2008-07

『中国社会の中の女と男──事実とデータ(2007)』出版

 このたび、国家統計局社会和科技統計司編『中国社会の中の女と男──事実とデータ(2007)(中国社会中的女人和男人──事実和数据(2007))』(ネット書店「書虫」の書虫データベースの中のこの本のデータ)が発売されました。

 2004年版(国家統計局人口和社会科技統計司編『中国社会中的女人和男人──事実和数据(2004)』中国統計出版社 2004年)のほうは、国家統計局のサイトで全文読むことができますが(PDFファイル)、この2007年版は、まだサイトにはアップされていません。

 2007年版の構成は、以下のとおりです。
 序言
 社会経済発展の基本状況
 人口
 婚姻・家族と計画出産
 就労
 収入と社会保障
 教育
 衛生と健康
 政治参加と政策決定
 司法と犯罪
 省別のデータ

 2004年版は134ページだったのに対し、2007年版は147ページです。「収入と社会保障」という章が新設され、新しい項目がかなり入っています。ただし、新しいデータがない事項については、2007年版にはあらためて掲載されていませんから、2004年版も参照する必要がありそうです。

 新設された「収入と社会保障」の章を見てみると、「2005年全国1%人口サンプリング調査資料」(2005年全国1%人口抽様調査数据)に基づくさまざまなデータが掲載されており、たとえば、以下のようなことがわかります。
 ・城鎮(都市と農村部にある町)で就業している人の平均収入は、女性は男性の71.4%である。収入500元以下の人は、男性では23.1%だが、女性の40.6%がそうである。501-1000元は、男性の48.9%、女性の43.8%、1001-1500元は、男性の14.8%、女性の8.8%、1501-2000元は、男性の7.4%、女性の4.0%、2001─3000元は、男性の3.5%、女性の1.8%である。職業別に見ると、農・林・牧・漁・水利業に従事している人や商業・サービス業に従事している人は、特に収入の男女格差が大きい。
 ・城鎮の60歳以上の高齢者の生活費の源のうち、退職金や年金は、男性の場合は56.93%を占めるが、女性の場合は34.63%にとどまる。それに対して、家族の他のメンバーの扶養は、男性は20.66%であるのに対し、女性の場合は52.27%を占めている。農村では、男性の場合、労働収入が48.46%を占めているが、女性は27.51%である。農村の場合、家族の他のメンバーの扶養は、男性でも39.34%あるが、女性はさらに高く、68.45%である。
 ・城鎮で経済活動をしていない人の場合、各種の社会保険(養老保険、医療保険、失業保険)に入っているのは、退職後の人のことが多い。それに対して、各種の社会保険に入っていないのは、家事をしている人が多い。

 その他、印象に残ったデータは、以下のようなものです。
 ・離婚率──2003年:1.05→2006年:1.46
 ・避妊方法(2006年)──子宮内器具:48.0%、女性の不妊手術:33.9%、コンドーム:10.0%、男性の不妊手術:5.3%(以前より少しコンドームが増えているが、相変わらず避妊の負担は女性に片寄っている)。
 ・2006年の各クラスの指導幹部の中の女性の正の職位(「副〇〇長」ではなく「〇〇長」という意味)の占める比重──省・部クラス:1.0%、庁・局クラス:2.0%、県・処クラス:5.1%(ただし、2003年にはそれぞれ、0.2%、1.7%、4.6%であったのと比べると、伸びてはいる)
 ・女性弁護士の比率─2000年:13.3%→2006年:16.7%、女性裁判官の比率─2000年:20.4%→2006年:23.7%

 手元に置いておけば便利な冊子だと思います。ただし、男女比だけで、実数が示されていないデータが目立つ点などは気になります。きちんとした数値は、2005年全国1%人口抽様調査数据などの原典で確認する必要があります(ただし、原典が未発表のものもあるようです)。
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同性愛に対する中国の世論

 李銀河さんが、全国の大・中都市で、同性愛に対する公衆の態度を調査しました。ランダムサンプリングによって、400人から意見を聞いたそうです(「公衆対同性恋的態度」李銀河的博客)。

 以下、簡単に結果を紹介します。ただし、李さんは、質問や回答の文章自体や回答のパーセンテージ自体を示しているわけではありません。以下は、李さんの文中から、できるだけ李さんの表現のままに記したつもりですが、必ずしもニュアンスを正しく伝えていないかもしれないことをお断りします。

1.同性愛をどう見るか?
 全く間違っていない─2割
 少し間違っている──3割
 全く間違っている──4割近く
 態度不明─────1割近く
 *李さんのコメント:アメリカと比べて、完全に受け入れる人の割合(43%)も、完全に拒否する人(47%)の割合も低い。

2.自分が知り合った人の中に同性愛者がいたか?
 いた──7.5%
 *李さんのコメント:わが国の都市生活において、同性愛者の可視性はかなり低い。

3.知り合いが同性愛者だとわかっても、その人と友達でいられるか?
 友だちでいられる──6割を越える
 友だちになるのを拒絶──1/3

4.ある人が公然と自分が同性愛者であると認めたら、その人は学校で教師をしてもいいと思うか?
 「反対」の態度を取る人の方がやや多い。
 *李さんのコメント:ホモフォビアの深刻さがわかる。

5.もし子どもの教師が同性愛者であるとわかったら、学校に教師を換えるように要求してもいいか?
 半数をわずかに越える人が、同性愛者の教師を差別し、半数よりやや少ない人が、同性愛者の教師を尊重した。

6.同性愛をテーマとする映画やテレビ番組を国内で公に放映することを許可するべきか?
 賛成─5割半
 反対─4割あまり

7.就職の機会を平等に与える
 賛成─91%
 *李さんのコメント:アメリカの1983年(65%)、1996年(84%)よりも高い。

8.家族のメンバーが同性愛者だったら?
 完全に受け入れる──1割より少し多い
 全く受け入れない──1割より少し多い
 我慢して許すが、変わることを希望─3/4

9.同性愛者の婚姻を認める法律に対して
 賛成─27%
 反対─7割

10.「同性愛者と異性愛者は平等な人間だと思うか」
 賛成─8割を越える
 同性愛者と異性愛者は身分的に不平等だ─15%

 全体として、李さんによると、年が若くて、職業的地位が高く、未婚で、収入が多く、教育程度が高く、都市の規模が大きいほど、同性愛者の権利に対して寛容・尊重の傾向があるという結果が出ているそうです。

 私には日本との比較はわかりませんが、中国も同性愛者の人々には生きにくい社会であることは間違いありません。同性愛者の問題が自分の身近な問題であるほど拒否反応が強いというのも同じだと思います。

[追記]
 『GALA銀河』第2号の48-77頁に「在同性恋問題上的公衆的態度」として、この調査結果が詳しく述べられています。
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