2012-07

一部大学・専攻の入試合格ラインの男女差別に対する批判高まる

中国の大学入試は、原則的には大学や専攻ごとの入試はなく、「全国大学統一入試」としておこなわれます。もちろん難関校ほど合格ラインが高くなるのですが、それだけでなく、受験生の戸籍がある省ごとに合格ラインが異なることが特徴です。

それはともかく、「全国大学統一入試」としておこなわれるといっても、例外的に一部の大学や専攻では、「繰り上げ採用(提前录取)」と言って、その年の大学入試が終わった後、各校が学生を採用する以前に、時期を繰り上げて学生を採用しています。私はこの「繰り上げ採用」について詳しくは知りませんが、芸術系・体育系の大学、軍関係の大学のほか、外国語のうちの「小語種」と呼ばれる、英語以外の語学(ロシア語・ドイツ語・フランス語・日本語など)専攻などが、そうした方法をとっているようです(1)

この7月、この繰り上げ採用をしている大学や専攻の一部で、入試の点数が高い方から合格させるのではなく、定員を男女別にして、男性よりも女性の合格ライン(*)を高くしていることが、問題になりました。

(*)原文は「投档線」。「投档」とは、「(合格ラインに達した)受験生の身上調書を受験先に送付すること」だそうです。私は「投档」についてもよく知りませんが、最終的な「録取(試験合格者を採用する)」とは少し異なるようです。

男女の合格ラインの格差、男女別の募集――語学系など中心に、芸術・警察・税関関係の専攻でも

最初にこの問題を報じたのは、広東省の『南方都市報』です。7月8日、同紙は、以下のように、さまざまな大学の繰り上げ採用の広東省の合格ラインが、女性の方が男性より高いことを報じました(2)
・北京外国語大学・文科―男:629点、女:643点(14点差)
・北京外国語大学・理科―男:632点、女:647点(15点差)
・中国政法大学・文科―男:589点、女:608点(19点差)
・中国政法大学・理科―男:588点、女:632点(44点差)
・華南理工大学・理科―男:585点、女:622点(37点差)
・国際関係学院・理科―男:609点、女:628点(19点差)
・国際関係学院・文科―男:601点、女:624点(23点差)

中国政法大学や華南理工大学の場合は、専攻が国防で、以前は「男子のみ」採用であり、現在も女性を少数しか採らないのでこうした差別をしているということですが(それで良いかどうかは話が別)、北京外国語大学や国際関係学院の場合は、もともと男女の区別なしに採用できるはずの、外国語専攻のうちの「小語種(英語以外の語学)」専攻で、こうした差別をしていました。このような男女の合格ラインの格差は、他の省についても同じでした(3)

このような合格ラインの格差は、当然、多くの女性の人生に影響します。たとえば、海南省の張さんは、将来、外交の仕事をすることや外資系企業で働くことを目指していたため、志望大学は、北京の国際関係学院でした。張さんの全国統一入試の出来は、彼女にしてはあまり良くなかったのですが、それでも702点を獲得しました。彼女は英会話が得意で、面接試験まで行けば、必ず合格する自信がありました。ところが、国際関係学院の海南省での合格ラインは、女子は715点でした。男子の合格ラインは668点だったので、もし張さんが男子だったら、ゆうゆう面接に進めたことになります。張さんは、志望とは異なる、北京体育大学に進学せざるを得ませんでした(4)

また、中国人民大学と上海外国語大学は、今年初めて小語種の採用を男女別におこない、そのため合格ラインに男女差ができたと報じられました。

中国人民大学の場合は、理科は合格ラインが男女同じでしたが、文科の場合は、次のような男女差がありました(5)
 北京・文科―男:601点、女:614点(13点差)

上海外国語大学の場合は、省ごとの合格最低点が発表されており、20省のうち、12省で男女差がありました(6)
 天津・文科―男:607点、女:630点(23点差)
 天津・理科―男:574点、女:632点(58点差)
 遼寧・文科―男:615点、女:625点(10点差)
 遼寧・理科―男:562点、女:619点(57点差)
 吉林・文科―男:573点、女:602点(29点差)
 吉林・理科―男:553点、女:603点(50点差)
 黒龍江・文科―男:588点、女:607点(19点差)
 黒龍江・理科―男:594点、女:592点(-2点差) (ここだけ女子有利)
 福建・文科―男:617点、女:624点(7点差)
 福建・理科―男:627点、女:634点(7点差)
 山東・文科―男:629点、女:634点(15点差)
 山東・理科―男:643点、女:658点(24点差)
 広西・文科―男:551点、女:616点(65点差)
 広西・理科―男:553点、女:603点(50点差)
 甘粛・文科―男:583点、女:594点(11点差)
 甘粛・理科―男:581点、女:614点(33点差)

上海税関学院の場合も、北京・天津・上海・重慶・広東・河南・江蘇・江西・遼寧など多くの省・市で女性の合格ラインが高くなっています。たとえば重慶の文科では、男:596点、女:629点(35点差)、上海の文科でも、男:471点、女:476点(5点差)でした(7)

対外経済貿易大学は、小語種では、北京の学生を男女とも5名ずつ合格させたのですが、合格者の点数は以下のようでした(8)
 文科 男:最高点604点―最低点577点、女:最高点622点―最低点589点(最低点が12点差)。
 理科 男:最高点629点―最低点614点、女:最高点633点―最低点620点(最低点が6点差)。

対外経済貿易大学の事例もそうですが、小語種や芸術専攻の場合などは、志望者は女性が多いのに、男女の学生募集の比率を1:1に定めたために、女性の合格ラインが上がった場合が多いようです。呂頻さん(フリージャーナリスト、社会運動家)が調べたところ、北京外国語大学の2012年の繰り上げ学生募集では、小語種は、どの専攻も男女が1:1になっていました(http://zhaosheng.bfsu.edu.cn/wp-content/uploads/2012/05/2012年提前批次分省市专业计划.xls)。また、中国メディア大学の2012年の芸術類の本科の学生募集要項には、「放送、芸術・演出・監督専攻を採用するときは、男女別に順番をつけて、男女の採用比率が1:1になるようにする」(http://zhaosheng.cuc.edu.cn/wsm/shownews.aspx?id=1096)と書かれていました(9)

国防関係の専攻のようにも思われないのに、「女子学生の比率を30%以下にする」ことを目的に、女性の合格ラインを高くした大学もあります。たとえば、上海税関学院の学生募集の責任者は、「専門の特殊性ゆえ、女子学生の合格者は30%を超えないようにしている」と述べました(10)。また、国際関係学院の学生募集の責任者も、「私たちの学校の性質は比較的特殊であり、女子学生の人数は全体の30%を超えないように規定している」と述べています。

ジャーナリストの李思磐さんは、「学生募集計画で、堂々と『主に男子学生を募集する』と規定しているのは、国防などの特殊な状況以外に、警察・税関などの専攻もある。これらを募集している学校と将来の雇用単位は同じ系統に属しているから、学生募集の要求は、実は雇用単位の意思を体現していると推定できる。『捜査学』『税関管理』のような専攻がどのような理由で男子学生しか募集しないのかを説明できる人がいるのだろうか?」と言っています(11)

しかも、国際関係学院の学生募集の責任者が言うには、学校の学生募集の要項と計画はすでに教育部に知らせて承認を得ているというのです。上海外国語大学の責任者も「このたびの学生募集計画は、教育部の承認を得ている」と述べています(12)

呂頻さんは教育部に情報公開請求、北京衆沢女性法律相談サービスセンターは意見書を提出

2005年にも、北京大学の小語種専攻が、女性の合格ラインを高くしていたことが報じられ、問題になったことがありました(13)。そのため、2006年、教育部は「2006年普通大学学生募集活動規定[2006年普通高等学校招生工作规定]」の中で、「教育部の許可なしに、大学が勝手に男女の合格比率を規定してはならない」と定めました。呂頻さんは、「当時はこの問題はもう全国的な法律のレールに乗せられて、ある程度の効果があったとみんな考えたし、今年は北京大学はこのような政策を実行していない」と述べています(14)

今回も、呂頻さんらによる民間団体である「女性メディアウォッチネットワーク(妇女传媒监测网络)」は、以上のような経過を含めて、「成績が良いことが間違っているのか?――大学の性別の合格ラインから男権の構造を見る」という長い論説を機関誌の『女声』の特集号で発表しました(15)

もともと呂頻さんは、7月8日に『南方都市報』の報道を目にすると、その翌日の9日には、教育部(日本で言う文科省)に対して、「政府情報公開条例」にもとづいて、「2012年の大学入試において、教育部は、どの大学のどの専攻に男女の採用比率の制限を許可したのか? その根拠は何か?」という点を情報公開するよう申請しました。呂頻さんは、「教育部は情報を公開して、受験生に説明し、それが合法であるのか、合理的であるのかを社会全体に監督してもらうように希望する」と述べています(16)

7月13日には、民間団体である「北京衆沢女性法律相談サービスセンター(北京众泽妇女法律咨询服务中心。もと北京大学法学院女性法律研究・サービスセンター)」は、教育部に、「一部の大学の一部の専攻が大学入試において性別で区分して合格させ、合格ラインが明らかに女が高く男が低い現象を監督是正することに関する法律的意見書」を郵送しました。

北京衆沢女性法律相談サービスセンターの意見書は、さまざまな大学の合格ラインの男女差について、女性差別撤廃条約や憲法、婦女権益保障法、教育法、普通高等学校招生工作規定に違反していることを指摘して、教育部に、こうした違法な男女差別について調査・是正・処分するよう求めるものです(17)

世論も、合格ラインに男女格差をつけることには批判的意見が多数派ではあるが……

『工人日報』の記者が取材したところ、大多数の人が「男女の合格点を区別するのは、性差別で、不公平だ」という意見でした(18)。また、新聞報道は、「ネットユーザーの多くが反対である」というふうに報じています。

インターネット上での投票でも、男女で合格ラインの格差をつけることに反対する意見のほうが、多数派です。けれども、以下の調査を見ると、けっして圧倒的多数派ではありません。

「大学の合格ラインを男女で別にすることを、どう思うか?」(新浪調査「高考录取划分男女线你怎么看?」)(下は7月23日現在のデータ)。

○「あなたは、男女で合格ラインを区別すべきだと思うか?」
 ・「区別すべきでない」:68.1%
 ・「区別すべき」:31.9%

○「男女で合格ラインを区別することは『公平』か?」
 ・「不公平」:65.5%
 ・「不公平に見えるが、実は公平。女性は試験技能が男性より優れているので、男性の合格ラインを下げることによって人材の損失を減らすことができる」:21.2%
 ・「公平」:13.3%

すなわち、男女で合格ラインに格差をつけることに反対する人は、7割未満にとどまっています。また、3つしかない選択肢の中に、「不公平に見えるが、実は公平。女性は試験技能が男性より優れているので~」という奇妙なものがあり、それが2割程度の支持を集めていることも特徴です。

もちろん、この結果には、インターネットの匿名投票ゆえの歪みのようなものがある可能性もあると思います。

しかし、ある記者が、20名の生徒に尋ねても、70%は男女で合格ラインを区別することに反対でしたが、30%の人は「ある程度の合理性がある」という考えだったとのことです(もっとも「ある程度の合理性がある」と答えた95%は男子生徒だったそうですから、性別による差異が大きいのだとは思いますが)(19)

合格ラインの男女格差を正当化する議論、それに対する反論

大学の入試関係の責任者が公然と合格ラインの男女格差を正当化する主張をしたり、新聞紙上に男女格差を正当化する論説が掲載されたりもしているという状況もあります。そうした主張や議論には、以下のようなものがあります。

(a)男女の学生数のバランスをとるため

北京語言大学の学生募集の責任者である林方さんは、次のように言います。「女子学生の比率が87%である語学系の大学では、『男女で合格ラインを分けて、特殊な類型の学生募集をする』という政策によってはじめて、数が多くない男子学生を集めることができる。このような政策は、教学の質を保証するために必要である。」「私たちには、男女が対話するシーンが必要だという問題がある。多くの場合、女の子が男子学生の役割をせざるをえない。また、クラスの男女の比率がアンバランスだと、総合的な発展もアンバランスだ」(20)

上海外国語大学の責任者も、「多くの外国語系の大学では、男女の学生数の落差が非常に明らかで、女の子が多すぎ、男の子が少ない。これが、男女の学生の合格ラインを別に定めている理由だ。つまり、男女の学生数の比率をもっと合理的にしたいのである」と述べています(21)

(b)就職率を良くするため

小語種専攻の男女の合格ラインに差をつけていた四川大学の責任者は、その理由について、一番肝心な問題は「就職」だと言い、「就職する企業が、男子学生を希望している。渉外や外交、出張などの仕事のときに、企業は男子学生のほうが便利だと思っている」と述べています。企業は「男子生徒を多く合格させろ」とは言わないけれども、採用の時は「男子学生しかいらない」と言うので、クラスの中の男女比を1:1にしているというのです。(22)

「女子学生の比率を30%以下に規定している」と言っている国際関係学院の学生募集の責任者も、「専攻に合った就職口は、男性が主だから」ということを理由にしています(23)

(c)女子学生ばかりだと、将来の教員養成にマイナスになる

「学科の持続的発展を保障するためである。これらの専攻の男子学生の数が少なすぎると、修士・博士も男女の学生の比率がアンバランスになるという問題が出てきて、教師の隊列の養成にマイナスになる」というような意見もあるそうです(24)

(d)女子は試験で高い点を取る能力があるだけで、男子は総合的能力がある

復旦大学の学生募集の責任者は、「一般に男子生徒は興味や知識が広いのに対し、女子生徒は往々にして試験で高い点数を取る能力がある」という理由で、女子学生が多い学科には、理科の学生が転入する機会を与えていると言います(25)。中国教育科学研究所の儲朝暉研究員も、「男女の天性から言って、女性は『専制的教育』の一元的基準を受け入れやすいが、男性は本能的に抵抗するので、試験では、女子学生は良い成績を取りやすい」ということを根拠にして、小語種の学生募集の合格ラインを男女で区別することを擁護しています(26)。『燕趙都市報』の評論員の燕子山さんも、「われわれの現在の受験教育体制と評価基準は、女子学生が勝利するのに有利である。」「一人の受験生の成績は、その生徒の総合的で全体的な資質を正確に反映しにくい。」「男子生徒と女子生徒で合格ラインを区別するのは、現在の受験教育体制とその結果に対して偏向を正すことになる」と述べています(27)

先に述べたように、ネット投票の選択肢にも、「女性は試験技能が男性より優れているので、男性の合格ラインを下げることによって人材の損失を減らすことができる」というものがありましたが、現在の中国では、この種の論説がかなりあるようです。

以上のような、男女の合格ラインの差別を正当化する言説は、どれもこれも、子どもだましだったり、露骨な女性蔑視だったりで、こうしたことを堂々と言えるというのは、社会における性差別の深刻さを示しているように思います。李思磐さんは、「大学がこのような違法行為をしているのに、ぬけぬけと大きなことを言っている」のは、「わが国の反差別立法には原則があるだけで、細則がなく、違法行為に対して具体的な懲罰の措置がない(……)からである」とも指摘しています(28)

当然のことながら、以上のような言説に対しては、以下のような反論がなされています。

(a´)「女子学生が多すぎる」という理由はダブルスタンダード――なぜ男子学生が多い専攻では女子学生を優待しないのか?

『女声』誌は、「歴史的にかなり長い間、高等教育の機会は男子生徒に多かったし、現在もいくらかの理工系の専攻ではまだ男子学生が多いにもかかわらず、『男子学生が多すぎる』という言い方はされない。いかなる歴史的時期にも、男子学生が優勢ないかなる専攻でも、『男子学生が多すぎる』ことを理由に女子学生を優待する政策がおこなわれたこともない」「女子学生が多いのは問題で、男子学生が多いのは問題ではないというのは、明らかに性別にもとづくダブルスタンダードである」と指摘しています(29)

華南理工大学教授の周雲さんも、「私の経験から言って、理工系の大学の多くの専攻では、男女比のアンバランスは外国語系よりもはなはだしく、私は『和尚クラス』(クラスの中に1人も女子学生がいない)・『お姫様クラス』(クラスの中に女子学生が1人しかいない)を教えたことも少なくないのであって、男が多くて女が少ないのは、普通のことである。けれど、私は、誰かがそのことに周章狼狽して、『男女の学生の数の格差が大きい』とか『不合理だ』とか騒いで、女子学生の合格ラインを6~70点下げて男女のバランスをとろうなどと言っているのを聞いたことがない」「これが女子学生に対する赤裸々な差別ではなくて、何であるというのか?」と述べています(30)

李思磐さんも、「1970年代、北京大学と南京大学の物理専攻の本科の女子学生の比率は、42%と37%に到達していた。しかし、1990年代になると、この比率は、それぞれ9%と8%に低下した。けれども、私たちは、『男女の比率のバランス』を取るために、女子生徒に、これらの専攻の敷居を低くしたという話は聞いたことがない」と述べています(31)

(b´)「就職する企業が歓迎しない」という理由は、就職差別に迎合するもの

この点に関しては、『女声』誌は、「いかなるポストに女性は採用できないかに関しては、国家の法律(女性労働者保護規定)がすでに範囲を明確にしており、かつ、それらは、女性を保護する目的である。外交の仕事をする人や翻訳者など、小語種専攻の人が就職するのに適したポストは、女性は完全に任に堪えるのであって、このようなポストから女性を排斥することは差別である。差別的な就業のニーズに対しては、大学は学生と一緒に食い止めるべきであり、自ら受け入れるべきではなく、まして、就職差別を教育の領域に前倒しすることによって、就職差別に迎合し、差別を助長するべきではない」と指摘しています(32)

(c´)女子学生が多すぎると学科の発展に影響すると考えるのは、女性の能力に対する偏見と中傷

ある論説は、「女子学生が多すぎると学科の発展に影響すると考えるのは、明らかに女性の知恵と能力に対する偏見と中傷である。ハーバード大学の学長のローレンス・サマーズも、『男女の先天的差異が、女性の理数領域における功績の少なさの原因である可能性がある』ということを述べて、大学内外の大きな批判にされされて、辞職せざるをえなくなった」と指摘しています(33)

(d´)「男の子の危機」論、教育における「陰盛陽衰(女が男より強くなった)」論に対する反論

「女子は試験で高い点を取るだけなのに対して、男子には総合的能力があるのに、現在の受験教育や入試のあり方は、男子の能力を評価していない、抑圧している」という議論の背景には、「男の子の危機(男孩危机)」論という、現在の中国で一定の影響力を持っている考え方があるようです。

2010年、孫雲曉の『男の子を救え (拯救男孩)』(ネット書店「書虫」のデータペースの中のこの本の書誌データ)が、中国の男の子は「学業の危機」「体質の危機」「心理的危機」「社会的危機」にさらされているから、男の子を救わなければならぬ、と説いて、ベストセラーになりました(34)。それをきっかけにして、「男の子の危機」ということが叫ばれるようになりました。

「男の子の危機」論は多岐にわたっていますが、その「学業の危機」のあらわれの一つとして問題にされたのが、教育における「陰盛陽衰(女が男より強い)」という現象であり、大学に関して言えば、1999年から2008年までの間に、大学入試で成績が最も良かった者に占める男子の比率が66.2%から39.7%に低下したこと、全国の大学の女子学生の比率が35.4%から45.7%に上昇し、2007年には新入生の中の女子学生の比率が52.9%になり、初めて男性を超えたことなどが挙げられています(35)

もちろん、教育に従事している李曙明さんという方が述べているように、まず、「かりに現在の教育体制や入試の方法に問題があるとしても、その解決の道は、より科学的な教育体制や入試の方法を探究・推進することにしかなく、採用の際に女子生徒を特別視することではない。努力して他の人よりも高い点数を取ったのに、女子であるという理由だけで合格にしないというのが、差別でないと言うのか?」と言えます(36)

また、徐安琪さんは、教育における「陰盛陽衰(女が男より強くなった)」という捉え方そのものを、以下のように批判しています(37)
 ・ユネスコの2009年の統計では、148の国家と地区の中で、女子学生が高等教育の学生全体の50%を超えているのが104(70.3%)あり、そのうち60%以上のところが27ある。しかし、中国では、大学、高級中学[日本で言う高校]、初級中学[日本で言う中学]、小学における女子学生の比率は、みな47%前後である。すなわち、義務教育から高等教育に至るまで、中国の女児の全体的な教育の機会は、まだ男児より少なく、農村地区ではもっと少ない。
 ・女性の入学率は急速に上昇しているけれども、教育レベルが高くなるにつれて女子学生の比率が低くなる現象は依然として変わっていない。2009年の高等専門学校・(大学の)本科・修士課程・博士課程に占める女子学生の比率は、それぞれ52.4%、48.9%、49.3%、34.9%である。
 ・名門大学への進学者数も、一概に女性が優勢とまでは言えない。たとえば2009年の上海から進学した人のうち、復旦大学に入ったのが男子422人、女子488人、上海交通大学が男子632人、女子407人、精華大学が男子48人、女子32人。北京大学が男子29人、女子36人であった。十数年前・二十数年前は、名門大学、とくに理工系の名門は、絶対的な男子学生の天下だったのが、現在は全体の趨勢としては、男女半々になったのであり、これは、社会の進歩であり、教育の公平さの結果である。
 ・女性は、たとえ学業上は完全に男子学生を超えたとしても、いったん伝統的に男性が権力を持っている職場に踏み入れたら、いわゆる「学業の優勢」は、ほとんどなくなってしまう。

また、北京師範大学教育学院教授の鄭新蓉さんは、「精華大学・北京大学のような、売れ行きがよくて、社会的報酬が高い専攻に、どれほど女性がいるというのか? 女性が得意な言語専攻だけで、ある程度優勢であるにすぎない」「現在、男性は社会的報酬がより高い専攻を選択するようになって、小語種専攻への関心は、もともと弱い」と語っています(38)

「女子は、専制的(=詰め込み式の)教育の試験で得点を取るのが得意なだけだ」という議論に対しても、徐さんは、「近年は、大学入試は、しだいに学生の総合的な資質と能力を見るようになっており、丸暗記だけでは高得点を取ることは難しくなっている。ところが女子生徒の成績は下降するどころか、日を追って上昇している」と反論しています。

実は1990年代から、女子生徒が大学入試で成績が良いことに対して「それは、女子は暗記が得意で、入試が上手だからにすぎない。現在の教育体制や受験制度は男子の能力を生かしていない」という議論が起こって、それに対して反論が出るという状況はあったようで(39)、その頃から同じような議論を繰り返している面もあると思います。それにもかかわらず、女性の高等教育への進出は進んできたわけです。

徐さんは、女性が大学に進学する比率が上昇した原因については、「計画出産の国策が全面的に推進されたこと」による部分が大きい、と述べています。すなわち「一人っ子がだんだん多くなって、女の子の価値が上がった。保護者は男の子と女の子に同じような期待を抱くようになり、養育・教育の面で同等のリソースを与え、サポートをするようになった」というのです。

とはいっても、単純に楽観はできないようです。『女声』誌は、最近、女性の高等教育への進出を抑え込む潮流が生じているのではないか、と危惧しています(40)
 ・2007年には大学の新入生の中の女子学生の比率が52.9%になり、2010年には大学の中の女子学生数が男子学生数を上回ると予測されたにもかかわらず、そうなっていない。
 ・最近、「全国大学統一入試」以外の、大学ごとの「自主学生募集」が拡大しているが(41)、その中で男子が優遇されている。「多くの学校が、女子生徒の点数が高い専攻では、通常20~40%の自主選択の中で『男に恩恵を与えて女を抑える』。これはすでに同業者ならば誰でも知っている『情理に合った』隠れたルールであり、まだ公衆に監督されていない不公正な客観的事実である」(42)

 先に述べたように、中国人民大学と上海外国語大学が、今年初めて小語種の採用を男女別におこなったことも、憂うべきことのように思います。

日本の場合とも比較可能な現象として捉えることもできるのでは?

日本でも、1960年代、大学に女子学生が増大すると、「女子大生亡国論」が一世を風靡したことがありました。

1980年代終わりから1990年代初めにかけては、東京の都立高校、とくに旧制府立中学の流れをくむ「名門校」で、男子よりも女子の方が募集定員枠が少ないために、女子の合格ラインが男子よりも高くなっていることが問題になったこともありました(43)。当時、いわゆる「名門校」の側は、「女子が入学すると学力が落ちて男子に影響する。受験競争に勝ち抜けない」「旧制中学時代からの男子校の伝統を守るのが大切」「女子は浪人を嫌い、4年生大学への進学率が落ちる」「トイレや更衣室など施設面で女子の増員に対応できない」といったことを女子を制限する理由として述べていたそうです(44)

以上のようなことは、女性の高等教育への進出に対する抑圧と見ることができると思います。

また、日本は、現在でも、欧米と異なって、中国同様に、女性の高等教育の在学率が男性より低いという特徴があります。たとえば、平成22年版『男女共同参画白書』は、女性の高等教育在学率について、「日本と欧米等諸国,韓国の高等教育の在学率を男女別に比較した」図を示して、「[日本の]女性の在学率は54.1%と,9割を超えている米国や北欧諸国と比較してかなり低いものになっている。また,韓国を除き,他の国では男性より女性の方が在学率が高くなっているが,日本では逆に女性の方が在学率が低いという状況にある」と指摘しています(「特集編女性の活躍と経済・社会の活性化」[pdf]p.21)。

今回の問題は、中国の高等教育への女性の進出と、それに伴う深刻な反動を明るみに出しましたが、日本と比較可能な現象と捉えることによっても、さまざまなものが読み取れる可能性があるように思います。

この記事の続報:「大学入試の男女差別に対する抗議活動つづく――差別を正当化する教育部を批判して、坊主頭になるパフォーマンスアートも」[2012年9月25日追記]

(1)大塚豊『中国大学入試研究』(東信堂 2007年)にも、芸術系大学、体育大学、軍関係の大学が「繰り上げ学生募集」をしてきたことが書かれています(p.120-121)。
(2)高校招生提前批投档线出炉 北大小语种文科又夺魁 香港中大理科再居首 提前批“女高男低”有高校男女生相差40多分」『南方都市報』2012年7月8日。
(3)たとえば、『南方都市報』が取り上げた北京外国語大学の浙江省での繰り上げ募集でも、以下のような男女の格差がありました。
・文科―男:661点、女:671点(10点差)
・理科―男:669点、女:674点(5点差)
(「多所高校招生面试性别歧视 海南高分女生未获面试资格」鳳凰網2012年7月18日[来源:時報])。
(4)多所高校招生面试性别歧视 海南高分女生未获面试资格」鳳凰網2012年7月18日(来源:時報)。
(5)人民大学小语种招生分数线“男女有别”」網易新聞中心2012年7月8日(来源:京華時報)。中国人民大学の小語種の場合、福建省の合格ラインも報道されていますが、文科は、男:634点、女:630点で、女子有利なのですが、理科は、男:645点、女:650点で男子有利でした(「上外提前批次分数线首次“男女有别” 广西文科录取线女比男高65分,网友认为有歧视之嫌」『青年報』2012年7月17日)。
(6)上外提前批次分数线首次“男女有别” 广西文科录取线女比男高65分,网友认为有歧视之嫌」『青年報』2012年7月17日。
(7)同上。
(8)北大小语种在京提档线公布」『新京報』2012年7月9日。
(9)公益人士就高校男女录取比例及录取专业申请信息公开」法制網2012年7月9日。
(10)上外提前批次分数线首次“男女有别” 广西文科录取线女比男高65分,网友认为有歧视之嫌」『青年報』2012年7月17日。
(11)李思磐「高校招生分数“女高男低”有待立法解决」『東方早報』2012年7月23日。
(12)法律NGO上书教育部:高校招生存性别歧视」新浪網2012年7月17日(来源:南方都市報)、「追求“性别平衡”引来“教育不公”?」金融界2012年7月21日(来源:天津日報)。
(13)もっとも、入試の合格ラインの不平等の問題自体は、それ以前から存在しています。1990年におこなわれた第1回中国女性の社会的地位調査でも、「あなたの周囲に、次のような不平等な現象がありますか(感じ方の強いものを、2項目選択してください)」という質問に対して、「入試で男女の合格点が不平等なこと」という項目を、都市部では27.6%の人が選択しており、女性の第一選択では「雇用機会の不平等」とほとんど肩を並べた高い比率を示していました(中国全国婦女連合会[山下威士、山下泰子訳]『中国の女性―社会的地位の調査報告』(尚学社 1995年 本文p.336-339,付録p.15-16)。ただし、当時は、メディアを見るかぎりでは、合格ラインの不平等は、中等専門学校や技術学校、職業高級中学について言われることが特に多かったです(遠山日出也「近代家族と民主主義──今日の日本と中国の家族を手がかりに」『女性学年報』第17号[1996年]p.82)。
(14)是性别歧视,还是合理平衡?」人民網2012年7月13日(来源:検察日報)。
(15)「好反是错?——从高校分性别划线看男权布局」『女声』118号(2012.7.2-7.8)[word]。
(16)公益人士就高校男女录取比例及录取专业申请信息公开」法制網2012年7月9日、「公益人士发问教育部:高校招生凭什么限制性别比例?」『羊城晩報』2012年7月11日、「高校分数线男低女高为缓解男女比例失调?」EOL2012年7月11日(来源:新京報)。
(17)中心递交督请纠正高校部分专业高考录取性别歧视意见书」北京众泽妇女法律咨询服务中心サイト2012年7月13日、「关于督请纠正部分高校部分专业高考性别歧视的法律意见书」北京众泽妇女法律咨询服务中心サイト2012年7月16日、「法律NGO上书教育部:高校招生存性别歧视」新浪網2012年7月17日(来源:南方都市報)。
(18)高招分数“女高男低”性别歧视还是弱势补偿?」2012年7月13日(来源:工人日報)。
(19)高考招生男女有别 投档线最高相差44分」名城新闻网2012年7月15日。
(20)部分院校招生“男女有别”被疑性别歧视 教育部未回应」中国網2012年7月12日(来源:中国广播網)。
(21)追求“性别平衡”引来“教育不公”?」金融界2012年7月21日(来源:天津日報)。
(22)教育平等前的性别歧视从何而来――部分高校专业提高女生录取要求调查」『中国婦女報』2012年7月13日。
(23)法律NGO上书教育部:高校招生存性别歧视」新浪網2012年7月17日(来源:南方都市報)。
(24)"阴盛阳衰"只怪男生自己不争气 女生"躺着中枪"很无辜」新民網2012年7月18日(来源:紅網)。「多所高校部分专业分性别投档 被质疑涉嫌性别歧视」鳳凰網2012年7月11日(来源:新京報)にも、(a)~(c)のような主張が書かれていますが、「大学合格最低点 男性より女性高く 性差別に当たるとの指摘」(中国網日本語版2012年7月13日)も、『新京報』がソースであるこの記事を翻訳したもののようです。
(25)人大小语种录取分数线分男女 女生高男生13分」鳳凰網2012年7月14日(来源:中国青年报)。
(26)储朝晖:招生分数线“男女有别”公平吗?」財新網2012年7月19日。
(27)燕子山(評論員)「“男女区别划线”在招生上的实质公正」新浪網2012年7月12日(来源:燕趙都市報)。
(28)李思磐「高校招生分数“女高男低”有待立法解决」『東方早報』2012年7月23日。
(29)「好反是错?——从高校分性别划线看男权布局」『女声』118号(2012.7.2-7.8)[word] 、p.4。
(30)换了马甲还是性别歧视」『羊城晩報』2012年7月21日。
(31)李思磐「高校招生分数“女高男低”有待立法解决」『東方早報』2012年7月23日。
(32)「好反是错?——从高校分性别划线看男权布局」『女声』118号(2012.7.2-7.8)[word]、 p.4-5。
(33)"阴盛阳衰"只怪男生自己不争气 女生"躺着中枪"很无辜」新民網2012年7月18日(来源:紅網)。
(34)ここでは詳しくは述べられませんが、この本に対しては、『女声』や『中国婦女報』が強烈な批判を展開しました(「男孩真的需要被“拯救”么」『女声』75期[2011.3.28-4.3][word])、(「女权主义导致了男孩危机?——“拯救男孩”讨论之一」『中国婦女報』2010年6月2日、荒林「父权危机感之下的拯救男孩宣言」『中国婦女報』2010年6月2日、方剛「“拯救”男孩?荒唐!」『中国婦女報』2010年6月2日、「现代教育制度男孩成长的最凶猛杀手?——“拯救男孩”讨论之二」『中国婦女報』2010年6月3日、「“拯救男孩”,我不认为需要特别的关注」『中国婦女報』2010年6月3日、徐安琪「男孩危机:一个危言耸听的伪命题」『中国婦女報』2010年6月2日)。
(35)人大小语种录取分数线分男女 女生高男生13分」鳳凰網2012年7月14日(来源:中国青年报)。
(36)高校擅自规定男女生录取比例不妥」和訊網2012年7月13日(来源:重庆晨报)。
(37)男孩危机是个伪命题」新浪網2011年12月28日(来源:新民周刊)。徐安琪さんのこの観点は、すでに、徐安琪「男孩危机:一个危言从听的伪命题」(『青年研究』2010年1期)で詳述されています。
(38)教育平等前的性别歧视从何而来――部分高校专业提高女生录取要求调查」『中国婦女報』2012年7月13日。
(39)劉海峰・一見真理子・赤木愛和「中国における大学入試と女性の高等教育機会に関する研究[PDF]」(『創大教育研究』第10号)は、2「『女状元』の増大と入試改革に関する論争」参照。
(40)「好反是错?——从高校分性别划线看男权布局」『女声』118号(2012.7.2-7.8)[word] 、p.7-8。
(41)大塚豊『中国大学入試研究』(東信堂 2007年)も、第6章「市場経済移行期の大学入学者選抜――経済に揺り動かされる教育――」の第6節「市場経済化に依拠しない多様化・自由化措置」の3「受験機会の複数化」のなかで、「とくに一流大学が積極的に取り組んでいるのは個別大学が独自に実施する学生募集(原語は「自主招生」)である」として、2000年ごろから「自主招生」が拡大しつつあることを述べています(p.229-230)。
(42)徐安琪「男孩危机:一个危言从听的伪命题」(『青年研究』2010年1期)p.40。
(43)「『都立高、男女枠の撤廃を』 選抜検討委が報告書」『朝日新聞』1988年10月14日(東京)、「東京都立校の募集定員 『女子少数は差別だ』 東京弁護士会が報告書」『読売新聞』1988年10月14日(東京朝刊 都民2)、「都立高入試の男女別定員を見直しへ 父母の批判受け検討委」『毎日新聞』1988年12月9日(東京朝刊)など。また、これらの記事には、公立高校の生徒募集で男女別枠を設けているのは、東京都のほか、男女ほぼ半々になっている福井県などごくわずかだが、共学枠で募集していても、高校側が事実上、女子の入学者を制限しているところもあること、中学の進路指導で女子の合格基準を男子より高くしている場合もあることも伝えているものもあります(「公立高定員で男女別枠はなぜあるのか」『朝日新聞』1990年3月1日朝刊)。
 また、大阪府でも男女別の合格枠があり、そのことに対する疑問の声も出ているという記事が2001年に掲載されているなど(「公立校入試で男女別合格枠、不公平では(どうなってるの?)/大阪」『朝日新聞』2001年6月3日大阪1)、単純に1990年ごろの東京の問題とも言えなさそうです。
(44)上記「『都立高、男女枠の撤廃を』 選抜検討委が報告書」、および「公立高定員で男女別枠はなぜあるのか」『朝日新聞』1990年3月1日朝刊)。
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女性同性愛者らの組織「同語」、新献血政策に対して見解――男性同性愛者に対する政策の問題点も指摘

すでに本ブログで、この7月から中国が女性同性愛者の献血禁止を撤廃する新しい規定を施行したことや、それまでの女性同性愛者たちの運動についてはお伝えしました。

この件に関しては、その後も中国のメディアで取り上げられているのですが、その中では、男どうしで性行為をする人(MSM)については、相変わらず一律に献血が禁止されていることも話題になっています(1)。それらの報道の中には日本でも紹介されたものもありますが、それをもとに、2ちゃんねるでは、「男性同性愛者の献血、中国では禁止 (´・ω・`)『お前らもゲイの血なんかいらないよな』」とか、「『エイズが染るかも知んないけど差別はいけない』と専門家・・男性同性愛者の輸血解禁訴える」といった差別的なスレッドが立てられたりしていますので(そもそも中国で引き続き禁止されているのは、あくまでMSMの献血であって、男性と性行為をしない男性同性愛者の献血は禁止されていません。また、「エイズが染るかも知んないけど差別はいけない」などと言っている専門家がいるという報道はまったくありません。完全に捏造です)、今回は、この件に関する議論を紹介します。

この件に関しては、7月10日、中国の女性同性愛者らのための民間組織「同語(同语)」が見解(2)を発表して、女性同性愛者の献血が可能になったことを歓迎するとともに、男性どうしで性行為をしたことがある者の献血を一律に禁止していることを批判しました。

その声明の内容を以下、ご紹介します(抄訳であり、はしょっている部分もあります)。

2012年7月1日、衛生部と国家標準化管理委員会が共同で発布した「献血者健康検査要求」(GB 18467-2011国家基準)が正式に施行された。この基準は、もとのGB 18467-2001(1998年発布)に替わるものであり、「同性愛」問題において重大な修正をした。新しい国家基準は、ある特定の身分集団(麻薬を吸引したことがある者、同性愛者など)に対する概括的な禁止令を撤廃し、それに代わってハイリスクな行為を規制したのであり、明確な進歩性を持っている。

新しい国家基準の5.2.2条「安全な献血者の重要性」によると、「リスクが高い行為をおこなう献血者、たとえば静脈注射による麻薬中毒者だったことがあるとか、男どうしの性行為とか、血液によって伝染する病気(エイズ・C型肝炎・B型肝炎・梅毒など)の危険がある者とかは献血してはならない」。この条項を、もとの国家基準の4.5.3条の「エイズにかかりやすいハイリスクグループ、たとえば麻薬を吸引したことがある者、同性愛者、多くの性のパートナーがいる者」の献血を禁止していた規定と比べると、大きく改善されている。新しい国家基準は、同性愛者の献血を一括して禁止していたのを、男どうしの性行為をする者の献血禁止に改めて、女性同性愛の献血禁止令を緩めた。このことは、同性愛者差別をなくし、女性同性愛者の献血を励まし、血液不足を緩和する上で有利である。

同性愛・バイセクシュアル・トランスジェンダーの者の権益を唱えている民間組織の「同語」は、このたびの「献血者健康検査要求」の改正を歓迎する。私たちは、同性愛者という身分に対してではなく、リスクが高い行為に対して規制をした新しい献血政策は、中国社会の同性愛者たちに対する近年の認知の進歩を体現していると考える。

しかし、新しい政策には、なお若干の不十分な点がある。それは、男どうしで性行為をする者(MSM)に対する永久的な禁止令は、依然として性的指向に対する差別である疑いがあることである。

世界には、「男どうしの性行為」に対する献血を禁止、あるいは延期[原文が「拖延」なのでこう訳しましたが、性行為以後、検査でHIVに対する抗体が検出できない時期が終了するまでは献血を禁止するということ]する政策が広く存在している。しかし、そうした政策も、時代や科学技術の変化などの要因によって、たえず変わってきた。

イギリスもかつては男どうしの性行為に対しては、終身、献血を禁止していたけれども、2011年、この規定は改定された。イギリス保健省のサイトの2011年9月の情報によると、「血液・組織及び臓器安全諮問委員会」は、事実にもとづいて審議をして、男どうしの性行為の永久の献血禁止令を12ヶ月の延期政策に改める決定をした。新しい法律の規定は、過去12ヶ月間に男どうしで性行為をした人は、コンドームを使用したか否かにかかわらず、献血を禁止するというものである(3)。オーストラリアでは、男どうしの性行為に対する献血政策は、つとに2000年に永久禁止から1年間の延期政策に変わっている。2004年には、Michael Cainという名の男性同性愛者が、その政策は差別の疑いがあるという理由で、オーストラリア赤十字を裁判所に訴えた。裁判所は最終的には原告の請求を退けたけれども、時代の発展にしたがって献血政策は不断に審議・修正されなければならないことは認めた。この態度は、オーストラリア赤十字によっても採用された。

現在、南アフリカや日本などの国は、男どうしの性行為に対して、6ヶ月の献血延期政策をとっている。これが、世界中で最も短い献血延期の期限である。そして、EU・イタリア・スペインなどの法律には、男どうしの性行為に関する規定はなく、リスクが高い行為をした人の献血を禁止することを強調しているだけである。

男どうしの性行為をした者の献血禁止令は性的指向による差別と関わりがあるので、その禁止令の改正はなお各国で激しく議論されている。その改正方法には主に2つで、第一は、献血禁止期間を短縮することである。第二に、「男どうしの性行為」という言葉をなくして、かわりに「リスクが高い行為」にすることである。各国で状況が異なるために、この政策の変化のプロセスと方法は完全には同じでないけれども、検査技術の進歩とエイズ流行グループの変化にともなって、献血に関連する禁止令も時代とともに進化しなければならない。「同語」は、中国でも、男どうしで性行為をした者に対する終身の献血禁止令が、時代と科学技術の進歩にしたがって、最終的には過去のものになることを期待している。


他にこうした声明を出している同性愛ないしLGBT関係の団体は見当たらなかったのですが(献血それ自体は、同性愛者にとってそれほど切実な要求ではないからかもしれません)、さまざまな差別に反対する活動をしている陸軍さん(北京益仁平センター常務理事)も、新しい政策が女性同性愛者の献血を認めたことについては評価しつつも、男どうしの性行為をするものを排除したことは、「欠陥」であると指摘しています(4)

この件に関しては、「同語」の見解の中にある「第二」の方法をとるのが一番合理的でしょう。男どうしの性行為でも、セイファーセックスをしている人もいますし、男女間の性行為でも、リスクが高い性行為をしている人もいるわけですから……。

(1)我国女同性恋已可献血 有性行为男同仍被禁」新浪網2012年7月10日(来源:金陵晩報)、この記事の翻訳が、「ゲイの献血禁止 レズの献血禁止令解除 新『献血者健康検査要求』実施――中国」萍水園~KIDのKitschなブログ~2012年07月10日、翻訳ではないが、この記事がもとになっていると考えられるのが、「新献血法、女性同性愛者の献血OKに」人民網日本語版2012年7月10日。また、「解禁“女同”献血引议 专家称女同性恋者献血无危害」鳳凰網2012年7月11日(来源:京華時報)もあります。
(2)【同语发布】解读中国献血新国标:女同性恋献血禁令历经14年终获解除,男男性行为规范有待进一步改进」同语发布 2012年7月10日(同语サイト2012年7月11日掲載)。
(3)原文にはここに注はありませんが、その状況がわかる日本語記事として、「同性愛者の男性にも、献血の機会を提供」(Onlineジャーニー2011年9月13日)があります。
(4)专家称禁男同献血操作性低 解禁女同为接轨国际」人民網2012年7月16日(来源:京華時報)。この人民網の記事の出典である「禁男同献血操作性低 解禁女同为接轨国际」(京華網2012年7月14日)をもとにして書かれたのが、「男性同性愛者の献血禁止とその理由=専門家が差別撤廃訴え―中国」レコードチャイナ2012年7月16日です。ただし、レコードチャイナの記事は、「男性同性愛者」と「男どうしで性行為をする者」とを混同しているという点で、原文の記事とも、社会の現実とも異なっています。

[2012年7月18日追記] 2012年7月16日付レコードチャイナの記事の出典が誤っているというご指摘をコメント欄でいただきました。深くお詫びするとともに、記述を訂正させていただき、レコードチャイナの記事についての記述を、注(1)から注(4)に移動させていただきました。
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中国のDVについての最近の中国語書籍

中国のドメスティック・バイオレンス(DV)に関する(20)00年代半ば頃までの中国語文献については、拙稿「中国におけるドメスティック・バイオレンスに対する取り組み」『中国21』第27号(2007年3月)の注記などをご参照いただければ、大体のところはおわかりいただけると思います。その後、本ブログでも、「陳敏『吶喊:中国女性反家庭暴力報告』」をご紹介しました。

しかし、ここ2~3年の間にも、中国本土ではすぐれた研究が次々に現れ、単行本にもまとめられましたので、それらを今回ご紹介してみたいと思います。以前からのことですが、今回ご紹介する書籍も、民間団体である「DV反対ネットワーク(反对家庭暴力网络)」の方々が執筆したものが目立ちます。彼女たちの研究は、学術的にすぐれているのみならず、DVを克服するための実践と深く結びついていることに特徴があります。

●卜衛・張祺主編『消除家庭暴力与媒介倡導:研究、見証与実踐(Media Activism to End Domestic Violence: Research,Witness Reports and Practice)(家庭内暴力をなくすためのメディアの唱道:研究・証拠・実践) 』(中国社会科学出版社 2011年)ネット書店「書虫」のデータベースの中のこの本の書誌データ[購入ページ]

本書は、DV反対ネットワークの「ウェブサイト・サブプロジェクト」の参加者の文集であり、構成は以下のとおりです。

第一単元 女性・子どもに対する暴力の現状の調査分析
 第一章 DVサバイバーの声に耳を傾ける
 第二章 児童に対する暴力に関心を持つ
第二単元 民間女性組織のメディア行動
 第三章 ジェンダー暴力のメディアでの再現の研究
 第四章 民間女性組織とメディアの行動
 第五章 《ヴァギナ・モノローグ》とジェンダー暴力に反対する全世界の運動
第三単元 能力建設と国際交流
 第六章 国際交流の報告

いずれの章も、研究報告に加えて、さまざまな実践の記録も掲載されています。

第一章「DVサバイバーの声に耳を傾ける」では、「研究報告」として、DV反対ネットワーク・ウェブサイトサブプロジェクトと河北省婦連権益部よる(執筆は張祺)「絶望の『暴力を以て暴力を制する』――河北省女子監獄受刑者の親密な関係の暴力の調査報告」が掲載されています。この研究は、河北省女子監獄の受刑者全員を調査対象にしていますが、とくに「暴力を以て暴力を制した」女性たち(=長い間暴力を振るわれ続けたために、暴力的手段で加害者に反撃したたため、犯罪者になってしまった女性たち)に注目しています。この研究は、たとえば、以下のような点を明からしています。
 ・調査対象者のDV被害の約半数は法定の婚姻外(未婚、離婚後、配偶者死亡後)で被害に遭っており、「家庭暴力」という言葉には問題がある。
 ・DVに遭ったことがある人の比率は44%であったが、これは、身体的暴力と性暴力に限った数値であることなどから、実際はさらに高いと推測される。
 ・身体的暴力や性暴力は、親密な関係における人身の自主権の阻害(仕事に就いたり、友人と会ったりすることを阻止されることなど)と相関が高い。このことは、DVが支配の手段であることを示している。
 ・被害者に対する社会的サポートは少なく、とくに正式なシステム(婦女連合会、警察など)のサポートは少ない。また、その中には、「言うことを聞く女になりなさい」といった「教育」もある。
 ・DV被害に遭ったことがある受刑者のほうが、遭っていない受刑者よりも、暴力犯罪(殺人・傷害など)で受刑している人が多い。「暴力を以て暴力を制した」女性たちは、44.6%が自らの生命の危険を感じており、34.9%が家族の生命の危険を、17.2%が子どもの生命の危険を感じていた。
 ・けれど、彼女たちは、事件後の司法の場では、自らのDV被害を語る機会がなかったり、二次被害にあったりすることが少なくない。
この章では、そのほか、DVサバイバーからの手紙やDVサバイバーとの対話・インタビュー、「反家庭内暴力早わかり」といったものも収録されています。

第二章「児童に対する暴力に関心を持つ」は、研究報告としては、卜衛「わが国の児童に対する暴力的侵害の状態の分析報告」が掲載されています。この論文は、2004、5年頃から始まった、児童虐待に関するさまざま調査・研究をもとにして、児童に対する暴力(家族・学校・コミュニティ・仕事場での暴力、性暴力)の実態をまとめ、その原因を分析しています。この論文は、本書に収録された論文のうちでは、比較的初歩的な研究のように見えますが、従来中国では立ち遅れていた、児童に対する暴力に関する多くの研究を現段階で包括的にまとめたものとして貴重だと思います。現在までのところ、中国で一番まとまった児童に対する暴力防止活動は、中華全国婦女連合会とユニセフが2006年から2010年にかけて広東・陝西・浙江でおこなった、児童に対する暴力の予防と関与のための試験的なプロジェクトだと思いますが、本章では、そのプロジェクトの際に、広東省でおこなわれた児童に対する暴力の報道に関する研修やワークショップについても報告されています。

第三章「ジェンダー暴力のメディアの再現の研究」は、研究報告として、龐明慧「『中国婦女報』の家庭内暴力の報道の内容分析」と張祺「法制類の新聞における性暴力事件報道の『強姦神話』の研究」を収録しています。前者は『中国婦女報』の家庭内報道の優れた点と、同紙の報道が歴史的に改善されてきたことを詳細に分析しています。後者は、2004年の法制関係の新聞(『○○法制報(○○には地方の名前が入る)』といった名称のものが多い)の強姦事件の報道記事781篇を分析して、その問題点を明らかにしています。さらに、この章には、DV反対ネットワークが開催した、DV報道に関する討論会の簡単な記録や同ネットワークが著した「家庭内暴力報道専門準則」も収録されています。

第四章「民間女性組織とメディア行動」は、研究報告を3篇収録しています。まず、卜衛・米曉琳(Cecilia Milwertz)「小を以て大を制する――民間女性組織のDV反対アクティビズムとその宣伝戦略」は、1990年代から21世紀初頭にかけての、北京の民間女性組織のDVに対する取り組み(とくにそのメディア戦略)の歴史を明らかにしたものです。卜衛「伝統的メディアを利用して組織する――農村コミュニティにおける民間演劇のDV反対運動における役割」は、2005年に卜さんが発表したOrganizing Against Domestic Violence――Exploring the Use of a Popular Theater Troupe as Alternative Media in Rural Chinaの翻訳であり、都市のようにはマスコミやインターネットが普及していない農村で、鄭州の民間女性団体である「河南コミュニティ教育と研究センター(河南社区教育与研究中心)」が、民間演劇をオルタナティブ・メディアとして活用した実践を報告しています。卜衛「オルタナティブ・メディアと大衆メディアの相互伝播――DV反対サイトのケーススタディ(2000―2003)」は、DV反対ネットワークのサイトが、独自の視点や情報によって、大衆メディア(マスコミ)との間にも相互作用を形成することに成功した経験などを述べています。この章は、ほかに、卜衛「延慶農村コミュニティプロジェクト視察記」などの活動ノートも収録しています。

第五章「《ヴァギナ・モノローグ[阴道独白]》とジェンダー暴力に反対する全世界の運動」は、研究論文としては、米曉琳(Cecilia Milwertz)・卜衛「『訴苦(苦難を訴えること)』と喜び――性暴力に反対する演劇《ヴァギナ・モノローグ》に関する対話」を収録しています。これは、演劇《ヴァギナ・モノローグ》(イブ・エンスラー作)が中国のDV反対運動で活用されたことについて、Milwertzのさまざまな問いかけ(たとえば、アメリカの作品を中国で上演することの有効性とか、第二波フェミニズムの中の「コンシャスネス・レイジング」と中国革命の中でおこなわれた「訴苦」との差違とか)に対して卜衛が答えているものです。この章は、ほかに、各地の《ヴァギナ・モノローグ》上演の記録を収録しています。

第六章「国際交流の報告」は、2つの国際会議についての詳しい研究報告を掲載しています。卜衛「家庭内暴力反対の国際知識ネットワーク――第9回家庭内暴力反対国際会議報告」は、2004年に開催されたThe 9th International Conference on Family Violenceへの参加報告、卜衛「公共と私的領域の政治の再検討――北欧・中国ジェンダーと政治国際シンポジウム概要」は、2002年に開催された同シンポジウムについての報告です。そのほか、タイやデンマークの視察報告も収録しています。

本書に掲載されている研究報告は、多くの先行する調査や研究をきちんと押さたうえでの実証的で緻密な研究、意欲的な実践ばかりです。たとえば、最初に挙げた、「絶望の『暴力を以て暴力を制する』――河北省女子監獄受刑者の親密な関係の暴力の調査報告」の中の「文献回顧」の節では、DVの定義・発生率・被害者サポート・「暴力を以て暴力を制した女性」に関する従来の諸研究の方法と結果を総括しており、ここだけでも、読む価値があるほどです。

本書からは、ここ5~6年の間にも、中国においてDV研究の水準が大きく向上したことを感じます。また、それは、運動の発展と結びついていることもわかります。本書は、中国のDVとDV防止運動を知るうえで必読の文献だと思います。

●朱東武 斉小玉編『城市社区多機構干預家庭暴力的実踐(都市の地域コミュニティで多くの機構がDVに関与する実践)』(中国社会科学出版社 2011年) ネット書店「書虫」のデータベースの中のこの本の書誌データ[購入ページ]

本書は、DV反対ネットワークの中の「都市の地域コミュニティで多くの機構がDVに関与する」サブプロジェクトの活動理念と活動内容をまとめたものです。このプロジェクトは、2000年以来、北京市豊台区の右安門街道で試験的にDV防止活動をおこなってきました。

「多くの機構の協力」というのは、DVに対しては、単一の機構だけでは対処できないので、ソーシャルワーカー、社会福祉、警察、裁判所など、多くの機構や人員の協力によって対処するということです。以前は、DVは「家庭の中の私事」であり、「女性にだけ関係があること」だと考えられていたので、DVに対する介入は、婦女連合会の職責だとされていました。また、DVは「家族関係の問題」で、「夫婦両方の責任」だと捉えられていたために、「調停」という方法によって解決しようとする傾向もありました。それに対して、「多くの機構が協力してDVに関与する」ことは、DVを「社会問題」・「社会全体が取り組むべき問題」として捉えることを意味します(本書、p.64-65)。

本書の構成は以下のとおりです。
第一部 地域コミュニティで多くの機構がDVに関与する理念
 第一章 ジェンダー平等の目標
 第二章 多くの機構が協力して関与する戦略
 第三章 ソーシャルワークの専門的方法による介入
第二部 地域コミュニティで多くの機構がDVに関与する実践
 第四章 地域コミュニティの多くの機構が関与する工作ネットワークの構築
 第五章 DVに反対する地域コミュニティの文化的雰囲気の構築
 第六章 工作人員のDVに関与する能力の向上
 第七章 積極的に介入して、DVの当事者を援助する
 第八章 男性や地域コミュニティのボランティアの参与を励ます
 第九章 地域コミュニティ建設の中に右安門モデルを植え付ける

本書の第一章~第三章では、このプロジェクトが、「ジェンダー平等」という目標、「多くの機構が協力して関与する」という戦略、「ソーシャルワーク」という方法によるものであることが説かれています。

第四章には、このプロジェクトが右安門街道を協力相手にした事情や、多くの機構が協力するネットワークの構造、具体的な行動・実践事例が書かれています。

第五章では、さまざまな宣伝活動をおこなうことによって、コミュニティの中にDVに反対する文化的雰囲気を作り出したことが述べられます。

第六章では、公務員や婦女連合会の幹部、ボランティア、DVが発生した家族のメンバー、派出所・病院・裁判所のメンバー、小学校の教師などに対して、DVについての研修をおこなったことやその効果について述べられています。

第七章では、DVが発生した場合に積極的に介入したこと、DVの被害に遭った女性たちのために「被害女性サポートグループ」を作って被害者を援助したこと、加害者のためには「幸福家庭成長グループ」を作って自らを反省させたことなどが述べられています。

第八章では、男性たちもDV防止活動に参加したことやDV防止活動にボランティアを組織したことが述べられています。

第九章では、このプロジェクトがおこなった活動を「右安門モデル」として概括しています。また、右安門街道ではこのプロジェクトが終了した後もDVに関与する活動が続けられていることも述べられます。

本書の強みは、現実に成功した実践をもとにして議論をしていることだろうと思います。

ただ、私は、このプロジェクトがぶつかった障害や克服できなかった問題点に関しても、もっと記述してほしかったと思いました。もっとも、プロジェクトがぶつかった障害に関しては、若干は言及されており、たとえば、2000年初め頃は、DVの問題はまだデリケートな話題であったため、プロジェクトを受け入れてくれる地区を見つけるのが困難で、ある区の婦女連合会の主席は「私がもしこのプロジェクトを受け入れても、区は、私が『区の暗い面を暴露する』と思って、けっして同意しないだろう」と語ったことが記されています(p.61)。しかし、本書では、このプロジェクトでは克服できなかった問題に関しては明示的な言及はありません。たとえば男性の参加や加害者の変革については、それほど高い到達点は築くことはできていないように見受けられますが、それならば、今後の課題について明示しておくことにも重要な意義があるのではないでしょうか。

●呂頻主編『中国反家庭暴力行動報告 (Report on Anti-domestic Violence Actions in China)』(中国社会科学出版社 2011年)ネット書店「書虫」のデータベースの中のこの本の書誌データ[購入ページ]

2008年初め、DV反対ネットワークは、中国のDV防止のための行動の各領域における進展を、全面的に回顧・評価・分析して、今後に向けての提案を研究するプランを立てました。その目的は「中国のDV反対のための行動の成就と進展を総括するためであるとともに、民間女性組織のために、今後の関与・援助・唱道活動の拠りどころを提供するため」でした。本書は、その成果をまとめたものです。

本書は、「法律政策」(朱莉・于懐清執筆)、「司法による保護」(朱莉・于懐清執筆)、「警察による関与」(于懐清執筆)、「地域コミュニティによる関与」(朱東武執筆)、「シェルター」(呂頻執筆)、「法律援助」(于懐清執筆)、「心理的サポート」(呂頻執筆)、「医療による関与」(蔡一平執筆)、「男性の参与」(呂頻執筆)、「大衆メディア」(蔡一平・呂頻執筆)、「理論研究」(蔡一平執筆)、「行動の広がり」(蔡一平・戴静執筆)という項目に分かれており、項目ごとに、「進展と現状」「問題と障害」「対策と提案」の3点を論じています。

最後に、「結語」として、「DV防止を実現する国家の責任――現状・問題・建議」を呂頻さんがまとめています。呂さんは、国連事務総長の「女性に対するあらゆる形態の暴力に関する掘り下げた研究」 (A/61/122/Add.1) (In-depth study on all forms of violence against women、关于侵害妇女的一切形式的暴力行为的深入研究)が指摘した、DV防止における国家の7つの責任に即して、国家の政策や制度の問題点を指摘するとともに、今後努力すべきポイントを挙げています。

本書は、中国のDV防止のための施策と運動の到達点と課題をひと目で知ることができる、非常に良い文献だと思います。また、同じ内容が中国語と英語の2か国語で書かれていますので、中国語が読めなくとも、英語が読めれば、全文を読むことができます。中国語の記述が125ページ、英語での記述が160ページですから、非常に簡潔に書かれています。しかし、内容は豊かで鋭いもので、他の研究が指摘していないような点にも言及されています。

本書は、2008年9月の時点の報告ですが、その後の展開についても、ごく簡単にですが、p.2-4(英文篇ではp.2-5)にまとめてあります。

●林建軍主編『反対針対婦女歧視与暴力的跨学科研究(女性に対する差別と暴力に反対する学際的研究)』(中国社会科学出版社 2010年)ネット書店「書虫」のデータベースの中のこの本の書誌データ[購入ページ]

本書は論文集で、3つのテーマに分かれており、「家庭内暴力」というテーマの下に21篇の論文、「セクシュアルハラスメント」というテーマの下に5篇の論文、「大学院生フォーラム」に4篇の論文を収録しています。

とくに各論文の間につながりは見当たりませんし、出版の経緯についての説明なども書かれていませんので、どのような趣旨で出版されたのか、よくわかりません。

しかし、内容的には読みごたえのある論文が多い。たとえば、張艶霞「男性の女性パートナーに対する暴力:中国大陸と香港地区の現状・原因・関与――近年の関連する英文の研究の解説と評論」は、英語文献の研究案内として役立ちます。また、肖建国「民事保護命令の中国における実践」や劉明輝「企業における職場セクハラ防止メカニズム構築の試みと考察」は、新しいテーマについての研究です。孫曉梅「中国の女性に対する暴力的侵犯問題の立法手続き提出の問題の研究」は、全国人民代表大会などに出された、女性に対する暴力防止のための様々な提案を整理しています。金一虹 陳晴鈺「『女児に対する家庭内暴力に反対する』:宣伝・唱道における困難と困難の分析」は、女児は、男児よりも身体的暴力を受けることは少ないけれども、精神的暴力(無視・軽視・差別)を受けることは多いこと、しかし、それらは暴力として認知されにくいことを明らかにしています。田小梅「家庭内暴力事件に調停を適用すべきか否かの法律的思考」は、DV事件について調停をおこなうことの問題点を指摘し、もし調停をする場合に守るべき原則を提起しています。

●王向賢『親密関係中的暴力:以1015名大学生調査為例(親密な関係における暴力:1015名の大学生の調査を例にして)』(天津人民出版社 2009年)ネット書店「書虫」のデータベースの中のこの本の書誌データ[購入ページ]

本書は、2006年から2007年にかけておこなった、ある大学の大学生1015名に対するアンケート調査をもとにして、配偶者間の暴力、親子間の暴力、恋人間の暴力について分析しています。

●劉曉霞 王麗麗主編『反家庭暴力研究』(中国政法大学出版社 2012年) ネット書店「書虫」のデータベースの中のこの本の書誌データ[購入ページ]

本書は、甘粛政法学院民商経済法学院の論文集で、以下の5つのテーマの論文が収録されています。

一、法苑随筆(1篇)
二、調査研究と地方立法(2篇)
三、理論的探究(13篇)
四、比較研究(3篇)
五、関連研究(2篇)

しかし、全体として、一般論を述べた比較的短い論文が目立ち、私には、あまり面白くありませんでした。

ただし、張永来 解暉「甘粛農村家庭内暴力問題の調査と思考」は、いちおう地方の調査にもとづいた論文です。また、蒋為群「民事安全保護命令の保護を論ず――民事安全保護令の執行の視角から」は、民事保護命令という新しいテーマを扱っています。

以上、さまざまな書籍を紹介してきましたが、最近の中国のDVをめぐる研究と実践の発展がおわかりいただけると思います。

ただ、これらの研究からは、被害者(サバイバー)の主体性のようなものは、まだはっきりとは浮かび上がっていないように感じます。実際、たとえば、DVシェルターに関して、「シェルターを設置すべきか否か、シェルターにどのような機能が必要かという議論の中では、普通の女性、とくに被害女性の声はほとんど聞こえてこず、ましてシェルターの創建と管理には彼女たちは参与していない」(呂頻「婦女庇護」呂頻主編『中国反家庭暴力行動報告』p.52)ということが指摘されています。また、DV反対ネットワークのウェブサイトの今後の課題として、「公衆個人との相互作用のモデルを構築する」ことが挙げられ、「被害女性からのフィードバックに対しても、反応モデルを探究しなければならない」(卜衛「替代性媒介与大衆媒介的互動伝播――反対家庭暴力網站的個案研究(2000―2003)」卜衛・張祺主編『消除家庭暴力与媒介倡導:研究、見証与実踐』p.296)と述べられています。そうした点は、今後の課題なのでしょう。
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中国、女性同性愛者の献血禁止を撤廃

中華人民共和国衛生部と中国国家標準化管理委員会が昨年12月に公布した「献血者健康検査要求(献血者健康检查要求[GB18467-2011])」(献血できる条件を定めた規定)が、今年7月1日から施行されました。

以前の規定は、「同性愛者」の献血を禁止していました(献血者健康检查要求[GB18467-2001]の4.5.3)。しかし、この7月1日から施行された新しい規定は、「同性愛者」という身分には言及せず、「男どうしで性行為をする(男男性行為)」者の献血だけを禁止しています(5.2.2)。したがって、新聞も報じているように、少なくとも「女性同性愛者は献血できる」(1)ようになったわけです。

女性の同性愛者とバイセクシュアルの組織のリーダーである嫻さん(ニックネーム)も、この決定を歓迎しています。嫻さんは「以前も同性愛者という身分を隠して献血することはできたけれども、それでも新しい政策は意義がある。それは、私たちの尊厳と献血の差別と関係している」と述べています(2)

以下、この件に関する、これまでの同性愛者の動きを振り返ってみます。

2008年

嫻さんは、2008年の四川大地震の時に、同性愛者は献血できないと知らされたとのことですが、2008年の「中国10大セクシュアル・マイノリティニュース」(ゲイサイト淡藍網による。以前ご紹介しました)の6番目も、この件を取り上げました。

6.四川大地震後、同性愛者の献血の話題がメディアの関心を集めた原文

5月12日、四川地区で大地震が起き、大量の負傷者への輸血が必要になったため、血液が不足した。同性愛者の献血が話題になり、同性愛者グループの内部でも多くの討論がなされ、若干のメディアの関心を引いた。

6月2日、インドの英字紙Daily News & Analysisの記事“No gay blood in quake aid”(2008/06/02)は、以下のように伝えた。中国のレズビアン雑誌《Les+》は、多くのレズビアンが献血をしようとしたのに、「同性愛者はエイズのハイリスクグループだ」という理由によって、珍しいタイプの血液の人さえも献血を拒否されたこと伝えた。北京のレズビアングループ「同語」は、性的指向を理由として献血を拒否する規定を改正するように訴えた。《Les+》は、レズビアンはけっして感染のハイリスクグループではなく、エイズウイルスやB型肝炎を含めて、ローリスクグループであることを指摘した。この問題に関してはネットで議論になり、同性愛者の献血禁止については賛否両論が出たが、ある人は「血液の安全を保証するには、厳格な血液検査がカギである。」「それなしに献血を禁止するのは、同性愛者に対する差別である」と述べた。



2009年

これも以前に本ブログでご紹介しましたが、2009年5月には、広西レズ聯合社(Guangxi Les Coalition)のレズビアンたちが、女性同性愛者の献血禁止に抗議する意味を込めて、集団で献血をしました(公然と「私たちはレズビアンだ」と名乗って献血したわけではなく、国際反ホモフォビア・トランスフォビア・デーのワッペンを付けたりして献血したということです。Mis S「5.17“無声的抗議──広西蕾絲聯合社拉拉集体献血”」[写真あり](2009年5月19日)、本ブログの記事「中国各地で反ホモフォビア・トランスフォビア・デーの活動」参照)。

2009年7月には、献血を拒否されたレズビアンのLi Yu(李玉?)さんが、差別をなくすことを求めるインターネット署名を募ったところ、少なくとも540名のレズビアンが署名したと報じられました(3)

2010年

彦暁さんのブログ「二人の男の勇気(两个男人的勇气)」が発表した「2010年中国10大同性愛ニュース」(ゲイサイト「淡藍網」にも転載。2010年中国十大同性恋新闻事件)の11番目には、男性同性愛者の献血問題が出てきます。

10+1.同性愛者が献血を拒否され、血液センターの差別を訴えた

6月6日、同性愛者の王梓政が北京西単図書ビルディングの献血スポットで献血しようとしたところ、「『献血法』の規定により、献血できない」と言われた。また、衛生部が出した「献血者健康診断基準」にも、「献血を受ける人の安全を保証するために、同性愛者には献血しないよう訴える」という一条がある(4)

4日後、32歳の王梓政は告訴状を持って海淀法院に行き、北京赤十字血液センターに対して、彼の献血を許可することと、彼の献血を拒否したことについて公に謝罪することを要求した。王は、単純に性的指向だけによって献血できるか否かを判断することは、非常に非科学的であって、自分は公民として、憲法と法律が賦与したすべての合法的な権利と義務を有していると考えた。

海淀法院は一カ月後、「上級の法院の指示を仰いだ結果、立件しないと決定した」と表明したけれども、この事件はそれでも私たちが銘記するに値する。同性愛の献血についての議論は、すでに長い間続いているが、同性愛者が公に法律的支持を求めたのは初めてであり、そのメルクマールとしての意義は忘れられるべきではない。


(関連記事:「中国の裁判所、ゲイ男性の献血訴訟を却下」みやきち日記2010年7月9日)。

今回、新しい「献血者健康検査要求」が出された具体的な背景はわかりませんが、以上のようなさまざまな同性愛者(とくにレズビアン)の動きも一つの要因ではないかと思います。

[追記] 本ブログの記事「女性同性愛者らの組織『同語』、新献血政策に対して見解――男性同性愛者に対する政策の問題点も指摘」も併せてご覧ください。

(1)献血者健康检查要求新国标将实施 7月1日起60周岁可献血」『城市晩報』2012年5月29日。『人民日報』の記事は、女性同性愛者には言及していませんが(「卫生部发布新规定:无偿献血年龄可延长至60岁」新華網2012年7月3日)、レズビアン系やLGBT系のサイトは、『城市晩報』の記事を、「女性同性愛者が献血できるようになった」という見出しを付けて転載しています(「【拉拉资讯】献血者检查新国标将实施 女同性恋者可献血」右域拉拉女同资讯2012年6月6日、「献血者健康检查要求新国标将实施 女同性恋者可献血」愛白網2012年6月6日)。また、ザ・タイムズ・オブ・インディア(世界最大の英字紙)やデイリー・ビースト(ニュースサイト)も、「中国がレズビアンが献血することを認めた」という見出しで報じています(次の注2および「China Allows Lesbian Blood Donors」The Daily Beast2012.7.6)。
(2)China permits lesbians to donate bloodThe Times of India,2012.7.3→中国語訳付き「中国允许女同性恋献血」三泰虎2012年7月3日。
(3)Lesbian donors take action over being shunned”By Shan Juan (China Daily)2009-07-28→(中国語訳)「禁止女同性恋者献血规定亟待修改」中国日報網2009年7月28日。そのほか、China Dailyの記事をもとにした記事として、「中国で女性同性愛者が抗議活動―『法により献血禁止』」サーチナ2009年7月28日、「中国のレズビアンたちが請願、『わたしたちにも献血させて』」AFP2009年7月29日。
(4)1997年に公布され、1998年に施行された「中華人民共和国献血法(中华人民共和国献血法)」自体は、献血者には健康検査をする必要があると述べているだけですが、同時に施行された「献血者健康検査基準(献血者健康检查标准)」の六の18が同性愛者の献血を禁じていました。

※この件については、「中国の女性同性愛者献血差別について(作成中)」(RyOTAの日記 2009年8月3日)もご参照ください。日本でも1990年代まであった女性同性愛者献血差別や、世界の男性同性愛者の献血(差別)についての規定もまとめてあります。
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(日本)ファイトバックの会のブログ再公開に抗議する

7月3日、「館長雇止め・バックラッシュ裁判を支援する会(ファイトバックの会)」のブログが再公開されました。7月4日、それに対して、私たち「フェミニズムとインターネット問題を考える会」の会員一同は、再公開を中止するよう要請する下のメールを送りました。

「館長雇止め・バックラッシュ裁判を支援する会」ブログの管理者様

「館長雇止め・バックラッシュ裁判を支援する会」のブログには、2代目館長に関する削除されたエントリ以外にも、誹謗中傷を含む不適切なエントリが多数あったことが、私たちの検討の結果、明らかになっています。
https://sites.google.com/site/fnetproject/

過去のブログエントリの公開を中止するよう求めます。

「フェミニズムとインターネット問題を考える」研究会会員一同


(「フェミニズムとインターネット問題を考える会」のサイトにも同じ文を掲載しています)

この件については、すでに「フェミニズムとインターネット問題を考える会」のメンバーでもある山口智美さんと斉藤正美さんが書いておられます。
 ・「ファイトバックの会ブログの再公開への抗議」ふぇみにすとの論考2012年7月4日。
 ・「唖然! ファイトバックの会ブログの再公開」ジェンダーとメディア・ブログ2012年7月5日。

もともとファイトバックの会は、以前ブログを閉鎖した後に、2008年8月19日の世話人会で「同じ間違いを繰り返さないために、旧ブログの検証作業を今後おこなう」ことを決定していました。しかし、今回再公開したブログを見ると、そうした検証作業がなされた形跡は見当たりません(私もまだすべてを見たわけではありませんし、断言はできませんが)。

そして、その後、上で述べたとおり、「フェミニズムとインターネット問題を考える会」では、何回も研究会を積み重ねて、ファイトバックの会のブログを詳細に検討し、その問題点を明らかにした研究結果を発表しました。その際には、ファイトバックの会の世話人の方も1人来ておられましたし、上述のとおり、研究結果はすべてインターネット上で発表しています。とくに以下の箇所をご参照ください。

ブログ設置の目的・経緯と匿名発信の問題
ブログにおける煽りと誹謗中傷への展開
「バックラッシュ」イメージと運動の盛り上げ・誹謗中傷
他の裁判支援団体のメディアとの比較から
運動体による謝罪はどうあるべきか

私自身の行動に関しても、私は、「会のML・ブログへの私の投稿の反省点」をまとめています(他の方々も、それぞれ、自分個人の反省点についても書いておられます)。

以上を無視して、ブログの再公開をなさったことは、非常に残念であり、聞く耳を持たない対応ではないかと思います。私自身も、最初からしっかり問題がわかっていたわけでは全然なく、もう一度ブログを読み直したり、他の方のご意見を聞いたり、自分自身で他の裁判支援団体のメディアを調べたりする中から、少しずつ自分なりの考えをまとめてきました。ぜひ今回ブログを再公開なさった方々も、私たちの述べていることにも耳を傾けていただきたいと思います。

また、私は、今回のブログ再公開の決定自体、きちんとした手続きを経ているのか疑問に思います。昨年7月末でファイトバックの会は解散しています。ということは、論理的に言えば、その後は会としての決定はできないはずです。もちろんサイトの単純ミスを修正するなどの微調整はしてもいいでしょうし、裁判についての本が出たなら、それをサイトで宣伝するくらいはしていいと思います(*)。しかし、問題があったために閉鎖され、長い間再公開できなかった会のブログを、今になって再公開するような大きな決定を、会員が四散してしまったのちに、できるのかどうか疑問です。

(*)ただし、今回この裁判について書かれた三井マリ子・浅倉むつ子編『ファイトバックの生贄』は、一部に人権にかかわる問題点が含まれていると思います(「書評:三井マリ子・浅倉むつ子編『バックラッシュの生贄』」)。山口智美さんも、同書について、さまざまな人権にかかわる問題点を指摘をしておられます(「三井マリ子・浅倉むつ子編『バックラッシュの生贄』に関してひっかかったこと」)。
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Author:遠山日出也
 検索から来られた方へ:このブログの記事を分類した一覧である「『中国女性・ジェンダーニュース+』記事総覧」を見ていただくか、下の「カテゴリー」欄を使われると、関連情報がご覧いただきやすいと思います。最近の行動派フェミニストについては、「中国の行動派フェミニスト年表、リンク集」をご覧ください。
 また、「中国女性・ジェンダー関係主要HPリスト」(リンク集)も併せてご覧いただければ幸いです。日本の問題の一部は、「ウィメンズ・アクション・ネットワーク(WAN)の労働争議・まとめ」や「館長雇止め・バックラッシュ裁判」でまとめています。
 恐れ入りますが、スパム対策などのため、コメントは私が拝見した後で表示させていただきます。
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