2009-12

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「深圳経済特区ジェンダー平等促進条例」の意見募集稿は画期的だが……

 12月23日、「深圳経済特区ジェンダー[性別]平等促進条例(意見募集稿)」の論証会がおこなわれ、深圳市の法律界・経済学界・社会学界・人民代表大会・政府部門の30人余りの指導者・専門家・学者が「意見募集稿」について議論をしました。「この公聴会の開催は、『深圳経済特区ジェンダー平等促進条例』の準備工作が深圳市婦連の推進の下、正式に開始されたことを示している」(1)とのことで、「『深圳経済特区ジェンダー平等促進条例(意見募集稿)』は、来年の深圳市の立法活動計画に入る見込みである」(2)とも報じられました。

 論証会では、深圳大学法学院の李薇薇教授が同条例の起草グループを代表して、この「意見募集稿」の内容と構成について説明しました(3)

主な内容

 報道によると、「深圳経済特区ジェンダー平等促進条例(意見募集稿)」には、以下のような内容が含まれています。

 ・市の平等機会委員会を条例の実施機構とする。

 ・「ジェンダー平等発展プラン」を制定し、男女両性の平等な発展の目標と戦略的措置を明確にする。

 ・公共政策のジェンダー分析制度を実行する。政府およびその他の部門は、関係する法規・規則・規範的文書を起草するとき、公共政策の男性と女性に対する異なる影響を分析しなければならず、性差別があってはならない。

 ・ジェンダー予算制度を実行する。政府の予算はジェンダー視点を組み込まねばならず、それによって、より公平な方法で資源を分配する。

 ・ジェンダー監査制度を実行する。市・区の監査部門は、そのクラスのジェンダー予算の編制と執行状況について、定期的に監査をおこなって監査報告を作成し、社会に向けて公表しなければならない。

 ・ジェンダー統計制度を実行する。市の統計部門は、人口構成、教育、就業、労働者の賃金収入、住民の基本的消費、家庭責任の分担(有償労働と無償労働に使う時間を含む)、女性の産育期間に経済活動と非経済活動に従事する人口などの内容について、性別に分けて統計を取らなければならない。

 ・両親の育児休暇制度を実行する。妻の産休の期間、夫が育児休暇を享有し、期間は30日より少なくてはならないと規定する。

 ・「人身安全保護命令」を出す制度を実行し、DVを禁止する。

 ・間接性差別を禁止する。国家機関、企業・事業単位、社会団体などの機構が公布・実施する各種の規定・政策は、性別の差異にもとづいた特別な区分をしていなくとも、目的または実施した効果が一方の性別の公民に事実上不公平な待遇を受けさせて、是正されなければ、性差別と見なす。

 ・政治参加・就業・文化などの各領域において男女の比率が均衡するようにし、さらに、男女の就業の比率の均衡を促進するために、教育・研修・採用・昇進などの面で、特別措置を取ることができると規定する。(4)

画期的なもの

 この「意見募集稿」は全文が公表されているわけではないので、いくつかの重要な点――たとえば平等機会委員会の権限とか、罰則・救済に関する規定がどうなっているのか――については、わかりません。

 けれど、以上で報道されている内容は、すべて画期的だと思います。各メディアは、初の「ジェンダー平等立法」であることや男性の育児休暇、「人身安全保護命令」の規定に注目していますし、いつも厳しい評論を掲載している『女声』(女性メディアウォッチネットワーク)14号も、「この意見募集稿は、多くの面で現行の女性の権益に関する法律を乗り越えており、強い先導性と的確性を持っている。この意見募集稿は、とくにジェンダー平等を促進する制度的な建設を重視しており、そのうち、専門機構の設置、ジェンダー予算・ジェンダー監査・ジェンダー統計・ジェンダー政策の点検審査の実行などの面の要求は、近年の女性団体のジェンダー平等立法に対する共通の要求を体現している」(5)と高く評価しています。

 起草グループの代表である深圳大学法学院の李薇薇教授は、国際人権法と反差別法が専門で(深圳大学法学院の李薇薇紹介ページ)、『就業差別の禁止:国際基準と国内の実践』(法律出版社 2006年)という本(本ブログの記事「国際基準を踏まえて中国のさまざまな雇用差別を論じた書」参照)の編者でもあります。この意見募集稿は、李教授の意見なども大きく取り入れたものでしょう。

「意見募集稿」のゆくえは?

 といっても、この「条例」は「来年の深圳市の立法活動計画に入る見込みである」と書かれているので、現段階では、まだ立法活動計画には入っていないわけです。また、「深圳市婦連の推進の下、準備工作が正式に開始された」とあるので、まだ市当局というより、婦連の意向が強く反映されている段階かもしれません。

 今回の公聴会では、「会議は一致して、『深圳経済特区ジェンダー平等促進条例』は、構成的にも内容的にも、新しいものを作り出しており、これまでにないもので、比較的強い現実性と可操作性を持っており、深圳の立法精神と立法水準を体現していると認めた」(6)ということなので、少なくとも出席した関係者は肯定的に評価したようです。

 けれど、この意見募集稿がそのまま人民代表大会に提出されて、そのまま成立するかどうかは疑問です。昨年から今年にかけて話題になった「北京市『中華人民共和国婦女権益保障法』施行規則[弁法]」の場合、北京市が出した草案(送審稿)でさえ、注目された規定の多くが、その後審議の過程で削除されました(本ブログの記事「女性幹部・女性知識人の定年の男女平等化に強い抵抗」「セクハラを例にした、婦女権益保障法の実効性に対する厳しい批判」参照)。

 北京市の規則の場合もそうでしたが、起草グループでは李さんのような学者の先進的意見が取り入れられても、その草案が成立するか否かは、さまざまな利害関係によって左右されるということだと思うのです。

 また、北京市の規則の場合同様に、国家の法律の規定との関係も問題になるかもしれません。深圳市人民法院民五廷裁判長の頼秋珊さんは、この意見募集稿の「人身安全保護命令」の規定について、「このような規定の着想は非常に良く、DV問題を大きく解決しうる。なぜなら、私たちが国外を視察したとき、保護命令を公布した国家や地区は、DV問題を解決する上で大きな働きをしていることがわかったからである」と高く評価しつつも、「現在、この条項が施行できるか否かは、まだ多くの障害がある。たとえば裁判所の職責は必ず国家の基本的法律によって線引きをされなければならず、特区の立法の権能がその面を乗り越えることができるか否かなどは、引き続き論証と検討が必要である」と述べています(7)

 ただ、もちろん、国家レベルでも、今回の意見募集稿に書かれているようなことを少しずつ取り入れている動きはあります。たとえば「ジェンダー統計」について言えば、2007年4月、国務院女性児童工作委員会と国家統計局社会科技局、全国婦連女性研究所が「全国ジェンダー統計研究討論会議」を開催しており、2008年には国家統計局が初の本格的な生活時間調査(当然「有償労働と無償労働に使う時間を含む」ものです)をおこない、今年、その成果が出版されました(これらの点ついては、本ブログの記事「ジェンダー統計に関する初の全国会議」、「中国初の本格的生活時間調査」、国家統計局社会和科技統計司編『時間利用調査資料匯編2008』[中国統計出版社 2009→国家統計局のHPで読めます:2008年时间利用调查资料汇编]参照)。

 また、深圳市婦連主席の蔡立さんは、「深圳の『改革の実験場』という特区の位置は、私たちに、立法においてまず先に試し、大胆に探索……することを要求している」(8)と述べていますので、深圳という地区だから先進的な実験が可能だという面もあるのかもしれません。といっても、私が記憶する限り、少なくとも男女平等の面に関しては、従来は、深圳だからといって、特に先進的な立法がおこなわれたことはないように思うのですが、市場経済化が進行した深圳だからこそ、それに伴う矛盾に対処するために、先進的な試みが出てくる可能性は否定できないとも思います。

(1)深圳有望出台首部性别平等地方立法」『中国婦女報』2009年12月25日。
(2)深圳有望立法促进性别平等 男方也享育婴假」『南方日報』2009年12月24日。
(3)《深圳经济特区性别平等促进条例(征求意见稿)》立法论证会昨举行」人民網2009年12月24日。
(4)(2)に同じ。
(5)「深圳《性别平等促进条例》论证」『女声』第14期(2009.12.21-12.27)
(6)(2)に同じ。
(7)深圳酝酿制定全国首部性别平等法规提出诸多创新内容 签发“保护令”禁止家庭暴力」『深圳特区報』2009年12月24日。
(8)(3)に同じ。
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「女性抗エイズネットワーク・中国」設立

 以前、本ブログで、2007年3月、女性のエイズ感染者などのネットワークとして「タンポポ女性ネットワーク[蒲公英女性網絡]」が結成されたこと、本年[2009年]2月には「中国女性抗エイズネットワーク」の準備グループが出来たことをお伝えしました(「HIV女性感染者のネットワーク」)。

 こうした活動を経て、本年7月9日、「女性抗エイズネットワーク・中国(Women's Network Against AIDS-China)」が設立されました(ブログ:「女性抗艾網絡-中国」)。設立にあたっては、国連合同エイズ計画(UNAIDS)の資金援助もありました。

 「女性抗エイズネットワーク・中国」は、「タンポポ女性ネットワーク」を含む、中国各地の、エイズに影響を受けた女性(エイズ感染者やエイズ患者の家族)の組織によって構成されており、エイズに影響を受けた女性の声を集め、発表する活動の足場となる組織です。現在のメンバーは以下の21組織で、中国の11の省・市・自治区にまたがっています。

 苦草工作室、瀋陽蛍火虫工作組、河南新郷愛心協会、浙江互助会網絡支持、河南鞏義康楽家園、蒲公英女性網絡、絲路駅站、貴陽滋心小組、広西寧明荷城之光互助小組、河南登封市陽光家園、鄭州祥宇工作組、“半辺天”河北永清感染者互助組、山西臨汾緑色港湾、七台河愛心家園、商丘臘梅花女性小組、貴陽関愛苑、中山陽光公社、美麗人生依依茉莉、河南金色陽光児童関懐協会、凉山社会性別与艾滋病研究会、柳州雨后陽光女性小組

 総幹事は、「治療手記」を発表したことで有名な感染者の何田田さん(彼女のブログ:「江南可採蓮,蓮葉何田田」)です。

 「女性抗エイズネットワーク・中国」の「目的」は、「女性感染者の組織の発展を促進し、女性のコミュニティへの参与と地位を高め、それによって、エイズと共に生きる女性の地位を高め、ジェンダー・センシティブなエイズ防止・治療の政策と措置を提唱すること」です。

 「使命」は、「全国各地の女性の抗エイズの力をつなぎあわせ、女性グループの成長を促進し、女性が声をあげること」です。

 「願い」は、「平等な生存・平等な治療・平等な発展」です。

 「活動計画」は、以下の柱で組み立てられています。
1.組織の発展と能力建設
 1.1 ネットワークの組織の発展
 1.2 ネットワークのメンバーの能力建設
 1.3 女性組織の設立の援助
2.唱道
 2.1 一般大衆の中での唱道
 2.2 政策転換のための唱道(1)

設立の過程(2)

 2007年3月に設立された「タンポポ女性ネットワーク」は、インターネットの中に自分たちの交流の空間を作ろうとしました。ところが、彼女たちのホームページが存在していたサイトの中に性に関わる内容があったため、そのサイトは国家のインターネット粛正運動によって閉鎖させられ、それに伴って、彼女たちのホームページもなくなってしまいました。

 そこで、彼女たちは、今度は、もっと広い範囲で、もっと具体的な方法で自己の存在を示す試みを開始しました。すなわち、彼女たちは、全国各地の女性感染者グループを探して、それらのグループの責任者や中核の人と連絡を取って、相互のネットワークが結成できるかを探求しつつ、しだいに目標や活動プランも明確にしていきました。この過程は、馮媛さん(ジェンダー研究者、元『中国婦女報』高級編集者)によると、以下の3つの過程でもあったと言います。

 ①お互いに激励する過程……ネットワーク作りの過程で、女性感染者が集まる機会が増え、お互いの経験を語り合った。それらの話は、女たちが困難に対処し、生活を創造できる潜在能力を示すものだった。ある人は、エイズのために離婚したが、その後、自立した単身生活を創造した。ある人は、陽性であることを明らかして結婚相手を求め、勇気ある陰性の人と家庭を持つにいたった。ある人は、同じ病気の人と一緒に病気や差別と闘う中で知り合った人と結婚した。若い感染者たちは、出産・育児の経験を交流し、どのように困難を克服して母親である権利を実践・実現したかを語った。最低生活保障などの権益を獲得したり、体制と個人の差別・偏見と闘った人もいた。これらの話は、古くから病気だった人を勇気づけ、新しく病気になった人を恐怖や消沈から脱出させた。感染者の家族には、病気の家族を理解し、励ます気持ちを持たせた。

 ②行動を示す過程……現在、国内で比較的形が整った女性グループは、10数にすぎないが、それぞれのグループの行動の歩みは、感動的なものだった。たとえば、雲南の女性感染者グループである「苦草」(3)というグループ名は、生命力の頑強さと草の根が地下では一つであることを示している。このグループは、病気になったセックスワーカーのホスピスケアと葬式をする活動で有名になったが、現在は、生産による自助や監獄訪問、孤児の援助などにも活動を拡大している。河北の永清の「半辺天家園」は、農村の女性感染者の自助組織であり、生活や栄養、治療の面で助け合いをし、福利や薬の権益を勝ち取ることにも成功している。

 ③主張を形成する過程……2003年前後、各地で感染者の自発的組織が出来はじめた。その中には、たまに女性の姿も見られたが、表現するニーズは男女に共通のものだった。2005年秋冬以降、十数の女性感染者グループが相次いで出現した。2007年には、タンポポ女性ネットワークが設立された。しかし、エイズに影響を受けた女性(とくに女性感染者)独自のニーズ主張は、まだ提出されていなかった。けれど、ネットワークの準備をする過程で、以下のような女性独自なニーズが明確になっていった。
 ――地位向上のニーズ。病気になって夫や実家・婚家からの援助が断ち切られた時にも生きるのが困難にならないように、女性には、自分と子どもの生存・発展を支えられる独立した経済的地位が必要だ。女性の地位向上は、感染したためにDVの被害にあうのを避けたるためにも必要だ。また、性的搾取・性的奴隷労働や子どもを産む道具にされたために感染するのを避けるためにも、女性の地位向上が必要だ。母親としての役割を果たすためにも、地位の向上は必要だが、現在はシングルマザー(ファーザー)へのサポートや援助はない。
 ――出産・育児と性の健康のニーズ。女性感染者は、しばしば子どもを持ちたいという切実な希望を持っており、そのための専門的科学的知識を必要としているけれど、それらの知識は得るのが難しいし、医療・看護従事者は、しばしばそうしたニーズを否定するので、専門家からも相談や援助は得にくい。養子をもらうことを希望する女性もいるが、国家の養子法は、伝染病の病人は養子をもらえないと規定している。また、長い間、男性の性のニーズは堂々と論じられてきており、実現できるルートもあったけれど、女性、とくに感染者の性のニーズは正視されてこず、またジェンダー規範の圧力によって実現することはさらに難しかった。
 ――平等な参与のニーズ。女性が社会政策や法律の制定・修正に参与できるルートを保障する。世界基金などの国際協力のメカニズムと資源の分配において発言権を得る。メディアにおいて、女性感染者を単なる被害者でなく、行動者・変革者としての働きや彼女たちの観点や要求を示すようにする。女性感染者の声を科学研究プロジェクトに組み入れる。薬物の副作用の性別による差異を探究するなど。

女性エイズ感染者の手記・『写生』出版

 11月25日、「女性抗エイズネットワーク・中国」は、同ネットワークが企画・出版した、女性エイズ感染者の手記を集めた『写生』という本の発表会をおこないました。

 発表会には、国連副事務総長のMichel Sidibéさん、衛生部が選んだ初のエイズ防止宣伝大使である女優の蒋雯麗さん、監督の顧長衛さん、写真家・王小慧さんらも出席しました(4)

 『写生』は商業出版されていないようですが、網易女人の特集ページで連載が開始されており、感染者が出産や仕事について語っています(「第一部女性艾滋感染者手记《写生》发布」、「《写生》一:我好想好想做妈妈」、「《写生》二:感染艾滋的我,也可以工作」)。

 この本を編集した何田田さんは、次のように述べています。

 「中国の感染者のうち、女性感染者は1/3を超えており、若干の地区では40%以上に達しています。三大感染経路のうち、性感染が最も主要な感染経路になりつつあり、新しく増えた感染者の中では、女性の増加速度は男性より速くなっています。エイズウイルスに対しては、生理的角度からも、社会的角度からも、女性は、より大きな危険に直面しています。中国の社会では、女性が家族や跡取りから受ける圧力は、男性よりはるかに大きく、また、私たちの民族のいささかの伝統的・封建的意識によって、災難が降りかかった時、しばしば、多くの女性が家族や夫、はなはだしきは子どもによって捨てられます。さらに、人々は、しばしばエイズを道徳的堕落や行動の慎みのなさと結びつけます。病身の上に付加されるこれらの汚名と差別は、女性にとって巨大な圧力となります。」

 「エイズに影響を受けた女性の訴えは、みんなが聞く必要があります。ジェンダー意識は、エイズ予防・治療政策の中で体現される必要があり、病身の上に付加された汚名と差別は、社会全体の努力で少しずつ解消していかねばなりません。」

 「ですから、私たちは『写・生』を作って、私たちが書いた生命の物語を通じて、みんなに『私たち』を本当に知ってほしいと思います。『私たち』とは、エイズに影響を受けた女性であり、女性感染者のほかに、感染者の女性の家族もいます。病気を前にして、運命の選択を前にして、私たちは逃避せず、正面から立ち向かいました。『写・生』のきめ細かで耽美的な写真や文の背後には、女性が厳しい環境に直面して示した剛毅さと勇気が表現されています。それは、生活と運命が交差する中での答案であり、社会の理解と平等な扱いを訴える叫びなのです。」

 「健康・貧困・差別・DVは、エイズに感染した女性が直面する主要な悩みです。免疫力の低下による日和見感染と抗ウイルス剤の副作用は、次第に、または急速にエイズ患者の健康を損ないます。もともと貧困だった家庭が、エイズに感染したことによってさらに貧困になります。差別は、無知と恐怖から来ますし、感染者自身のアイデンティティの欠如からも来ます。DVは、身体的暴力と精神的暴力を含んでいて、もし夫が妻がエイズに感染したことによって思いやりをなくし、性愛をなくしたら、名前は夫婦でも、赤の他人と同じになります。」(5)

(1)以上は、「中国女性抗艾网络正式成立,21个组织为首批成员」中国紅絲帯網2009-07-10、「我们是女性抗艾网络-中国」女性抗艾網絡-中国blog2009-11-15、「Debrifing on Women's Network against AIDS-China」女性抗艾網絡-中国blog2009-11-15
(2)馮媛「感受她们的力量」女性抗艾網絡-中国blog2009-11-15
(3)個旧市苦草工作室。2005年10月に設立された、(前)女性セックスワーカーのエイズ感染者のための組織(「“无意苦争春,一任群芳妒” ——记个旧市苦草工作室」NGOCN官方博客2009-11-05に詳しい)。
(4)蒋雯丽、王小慧与联合国官员携手女性抗艾网络为《写.生》揭幕」女性抗艾網絡-中国blog2009-11-26
(5)网易女人专访女性抗艾网络总干事、《写生》主编何田田」網易女人2009-11-26
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2007~2009年の各年の中国10大セクシュアル・マイノリティニュース

 中国のゲイサイト「淡藍網」(1)は、先日「2009年度中国10大セクシュアル・マイノリティ(2)ニュース(2009年度中国十大同志新闻)」を発表しました。

 「淡藍網」は、2007年以降、毎年10大ニュースを発表していますので、まず2007年と2008年の10大ニュースを紹介してから、今年のものをご紹介します(といっても、どの年度についても、私はよく知らない事件がかなりあるので、正確に書けていないものもあると思います)。

2007年
 (「2007同志十大新闻、十大人物评选揭晓」淡藍網2008-01-01)

1.同性愛者の姿が初めてエイズ防止の公共ビデオ広告の中に出現した記事
 12月1日の国際エイズデーを前にして、淡藍網は、[衛生部から]権限を授けられて、成龍・濮存・姚明などのスターによるエイズ防止公益広告を放映したが、その中で、濮存(プー・ツンシン)は、広告の中で初めて同性愛者のアベックの姿で登場した(ビデオ→「保护自己 关爱他人——濮存篇」)。

2.馬天宇が「同性愛者」だと言われて、裁判所に訴訟を起こした記事
 11月2日、人気スターの馬天宇が、カメラマンの高波に「同性愛」だと書かれたことを、「名誉毀損」だと言って裁判所に訴えた。それに対して、ある人は「同性愛が名誉毀損だというのは、同性愛に対する侮蔑である」と主張し、ある人は「プライバシーの侵害であり、捏造なので、馬天宇は被害者だ」と主張した。

 *馬天宇については、上の事件には触れていませんが、レコードチャイナに「まるでレスリー・チャン! イケメンアイドル馬天宇の京劇美女姿に絶賛の声―中国」(2008-03-09)という記事が出ていました。

3.鳳凰網と淡藍網が合同で、初めて同性愛をテーマにした番組を放送した記事
 4月5日から、中国初の同性愛をテーマにした番組「同性相連」が、[インターネットの]鳳凰網の「性情解読[解碼]」チャンネルで放送された。毎週木曜の午後3-4時に、生放送で、12週間放送された。

4.孫海英が「同性愛は犯罪だ」と罵り、ネットユーザーが立ち上がって批判した記事
 俳優の孫海英が、中国の恋愛・結婚の状況を尋ねた記者の質問に対して、同性愛者のことを「道徳的堕落」「ろくでなし」「ほとんど犯罪のようなものだ」「人間性に反する」と語った。それに対して、ネットで「同性愛は先天的なものだ」「昔からあるもので、前近代にはもっと盛んだった」「法律にも規定はない」など、多くの批判が起きた。

5.「レインボーには力がある」2007台湾LGBTパレード記事
 10月13日。→本ブログの記事「台湾のプライドパレードと移住労働者デモ」参照。 

6.中国のセクシュアル・マイノリティがプライド月間の祝賀活動をおこなった記事
 6月10日、北京・成都などの地で、ゲイ、レズビアン、バイセクシュアル、異性愛の友好的人士、国際的人士が、プライド月間の活動をした。北京では、同語レズビアングループ、愛白文化教育センターのボランティアと友人20人余りが北京の円明園公園で公然と活動をして、虹色の凧を飛ばした。愛白成都青年同志活動センターと成都LES愛心グループのボランティア70人余りは、成都市植物公園で「プライド凧あげ」(=これも、虹色の凧をあげること)をした。

7.ビル・ゲイツが2620万ドルを同性愛サイトに投資した記事
 マイクロソフトのビル・ゲイツを含むカスケード投資会社が、アメリカ最大の同性愛サイトGay.comの親会社のPlanetOutに2620万ドルの投資をした。

8.ネット仲間がセクマイに友好的な10のメディアを選び、「新浪」がトップに輝いた記事
 「新浪」の受賞理由:ブログという場を作り出すことに成功することによって、同性愛を含めた草の根の階層に声を上げることができるようにした。新浪網は、最も多くのセクマイのブログを集めており、国内の比較的影響力のあるセクマイのブログの多くはここに集まっている。

9.ネットユーザーが暴露した:井柏然と付辛博は同性愛カップル記事

10.内地初の同性愛者の愛情を反映した映画《ガラスの心[玻璃心]》が撮影開始記事
 内地で初めて実在の人物の話を脚色して、同性愛者の愛情を反映した草の根映画[=自主制作映画を指すようです。百度百科「草根电影」]《ガラスの心》が、同性愛者たちへの関心を引き起こした。これは、有名な挿絵画家で同性愛者の毛智勇が、自分の経験をもとにして脚色した作品である。

2008年

1.濮存が同性愛者を励ました原文
 10月、取材に答えて。エイズ防止広告に出演したことがきっかけで同性愛者との接触が多くなり、理解を深めた結果として。

2.李銀河が、ふたたび「2つの会(全人代と全国政協)」に同性婚姻立法を提案した原文
 3月、李銀河(中国社会科学員研究員、社会学者)が、ふたたび全人代と全国政協に同性婚姻の提案をした(初めて提案したのは2003年)。李は、また、民政部門に同性愛の社会団体(社団)を承認することを求める提案もおこなった。→本ブログの記事「本年の動向6―同性婚姻立法の提案」(これは、2006年の話ですが)、「李銀河さん、LGBTの社会団体の登記を承認するよう提案」も参照。 

3.台湾のLGBTパレードが、大陸のLGBTの上陸体験を待ち望んだ原文
 昨年[2007年]は、大陸のセクマイは出席できなかったけれども、2008年は、両岸の直航チャーター便と大陸の観光客ツアーの実現によって、大陸のセクマイが華人のセクマイの盛事に参与することが現実になった。→本ブログの記事「台湾プライドパレードに史上最高の1万8千人」も参照。

4.香港で12月13日、千人にのぼるLGBTのプライドパレード原文
 →本ブログの記事「香港初のプライドパレードに1000人あまり」参照。

5.「同性愛治療カプセル」という疑わしいサイトが再び出現した原文
 7月、あるサイトが「同性愛を治療できる」と宣伝したが、同性愛者のネットユーザーの関心や圧力によって閉鎖された。その後このサイトは再びオープンしたけれども、同性愛者がもう一度圧力をかけ、また閉鎖させた。

6.四川大地震後、同性愛者の献血の話題がメディアの関心を集めた原文
 5月12日、四川地区で大地震が起き、大量の負傷者への輸血が必要になったため、血液が不足した。同性愛者の献血が話題になり、同性愛者グループの内部でも多くの討論がなされ、若干のメディアの関心を引いた。
 6月2日、インドの英字紙Daily News & Analysisの記事“No gay blood in quake aid”(2008/06/02)は、以下のように伝えた。中国のレズビアン雑誌《Les+》は、多くのレズビアンが献血をしようとしたのに、「同性愛者はエイズのハイリスクグループだ」という理由によって、珍しいタイプの血液の人さえも献血を拒否されたこと伝えた。北京のレズビアングループ「同語」は、性的指向を理由として献血を拒否する規定を改めることを呼びかけた。《Les+》は、レズビアンはけっして感染のハイリスクグループではなく、エイズウイルスやB型肝炎を含めて、ローリスクグループであることを指摘した。この問題に関してはネットで議論になり、同性愛者の献血禁止については賛否両論が出たが、ある人は「血液の安全を保証するには、厳格な血液検査がカギである。」「それなしに献血を禁止するのは、同性愛者に対する差別である」と述べた。

7.オーストラリアの飛び込みの金メダリストのマシュー・ミッチャムが、北京オリンピックの前にカミングアウト原文)。
 5月24日。→Gay Japan Newsの記事「オーストラリア代表選手、ゲイであることを公表して北京五輪へ」(2008/07/15)参照。

8.2008年の最も悲しい人物、エイズ患者の曉陽を救え、青春を救え原文
 7月、北京で1人で働いていた23歳の曉陽がエイズに感染した。淡藍網の報道によって社会の関心が集まり、社会の各界から義援金が寄せられた。8月、曉陽は多臓器不全によって亡くなった。

9.中国クィア独立映画巡回展原文
 北京・上海・成都・広州などを巡回した。北京については、本ブログの記事「北京でクイア映画文化月間および上映会」参照。

10.南京の特大の同性愛売春グループが粉砕される原文
 南京のある男が、5月から、「労働者募集」の名目で20歳前後の少年10人余りを騙して、自分の住み家に連れてきて、むりやり「関係」し、同性に対して売春を強要した。11月に警察が摘発したが、その同性売春所は、多いときには百人近い客が予約し、客の中には教授や省クラスの機関の公務員もいた。

2009年
 (「淡蓝盘点:2009年度中国十大同志新闻」淡藍網2009-12-9)

1.同性愛者の恋人が今年のバレンタインデーに結婚写真を撮って、同性婚姻をアピール
 2月14日。→本ブログの記事「バレンタインデーに北京の街頭で同性婚の記念写真を撮影してアピール」参照。

2.李銀河が、趙本山の春の夕べの出し物は同性の恋人たちを侮辱していると批判原文
 2月10日、李銀河が、趙本山の作品「不差銭」のセリフの中の「尻精」という言葉について、「尻精は同性愛者の蔑称であり、ゲイのある種の性交の方式を暗示していることが起源かもしれない。受け手の数が億である春の夕べのプログラムの中で、このような粗野な侮り罵りをしてはならない。現在の世界のLGBTの権利の基準に照らすと、同性愛をメディアで公然と罵倒することは、まちがいなく政治的な誤りであり、マイノリティに対する差別である疑いがある」と述べて批判した(李銀河「赵本山的政治错误」[2009-02-10])。それに対して、趙本山の代理人は、ここで言う「尻精」は、「馬尻精(おべっか上手な人、ごますり)」の意味であり、趙は、李銀河の言う意味は知らなかったと述べた(「赵本山否认侮辱同性恋 称李银河误解」)。それに対して、李銀河は、前後の文脈から見て「尻精」は同性愛者の意味だと読めるので、まさか趙がその意味を知らなかったとは思わなかったと述べ(李銀河「不知者不为罪」[2009-02-14])……と議論は続きました。

 淡藍コメント:趙本山に本当に同性愛者を侮辱する意図があったかどうかはともかく、「尻精」はたしかに文明的ではない。メディアの後押しの下、ネットユーザーは一方的に趙を支持し、李銀河教授はいささか孤独だった。

3.広州の警察が人民公園の中の同性愛者を追い出した原文
 広州の人民公園はゲイが集う場になっていたが、8月25日の夕方、この公園にいた50名ほどのゲイを、警察が追い払おうとしたところ、言い争いになったが、双方とも平和的な態度をとり、最後には警察が退いた。

 淡藍コメント:「人民公園は人民のものだ。なぜ同性愛者が来れないのか?」という質問が広州市広衛派出所で出されたとき、警官たちには返す言葉がなかった。中国のセクマイはあまりにも多くの侮りと抑圧を受けた。私たちが必要なのは少しの空間と自由なのに、彼らはそれも剥奪するのか?

 この事件は、8月29日、『中国日報』が、英文で“Homosexuals clash with police in park”(要旨:「《中国日报》报道同性恋者被要求离开广州人民公园而引发的争议」愛白網2009-09-02)と伝え、9月14日、AP通信が“Gay Chinese stand up police sweep of hangout”(中国語訳:「美联社:广州警察驱逐人民公园内的同性恋者」)と伝えた事件です。AP通信によると、それまでは警察がゲイたちに公園からに立ち退くように要求したら、彼らは面倒を避けるために解散していたのが、この日は警察と対峙し、警察が退却したということです。『中国日報』によると、広州に拠点があるゲイ団体のあるボランティアは、「人民公園は、すべての人民に開放されている。なぜ我々がここにいてはいけないのか?」と述べたといいます。

 このニュースはインターネットであっという間に伝えられ、全国の同性愛者の間でホットな話題になりました。ある人は、この事件は「中国社会の自主意識と権利意識の進歩、観念の不断の開放と文明化への趨勢を証明した」と述べました(洪慶明「“公园同志”事件折射中国变化潜流」『羊城晩報』2009年9月17日)。また、ブログ「二人の男の勇気」(彦曉)が選んだ「2009中国同性愛10大事件」(3)は、この事件をトップに挙げ、「『人民の公園は人民のものだ。同性愛はなぜ来れないのか?』 このような詰問が同性愛者と警察との間に発生したとき、世界は真に変わった」と言っています。

4.プライド月間[6月]に、南北が呼応して、多くのセクマイの文化活動が集中的におこなわれた原文
 淡藍コメント:毎年この時期、異国ではレインボーフラッグが高々と翻っている時に、中国の内地のセクマイたちは、ずっと首を長くして自分たちの六色を見ることができるのを待っていた。2009年は……私たちが特に重大で、歴史的意義を持った活動として記憶するのは、「“別・性”中国第1回多元性別芸術展」が北京で開幕し、「上海プライドウィーク」が全世界のメディアの注目を集め、「第4回北京クィア映画祭」が滞りなく閉幕し、第2回中国クィア独立映像巡回展がおこなわれたことである。→本ブログの記事「第1回中国多元性別芸術展開幕」「上海プライドウィーク」「第4回北京クィア映画祭と同映画祭の歴史」参照。

5.《春風沈酔の夜》が国際的に大きな賞を取り、《無声風鈴》が香港・台湾で公開上映された原文
 淡藍コメント:中国では、同性愛を題材にした一切の映画・テレビの作品は禁止されている。韓三平(中国映画集団会長)は、「それは、主流のイデオロギーではない」と述べた。しかし、我々には中国系の大監督のアン・リー(李安)が撮った《断背山(ブロークバック・マウンテン)》がある。大陸の関係機構が封殺したロウ・イエ(婁)が撮った主流の《春風沈酔の夜》は、カンヌで脚本賞を取った。このほか、香港の主流の同性愛映画《無声の風鈴》は、香港・台湾地区で公開上映され、主演の呂玉来は、マドリッド国際レズビアン&ゲイ映画祭で最優秀男優に選ばれた。これらの成績は、みな、「主流の」放送・映画官僚たちは自分のイデオロギーを見つめ直すべきことを示している。
 *《無声風鈴》については、wikipediaの記述[英語]あり。

6.中国が初めて代表団を結成して、コペンハーゲンの第2回世界同性愛運動会[ザ・ワールド・アウトゲームズ]に参加した原文
 淡藍コメント:2009年、中国の同性愛者が自発的に結成した代表団が、デンマークの首都コペンハーゲンに行って、7~8月、第2回ザ・ワールド・アウトゲームズ(World Outgames 2009、ニールセン北村朋子「LGBTの祭典 ザ・ワールド・アウトゲームズがコペンハーゲンで開催」Media Sabor2009/06/18、「コペンハーゲンでゲイのオリンピックが開幕」Gay Life Japan2009年7月28日参照)に参加した。これは、中国のLGBT初の大きな国際的競技会へのデビューである。そこで、李賛東とSean Leeが男子ビーチバレーで中国代表団初の金メダルを獲得した。

7.台湾のLGBTパレードが新記録を作り、香港の反差別デモが関心を集めた原文
 →本ブログの記事「台湾プライドパレード2009に2万5千人」「香港プライドパレード2009に1800人あまり」参照。

8.中国の同性愛者に対するメディアの肯定的な報道が明らかに増えた原文
 淡藍コメント:2009年は、『人民日報』(*)・『中国日報』・『中国新聞周刊』および洪晃が編集する『iLook』などのさまざまな媒体が、同性愛集団に対して肯定的で多面的な報道をした。けれども、相変わらず一部のメディアは、偏見や誤った認識で、珍しいものを漁る(猟奇)とか、魔物化する態度で同性愛集団を報道した。

 (*)淡藍網が言う『人民日報』の報道は、アイスランドの首相にヨハンナ・シグルザルドッティルさんが就任した際、彼女のさまざまな功績を紹介しつつ、「アイスランドの政界が最も歓迎している人物」だと述べた後で、「しかし、シグルザルドッティルが就任後真っ先に国際的メディアの注目を集めたのは、彼女が世界で初めて同性愛者であることを公然と認めた政府の首脳であることである。けれど、アイスランドではとっくに13年前、同性婚を認めており、アイスランド人は、そのことを気にしていない」というもの(要旨)です(「曾濒临“国家破产”境地——冰岛现在怎样了?」『人民日報』2009年2月10日)。この報道について、ある専門家は、「中国の最も権威ある主流の新聞が正面から同性愛者の社会的貢献について報道したものであり、中国社会の変化を反映している」と指摘しています(「《人民日报》正面报道国外同性恋者社会形象」淡藍網)。ただし、国外についての報道にとどまっているという面もあります。 

 最初は「8」は、「作家の劉仰が大放言をし、セクマイは本を引き裂いてボイコットした」でしたが、その後変更されました。

9.大理の政府が出資してゲイバーを作った原文
 →本ブログの記事「大理ゲイバー事件について、現地の同性愛者の人権団体がメディアと政府を批判する声明」参照。興味本位のマスコミの過剰報道などによって開店が遅れましたが、12月19日、ひっそりとですが、無事開店して、満席になったそうです(後日報告します)。

10.同性愛者サイトがエイズ防止の新しい場になったが、ハラスメントが絶えない原文
 淡藍コメント:長年、セクマイのサイトの役割は、セクマイの話題と同様、デリケートで具合が悪いものであり、毎回のインターネットの暴風[取り締まり]の際にいつもひどい損失を被ってきた。これは、セクマイサイトの自律性と関係があり、管理機関のダブル・スタンダードや差別とも関係がある。私たちは2007年のインターネットの厳しい取り締まりの時、上海のあるインターネット警察が電話の中でこう怒鳴ったのを、非常にはっきり覚えている:「同性愛サイトとは何だ? 社会の公徳に背いたサイトだ!! つまり閉鎖すべき範囲内のサイトだ!!」。
 しかし、社会は進歩しつつあり、人々の偏見は変わりつつある。今年5月、中国で初めて政府筋のLGBTサイトが江西で開設された(*)。このほか、テレコムの緑色オンラインが同性愛サイトをスクリーニングしたとき、メディアが次々に注目して報道し、抗議と質問をする中で、同性愛サイトに対するスクリーニングは解除された。
 (*)南昌市疾病控制中心の支持の下設立された「江西同志知己網」を指していると思われます(http://www.jxtzzj.com/、ただし12月24日現在は不通)。
 →本ブログの記事「同性愛サイトに対する攻撃や規制」も参照。

 以上、3年間の10大ニュースを全体として見ると、中国のセクシュアル・マイノリティの人々が、困難な状況の下で、少しずつ新しい動きを作ってきておられることがわかります。

ゲイ中心のニュース選定の傾向があるかも?

 ただし、「淡藍網」の「10大ニュース」は、「淡藍網」が基本的にはゲイサイトであるせいか、「セクシュアル・マイノリティニュース」と言いつつ、四川大地震後の献血の話題を除いて、ニュースの選び方や記述にゲイ中心の傾向があるように思います。

 単純な例を挙げると、北京オリンピックで同性愛者であることを公にした選手は、たしかにゲイではミッチャム1人ですが、レズビアンでは、9人いました(「10人の同性愛者アスリートがカミングアウト <北京オリンピック>」てのる【Gay】タイムズ2008/08/19)。また、レズビアンにも目配りをするならば、2007年から2009年にかけて行われた、女性の同性愛者・バイセクシュアルに対するDVの調査プロジェクト(本ブログの記事「女性の同性愛者やバイセクシュアルに対するDV調査プロジェクトはじまる」、「レズビアンのための反DVハンドブック刊行」参照)や中国大陸初のレズビアン民間フォーラムである2009年11月の「レズビアン発展フォーラム」(4)も、10大ニュースの中に入れてもいいのではないかと思います。やはりゲイの活動に比べて、レズビアンの活動はマイナーなのでしょうか?

 また、トランスジェンダーを視野に入れるならば、2009年11月の「性転換手術技術管理規範(試行)」の制定は、10大ニュースから落とすべきではないでしょう。

 さらに、ゲイに関しても、2009年3、4月のゲイの妻の会の結成やその共同声明(本ブログの記事「『同性愛者の妻の会』開催、『同性愛者の妻の共同声明』発表」参照)のような事件も重視されてもよいように思います。実際、ゲイブログでも、先ほど触れたブログ「二人の男の勇気」は、「2009中国同性愛10大事件」の4番目にこれを選んでいますし……(もっとも、ブログ「二人の男の勇気」の方は、台湾や香港の事件を10大事件の中に入れていないので、その分、国内の事件を多く選んでいるという違いのためかもしれませんが)。

(1)2000年に創設された中国の大陸で最も影響力がある「同志」のブログ。ただし、実質的にはゲイ中心。広告などはすべてゲイ向け。
(2)「同志」という言葉は、「同語」が作成した『同性恋ABC 関于性別和性傾向的基本知識与問答(同性愛ABC ジェンダーと性的指向に関する基本的知識と問答)』(PDFファイル)に収録された「同性愛小辞典」によると、「男女の同性愛、バイセクシュアル、トランスジェンダーの人々の別称。香港の監督の林奕華によって1989年に初めて使用が唱えられ、『志同道合(志と信念を同じくする)』を意味し、それによって社会の『同性愛』のスティグマ化に対抗する」と説明してあります。この記述から見ると、「LGBT」が適訳のように思います。しかし、その一方、「同志」という言葉について、「実質的には、男性の同性愛者の表象である」という指摘もあります(本ブログの記事「女性の同性愛者・バイセクシュアルの状況調査」でも取り上げた、「《2008女同性恋・双性恋生存状況調査報告》(徴求意見稿)」の指摘)。だとすると、いっそのこと「ゲイニュース」と訳してしまう方法もあるでしょう。しかし、この10大ニュースの場合、レズビアンなどへの言及はあるので、「ゲイニュース」と訳すと訳しすぎになると思います。けれど、後で述べるように、少なくともトランスジェンダーを視野に入れているとは思えないので、「LGBTニュース」と訳すのも、無理があると思います。ですから、より漠然と、「セクシュアル・マイノリティニュース」と訳してみました。
(3)ブログ「2人の男の勇気(两个男人的勇气)」で発表された「2009中国同性愛10大事件2009中国同性恋十大事件)(2009-12-08)」は、以下とのおりです。10件うち、5件までは、淡藍網と共通の事件を選んでいます。
1(=淡藍網の3).広州人民公園事件
2(=淡藍網の1).北京で同性愛者の結婚衣装が前門に登場した
3.深圳で10人のゲイが逮捕されたが、その中の1人はあくまで頭を下げなかった

 →9月10日、深圳の警察が、「同性売春」の疑いで、ある同性愛者の集会所の10名の男性を逮捕したところ(実際は、彼らはトランプをしていただけだった)、9名の容疑者はうつむいて何も言わなかったが、1人は「罪を犯していないのに、なぜ頭を下げなければならないのか」と言って警察と対峙した。
4.悲惨で痛ましいゲイの妻が水面に浮かび出た
 →「ゲイの妻の訴えを読むたびに、私たちの心は格別に痛み、無辜の人を傷つけない決心をいっそう固めた」
5.同性愛ブログが「3.15」偽物取り締まりにあう
 (→この事件については、よくわかりません)
6(≒淡藍網の8).同性愛の報道で、中国のメディアが両極に分化
 →セクマイに友好的なのは、『中国日報』『I LOOK』。多くの地方メディア(都市報が主)は相変わらず猟奇的。
7.偽学者が形を変えて宣伝し、セクマイグループを激怒させた
 (→この事件についても、よくわかりません)
8(=淡藍網の9).大理同性愛バーの騒動
9(=淡藍網の6).中国のセクマイが世界に向かって進む
10.両岸三地[=大陸、台湾、香港]のセクマイが大融合──統一は、セクマイから始まる

 →台北や香港だけでなく、上海でもプライドパレードがおこなわれた(これは事実誤認。「上海プライドウィーク」のことを指しているのであろうが、デモはおこなわれていない)。これらの活動の参加者は現地の者だけでなく、両岸三地の者が参加した。
(4)2009女同发展论坛公告与征集」北京拉拉沙龍HP2009年9月21日、「2009女同发展论坛暨北京拉拉沙龙五周年」北京拉拉沙龍HP2009年11月14日参照。
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銀川市のDV条例の、結婚していない同居者間への適用条項、草案から削除

 中国の婚姻法やその最高人民法院の司法解釈では、婚姻法の中のDV[家庭暴力]禁止条項が適用されるのは、法律上の夫婦間に限定されています。

 しかし、今年8月、寧夏回族自治区の銀川市が出した「銀川市家庭内暴力予防・制止条例[銀川市家庭暴力預防和制止条例]」の草案は、「夫婦の名義で共同で生活している、結婚していない同棲[同居]者の間でおこなわれた暴力行為に対しては、本条例を参照して執行する」(第21条)と規定していました(1)。つまり、「夫婦の名義で共同で生活している」という限定付きではありますが、結婚していない同棲者間の暴力にも適用を広げるものでした。

 ですから、この条項は注目を集め、いくつもの新聞が記事にしました(2)。『莫愁・智慧女性』誌による「2009中国十大ジェンダー事件」では、十大事件の一つにこの条項を選んだほどです(3)

 けれども、11月19日、寧夏回族自治区の人民代表大会の常務委員会がこの条例を承認[批准]した際(4)、同常務委員会は、「『婚姻法』の原則上同棲を保護しないという立法の精神にもとる」という理由で、上の条項を削除するよう銀川市に提案し、この条項は削除されました(11月26日に公布された条例の全文は、これ→「银川市预防和制止家庭暴力条例」です。2010年1月1日から施行されます(5))。

 この条項が削除されたことについて、長い間、DVに関心を持ってきた法学者たちは「非常に遺憾だ」「あまりにも惜しい」と言いました。北京大学法学院女性法律研究・サービスセンター副主任の李瑩さんは「同棲暴力も、家庭暴力も、親密な関係の者の間で発生するものであり、比較的普遍的でありつつも、比較的隠蔽されており、証拠を取ったり、立証するのが難しいなどの難題が存在しているので、専門の法律で特別に予防と制止をするべきである」と述べています(6)

(1)家暴救助110要速出警 银川出台法规预防制止家庭暴力」『銀川晩報』2009年8月6日(人民網より)
(2)非婚同居遭"家暴"也受保护 银川出台法规预防和制止家暴」『法制日報』2009年8月10日。
(3)2009中国十大性别事件」人民網2009年11月20日。
(4)中華人民共和国立法法は、「比較的大きな市の人民代表大会およびその常務委員会は……地方性法規を制定して、省・自治区の人民代表大会の常務委員会に報告して、承認後に施行することができる。省・自治区の人民代表大会の常務委員会は、報告されて承認を申請された地方性法規に対しては、その合法性に対して審査をおこなわなければならず、憲法・法律・行政法規やその省・自治区の地方性法規と抵触していなければ、4ヵ月以内に承認しなければならない」(第63条)と規定しています(中华人民共和国立法法)。
(5)ただし、この条例自体については、たとえば、「市県(区)の民政部門は、救助管理站の付近にDV保護センターを付設して、救助が必要なDV被害者に臨時の救助を提供しなければならない」(第8条)と定めるなど、現在の中国の地方性法規としては、先進的な部類に入るものだと思います。だからこそ、そうした他の点もメディアにも注目されていますし(「银川出台法规构建防控家暴体系 区县设家暴庇护中心」『法制日報』2009年11月23日や上記の注(1)の記事)、そうした条例だからこそ、草案段階では、結婚していない同居者にも適用を広げるような条項もあったのだと思います。
(6)银川反家暴新规获批 “同居暴力”未被归为家庭暴力」新華網2009-11-28(稿件来源:新華毎日電訊2版)
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2009年度「中国10大セックス/ジェンダー事件批評」

 昨年12月、全国各地の青年学者14名が、2008年に起きたセックス/ジェンダーに関する10大ニュースを選びました。ニュースの選定に当たっては、単に話題になった事件を選ぶのではなく、性の権利やジェンダー平等の理念を推進するという観点から選び、それゆえ、コメントも付けました(本ブログの記事「2008年『中国10大セックス/ジェンダー事件』」)。

 今月10日、その第2回目として、2009年の「10大事件」が発表されました。コメントを重視していることを明確にするためか、今年は、「批評[評点]」という語句を加えて、第2回(2009年度)「中国10大セックス/ジェンダー事件批評」という名称にしています(第二届(2009)年度“評点中国10大性/性別事件”結果公告)。

 また、今年は、この活動が「北京林業大学 性と性別(セックスとジェンダー)研究所」と「北京ジェンダー青年関与ネットワーク」(1)の主宰によるもので、方剛さん(北京林業大学人文学院心理学系副教授)が発起人・召集者であることが述べられています。

 また、ニュースを選定するメンバーとして、新たに、陳亜亜(上海社会科学院文学研究所研究員、サイト「女権在線」責任者、フェミニスト)、高燕寧(復旦大学公共衛生学院教授、エイズ研究センター副主任。主にエイズ制圧、性とジェンダーの面の健康社会科学の研究に従事)のお二人が入って、合計16名の中・青年の学者によって選ばれました。他の14名は昨年と同じで、以下のとおりです(私にはよくわからない概念もありますが……)。
 方剛
 趙合俊(中華女子学院法律系副教授。性と人権理論、性の法律研究に従事し、人権と法律の視点に重点)
 張玉霞(新疆大学人文学院教師。ジェンダー研究に携わり、大衆メディアに重点)
 胡曉紅(東北師範大学国際関係学院副教授。ジェンダー研究に携わり、公共政策とジェンダー教育の視点に重点)
 黄燦(独立のセクソロジスト、芸術家。主に女陰文化と妓女問題の研究に携わる)
 李扁(中国青少年エイズ防止教育プロジェクト発起人、中国青年性学フォーラム召集人。主に性教育、エイズ防止教育活動に携わる)
 彭濤(ハルピン医科大学公共衛生学院副教授、ハルピン医科大学性健康・教育センター副主任。性の健康の研究と教育に携わる)
 裴諭新(女性研究博士、中山大学社会学・ソーシャルワーク系講師。研究方向は性・ジェンダー・女性研究で、社会的変化の状況における女性の性選択と生活の政治に関心を持つ)
 沈奕斐(復旦大学社会学系教師、復旦大学ジェンダーと発展研究センター副秘書長。研究方向は、ジェンダーと家族)
 徐兆寿(西北師範大学副教授、作家。主に性文学、性文化、中国伝統文化の研究に携わる)
 楊柳(社会学博士、上海政法学院教師。主に性・ジェンダー、女性研究、婚姻家族の面の研究に携わる)
 遠小近(薄叢)(美術学博士、中央美術学院人文学院美術史系美術理論教研室主任、副教授。人体文化観念と性美学を研究)
 張敬婕(中国メディア大学メディアと女性研究センター。メディアとジェンダー、文化の研究と教育に力を入れる)
 張静(中華女子学院教師、ソーシャルワーカー。青少年の心理健康教育と相談、親子関係指導、青少年の性教育研究に携わる)

 以下で紹介するのは、多くはおおざっぱな抄訳であり、項目によっては略したり、ごく簡単にまとめたりしています。

1.広東がトイレの女子便器の数を男子便器の数より多くすると規定

 事件:広東で改正された「広東省未成年者保護条例」が2009年1月1日から施行された。この条例には、次のような注目すべき規定があった:学校の公共トイレなどの施設の建設・配置・使用においては、未成年の女子学生の生理的特徴に配慮しなければならず、女子トイレの一人当たりの実際の使用便器数は、男子トイレの便器数より多くしなければならない。→本ブログの記事「学校の女子トイレの便器の数を男子トイレよりも多くする規定」(追記あり)参照。

 コメント:男と女のトイレの空間は、表面的には「平等」であるが、男女の生理的特徴の違いによって、実際に使用する際には不平等な差異が現れる。いったい何が、政策決定や設計に参与する人に、どこでも見られる、女性がトイレで作っている長い列に対して、見て見ぬふり、知っていて知らないふりをさせているのか? フェミニズムの視点から見れば、女性トイレの使用空間の欠乏は、旧い時代に女性が公共空間に席を占めていなかったことに起源があるとともに、今日、公共政策の制定者がジェンダー視点が欠けている現れでもある。この点から言えば、広東の新しく改正された条例は、ジェンダーの敏感度を増し、ジェンダー平等の理念を普及する面において特に重要な貢献と意義がある。同時に、そのことは、私たちに、性の多元性の理念にもとづいて、同性愛者やトランスジェンダーなどのセクシュアル・マイノリティのトイレ使用の問題に関心を持つべきことを示唆している。(陳亜亜執筆)

2.画家の父親が女児をヌードモデルにして「人倫を乱す[乱倫]」と非難される

 事件:1月初め、23歳の李勤が、61歳の父親の李壮平のためにヌードモデルになったというニュースが大きな議論を引き起こした。→サーチナの記事「『父親のために娘がヌードモデル』で賛否両論―四川」2009/01/20参照。

 コメント:この事件は、社会の転換の時期の倫理観念の衝突に関わる。同じように娘の裸体を見ても、大衆が数千年の「男女のおきて」「直接に物のやりとりをしない」という伝統から見れば、当然「人倫を乱す」と見なされる。しかし、芸術家が美の角度から見たり、医者が病理の角度から見れば、美や病しか見えない。純粋の審美対象と芸術表現の客体としてのヌードモデルは、性行為とは関係がなく、まして「倫理の乱れ」とは関係がない。(李扁執筆)

3.「家庭の破綻は、愛人に賠償を請求できる」という議案が論争を引き起こす

 事件:3月の全国人民代表大会と全国政治協商会議で、ある代表が「家庭の破綻は、愛人に賠償を請求できる」という議案を提出した(2)。提案者は、この議案は、婚外の性関係の発生と蔓延をくい止めるうえで有利だと述べた。この議案は、インターネットで議論になり、支持者は「婚姻、とくに女性の権益を保護できる」と主張し、反対者は「この提案は、愛人の破壊行為を『合法化する』に等しい」と主張した。

 コメント:この議案の実質は、法律によって認可された婚姻関係が動揺すべからざるものであることを守り、愛情・性・婚姻に対する個人の決定権を取り締まろうとするものであり、本質的には、性と婚姻の主流の価値観に基づいて公権力が私権に干渉することによって、個人の人権を剥奪する行為である。この議案は、現代の法治の精神に違背しており、婚姻制度が過失離婚から無過失離婚にすでに転換したことを無視していて、歴史の潮流に逆行している。(趙合俊執筆)

4.幼女買春事件および幼女買春罪廃止の論争

 (略)→本ブログの記事「女児に対する性侵害事件と法律問題」参照。

5.強姦に関連した一連の事件が反思[過去を振り返って改めて考えること]を引き起こす

 玉嬌事件:5月10日、湖北省巴東県野三関鎮政府の企業誘致事務局の主任の貴大などの人が「特殊なサービス」を強要して、女性服務員の玉嬌に刺殺された。一方は役所の人間で、一方は庶民という全く異なる身分であったことによって、この事件は普通の刑事事件であることを超えて、政治的事件・社会的事件になり、メディアと大衆の広範な関心を集めた。検察院は「過剰防衛」で起訴し、裁判所の判決では、刑事責任を追究しなかった。→本ブログの記事「玉嬌事件をめぐって」「玉嬌事件の判決をめぐって」も参照。

 浙江南潯の「臨時性強姦」事件:6月10日夜、派出所の2人の補助警察官が、ホテルで女性が酒に酔って人事不省でいるのに乗じて強姦した。裁判所は、2人がしたのは「臨時のとっさの犯罪」であり、事前に相談もなく、自首しているので、軽めに処罰するとして、懲役3年の判決を下した。10月30日、あるネットユーザーが、[皮肉って]「『臨時性強姦』、また新しい名詞が誕生したことを祝う」(“临时性强奸”,祝贺又一新名词诞生了)という書き込みをしたところ、1時間で数十万クリックを記録し、ネットで激しい議論になった。→サーチナの記事「【中国の検索ワード】性的暴行が『とっさ』の一言で大減刑、ネット上猛反発」参照。

 コメント:玉嬌事件と浙江南潯の「臨時性強姦」事件は、ともに、強姦自体を越えて、階層・身分・権力などの要素が入り交じっている。だからこそ、類似の事件がこれまで引き起こさなかった反響と巨大な論争を引き起こしたのである。2つの報道自身について言えば、被害を受けた女性の立場に立って、現在の社会文化と法律施行における偏頗さとパラドックスを浮かび上がらせ、ジェンダー公正な生態の起点を構築した。ある意味で、玉嬌事件は、公民社会建設・公民参与のモデルたりうるかもしれない。(張敬婕執筆)

6.インターネットの色情が粛正され、多くのサイトが閉鎖される

 事件:去年末から、インターネットの色情を粛正する活動が全国で展開され、一度は「グリーンダム」によって、公民が「色情」情報を得ることを禁止する規定が出されたが、民衆の強烈な反発によって、うやむやになった。6月23日、中国の衛生部は「インターネット医療保健情報サービス管理規則[互聯網医療保健信息服務管理辨法(衛生部令第66号)]」を公布した(→本ブログの記事「インターネット上の性科学の情報を統制する規則」参照)。年末まで、大規模なインターネットの「ポルノ一掃[掃黄]」が激しい勢いですすんで、多くのサイトが閉鎖された。

 コメント:インターネットの「ポルノ一掃」に関しては、ずっと論争が存在してきた。「ポルノ」の基準をどのように決めるか? 公民は「ポルノ」情報を得る権利があるか? 「ポルノ」情報の全部が有害か? 政府は公権力によって詩人の情報獲得権に干渉すべきか? 「青少年を保護する」という名目で、その他の公民の情報獲得権を剥奪できるか? これらは、みな深く検討する必要がある。現代社会においては、公民の性の健康の権利は保護されなければならず、この目的を達する前提は、公権力が、公民が性の健康の情報を獲得でき、到達できることを保障することである。(彭濤執筆)
 →本文やコメントでは同性愛については直接言及されていませんが、本ブログの記事「同性愛サイトに対する攻撃や規制」も関係あります。

7.「エイズ女」事件

 事件:9~10月、インターネットに、河北保定の閻徳利が北京の朝陽区でホステスをして、エイズに感染したことを述べるブログが出現した。閻の署名入りのブログには、400余りの性愛の写真とビデオ、279人の買春客の携帯電話の番号が掲載され、「彼らの大多数はエイズに感染していると思う」と書かれていた。10月18日、閻が警察に事件を届け出て、彼女がエイズであることは完全な捏造であることが明らかになった。10月21日、事件を起こした楊某が逮捕された。彼は、ガールフレンドの閻に別れを告げられて、その報復をしたのだった。「買春客」の電話番号は、閻の携帯電話の記録であり、この事件を捏造した目的は、閻特利をやっつけて、彼女が嫁に行けないようにすることだった。→「『エイズ復讐事件』の女性、元彼による捏造/中国」中央日報2009.10.29

 コメント:真相が明らかになる前は、インターネットは閻特利に対する罵倒の声に満ちていた。「変態」「無恥」「憎むべき妓女」という罵倒からは、エイズウイルス感染者およびセックスワーカーに対する公衆の恨みと敵視がふたたび余すところなく暴露され、病人に対して持つべき思いやりの気持ちはまったくなかった。「偽エイズ」は、私たちの「本当の差別」を暴露した。その点が、この事件が私たちに与えた最大の警鐘である。この過程で、メディアは、真相には関心が薄く、プライバシーに対するのぞき見をおこなった。同時に、この事件は、伝統的性文化が男性の内心に残した、女性に対する「独占」の病的欲望と女性を敵視・報復する暗い心理を反映している。(黄燦執筆)

8.鄭州で逮捕された売春女性の裸の写真が公表されたことが論争を引き起こす

 事件:10月28日夜、鄭州で集中的にエロと賭博の取り締まりがおこなわれた。この取り締まりについての報道の中で、ある男が全裸の「小姐」の頭髪を掴んで顔を上げさせている写真があった。公衆は、人格の尊厳や公民のプライバシーなどの観点から、セックス産業に従事している「小姐」たちに対して同情を寄せるとともに、法律執行の過程での写真撮影の強制や裸の写真の公表に対して疑問を呈した。

 コメント:個人の肖像権、プライバシー、名誉権、基本的人権の尊重は、彼が主流の社会によってスティグマ化された職業についているからといって、剥奪されてはならない。政府の公職についている人は、彼らに対して「文明的な法律執行」をしなければならず、彼らの基本的人権は保護されなければならない。私たちは同時に、社会全体が公民のプライバシーの保護を強化し、インターネットとその他のメディアの報道においてジェンダー平等と人格の尊重が保持されなければならないと主張する。(張静執筆)

9.衛生部が性転換手術の規定を出す

 事件:11月、衛生部は「性転換手術技術管理規範」を制定した(「衛生部弁公庁関于印発《変性手術技術管理規範(試行)》的通知」衛弁医政発[2009]185号、「変性手術技術管理規範(試行)」[ワードファイル])。性転換手術を申請する人に対して、「規範」は、性転換前の患者は以下の条件を満たさなければならないと規定した。
 ・性転換に対する希望が少なくとも5年以上持続していて、変わっていないこと。
 ・手術前に心理的・精神的治療を少なくとも1年間受け、かつその効果がなかったこと。
 ・結婚している状態にないこと。
 ・年齢が20歳以上であり、完全な民事行為能力を持っていること。
 ・精神科医が出した、性同一性障害[易性癖]の診断証明。同時にその他の精神状態の異常が見られないことの証明。
 ・心理学者のテストによって、その心理上の性的指向が異性を指向しており、その他の心理的変態がないことの証明。
 などなど。
 →本ブログの記事「『性転換手術技術管理規範(意見募集稿)』をめぐって」、「『性転換手術技術管理規範(試行)』制定」も参照。

 コメント:現代のセクソロジーの理念によれば、性転換を欲する者は「トランスジェンダー[跨性別]」であって、彼らは、男や女と同様の人間である。「規範」が手術をする機構の資格を限定したことは、手術の質を保証するのに有利である。しかし、性転換を欲する者に対する上述の規定からは、セクシュアル・マイノリティが依然として疾病化・変態化・スティグマ化された状態に置かれていて、彼らが自分の生活を決定する権利は、依然として苛酷に制限されていることがわかる。たとえば年齢と性転換要求と「治療」期間に関する規定は、性転換を欲する者に、最も性転換手術に適した黄金期を取り逃がさせる可能性がある。また、性的指向に関する規定は、性の多元性を無視し、性転換を欲する者にも多様性──性転換後の同性愛者を含めて──があることを無視している。本質的には、依然として異性愛の男女を二分した思考の現れなのである。(方剛執筆)

10.学校の一連の「ゲート[門]」事件

 事件:2008年の「艶照門(香港での女優や歌手の裸像のネット流出事件)」事件の後、2009年にあいついで「ゲート」事件が起こり、メディアと大衆の関心を引いた。
 (1)胸を揉む事件(摸奶門):6月末、ネットに、ある高級中学の男子生徒たちが、女子生徒の露出された胸を揉んでいる動画が流れた。
 (2)試験事件(考試門):8月、中央音楽学院で、博士課程の指導教員が、学生と肉体関係を持ち、かつ収賄をした。
 (3)セックス事件(做愛門):男女の生徒が窓のところでセックスしているビデオがネットに流れた。
 (4)教師と生徒の事件(師生門):ある初級中学の生徒が、自分と教師の親密な写真をネットに公表した。
 (5)暴行事件(強暴門):制服を着た女子生徒が、数名の男子生徒に地面に押さえ付けられて、無理やりズボンを脱がされているビデオが流れた。

 コメント:これらの事件は、正規の学校教育制度における性やジェンダーの教育の欠如、大衆メディアの文脈において性がスティグマ化して処理されていること、青少年の性に対する追求、集団的盗視行為の蔓延の相互作用の下に出現した一系列の奇形事件である。これに対して、伝統的なジェンダー観念の下で形成された不寛容な性道徳感から出発して道徳的評価をすることは、問題をなんら解決しない。性行為をめぐる多くの社会的関係――男/女、教師/生徒、世論/個人、公共空間/私人空間などは、必ず権力関係や複雑な交差性が存在している。私たちは、学校で、人間性に合致した情報、性の自由な選択件とプライバシー、性行為と性道徳、婚姻と家庭などの内容の総合的教育を強力に推進し、青年集団に積極的にジェンダー平等と発展の過程に参与させて、調和的な学校と社会を構築することを主張する。(張玉露執筆)

 「2009年中国10大セックス/ジェンダー事件批評」は、だいたい以上のような内容です。

 名前のとおり、一般的なジェンダーに関するニュースではなく、セクシュアリティの問題が重視されていることや、「個」を重視した、ある意味ラディカルなコメントが多いことが特色かと思います。

 先月には、江蘇省婦連の『莫愁・智慧女性』編集部による「2009中国十大ジェンダー事件」(2009中国十大性别事件(3)も発表されているのですが、それと比較すると、そうした特徴が明確なように思います。たとえば、どちらの「十大事件」も、上の3の「家庭の破綻は、愛人に賠償を請求できる」という議案を取り上げているのですが、『莫愁・智慧女性』のほうのコメントは、「現在……離婚の男女双方に対する危険コストが非常に異なる。それゆえ、弱者集団に対する関心に基づいて、『婚姻法』の女性に対する保護をもっと完全な規定にしなければならない。本提案は、女性だけに対するものではないけれども、多くの女性に恩恵を及ぼしうる」と述べて、馬さんの提案を評価しています(4)

 また、この「2009年中国10大セックス/ジェンダー事件批評」の場合、1~10の項目のそれぞれに、個人の執筆者名が書いてあるわけですが、個人によるスタンスの違い、たとえば、個人の性の自由や権利を重視する観点と男女平等を重視する観点とのズレのようなもののもあるだろうな、ということを思ったりいたします。

(1)北京ジェンダー青年関与ネットワーク(北京社会性别青年干预网络、gender-sensitive intervention of Beijing youth association)とは、2009年11月に発足した団体で、北京のジェンダー研究と行動関与にたずさわる青年の中核的な人材を広く集めたものだそうです(「北京社会性别青年干预网络简介」NGO発展交流網2009-12-11)
(2)復旦大学脳科学研究院院長・馬蘭さんによる提案(「全国人大代表建议家庭破裂可以向“小三”索赔」『東方早報』2009年3月12日[捜狐新聞より]など参照)。
(3)以下の10のニュースです。
 (1)婚姻が破綻したら愛人に賠償を求めることができる。
 (2)男女の同年齢の定年は、理想の定年モデルか? →「婦女権益保障法」の北京市の施行規則をめぐる議論の話。本ブログの記事の「女性幹部・女性知識人の定年の男女平等化に強い抵抗」参照。
 (3)玉嬌事件:法律と民意が共に勝ったのか?
 (4)職場の性差別は依然として深刻である。→本ブログの記事の「職場の性差別についての調査報告」の話です。
 (5)嫁に出た女性の権益の保護は厳重な包囲を突破した。→本ブログの記事の「仏山市南海区政府が農村の『出嫁女』の土地権益問題を解決」参照。
 (6)「女性幸福指数報告」が初めて女性の困惑に直面した。
 (7)非婚の同居が「DV」にあっても、保護されなければならない→銀川市家庭内暴力予防・制止条例の話です。全文が発表され次第、本ブログでも取り上げたいと思います。
 (8)劉徳華が結婚を隠していた内幕
 (9)北京の立法が「下ネタ」をセクハラにした。→これも、「婦女権益保障法」の北京市の施行規則の話です。
 (10)三軍の女性兵士がはじめて国慶節の閲兵に姿を現した。
(4)もちろん世論も分かれていて、捜狐サイトによる討論では、提案に対して、賛成意見10412、反対意見7719人でした(家庭破裂向小三索赔有失公平?)。
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トランスジェンダーのセックスワーカーに関する調査

 今年、北京愛知行研究所(マイノリティのエイズ防止や人権擁護に取り組んでいる民間団体)が、「北京市トランスジェンダーセックスサービス者現状調査研究報告(北京市跨性別性服務者現状調査研究報告[ワードファイル])」を出しました。

 この調査は、2008年12月から2009年1月にかけて、北京市の50名の男性から女性への(MtF)トラスンジェンダーのセックスワーカーにアンケート調査や健康診断をおこない、一部の人にはインタビューもしたものです。

 目的は、次の4つでした。
 1.北京市の男から女へのトラスンジェンダーのセックスワーカーの健康の状況と生活の現状を知る。
 2.~の公共安全の状況と社会的ニーズを知る。
 3.~のエイズに関係する知識の状況を知る。
 4.トランスジェンダーの人々の社会的サービスの保障、法律的サポート、人権の問題を解決するためのよりどころを提供する。

 その内容の一部を紹介します。

(一)アンケート調査の結果

1.調査対象者の状況

 ・年齢―35歳以下:80%
 ・戸籍―北京:20%、他省:80%
 ・学歴―小学:6%、初級中学:22%、高級中学・中等専門学校:48%、大学・単科大学以上:24%。
 ・性転換手術―した:6%、していない:94%

2.アイデンティティ

 ・自分を心理的に女性だと思っている…80%
 ・女性の服を着ている時間…ほとんど着ない:8%、仕事のときだけ:36%、仕事のとき以外に家でも:54%、ほとんどの時間着ている:2%。

3.仕事の状況

(1)仕事の場所
 街頭に立って性のサービス…42.0%
 公演をして性のサービス…20.0%
 街頭と公演の両方で性のサービス…32.0%

(2)月収
 1000元以下……26%
 1001─2000元…40%
 2001─3000元…14%
 3001─4000元…12%
 4001元─……… 8%

4.疾病の知識と健康の状況

 ・エイズの感染経路に関する問いは、みな正解が80%以上。
 ・最近1年間に健康診断を受けたことがない…48.0%
 ・一番最近の肛門性交でコンドームを使った…72.0%

5.生活の状況

 自分の現在の生活は?
 ・幸福/満足………………24.0%
 ・ふつう …………………18.0%
 ・プレッシャー[圧力]が大きい/疲れる…56.0%
 ・どうしようもない/しょうがない…38.0%
 ・孤独 ……………………30.0%

 男性と家庭を持ちたい…60%

6.婚姻の状況

 結婚している…9人(18%)
 →結婚した理由…「父母と家族のため」7人、「本当に愛した」2人
 →今の妻に対して…「形式上の関係にすぎない」3人、「何も感じない」2人、「妻に申し訳ない」7人、「妻が嫌だ」1人
 →今の家庭について…「離婚したい」9人(全員)、「プレッシャー[圧力]が非常に大きい」6人、「離婚したいが、各方面の条件でできない」4人

7.公共の安全と社会的支持の状況

 警察に逮捕されたことがある…10人(20%)
 →それらの人が、警官にされたことがある事項……口汚く罵られた:5人、脅された:7人、殴られた:2人、強請られた:2人、セクハラされた:1人
 →結果…拘留:5人、罰金:2人、何もされずに釈放:3人

 客にされたことがあること
 ・金を払ってくれなかった(or足りなかった)ことがある…44%
 ・罵られたことがある…22%

 社会・公衆に対する希望
 「平等に扱ってほしい」76%
 「自分たちのためにモノを言う組織をもっと多く」56%
 「あれこれ批評やあら捜しをしないでほしい」54%
 「もっと私たちの空間を」52%

 受けたいサービス/援助
 「性病/エイズの知識宣伝教育」74%
 「リプロダクティブヘルスの疾病の診療」72%
 「心理相談」70%
 「法律知識訓練/援助」66%

(二)健康診断の結果

 前立腺炎…56%
 B型肝炎…28%
 HIV検査が陽性…10%
 梅毒の検査で陽性…16%(梅毒については、20人中の比率)

(三)インタビュー(5人に対してだけおこなった)

 カミングアウト──1人だけが自分がトランスジェンダーであることを父母に言っており、他の人は、非常に親密な友人にしか言っていない。

 街頭での客──大多数は、出稼ぎ労働者や小商人。夏は多く、冬は少ない。

 仕事や生活の上の困難
 (1)警察に捕まるのが怖くて、安全感がない。
 (2)社会的に受け入れられず、公衆に理解されないので、自分の身分を隠さざるをえない。こういう生活は疲れる。
 (3)法律的知識が非常に乏しく、出会った困難をどのように解決すればいいかわからない。
 (4)客が殴ったり罵ったり、金を払わないなどの暴力行為をすることがある。
 (5)自分の体の状況が心配だ。

検討

1.健康の状況は、楽観が許されない
 その原因は、(1)定期的に健康診断を受けることができていない、(2)大多数の人は経済的状況が比較的悪いので、十分治療を受けられれない。

2.アイデンティティが人と異なっており、ひどい社会的差別が存在している
 80%は心理的に女性だが、特殊な場合にしか、女性という身分で立ち現れることができない。すべての時間、女性として立ち現れることができるのはごく少数であり、大部分の人は心理的に非常に抑圧と矛盾を感じている。また、一部の人は自卑的感情が強く、自ら他の人より格が落ちると思っており、自分のことを不正常だと考えている人もいる。
 社会的差別が深刻で、学校でも仕事の場でも差別・排斥されており、多くの人は彼らを不正常だと思っている。

3.家庭生活のプレッシャー(圧力)が大きい
 結婚している人は離婚したいと思っているが、さまざまな理由によって離婚できないので、苦痛である。未婚の人の大多数は男性と家庭を持ちたいと思っているが、わが国の現在の婚姻関係の法律ではそうはできない。

4.公共安全の状況が憂慮され、社会的サポートが欠けている
 仕事の環境が悪く、毎日警察に捕まることを恐れており、いったん捕まると、大多数の人は警察に脅されたり、罵られたり、殴られたりしている。けれど、法律的知識が乏しいので、自分に対してなされた若干の行為の正誤に対する判断識別能力に欠けている。
 社会的サポートが欠けており、客の行為で被害にあっても、がまんする。その理由は、一つには、こうしたことは口に出しにくいからであり、もう一つには、信頼できて頼れる友人が少なく、社会的なサポートが欠けているからである。

5.エイズの知識の理解は比較的良好だが、宣伝教育は引き続き強める必要がある
 エイズに関する知識の正答率は比較的高い。しかし、客があくまでコンドームを使わないと主張すれば、使わない。

6.社会的ニーズ
 第一に、社会・公衆がトランスジェンダーに対する理解と支持を強め、平等に扱い、彼らの声を知って、普通の人と同じように理解すること。第二に、エイズ・性病の宣伝教育や性病などの無料の治療や診断、心理相談、研修。法律的知識の研修と法律的援助。

トランスジェンダーのセックスワーカーが直面する問題と提案

1.健康問題
 ①医療保健:トランスジェンダーは、医療団体において偏見と差別を受けている。医療に助けを求めるのが遅れる。②心理的健康:トランスジェンダーの人々専門のサービスをした経験がある心理学の専門家はほとんどいない。トランスジェンダー自身も、援助を求めたがらない。③ホルモン治療:長期のホルモン使用は危険が大きい。また、この療法には限界もある。④性転換手術:多くの人はその複雑性を理解していない、手術費用の高騰、手術後の維持などの問題。
 以上の状況から見て、トランスジェンダーのために活動をしている人と衛生保健を提供する側との橋渡しをしなければならない。

2.就職問題
 一部の人の就職は厳しい。その原因を問うと、彼らは、第一に、学歴が低いこと、第二に、かつて生活と仕事の上でひどい差別を受け、彼らのことを「変態」だという人もいるので、仕事を探すときに心配があると言う。なので、平等に就職の機会を提供し、差別をなくさなければならない。

3.組織と管理の問題
 トランスジェンダーの人々には、統一した組織と管理(健康や就労、医療などの管理を含めて)がない。彼らを組織して、協会のようなものを設立して、トランスジェンダーのために無料の場所を提供して、トランスジェンダーの人々が健康教育や集会・交流・娯楽などの活動をおこなうのが望ましい。

4.関連する知識の研修を増やす
 トランスジェンダーの人々に対しては、疾病やリプロダクティブ・ヘルスの知識の研修が必要である。社会公衆に対しては、トランスジェンダーを理解させる宣伝がきわめて重要である。



トランスジェンダーのセックスワーカーに対するサポート

 以上、「北京市トランスジェンダーセックスサービス者現状調査研究報告」のいくつかの箇所をご紹介しました。中国にも、トランスジェンダーのセックスワーカーをサポートする団体がないわけではありません。ネットに出てくるだけでも、各地で以下のような活動があることがわかります。ただ、広く社会や政治に働きかけるような活動は比較的少ないようですけれども……。

 ・2006年4月、深圳市に、「夕顔情報相談センター[夕顔信息諮詢中心]が設立され、男性セックスワーカーやトランスジェンダーのセックスワーカーに心理的サポートやコミュニティの建設、健康関与、法律的支援などをおこなっています。

 ・2008年2月には、エイズ防止などに取り組んでいる「大連彩虹工作組」が、トランスジェンダーのセックスワーカーやボランティアを主体にして、トランスジェンダーのセックスワーカーに、エイズ防止などの健康関与を始めました(大連彩虹工作組「大連彩虹啓動“跨性別性工作者”健康干預工作」2008-03-03中国紅絲帯網)

 ・北京愛知行研究所の「北京艶陽工作組」は、異性装やトランスジェンダーのセックスワーカーなどに対して働きかけをして、交流会をしたり、コンドームを無理で配布したりしています(北京愛知行研究所2008年度工作報告[ワード])。

 ・2008年10月、雲南省昆明の「トランス中国」が、中国大陸初のトランスジェンダー専門の電話相談を開始しました(水・金の午後時―10時)(“跨越中国”諮詢熱線開通)。

「トランス中国[跨越中国、Trans China]」について

 電話相談を始めた「トランス中国」は、トランスジェンダーのコミュニティの草の根組織です。イギリスの国際エイズ/HIV連合(The International HIV/AIDS Alliance)の援助を受けて設立されました。

 もとの名称は「アジア太平洋セックスワーカーネットワーク・トランスジェンダーネットワーク中国グループ[亜太性工作者網絡/跨性別網絡中国小組]」です。2006年1月、アジア太平洋セックスワーカーネットワーク(APNSW)がタイのパタヤでおこなった「第1回トランスジェンダーセックスワーカー健康と人権ワークショップ(Transgender Sex Workers Health and Human Rights Workshop)」の後に設立されました。その後、2008年1月にタイのチェンマイで開催された「第3回インターナショナル・レズビアン・アンド・ゲイ・アソシエーション(ILGA)アジア地域カンファレンス」で、「トランス中国(中国トランスジェンダー連盟)」と改称し、正式に設立されました。

 「トランス中国」は、トランスジェンダーのコミュニティのエンパワメントや性病・エイズ防止を目的として設立され、トランスジェンダーの人々への相談や援助、性病・エイズ対応能力の向上をおこなってきました。具体的には、2006年以来、政策の主張、コミュニティの建設・交流(QQ群あり)、ピア・エデュケーション、ボランティアの研修、相談や検査、コンドームや潤滑剤の普及、レクリエーション、ホルモン治療や性別再適合手術の情報提供、学術的な調査・研究などをしています。北京などの組織との交流もおこなってきました(以上は、「跨越中国[英文あり←中文と英文とで若干、内容が異なっている]」のページより)。

 なお、上記の「第3回ILGAアジア地域カンファレンス」については、「ゲイ・ジャパン・ニュース」主催の報告会の資料がネットに掲載されています(ILGA-ASIAカンファレンス報告会)。その中の、谷口洋幸さんによる「トランスジェンダー総会報告[PPT]」には、トランス中国のフランクさんの報告「中国のトランスジェンダー~私たちの声を聞いてください~」も収録されています。

 谷口さんの報告によると、フランクさんの報告は、たとえば以下のような点を述べたものだったようで(パワーポイントなので要点だけですが)、興味深いです。
・伝統的な京劇の女形役者、現代芸能の性装アーティスト、人妖(ren yao)
・ゲイ/同性愛とトランスジェンダーの同視⇔HIV/AIDS対策での排除
・タイ人Ladyboyの国外追放、文化省が人妖(ren yao)ショーを禁止(2003)
・TGに対するゲイ/MSMコミュニティの見方:
  異常視、性産業の問題という認識、FtMTGの不可視性
・性産業との関わり:
  性産業は非合法⇔2万人のTGが従事、コンドーム使用率の低さ、劣悪な衛生環境、公権力による暴力・恣意的拘禁の対象

 なお、先日も述べたように、「トランス中国」は、12月3日に「エイズ防止には、差別を解消し、基本的人権を守ることが必要である――雲南の同性愛者健康権益組織の大理同性愛バー事件に対する意見」を出した団体の一つでもあります(本ブログの記事「大理ゲイバー事件について、現地の同性愛者の人権団体がメディアと政府を批判する声明」)。
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大理ゲイバー事件について、現地の同性愛者の人権団体がメディアと政府を批判する声明

 11月末、中国の多くのメディアが「雲南省の大理市に政府が出資してゲイバーを設立し、その中で10数名のボランティアがエイズ防止活動をする」というニュースを報道しました(1)。このバーは、12月1日の世界エイズデーに開業する予定だったのですが、メディアが殺到したために、開業を延期せざるをえませんでした。

 この事件については、いくつかの点が問題にされています。

「政府が出資、設立」は不正確――民間組織が主体、資金も国外の基金会などから(2)

 まず、当初「大理市の政府が出資して、ゲイバーを設立する」と報じられたのは正確な情報ではありませんでした。このバーは、「大理市エイズ予防健康促進会 大理好朋友工作組」が設立したものです。

 大理市におけるゲイの間でのエイズ防止活動は、大理市第二人民病院(この病院は、エイズ対策のための試験病院に指定されている)の医師の張健波さんの手によって、2003年に始まりました。張さんは、当初はゲイと接触するにも苦労をしましたが、学生時代の友人がゲイであったことから、彼を説得して協力してもらったのを皮切りにして、数年かけて同地のゲイ(1500-1800人いるという)の基本的状況を把握しました。同地のゲイの60%は、医療の条件や性の知識が乏しい農村の男性でした。

 そこで張さんが中心になって、民間組織から50万元、第二人民病院から100万元あまりの資金援助を得て、「大理市エイズ予防健康促進会 大理好朋友工作組」を発足させました。この「工作組」では、核となる10数人のボランティアスタッフ(ゲイが多い)が中心になって、ゲイの人々に、エイズ防止のためのピア・エデュケーション(同伴教育)をおこなってきました。2006年の「工作組」の総括によると、同年には、369人のゲイに働きかけて、エイズについて知ってもらい、コンドームを使う人を、5%から70%に増やしたそうです。こうした活動は、周囲の人に注目されることを避けるため、「工作室」は3回も引っ越しました。

 2009年中ごろ、「大理市エイズ予防健康促進会 大理好朋友工作組」は、大理市のエイズ防止工作会議で、ゲイを主な客とするバーを開設することを提案しました。こうしたバーを設立することによって、より広い人々をカバーできると考えたのです。パーの開設のために、エイズ防止に力を入れている、イギリスのバリー・マーティン基金会(Barry & Martin's Trust)が4万元、世界基金(世界基金支援日本委員会HP)が2万元出すことになり、家賃は、第二人民病院のエイズ防止経費から出すことにしました。パーの日常の運営は、12名のボランティアが担うことになり、ボランティアは、バーの場所を探したり、改修、設計などの作業もしました。

 大理市衛生局の李軍局長も、パー設立の主体や資金については、「バーは、政府が出資して設立したのではなく、大理エイズ予防健康促進会が主導して創立したものだ。大理市エイズ予防健康促進会はNGO組織であり、近年イギリスのマーティン財団が毎年約3―5万元を投入し、世界基金が毎年2―3万元を投入して同会を支えている。2009年、大理市衛生局は、市レベルのエイズ防止の専門経費の中から、第二人民病院に、エイズ防止宣伝教育・研修・科学研究などのために、経費を12万元配分した」というふうに述べています。

 もっとも、以前、11月に、大理市衛生局の蒋安民副局長は、バーについて取材をした『新京報』の記者が「政府はいくら金を出すのか?」と質問したのに答えて、「12万元である。この金はバーにだけ出すのではなく、NGO組織のその他の用途も含めてのものだ」と答えており(3)、この回答だと、政府が出した金は、バーにもある程度使われるように読めます。

 しかし、張さんの話では「大理市は第二人民病院に毎年、12万元の経費を出している」(下線は筆者)そうです。とすれば、とくにバーのために金を出したとは言えません。いずれにせよ、張さんによると、この「12万」という数字が誤解のもとになったとのことで、「バーの開設には合計12万元かかるので、今年、大理市政府が出す12万元が全部バーの建設に使われると誤認したメディアがある」そうです。

メディアによる報道の被害

 「政府が出資して、ゲイバー設立」というふうに認識したからこそ、報道がセンセーショナルになった面もあるのでしょうが、開店予定の当日は、「数十のメディアがバーの外で、ビデオカメラを担いでいる」という状況でした。張さんは、「マスコミの記者が大理に殺到すると聞いて、12名のボランティアはみな顔を出さなくなった」と言っています。

 張さんは、「この12人のポランティアは、数年間の努力があってやっと増えてきたのだ」と述べ、「今では多くの人がこのバーを『ゲイ』バーだと知ったので、ボランティアのプレッシャーは大きい」、「このバーの家主も、賃借の取り決めをした時、このバーがどのような性質のバーかを知らなかった。今はメディアに暴露された」と語っています。

 「大理好朋友工作組」も「ゲイ」というレッテルを貼られたので、ボランティアの中には、訪問しても、顔を出さない人もいるということです。張さんは「いま、12名のボランティアの気持はいささか動揺しており、辞職を申し出る人もいて、これは、活動の展開にとってきわめて不利だ」と語っています。今回のことで有名になった張さんにも、電話やショートメールがたくさん来て、それらの多くは、張さんのことを「変態!」などと罵ったり、侮辱したりするものだそうです。

 以上から見ると、今回の事態は、同性愛者差別が強い社会における民間の地道な活動が、無神経なメディアの報道によって大きな打撃を受けたという面が強いと思います。

雲南のセクシュアル・マイノリティの人権団体がメディアと衛生部を批判する声明

 こうした事態に対して、12月3日、雲南平行(ゲイと男性セックスワーカーのための団体)、跨越中国(雲南省昆明市にあるトランスジェンダーのセックスワーカーのための団体)、同話舎(雲南のレズビアンのための団体)、北京愛知行研究所(エイズ防止のために、セクマイの問題にも取り組んできた団体)昆明事務局は、共同で「エイズ防止には、差別を解消し、基本的人権を守ることが必要である――雲南の同性愛者健康権益組織の大理同性愛バー事件に対する意見」(防治艾滋病,需要消除歧視,保護基本人権 雲南同性恋者健康権益組織対大理同性恋酒吧事件的意見)を発表しました。

 この声明は、メディアを批判するとともに、中国社会の無理解の背景にある政府(衛生部を含めて)の政策も批判しています。その内容は、だいたい以下のようなものです(はしょってあるところもあります。また、文中の注は、原注ではなく、私によるものです)。



 11月24日、陳竺・衛生部長は「性行為による感染は、すでにわが国のエイズ伝染の主なルートになった。現在、(新しい感染のうち)同性の性行為による感染が、感染全体の32%に達し、異性の性行為による感染は40%に達した」と述べた。同日、郝陽・衛生部疾病予防制圧局副局長は「去年、中国の61都市で同性愛者グループに対して調査したところ、平均して4.8%の同性愛者がエイズにかかっており、そのうち最も高い都市では18%に達していた。中国の同性愛者の大多数は地下に潜っているので、そのデータはまだ控えめなものかもしれない」と述べた(4)

 また、中国の多くのメディアは「雲南省の大理市に政府が出資して、ゲイバーを開店して、エイズ防止活動をする」というニュースを報道した。このバーは12月1日の世界エイズデーに開業する予定だったが、メディアが殺到したために、開業を延期せざるをえなかった。 

 雲南省で同性愛者の健康の権益に関心を寄せている民間団体として、私たちは、衛生部とメディアがゲイの恋人集団の中でのエイズの流行と防止活動に関心を払っていることには感謝する。しかし、私たちは、世界エイズデーにだけ、エイズというテーマの上でだけ、同性愛者に対する熱意を示すことは、中国の同性愛者を傷つけるものだと考える。

 私たちは、同性愛というテーマに対するメディアの報道には、以下の問題が存在していることに気がついている。

 1.珍しいものをあさる[猟奇]の気持ちが大きく、同性愛者の境遇を考慮していない。たとえば、大理のゲイバー事件で、多くの記者が大理に雲のように集まって、「ゲイバーをエイズ教育の道具にする」というニュースを大々的に流したために、同性愛者がかえってバーに入れなくなった。

 2.エイズと同性愛の関係の問題だけを報道することは、公衆を誤った方向に導く。わが国の報道出版部門は、同性愛を題材とした出版を制限しており、テレビラジオ総局は、同性愛の番組の放送を禁止しており、インターネットは、同性愛サイトを審査・制限あるいは取り締まっており、学校でも人々は同性愛に関する科学的知識を得ることができない。にもかかわらず、衛生部門がエイズの情報──ゲイの間ではエイズが流行していることを含めた──だけを発表することは、容易に公衆を誤った方向に導いて、公衆に単純に「同性愛はエイズになる」と思わせ、「同性愛はエイズと同じだ」と認識させる。

 3.科学的な導きに欠けている。世界で最も重要な2つの精神疾病団体(WHOとアメリカ精神病学会)はすでに同性愛は正常だとみなし、わが国の精神疾患の分類・診断基準も、もう同性愛を病的状態とは扱っていない。しかるに、中央テレビ局は11月29日、同性愛者に対する差別を解消することを主張した番組の中で、依然として「同性愛者」を「同性愛患者」と称し、「同性愛」を「性心理障害」と見なした。

 4.人権思想が欠けている。私たちは、メディアが差別思想を解消することをたびたび主張していることには感謝する。しかし、私たちは、衛生部門とメディアはわが国の同性愛者の境遇を真に体得できておらず、同性愛者が受ける人権侵害を理解していないので、メディアの声は真に差別を解消する働きはできず、かえって社会的偏見を強化していると考えている。たとえば、12月1日、私たちは、多くのチャイナテレコムのネットユーザーが、同性愛サイトに入ることができずに、「電信緑色オンライン(電信緑色上網)」というソフトに遮られ、サイトのアドレスにいつも使っているアドレスをインプットすると、自動的に「電信緑色オンライン」のアドバイス画面に転送され、「あなたのお父さんとお母さんはあなたに言っています。あなたが訪問したサイトは不良サイトです」と示されることを知った(5)

 5.衛生部門主導であり、同性愛者たちの声が欠けている。わが国の衛生部門は、各地で同性愛者の健康組織に働きかけて、ゲイにエイズの検査を受けさせることによって、大量のゲイの集団のエイズ感染のデータを得た。しかし、中央も、地方も、各地の衛生部門は、メディアに対してデータを発表して、同性愛者の組織の意見は聞かず、同性愛者が感じることを考慮せず、メディア報道の同性愛者の生活に対するマイナスの影響を考慮しない。

 私たちは、わが国のメディアが積極的にエイズ防止活動に参与し、公衆の同性愛者に対する差別視をなくすことを助けるには、以下の活動をしなければならないと主張する。
 1.現在のメディアが同性愛を報道している状況に関して、分析・総括をし、存在している問題と解決の方策を示す。
 2.「同性愛とエイズ」というテーマについてのメディアの報道の方式とその影響に関して研究をして、メディアの報道がいっそうの傷害を生み出すことを避け、メディアの報道がエイズ防止活動にとって必要な良好な社会的環境を作る助けになるように保証する。
 3.国際的経験と上述の科学的研究に基づいてわが国のメディアがエイズという議題を扱うために、指導ハンドブックを編纂し、基本的な倫理規範を制定する。
 4.科学と人権思想に基づいて、わが国の同性愛者の生活と各種の社会問題を全面的に報道して、猟奇思想を解消し、同性愛者の社会的境遇を改善するのを助ける。

 私たちは同時に、わが国の政府が以下の工作をするよう希望する。
 1.同性愛を差別した報道出版政策をやめ、同性愛の映画・テレビに対する禁令を解除する。
 2.インターネットの自由を保護し、同性愛サイトに対するハラスメント、取り締まり、スクリーニングを停止する。
 3.中学と小学校高学年で、教育部と衛生部のエイズに関する健康教育の指示を実行する。同時に、エイズ教育を強化し、エイズの性感染の予防活動を扱うために、小中学校で性教育を実施する。性教育には、同性愛の科学的知識と人権尊重、人間性の多様性の尊重が含まれなければならない。
 4.同性愛の社会集団組織の働きを発揮させ、同性愛の社会集団組織をエイズ防止活動の計画制定・執行・監督評価に参与させることによって、エイズ防止工作が人権と同性愛者の人格の尊厳を尊重することを保証する。
 5.衛生官僚がメディアに発表するエイズ情報について、規範的文書を制定し、研修をおこなうことによって、メディアが公衆を誤って導いて同性愛者を傷つける事件を起こさないようにする。
 6.衛生医療関係者に研修をおこなって、エイズ医療サービスが同性愛者にセンシティブになり、友好的になることを保証する。
 7.国連が同性愛の人権を保護している多くの国の政府の声明に参与・署名する。
 8.「ジョグジャカルタ原則(性的指向並びに性自認に関連した国際人権法の適応上のジョグジャカルタ原則[日惹原则——关于将国际人权法应用于性倾向和性别认同相关事务的原则(PDF)])(Wikipediaの記述[日本語]、Ry0TAさんによる日本語仮訳)」の精神に照らして、わが国の同性愛者の人権の活動を指導する。



 もちろん、今回4団体が出した声明だけが、中国のゲイやセクシュアル・マイノリティの人々の見解ではありません。同様の点を指摘する人もいますが(6)、この事件の他の側面に注目したり、他の意見を持っている人々もいます。

 たとえば、ゲイサイトの「淡藍網」が12月9日に発表した「2009年度中国十大同志(LGBT、セクマイの意味)ニュース」は、その一つとして、今回の「大理市の政府が出資してゲイバーを設立したこと」を選んだうえで、このニュースについて、「その本意が同性愛の集団を正視するためであるかはともかく、少なくとも、このやり方自身は中国社会の一大進歩である。CCTVに感謝し、新京報などの友好的メディアの関心と呼びかけにも感謝しなければならない」と評価しています(7)。「政府が出資した」という点については事実認識の点で疑問を感じますが、メディアの評価に関しては、「友好的」なものも、興味本位のものもあるということでしょう(メディアの報道も、とくに開業延期後に取材したものは、当事者の声をかなり伝えているように思います)。

 しかし、いずれにせよ、今回の声明には、問題の根源を突いた部分があることは間違いないと思います。
 
(1)云南大理市政府注资建立男同性恋酒吧」新華網2009年11月29日(来源:新京報)など。日本でも、「中国の雲南省、当局が『ゲイバー』をオープン」ロイター2009-12-01、「雲南省大理市政府が『ゲイバー』開業」人民網日本語版2009年11月30日、「男性同性愛者の酒場『同志』、注目過剰で開業延期―中国・大理」サーチナ2009/12/01、「『エイズ啓発ゲイバー』、社会の圧力で開業遅れる?―雲南省大理市」レコードチャイナ2009年12月1日、と報じられました。
(2)この節と、下の「メディアによる報道の被害」の節は、「云南大理否认同性恋酒吧由政府出资创办」『中国日報』2009-12-02、「云南大理男同性恋酒吧延期开业调查」新华网(2009-12-08)、「大理男同性恋酒吧风波始末」紅網2009-12-8、「大理“男同性恋”酒吧选择低调 继续营业」捜狐新聞2009-12-08(原載は『東方早報』)をまとめたものです。
(3)大理政府关注同性恋群体 出资建男同志酒吧」『新京報』2009年11月29日(『新京報』のサイトでは全文が読めないので、淡藍網に転載されたものを示しました)。
(4)我国报告艾滋病死亡近5万 同性恋成高发人群」中国広播網2009-11-25
(5)电信宽带“绿色上网” 同志网站遭屏蔽被指歧视」(2009-12-2)淡藍網、「国内数十家同性恋网站被屏蔽 包括公益健康网站」『新京報』2009年12月8日。
(6)评论:大理男同性恋酒吧 不需要这样的“关注”」淡藍網、「评论:同性恋者何时才能不沾艾滋病的光」荆楚网2009-12-05
(7)淡藍盤点:2009年度中国十大同志新聞 九」2009-12-09淡藍網
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女性労働者保護規定の改正をめぐる議論(1)――たいした改正にはならない?

 中国では、1988年に「女性労働者保護規定(女職工労動保護規定日本語訳(1))」(以下、「規定」と略す)が制定されました。これは、女性労働者の月経、妊娠、出産、授乳期などの保護をするための規定です。

 しかし、その後、農村からの出稼ぎ労働者が多く働く非公有制企業が増大し、それらの企業では女性労働者の保護がお粗末であるにもかかわらず(2)、「規定」は罰則などが明確でなく、違法行為を有効に是正できませんでした。そのため、2000年以降は、全国人民代表大会や全国政治協商会議にも、全国総工会や全国婦連などによって、「規定」を改正強化する議案が提出されてきました(3)

 2006年からは、労働と社会保障部(当時)と中華全国総工会が「規定」の改正作業を始めました。2008年には、女性労働者保護規定は「女性労働者保護条例」と名称を変更することになり、国務院の立法計画に入りました(4)

国務院が招集した専門家座談会での議論

 今年10月27日、国務院法制事務局[弁公室]が、「女性労働者保護条例(改正草案)」の専門家座談会をおこないました。座談会には、政府の各部門の官僚、中華全国総工会の指導部、医学・法学の専門家が出席しました。

 この座談会では、草案について、以下のような点が焦点になったと報じられています(5)(草案の全文は、まだ新聞やインターネットでは公表されていません)。

焦点1.健康診断

 草案第16条より:「人を雇う単位[企業、機関、団体など]は……女性労働者に定期的に婦人科の病気の検査を受けさせることができる」

 現行の「規定」には、草案第16条のような条文はありません。この条文に対しては、次のような意見が出ました。

 ・李麗娟(衛生部疾病予防制圧センター母子保健センター主任):「少なくとも2年に1回、健康診断をすると規定すべきである。健康診断の内容は、女性がよくかかる病気をスクリーニングするものとし、基本的検査項目と提案検査項目(子宮ガン、乳ガン、生殖道感染)を包括したものにすべきだ」
 ・丁輝(北京産科病院・母子保健院教授):「近年子宮ガンと乳ガンの発病率が増大しているので、少なくとも2年に1回、この2つのガンを基本にした健康診断をすべきである」

焦点2.授乳時間

 草案第13条より:「満1歳未満の嬰児に授乳する女性労働者には、人を雇う単位は、勤務時間内に毎日少なくとも1時間、授乳(人工授乳を含む)時間を与えなければならない」

 この条文については、すでに現行の「規定」の第9条に似た条文がありますが(ただし、現行では「勤務時間ごとに2回、30分ずつ」となっています)、以下のような意見が出ました。

 ・ある専門家が「1時間というのは、女性労働者が職場と住まいとを往復するのに使う時間を含んでいるのか否か」と疑問を出した。
 ・白蓮湘(全国工商連法律部副部長):「1時間授乳時間を与えるというのを、1時間早く退勤させるに改めても良いかどうか」と意見を述べた。

焦点3.月経時の休暇

 草案第7条:「女性労働者の月経期間には、人を雇う単位は、国家が規定した月経期間に従事することを避けるべき、高所、低温および第3級の肉体労働強度の労働およびその他の従事することを避けるべき労働を割り当ててはならない」

 この条文も、現行の「規定」の第7条にほぼ同じ条文がありますが、以下のような意見が出ました。

 ・陶永嫻(北京予防医学研究センター主任医師、首都医科大学教授):「女性労働者が月経痛で正常に仕事ができず、医師の証明書があるときは、1日か2日の有給の病欠を保障すべきだ」
 ・張帥(北京大学法学院女性法律研究・サービスセンター):陶永嫻さんの意見に同意する。「韓国では、すでに女性には1日の有給の生理休暇がある。3月に湖北省が出した女性労働者保護規定も同様に、女性労働者は月経痛の場合、有給休暇を1~2日取ることができると規定しており、参考に値する」

 座談会では、国務院法制事務局の政法局副局長の彭高建さんが最後に総括的な発言をしました。彭さんは、「現実から出発すると、『女性労働者保護規定』はたしかに改正する必要があり、改正の重点は妊娠期・授乳期の女性労働者である」、「座談会で討論された細かな点は、さらにいっそうの調査研究をする」、「草案の改正は、国際的経験を参考にし、国外の動態に注目し、若干の内容は国際条約と結びつけなければならない」と述べました。

 以上のから見るかぎり、現在の「草案」には、とくに画期的な条文はないように見えます。上で述べたとおり、2や3の点は現行とほとんど変わりませんし、1の健康診断は、たしかに現行の「女性労働者保護規定」には含まれていませんけれども、「できる[可以]」というだけの規定です。

 もちろん議論にならなかった個所に画期的な条文が含まれている可能性はありますが、たとえば企業の抵抗が強くて紛糾するような条文は、今の「草案」には含まれていないのではないかと思います。

 ただ、条文の数が増えていることは間違いありません。現行の「規定」は全部で19条しかないのですが、ある文書(6)を読むと、現行では「第15条」である計画出産違反者への措置が、今回の条例では「第23条」になっているようです。その意味では、若干強化されたのだと思います。しかし、たとえば1988年以降に制定された他の法規にすでに盛り込まれた規定をこの条例にも書き込むだけでも(今回の改正の目的の一つは、「規定」が制定された後に公布された法律に対応することだとされています(7))、条文の数は増えますから、今回、どの程度実質的に強化されたと言えるのかはわかりません。

座談会での専門家の意見も、地方ではすでに規定されているもの

 もちろん、もしこの座談会で発言した専門家の意見が今後取り入れられるならば、事態はいくらか変わってきます。

 ただ、1の健康診断については、たとえば1990年に制定された「上海市女性労働者保護規則[上海市女職工労動保護弁法]」も、「各単位は2年ごとに女性労働者(退職した女性労働者を含む)に婦人病の検査をし、すぐに治療をしなければならない」(第21条)と定めています。

 また、その上海市では、健康診断については、「国有企業では執行の面で問題はないけれども(……)非公有制や労働集約型の小さな企業で問題が出ている」といいます(ちなみに上の2の授乳時間に関しても、「一部の労働集約型の企業では、女性労働者は妊娠後、しばしば自発的に離職する。その原因を追究すると、一つには、労働きつくて妊娠後は耐えられないことであり、もう一つには、上海では検査や出産の費用が高いので、一部のよそから来た労働者は妊娠後は故郷に帰って出産することである」とのことです)(8)。ですから、「規定」に新しい条項を盛り込むだけでは、条件の良いところでしか実行されない可能性が強いと思います。

 また、3の月経時の休暇についても、張帥さんが言及している湖北省女性労働者保護規定(湖北省女職工労動保護規定)は、草案第7条の規定に加えて、「月経過多または月経痛のために、正常に仕事ができない女性労働者に対しては、所属単位が指定した医療機関の証明を経て、所属単位は適当に1日から2日の休息を与えることができる」というものですが、これは、すでに1993年に出た「女性労働者保健工作規定[女職工保健工作規定]」の第7条第4項の規定とほぼ同じものにすぎません。

 もちろん湖北省女性労働者保護規定は、あくまでも湖北省だけの地方性法規であり、「女性労働者保健工作規定」も、あくまでも「衛生部・労働部・人事部・全国総工会・全国婦連」の文書でした。ですから、もし今回、こうした月経時の措置が「国務院」の法規に取り入れられるならば、法律のランクが一段アップしたとは言えるのですが……。

法規の実効性の強化は?

 それから、以前から問題になっている「非公有制企業などでは保護がお粗末なのに、『規定』は罰則などが明確でなく、実効性が弱い」という点は、上記の国務院での座談会では、あまり問題にされた形跡がありません。「改正の重点は妊娠期・授乳期の女性労働者である」という国務院法制事務局の彭高建さんの発言も、法律の実効性の強化は改正の重点ではないかのような感じを抱かせます。

 しかし、実は、改正草案に対しても、実効性の強化を主張する意見はたくさん出ています。たとえば、昨年[2008年]12月、ILO北京事務所と全国婦連女性研究所が「『女性労働者保護条例』(改正草案)討論会」を開催し(9)、それを受けて今年初め、全国婦連女性研究所と中国女性研究会の機関誌である『婦女研究論叢』が、条例の改正草案についての特集を組みました(10)。それらの場、とくに『婦女研究論叢』の特集では、さまざまな観点から、法律の実効性の強化を主張する意見が多くの人から出ていました。それらは、だいたい以下のようなものです。

1.政府などによる法律の監督を強化すべきだ。違法行為に対する処罰を強めるべきだ。司法も改革すべきだ。

 劉伯紅(全国婦連女性研究所副所長):政府と法律執行部門の監督・管理の力を強めるとともに、より多くの社会的パートナーと公民社会の代表が女性労働者保護条例の執行の監督者になるべきである。具体的に言えば、・労働監督の隊伍伍を増強して、違法行為の処理を強める。・裁判での立証の規則を改革し、労働専門の法廷を設立し、法律援助制度を確立して、不利な立場にいる女性労働者に対して法律的なサポートをする。・労働組合や婦連に監督権を与えるほかに、NGOによる監督・評価も奨励する。

 蒋月娥(全国婦連権益部部長):違法行為に対する懲罰の力を強めるべきである。具体的に言えば、・政府の職責についての規定を強化し、労働保護の状況に対して監督・査察をする政府の部門とその具体的職責を明確にする。・現行の「女性労働者保護規定」の条文は非常にわずかで、法律違反の責任と処罰の措置が規定されていない。違法行為と違法な単位を震え上がらせるために、権益を侵害された女性労働者の賃金または単位の労働者の平均賃金の倍数を基準にして処罰を規定し、法律違反のコストを高くせよ」

2.労働保護や託児所の費用を社会的に分担せよ、生育保険(妊娠・出産時に手当を支給したり、医療費の補助をする保険(11))を整備せよ。その際に政府が財政的に責任を持て。

 劉伯紅:政府は、家族的責任を担う労働者の平等な就労や女性労働者の保護に対して、より多くの政策的・財政的責任を負うべきである。政府の財政収入は大幅に増大しているのだから、そうすべきである。具体的に言えば、・政府が非正規部門や経営が苦しい中小企業、個人企業の女性労働者の労働保護に対してサポートを強化するよう規定を改めるべきだ。・政府は託児施設を設立する企業に資金的なサポートをするべきだ。・政府は生育保険の基金に一定の責任にを負うことを考慮すべきだ。・婦人病の検査についても、企業でなく、政府がより多く金を出すようにすべきだ。

 蒋月娥:婦人病の検査の費用は、政府の関係部門と単位が持つようにし、検査の時間は労働時間とみなすべきである。

 潘錦棠(中国人民大学労動人事学院教授):女性の労働保護にかかる費用を社会的に分担するメカニズムを規定するべきである。もしも個別の企業だけが費用を負担すれば、女性を多く雇う企業が損をすることになるので、女性を雇わなくなったり、女性の賃金を下げたり、法律執行の部門が厳格に法律を執行しなかったりする。だから、「女性労働者保護条例」などで、女性労働保護の費用をどのように分担するかを規定するべきである。

 李瑩(北京大学法学院女性法律研究・サービスセンター副主任):女性労働者保護の具体的措置において、国家の責任を具体的に示さなければならない。現在、中国では、生育保険がカバーしている比率が不十分であり、また経費は全部企業が負担している。生育保険に参加していない企業は、女性労働者の生育の費用を負担するとともに、産休の期間の賃金を支払わなければならない。このような「生育の損失」は、企業が女性労働者を雇いたがらない主な原因の一つである。人類の再生産は、人類・社会に対する貢献なのだから、そのコストは社会が負担しなければならない。だから、生育保険に全員を入れ、国家の責任を体現しなければならない。

「女性労働者保護規定」の内容自体が知られていない

 法規の執行以前に、そもそも女性労働者保護規定の内容自体が女性労働者自身によく知られていないという問題もあります。

 『中国婦女報』の記者が妊婦20人に授乳時間の規定について尋ねたところ、1人だけ「聞いたことがある」という人がいただけで、多くの人々の反応は、「本当なの?」というものでした。四川省労働庁の法制課と市の総工会の労働者法律援助センターの人も、授乳時間に関する訴えはほとんど受けたことがなく、「みんなよく知らないのに、なんで訴える人がいるの?」と言っていたということです(12)

 特に農村からの出稼ぎの人の場合は、知っている人は少ないと思われます。少し古いデータになりますが、香港キリスト教工業委員会が2001年に広東省の輸出用玩具製造工場で調査したところ、女性労働者保護規定を「知っている」と答えた労働者は0%で、「聞いたことがある」という人が1%、残りの99%は「知らない」という状態でした(13)

 もしも以上のような状態や意見を踏まえずに「規定」が改正されても、2005年の婦女権益保障法改正のときと同じように、実効性は強化されず、「新しい条文は幾つか出来たけれども、あまり役に立たない」というようなことになりかねないと思います(以前のブログの記事「セクハラを例にした、婦女権益保障法の実効性に対する厳しい批判」参照)。

他にも重要な論点

 2008年12月の討論会や『婦女研究論叢』で、劉伯紅さんは、下の1~3のような点も述べています。

1.男性の育児休暇も

 ジェンダー平等意識を政策決定の主流に入れるべきである。男性が家庭責任・ケア責任を担うようにするために、夫が看護休暇(産休)を取る条件を作るなどすべきだ。

2.職場の安全・衛生の問題も扱うべき

 条例草案は、女性の特殊な生理的時期や出産に関連した保護が中心だが、それだけでなく、職場の安全衛生、たとえば沿海地区の電子・玩具などの非公有企業が有毒・有害な化学物質を使用している問題なども扱うべきである。

3.企業の保育所をつぶすな

 企業や機関は、家族的責任がある労働者に生育の保障と家族のケアのための施設を提供することを促進するべきである。経済体制改革の中で、多くの企業や機関が託児施設を転売・閉鎖したが、「条件がある所属単位は独自にまたは共同で託児所・幼稚園を設置する」(14)という政策をあっさり取り消してはならない。

4.セクハラ問題などの心理的健康も重視すべき

 また、今年の国務院での座談会での議論を受けて、『中国婦女報』の記者が、劉明輝さん(中華女子学院法律系経済法研究室主任、教授)を取材した際、劉さんは、女性労働者の「心理的健康」にも関心を持つべきだとして、職場のセクハラの問題も条例の中で重視する必要があることを述べました(15)。セクハラの問題を入れるべきだという意見は、他の人からも出ています。

5.隠然たる就職差別をなくせるようにせよ

 現行の「女性労働者保護規定」の第3条は「女性労働者が従事するのに適した単位は、女性労働者の採用を拒絶してはならない」です。

 この条文が改正草案でどのように変わったのか(またはそのままなのか)わかりませんが、改正草案に対して、鄭州大学女性労働者委員会は、「草案の第3条の規定は、『公然とした』就職の男女差別の問題はいくらか改善するかもしれない。たとえば男女共に適した仕事に対して、人を雇う単位が募集広告で『男性のみ』として、女性は不要だと示す行為は違法だとできるけれども、人を雇う単位が人員を採用するときに『隠然たる』差別をすることに対しては、草案第3条の規制力は依然として不十分である。たとえば、男にも女にも平等に試験を受ける機会を与えるけれども、採用される機会には大きな違いがあって、単位が最後に採用したのは全部男性であるとか、少ししか女性を採用しないという行為に対しては、やはり有効な規制をおこなうのは難しい」と意見を述べています(16)

 しかし、2008年12月の座談会や『婦女研究論叢』の特集でも、人力資源と社会保障部の法規局立法工作部の調査研究員・副所長である呂鴻雁さんは以上のような論点には触れておらず、政府は法改正が以上のような点をどれほど取り入れようとしているかは疑問です。

 以上の幾つかの点から見て、現状では、今回の女性労働者保護規定の改正は、それほど大きな意義があるものにならないのではないかという感じを抱きます。もちろん条文が発表されるまでははっきりしたことは言えませんが……。

(1)活字になった日本語訳は、『日中対訳 中国労働関係法令集 2004年度改訂版』(アイ・ピー・エム 2004年)330-337頁にあります(これ以前の年度の版にも収録されているかもしれません)。
(2)たとえば、総工会女職工部が2003年に広東・福建・上海・重慶などの12省・市の3285の企業(公有制企業2244、非公有制企業1041)を調査したところ、以下のようでした。
 ・労働協約を締結している‥‥公有性企業:83.8%、非公有制企業:66.9%。
 ・男女同一労働同一賃金‥‥‥公有性企業:95.5%、非公有制企業:88.4%。
 ・毎週の労働時間が40時間を超えない‥‥公有性企業:80.7%、非公有制企業:60.1%。
 ・妊娠した女工の定期産前検査‥‥公有性企業:87%、非公有制企業:81%。
 ・妊娠した女工に残業・休日出勤、夜勤をさせない‥‥公有性企業:95.1%、非公有制企業:56.7%。
 ・産休が90日以上‥‥公有性企業:78.7%、非公有制企業:56.7%
 ・産休の際の賃金が満額出る‥‥公有性企業:90.1%、非公有制企業:55.8%
 ・女工の出産費用を部分的または100%償還する‥‥公有性企業:90.8%、非公有制企業:64.6%
(全総女職工部「数字与解読 関于企業女職工労動保護情況的調査報告」『中国婦女報』2003年7月10日)。
(3)まず、2000年、全人代に浙江代表団の32名が連名で「女性労働者労働保護規定」を修正する議案を提出しました。「この議案は、すでに実施されて10年の長きになる『女性労働者労働保護規定』の執行の中で出現した新しい問題に基づいて提出された」という。その問題とは、以下のようなものでした。
 ・全国で非公有制経済が迅速に発展し、労働関係が日増しに多様化・複雑化する状況の下、「規定」があっても、女性労働者の労働の権益がなお法律的な保護が得られていない。
 ・相次いで公布された法規が整合性に欠けている。「規定」の公布後、続々と「婦女権益保障法」「労働法」が公布されたが、この「規定」をそれらと合わせなければ、具体的に執行する際に規範性と統一性が欠ける。
 ・「規定」には罰則が欠けていて、法規に違反する行為を有効に制止することが難しい。たとえば、労働契約を締結しない、締結した労働契約が規範に合っていない、任意に休日出勤や残業をさせ、労働時間を延長する、女性労働者の賃金の支払いを滞らせたりピンはねしたりする等々について、「規定」中には法定の罰則がなく、労働仲裁機構が労働者に法律的保護を提供するのが難しい。(「浙江代表団三十二名代表団聯名提出議案認為女工労保規定亟待修改」『中国婦女報』2000年3月15日)
 2002年には、全国総工会が、全国政協に、「女性労働者保護規定」を修正し完全にすることを建議する議案を提出しました。
 議案の内容は、「各種の違法行為に関する法律的責任を明確にし、法律執行主体の法律執行の権限・手続きおよび法律執行が不十分な際に負うべき法律的責任を明確して、たとえば、命令を下し責任を持って改めさせる、罰金、期限を決めて整頓ないし営業停止・粛正改正するなど各種の措置をとれるようにする」というものでした(「女職工労保機制亟待完善―椒江女嬰致畸案思考之一」『中国婦女報』2002年8月14日)。
 2003年には、全国婦女連が、「労働と社会保障部」に「女性労働者労働保護規定」の修正を行うことと、「労働法」の執行の力を強めることを提案しました(「この議案は今年の『両会』に正式に提出される」と報じられています)。その議案の内容については、以下のように報じられています。
 (まず、非公有制企業で女性労働者の権利が侵害されていることを指摘したのち)「こうした問題が生み出される主な原因は、現在ある法規制度が不健全で、『女性労働者保護規定』が全体的に現在の経済発展に立ち遅れ、使いにくく[可操作性差]、非公有制企業の特徴をまったく考慮していないために、法律のすきに乗じて、やり口を変えて女性労働者の権益を侵害する企業があることである。非公有制企業は地方経済の中で重要な役割を果たしているため、一部の政府は、いつも比較的寛大に取り扱う政策をとって、労資の紛争が発生したとき、地方経済の利益に対する考慮から、法律を執行する力が不十分で、持続的な監督と処罰のメカニズムが築かれておらず、一部企業が女性労働者の権益を無視する態度を助長している。
 このため、全国婦連は、労働と社会保障部に『女性労働者保護規定』を改正し、使うことができる条項を増やし、とくに非公有制企業の女性労働保護の特徴に焦点を当てて規範化をすすめ、行政処罰の力を強めることを提案する。企業に女性労働者の労働保護に一定の資金を投入させ、必要な施設と条件を作ることを要求すべきである。女性労働者の労働保護の状況に対する検査と監督を強め、健全で力のある労働監督のメカニズムを設立し、行政の法律執行の力を強める。同時に、非公有制企業の中に普遍的に労働・青年・女性組織を築き、企業の女性労働者の労働権益を保障する監察の隊伍を築き、女性労働者の利益を表すルートを作らなければならない。」(「女工労動保護法規滞后 全国婦聯提議修改」『中国婦女報』2003年2月25日)。
(4)「“《女職工労動保護保護条例》修改討論会”簡介」『中国婦女研究会会議簡報』2008年第2号(2008年12月24日)[全国婦聯婦女研究所&中国婦女研究会のサイトで読めるが、現在サイト改修中]9-10頁。
(5)国務院召開《女職工労動保護条例》修改工作専家座談会」中国工会網2009年10月27日、「女職工労動保護条例将修訂 痛経休假等成焦点」新華網法治頻道2009年10月28日。
(6)昨年、鄭州大学工会女工委員会が提出した意見(「我校女工委召開《女職工労動保護条例(修訂草案)》徴求意見会」2008.6.10、鄭州大学HPより)。
(7)「“《女職工労動保護保護条例》修改討論会”簡介」『中国婦女研究会会議簡報』2008年第2号(2008年12月24日)9頁。
(8)《女職工労動保護条例》面臨修改 将更細化 懲罰要明確」『新民晩報』2009年11月16日。
(9)「“《女職工労動保護保護条例》修改討論会”簡介」『中国婦女研究会会議簡報』2008年第2号(2008年12月24日)、「女職工労動保護与性別平等――《女職工労動保護条例》(修訂草案)討論会綜述」『婦女研究論叢』2009年1期。
(10)本刊編輯部「女職工労動保護与性別平等――《女職工労動保護条例》(修訂草案)専題討論」『婦女研究論叢』2009年2期。この討論には、呂鴻雁「女職工労動保護立法的重点問題」、蒋月娥「修訂《女職工労動保護規定》応処理好幾個関係」、李瑩「修改《女職工労動保護規定》応体現的立法原則和精神」、馬憶南「“女性禁忌従事的労働”再思考」、劉明輝「関注女職工職業禁忌的負面影響」、潘錦棠「建立女職工労動保護費用分担機制」の各文を含みます。また、同じ号には、劉伯紅「中国社会転型期的女職工労動保護」も収録されており、これは、注(9)の文献の記述と照らし合わせると、前年12月の討論会での発言に近い内容であることがわかります。
(11)生育保険については、沙銀華「出産育児保険」(中国研究所編『中国は大丈夫か? 社会保障制度のゆくえ』創土社 2001)に詳しい。
(12)哺乳時間有法律保護多数母親不知」『中国婦女報』2008年9月23日。
(13)孩之寶・麥當奴・美泰和迪士尼如何製造玩具? 中國外資玩具廠工人権益及職業安全与健康問題報告」基督教工業委員会HP
(14)この文言は、現行の「規定」の11条にあります。全国総工会女職工部副部長の張青さんは「現在の形勢に合わない条項は削除した」と述べていますから(『中国婦女研究会会議簡報』2008年第2号、9頁)、あるいはこの条項は削除されたのかもしれません。
(15)“保護”転為“授権”法制進歩的標誌 専家熱議《女職工労動保護条例》修訂」『中国婦女報』2009年11月12日。
(16)我校女工委召開《女職工労動保護条例(修訂草案)》徴求意見会」2008.6.10(鄭州大学HPより)
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台湾の大法官会議:「売春を罰して、買春を罰しない」条項は「違憲」

 台湾では、今年6月、内政部が、売買春の「専区」を設置する方針を出して、さまざまな議論がおこなわれましたが(本ブログの記事「台湾:売買春の「専区」を設置する方針と人権・女性団体」)、11月、次のような新しい動きがありました。

司法院の大法官会議の憲法解釈

 11月6日、台湾の司法院(Wikipediaの説明[日本語])の大法官会議(憲法に関する判断をおこなう)は、社会秩序維持法の中の、売春を罰して、買春を罰しない条項(80条第1項第1款)(1)は、憲法第7条の平等権の原則(2)に違反しており、違憲であるとして、2年以内に失効させなければならないとしました(大法官解釈釋字第666號[司法院大法官HP])。大法官各自の意見書も発表されています。

 解釈の理由書では、社会秩序維持法の規定について、その目的は国民の健康や善良の風俗を守ることにあることは認めつつも、以下の2つの点で差別であると指摘しています。
 (1)性取引は売る側と買う側の共同のものであるのに、売る側と買う側とを差別している。
 (2)売春する側の多くが女性であり、とくに一部は社会的・経済的に弱者であるために性取引に従事する女性であるのに、彼女たちをさらに窮地に追いやることになるので、差別である。

 司法院の謝文定秘書長によると、大法官会議のこの解釈は、「売買春ともに罰すべき」とも、「売買春ともに罰するべきではない」とも主張しておらず、あくまで中立的なものだとのことです(3)。ただし、大法官による解釈の理由書は、国民の健康や善良の風俗を守るためには、行政機関は、性取引をする人に対して、健康の検査や安全な性行為のための措置をとったり、職業訓練などによって性取引を生活の手段にしなくてもよいようにするよう述べています。同時に、性取引の行為を制限する必要がある時は、処罰などの規定を設けることもできるとも述べています。

内政部などの対応(4)

 内政部は、当日の夜、セックスワークの「非犯罪化」「非処罰化」に向けて検討・対処すると表明しました。また、「専区」に関しては、原則的には公民投票ではなく、各県の政府や議会が決定するべきだと述べました。

 また、ある地位の高い警察官は、「現在、セックスワークの非犯罪化の方向に向かっているけれど、全世界にセックスワークの管理をしていない国家は一つもないので、『専区』か『禁区』を設けて、違反した者は処罰することになるだろう」と述べました。

セックスワーク労働権保障連盟――セックスワーカーを政策決定に参与させよ(5)

 日日春関懐互助協会(日日春)(Collective of Sex Workers And Supporters[COSWAS])は、大法官会議の解釈を、1997年の台北市の公娼の闘い以来のセックスワーカーと支援団体の闘いの成果として高く評価しました。日日春は、セックスワーカーの非処罰化の主張が多くの社会的支持を獲得してきたこと、以前はセックスワークの非処罰化に反対していた団体も、売春の非処罰化には賛成するようになったことを述べ、今回の決定は「アジアと華人社会に対して、肯定的な良い模範を示す働きをした」と述べました。

 そのうえで、日日春やセックスワーク労働権保障連盟(保障性工作勞動権聯盟)(日日春のほか、台湾性別人権協会(Gender/Sexuality Rights Association Taiwan)台湾同志諮詢熱綫協会工作傷害受害人協会愛滋感染者権益促進会国立中央大学性/別研究室風信子精神障礙者権益促進協会台湾国際労工協会基層教師協会、基隆市失業労工保護協会、柳春春劇社劇団角落関懐協会台北県慈芳関懐中心人民火大行動聯盟で構成)は、だいたい以下のような要求を出しています。
 ・成人の合意の上での性の取引は、売る側も買う側も罰するべきではない。ただし、性取引営業の公共の利益に関わる部分、たとえば公共衛生、場所、労働保護、周辺での犯罪の防止などについては、国家が適切で有効な管理の措置を取るべきだ。行政院や立法院は、売買春とも罰しないという立場に立ったうえで、「成人性取引管理法」を制定して、社会秩序維持法80条を廃止すべきである。
 ・場所に関しては、適切な制限はするべきであり、性取引の「専区」を設けることも一つの選択肢だが、中高年や弱者層のセックスワーカーの就労のために自営の生存空間を保障すべきだ。また、セックスワーカーと地域コミュニティとが共に決める意思疎通の場を設置すべきである。
 ・セックスワーカーを政策決定に参与させるべきである。内政部の劉玄兆前院長は、6月、「セックスワーカーの意見を取り入れなければならない」と述べたけれども、その後、内政部はセックスワーカーを政策の論議に招いていないだけでなく、私たちが電話で進み具合を尋ねても、返答ができる責任ある窓口さえなく、完全にカヤの外に置かれている。
 ・法改正をするための2年間の過渡期は、地方の県・市の首長は、警察に対して「セックスワーカーの取り締まりを成果に入れない」という政策を貫くべきである。たとえば台北市・台中市・高雄市の市長のように、イベントの期間、都市の外観を整えるために、弱い者(露店商人やセックスワーカー)をいじめるやり方はすべきでない。

反性搾取連盟――台湾は女性の体を売る上で世界の先頭に立つのか?(6)

 一方、「反性搾取連盟[反性剥削聯盟]」は、内政部が当日すぐに「セックスワークの『非犯罪化』『非処罰化』の方向で法改正する」と述べたことに対して、「多くの議論がある中で、にわかにこのような倉卒な対応をすることは、台湾を女性の体の売買において全世界の先頭に立たせることになる」という危惧を表明しました。

 反性搾取連盟は、勵馨社会福利福利事業基金会台北市婦女救援社会福利事業基金会(婦援会)台湾展翅協会(もと台湾終止童妓協会)、台湾女人連線基督教門諾会花蓮善牧中心中華民国基督教女青年会協会台北市晩晴婦女協会台北市女性権益促進会、中華恩加楽国際善工協会、愛慈基金会台湾少年権益与福利促進聯盟基督教台湾信義会基督教愛盟家庭文教基金会で構成されています。

 反性搾取連盟の人々は、おおむね以下のように述べました。
 ・アジアでは、性取引を全面的に合法化している国は一つもない。ヨーロッパでも合法化しているのは8ヵ国だけであり、非合法の国が19ヵ国、個人の性取引は違法でないが、組織的な活動(業者や仲介)を厳罰にしているのが19ヵ国である。
 ・性取引の実質的は、性的搾取であリ、もし性取引を全面的に合法化するなら、台湾の性的搾取の状況はさらに深刻になるだろう。セックス産業が産まれる真の原因は、国家が弱者の女性を大事にしていないことにあり、一種のジェンダーバイオレンスであり、売春は弱者の女性に対するきわめて大きな傷害と搾取である。これは絶対に公平な取引ではなく、まして一般の産業労働の交換関係ではない。やむをえず売春を「選択」しても、売春は彼女たちの貧困を解決せず、大部分の金は人買いやヒモ、業者の手中に入る。
 ・(台湾展翅協会秘書長・李麗芬):多くの大法官が、ドイツの「売春婦法律関係規範法(The Act Regulating the Legal Situation of Prostitutes)」を引用しているが、同法は成果が上がっておらず、施行5年後に全面的に同法の施行を続けるかが大きな論争になっている。
 ・(台湾女人連戦秘書長・蔡宛芬):性取引を合法化するか否かに関しては、各界に意見の違いがあるが、社会は「男が女を金でもてあそぶ」ことを許容すべきか否かを重視するべきである。社会はなぜか男の性欲に対して寛容で、「性取引」を議論する際に、「どっちみち禁止できない」などの意見が出てくる。そのコストは女性も含めた全国民が負わされる。政府にはジェンダー平等教育やトラフィッキング防止、セックスワーカーの転職訓練を重視してほしい。
 ・(立法委員・黄淑英):性取引の非処罰化≠合法化ではない。売春する者を処罰しないことには同意するが、将来台湾でセックス産業が発展することは希望しない。
 ・スウェーデンは「買春は罰して、売春は罰しない。搾取をする第三者は厳罰にする」というやり方で、性取引に従事する人の数を減らした。

 反性搾取連盟は、以下のような要求を掲げています。
 一、性取引が職業であること、ましてセックス「産業」であることに反対する。
 二、政府に、性取引関係のあらゆる公然とした客引きの情報と行為を厳禁するように要求する。
 三、性取引の中から利を得る第三者は処罰されなけばならず、そうしてこそ、いかなる形態の性搾取行為も途絶できると主張する。
 四、性を売る者の多くは経済的窮乏のために性取引に従事していることを理解しているので、性を売る者は処罰しないことには賛同するけれども、その労働権には反対する。
 五、買春客に補導課程を受けさせて罰金を払わせ、課程の関係費用は買春客に支払わせること、課程を受けることを拒否する者は罰金の金額を増やすべきことを主張する。
 六、政府は、女性のための福祉および就業政策を出して、女性が窮乏状況の下で性取引に従事することを選択しないようにさせなければならない。
 七、政府はジェンダー平等教育と人権教育の現在の成果を再検討し、具体的な改善措置を提出しなければならない。

両派とも国際的な応援も得て、県・市長の候補者に公開状

 女性に対する暴力撤廃国際デーの11月25日には、「反性搾取連盟」は、Equality NowのTaina Bien-Aimeさんやカナダ・韓国の性暴力反対組織の人々を招いて集会を開きました。
 参加者は口々に、次のようなことを訴えました。
 ・セックス産業とトラフィッキングは密接不可分な関係がある。
 ・もし合法化したら、台湾は国際的な買春天国になる。オーストラリアで合法化したら、女性に対する性侵害や性暴力は減らずに増え、他の国の人は、オーストラリアに買春に来るようになった。
 ・もし合法化したら、社会は、女性の体を商品と見なすようになる。
 ・オランダは性取引を合法化したが、多くのセックスワーカーはヒモや客による脅迫や暴力にあっている。ロッテルダムはセックス産業の「専区」の廃止を決定したし、アムステルダムは半分に減らそうとしている。 

 「反性搾取連盟」は、全国の17の県・市長の候補者に対して、選挙区内に「セックス産業の専区(紅灯区)」を設立ことに対する賛否を問う公開質問状を出しました。(7)

 一方、「セックスワーク労働権保障連盟」も、反性搾取連盟に対抗して、県・市長の候補者に対して、だいたい以下のような内容の公開状を出しました。
 ・性取引の政策は、複雑な公共政策の議題であって、一般的な道徳の是非の問題ではなく、「賛成」か「不賛成」か二者択一のみであるべきではない。「専区」は、性取引の実務的な管理の選択肢の一つであるにすぎない。
 ・県・市長の候補者が当選した後、専門的な作業グループを設立して、セックスワーカーの人権と公共の利益にともに配慮するという前提の下で、「どのようにして、その土地の事情に即した、有効な成人の性取引の管理政策を制定するか」を検討することを期待する。
 ・「セックスワーカーと性の消費者を処罰せず、実務的な管理をする」というのが、台湾社会の共通認識と世界の潮流である。日日春には、十年にわたる実務的経験と国際的な資料があるので、お会いして、各県・市が政策を制定する際に情報を提供したい。
 ・セックスワークは、性的搾取と同じではなく、セックスワーカーは、性的奴隷と同じではない。私たちはセックスワークの非処罰化を支持するとともに、反ヒューマントラフィッキングも積極的に支持する。合法化は、けっして完全にヒューマントラフィッキングやその他の犯罪を根絶することはできないが、合法化によって公権力はより有効な介入ができるようになる。セックスワークを非処罰化したのちに、国家はセックスワーカーを労働保護に組み入れなければならない。そうしてこそ彼女たちの労働条件を改善して、しかるべき賃金を獲得させて、不当な労働搾取を受けることを防ぐことができる。

 「セックスワーク労働権保障連盟」の主張にも、Global Alliance Against Traffic in Womenの創始者のLin Chewさんやアメリカ・オーストラリア・オランダ・イギリスのセックスワーカー組織の代表などから、声援が寄せられています。(8)

 大陸でも、葉海燕さんが「反性搾取連盟」の主張に批判を述べるなど(9)、国際的な注目も広がってきたように思います。

(1)「有左列各款行為之一者,處三日以下拘留或新台幣三萬元以下罰:
一、意圖得利與人姦、宿者。」
(2)「中華民國人民,無分男女、宗教、種族、階級、黨派,在法律上一律平等。」
(3)罰娼不罰嫖違憲 擬設紅燈區」『自由時報』2009年11月7日。
(4)同上。
(5)大法官撥開了性道迷霧」(2009-11-17)日日春関懐互助協会HP、
性勞聯1113採訪通知――内政部不要閉門造車,性工作者要參與決策」(2009-11-13)移民工資料庫
(6)反性剝削聯盟:台灣在販賣女體上領先全球!?」2009/11/13婦女救援基金會BLOG
(7)以上は、「婦援會參與11/25國際串連反對性產業合法化記者會」婦女救援基金會HP、「反對性產業合法 婦團盼候選人支持」中央社即時新聞2009/11/25、「婦團抗議性交易合法化開倒車」台灣醒報2009/11/25、「反對色情專區 婦團將訪縣市長候選人促表態」2009-11-25中時電子報
(8)給媒體朋友―性勞聯致各縣市長候選人的公開信」2009/11/25苦労網、「日日春:性産業合法 不一定得設專區」中央社即時新聞2009/11/25
(9)站出来反对性工作者合法化的是“反性剥削联盟”」(2009年11月30日)荼蘼花尽BLOG
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