2008-06

『中国の農村女性の状況調査』出版

 今年2月、甄硯主編『中国の農村女性の状況調査(中国農村婦女状況調査)』(社会科学文献出版社 2008年)(ネット書店「書虫」の「書虫データベース」のこの本のデータ)が出版されました。

 この本には、以下の1~3の3つの調査が収められています。いずれも、党の指導の下にある、中国唯一の全国的女性団体である中華全国婦女連合会(婦連)の下におこなわれた調査です。そのため、類似の調査と比べて、以下の特色があるように思います。
 ・いずれも大規模な調査である。
 ・一般の調査よりも明るい面が強調されている傾向が若干ある。また、直接、性差別について問うような質問は少ない。
 ・婦連の活動に関する調査が含まれている。下の1の調査に関しては、新農村建設、2の調査に関しては、西部大開発、3の調査に関しては、農民労働者支援をめぐる婦連の活動を改善する点にこれらの調査の大きな狙いがある。そのため、これらの調査報告には、婦連の活動などに対する提案も含まれている。

 調査の具体的な内容については、多すぎて書ききれませんが、以下、私がメモした中からいくつかの点を紹介してみます(ただし、婦連の活動に関する調査については、あまり書けていません)。

1.一万名の農村女性の新農村建設参与アンケート調査

 この調査は、2006年に、10の省(河北・吉林・江蘇・浙江・江西・河南・湖南・四川・雲南・甘粛)の村の女性に対しておこなった。東部・中部・西部の各地域をカバーしていることが特色である。

 「農作業は主に誰がしているか?」という問いに対しては、どの省でも、「夫婦で共同でしている」という回答が最も多く、全体の54.0%を占めている。ただし、「夫」という回答(14.0%)よりも、「自分(妻)」という回答(20.7%)のほうが多い。「自分(妻)」という回答は、とくに甘粛(32.4%)や四川(33.0%)で多く、男性が都市に出稼ぎに行っていることを示している。

 「家事は主に誰がしているか?」という問いに対しては、「自分(妻)」という回答が最も多く、49.2%である(「夫」は3.2%、「夫婦で共同」は40.4%)。この点に関しては、東・中・西部という経済発展の水準とは無関係だと指摘されている。ここからは、女性が、農作業も家事もやっているという状況が浮かび上がると思います。

 テレビの普及率は98.5%、洗濯機は74.1%、冷蔵庫は46.4%。テレビは、どの省でも97%を上回っている。しかし、洗濯機に関しては地域差が大きく、甘粛・湖南・吉林・江西の各省は60%程度しか普及していない。冷蔵庫は、甘粛・吉林で20%程度、雲南で30%程度、河南で37.6%、四川で44.7%しか普及していない。

 食事のための燃料は、柴(たきぎ)が47.1%、ガス23.5%、石炭21.6%、メタンガス6.2%。ガスが4割を越えているのは、浙江(49.0%)と江蘇(44.2%)だけである。

 家庭用水は、水道が54.8%、自家の井戸が39.3%、外で水を汲むが5.3%。水道は、江蘇(99.1%)、河北(92.5%)、浙江(87.0%)でよく普及している。外で水を汲む人が多いのは、甘粛(25.9%)、湖南(11.8%)。

 「現在の一番心配」は(多項選択)、「家族の病気」が62.7%、「子どもの教育費が高すぎる」が49.6%、「収入の保障がない」が41.3%、などとなっている。「出稼ぎに行ったことがある」人は、35.9%である。出稼ぎに行ったことがない人に、その理由を聞くと、「行きたいけれども、年寄りや子どもの世話をしなければならないので、行けない」が31.7%と最も多い。

 「農民のために政府に何をしてほしいか?」(多項選択)については、「農民も医療・養老保険に入れるようにする」が53.5%、「大学に合格した農村の子どもに、もっと学費の減免と優待政策をする」が42.0%、「農民のために、質が良くて安価な医療サービスをする」が38.6%。

2.西部の5000名の農村女性の発展状況アンケート調査

 この調査は、2007年に、西部(内蒙古・広西・重慶・四川・貴州・雲南・陝西・甘粛・青海・寧夏)の村でおこなわれた。

 調査対象者は26~46歳に集中しているが(79.8%)、平均就学年数は7年(4割あまりが小卒、5割弱が中卒、1割弱が高卒)。出稼ぎに行ったことのある人は、43.7%で東部よりも多い。

 一年の家庭の粗収入は12212.2元で、東部地区が23748.5元であるのと比べて、約半分である。女性の個人収入は1825.3元で、東部地区が5537.6元であるのに対して、非常に格差が大きい。また、67.6%の家庭には貯蓄がなく、57.7%の家庭に借金がある(原因は、家を建てた、子どもの進学、病気の治療など)。

 食事を作る燃料は、薪(43.8%)、石炭(22.7%)、ガスまたはメタンガス(18.2%)の順。水は、水道(60.7%)、自家の井戸(28.0%)、川や谷川の水を汲む(5.8%)の順。固定電話がある家は61.1%。

 98.2%の回答者が、家庭の経済状況に不満足である。経済状況が良くない原因は、「資金がない」「生産技術がない」「市場の情報がない」「家の中に病人がいる」「労働力が足りない」である。

 彼女たちが持ってる技術は、農作業(66.2%)中心。学んだのは、自学(55.0%)、家の中の年長者(46.9%)。生産における困難は、「資金がない」「生産技術がない」「良いアイデアがない」。

 ここには書ききれませんけれども、この調査には、とくに婦連の政策に関する質問が多いです。また、この調査の報告は、以上の調査結果をもとに、女性に対する資金の提供、科学技術・職業訓練についてさまざまな提案をしています。また、出稼ぎには行きにくい女性のために地元の産業を振興することなども提案しています。それらの提案は、みな、女性の要求の独自性に注目した提案ではあるのですが、男性と女性とのトータルな関係を変えるという意味での「ジェンダー」視点のある提案は乏しいように思います。

3.都市に行って働いている1千名の女性のアンケート調査

 この調査は、2006年に、北京・上海・南京・厦門・成都・石家荘・瀋陽・鄭州・紹興・東莞の10都市で、農村から来た女性労働者を対象におこなったものである。

 調査対象者の年齢は、30歳以下が63.2%である。学歴は、初級中学以上が48.7%で、高級中学以上も38%おり、小学校以下は13.4%だけであり、農村女性にしては高いと指摘されている。未婚が49.7%で、既婚が47.3%である。既婚の場合、78%は夫と一緒に生活している。

 職業は以下のとおり。
 ・54.8%がサービス業の従業員で、そのうち飲食サービス業の服務員が22%、酒場や旅館の服務員が13.6%、清掃労働者が12.1%、美容業の服務員が11.7%。
 ・23.6%が工場の労働者で、そのうち衣服の加工が34.5%で、玩具の加工が33.6%。
 ・野菜や果物を売ったり、小さな食堂をしたりなど、その他の職業の人が12.1%。
 ・会社の職員や管理者になっている人も、それぞれ8.4%、10.3%。

 月収は、800元程度が最も多く(500元以下が25.2%、501~700元が23.4%、701~900元が23.1%、901~1100元が13.2%、1100元以上が15.1%)、平均は926元(収入がない人と10000元以上の人を除いて計算)。配偶者の月収は1000元程度が最も多く、平均は1750元。

 出稼ぎの動機は、「家では金を稼げないから」(36.9%)、「個人の発展に有利だから」(26%)、「世間を知りたい」(24%)など。後二者の動機は、若い世代に多い。故郷に仕送りをしている人が52%(していない人も32%いるが、もともと一家で都市にいる人が17%)で、1年に2000元程度する人が最も多い。モノを故郷に送っている人は73%(カラーテレビ、携帯電話、冷蔵庫など)。

 毎日の労働時間は、8時間以下は35.2%、9~10時間が40.0%、11~12時間が15.1%、12時間以上が9.7%。しかし、法定の割増賃金をもらえているのは28%だけ。休暇は、月に4日が34.2%、2日が19.7%、1日もない人が17.5%、3日が8.2%、1日が7.8%。会社と労働契約をしているのは、48.2%にとどまる。

 何の社会保険にも入っていない人が49.1%。基本的医療保険に入っている人が22.3%、基本的養老保険(日本で言う年金)に入っている人が18.8%、失業保険は15.8%、労災保険は15.4%。出産保険は0.8%。産休中は基本賃金を下げられたり、無給の人が30.1%で、妊娠や出産で辞めさせられる人が21.0%。

 職場が食・住の面倒をみている人が56.2%で、特に工場の労働者の場合は75.1%に達する。その場合、2人か3人で同じ部屋に住むことが一般的だが、5人以上の場合も37.5%、10人以上が3.7%。

 余暇の過ごし方は、テレビを見る(72.8%)、睡眠(70.5%)、街をぶらつく(60.5%)、世間話をする(50.5%)、本や新聞・雑誌を読む(50.7%)である。「睡眠」が多いことに労働のきつさ、労働時間の長さが反映している。

 病気になった場合、「まず我慢する」が26.5%、「自分で薬を買って飲む」が36.9%、「診療を受ける」が36.6%(そのうち「正規の病院に行く」は24.8%)。医療費の問題が大きい。

 ただし、都市に来て自分の生活が「ずっと良くなった」という人が28.5%、「いくらか良くなった」という人が58.2%である。具体的には「知識・教養を学んだ」(44.4%)や「世間を知った」(42.4%)という精神的な面が多く、それに次いで、「金を稼げた」(38.2%)である(この点については、調査対象に30歳以下の若い人が多かったこととも関係があると推定されている)。また、自分を「幸福」、「わりあい幸福」と感じている人が50.2%で、「ふつう」が42.4%である。ここらへんは、故郷の農村の貧しさの反映という面もあるでしょうが。

 生活に対する(精神的な)圧力について尋ねると、「収入が少なく、保障がない」(62.5%)、「都市に家がなくて、気持ちが落ち着かない」(54.5%)、「学歴が低く、技術がない」(54.4%)、「仕事がきつすぎる」(50.2%)、「仕事が良くない、あるいは不安定」(49.8%)という答えが多い。「都市に家がなくて、気持ちが落ち着かない」という答えは、25歳以上で多い。

 一番心配していることは、「仕事が不安定」(77.3%)、「病気になる」(69.9%)、「賃金のピンはね、遅配欠配」(43.6%)、「子どもが正規の学校に入学できない」(38.3%)である。

 85.3%は婦連を訪問したことがない。ただし、訪ねたことのある人の中では、都市に行った後に訪ねた人が多い(9.2%)。政府への希望としては、「都市と農村の戸籍の区別をなくす」(85.3%)、「都市で仕事をする女性に職業訓練をする」(68.1%)、「都市に行って仕事をする者の権利の保護を助ける専門の機構を作る」(62.2%)、「都市に出て仕事をする女性を社会保険に入れるよう使用者を監督する」(61.3%)が多い。

 以上、農村女性がさまざまな困難を抱えていることや、同じ農村でも地区による格差が大きいこと、政府の農民に対する医療や教育、社会保障政策の問題点などがわかります。なお、この本には、出稼ぎ女性31名に対するインタビューも、60ページ近くにわたって収録されています。
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北京で初めて『陰道独白』が上演される

 この6月4日、北京の首都師範大学図書館学術報告ホールで『陰道独白』が上演されました。北京で初めての上演です(1)

 『陰道独白』は、もともとはアメリカの劇作家であるイヴ・エンスラー(Eve Ensler)が「ヴァギナ・モノローグ(The Vagina Monologues)」として書いたものです(邦訳は、岸本佐知子訳『ヴァギナ・モノローグ』白水社 2002年)。「女性への性暴力に対する告発と反抗であるだけでなく、女性の情欲の正視と肯定でもある新しい潮流」(栄維毅)という意味からも、中国でも注目されているようです(2)

 今回の北京での上演は、この演劇を見た多くの男性たちも皆泣き出すほどの感動を与えました(出演者は、男性1人を除いてみな女性)(3)

 この演劇が北京で上演されるまでは、紆余曲折がありました(4)

 中国大陸で初めて『陰道独白』が中国語で上演されたのは、2003年12月7日、家庭内暴力反対ネットワーク中山大学ジェンダー教育フォーラム(この2つのサイトから「陰道独白」で検索すると、多くの情報が出てきます)が共催して、広州美術館で上演したときです。監督は、中山大学教授の艾曉明さんでした。また、この上演は、単に英語を中国語に翻訳したのではなく、中山大学の演出グループの女子学生たちが、自らの経験に加えて、自分の母親や祖母、その他の女性を取材しておこなわれました(5)

 2004年の2月14日のバレンタインデーの前後には、専門の劇団が上海と北京でも『陰道独白』を上演しようとしました。しかし、この上演は禁止されました。このとき、艾曉明さんは「あたかも誰かが私の喉を絞めて、息をできなくさせたようだ」、「女性たちが自分の身体を語り、自分の経験を語り、自分の欲望と想像を伝える、その想像の権力が禁じられた」、「私は苦痛を感じた。私は女性が全体として差別され、自由に意志を表現し伝えることができないと感じた」、「多くの女性は、彼女たちが傷つけられ、セクハラされ、強姦され、暴力をふるわれても、意志を表現し伝えることができない」、「一つの作品の善し悪しは、誰もが批評することができる。しかし、ヴァギナのことを話すから上演を許可しないというのは、別問題である」と怒りました(6)

 ただし、同じ2004年の5月13日、上海で復旦大学の学生たちが、キャンパスの中で『陰道独白』を上演しました。復旦大学では、その後毎年『陰道独白』が上演されており、そのためのブログも設けられています(V-day在復旦)。内容も毎年そのつど異なっており、2006年からはレズビアンやセックスワーカーの視点も取り入れられています(7)
 (「V-day」とは、「女性が暴力と戦って勝つ」という理念のもとに、2月14日のバレンタインデーから3月8日の国際女性デーまでにおこなわれる各種の活動で、VはVictory、Valentine、Vaginaを表しています。国際的な運動ですが、拠点はアメリカにあります[V-Day Organization]。)

 また、2005年には、広西南寧華光女子中学の女子中学生(日本の中学生と高校生に当たる)も、劉光華校長の指導の下に上演し、広西の他の中学を巡回しました(8)

 今回の北京での上演は、大学の中での上演であり、より一般的な場で上演が可能なのかどうなかはわかりません。しかし、中国でも『陰道独白』の上演がさまざまな形で続けられていることは確かです。方剛さんは、『陰道独白』と同じように、『陰茎道白』を作成する構想を述べていましたが、そうしたことも大切だと思います。

(1)ただし、北京大学では、以前、北大劇社が『陰道独白』をもとにしつつも、それを大きく変えた『她*独白』という公演をしたことはあるようです(「北大劇社夏季公演《她*独白》」反対家庭暴力網|「我去看了北大的演出」V-day在復旦)。
(2)栄維毅「《陰道独白》与女性主義的理論和実践」『項目通訊』21期(反対家庭暴力網)
(3)荒林「終于在北京成功首演了《陰道独白》」両性視野サイト。出演者の感想もupされています(「健康与勇气:《陰道独白》在北京高校成功首演」両性視野)。
(4)明「情人節的礼物──美国経典名劇《陰道独白》介紹」女権在線サイト
(5)卜衛「戦勝暴力日(V-Day)与全球反対針対婦女和女孩的暴力運動」『項目通訊』21期(反対家庭暴力網)。
(6)「立法消除歧視 維護婦女権利 艾曉明教授2004年三八節前夕回答媒体採訪広東中山大学性別教育論壇網站」『項目通訊』21期(反対家庭暴力網)
(7)陳亜亜「関于復旦《陰道独白》我所知道的」女権在線サイト
(8)「成長:広西華光女中第20場《陰道独白》演出側記」「《陰道独白》広西高校巡演」(ともに反対家庭暴力網)。
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セックスワーカーのためのセンターの機関紙

 中国のセックスワーカーのための3つのセンターの機関紙が、そうしたセンターの一つである「女性ネットワークおよび研修センター」(婦女網絡及培訓中心)のサイトからダウンロードできるようになりました(「項目文件転載」のコーナー)。

 ダウンロードできるのは、次の3つのセンターの機関紙です。いずれの機関紙も、センターの「通信[通訊]」という名称であり、何かの社会的主張をするというよりも、セックスワーカーに読んでもらうためのものです。

1.膠州愛心健康サービス相談センター(膠州愛心健康服務中心)(山東省)

 このセンターには、一応、独自のサイトもあります(膠州愛心健康諮詢中心

 このセンターは、オランダと香港のオックスファム、香港の紫藤の資金援助を得た非営利の国際的公益プロジェクトだということです。その趣旨としてうたわれているのは、「主に社会的な弱者集団やハイリスクグループのために、無料で健康の知識の相談や性病・エイズ予防の知識の相談を提供し、婦人科の検診・検査をし、無料で宣伝資料を提供し、無料でコンドームを提供する」ということです。その他にも、無料で、美容の知識やマッサージの技能、パソコン入力についての訓練もしているそうです(これらは、職業訓練だと思います)。

 このセンターが2005年7月以降ほぼ毎月発行している機関紙がすべて読めます(『膠州愛心健康中心通訊』)。機関紙に掲載されている記事は、避妊(コンドームなど)、月経、妊娠中絶、性病(エイズ、梅毒、淋病など)、婦人病、薬物についてのものが中心です。毎号、「姉妹の悄悄話(ひそひそ話)」というコーナーも設けられています。このコーナーは、仕事を始めたばかりの女性と、仕事の経験を積んで、現在はセンターで健康相談をしている女性、センターの医者の3人がさまざまな具体的問題について語り合うスタイルで書かれています。また、このセンターは、毎年、無料で行楽行事を組織して、セックスワーカーが日ごろの憂鬱を忘れて、交流をする機会を作っているようです。

2.広州関愛女性健康センター(広州関愛婦女健康中心)

 このセンターは、目的として「弱者層である周縁女性の職業上の安全、職業上の健康に注意し、彼女たちの社会的地位を向上させる」ことをうたっています。毎週3回、午後、セックスワーカーのところに行って、彼女たちの仕事の状況や生活を知るとともに、さまざまなサービスをしているそうです。

 このセンターの2008年の機関紙がダウンロードできます(「広州関愛婦女健康中心2008年通訊」)。警官を装った窃盗や警官への対応のし方、コンドームの選び方・使い方、顧客に使わせる方法などの問題も取り上げています。

3.女性ネットワークおよび研修センター(婦女網絡及培訓中心)(北京?)

 このセンターについては、以前、このブログでも紹介しました(その時の記事

 2008年の機関紙がダウンロードできます(「婦女網絡及培訓中心2008年第一期通訊」)。薬物や妊娠中絶、警官を装った詐欺、月経の遅れなどについての記事があります。

 記事の内容はいずれもセックスワーカー向けのなのですが、センターの趣旨としては、そのようには明確に謳われていないのは、中国では売買春が非合法であることと関係しているのでしょうか。さまざまな記事の内容からは、中国のセックスワーカーが置かれた状況が、少しだけですが、見えてくるように感じます。薬物の記事があるのは、そうした状況に置かれた女性がしばしば薬物中毒になることを示しているのでしょう。
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中国の男女賃金格差や性別職業分離に関する実証研究

 最近、中国の男女賃金格差や性別職業分離に関する研究が日本でも続々と発表されています。馬欣欣氏や石塚浩美氏によるもので、いずれも実証的なものです。手法としては、近代経済学の手法を使っています。また、日中比較に重点が置かれたものが目立ちます。

 以下、メモしたことを簡単にご紹介します(2007年以降の論文にかぎる)。

1.馬欣欣「日中における男女間賃金格差の差異に関する要因分解」『日本労働研究雑誌』560号(2007年)

 この論文は、男女間賃金格差に、以下の2つがいかに影響しているかに注目している。
 (1)人的資本……学歴および勤続年数、経験年数。
 (2)賃金決定制度……「マクロレベルの賃金決定制度」(法規制、国家の介入、労働組合の団体交渉)と「企業における個別レベルの賃金決定制度」のどちらが優位か?→集権型か分権型か

 データは、中国については1999年中国家計調査の個票、日本については2004年慶応大学家計パネル調査の個票を利用している。

 計量分析の結果、以下の点が明らかされている。
 第一に、中国より、日本のほうが男女間賃金格差が大きい。
 第二に、人的資本と賃金決定制度の両方が、男女賃金格差の日中の差異に寄与している。
 第三に、賃金決定制度に比べて、人的資本のほうが日中の男女賃金格差の差異に与える影響が大きい。具体的に言えば、男女間の勤続年数の相違(←結婚出産の際に退職する女性が多いか否か)が、日中の差異の最も主要な要因である。
 第四に、低労働所得層に比べ、高労働所得層のほうが日中の差異が大きい。

 以上の結果から、以下のことが提示されている。
 第一に、日本では、出産育児期の就労継続を促進することが重要な課題である。
 第二に、中国でも、経済改革によって賃金決定制度が集権型から分権型に変化したことによって男女間賃金格差が拡大した。それゆえ、男女平等の労働政策や労働組合の機能向上が必要である。

2.馬欣欣「性別職業分離と男女間賃金格差の日中比較──日本と中国の家計調査のミクロデータを用いた実証分析──」『中国経済研究』4巻1/2号(2007年9月)

 この論文は、職業性別分離が日本と中国の男女間賃金格差にそれぞれどのような影響を与えているかについて、数量的に明らかにしたものであり、以下の特徴を持つ。
 ・男女間格差を職業内格差と職業間格差に分けた。
 ・職業分類については、国際基準における職業の大分類にしたがって分類した。
 ・年齢変数および勤続年数変数を設定し、両者の効果を考察した。
(データは、上の2の論文と同じ。)

 研究の結果、以下の結論を得ている。
 第一に、両国とも、男女間の職業分布の相違が存在し、これが男女間賃金格差に寄与している。
 第二に、日中とも、職業内格差が男女間賃金格差全体に占める割合は、職業間格差よりも大きい。この問題は中国よりも日本において深刻である。

 その他、以下のような知見も示されている。
 ・中国では勤続年数が男女の賃金に有意な影響を与えないのに対して、日本では、勤続年数が長いほど賃金が高い(製造職の男性、事務職の女性)。その理由は、中国と違って、日本では企業内職業訓練が重視されていることにある。
 ・家族構成の影響については、既婚であることは中国における男女の賃金に有意な影響を与えない。しかし、日本の場合は、技術職とサービス職において既婚であることは女性の賃金にマイナスの影響を与える。

3.馬欣欣「中国における雇用調整と再就職後の賃金の男女格差──2002年中国都市家計調査を利用した実証分析」『日本労働研究雑誌』571号(2008年)

 この論文は、2002年中国都市家計調査の個票を利用し、中国都市部における雇用調整と再就職後の賃金の男女格差に関する実証分析をおこなっている。

 その結果、以下の点を明らかにしている。
 第一に、男女とも、教育水準が低いほど、失業者になる可能性が大きくなるが、人的資本を含む他の条件が同じでも、失業者になる確率は、女性のほうが男性より高くなる。
 第二に、男女とも、年齢の上昇とともに、失業期間が高くなるが、人的資本を含む他の条件が一定であれば、失業期間は、女性の方が男性より長い。また、政府・企業の斡旋を通じた再就職の場合、失業期間が短くなる。
 第三に、人的資本が大きいほど、再就職後の賃金が高くなる。しかし、人的資本を含む他の条件が同じでも、再就職後の賃金は、女性の方が男性より低くなり、つまり、再就職後の賃金の男女格差が存在する。

4.石塚浩美「中国における男女間職業分離仮説の実証分析──お茶の水女子大学F-GENS中国(北京)パネル調査2004の小分類職種データを用いて──」『F-GENS Journal』No.9(2007年)

 石塚氏には、すでに「中国・北京の男女間賃金格差とジェンダー──F-GENS中国(北京)調査を用いた要因分解分析」(『F-GENS Journal』No.5[2006年])という論文がある。

 今回の論文は、F-GENS中国(北京)パネル調査2004の回答を丁寧に整理することによって利用可能になった、中分類職種データや小分類職種データを使っている点に特徴がある(たとえば看護師は、大分類では「専門的・技術的職業従事者」、中分類では「衛生技術者」であり、小分類ではじめて「看護師」と分類される)。

 分析の結果、以下の知見を得ている(abstractより)。
 ・中国全体の性別職業分離の特徴は、「生産・運輸設備操作作業者」に女性就業者比率が高い職種が多いことが特徴である。ただし、軽工業が中心である。
 ・北京市中央8区の中分類職種における男女の職業分離は、統計的有意に認められた。
 ・北京市中央8区の小分類職種における男女差を評価し実証分析したところ、女性多数の3つの職種のうち、「公共の社会サービス従事者」を除いて、「会計・事務」および「ホテルの接客従業員」のいずれも、女性は男性に比べて有意に賃金が低い。限定的ながら、中国男女間における同一職種内の職業分離仮説が認められた。

5.石塚浩美「なぜ中国で女性の管理職が少ないのか」お茶の水女子大学21世紀COEプログラム「ジェンダー研究のフロンティア」(F-GENS)プロジェクトB編『家族・仕事・家計に関する国際比較研究:中国パネル調査第3年度報告書』(2007年)

 この論文は、F-GENS中国(北京)パネル調査2006にもとづくものであり、以下の点を明らかにしている。

 ・管理職比率は女性24.6%、男性32.0%であり、日本と比べて女性管理職が多い(日本は女性9.1%、男性22.5%[課長補佐・係長相当以上])。ただし、上級の管理職には女性は少ない。
 ・女性が「職位なし」である比率が高いのは、非国有企業、国有企業、党・政府機関の順である。すなわち市場経済化の影響が強い企業ほど、企業管理職の割合が男性優位になっている。ただし、女性の上級の管理職は、党・政府機関や国有企業にはいない一方で、非国有企業には、人数は少ないが、女性の上級の管理職がいる。
 ・正規従業員のうち、男女とも7割程度が、女性の管理職は男性に比べて少ないと考えている。
 ・女性に管理職が少ない理由を尋ねると、全体としては、男女ともに「男性は責任ある仕事をするチャンスを与えられるから」「人事決定権のあるポストに男性が多いから」という回答が多い。順位は下がるが、「男性には妊娠・出産がない」「男性には家事・育児介護の負担がない」という回答は、女性の方が男性より多い。順位は下位だが、「女性は男性よりも能力が劣るから」という回答に同意した人も、男性で44.6%(女性で35.3%)いた。

6.石塚浩美「北京・ソウル・日本における労働市場の変化とジェンダー」篠塚英子・永瀬伸子編著『少子化とエコノミー』(作品社 2008年)

 この論文は、F-GENSの北京とソウルのパネル調査のデータに、日本に家計経済研究所のデータなども加えて、北京・ソウル・日本の比較をおこなっている。

 その結果、以下の点を明らかにしている。
 ・政府統計を見ると、女性の就業中断傾向は、韓国や日本と違って、中国では認められない。しかし、中国では労働力率は40代後半から急落しており、韓国や日本と比べて早く退職している。
 ・パネル調査のデータで見ると、ソウルや日本に比べて、北京は就業状態の男女差が、さまざまな面で少ない。しかし、女性のほうが就業率が低く、第三次産業従事者が多く、臨時社員の割合が高く、上位の管理職が少ないなどの点自体は、ソウルや日本とも共通である。
 ・2004年から2006年までの変化を見ると、北京の労働市場はソウルや日本よりも流動しており、非国有セクターの正規社員や臨時社員が増えている。
 ・なぜ女性の管理職が少ないかを尋ねると、日本やソウルでは「男性には妊娠・出産がない」「男性には家事・育児介護の負担がない」ということを挙げる人が多い。しかし、北京では「男性は責任ある仕事をするチャンスを与えられるから」「人事決定権のあるポストに男性が多いから」ということを挙げる人が多い(ソウルでも、女性はそう答える傾向がある)。

 いずれの研究も、べつにあっと驚くような結果が示されているわけではありません。しかし、地道な基礎的データにもとづくもので、貴重な研究だと思います。とくに、日中(韓)の性別分業のあり方の相違を明らかにしている点は興味深いです。

 [追記]石塚浩美氏は、その後、『中国労働市場のジェンダー分析』という本を出版なさいました。私は、この本の書評を書きましたので、よろしければご覧ください([書評]石塚浩美『中国労働市場のジェンダー分析』)。
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台湾女性研究6月論壇のお知らせ

[関西中国女性史研究会からのお知らせ]
 6月の台湾女性研究論壇には下記のように先頃、台湾の堕胎史で学位を取られた呉燕秋氏をお迎えする予定です。当日の報告には通訳はつきませんが、報告内容は日本語に翻訳して当日配布いたしますし、解説・コメンテーターの発言も日本語で行います。

日時:2008年6月22日(日)14:00~17:30(受付13:30~)
会場:関西学院大学梅田キャンパス「アプローズタワー」1408号(阪急梅田茶屋町口から北へすぐ、ホテル阪急インターナショナルや梅田芸術劇場が入っているビル)地図 TEL 06-6485-5611
報告:「戦後台湾婦女堕胎心態史」
講師:呉燕秋(台湾清華大学歴史研究所博士候選人)
 解説・コメンテーター:中山文(神戸学院大学文学部教授)
14:00-15:30 報告
15:30-16:00 休息
16:00-17:30 コメント・討論
*終了後、懇親会の予定。

[先日の追記]
 先日の記事で取り上げた、民間諸団体による「被災地の女性のニーズと権利に関心を持て──汶川地震からの提案」(関注災区婦女的需求与権利──由汶川地震引発的建議という建議(提案)への賛同団体がその後も増えています。新たに賛同団体になったのは以下の団体で、合計31団体になりました。

河南省コミュニティ教育研究センター(河南省社区教育研究中心)
広東女子職業技術学院女性と発展研究所(広東女子職業技術学院女性与発展研究所)
香港楽施会(オックスファム)中国部(香港楽施会中国部)
網易(Net Ease)女人チャンネル(網易女人頻道)
雲南省瑞麗市女性児童発展センター(雲南省瑞麗市婦女児童発展中心)
中山大学ジェンダー教育フォーラム(中山大学性別教育論壇)
女性成長の家(女性成長之家)
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24の民間団体が共同で被災地の女性の権利を訴える建議を発表

 6月4日、ジェンター平等や女性の権益に関心を持つ中国の24の民間団体が共同で「被災地の女性のニーズと権利に関心を持て──汶川地震からの提案」という建議(提案)を発表しました(関注災区婦女的需求与権利──由汶川地震引発的建議)。この建議の宛て先は、国家減災センター、国家抗震救災総指揮部、四川省抗震救災総指揮部、各援助機構とメディアです。

 この建議をおこなったのは、以下の24団体です。
 ジェンダーと発展ネットワーク(社会性別与発展網絡
 首都ジャーナリスト協会 女性メディアウオッチネットワーク(首都新聞工作者協会婦女伝媒監測網絡
 ActionAid International中国事務所(行動援助中国辨公室
 中国法学会DV反対ネットワーク(中国法学会反対家庭暴力網絡
 北京農家女文化センター(北京農家女文化中心
 『農家女』雑誌社(《農家女》雑誌社)
 ジェンダーと農村発展研究ネットワーク(性別与農村発展研究網絡)
 北京天津ジェンダーと発展協同者グループ(京津社会性別与発展協作者小組)
 雲南ジェンダーと発展グループ(雲南社会性別与発展小組)
 雲南省社会科学院ジェンダーと参与性工作室(The Gender and Participation Research Center:GPRC)(雲南省社科院性別与参与性工作室
 広西壮族自治区女性理論研究会(広西壮族自治区婦女理論研究会)
 華僑大学観光学院女性研究センター(華僑大学旅游学院女性研究中心)
 広州新メディア女性ネットワーク(広州新媒体女性網絡)
 北京同語ワーキンググループ(北京同語工作組)
 浙江愛心ワーキンググループ(浙江愛心工作組)
 桃色空間性文化発展センター(粉色空間性文化発展中心)
 同話舎─女性自助ワークショップ(同話舎─女性自助工作坊)
 湖南商学院女性研究センター(湖南商学院女性研究中心
 西北工業大学女性発展・権益研究センター(西北工業大学婦女発展与権益研究中心)
 内蒙古自治区赤峰市婦連(内蒙古自治区赤峰市婦聯)
 四川玉妥雲丹貢波医療センター(四川玉妥雲丹貢波医療中心)
 広西財経学院ジェンダーと発展研究所(広西財経学院社会性別与発展研究所)
 雲南省玉龍県民族文化とジェンダー研究会(雲南省玉龍県民族文化与社会性別研究会)
 上海女愛ワーキンググループ(上海女愛工作組)

 以下、提案の大体の内容をかいつまんで紹介します(詳しくは原文をご覧ください)。

被災状況の統計
 現在の政府の毎日の被災状況の告知は、総人数と地域ごとの統計だけで、性別や年齢、民族、都市・農村別に分類したデータがない。救助や復興、今後の防災のためにはそうしたデータが必要である。

物資の調達と支給
 乳幼児・妊婦・母親が特に必要とする物資や、女性の衛生・避妊用具を調達することに注意しなければならない。
 物資の支給に性差別がないようにするべきである。
 物資は、被災者が受け取るのに便利な方式で支給し、負担が重い女性に配慮しなければならない。
 家族を単位として物資を支給する時は、家族のメンバーの中の女性と子どもが同等に得られるように注意するべきである。
 年寄り・弱い者・病人・身障者のほか、女性が戸主である家庭のニーズに特に注意しなければならない。

健康
 妊産婦が基本的な保健サービスを得られるようにし、移動の際はその安全を確保しなければならない。
 被災した女性に衛生用品・入浴施設・清潔な下着を提供するべきである。
 被災した女性にリプロダクティブ・ヘルスのサービスを提供しなければならない。

安全
 災害によって、女性に対するある種の暴力が出現することを認識し、女性に対する暴力(DV、セクハラ、強姦、人身売買、結婚の強制などを含む)に対して防止措置をとらなければならない。
 臨時の居住地において、異なった家庭の男女が雑居することはできるだけ避ける。できるだけ、男女別で、途中と室内の照明が明るい公衆トイレと入浴施設を提供しなければならない。
 救援業務に従事する人々に対して、女性に対する暴力に反対する基本的教育をおこない、救援業務に従事する人々の、女性に対する暴力を予防・制止・報告する責任を明確にするべきである。

生活と就労
 女性は震災によって生計に影響を受けたり失業したりする者が多い。それゆえ、生計扶助や就労訓練や就労の機会に関して、女性が情報を知ったり参与したりすることを保障し、女性に対する生産と就労の指導を強めなければならない。
 女性が労働者募集を口実にした人身売買などに遇うことを予防すべきである。

教育
 臨時の学校の所在地と宿舎・トイレは、女児の安全な就学に有利なようにし、寄宿学校の生活教師の中にできるだけ女性を配置するべきである。
 被災地の学校が再開したとき、女児が再び学校に戻ることができるように保護者と女児を援助し、被災地の女児が被災によって中途退学しないようにさせる。

財産
 財産の公証や法律相談・法律援助において、女性が情報とサービスを得られることを重視する。
 被災後の財産の認定、損失の賠償において、女性に平等な相続権・分配権・使用権を保障する。
 もし被災地で農村で新たに請負地や宅地を区分するなら、女性が男性と同等の土地権を得られるよう保障しなければならない。

参与
 被災地の再建の計画・管理に被災者および女性を参与させる。
 被災者の代表の中の女性の比率が、1/3より低くならないようにする。
 防災や被災者救済の協力機構や専門家委員会の中に、女性組織の代表とジェンダーの専門家を入れるべきである。
 基層の女性組織が被災者救済と復興事業に参与することを支持しなければならない。

メディア
 メディアは、被災や被災者救済における女性の経験、感じたこと、ニーズをもっと重視し、もっと彼女たちの声をを届けなければならない。
 被災者救助や復興における女性の働きを伝えるべきである。
 強靭さや勇敢さを、「男らしさ」「真の男」という言葉を使って賛美してはならない。
 取材は相手の同意を得て行い、強行取材や、被災者救済や被災者の生活を邪魔する行為をなくすべきである。
 二次被害を与えてはならない。

 民間団体は、被災地でさまざまな救援・支援活動をおこなっていますが、それだけでなく、今回こうした提言を出したことの意義は大きいと思います。
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村民委員会における女性

 最近発表された、北京工業大学の銭王呈さんの調査報告「北京東部の農村女性が村民委員会に入る状況の調査および対策の分析」は、農村の女性が政治に参加することが困難な状況を明らかにしました(村民委員会というは、農村の自治組織ですが、政権の末端としての性格も持っており、そのメンバーは一応選挙で選出されます)。

 その調査報告によると、村民委員会は一般に3~7名で構成されていますが、大部分の村民委員会では、女性のメンバーは1~2名です。3名を越えている村民委員会はごく少なく、平均すると女性メンバーの比率は22%前後にすぎません。

 しかも、村民委員会において女性委員が担当している職務は、73%が婦女代表会議の主任や婦女連合会の委員などで、22%が会計だそうです。村民委員会の主任や副主任のような重要な職務を担っている女性委員はごく少数だということです。

 また、既婚女性の投票権を、「一家の長」である夫が代わりに行使しているという実態もあるそうです。

 さらに、女性組織に関しても問題点が指摘されています。村に婦女代表会議や村の婦女連合会のような女性組織があることは知っていたのは62%で、それらの組織の役割を知っていたのは23%だけでした(以上は、(1))。

 村民委員会に女性メンバーが少ないという問題は以前から指摘されており、女性メンバーを増やす試みもいくつか行われていますが、最近『中国婦女報』で取り上げられているのは、女性委員の「専職専選」というやり方です。女性委員の「専職専選」とは、村民委員会の定員を一人増やし、その一人に関しては必ず女性を選出するというものです。従来からの定員のメンバーにも今までどおり女性を選出することもできるので、女性委員を増やすことができます。

 このやり方は、今年初め、浙江省の中共党委員会と省政府の弁公庁が発した通知によって推進されました(2)。たとえば同省の温嶺市の浜海鎮では、女性委員が17%増えたということです(3)

 女性委員の「専職専選」を報じた記事はいろいろありますが(4)、「専職専選」で選出された女性委員が村民委員会の中でどういう働きをしているのかはよくわかりません。結局のところ、女性役割を担っているのではないかという疑いも捨てきれませんので、そうした点には今後、注目していきたいと思います。

(1)「農村婦女参選権利受到諸多隠性限制」『中国婦女報』2008年4月30日。
(2)「浙江試点村委女幹部専職専選」『中国婦女報』2008年1月11日「確保村女性“専職専選”崗位落実」(『中国婦女報』2008年4月29日)によると、《省委組織部・民政庁〈関于認真做好2008年村民委員会換届選挙交錯的意見〉》という通知の中に、「加大女幹部的推選力度,村民委員会選挙中要単独設立婦女委員崗位,実行専職専選」とあるということです。
(3)「“X+1”模式浜海鎮村委会選挙実行女委員専職専選」『中国婦女報』2008年1月19日
(4)女性委員の「専職専選」を扱った記事は(2)(3)で挙げたほかに、「専職専選“村官” 婦女参選熱情高」『中国婦女報』2008年4月12日「“専職専選”実現村村都有“女委員”」『中国婦女報』2008年4月22日などがあります。
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レインボー社、北京LGBT文化活動センターその後

 5月17日の国際反ホモフォビアデー(the International Day Against Homophobia[Wikipediaによる説明] 国際不再恐同日)に呼応して、5月11日、広州の中山大学ジェンダー教育フォーラムは、香港の女性映画監督の游静(ヤウ・チン)さんを招いて、「ホモフォビアの暗黒を駆逐し、レインボーのスペクトルを見せよう」という名のワークショップをおこないました(「影像芸術与同志運動,記5.11芸術工作坊」[写真あり])。

 午前中は游静さんがセクシュアルマイノリティの芸術運動について講義し、午後は学生が自ら作品を製作しました。

 その後、孫中山(孫文)の銅像の前で、游静さんと学生たちがレインボーフラッグを揚げる儀式をおこないました。その時の様子がビデオに収められています(「広州揚起彩虹旗直撃報導」。中国語・英語の字幕付き)。

 このビデオでは、中山大学ジェンダー教育フォーラムから誕生した学生社団であるレインボー社(本ブログのこの記事参照)の責任者である大学2年の学生の方がインタビューに応じています。レインボーフラッグを掲げる儀式は2005年からおこなっていて、大学にもセクシュアル・マイノリティの人々がいることを示す目的でやっているということです。昨年は珠海キャンパスでやったので、今年は広州キャンパスでやったと述べています。最後に「駆逐恐同陰暗,重現彩虹光譜(Say No to the Darkness of Homophobia,Reveal Rainbow Spctrum)」というスローガンを繰り返し叫んでいます。周りで足を止めてみている人も少なくなかったということです。どれほど学生に内容が伝わったのかはわかりませんが……。

 また、先日このブログで取り上げた北京LGBT文化活動センター[北京同志文化活動中心]が、この5月に(民政局に?)登記に成功したとのことです。ただし、「北京桃紅文化伝播有限公司」という会社の名前で登録しているということなので、セクシュアルマイノリティの社団が公的に認められたとはまだ言い難いと思います。

 なお、「同志」はふつうは「同性愛者」と訳されるので、私もそう訳してきたのですが、英訳では、Beijing(北京) LGBT Culture and Activity Centerとなっていますし、その趣旨としても、LGBTのためのセンターであることが謳われていますので、訳語も工夫したほうがいいかもしれません(たとえば「北京LGBT文化および活動センター」というぐあいに)。→[2010.1.21追記]「同志」の訳語を「LGBT」に書き改めました。

 また、このセンターは、この4月からブログを開設しました(「北京同志文化活動中心」)。

 ブログはかなり頻繁に更新されており、以下のようなさまざまな活動がおこなわれています(同じ記事が中国語と英語でupされています)。
 ・読書サロン(単なる読書会ではなく、創作も目指しているようです)(同志読書会沙龍第一期LGBT Reading Salon No.1)。
 ・カミングアウトした人(鄭遠濤さん、白咏冰さん)を招いて、カミングアウトすることについて語り合う(同志不唠完第一期――我們要出柜LGBT Talk Show No.1~Get Out Of the Closet!)
 ・中国で初めてテレビで公然と同性愛の息子(上の鄭遠濤さん)を支持することを表明した呉幼堅さんのお話を聞く(同志星座party No.2――金牛母親好偉大!LGBT Horoscope Party No.2――The Super Taurus Mother)。
 ・同性愛者の結婚式をする(北京同志文化活動中心慶祝酒会曁小蘇小哲結婚典礼The Openning Ceremony of Beijing LGBT Culture and Activity Center and Wedding Ceremony for Xiao Su and Xiao Zhe)。
 ・在米の鄭波さんという芸術家が、長い間同性愛のパートナーシップを保ち続けている人たちを取材したビデオを見て、その経験を参考にする(同志観影像第二期――同志伴侶訪談録 Interview with Two Long-Term Couples[中英文])。
 ・中国国家図書館の張傑氏(『曖昧的歴程――中国古代同性恋史』の著者)を招いて前近代の俳優の男色の伝統についてお話をしてもらう(愛白同志文化系列講座No.1――優伶男色簡史LGBT lecture No.1Actors and Courtesans――Male Homooeroticism in Thespian Culture of theImperial China)。

 四川大地震が起きて以後は、このセンターを含めてさまざまな民間団体がボランティアや募金活動を熱心におこなっています。そうした活動については、また今度書きます。
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 検索から来られた方へ:このブログの記事を分類した一覧である「『中国女性・ジェンダーニュース+』記事総覧」を見ていただくか、下の「カテゴリー」欄を使われると、関連情報がご覧いただきやすいと思います。最近の行動派フェミニストについては、「中国の行動派フェミニスト年表、リンク集」をご覧ください。
 また、「中国女性・ジェンダー関係主要HPリスト」(リンク集)も併せてご覧いただければ幸いです。日本の問題の一部は、「ウィメンズ・アクション・ネットワーク(WAN)の労働争議・まとめ」や「館長雇止め・バックラッシュ裁判」でまとめています。
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