2009-05

末次玲子『二〇世紀中国女性史』刊行

 末次玲子『二〇世紀中国女性史』(青木書店 2009年)が刊行されました(Amazonのページ)。

 20世紀の中国におけるジェンダー構造や家父長制の変革を考察することをテーマとした本です。

 序 章 女性史から二〇世紀を見る
 第1章 清末におけるジェンダー構造の改変
 第2章 女性たちの活躍と辛亥革命
 第3章 五・四時期=ジェンダー構造の変革に向かって
 第4章 国民革命と女性解放
 第5章 都市の女性と農村の女性
 第6章 抗争する二つの政権下の女性政策と女性運動
 第7章 日本の東北侵略とジェンダー
 第8章 日中戦争期の女性問題
 終 章 中華人民共和国における政治とジェンダー
 文献一覧
 あとがき
 人名索引
 事項索引
 関連年表

 末次先生は、女性史研究が現在よりはるかに困難だった時代から、中国女性史研究をすすめてこられました。私もいろいろご指導いただきながら、まだ何ほどの研究成果もあげることができていないことを恥ずかしく思います。
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女児に対する性侵害事件と法律問題

 2007年10月~2008年8月、貴州省遵義市習水県で、無職の女性(袁莉、37歳)が、中学を中退した少年(15歳)・少女(14歳)の2人と共謀して、多くの女子生徒(主に中学生)を脅迫して売春させていました。被害にあった女子生徒の11人は、みな18歳未満で、そのうち3名は14歳未満でした。

 女子生徒たちは脅迫されたり、騙されたりして辺鄙な所に連れて行かれて、麻薬を注射されたり、裸の写真を撮られたり、殴られるなどして脅迫され、売春を強要されていました。もらっていたお金も、20元、50元という小銭にすぎませんでした(1)

 今年4月から、この事件の裁判が始まりました。

公務員の腐敗

 今回とくに問題になったのは、起訴された21名のうち、5名は幹部クラスの公務員(県人事労働・社会保障局幹部、移民事務所主任、土地管理所所長、鎮の司法所幹部、職業高級中学教師、県の人民代表)であったことです。袁莉被告人は以前、旅館をやっており、その時にこうした公務員とも知り合ったため、買春をあっせんしたようです。

 また、現地の警察は事件を摘発せず、被害にあった子どもの保護者が事件を届け出ても、放置していました。事件を処理する際にも、「一般の売買春事件」として処理しようとしました(2)。その背景に、癒着や贈収賄がなかったかという疑問も出ています(3)

「幼女買春(嫖宿幼女)罪」と「強姦罪」

 検察は、幼女を買春した者たちを、「強姦罪」ではなく、「幼女買春(嫖宿幼女)罪」(4)で起訴しました。この点にも批判が出ています。

 中華人民共和国刑法の第236条(強姦罪)は、「相手が14歳未満の幼女と姦淫する者は、強姦と見なし、重く罰する」としています。強姦は「3年以上10年以下の懲役」で、「情状が劣悪」な場合は「10年以上の懲役・無期懲役・死刑」です。

 その一方、刑法は、第360条2項(幼女買春罪)では、「14歳未満の幼女を買春する者は、5年以上の有期懲役に処し、あわせて罰金を課す」としています。「有期懲役」は期限が「15年以下」に決まっていますから(刑法第45条)、「幼女買春罪」は、最低刑は強姦よりも重いけれども、「情状が劣悪」な場合でも、「強姦罪」ほどは重く罰せらません。

 また、中華人民共和国刑法では、「強姦罪」は「公民の人身の権利、民主的権利を侵犯する罪」に属するのに対して、「幼女買春罪」は、「社会の管理と秩序を妨害する罪」に属しています。これは、幼女が自分で売春したので、幼女にも問題があったとされているからです。しかし、今回の場合は、そもそも事件の経緯から見ても、女子生徒たちは、まぎれもない性侵犯の犠牲者でした(以上は、(5))。

 世論の批判があったためか、検察はいったん訴訟を取り下げ、「審理の過程で新しい事実と証拠を発見した」として、「補充捜査」をおこない、その上で改めて起訴をしました。しかし、検察は、袁莉被告人の罪名を「強制売春罪」に改めたものの、その他の被告人の罪名は、「幼女買春罪」のままでした(6)

 北京青少年法律援助・研究センター主任で、中華全国弁護士協会未成年者保護専門委員会主任の佟麗華さんは、そもそも「幼女買春罪」というものは廃止して、14歳以下の幼女との性行為は、すべて強姦罪にすべきだと主張しています。なぜなら、「幼女買春罪は、行為者が、相手が14歳未満の幼女であることを知っているか、そうかもしれないと知っていて、なお性関係を発生させるものであり、幼女姦淫の犯罪の構成に符合している」からです(7)

 昨年の全国政治協商会議でも、劉白駒委員が「刑法を改正し、『幼女買春』を強姦罪として処罰する提案」を出しています。劉委員は、「『幼女買春罪』は、幼女に『売春』する行為能力があることを認めているけれども、刑法236条の規定にもとづけば、性関係に対する幼女の同意は、彼女と性交した人の強姦罪の刑事責任を免除する根拠にはなりえない」と主張し、さらに「現実から見て、大多数の幼女の『売春』は強制されたものである」と指摘しています(8)

未成年に対する性侵害をめぐる他の法律的問題

 佟麗華さんは、他にも、未成年に対する性侵害に関する法律上の問題点を指摘しています。また、最近、北京青少年法律援助・研究センターは「性侵犯事件未成年被害者シンポジウム」を開催しましたが、そこでもさまざまな問題が指摘されました(9)。それらは、以下のようなものです。

 ・捜査段階で、未成年の被害者が被害の状況を繰り返し質問されることによって、二次被害・三次被害を被っている。被害者に対する質問は、できるだけ一回にとどめるとともに、質問のやり方を考慮したり、専門家の補助を得たりするべきである。「公安機関が未成年者の違法犯罪事件を処理する規定(公安機関辨理未成年人違法犯罪案件的規定)」を改正して、被害者の権利を保護するようにすべきだ。

 ・未成年者の性被害は、被害者の年齢が小さく、隠蔽されていることが多くて、しばしば未成年の被害者の陳述だけが証拠なので、立件が難しいという状況がある。現在は、立件の基準が厳しすぎ、一部の立証責任を被害者に転嫁している。立件の基準を調整し、少なくともまず捜査した後に、起訴するか否かを決めるべきである。

 ・被害者が精神的損害賠償を獲得する上で最大の障害は、最高人民法院が次のように規定していることである:「刑事事件の被害者が、被告人の犯罪行為によって受けた精神的損失のために起こした付帯民事訴訟、あるいは被害者が別に起こした精神的損害賠償の民事訴訟は、人民法院は受理しない」。精神的損害賠償に関して、法律で規定すべきである。

 ・未成年者の性被害は隠蔽されているので、医者や教師など、未成年者と接触が多い人に通報の義務を課すべきではないか。

 ・刑事訴訟法の規定では、被害者は、開廷の時刻や場所について知るとか、法廷での尋問で事件の内容を述べるとか、裁判長の許可を得て被告人や証人に質問できるなど、さまざまな権利が保障されている。しかし、未成年の被害者のそうした権利はしばしば無視されている(10)。とくに若干の基層や辺鄙な地区では、被害者が訴訟の進展状況や判決さえ知らないこともある。未成年の被害者が代理の弁護士を必ず指定できるよう、法律の中で指定代理制度を確立すべきである。

(1)貴州習水県多名公職人員渉嫖宿年幼女生(図)」『中国青年報』2009年4月3日。この事件に関しては、特集を組んでいるサイトもあり(「貴州嫖宿事件」鳳凰網、「貴州習水部分官員渉嫌“嫖幼案”」騰訊新聞)、日本のネットでも、「公務員宿舎で中学生11人に…! 衝撃の児童売買春、公判始まる─貴州省」(レコードチャイナ2009-04-12)という記事が出ています。
(2)公職人員嫖宿幼女法不容」大河網2009年4月8日。
(3)李英鋒「習水案:理応像“鉱難”一様問責」『中国婦女報』2009年4月18日。
(4)「幼女買春罪」とは、14歳未満の幼女を買春する罪。幼女が主体的に自ら望む、またはある種の原因で売春活動に従事している状況の下で、売春している者が幼女であることを知りながら買春の行為をおこなうこと。
(5)劉昌松「“強奸”変“嫖幼”,厳打還是放縦」『新京報』2009年4月7日、張栄麗「准確定是伸張正義的前提」『中国婦女報』2009年4月16日、李英鋒「掲穿“定罪嫖宿更厳癘”的謊言」『揚子晩報』2009年4月6日、【地方官僚VS人民】“犯した罪より面子が重い?”売春事件の刑事罰」サーチナ2009/04/08。ただし、法律をそのまま適用すれば、やはり「幼女買春罪」であるという指摘もあります(「習水侵害幼女案適用法律剣指何方」新華報業網2009-5-4)。
(6)貴州習水嫖宿幼女案発現新事実和証据 検方撤訴」『法制晩報』2009年4月22日、「習水嫖宿幼女案改由遵義市検察院提起公訴」新華網2009-5-17(『中国婦女報』2009年5月18日)、「順義検察院有関負責人就習水嫖宿幼女案基礎答問」法制日報2009年5月18日。
(7)専家建議取消嫖宿幼女案 均按強奸罪厳懲」『中国青年報』2009年4月13日。包蹇「習水案:誰選択了“明擺着的漏洞”?」(人民網2009年5月18日)も、強姦罪と幼女買春罪の境界が曖昧で、法律の抜け穴になっていると指摘しています。
(8)政協委員呼吁嫖宿幼女罪納入強奸罪 厳癘打撃犯罪」中国新聞網2009年4月20日。李克傑「从習水案看嫖宿幼女罪立法欠陥」(『燕超都市報』2009年4月11日)も、「刑法は、強姦(幼女)罪を規定するときは、あらかじめ、幼女(の)……性交の意思の表明は無効であるという基本的前提を置いている。その一方で、幼女買春罪を規定するときは、この前提を全面的に否定して、金銭または財産と取引する性交の意思を有効と認定し、そのために行為者に対する処罰を軽減しており、矛盾していると言うべきである」と述べています。
(9)法律存缺陥 未成年被害人很受傷」『法制日報』2009年5月9日。
(10)習水県の事件では、被害者の父親にも、開廷の日時を知らせておらず、入廷しようとしても許可されなかった事例がありました(「“習水嫖宿幼女案”受害者家属至今不知案件詳情」『広州日報』2009年4月14日)。
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フェミニズムとネット問題の公開研究会

中国とは関係ありませんが、以下のような公開の研究会をします。よろしければ、おいでください。

「フェミニズムとインターネット問題を考える」

フェミニズム運動はML、ブログ、ホームページなど、ネット媒体をどのように使ってきたのでしょうか。そして、ネットにおける人権侵害や「炎上」などの失敗例はなぜ、どのように引き起こされるのでしょうか。インターネットは市民運動の広がりに大きな役割を果たすことができますが、 日本のフェミニズム運動の場合、ネットの効果的利用自体がまだまだできておらず、失敗例も目立っています。

フェミニズムとネット問題研究会では、インターネット上で深刻な人権侵害問題を引き起こしてしまったフェミニズム運動体に関わった当事者としての視点から、その運動およびネット利用の分析、検証を行ってきました。フェミニズムや市民運動がネットを利用するために、どういった課題があるのか、どう対応したらいいのか、などについて考えるために、自らの検証結果を題材とした公開の研究会を開催します。

ネットと社会運動に関心ある方のご参加をお待ちします。

日時:6月21日(日)13:00―16:30

場所:弁天町市民学習センター 特別会議室

〒552-0007 大阪市港区弁天1-2-2-700(オーク2番街7階)

(地下鉄中央線「弁天町駅」西口2A出口より徒歩3分 JR環状線「弁天町駅」北口より徒歩3分)

http://www.osakademanabu.com/bentencho/

発言予定者:かとうちひろ、斉藤正美、田丸瑞穂、遠山日出也、宮下奈津子、山口智美 ほか

参加無料

問い合わせ先:斉藤正美 saitohあっとまーくp1.tcnet.ne.jp(あっとまーくを@でおきかえてください。)

主催:フェミニズムとネット問題研究会/グローカルフェミニズム研究会

(この研究会は、サントリー文化財団の「人文科学・社会科学に関する研究助成」プログラムによる助成を受けて開催されます。)
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中国各地で反ホモフォビア・トランスフォビア・デーの活動

 5月17日、中国でも、いくつかのところで、国際反ホモフォビア・トランスフォビア・デー(International Day Against Homophobia & Ttansphobia, IDAHO)(Wikipediaの説明。今年から反トランスフォビアが加わった)の活動がおこなわれました。

1.北京──大学生が自転車隊を組んで、各大学で宣伝

 北京では、16名の大学生が自転車隊を作って、国際反ホモフォビア・トランスフォビア・デーの宣伝活動をしました。彼らは、「同愛無国界(Love Knows No Border)」という字句が書かれた、揃いのTシャツを身にまとい、レインボーフラッグを掲げて、北京の7カ所の大学を回りました。各大学のボランティアの70人あまりも、この活動に加わりました。ボランティアには、LGBTの学生も、そうでない学生もいました。

 ボランティアたちは、国際反ホモフォビア・トランスフォビア・デーを紹介するカードや『同性愛のABC』というパンフ(1)など、宣伝物5000部あまりを配布しました。また、「同性愛者を理解し、差別に反対し、調和を築こう」と書かれた幕を準備して、そこに、署名をしてもらったりもしました。

 今回の活動は、中国大陸初の、国際反ホモフォビア・トランスフォビア・デーをテーマにした活動だと言われています(2)。ただし、中国大陸の他の場所でも、以下で述べるように、ごく小規模な活動はあり、その中には、以前からおこなわれていたものもあります。

(1)『同性恋ABC 関于性別和性傾向的基本知識与問答(同性愛ABC ジェンダーと性的指向に関する基本的知識と問答)』(PDFファイル)。このパンフは、「同性愛小辞典」と「よくある質問と答え」から構成されています。
 「同性愛小辞典」では、たとえば、「同志」という言葉について、「男女の同性愛、バイセクシュアル、トランスジェンダーの人々の別称。香港の監督の林奕華によって1989年に初めて使用が唱えられ、『志同道合(志と信念を同じくする)』を意味し、それによって社会の『同性愛』のスティグマ化に対抗する」と説明してあります。「同志」は、辞書などでは、(「志を同じくする者」という意味以外に)「同性愛者」と書かれている場合が多いのですが、やはり「LGBT」と訳したほうが良さそうです。「北京同志文化活動中心」の英訳も、「Beijing LGBT Culture and Activity Center」となっていますし。
(2)流動的彩虹――北京高校学生組自行車隊,支持“国際不再恐同日”」愛白網(2009-5-18)(写真多数)

2.南寧──レズビアンの人々が集団で献血

 中国にも「同性愛者は献血ができない」という暗黙のルールがあるそうです。広西蕾糸聯合社(Guangxi Les Coalition)のレズビアンの人々は、それに抗議する意味を込めて、集団で献血をしました。

 この活動を報告した記事では、「無言の抗議」と称されており、文中でも「ほほ笑みによって、その場の人たちに、私たちはレインボーの人だ! 私たちには献血する権利がある! 同性愛者=エイズではない! と告げた」と述べられていますので、公然と抗議したわけではないようです。といっても、写真を見ると、国際反ホモフォビア・トランスフォビア・デーのワッペンを付けたりしているので、少なくとも、「わかる人にはわかる」程度の意思表示はなさったのだと思います。

 広西省の南寧のようなところでは、大都市のように公然とした活動はできないということです。けれど、活動に参加した人は、「自分たちの活動で社会を変えていく」という意志を持った、ということだそうです。

 なお、同性愛者と献血の問題に関しては、日本でも同性と性交渉を持っている男性は禁止されており、それに対しては、さまざまな批判や抗議もなされてきました(全面的に否定する意見ばかりではないようですが)。ただし、日本の場合は、女性の同性愛者は最近、献血が可能になったようです。私は勉強不足で恥ずかしいですが、後日、また中国の問題も含めて報告したいと思います。

[資料]
Mis S「5.17“無声的抗議──広西蕾絲聯合社拉拉集体献血”」(2009-05-19)同語HP(写真多数)。著者のMis Sさんは、サイトも持っています。

3.広州──中山大学でフォーラム

 広州の中山大学ジェンダー教育フォーラムでは、当日の主催者2人が、国際反ホモフォビア・トランスフォビア・デーの由来やレインボーフラッグの由来、中国のLGBTQの活動の発展について語ったり、ジュディス・バトラー『ジェンダー・トラブル(性別麻煩)』のクィア理論について紹介しました。また、「なぜ必ず男/女という性別で世界を分けるのか?」「なぜ男の子は女の子と結びついてこそ正常と見做されるのか?」といった問題をみんなに投げかけました。

 また、呉幼堅さんを招いて、彼女が設立した同性恋親友会(Parents, Fammilies and Friends of Lesbians and Gays))の経験をお聞きしました。

 最後に、毎年このフォーラムがおこなっているように、キャンパスの芝生の上に、大きなレインボーフラッグを掲げました。

[資料]
李瑩瑩「牽手絵彩虹――性別和諧倡導日活動紀実」(2009-05-18)中山大学性別教育論壇HP

4.香港──デモの中で、宗教勢力に抗議してダイ・イン

 香港では、2005年から毎年おこなわれている国際反ホモフォビア・トランスフォビア・デーのデモが、5回目を迎えました。

 このデモのサイトでは、「この1年は、香港のLGBTとその平等のために闘う人々にとって、最も悲しい1年であり、性的指向による差別に満ちた1年だった!」と述べています。以下のようなことがあったからです。
 ・同性カップルをDV条例の対象にする改正が、何度も引き延ばされたこと。
 ・反LGBTのタリバン(原理主義者)がセクシュアルマイノリティを支援するNGOへの攻撃を強め、そのことがNGOの活動に困難をもたらしたこと。
 また、性別や障害、人種による差別を禁止する条例はすでに制定されているのに、性的指向による差別を禁止する条例が制定されていないことにも、怒りを強めています。

 今回のデモの主旨は、次の2点でした。
 1.香港政府に、すぐに、性的指向及びジェンダーアイデンティティに対する差別解消のための立法をすることを求める。
 2.差別のモンスターを打倒し、白色テロに反対し、私たちの平等に権利を実現する。

 デモには、約300人が参加し、白い布の上に横たわるダイ・インもおこなわれました。ダイ・インは、宗教勢力や立法会の委員が、同性カップルをDV条例の対象にすることに対して「同性愛を奨励するものだ」と言って反対するの行動を「白色テロ」に見立てたものだということです。

 You Tubeにいくつか画像も上がっています。
 IDAHO Hong Kong 2009「國際不再恐同日」香港區遊行
 黄毓民、長毛彩打虹手印國際不再恐同日 2009(黄毓民、長毛は、社民連の立法委員)
 社民連 黄毓民、長毛撑 國際不再恐同日 2009

[資料]
Hong Kong: 300 march to protest anti-gay legislators, demand equal rights」、「『第五届國際不再恐同日(香港區集会)』(IDAHOHK2009)遊行訪問片段」、「国際不再恐同日在香港:300人立法会抗議 促保障同志権益」愛白網(2009-5-17)(写真多数)
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「同性愛者の妻の会」開催、「同性愛者の妻の共同声明」発表

 3月27日と28日、青島で第1回中国同性愛者の妻の会(同妻会)(1)が開催されました。この会は、民間団体である「ピンクスペース性文発展センター(粉色空間性文化発展中心[Pink Space Sexuality Research Centre])」(2)が呼びかけ、組織したものです。

 この会には、男性同性愛者(ゲイ)の妻9人(すでに離婚した人が4人、結婚している人が5人)が全国各地(山東、遼寧、江蘇、河南、陝西、上海など)から集まりました。ほかに、既婚の男性同性愛者1人、恋愛中でエイズを感染させられた女性1人、ピンクスペース性文化発展センターの要員2人も参加しました。青島大学医学院附属医院教授の張北川教授もこの会を支持し、当日も講話をしました。

 中国には性的にアクティブな時期の男性同性愛者が少なくとも約2000万人いると言われ、そのうち結婚している人が80%(張北川氏)とか、90%(劉達臨氏)とかいいます。つまり、中国には、男性同性愛者の妻が少なくとも1600万人いるわけです。この点は、中国の場合、結婚圧力がまだ非常に強いこととも関係しているようです。

 同性愛者の妻は、精神的・性的満足が得られないだけでなく、多くの場合、粗末に扱われ、冷遇・無視されており、暴力をふるわれる人もいます。夫と離婚しようとしても、子どもや生活の問題、離婚に対する偏見など、さまざまな困難があります。

 しかし、同性愛者の妻のそうした境遇については、あまり知られてきませんでした。妻たちは、自分の性的欲求や夫が同性愛者であることを言いにくいのです。

 同性愛者の人権にについては、1990年代末以降、中国でも同性愛者の組織が結成されはじめ、社会的関心も少しずつ高まってきました。けれども、その陰にいる妻の人権については、まだ知られていません。

 そうしたなか、昨年から、ピンクスペース性文化発展センターは同性愛者の妻のための電話相談をおこなってきました(本ブログの記事)。また、インターネット上でも、同性愛者の妻たちは、「華人同妻網」とか「因愛而傷、天使折翅」とかいうブログサークルを作って、さまざまな交流をしてきました。

 会の当日、多くの参加者は、以前、ピンクスペース性文化発展センターのサイトでも報じられた体験談「私の夫は同性愛者だった」(「我的丈夫是同性恋」、本ブログの記事でも簡単に紹介した)と同様、夫から無視され、暴力もふるわれたことを語りました。それだけでなく、半数を越える人が、自殺を考えたといいます。

 もし夫が堂々と男を家の中に連れて来たら、妻はカヤに外に置かれますし、もし夫がこっそり夜に出かけると、妻は一人きりで、夜も眠れません。多くの妻は「夫を大切にすれば、夫は変わる」と思って努力しますが、そういうものでもありません。

 会では、離婚の困難さが語られるとともに、離婚した人からは「離婚を恐れてはいけない。離婚して初めて、生活は本来、幸せなものたりうることがわかった」という声も出ました。

 会では、参加者が直接顔を合わせて話し合えたというだけでなく、参加者が、みんなで他の同性愛者の妻が権利を勝ち取るのも助けていこうとを表明し、15条からなる今後の活動方針も立てました(「同妻家園目標及工作計劃(討論版)」)。その方針にもとづいて、同性愛者の妻の経験を集めて出版する計画をしたり(「徴集100名同妻的故事,歓迎大家参与!」)、インターネット上にフォーラムを作ったりしています(「錯愛同志論壇」、「天涯社区・同妻部落」)(3)

 さらに、以下のような「同性愛者の妻の共同声明(同志妻聯合声明)」を作成し(4)、発表しました(要旨です。詳しくは原文を参照してください)。

 1.同性愛者の妻の組織「同妻家園」を設立し、今後、さらに多くの同性愛者の妻に思いやりや援助を提供する。「同妻家園」の活動目標は、次のとおり──同性愛者の妻の生活状況調査をおこない、同性愛者の妻の経験を分かち合い、お互いに助け合い、欲求を表現しあい、権益を勝ち取ることを励まし、同性愛者の妻と既婚の男性同性愛者に援助を提供する。

 2.社会と関係部門(婦連、マスコミなど)に、同性愛者の妻に対する関心・研究・支持・援助を強めるように呼びかける。専門家や学者にも、同性愛者の妻に対する研究や援助を強めるよう希望する。

 3.社会の関係部門に、同性愛に関する科学的な知識の教育を強めるよう呼びかける。

 4.家族と社会は、子どもに対して結婚するように圧力を加えてはならず、同性愛者だという性的指向がわかっている未婚の男性同性愛者は、異性愛の女性との結婚を拒絶するように呼びかける。多くの同性愛者が同姓婚の実現を希望しているが、もし未婚の同性愛者が異性との結婚を拒絶しなければ、同性婚の提案が実現する上での困難は増大する。同時に、ジェンダー平等の声がますます高まっている今日において、同性愛者が自らの性的指向を隠して、事情を知らない異性と結婚することは、女性の権利に対する不尊重と軽視である。

 5.同性愛者の妻たちに、DVに対して「ゼロトレランス」の態度をとって、DVを拒絶するよう呼びかける。同性愛者の婚姻の中で、多くの同性愛者の妻が、肉体的にも精神的にも傷を受けている。

 6.同性愛者の妻たちに、エイズを積極的に予防・検査して、エイズと性病の感染を防止するよう呼びかける。同性愛者の妻に関する調査によると、少なくない妻が夫に性病を感染させられている。

 7.同性愛者の妻たちに、行動し、声をあげ、積極的な態度で勇敢に不幸な婚姻に立ち向かい、勇気を持って自らの性生活と幸福を表現し追求するよう呼びかける。積極的に同性愛者の妻の組織や社会各界の援助を求めよう。

 8.社会と家族に、離婚した女性や男性を、とやかく言ったり、差別したりしないように呼びかける。

 男性同性愛者の妻の問題は、セクシュアルマイノリティの問題、男と女の問題、結婚制度の問題などが交差した地点で発生した問題だと思います。同性愛者に対して偏見のある女性もいるでしょうし、難しい問題もありそうですが、今回の動きは全体として歓迎できるもののように感じます。

(1)「同性愛者の妻」と言っても、中国では制度的に同姓婚が認められていない以上、この場合の「同」は、男性の同性愛者である「ゲイ」のことですし、単に「同志」と言った場合、男性を指すようなニュアンスがないとは言えないので、ここは、「ゲイの妻」と訳したほうがいいかもしれません。けれど、ここでは字義どおりに「同性愛者の妻」と訳しました。
(2)何小培さんらがおこなっている、女性の性の権利を提唱する団体。活動対象は、女性のエイズウイルス感染者、女性のセックスワーカー、ゲイの妻、レズビアン・女性のバイセクシュアル、トランスセクシュアル、障害女性、シングルマザーなど。
(3)この会については、粉色空間「首届中国同妻会議在青島召開 相互支持争取権利」(2009-04-01)愛白網、何小培「首届中国同妻会議紀要」(『粉色空間通訊』第2期)、「同妻見面会」(特立独行的猪的博客)、「大陸(内地)首届"同妻"問題討論会(同妻会)在」(張北川的博客)参照。
(4)この声明は、当日発表されたものではなく、いったん草稿を作成して(「中国同妻聯合声明(初稿,請大家提出意見)」2009-04-08)、みんなに意見を提出してもらた上で、4月15日に発表されています。草稿と比べて決定稿の方が、「1」で、既婚の男性同性愛者への援助を表明したり、「4」で、同性愛者に対する結婚への圧力を指摘するなど、より男性同性愛者に配慮したものになっている個所があります。
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Author:遠山日出也
 検索から来られた方へ:このブログの記事を分類した一覧である「『中国女性・ジェンダーニュース+』記事総覧」を見ていただくか、下の「カテゴリー」欄を使われると、関連情報がご覧いただきやすいと思います。最近の行動派フェミニストについては、「中国の行動派フェミニスト年表、リンク集」をご覧ください。
 また、「中国女性・ジェンダー関係主要HPリスト」(リンク集)も併せてご覧いただければ幸いです。日本の問題の一部は、「ウィメンズ・アクション・ネットワーク(WAN)の労働争議・まとめ」や「館長雇止め・バックラッシュ裁判」でまとめています。
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