えられました。

3.署名を全人代や婦連に直接手渡すことはできず、郵送で提出(13)

1月21日の早朝、朱西西さん(武漢の女子大学生)、梁小門さん(広州の某大学の法学院の女子学生)、白菲さん(上海の女子大学生)の3人が、いよいよ1万2000筆余りの署名を全国人民代表大会法制工作委員会(以下、「全人代法工委」と略す)と中華全国婦女連合会(以下、「全国婦連」と略す)に手渡すために、北京に集まりました。

彼女たちは、午前8時から午後2時まで、あちこちを駆け回りましたが、署名を手渡すことには成功しませんでした。まず、全人代法工委の事務局に持って行くと、「応対できない」と言われました。次に国家来信来訪(苦情処理)局の来訪応接所[信访局来访接待司]に行って、長い間行列を作って順番を待ったのですが、職員に、それは我々の管轄ではないので、全人代法工委に郵送するように言われました。次に、全国婦連に電話をして尋ねたところ、そこの職員は、婦連の来訪接待所に届けるように言いました。しかし、婦連の来訪接待所は、立法の提案のようなことは婦連の権益部に渡すべきだと言いました。婦連の権益部は、郵送するように言いました。

彼女たちは自分たちの思いを直接訴えたかったのに、たらい回しにされたあげく、どこにも直接応対してもらえなかったわけです。「続けざまに門前払いにあった」と写真入りで報じた新聞(14)もあります。彼女たちは、やむなく署名を全人代と婦連に郵送によって提出しました。

さぞ無念だったことと思いますが、彼女たちが駆け回ったことによって、全人代や全国婦連のこうした対応の問題点を含めて、ごく一部のメディアにですが、今回の署名について再度報道させたことは成果だと言えると思います。

(1)最近出版された李妍焱『中国の市民社会――動き出す草の根NGO』(2012年 岩波書店)も、「草の根NGOの戦略」の1つとして、「NGOの力を束ねて大きく見せる」こと、具体的には「連名で声明」「連名で抗議」することが挙げています(p.68-73)。
(2)この節は、主に、『女声』130期:2012“十六日”特别报道: 敦促反家暴立法联署万人目标已近[word]に依拠して書いています。
(3)「李陽をボイコットし、DV被害者に声援を送る活動」(本ブログの記事「クレイジー・イングリッシュの李陽のDVと離婚裁判、フェミニズム運動」参照)の署名は、2012年8月9日の李陽離婚事件の第3回法廷の前に1200人に達し、最終的には3000人余りに達したことと比べても多いと指摘されています(注(2)と同じ)。
(4)北京同志中心“十六日校园活动”简报」北京同志中心ブログ2012年12月5日。
(5)三名女大学生为反家暴发声携万人签名信送递全国人大」金羊網2013年1月22日(来源:羊城晩報)。
(6)この節については、注記がない個所は、『女声』131期:身体政治在线:“裸照反家暴”活动述评[word](2012.12.17-2012.12.23)にもとづく。
(7)この「ネット上での非難、批判」で述べた個所のここまでは、「湖南女孩裸体反家暴 被骂“这么不要脸”」(『三湘都市報』2013年1月27日)によっています。
(8)『女声』131期:身体政治在线:“裸照反家暴”活动述评[word](2012.12.17-2012.12.23)。
(9)湖南女孩裸体反家暴 被骂“这么不要脸”」『三湘都市報』2013年1月27日。
(10)同上。
(11)『女声』131期:身体政治在线:“裸照反家暴”活动述评[word](2012.12.17-2012.12.23)。
(12)橙色行动:停止暴力,女人受够了!」網易女人、「女性裸体抗议家暴 "平胸光荣 家暴可耻"惹争议」凤凰时尚综合2012年11月29日。
(13)この節については、「三名女大学生为反家暴发声携万人签名信送递全国人大」金羊網2013年1月22日(来源:羊城晩報)、「三地女大学生赴京送信呼吁反家暴立法公开透明化」(『雲南信息報』2013年1月22日)による。
(14)三地女大学生赴京送信呼吁反家暴立法公开透明化」雲南信息報2013年1月22日。
関連記事

女子大学生らが全国8都市で「男性のみ」求人の企業267社を当局に通報、その結果は…

<目次>
1.「男性のみ」の求人を出した企業267社とそれらの求人広告を掲載したサイトを、法律違反として人力資源・社会保障局や工商局に通報
2.いっせい通報の結果――処罰されたのは1社だけ。ただし、当該の求人サイトは「男子のみ」求人は掲載しなくなるなど、ごく一部で成果
3.同時期、「男性のみ」求人について、人社局の調停によって是正や謝罪広告、損害賠償を勝ち取った事例も

1.「男性のみ」の求人を出した企業267社とそれらの求人広告を掲載したサイトを、法律違反として人力資源・社会保障局や工商局に通報

2012年12月26日、広州・北京・上海・蘭州・鄭州・済南・武漢・南京の8つの都市(*)の20名あまりの女子大学生たちが、鄭楚然さん(中山大学2012年度卒業生)の呼びかけに応えて、求人仲介機構の「智聯招聘網(智联招聘网)」に、「男性のみ」などの性差別的な求人広告を出していた267の企業を、いっせいに各地の「人力資源と社会保障局」(以下「人社局」と略)と「工商局」に通報しました。また、「智聯招聘網」自体についても、長期にわたって大量の性差別的募集情報を掲載してきたことを北京市朝陽区の人社局に通報しました。

女子大学生たちは、各地の「人社局」などに対して、「労働法」「就業促進法」「婦女権益保障法」「女性労働者保護規定」などにある、「性別を理由として女性の採用を拒否し、または女性の採用基準を引き上げてはならない」という規定を厳格に順守させ、性差別的な求人をした企業に行政処罰をするよう求めました(1)

(*)10都市(都市名としては、成都・杭州・西安を加え、蘭州がない)と報じている新聞もあります(2)

鄭楚然さんの活動と呼びかけ

鄭楚然さんは、2012年4月30日に、全国のトップ500の企業のCEOに、性差別的な採用条件(「男性のみ」「男性優先」「容姿端麗」「身長1m65cm以上」「三年以内に出産してはならない」)を改めるように訴える手紙を郵送する活動をした人です(3)。企業からは1通も返事は返ってきませんでしたが、鄭さんは、その後も調査や実践を続け、それらの活動を通じて、「中国の法律には女性の就業に有利な比較的明確な規定はあるけれども、実践においては実現していない」と痛感したということです。鄭楚然さんが招聘会やイン―ネット上の求人を調べたところ、「『男性のみ』の求人が非常に多く、そうした求人をしているポストは、肉体労働が必要な職種だけでなく、管理・経営などの職種にも比較的多かった。もちろん女性限定の職種もあったが、それらはみなサービスなどの職種で、両者の報酬の差は大きい」(4)(鄭さん)ということです。

鄭楚然さんによると、蘭州師範大学に通う李橙さんは、「智聯招聘網」で募集情報を見つけて、ネットで履歴書を送ったところ、1日のうちに、なんと48の企業から「そのポストは女性を採用していない」という理由で、採用を拒否されました(これは、ひょっとしたら「男性のみ」と書かれている企業に送ったのでしょうか?)。鄭さん自身も28の企業に応募して同様に断られましたが、肉体労働が多く必要だった仕事は1つだけで、その他は技術職や管理職、事務職だったと言います(5)

上のような現状にもとづいて、鄭楚然さんは、2012年11月、今回の行動を微博(ミニブログ、「中国版ツイッター」とも呼ばれる)で呼びかけました。鄭さんは、「私たちは、微信(WeChat)やQQ(SNSの一種)で連絡を取り合って、問題があれば随時相談し、12月26日に集中的に通報することに決定めました」、「費用はすべて、自分たちで出しました」と語っています(6)

各都市での活動

たとえば、山東省の済南市では、大学1年の新入生の小王と彼女の3人の大学生の仲間(うち1人は男子学生)――彼女たちについて、「山東大学の年年(仮名)、小白、大宇など」と記す報道もある(7)――と、57通の手紙を郵便局から郵送しました。その1通は、「智聯招聘網」を北京市朝陽区の人社局に通報したもので、残りの56通は、「智聯招聘網」で性差別的な募集をしていた企業28社を、山東省の人社局と工商局にそれぞれ通報したものでした(8)

年年さんは、鄭楚然さんと連絡を取って、済南で性差別的求人をしている企業を調査してきました。それらの企業は、飲食・専門技術などの領域の求人広告に、「男性のみ」「男性が適している」などの条件を付けたりしていました(9)

また、湖北省の武漢市では、中南財経政法大学の2012年度卒業生(6月に卒業、現在は大学院の受験準備中)の猪西西さん(ハンドルネーム。「裘珍」という仮名で報じている新聞もある)が、5、6人の武漢の女子大学生といっしょに同様の作業をして、83通の郵便を送りました(10)

武漢で彼女たちが通報した企業が「男性のみ」という制限を課していた職種は、警備・運転手・倉庫保管係のような通常は男性が多い職種のほか(11)、経営・販売・総務・監視測定員・会計・インターネット技術者・不動産管理のような性別の差違がはっきりしない職種もありました。

河南省の信陽市では、大学3年生の王雪さんと彼女の仲間たちが、71通の手紙を大学の近くの郵便局から郵送しました。王雪さんも、ミニブログ上で鄭楚然さんが集中的な通報活動を呼びかけているのを見て、鄭さんとも相談して地元の信陽市で行動を起こしたものです(12)

12月26日のいっせい通報は、多くのメディアに取り上げられ、「男子のみ求人」に対する批判的な論評が多数、出ました(13)

2.いっせい通報の結果――処罰されたのは1社だけ。ただし、当該の求人サイトは「男子のみ」求人は掲載しなくなるなど、ごく一部で成果

武漢の一社は、「男性のみ」求人広告により、罰金に処せられた。他にも差別を是正させた事例はあった

12月26日の通報の結果、処罰されたのは、少なくとも今のところ、武漢万路教育管理諮詢公司だけでした。同公司は、実習人員を募集した際に「男性のみ」という限定を付けた求人広告を掲載したので、武漢市洪山工商局が広告管理関連の細則に違反したという理由で、罰金1万元に処しました(14)

また、鄭楚然さんによると、武漢のある人社局は、専門グループを作って研究すると表明したとのことです。また、李麦子さんは、海淀区の人社局からは、「その企業の差別行為を正したので、処罰はしなかった」という回答があったと述べており、このケースは、差別を是正させたことになります(15)

「智聯招聘網」が「男性のみ」求人広告の掲載をやめた

さらに、「智聯招聘網」は、鄭楚然さんが確認したところによると、遅くとも2013年1月5日には「男性のみ」求人は掲載しなくなりました(16)

しかし、ほとんどの人社局や工商局は、返事がないなど、まともな対応をしていない

しかし、他の人社局や工商局は、彼女たちの訴えにきちんと対応しませんでした。

鄭楚然さんによると、三割しかまだ返答がありません(17)。個別の状況を言うと、以下のような反応でした。
・ある工商局:「求人広告は広告法で言う広告ではないので、私たちの管轄ではない」
・ある人社局:「このような通報を受理したことはないし、関係する法律の規定もない」
・ある人社局:「学生が余計な世話をするな」、「もしあなたが自分でその仕事に応募するのでなければ、とやかく言うな」
・「その会社が登記している住所は、彼らの実際の仕事の場ではないので、その企業を調査しようがない」(18)

北京で40社を人社局と工商局に通報した李麦子さんにも、まだ14通しか回答が返って来ていません。しかも、そのうち、10通は「受理しない」という回答でした(19)。個別の状況を言うと――
・「智聯招聘網」がある北京市朝陽区の人社局からは、返事が返ってきていない。
・ある郊外区域の人社局には、裁判所に提訴するように言われた。
・いくつかの工商局は、電話で、この件の管轄ではないので、他の部門に転送したと言った。
・海淀区の人社局を除いて、他の部門は明確な処理意見を出さなかった(20)

成都で企業を通報した李橙さんも、同様の問題に遭遇しました。いささかの区の労働監察大隊は受理せず、就業差別の問題は法院の管轄だと言いました。彼女に「婦連に行きなさい」と言ったところもありますし、少なくない部門が、たらい回しにするという対応を取りました(21)

鄭楚然さんは、多くの管理部門が、さまざまな口実によって女子大学生らの訴えを処理しなかったことについて、「完全に行政の不作為だ!」と憤っています(22)

それでも「良いスタート」(鄭楚然さん)

といっても、鄭楚然さんは、「いささかの企業はそれでも是正させられ、また、智聯招聘網は性差別的内容を削除したのだから、職場の性差別に反対する良いスタートだと言える」と語っています(23)。また、当局の不作為、怠慢ぶりを明らかにしたこと自体も、成果だと言えると思います。

鄭楚然さんや李麦子さんは、昨年からパフォーマンスアートなどによって、さまざまな性差別問題を社会に訴えてきたネットワークのリーダーです(本ブログの記事「若い行動派フェミニストたちの『ジェンダー平等唱導・アクションネットワーク』」「『ジェンダー平等唱導・アクションネットワーク』などの活動年表」参照)。今回も、彼女たちのネットワークが生かされたことと思います。

3.同時期、「男性のみ」求人に対して、人社局の調停によって是正や謝罪広告、損害賠償を勝ち取った事例も

華南師範大学の2012年度の卒業生の梁さんは、昨年10月、広州のある貿易会社[広州宝勒商貿有限公司]の販売職の求人広告を見つけました。ところが、応募条件に「男性、20-28歳、健康で明朗」と書いてありました。梁さんは、それでも履歴書を送ったのですが、返事がなかったので、会社に電話すると、人事部の職員が「会社のその職位は男性のみの募集だ。販売は、取引先と会わなければならないから、わが社の文化から言って、女性はいらない」と言われました。

そこで、梁さんは、2012年11月6日、広州市越秀区の人力資源・社会保障局(人社局)に対して、この貿易会社の募集情報の中から「男性のみ」という規定を削除し、今後は募集の中で女性を差別しないことを保証させること、および梁さんへの謝罪を求めました。

人力資源・社会保障局の労働監察大隊が事実を調査して、意見の調整に努力した結果、2013年1月15日、その貿易会社が以下の点をすることになりました。
・会社は二度と誤った差別的行為をしないことを約束する。
・会社は、同社のウェブサイトのトップページと募集サイトが発表する採用情報のページに、2週間、梁さんに対するお詫びを掲載する。
・会社は、梁さんが訴えの過程で使った速達料・電話代・交通費など合計600元、および象徴的に精神的損害賠償1元を支払う(24)

その結果、以下のお詫びが掲載されています(2013年1月27日現在。致歉)

お詫び

尊敬する梁さんへ:

わが社は2012年10月21日の智聯の求人において、販売のポストを男性に限定し、あなたの応募に対して、女性であるという理由で拒絶しました。これは、わが社の人事職員に両性の平等という理念が欠けていたことによるものです。あなたと他の女性の応募者を傷つけたことに対して、わが社は心よりお詫びの意を表明いたします! わが社はここに自ら、すべての差別的行為を正し、また今後は類似の行為をおこなわないことを保証いたします。両性の就業が対等であるという理念が、あなたの唱導と私たちの共同の努力の下、深く人々の心に深く入り、法律的規範として打ち立てられることを希望いたします。

以上のとおり申し上げます。

敬具

広州宝勒商貿有限公司


トップページにも、上記のお詫びへのリンクがあります(2013年1月27日現在。右のほう「致歉」という個所)。

梁さんは、結局、その会社を受験したのかどうかはわかりませんが、ウェブサイトに募集段階の性差別についてお詫びを出させたのは大きいと思います。

この件と昨年12月26日のいっせい通報との関係はわかりません。しかし、梁さんが人社局に訴えたことも、人社局が対応して会社が謝罪したことも、おそらく、鄭楚然さんたちの運動やその社会的反響と関係があるのではないかと思います。

(1)以上は、「“仅限男性”招聘广告引八城市女大学生举报 专家称各地人社局依法处罚监管保证就业平等」法制網2012年12月26日、「8市20名学生举报智联招聘 指其刊登歧视性招聘信息」中国経済網2012年12月27日(来源:済南時報)。
(2)10市女大学生上访 举报企业招聘“仅限男性”」大豫網2012年12月27日(来源:東方今報)。「“仅限男性”招聘广告铺天盖地 十城市女大学生 举报“智联招聘”」(『鄭州晩報』2012年12月27日)にも、「10都市」と記述してあります。
(3)“三年内不得生育”竟成某些企业女性入职硬性要求 女大学生向全国500强企业CEO邮寄倡议书 对招聘性别歧视说不」『南方日報』2012年5月8日。
(4)以上は、「“仅限男性”招聘广告引八城市女大学生举报 专家称各地人社局依法处罚监管保证就业平等」法制網2012年12月26日。
(5)女大学生应聘48家企业被拒 原因竟是“限招男性”」金羊網2012年12月27日(来源:羊城晩報)。
(6)8市20名学生举报智联招聘 指其刊登歧视性招聘信息」中国経済網2012年12月27日(来源:済南時報)。
(7)八城市女大学生集中举报性别歧视企业 济南28家企业只招男性被举报」『都市女報』2012年12月27日。
(8)8市20名学生举报智联招聘 指其刊登歧视性招聘信息」中国経済網2012年12月27日(来源:済南時報)。
(9)八城市女大学生集中举报性别歧视企业 济南28家企业只招男性被举报」『都市女報』2012年12月27日。
(10)武汉女生80封挂号信举报41家企业"仅限男性"」人民網2012年12月27日(来源:楚天都市報)、「8地女生举报企业招聘性别歧视」『長江商報』2012年12月27日。
(11)もちろん、男性が多い職種に関しても、武漢市労働保障監察支隊の副隊長の蘇小明さんが言っているように、「劉陽は宇宙飛行までしたのだから[2012年5月、神州9号で劉陽が中国女性初の宇宙飛行をしたことを指している]、女性も警備や運転手、倉庫保管係ができるにきまっている。あるポストは男性により適しているとか、男性の従事者が多いとかいうことは、女性にはできないということと同じではない。もし企業が画一的に『男性のみ』とするなら、女性の権利を剥奪することになる」のです(「武汉女生80封挂号信举报41家企业"仅限男性"」人民網2012年12月27日[来源:楚天都市報])。
(12)10市女大学生上访 举报企业招聘“仅限男性”」大豫網2012年12月27日(来源:東方今報)。
(13)以上の注で挙げたほかに、「庞春蕾:女大学生应聘28企业被拒,性别歧视何时休?」荊楚網2012年12月27日、楽水「莫让“限招男性”成为企业招聘的潜规则」華龍網2012年12月27日、「“我们就像趴在玻璃箱里的苍蝇” 就业遭遇隐性歧视 女大学生自嘲“前途光明,出路没有”」『都市女報』2012年12月28日、田小典「警惕职场“性别歧视”增强女性“无助感”」眉山網2012年12月28日、「求职遭性别歧视 法律应给力」中国新聞網2012年12月28日(来源:広州日報)、葉小娟「“限招男性”未必是个好主意 」『中国婦女報』2012年12月31日。日本の『朝日新聞』の記事の翻訳も出ています(「求职遭性别歧视 中国女生怒了」 第一金融网2012年12月30日)。
(14)武汉一企业被工商部门罚款万元」新華網2013年1月26日(来源:人民網)、「性别就业歧视第一案 半年过去未立案 反性别歧视 告状无门?」『北京晩報』2013年1月23日。
(15)性别就业歧视第一案 半年过去未立案 反性别歧视 告状无门?」『北京晩報』2013年1月23日。
(16)「因被大学生举报性别歧视 智联招聘取消“男女限制”」中原網2013年1月24日。
(17)8地女生举报267家企业涉嫌性别歧视 仅一家企业被罚」新华网2013年1月26日。
(18)以上は、「中国女大学生联名举报企业招聘性别歧视 仅一家企业被罚款」自由亜洲電台(Radio Free Asia)2013年1月24日、「性别就业歧视第一案 半年过去未立案 反性别歧视 告状无门?」『北京晩報』2013年1月23日。
(19)武汉一企业被工商部门罚款万元」新華網2013年1月26日(来源:人民網)。
(20)性别就业歧视第一案 半年过去未立案 反性别歧视 告状无门?」『北京晩報』2013年1月23日。
(21)武汉一企业被工商部门罚款万元」新華網2013年1月26日(来源:人民網)。
(22)8地女生举报267家企业涉嫌性别歧视 仅一家企业被罚」新华网2013年1月26日。
(23)中国女大学生联名举报企业招聘性别歧视 仅一家企业被罚款」自由亜洲電台(Radio Free Asia)2013年1月24日。
(24)以上は、「女生求职遭性别歧视投诉 被投诉企业刊登道歉信」中国新聞網2013年1月23日(来源:羊城晩報)。
関連記事

中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムの活動

2009年2月に雲南省昆明で開催されたセックスワーカー職業安全会議で、中国本土でセックスワーカーに対するサポートをおこなっている12の民間組織が「中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラム(中国語名:中国性工作者机构网络平台、英語名:China Sex Worker Organization Network Forum[CSWONF]) 」を設立しました。

このフォーラムのウェブサイトは、「中国性工作者机构网络平台」で、微博(ミニブログ、中国版ツイッター)は、「中国性工作者机构网络平台」です。その活動が詳しくわかるのは、Google Groupの「中国性工作者」です。今回は、それらをもとにして、ごく大ざっぱに、このフォーラムの活動を見てみました。

<目次>
1. フォーラムの目的、メンバー、最高意思決定機関など
2. フォーラムの活動の概略――活動計画より
3. 国際組織との関わり――国連のエイズ防止活動との関係が密接だが、セックスワーカー組織とのつながりも
4. 警察の売買春取締りキャンペーンに対する批判
5.鄧玉嬌事件に対する傘下の組織のセックスワーカー視点での主張
6.中国民間女権工作室(葉海燕ら)の主張と行動の特色
付 会議と議題一覧メモ
追記

1.フォーラムの目的、メンバー、最高意思決定機関など

目的

このフォーラムが作成したリーフレットには、その目的について、「中国のセックスワーカーがより良い職業上の安全な環境を獲得することを目的としており、とくにエイズ予防、法律相談、差別反対に重点を置いている」(1)と書かれています。

メンバー

このフォーラムは、現在、17の民間組織によって構成されていますが、それらは以下の【1】【2】【3】に大きく分けられるようです(以下に書いてある各組織についての簡単な説明は、フォーラムのサイトの中の「我们的成员机构」のページや個別組織のブログでの自己紹介など(2)をもとにしたもので、活動内容をきちんと分析したものではありません)。

【1】女性セックスワーカーをサポートする組織

・北京陽光之旅ボランティアグループ[北京阳光之旅志愿小组]――女性セックスワーカーのエイズ防止と職業安全教育活動をおこなう。
・北京愛知行(折翼天使)[北京爱知行(折翼天使)] ――2008年、女性セックスワーカーによって設立。エイズ防止など。
・天津信愛女性家園[天津信爱女性家园(天津信爱文化传播中心)] ――2008年5月、女性セックスワーカー4人が自発的に設立。女性セックスワーカーに関与。
・天津深藍工作組[天津深蓝工作组] ――2004年設立。「エンパワメント」を理念として、エイズ防止活動をおこなう。
・山東膠州愛心健康相談センター[山东胶州爱心健康咨询中心] ――低い階層の女性のセックスワーカーに対してエイズ防止活動をおこなう。
・青島你我青少年健康サービスセンター[青岛你我青少年健康服务中心] ――2003年設立。未婚の青少年のリプロダクティブヘルス教育をおこなう中から、セックスワーカーの健康問題に気づき、主な対象の一つにした。
・瀋陽愛之援助[沈阳爱之援助] ――エイズのハイリスクグループに関して健康教育や政策建議をする。
・[武漢]中国民間女権工作室[中国民间女权工作室]――女性セックスワーカーに対してエイズや権利の面で関与する活動。
・広州晋光センター[广州晋光中心] ――社会に周縁の人々の生存状況を知らせ、職業上の健康・安全などを改善させる。
・雲南個旧苦草工作室[云南个旧苦草工作室] ――主にセックスワーカーの中のエイズ感染者に服務。
・[雲南省]瑞麗市女性児童発展センター[瑞丽市妇女儿童发展中心]――瑞麗市にいる中国籍とミャンマー籍のセックスワーカーに対して健康教育。
・[四川省]江油市温馨家園[江油市温馨家园] ――江油市中英エイズプロジェクトの支持の下、2007年、売春の場所が密集している地区に設立。

【2】男性セックスワーカーをサポートする組織

・北京同行工作組[北京同行工作组]――2004年に設立された同性愛者のためのグループ。男性セックスワーカーの中でエイズ防止活動をおこなっている。
・雲南平行[云南平行]――男性セックスワーカーの中でエイズ防止活動。
・上海楽宜[上海乐宜]→のち上海心生(Shanghai CSM&MSM Center)――男性セックスワーカーとMSM(男どうしで性行為をする人々)のために活動。上海疾病予防・制圧センターやさまざまな大学と協力して、男性セックスワーカーの中でエイズ防止活動。

【3】香港・台湾の組織

[香港] 青鳥――セックスワーカー支援団体
[台湾] 日日春関懐互助協会(日日春)(Collective Of Sex Workers And Supporters[COSWAS])――セックスワーカー支援団体

中国大陸の組織は、「エイズ防止のための活動をしている」と言っている場合が多いようです。実際にはセックスワーカーどうしの交流などもおこなっている場合も多いわけですが(3)、表立った看板としては、「エイズ防止」前面に掲げていることは、セックスワーカーの人権を正面から言いにくい状況を示しているように思います。また、「セックスワーカー自身が設立した」と説明されている組織もありますが、そうでない組織の場合、セックスワーカー自身がどれほど主体的に関与できているのかは、あまりよくわかりません。

最高意思決定機関

このフォーラムの正式の「理事会」が選出されるまでの間は、2009年5月14日に設立された「臨時執事委員会」が最高決定機構であり、そのメンバーは、以下の人々でした(リーフレットより)。
・譚潔瑩(北京陽光之旅ボランティアグループ)
・方雪妃(北京愛知行折翼天使)
・郭子陽(北京同行)
・藍藍(天津信愛女性家園)
・張寧(山東膠州愛心健康相談センター)
・葉海燕(中国民間女権工作室)
・李曼(雲南個旧苦草工作室)
・陳桂蘭(瑞麗市女性児童発展センター)
・瀟恒(雲南関愛之家)
・楽言(雲南平行)
・葉挙林(広州晋光センター)
・鄭煌(上海楽宜)

その後は、2年ごとに大会を開催して、「理事会」のメンバーを選出すると決められています。2012年の時点では「理事会」に9名のメンバーがいるそうで、メンバーのお名前はわかりませんが、そのうち2名が女性セックスワーカーだとのことです(4)

会議や合宿

ふだんの会議は、上に挙げたようなメンバー10人程度で(もちろん人の入れ替わりはありますが)、インターネット会議という形式でおこなわれることが多いようです。その他に、合宿形式で、会議や研修がおこなわれることもあります(会議については、末尾の「付 会議と議題一覧メモ」をご覧ください)。

2.フォーラムの活動の概略――活動計画より

フォーラムの活動全体を俯瞰できるような文書はあまり見つけられませんでしたが、2010年度と2012年度に関しては、活動計画がありましたので(5)、それらを見てみます。以下の活動計画は、そのすべてが実現されたわけではないと思いますが、目指す方向性はわかります(原文のままではなく、概略です)。

2010年度活動計画

目標1:フォーラムのメンバーの多様性という特徴を利用して、エイズに関与する有効なモデルを探索・整理し、広める
 ・メンバーの組織の資料を収集し、とりまとめてハンドブック・書籍を制作する。
 ・経験の交流をし、優秀なモデルを推進する。
 ・調査研究:セックスワーカーの職業上の安全の問題を調査する。

目標2:ニーズを結び付け、弾力的で多様な方法でメンバーの組織が共同して発展することを支える
 ・メンバーの組織のニーズを調査する、メンバーの組織にフォーラムの活動に対して評価してもらう。
 ・フォーラム内部で経験を分かち合い、交流する会をする。
 ・メンバーの組織に対して技術的サポートするグループを設立する。
 ・特定のテーマについての専門的研修をする。
 ・国内・国際機関との相互訪問学習
 ・資源の共有、情報の分かち合い

目標3:フォーラムの制度を整備し、フォーラムの凝集力を増し、信頼性を高める
 ・制度(活動規約、財務制度、会議制度)を制定し、執行する。活動・財務の公開・公示をする
 ・スローガンとロゴを確定する

目標4:多様な方法で宣伝と唱導をおこない、政府の関係部門にフォーラムの価値を理解させ、支持を勝ち取る
 ・関係部門と交流することを通じて、フォーラムついて認識・理解してもらう
 ・ウェブサイトを設立する。

目標5:エイズ防止と健康を切り口にして、多くのルートで資金を集め、フォーラムの持続可能な運営を維持する
 ・資金調達団体モデルを探索し、打ち立てる。
 ・政府や基金会の関連するエイズ防止活動に参加して関係を作り、資金調達情報を得る。
 ・年間計画を完成できる金額を集める。


2012年度活動計画

目標1:フォーラムの組織の医療と法律と関連する管理能力の援助と研修
 ・新しい理事会の選挙――最初に市民社会の民主的選挙に関する研修をしてから、選挙をする。
 ・フォーラム内部で一対一の研修――フォーラムの中の経験と資質を持った組織の責任者が、フォーラムの中の経験が不足していて、発展が十分でない組織に対して、一対一で研修をする。
 ・法律援助センターを作る――弁護士が援助ホットラインをすることによって、セックスワーカーが直面している問題を解決するとともに、個別のケースを収集する。
・医療援助――性病・エイズの定期検査をおこない、その分析もおこなう。

目標2:セックスワーカーが自分の権利・義務と関連する医療・法律知識を理解する
 ・セックスワーカーの医療と法律の知識の小冊子――図版や具体的な事例を主とした、わかりやすい医療と法律の知識の小冊子をそれぞれ3000冊ずつ作成する。

目標3:セックスワーカーの現状の唱導
 ・セックスワーカーに対する厳しい取締りがエイズ防止に与えた影響についての会議――国連と協力して、衛生部・公安部が厳しい取締りがエイズ防止に与えた影響についての会議をする。
 ・国際エイズ大会――この会議で、中国においてセックスワーカー取締りがエイズ防止に与えた影響を宣伝する。2人が会議に参加する。
 ・国内外の関連する活動の会議で唱導をおこなう――関係がある人々と交流・宣伝
 ・フォーラムの唱導の宣伝品を制作する――ポスター、冊子など。



以上の年次計画から、フォーラムとしての活動を簡単にまとめると、以下のようになるかと思います。
 ・内部の組織の交流、経験のとりまとめ
 ・内部の組織の研修――外部から講師を呼んだり、より経験豊かな組織が、そうでない組織に対して1対1の研修をしたりする。
 ・外部の機関との交流
 ・セックスワーカーのために、法律や医療についてのパンフを作成・普及、法律・医療相談
 ・調査研究、社会に対する訴え(警察の取締りのあり方に対する批判など)

ただし、2010年度活動計画と2012年度活動計画とを比較すると、以下のような変化が生じているように思います。
 ・2010年度は、「エイズ防止」を前面に掲げていたが(目標1、5)、2012年度は、とくに「エイズ防止」を前面に掲げていない。
 ・2010年度は、内部のシステムについての計画に重点が置かれていたのに対して、2012年度は、外部に対する働きかけについて、より具体的に語られている(目標2、3)。

3.国際組織との関わり――国連のエイズ防止活動との関係が密接だが、セックスワーカー組織とのつながりも

この中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムは、資金面などで、主に国連エイズ合同計画(the Joint United Nations Programme on HIV/AIDS[UNAIS]日本語による説明)や国連人口基金(United Nations Population Fund[UNFPA])のサポートを受けています。

すでに2007年4月に、国連エイズ合同計画や国連人口基金は、北京で中国の衛生部と国家計画生育協会の協力を得て、性産業におけるHIV感染予防のためのプロジェクトを実施するための会議をおこなっています。中国政府自身のHIV/エイズ行動計画も、性産業の現場を含めて、HIV感染を引き起こす行為に対処することを求めています(6)(そのことと、性産業を取り締まる公安部[警察]の姿勢との間には不整合性があるわけですが……) 。

雲南省昆明で2009年2月20日に開催された「セックスワーカー健康関与組織研究討論会」(この会議は、フォーラムが結成されたという「セックスワーカー職業安全会議」と同じもののように思う)では、国連エイズ合同計画のNana Taona Kuo(过涛娜)さんが冒頭で発言し、「現在HIVがセックスワーカーを経由して伝染していることが肝心な問題であるのに、セックスワーカーと買春客に対して関与している率は比較的低い。 (……)各国の経験から、コミュニティを中心にして活動をおこなうが比較的有効であり、基層の組織が重要であることがわかっている。(……)けれども、現在、中国ではセックスワーカーからの声は聞こえないので、NGOを通じてセックスワークの現在の状況を反映させて、情報収集をしてこの工作を展開し、もっと多くの資金を募って、セックスワーカーをサポートする関与工作をおこなう。この会議を通じて皆さんのニーズを理解し、的確な援助によって、現在存在している困難を解決するのををできるだけ援助する」と語っています(7)

Google Group「中国性工作者」で見るかぎり、中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムが開催した、2日以上に及ぶ会議・研修(合宿形式であると思われる)は、そのほとんどが国連エイズ合同計画や国連人口基金の財政的援助を得ており、それらの機関の職員の挨拶から始まっています。

なお、ここで述べておくと、「世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)」(サイト日本語による説明)のプロジェクトに関しては、少なくとも2010年時点では、「セックスワーカー主導のプロジェクトやセックスワーカーが参与しているプロジェクトはきわめて少ない」と指摘されています(8))。

ただし、その一方で、中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムは、以下のような、セックスワーカーの人権を軸に据えた国際組織との交流や援助もあります。

たとえば、2011年9月24-25日におこなわれた研修会議では、アジア太平洋地区セックスワーカーネットワーク(Asia Pacific Network of Sex Worker$(APNSW)、亚太性工作者网络)の責任者(Andrew Hunter)との経験の分かち合いと交流がおこなわれています。また、セックスワークプロジェクト国際ネットワーク(Global Network of Sex Work Projects(GNSP)、全球性工作项目网络)との交流もあります。また、2012年に設立された「レッドアンブレラ財団(Red Umbrella Fund、红伞基金会)」(セックスワーカーの健康・人権・労働権・自主権のために奮闘する行動と組織をサポートする)の資金援助の申請方法をメンバーの組織に紹介する、といったこともおこなわれています。

もちろん、国連人口基金なども、HIV感染予防のためにはセックスワーカーの人権や健康のニーズにも取り組むべきことを強調してきていますので、国連関係機関と上のようなセックスワーカーの人権組織とが相対立しているわけではなく、共同で研究をしている場合もあります(9)。けれども、セックスワーカーの人権組織が国連人口基金などを批判している場合もある(10)ことに見られるように、力点の置き方の違いはあるだろうと思います。

また、中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムは、Asia Catalyst(亚洲促进会)という、東アジアと東南アジアの周縁的なグループ(セックスワーカー、LGBT、エイズ感染者など)の健康の問題に取り組む草の根グループに対して研修などの援助をしている団体からの支援も受けているようです。

4.警察の売買春取締りキャンペーンにおける人権侵害に対する批判

このフォーラムの各構成組織はさまざまな活動をおこなっていますが、「中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラム」として表に出て社会的活動をしたことは、それほど多くありません。その中では、2010年の売買春の取締り強化するキャンペーン(いわゆる「掃黄」「厳打」)に対する批判が目立っています。

売買春取締りキャンペーンの中での人身の権利の侵害を批判する声明

まず、2010年7月20日に、「中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラム」は、「最近の関係部門の売買春一掃が人身の権利を深刻に侵害している問題に関する声明」を出しました(11)

この声明は、まず、「最近の警察の売買春取締りの事件」として、(1)武漢の警察が買春や売春で捕まった人の実名と年齢を街頭に掲示したこと、(2)広東省東莞の警察が、売春した女性を、はだしのまま、手錠・縄付きで引き回しているかのように見える写真(この記事に掲載されている写真です)が見つかって問題になったこと、の2つの事件を取り上げて、(1)の事件については、プライバシー権の侵害であること、(2)の事件については、引き回しはとっくに禁止されており、人格権の侵害であることを批判しています。

そのうえで、この声明は、以下の点を要求しています。
 1.関連する法律執行部門は、以上の不当な法律執行行為について、被害者に対して公にお詫びをする声明を出し、かつ、精神上の賠償をするべきである。
 2.上述の不当な法律執行行為について、関係する上級部門は、その個人責任を追究し、相応の行政処罰をするべきである。
 3.上級部門は、今後類似した不当な法律執行行為が起きないようにする政策を出すべきである。すなわち、いかなる法律執行者も、セックスワーカーの尊厳を踏みにじったり、セックスワーカーのプライバシー権を侵犯してはならず、セックスワーカー自身の人身の権利と人身の安全を確保しなければならない。

「2010年の売買春取締りがセックスワークとエイズ防止に与えた影響の研究」

2011年には、中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムは、「2010年の売買春取締りがセックスワークとエイズ予防に与えた影響の研究」を発表しました(12)

この調査は、「エイズ防止とセックスワークについての専門家を招いてアンケートとインタビューの大綱を設計し、さらに国連人口基金と国連エイズ合同計画、『フォーラム』のメンバーに対して、意見を求め」て、計画したものだとのことです。また、この調査の特徴は、「すべてのインタビューとアンケート調査を同フォーラムのメンバーの14の組織がおこなった」ことで、そのためか、「これは、国内初の、研究者でもなく、衛生業務従事者でもない人々がおこなった比較的大規模なセックスワーカー調査である」と称しています。

また、この被調査者の中に、女性セックスワーカー(194人)だけでなく、男性セックスワーカー(105人)、異性装や性転換をしているセックスワーカー(人数としては、上記の「男性」と「女性」の中に含まれているが、独自に集計している)、業者、ケア・エデュケーションをするボランティアなども含まれていることなども特徴です。

この調査の結果、2010年の売買春取締りによって、以下のような影響があったことが明らかになりました。

・売買春取締りによって、閉鎖された場所が多く、客が減ったセックスワーカーが63%にのぼる(とくに女性の場合は、80%)。当然、そのために収入も減った。

・中国政府は売買春取締りをエイズ防止のための重要な措置の一つにしてきたが、大部分のセックスワーカーは、取り締まられても、売春を止めてしまうわけにはいかず、「しばらくセックスサービスに従事しなくなった」人が53.2%いただけだった。

・むしろ、「さらに隠蔽された場所または隠蔽された方法でするようにした」セックスワーカーが36.8%いた。そのため、エイズ性病防止活動をすることが難しくなった。たとえば、街頭に立つセックスワーカーは、警察のパトロールを避けるために仕事をする時間を遅くしたので、人身上の危険が増したうえに、エイズ性病防止活動もより困難になった。

・また、取締りを逃れるために、「コンドームを携帯しないようにした」セックスワーカーが16.1%、「コンドームを使わないようにした」セックスワーカーも4.7%がおり、性病やエイズに感染する危険が高まった。

・2010年、公安部は、売買春取締りの際に殴ったり罵ったりすることを禁止する文書を出したけれども(13)、今回の調査では、売買春取締りの際に、警官に「殴られた」セックスワーカーが10% (女性の場合は14%)、「金銭をゆすり取られた」セックスワーカーが7%(女性の場合は10%)おり、強姦されたセックスワーカーも4人いた。

・セックスワーカーからは、「取締り強化キャンペーンをやめるべきだ」「社会的差別をなくすべきだ」といった意見が出ている。また、フォーラムのメンバーからは、以下のような提案が出ている。
 1.メディアに携わる人々に対して、セックスワーカーに汚名を着せたる報道をしたりしないよう、研修をおこなうべきである。
 2.(性病やエイズ防止に携わる)衛生管理部門は、警察との調整に力を入れるべきである。「コンドームを売買春の証拠にするか否か」という点も、まだ明確な政策や文書が出ていない。
 3.法律サービスに携わる組織や社会団体は、セッスクワーカーの役に立つサービスを提供する必要がある。
 4. 中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムや国際組織が、政府レベルに対する唱導や研修を強化する必要がある。

「セックスワーカーに対する暴力をやめさせる」連名のアピール

さらに、2012年12月17日には、「セックスワーカーに対する暴力をやめさせる連名の手紙(终止暴力性工作者联署信)」(14)というアピールが出されました。このアピールは、中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムが出したものではありせんが、同フォーラムも名を連ねています。

ただし、このアピールの12月17日時点での連署団体は、北京佐佑情報相談センター(北京佐佑信息咨询中心)、(深圳夕颜)、姐姐仔会[香港]、上海心生(上海心生)、午夜藍(午夜蓝 [香港])、愛白文化教育センター(爱白文化教育中心)、全国エイズ情報リソースネットワーク(全国艾滋病信息资源网络)、天津信愛文化伝播センター(天津信爱文化传播中心)、雲南平行同志特区(云南平行同志特区[权益小組] ) 、飛賛ネット(飞赞网)、Ladyboy 互助ネットワーク(Ladyboy互助网络)、同志の声(同志之声)です。以上のうち、北京佐佑情報相談センター、上海心生、天津信愛は、中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムのメンバーですが、同フォーラム自体は、この時点の連署団体ではなく、その後に署名しています。

このアピールは、今年1月1日までに76団体が名を連ねており(セクシュアル・マイノリティ系やエイズウィルス感染者の諸団体も多い)、かなり幅が広いものです、また、セックスワーカー84名も個人として名を連ねているという特徴もあることですし(セックスワーカー以外にも29人が個人として名を連ねている)(15)、以下で原文を翻訳したものをご紹介します。

毎年12月17日、セックスワーカーに対する暴力をなくすことを旨とした「セックスワーカーに対する暴力をやめさせる国際デー」(*)である。

残念ながら、私たちは、現在、わが国のセックスワーカーは誰もが暴力に直面しているという事実あるいは心配があると認識している。たとえば、

一、人身の安全の保障が欠乏している

一部の女性・男性・トランスジェンダーのセックスワーカー団体の不完全な統計によると、2012年の1月から11月までに全国の7都市で調べたところ、セックスワーカーに対する暴力事件が218件起きており、そのうち8名のセックスワーカーが殺害されている。

注意しなければならないのは、セックスワーカーは、社会の言語による暴力や差別、汚名のほかに、常に顧客や暴力団の強盗、恐喝、ゆすり、強姦、窃盗などの攻撃的な暴力行為に直面しているということであり、人身の安全の保障が欠乏している。

二、暴力を振るわれても、助けを求められない

暴力事件に遭っても、セックスワーカーは警察に通報して助けを求めることができず、法律によって個人の利益を守ることができない。一つには、セックスワークに従事しているために、逮捕されたり処罰されたりすることが心配だからである。もう一つには、少なからぬセックスワーカーは、おとり捜査や暴力を使った法律執行を経験したことがあるので、助けを求めることを怖がる。悪い者が法によって捕まることがなく、欲しいままにふるまうのだから、被害者の抱える潜在的危険は日増しに高まり、別のセックスワーカーもいっそう暴力に遭いやすくなる。

以上に鑑みて、私たちは呼びかける:セックスワーカーの人身の安全に関心を持ち、いかなる形態の暴力もなくそう。

(中略)

最後に、私たちは、以下のように呼びかける。
 (1)セックスワーカーの権益を尊重し、セックスワーカーに対するいかなる言語上および身体的な暴力もなくそう。
 (2)法律を執行する際には、おとり捜査やセックスワーカーに対する暴力的な法律執行をしてはならない。
 (3)セックスワーカーが犯罪行為にあって助けを求めたときは、犯罪の被害者としてのセックスワーカーとセックスワーカー現在まだ合法ではないという身分とを区別して、セックスワーカーのために法律的支援を与えることによって、セックスワークに対する暴力的犯罪をなくすべきである。


(*)アメリカで48名以上のセックスワーカーを殺したゲイリー・リッジウェイ(Gary Ridgway)に対して、2003年12月17日、判決が下された。アメリカのセックスワーカー団体WSOP-USA(Sex Workers Outreach Project-USA)は、その日をセックスワーカーに対する暴力をなくすための記念日にした。

5.鄧玉嬌事件に対する傘下の組織のセックスワーカー視点での主張

2009年5月10日に起きた鄧玉嬌事件(浴場で足の手入れをする仕事をしていた鄧玉嬌が地方政府の役人に暴力を振るわれ、強姦されそうになったため、小刀で役人たちを死傷させた事件)については、すでに本ブログの記事(「鄧玉嬌事件をめぐって」、「鄧玉嬌事件の判決をめぐって」)で、いくつかのNGOの声明や女子大学生のアピールとパフォーマンスアートについてご紹介しました。

今回、「中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラム」の活動について調べた際、私は、この事件について、セックスワーカーやその支援団体も声明を出したり、パフォーマンスアートをしていたことを知りました。鄧玉嬌さん自身は直接性的サービスをする仕事をしていたわけではないのですが、異性を相手にした浴場での仕事についていたことや、役人たちに「特殊なサービス」に要求されて、それを拒否したことから暴力を振るわれたことなどが、セックスワーカーの状況と共通していたのだと思います。以下、ご紹介します。

まず、5月26日、北京愛知研究所の海淀女性セックスワーカー活動センター(16)が、女性セックスワーカーが主体になった討論会を開催して、以下のように、みんなで意見を出し合い、宣言をした記録を発表しています(17)

1.警察に問いたい。なぜ警察はすぐに証拠を集めなかったのか? 中国では、権勢がないと困難だ。

2. 鄧玉嬌の「刃物」について言えば、鄧玉嬌は仕事の場でいつも脅かされていて、危機感を覚えていたに違いないと思う。ある女性セックスワーカーは、数年前に[北京市]懐柔[区]で仕事をしたとき、いつもハラスメントにあっていた。だから、多くの女性セックスワーカーはポケットの中に刃物を入れていた。鄧玉嬌の仕事の場でも、きっと以前に他の女性が侵犯されたことがあったのだろう。

3. 鄧玉嬌は一人の弱い女性であり、きっと極度におじけ恐れていたのだろうし、精神が極度に刺激された状況の下では、やむを得ない選択だったのだろう。その時は本能的にしたことで、自らをコントロールする力も失った状況だったのだと思う。

4.たとえ鄧玉嬌がセックスワーカーだったとしても、彼女にも「売る」か「売らない」かを決める権利がある! 拒絶することを選択する権利がある!

5. 鄧玉嬌が強姦されたかどうかも、重要ではない。重要なのは「侵犯を受けた」ことであり、人身が脅かされ、人権が踏みにじられたことだ!

だから私たちは訴える、人身の安全と尊厳は私たちの共通のニーズだ!


5月20日には、中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムのメンバーの一つである中国民間女権工作室が、鄧玉嬌事件に関して以下のような声明を発表しています(18)

1.巴東政府が弱い女性の権益を守ることを期待する。尊厳が傷を受けた下で、さらに不合理な刑に処してはならない。

2.政府のそれぞれの末端の指導者は、自らの修養を強め、真に人民の公僕の位置に立ち返るべきであり、「公僕」の皮をかぶって人民の子女を蹂躙しないように訴える。「黄玉嬌」「李玉嬌」事件が発生することは絶対に防がなければならない。

3. 婦女連合会は女性の権利を守る役割を発揮して、「鄧玉嬌事件」に対して一定の関心を表明せよ!


さらに、5月29日、中国民間女権工作室は、華中師範大学の北門で、何満子武漢大学生コミュニティネットワーク(ネット上のフォーラムの名称のようです)のネットユーザーらと共に、鄧玉嬌についてのパフォーマンスアートを上演しました(写真を見るかぎりでは、4人の若い女性と2人の若い男性が参加したようです)。このパフォーマンスアートの発想は、5月24日に北京で女子大学生がおこなった「鄧玉嬌事件」パフォーマンスアート(これは、本ブログの記事「鄧玉嬌件をめぐって」で紹介しました)から得たとのことです。武漢でパフォーマンスをした紫妍さんも、90後(1990年代生まれの世代)の大学生です。

武漢でのパフォーマンスアートでは、まずメンバーたちが、「誰が次の鄧玉嬌なのか」というスローガンを掲げて、多くの通行人の注目を集めました。紫妍さんは、赤い×印を書いたマスクを身につけ、体を白いガーゼによって包み込むようにして縛られました。これは、発言権と自衛能力を失った民間の弱い女性を示しているのだといいます。さらに、葉海燕さんがこのパフォーマンスアートのテーマについて現場で説明をしたので、少なくない民衆が鄧玉嬌事件についての討論をしたとのことです(19)

ただし、鄧玉嬌事件について、中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラム自体が何らかの行動をしたということはないようです。

6.葉海燕と中国民間女権工作室の主張と行動の特色

「中国民間女権工作室」と同工作室を創設した葉海燕さんの主張と行動については、本ブログでもたびたび紹介してきました(「本年の動向10―売買春に関する議論と行動」、「『第1回セックスワーカーデー』、中国民間女権工作室、セックスワーカーの互助団体の萌芽」、「世界基金のプロジェクト中止で、中国民間女権工作室に打撃――中国のNGOの困難」、「葉海燕らによるセックスワーク合法化の街頭宣伝と葉の拘束、第2回セックスワーカーデー中止をめぐって」、「中国民間女権工作室(葉海燕ら)に対する当局の弾圧と同工作室の活動停止」、「葉海燕さんが広西を拠点に中国民間女権工作室の活動を再開」、「葉海燕さんの婦連批判と『民間婦連』、底辺の女性への視点」、「『第5回(2012年)中国10大セクシュアリティ/ジェンダー事件批評』」の2「葉海燕が『十元店』で無料のセックスサービスをした」)。

中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムの中でも、葉さんらの主張と行動は、以下のような特色を持っていると言えるように思います。
(1) 売買春取締り批判にとどまらず、セックスワーク合法化を積極的に主張していること
(2) 2005年12月という早い時期から「妓女維権熱線(のち紅塵熱線)」という電話相談を開始したのみならず、2009年からは街頭宣伝を含めた行動をしばしばおこなっていること。すなわち、8月3日を「セックスワーカーデ―」と定めて、その前後に、街頭宣伝や署名集めを含めたイベントをおこない、12月17日には、「レッドアンブレラ(红雨伞)」アクションとして、セックスワーカーに対する暴力や差別に反対する街頭宣伝などをおこなってきたこと。
(3) エイズ防止を軸に考えず、セックスワーカーの権利を軸にして考えていること。
(4) 政府批判はもちろん、中華全国婦女連合会批判を繰り返しおこない、「中国民間婦連」の創設まで宣言したこと。

(1)の点については、既にいろいろご紹介してきましたが、葉さんがフォーラムの中で発表した「私はなぜセックスワークの合法化を提唱しなければならないのか」(20)という以下の文からは、葉さんがセックスワーク合法化を主張しているのは、社会的な貧富の差に注目し、同じセックスワーカーの中でも貧困な人々に特に関心を寄せているからであることがわかります。

1.最初に明確にしなければならない点がある。私の関心は、主に貧困なセックスワーカーにある。貧困者とは、社会環境全体の中での弱者層だけである。けっしてすべてのセックスワーカーが貧困なのではない。若干の高級な場所のセックスワーカーは、セックスワーカーの中のホワイトカラーであり、ゴールドカラーでさえあり、私の生活と比べてもずっと良い生活をしている。彼女たちの前では、私は弱者にすぎない。だから、彼女たちを助けるなどというバカなことは語らない。私が関心を持っているのは、貧困なセックスワーカーである。なぜなら、私も貧困者だからだ。私たちは同じ世界に属しており、同一の階層の中の人である。私たちは運命を共有している。

2.私がセックスワークの合法化を提唱する理由は、けっして性を売ることを提唱するからではない。性の取引が違法であり、売買春が違法だと規定している法律は、何千何万もの人の生存に影響するからだ! 彼女たちは、都市の片隅で生活している貧民である。あなた方が子細に観察すれば、小さなヘアサロン、小さな休閑店[注:いずれも売買春の場になっている]にいるのは、実際はみな貧乏人であることがわかるだろう。店主であれ、セックスワーカーであれ、買春客であれ、みな貧乏人である。おかみさんがヘアサロンを経営するのは、家族を養うためであり、セックスワーカーが出勤してくるのも、家族を養うためであるか、自分の将来のために少しばかりの蓄えを稼ぐためである。買春客も、性に苦悶する庶民である。本当に金を持っている人は、みなお妾さんを持ったり、愛人を養ったりしている。庶民、低収入の人だけが、それらの休憩所に行って、自分の性の問題を解決するのである。売買春一掃の厳しい取締りが始まると、この3種類の人の生存はみな影響を受ける。とくに高額な罰金は、この3種類の人々を苦境に追いやる。

3.性は、すでに普通の人にとって圧力になっている。都市の生活では、婚姻はもう簡単なことではない。婚姻の背後には、住宅や仕事が関係してくる。私たち一人一人が長期的なパートナーを見つけようとすれば、それは決して容易なことではないことをよく理解しなければならない。(……)とくに低収入の人々はそうである。性は庶民の圧力になった後に、人口のバランスが崩れるにつれて、ますます明確な社会問題になる。社会の安定は、セックスワーカーと不可分である!

4.セックスワークは危険性が高い仕事であり、セックスワーカーが暴力に遭ったり死亡したりする比率はとくに高い。第三者の監督がある環境にいてこそ、セックスワーカーは比較的安全である。たとえば、ヘアサロンでの性の売買の行為のようにである。入口の外にはおかみさんがいるか、その他の姉妹がいるので、犯罪者もむやみに入って来られない。けれども、非合法であるために、売買春取締りを恐れて、セックスワーカーが隠蔽された場所に身を隠すために、人々がいるところから離れて、客と性の売買をすると、暴力を振るわれる危険がきわめて大きくなる。もし合法ならば、セックスワーカーは、固定された場所で落ち着いて仕事ができるので、比較的安全であり、一日中びくびくしながら過ごす必要はない。

5.実際は中国の性産業は、すでに半ば合法の状態である。私がセックスワークの合法化を提唱するのは、実際は低い階層のセックスワークの合法化である。なぜなら、高級な場所ではとっくに合法化されているからである。あなた方は、高級なクラブやホテルで誰かが捕まったのを見たことがあるだろうか? 捕まるのは、低い階層のセックスワーカーである。それゆえ、合法化を提唱するのは、低い階層の人に平等な生存環境を与えたいからでもある。これらの理由は、性を開放して、女性の売春を奨励することと、なんら関係がない。ご理解いただけるだろうか?


この葉さんのセックスワーク合法化論に関しては、フォーラムの中でも議論になりました。ただし、他のメンバーもセックスワークの非犯罪化は肯定しており、葉さんと他のメンバーとは対立しているわけでもないという指摘も出されました(21)。また、2010年8月、武嶸嶸さんらが属している北京愛知行研究所も「セックスワーカーの権益に関心を寄せ、セックスワーク合法化を訴える公開書簡」(22)を発表しているように、他にも「合法化」を社会的に主張しているメンバーはいることも述べておきます。

(2)の点に関しては、葉さんは、「中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラム」は、もっとフォーラムとして社会的に主張すべきだと考えています。すなわち、葉さんは、「多くのセックスワーカー組織は、非常に控え目だ。いくらかの草の根の組織が言うところでは、世の中に知られなくても具体的なことをするという。それは一つの戦略であり、一つの方法だが、では、誰が唱導をするのか?」「フォーラムは、学習と研修の機会は多いが、残念ながら声、とくに集団の声が少ない。私たちは多くの事柄について、私たちの立場を表明してこなかった」(23)と述べています。

(3)の点に関して、葉さんは、ずばり、「私はエイズ防止のためにセックスワーカーに関心を持つのではない、私はセックスワーカーのためにこそエイズ防止活動をするのだ」(24)と表明しています。

(4)の点に関して、葉さんの中華全国婦女連合会批判については、「葉海燕さんの婦連批判と『民間婦連』、底辺の女性への視点」でご紹介したところですが、葉さんは、世界基金に対しても、両工委(非政府組織工作委員会と感染者工作委員会)の委員の選出などにおいて女性セックスワーカーを重視していないことを批判したりしています(25)。さらに、世界基金が中国から撤退する(完全な撤退ではないようですが)に際して、以下のような公開書簡を発表しています(26)

 あなた方[世界基金]は、中国に巨大な貢献をした、そうだ、巨大な貢献だ!
 なぜなら、あなた方はNGOの理念を輸入し、エイズの民間サービスを輸入した。中国の数千万のエイズ感染者にとって、私たちは、あなた方に恩がある。あなた方は、私たちの多くのグループに非常に巨大な援助を与えた。

 しかし、私は中国の公民、中国の底辺の公民としては、あなた方が中国を離れることに感謝する!
 あなた方が存在したことによって、私たちの政府は自分の責任を忘れた!
 あなた方が存在したことによって、私たちの政府は傍観者に、しかも面倒がない傍観者になった!
 あなた方の存在によって、私たちのグループは、追求するものを変えた!
 あなた方が行ってしまうと聞いて、私は非常につらい。けれども、うれしさの方が上だ!


この公開書簡は、世界基金とともに中国政府を批判しています。

以上のような主張と行動ゆえに、これまでご紹介したように、葉さんは、当局によって、第2回セックスワーカーデーのイベントを中止させられたり、武漢では入居している建物から中国民間女権工作室を追い出されました。

さらには、2012年5月には、葉さんが広西省に設立した浮萍健康服務工作室が正体不明の男性8人によって襲撃され、葉さんが刃物で負傷させられるという事件が起きました。葉さんは、この事件を当局によるものと見なしており、「8人の人を使って私たちのこの10㎡の公益グループに対処させるとは、私たちを本当に持ち上げてくれたものだ。私は党に感謝し、政府に感謝する、このように私を重視したことを!」と述べています(27)

付 会議と議題一覧メモ

以下の会議と議題の一覧は、Google Groupの「中国性工作者」でわかるかぎりのものであり、断片的な情報でしかありません。会議の名称なども、統一して表記していません。

2009年

●2月20日 セックスワーカー健康関与組織研究討論会(雲南省昆明祥瑞酒店401号会議室)

議題
一、各参加組織が、それぞれの地区でのセックスワーカーの医療環境を紹介する。
二、事例を分かち合って経験交流をする。
三、各組織が各地のセックスワーカーの法律の問題を交流する。
四、セックスワーカー組織交流フォーラムの計画の討論

●7月30日 セックスワーカーフォーラムネットワーク会議

一、インドでの研修の参加者について
二、事務局の職責に関する審査について、若干の文言を修正して採択
三、今後2ヶ月の活動の割り振りを一致して採択、実施を開始
四、UNFPAの研修計画の申請について

●11月24日 セックスワーカーフォーラムネットワーク会議(インターネット会議)

一、第2回フォーラム組織人員の実習
二、第2回研修会議(青島1.10―12)
三、国連人口基金[UNFPA]経費サポートフォーラム研修会議(青島1.13―16)
四、その他の提案と討論

●12月21日 セックスワーカーフォーラムネットワーク会議(インターネット会議)

一、フォーラムの交流会とフォーラムの組織の能力建設にについて討論
二、交流会議の議事日程について(1月11日―1月12日、青島)
三、研修会議の議事日程について(1月13日―1月15日、青島)

2010年

●1月10日―12日 交流会議(青島)

1月11日
 午前
UNAIDSの職員のあいさつ
男性セックスワーカー工作と分かち合い
 午後
女性セックスワーカー工作と分かち合い
総括
 晩
アウトリーチ活動

1月12日
 午前
フォーラム前期活動総括報告
フォーラムの将来の工作計画、工作規約
 午後
フォーラムの規約制度とフォーラムのその他の事項の討論と表決

●1月13日―17日 中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラム組織能力建設研修会(青島)

1月13日
 午前
UNFPAの職員のあいさつ
国際セックスワーカーとNGOの現況
国内セックスワーカーとNGOの現況と発展計画
 午後
プロジェクトの管理モデル
プロジェクトの観測と自己評価

1月14日
 午前
セックスワーカープロジェクトサポート組織と基金会の理解と申請
プロジェクト[申請?]書を書く
 午後
プロジェクト書の難しくてわからない点の解答
国内のセックスワーカーに関する法律

1月15日
 午前
セックスワーカーの職業上の技巧
セックスワーカーがどのように自分を保護するかと安全の問題
 午後
会議の総括

研修専門家:
・張菊芳(倍能组织能力建设与评价中心)研修専門家(14日、15日午前)
・郭暁飛(中国政法大学講師)、中国の法律と同性愛との関係についての専著。潘汝銘教授の下で、中国のセックスワーカーと関係NGOに対する研究プロジェクトに参加したことがある(15日午後)。
・張寧(山東膠州病院皮膚科主任)(16日午前)

●1月15日―23日 中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムの組織の間の学習(UNFPAがサポート)

●2月1日 中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムインターネット会議

一、北京愛知行折翼天使組織の責任者の方雪妃が離れる。
二、フォーラム交流会の議事日程について(3月18日-3月21日、武漢)
三、フォーラムの宣伝の小冊子と性病の知識の小冊子について……修正したうえで印刷する。

●3月18-21日 中国セックスワーカーネットワークフォーラム組織交流会


 19日
UNAIDSの職員のあいさつ
会議紹介
フォーラムの活動報告と活動計画
 フォーラムの前期活動総括報告
 2010年度の活動計画の制定
フォーラムの発展計画を制定

 20日
フォーラムの規約を制定
会議の総括

●5月6日 中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラム5月フォーラム理事インターネット会議

一、投票で理事長を選出→鄭煌に
二、UNFPAプロジェクトの残金使用状況
三、フォーラムへの加入申請プロセスの緻密化
四、青島你我青少年健康サービスセンターのフォーラム加入申請に関すること
五、フォーラムの技術グループ設立を討論

●10月25日午後7―9時 中国セッスクワーカー組織ネットワークフォーラム第5回インターネット会議

一、新しい組織のメンバー
 天津深藍女性家園、江油市温馨家園
二、フォーラムの最近の活動の報告
 1.RCCプロジェクト
 2.法律知識の小冊子
 3.フォーラムのウェブサイト
三、フォーラムの今後の活動計画
 1.UNFPAがサポートする全国の厳打(売買春に対する厳しい取締り)調査プロジェクト
 2.アジア促進会がサポートする年末のフォーラムのメンバーの組織の能力建設研修会
四、フォーラムに対するみんなの意見と建議

2011年

●3月20―23日 中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラム2011年3月研修クラス

●4月28日午後7―9時 中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムインターネット会議

一、2010年フォーラムプロジェクト工作完成状況と財務報告
 1.UNAIDSのプロジェクトの報告と財務報告
 2.UNFPAの組織能力建設プロジェクトの報告と財務報告
 3.UNFPAの厳打調査報告プロジェクトの報告と財務
 4. フォーラムの組織の実習の報告のとりまとめ
二、フォーラムの最近のプロジェクトの活動報告
 1. フォーラムの組織の能力建設研修会
 2.4つのフォーラムのメンバーの組織の研修クラス
 3.地図法プロジェクト
三、その他の議題の討論

●8月3日19:15―20:50 中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムインターネット会議

一、フォーラムの第2四半期の財務報告
二、フォーラムの第2四半期の活動の展開状況の報告
三、フォーラムの9月の研修会議の討論
四、ICAAPのポスターの討論
五、フォーラムのメンバーの最近の活動の分かち合い

●9月24―25日 中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムの能力訓練会議(上海)

・アジア太平洋地区セックスワーカーネットワーク(APNSW)の責任者(Andrew Hunter)との経験の分かち合いと交流
・中国セックスワーカーの厳打の法律知識の研修とケーススタディ
・中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムの2010年度および2011年度の活動の総括および今後2年間の発展の討論
・中国セックスワーカー組織ネットワークフォーラムのメンバーの組織のプロジェクトおよび活動の経験の分かち合いと交流

追記

・このフォーラムについては、Tiantian Zhengさんの論文が触れているようです。私はその論文自体は未見ですが、Tiantian Zhengさんが、2009年と昨年に、それぞれ、Red Lights: The Lives of Sex Workers in Postsocialist Chinaと、Ethnographies of Prostitution in Contemporary China: Gender Relations, HIV/AIDS, and Nationalismという著作を出されているようですので、いま、注文しているところです。

・セックスワーカー(支援)が中心になった中国の総合サイトとしては、「我的生活」も、かなり豊富な情報を発信しています。また、日本におけるセックスワーカーのHIV感染予防の問題に関しては、水島希「セックスワーカーの労働条件としてのHIV感染予防」『季刊ピープルズ・プラン』No.31(2005年夏)で述べられています。水島氏は、売春と性風俗産業が警察の管轄下に置かれていることと、セックスワーカー/顧客/経営者の間に経済的利害関係があって、セックスワーカーが最も弱い立場に置かれていることを問題として指摘しておられます。前者は中国と共通する面が大きい問題であり、後者は中国ではまだあまり追究されていない問題のように思います(この点は、もう少し調べてみなければいけませんが)。

(1)性工作者平台宣传册子电子版」中国性工作者2010年2月2日。
(2)フォーラムのサイトにも掲載されておらず、組織自体のブログなどもない組織(フォーラムのサイトの我们的成员机构のページは更新が少し遅れており、新しく加入した組織はまだ掲載されていません)に関しては、以下のような個別のページの説明に拠りました。たとえば、北京愛知行(折翼天使)については、「【China AIDS:6623】 介绍新的性工作者干预小组——北京折翼天使 (受方雪妃本人委托)」China Youth HIV/AIDS Assembly2011年6月26日といったぐあいにです。
(3)本ブログの記事「『第1回セックスワーカーデー』、中国民間女権工作室、セックスワーカーの互助団体の萌芽」でも、雲南省昆明市の「健康亭」のそうした交流の機能について紹介しています。
(4)China Sex Worker Organisation Network Forum“Anti-Pornography Crackdowns: Sex Work and HIV in China”《Research for Sex Work 13: HIV and Sex Work – The view from 2012 (English/Chinese) (性工作研究)》2012年刊[PDF]p.3-4.
(5)关于中国性工作者机构网络平台」2010年4月12日の「中国性工作者机构网络平台二年战略规划」の中の「2010年度运作计划」と「平台2012年度工作计划」2012年3月8日。
(6)HIV専門家会議、性産業現場でのコンドーム利用促進を求める」国連人口基金東京事務所プレスリリース2007年4月。
(7)2009年工作计划」中国性工作者2009年3月24日の添付ファイル郑煌「性工作者健康干预机构研讨会会议报告」。
(8)叶海燕「转发:性工作者健康组织参加全球基金的情况」中国性工作者2010年3月25日。
(9)UNDPとUNFPAとUNAIDSとAPNSWが協力して、アジア太平洋地区のセックスワーカーの法律的環境がセックスワーカーの中でのHIV予防に対する影響についての研究をおこなっています(「亚太地区性工作者有关法律环境、人权及应对HIV工作国家草案(中国部分)」中国性工作者2011年12月15日)。
(10)たとえば、「セックスワーカーたちの、 UNAIDS(国連エイズ合同計画)による『HIVとセックスワークについてのガイダンス・ノート』への意見書 」(すぺーすアライズ)では、「国連エイズ合同計画」に対する「セックスワークプロジェクト国際ネットワーク」の批判が述べられています。
(11)关于近期有关部门扫黄打非所带来不正当执法问题声明」中国性工作者2010年7月21日、「性工作者平台机构针对"扫黄打非"中问题发表声明」China AIDS Group中国艾滋病网络2010年7月21日(来源:红尘网http://www.hongchen2006.com/?viewnews-22294)。
(12)2010年严打对性工作与艾滋病防治影响研究[PDF])」女声網2011年11月12日。
(13)公安部:游街示众反应基层公安轻视人权」人民網2010年7月26日[来源は大河網]、「公安部:坚决制止将卖淫嫖娼者游街示众」『南方日報』2010年7月27日、「売春女性の『市中引き回し』、今後はNG=公安部が禁止令―中国」レコードチャイナ2010年7月26日、「四部门发文要求教育挽救卖淫女 禁止游街示众公开曝光」法制网2010年12月12日、原文は、「公安部、人力资源社会保障部、卫生部、全国妇联联合下发关于在查禁卖淫嫖娼等违法犯罪活动中加强对卖淫妇女教育挽救工作的通知」(泉州市公安局公众服务网より)。
(14)2012年12月17日“国际终止暴力对待性工作者日” 联署信鸣谢与声明」北京同志中心ブログ2013年1月9日。
(15)以下で、連署した団体名を挙げておきます(中国語のままで済みません)。
 北京佐佑中心、深圳夕颜、姐姐仔会(香港)、上海心生、午夜蓝(香港)、爱白文化教育中心、、全国艾滋病信息资源网络、天津信爱文化传播中心、云南平行同志特区(权益小組) 、飞赞网、Ladyboy互助网络、同志之声[以上は、12月17日時点での連署団体]、胶州爱心健康咨询中心、郑州市和而不同艾博公益、福建城堡工作组、中国彩虹健康中心、福建省福桐联合会、上海女权公益小组、北京同志中心、北京纪安德、同志亦凡人、河北沧州爱无界关爱工作组、上海爱的家园互助小组、北京女同志中心(北京拉拉沙龙)、中国人民大学性社会学研究所、北京爱知行研究所、天津海河之星艾滋病感染者、广西碧云湖社区、重庆爱助之家感染者互助小组、陕西同康工作组、河北青鸟公益、成都同乐健康咨询服务中心、中国艾滋病病毒携带者联盟、跨越中国、东珍人权教育中心、鞍山市立山区艾滋病防治工作组、浙江爱心工作组、河南公益先锋、天津友爱家园、天津深蓝工作组、山西蓝典工作组、辽宁省本溪爱蓝健康服务中心、同城青少年资源中心、河南三禾工作组、淡蓝网、沈阳爱之援助、在一起-南昌LGBT工作室、性工作者机构网络平台 、浮萍健康工作室、女同学社(香港)、深圳艾滋病关注小组、基纷Gayfunhk.com、GaySpot点杂志、BNUZ-性别文化协会、天津艾馨家园HIV工作室、中国les广播电台、沈阳阳光工作组、中国男同健康论坛、Please add on 亚洲促进会、贵州黔缘工作组、“半边天”河北永清感染者互助组、吉林省常春藤工作組 、绵阳同志关爱小组、亚太性工作者网络(APNSW)、YouthLEAD(青年领袖)、Different Avenues(美国)、深圳智同、花样年华重庆同心工作组、Asia Pacific Transgender Network (APTN)、向阳花开•杭州LGBT、缅甸性工作者网络、公共卫生治理项目、Scarlet Alliance, Australian Sex Workers Association、天津滨海工作组、鞍山彩虹工作组
 連署した個人は、以下のとおりです。
 潘绥铭、童戈、荣维毅、黄盈盈、郭晓飞、程青松、陶涛、郭子阳、王明荣、二言、王超、Damien、江晖、叶海燕、海斌、朱羽、晓轩、朱历男、洪哲欣、张震、洛羽成非、真真-S-mile、小夕、勵君、小姐说、小娜、小彬、Macy、池诚
 連署したセックスワーカーは、以下のとおりです。
 小夕(深圳)、伪娘瑞琪、宇豪、谢飞、晨晨、骨精权、小李、李永生、钱井、吴名、阿力、Andy、子龙、小轩、赵云、小刘、人妖菲菲、阿西、张朋、李伟、希望、Ladyboy Rachel、刘三九、TS Mimi、忠兴、平安、胡、田一凡、张全、陈刚、李健、魏哥、兽兽、胡子壮男、亞鴻、阿凯、大山、田皓、李發、阿聯、大彬、阿全、呂詞軍、馬利、阿正、小強、安東尼、飞哥、阿強、阿超、晓杰、小凯、阿信、小宝、阿枫、阿彪、小亮、Jacky Wu、Matthias Lehmann、米露、肖强、鑫宝、小辉、遥小蝶、小黑、小东北、宇阳、李欣、牡丹、小洋、小少、乔丹、李哲、阿伟、小轩(北京)、海洋、
(16)北京愛知行研究所は、2006年に女性セックスワークプロジェクトを開始して、彼女たちの健康や権利についての研修をしてきており、2007年末には、女性セックスワーカーが比較的集中している地区に、「女性セックスワーカー活動センター」を設置して、彼女たちが相談に来たり、研究所が各種の活動を組織しやすくしたとのことです(「联合国艾滋病规划署官员来访北京爱知行研究所女性性工作者社群」NGO発展交流網2010年7月2日)。
(17)武嵘嵘「女性性工作者看待邓玉娇事件与宣言——尊严与人身安全是我们共同的需求!」(中国性工作者2009年5月31日)の中の「就邓玉娇事件女性性工作者讨论会纪录及宣言」
(18)叶海燕「针对“邓玉娇事件”发出的声明」荼蘼花尽2009年5月20日。「针对“邓玉娇事件”发出的声明」中国性工作者2009年5月21日。
(19)民间女权组织上演邓玉娇事件行为艺术」中国性工作者2009年5月29日、中国民间女权工作室「民间女权组织上演邓玉娇事件行为艺术」中国発展簡報2009年5月31日。
(20)我为什么要倡导性工作合法化?」中国性工作者2011年6月28日。
(21)葉海燕さんのほか、郭子陽さん(北京同行工作組)、藍藍さん(天津信愛文化伝播中心)、鄭煌さん(上海心生)、蔡明宏さん(フォーラム書記局)、嗄嗄さん(天津深藍工作組)がこの議論に参加しています(同上)。
(22)关注性工作者权益、呼吁性工作合法化的公开信(联名签署)」愛知行動2010年8月7日。
(23)分享一个关于性工作者平台的讨论(还有我的个人看法)」中国性工作者2011年6月30日。
(24)【China AIDS:4048】 回复:叶海燕的竞选 性工作者部类」China AIDS转载BLOG2009年5月8日。
(25)同上
(26)【China AIDS:6517】 欢送全球基金离开中国!感谢你们对中国做出的贡献」China AIDS GROUP中国艾滋病网络2011年5月13日。
(27)叶海燕遭遇当地数名男子伤害事件」2012年5月25日、「【China AIDS:7307】 Fwd: ] 叶海燕遭遇当地数名男子伤害事件」2012年5月25日。
関連記事

「2012年中国10大セクシュアル・マイノリティニュース」

昨年12月26日、淡藍網(さまざまなセクマイの話題を扱っているが、全体的に見ればゲイサイト)が「2012年中国10大セクシュアル・マイノリティニュース」を発表しました(「淡蓝网盘点:2012年中国十大同志新闻」淡蓝网2012年12月26日)。

昨年までの10大ニュースは以下のとおりでした。
・「2007~2009年の各年の中国10大セクシュアル・マイノリティニュース
・「『2010年中国10大同性愛ニュース』
・「『2011年中国10大セクシュアル・マイノリティニュース』

1.福建初の男性同性愛の結婚式が多くの人の注目を引いた

10月2日、福建の寧徳市柘栄県で、陸忠さん(24)と劉旺強さん(20)との結婚式が公開でおこなわれた。結婚式自体に参列したのは60人ほどだったが、新婦役を数台のオートバイで出迎え、2人の周りには千人にのぼる観衆が集まり、2人はみんなの前で抱き合ったり、キスをしたりした (「视频:福建男同性恋情侣的盛大婚礼」淡蓝网2012年10月3日[来源:海西晨報])。

この件は、日本でもニュースとして取り上げられたほどです(「男性カップルが初の公開同性婚 小さな町は大騒ぎ―福建省」ライブドアニュース[毎日中国経済2012年10月17日]、「公開結婚式を行った同性愛者、見物に1000人以上が集まる―福建省寧徳市」レコードチャイナ2012年10月18日)。

といっても、べつに2人は自分たちのことを革新的だと思っているわけではなく、陸忠さんは「私たちは比較的伝統的で、比較的保守的なので、単純に結婚式をしたいと思っていて、結婚してこそ1つの家族になると感じたのです」と語っています。

また、陸さんは、「私たちは、もともと戸外で結婚式をすると決めていたのですが、その後、脅さました。政府とか、公安局(警察)とかの機関などにです」と語っています。陸さんによると、2人が「閙洞房(友人などが押しかけて、2人をからかいつつ、祝うこと)」をやっているとき、公安局は、あちこちのカラオケ店に行って、カラオケ店の主人に、「2人に会ったら、警察に届けなさい、われわれが捕まえる」と言って回ったということです。また、2人は、当初はあるホテルに宿泊して、そこで「閙洞房」をする予定だったのですが、公安局の圧力がかかって、小さな旅館に変更せざるをえなかったそうです(「婚礼内幕:对话福建结婚同志」淡蓝网2012年10月21日[来源:網易])。まだ、こうした厳しい状況はあるということです。

また、上の記事(「视频:福建男同性恋情侣的盛大婚礼」淡蓝网2012年10月3日[来源:海西晨報])の中のビデオを見ると、集まった人々は、物珍しさ、ないしは興味本位で写真を撮るためにカップルを取り囲んで揉みくちゃにしているようにしか見えません。

2.黄耀明・何韵詩などの有名人が相次いでカミングアウトした

今年4月23日、香港の歌手・黄耀明[アンソニー・ウォン] (wikipedia による説明)が達明一派のコンサートで、世間に「私は同性愛者だ」と公表した。5月、香港の有名なDJでテレビ番組司会者の蘇施黄がテレビの中で平然とカミングアウトし、家族が彼女の別な一面を受け入れてくれていることに感謝した。9月、香港立法会の議員・陳志全(慢必)が同性愛者という身分を対外的に公表し、香港の立法機関の最初の公然たる同性愛者議員になった。9月はまた、香港の船舶王の趙背曾の女児・趙式芝と時計商人の娘の楊如芯の2人が、フランスで民事パートナーシップの手続きをしたことを高らかに宣言し、同性パートナーシップ関係のカップルになった初の有名人になった。11月10日、女性歌手の何韵詩[デニス・ホー]が香港プライドパレードで同性愛者であることを誇り高く宣言した。

黄耀明さんのカミングアウトに関しては、日本のブログの中にも、話題にしている方がいました(「勇敢宣布:『達明一派』のアンソニー・ウォン(黄耀明)が同性愛を正式に公表『僕はゲイです』」華流 チャイナ日和 (又名:華流的一天) 2012年4月25日)。

趙式芝さんの件については、日本ではむしろ、彼女の父親が、娘の男性の結婚相手を見つけるために61億円を払うと言ったことのほうが話題になりました(「娘が同性婚を公表 香港の富豪、趙世曾氏は認めず、61億円で婿探し」yahoo!ニュース[毎日中国経済2012年9月27日])。

以下は、それぞれについての淡藍網の記事です。
・「黄耀明演唱会高调出柜:我是同性恋者」」淡藍網2012年4月23日。
・「艺人苏施黄公开承认同性恋 感激家人接纳」」淡藍網2012年5月13日。
・「香港立法会议员陈志全出柜 誓为同性恋者争平权」淡藍網2012年9月11日。
・「香港名媛赵式芝与同性密友杨如芯结婚」淡藍網2012年9月22日。
・「2012香港同志游行争取平权 何韵诗现场出柜」淡藍網2012年11月10日。

3.杭州の性教育の書物の同性愛者差別が疑われ、編集責任者がお詫びをした

このニュースについては、淡藍網も、「国内のセクシュアル・マイノリティ[同志]たちが、『ホモフォビア』の教材を公然と譴責し、出版した側と交渉したことは、中国のセクシュアル・マイノリティが差別反対の面で受動から能動に変わったことを示している」(1)と高く評価していますし、私も関連記事を読んで、以下で私なりに少し詳しく紹介してみました。

性教育の指導書のホモフォビア

昨年、杭州市教育局は、『青春期, 請家長同行(思春期には、保護者が同行するようにお願いする、といった意味)』(杭州市教育局家長学校総校・杭州市教育科学研究所編、東北師範大学出版社出版 2011年)を「性教育の指導書」として推薦しました。杭州市は、同書を、何回かに分けて中高生の保護者に5万冊贈呈し、学習活動をするつもりであるとも報じられました。

しかし、同書は、「性の逸脱を予防する」という節の中で、「性の逸脱」の一つとして「同性愛」を取り上げていました。同書は、「[同性愛の]大多数は、『後天的』に形成された異常な行為だ」と述べ、「性逸脱の患者は、一般には病院で治療するのが良い」とも言っていました。さらに、「同性愛」についての解説の中で、「同性愛者は、社会の風俗道徳に背いており、そのために彼らは、性格がひねくれて人付き合いがよくなく、奇妙になり、人生観・道徳観において常人と異なるため(……)一般的な社会的心理や社会秩序と協調できない。」「思春期の男の子や女の子は(……)同性愛者のセクハラに警戒・識別・抵抗しなければならない。」「同性愛のもう一つの危険は、各種の伝染病と性病にかかりやすいことである」とも述べていました(p.61-63)。

編集責任者に抗議、改訂を約束させる

『青春期, 請家長同行』はそれほど広く販売されなかったようですが、それでも、この本を手に入れた阿強さんが、自分のミニブログ(微博、「中国版ツイッター」とも呼ばれる)で問題点を指摘し、8月26日には自らのブログ「夫夫生活」でも同様の批判をして、本を回収するよう要求しました(2)。彼の指摘を受けて、他のさまざまな人からも批判の声が上がりました(3)

8月27日には、「同性愛者の家族と友人の会(同性恋亲友会)」(阿強さんも執行委員の1人)の保護者18名も、連名で杭州市教育局に手紙を出して、本を回収するように求めました(4)

8月29日には、同性愛者の組織である「浙江愛心工作組」の責任者の王龍さんとボランティアの「哥」さんが、杭州市教育科学研究所に赴いて問題を指摘しました(5)。そして、9月2日には、編集責任者で、杭州市教育科学研究所の党委員会書記で、副所長でもある韓似萍さんと面会することができました。

2時間あまりの意見交換の後、韓書記は、自分は同性愛についてあまり知らなくて、本の中の同性愛に関する記述の大部分は抜き書きだったと率直に認め、お詫びをすると述べました。彼女は、12月に出る第2版では、同性愛に関する差別的な個所などを削除するなどの改訂をし、その改訂を通じて、学生や保護者、教育関係者に同性愛についての科学的な情報を伝えたいと述べました。

彼女は、また、同性愛者の人々への理解を深めるために、座談会などの方法で、大学や高校・中学の同性愛の学生の意見を広く聞きたいと言い、王龍さんたちに男児の青春期教育のシンポジウムに出席してもらうように求めました(6)

座談会で詳しく説明、理解を深めさせる

シンポジウムのほうはどうなったのか分かりませんが、王龍さんたちは、11月11日、韓書記の招きで、性的指向とトランスジェンダーの問題についての座談会(「中国性学会青少年性健康教育専門委員会座談会」という形で行われたようです)に参加しました。

座談会には、浙江愛心工作組の王龍さんのほか、ゲイグループ「杭州同志」(サイト)や「ヒマワリの花開く杭州LGBT」(ブログ「向阳花开•杭州LGBT」、豆瓣「向阳花开•杭州」)のメンバー、「クィアフォーラム」(酷儿论坛)というサイトの管理者、LGBTの高校生のボランティア、台湾から交流にやってきていたボランティアなど、多くの人々が参加しました。性教育が専門の北京大学の徐振雷副教授も来ました。

座談会は、午後7時半から9時40分ごろまでおこなわれました。最初は、王龍さんや徐振雷副教授が、「同志」という語の起源や「性的指向と性別とを混同してはならない」といったところから話を始めて、いろいろ説明したようです。しかし、それだけでなく、参加者が、自分や自分の身の回りの経験、たとえば保護者や教師の受容や理解のこと、さまざまな差別やいじめについて語ったことが非常に効果的で、全体として成功したとのことです(7)

私は、中国では既に2001年には、同性愛は「中国精神障害分類と診断標準」から削除されて病気とは見なされなくなったにもかかわらず、いまだにこうした認識の性教育の指導書が作成されたことにまず、驚きました。しかし、それとともに、今回、同性愛者をはじめとしたLGBTの人々の幾つもの草の根のグループが機敏に反撃して改訂を勝ち取り、党の書記との座談会に参加するに至ったことも強く印象に残りました。

(1)淡蓝网盘点:2012年中国十大同志新闻」淡蓝网2012年12月26日。
(2)阿強「来看看杭州教育局编发的“恐同”书籍」夫夫生活2012年8月26日。
(3)杭州性教育书涉嫌歧视同性恋 网友呼吁召回」淡藍網2012年8月26日、「通稿:杭州教育局力推的图书被指内容公开歧视同性恋」夫夫生活2012年8月26日、「杭州教育局力推的图书被指内容公开歧视同性恋」愛白網2012年8月26日(←この中の写真に、『青春期, 請家長同行』の原文が鮮明に写っています)。
(4)同性恋亲友会多位家长写给杭州市教育局的建议信」同性恋亲友会.PFLAG China2012年8月31日。
(5)同志哥「前往杭州市教育科学研究所沟通《青春期请家长同行》教材不妥之处的收获 」杭州同志2012年8月29日。
(6)杭州性教材被指歧视同性恋 主编表达歉意」淡藍網2012年9月6日、「中国性教育图书被指歧视同性恋 权益组织抗议」愛白網2012年9月1日(来源:荷蘭在線)。
(7)この座談会については、参加者の「同志哥」によって(私自身もまだちゃんと読めていないほど)詳細な総括がなされています (「2012年11月11日杭州市教科所性倾向问题座谈会小结」向阳花开•杭州的日记2012年12月19日。座談会の参加の呼びかけは、同志哥「[同言碎语] 杭州市教科所同性恋问题社区座谈会」2012年11月10日)。

4.湖南長沙で初の同志パレードが差別反対を訴えた

→本ブログの記事「長沙市で中国大陸初のLGBTパレード」参照。

5.女性同性愛者の献血の禁止令は解除されたが、男どうしで性行為をする者はまだ認められない

→本ブログの記事「中国、女性同性愛者の献血禁止を撤廃」、「女性同性愛者らの組織『同語』、新献血政策に対して見解――男性同性愛者に対する政策の問題点も指摘」参照。

6.10人の同性愛者の母親が公開状を出し、立法によって性的指向の差別を禁止するよう訴えた

3月8日の国際女性デーに、各地の「同性愛者の母親」が、「同性愛者の家族と友人の会(同性恋亲友会)」のブログに公開状を発表して、全国人民大会の代表と全国政協の委員に向けて、立法によって子どもたちが差別を受けないようにすることを求めました。

尊敬する全国人民大会の代表と全国政協の委員へ

私たちは全国各地の、子どもが同性愛者である、「同性愛者の母親」と呼ばれる者たちです。私たちの子どもは、性的指向が同性であるために、入学や就業の過程でしょっちゅう差別をされている(学校から退学を求められた子どもさえいる)ために、心に大きな傷を負っており、保護者達も心を痛めているのに、助けを求めるところがありません。

社会学の常識では、同性愛者は人口の3~5%を占めています。すると、中国には約6000万名の同性愛者がいて、その保護者は約1億2000万人いることになります。同性愛者の保護者として常に苦慮し心配しているのは、子どもが入学や就職をしたときに、法律的な保証がないために、差別をされることです。実際、国内の多くのところで、同性愛者が社会的差別が原因で自殺する悲劇が起きています。中国の大多数の家族は一人っ子なので、子どもがいなくなると、家族が破壊され、希望がなくなってしまいます。

私たちの子どもは、性的指向以外は、大多数の人とまったく違いはなく、善良で、自立しており、家族に思いやりがあって、国を愛しており、それぞれの職業でこの国を建設するために役割を発揮しています。けれども、いささかの人の差別によって、彼らの大多数は、家族や友人にも自分が同性愛者であることを言うことができず、生活は圧迫され、心理的・精神的にも苦しめられています。私たちの子どもが社会で生活するには、家族の理解と受容だけではまったく不十分であり、法律を制定して、入学と就職の際に、性的指向によって差別されてないようにしてこそ、私たち保護者は安心できるのです。

私たちは、国家が人種・肌の色・性別・性的指向・宗教・身長・年齢・体重などに関する差別をすることを禁じる内容の「反差別法」をできるだけ早く制定することを提案いたします。反差別法は、私たちの同性愛の子どもを差別から保護するだけでなく、他の弱い立場の人々をも保護することができます。

私たちは、全国人民代表大会の代表と政治協商会議の委員に、1億2000万の「同性愛者の保護者」の声に関心を持ち、耳を傾け、6000万の同性愛者の平等と尊厳に対する渇望をその身になって考えていただき、できるだけ早く「反差別法」を制定していただくように訴えます。

(「10位同志母亲致全国人大代表和全国政协委员的一封公开信」同性恋亲友会.PFLAG China2012年3月8日)

7.北京:同性愛の恋人がバレンタインデーに結婚の登記をしようとしたが、やんわりと断られた

登記所の係員にはやんわりと断られたけれども、登記所の外でキスをして、人々にアピールをしたということです。

資料:「北京:同性恋情侣情人节登记结婚被婉拒」2012年2月14日(来源:苹果日报)。

8.華中科学技術大学の学長:大学は同性愛の学生を差別しない

昨年1月、華中科学技術大学の学長の李培根さんが、学生と交流会をしたときに、学生から同性愛について尋ねられて、「我々の学校では、まだこの問題を討論していないけれども、社会全体が同性愛も理解できるようになり、少なくとも容認する態度になった。我々が若い時には、同性愛は違法だったが、今は時代が変わった。世界の多くの国々が同性愛に対して理解する態度を取るようになった。一般の民衆も以前は反感を持っていたけれども、現在は容認できるようになった。私たちの学校は同性愛を差別していない」と答えたという話です。

しかし、この程度の話が「10大ニュース」の一つなのだということは、まだ大学内でも同性愛者差別は深刻だということを意味しているように思います。

資料:「华中科技大学校长:学校不会歧视同性恋学生」淡藍網2012年1月5日(来源:武汉晚报)。

9.仏山:84歳の退職幹部が性転換をしようとし、トランスジェンダーの権益の保障を望む

10.同性愛の夫が騙して結婚したことを認め、成都の高学歴のゲイの妻が悲しみと憤りで自殺した

910については、本ブログの記事「『第5回(2012年)中国10大セクシュアリティ/ジェンダー事件批評』」の57参照。

なお、私は、上の10大ニュース以外に、以下のニュースも重要だと思いました。

新版の『現代漢語辞典』が、「同志」の語義の中にセクシュアル・マイノリティなどの意味があることを掲載しなかった

新版の『現代漢語辞典』にも、「同志」の語義の中に、「セクシュアル・マイノリティ」(「同性愛者」「ゲイ」「LGBT」と訳したほうがいいことも多いですが)があることが掲載されませんでした。新版には、「宅男」(おたく男)、「宅女」(おたく女)のような新語が採録されたことも話題になったのですから、「同志」の語義の中にそうした意味が掲載されていないのは不合理なように思います。

資料:「新版《现代汉语词典》拒收录“剩男剩女”等词」網易新聞2012年7月15日(来源:央視)、「《现汉》中无“同志”,江蓝生解释“雷人”」荷蘭在線2012年7月16日。

北京紀安徳相談センターが「中国のLGBT組織 合作と発展フォーラム」を開催し、多様なLGBTが集まり、多元的な議論がおこなわれた

6月16日-17日に北京紀安徳(ジェンダー)相談センターが開催した「中国のLGBT組織 合作と発展フォーラム」では、LGBT団体の協力や発展において直面している困難や問題、LGBT運動の理念・戦略・方向についての討論がおこなわれました。全国から53団体、23地区、80人あまりのLGBT組織と個人が出席したということです。

参加人数はそれほど多くないかもしれません。しかし、北京紀安徳相談センター執行主任の魏建剛さんが、歓迎のあいさつの中で、「障害者のセクマイ、FTMとMTFの両方を含むトランスジェンダーの人々、ゲイの妻、同性愛者の母親、SMとセックスワーカー団体の代表を迎えることができて、大変にうれしい」と語っており、さらには老人の同性愛者やバイセクシュアルの代表、新疆やチベットの団体もいらっしゃったそうです。

このように非常に幅広い人々が参加して、「多元的な対話」がおこなわれ、そのうえで相互の協力が模索されたことが、このフォーラムの特徴のように思います。

済南Les工作組のTonyさんは、「皆さんはLGBT団体の指導者なのだから、私が次に来るときには、皆さんに『トランスジェンダーとは何か』という知識を普及しなくてもよいようになることを希望する」と訴えました。また、大連障害者同志ホットラインの盲人の韓震さんは、「私にできるかもしれないことは、皆さんに障害者のセクマイという集団の存在を見てもらうことだ」と述べ、レズビアン団体の「同語」の徐玢さんも、LGBT運動の多元化の必要性を説きました。

設けられた分科会も、「同志運動とジェンダー運動の協力」「周縁の地区での同志運動の発展」「青少年同志組織の発展」「LGBT組織の中の周縁グループ」「エイズ防止運動と同志運動の協力」「異性愛者と同性愛者の協力」といったものでした。こうした分科会では「激烈な討論と誠実な展開」がおこなわれたそうで、このフォーラムが意欲的・挑戦的なものであったことがうかがえます。

資料:全体のまとめは、「2012中国LGBT组织合作与发展论坛 新闻稿」北京纪安德咨询中心サイト2012年6月20日、「2012中国LGBT组织合作与发展论坛召开」同志亦凡人(内容は上と同じだが、写真入り)。さまざまな議論を報告しているのが、王浩「2012中国LGBT组织合作与发展论坛 观察报告」北京纪安德咨询中心微博2012年6月21日。
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