2008-04

中国の女性障害者の状況と組織

 先日、「中国女性障害者データベース研究開発および女性障害者の現状研究」プロジェクトの調査結果が発表されました。このプロジェクトは、国連ジェンダーテーマワーキンググループ(聯合国社会性別主題工作組)の資金援助を得て、中国障害者連合会(中国残疾人聯合会)と中国リハビリ研究センター(中国康復研究中心)がおこなったものです。

 上の調査によると、就職している障害者のうち、女性は35.8%だけでした(男性が64.2%だった)。大多数の障害者の生活費は、家族の他のメンバーが供給しているそうで、女性障害者の場合は、その点が特に著しいとのことです(1)(男性の場合でも、家族しか支える者がいないからか、筑波大の徳田克己氏によると、とくに地方都市などでは、物乞いをしている障害者の姿も見かけるそうです)。

 また、広州市での別の調査によると、「大部分の女性障害者の健康状況は良くなく、婦人病にかかっている人だけで42.53%に達する。学歴も低く、教育を受けた平均年数は僅か5.57年であった。就職も困難で、労働能力があって就労を求めている女性の65%が、レイオフの状態にある。生活は貧困で、単親者率が高く、戸籍(戸口)は独立しておらず、最低所得保障制度などの保障を受けるも難しい。彼女たちは、女性と障害者という二重の偏見と差別に直面しており、弱者層の中の弱者である」(2)とのことです。

 中国では、2006年9月、初の女性障害者団体として「広州市女性障害者協会」が設立されましたが(3)(ただし活動自体は2003年12月から始めていました(4)。民政局が登記を承認したのが2006年9月ということ)、この協会は、最近サイトを設立しました(「広州市残疾婦女協会」)。

 規約によると、広州市女性障害者協会は「障害者女性の仕事や生活、家庭に関心を寄せることを主旨とし、障害者女性が各面で自立・自強(自ら努力して向上すること)し、自らの社会的責任感を発揮して広範な障害者女性と団結・連携するのを励ますとともに、社会の各界が共同して広州市の障害者女性の事業の発展を促進して、障害者女性のために広々とした発展の空間を切り開くことを促進する」(「広州市残疾婦女協会章程」第2条)という団体です。広州市障害者女性協会は、広州市婦連の団体会員でもあります。

 実際の活動としては、女性障害者に保健講座(5)や性知識の講座(6)をしたり、社会保障の網から漏れた彼女たちに無料で健康診断(7)をしたりしているようです。

 講座などの詳しい内容がわかりませんので、はっきりしたことは言えませんが、以上を見ると、女性障害者自身が主体になって権利を主張するような団体とは少しおもむきが違うようです。

 しかし、上のようなアンケート調査もしていますし(8)、最近では、香港の女障協進会と交流をして、その中から刺激を受けたりしているようです(9)。2008年1月には、女障協進会が主催した「女性障害者シンポジウム2008(東アジアおよび東南アジア(残疾婦女研討会2008[東亜及東南亜])」に代表が参加して、報告をおこないました(10)

 「女性障害者シンポジウム2008」は、香港都市大学でおこなわれたシンポジウムで、「女性障害者運動」「ジェンダー視点」「サービスの利用者の権益と参与」という3つのテーマと、「貧困」「健康」「暴力」「婚姻と家族」「芸術」「メディアとジェンダー」という6つのサブテーマを掲げておこなわれ(「主題範疇」)、18の国家と地区から200名余りが参加しました。

 私は、このブログを単なる「中国女性(男性)一般」「中国のジェンダー一般」を書いたブログではなく、その中での多様性やマイノリティの人々に注意しつつ書いているつもりですが、たとえば今回のような女性障害者に関しては、私は、日本の障害者の状況を含めて、まだまだ状況を「知る」ということすら不十分であることを感じます。今後少しずつでも勉強していきたいと思います。

(1)「一項関于残疾婦女現状的調査顕示 残疾人就業,女性占35.8%」『中国婦女報』2008年4月18日
(2)「広州市残疾婦女協会成立」。なお、趙没名「現代中国都市部における障害者問題――上海市Wコミュニティの障害者統計調査から――」『立命館産業社会論集』39巻2号(2003年9月)(PDFファイル)には、「近年当地域で深刻になってきた障害者の失業・介護問題は、主に1980年代から始まった市場経済の中国都市部での浸透、また人口・住宅政策等の社会変動に起因するのではないか」ということが提起されています。女性障害者のレイオフについても、こうした問題が関係していると思います。
(3)上記の記事「広州市残疾婦女協会成立」より。
(4)「国内首個残疾婦女団体――広州市残疾婦女協会成立」(広州市残疾婦女協会のサイトより)
(5)「残疾婦女協会挙辨保健講座 関愛残疾婦女身心健康」(〃)
(6)「広州市残疾婦女協会挙辨女性性知識講座」(〃)
(7)「市婦嬰医院・市残聯“関愛残疾婦女健康活動”新進展――婦嬰医院上門送医贈薬」(〃)
(8)「広州市残疾婦女協会進行残疾婦女専項問巻調査」(〃)
(9)「穂港残疾婦女三八節挙行交流活動」(〃)。この記事には、香港女障協進会との交流は、障害者活動に「多くの新しい理念・新しい方法をもたらした」と書かれています。
(10)「“国際残疾婦女研討会 2008”在香港挙行」(広州市残疾人聯合会HP。広州市残疾婦女協会のサイトには、このシンポの記事はまだ掲載されていません)

朝日熱学男女差別裁判で中野布佐子さんが勝利和解

 中野布佐子さんが朝日熱学を相手取って東京地裁に提訴していた男女差別裁判において、先日、和解が成立しました(中野さんのブログの記事「ご支援の皆様へ」)。

 和解内容は
 「被告は、原告に対し、本件和解金として、1500万円の支払い義務があることを認める」
 「今後とも、労働基準法及び男女雇用機会均等法など関係法令を遵守し、雇用における男女平等な取り扱いを確保することを約束する」

 などだそうです
 (なお、和解条項の全文は、「JAM日本オートマチックマシン㈱男女差別賃金」のブログの「『チャコチャン』 = 中野さんおめでとう」という記事に掲載されています)。

 中野さんは、30年間働き続けた朝日熱学[旧社名:ラオックスエンジニアリング]を相手に、在職中の賃金・退職金などの男女差別について、男性との差額を請求する裁判を起していました。

 朝日熱学では、男性なら誰でも年功序列で順次昇格するのに女性はそうではないとか、中野さんが前任者の男性の総務の部長から引き継いだ仕事をしても、査定では評価しないとかの男女差別のほか、朝の掃除当番、お茶入れ、家族手当、住宅手当など、数限りない男女差別がありました。

 また、なんと1991年まで男女差別定年制がおこなわれ、朝礼での出欠点呼も、2002年5月まで女性は男性の後で呼ばれていました。その後も役職順に呼ばれていたたため、中野さんは仕事もできない若い人に先を越され、「毎日朝から気分が悪く、屈辱以外の何ものでもない」と言っておられました。

 1500万円という金額は、中野さんが男性であったならば当然支払われた金額との差額よりもずっと少ない金額であり、中野さんには残念なお気持ちもあると思います。今の裁判所の限界なのでしょうか? 

 しかし、会社が1500万円の支払い義務を認めたということは、会社が自らの非を認めたということにほかならないと思います。また、会社が今後の男女の雇用の平等を約束したことも、後進の方々のためになると思います。中野さんも、ブログで「これで30年の長きにわたり、ひたすら耐え忍びながら、しかし誇りを持って仕事をしてきたことが無駄ではなかったと思いました」とおっしゃっています。

 中野さんは、現在に比べても職場の男女平等が認められていない時代から長年働き続け、闘い続けていらしゃいました。その間のご努力、ご苦労は大変なものだったと思います。裁判になってからもさまざまなご苦労があったことでしょう。東京でおこなわれている裁判でしたので、私は傍聴には1回も行けなかった点は残念でしたが、私も今後少しでも男女平等のためにできることを頑張ってやっていきたいと思います。

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北京でクイア映画文化月間および上映会

 この4月、北京で「クイア映画文化月間および上映会(酷児影像文化月曁放映会 Queer Culture month and Film show)」が、単向街サロンで、雑誌『Les+』北京レズビアングループ「同語」、北京同性愛映画祭組織委員会(北京同性恋電影節組委会)、中国クイアインディペンデント映画小組によって開催されました(以上、「酷児影像文化月曁放映会」←ポスターなどの写真あり)。

 中国クイアインディペンデント映画小組(中国酷児独立影像小組)というのは、3月24日に上の「同語」が、北京同性愛者文化活動センターで、クイアのインディペンデント映画に関する討論会をしたときに結成されたグループです。

 その討論会には、下記の石頭さんや、中国大陸の同性愛やクイアの映画文化のサイトである「酷児影像文化」(英語版あり)を創設した毛雷さんなども参加しました。この討論会では、クイアに関する映画は、資金や出演者、上映、DVD作成の各面で困難を抱えているので、クイア映画を支えるために中国クイアインディペンデント映画小組(グループ、委員会)を作ることになりました。このグループは、以下のような活動をするそうです。
 1.クイア映画の上映会……コミュニティ内部だけでなく、広く社会の大衆にも見てもらう。
 2.関連する活動……サロンやワークショップなど。
 3.映画の創作・上映・批判の面で協力し合う。
 4.ネットの活用。
 5.メーリングリスト。
(以上、智行北京工作組的BLOGの中のエントリー「中国酷児独立影像小組在北京成立」より)

 さて、「クイア映像文化月間と上映会」は以下のようなプランでおこなわれています。

テーマ1:青春啦啦啦(4月6日)
 《小樹の夏天(小樹的夏天)》(朱一葉制作)(制作グループのブログ:《小樹的夏天》劇組博客

 内容:小樹と夏天は、似たような経歴を持っていて、世界の中のもう一人の自分を求めている2人の女の子である。夏天は小樹に愛情を感じるが、小樹はそれを受け入れられず、夏天はひどく落胆する。夏天は小樹の役を演じはじめ、現実と幻覚が交錯して……(というような映画だそうですが、見ていないのでわかりません。)

 朱一葉さん(女性)は1984年生まれ。2006年にインディペンデント映画《啦啦啦》(同映画のブログ)を製作、トリノGLBT映画祭で入選。

テーマ2:唐唐の美と哀愁(4月13日)
 《唐唐》(張涵子制作)

 内容:唐唐は昼は男だが、夜は厚化粧をして女に扮し、バーやナイトクラブに出没している。毎日、彼の意識は、男と女の間を行き来している。彼はある男を愛するが、ほどなくして振られてしまう。また、ある同性愛者の女性(薫)が、女装した唐唐を好きになって、恋人同士になる。その恋愛の中で、唐唐が女のようになるとともに、薫は男のようになって、二人は普通の男女と同じような関係になり、2人は生活の中に埋没するが、唐唐は自殺してしまう。この映画は、生と死、男と女、愛と憎悪が不断に転化する家庭を描いている――というような映画だそうです。

 張涵子さん(男性)は1969年生まれ。テレビ番組やコマーシャルフィルムの制作に携わってきた人のようです。

テーマ3:春の短い歌(4月20日)
 《陽春の春(陽春的春)》
 《私たち(我們)》
 《春の歌(春歌)》
 これらは、いずれも短編です。

テーマ4:石頭とDV(degital video)(4月27日)
 《レズビアンマーチの日(女同志游行日)》(石頭制作)
 内容:サンフランシスコで毎年6月末に行われるレズビアンマーチの記録だそうです。

 《女の50分(女人50分)》(石頭制作)
 内容:青蔵高原の女たちを描いた作品のようです。

 石頭さん(女性)は、2000年に、李玉さんが監督した中国映画史上初のレズビアン映画である《今年の夏(今年夏天)》で主役を演じた人です。《今年夏天》は、恥ずかしながら私は見ていませんが、ベルリン国際映画祭の受賞作で、その内容は、白水紀子さんによると「主人公の女性は母親に自分が同性しか愛せない人間であることを告白して周囲が勧める結婚を拒否するが、異性愛を自然なものと信じる母親にはそれを理解することができない。しかしそれでも母親は娘の生き方を尊重し、母の再婚と娘のレズビアンとしての生活が同時進行する形でエンディングを迎える」というものだそうです(注)。この作品については、Rainbow Net Japanでも紹介されており、サイト地獄天堂朝日堂の中に、阿美さんの感想も掲載されています。

 また、4月17日には、レズビアンやフェミニズムの映画の先駆者であるバーバラ・ハマーさん(Barbara Hammer ハマーさんのサイト)との交流もおこなったようです(「独立電影芸術大師芭芭拉・漢黙訪問北京」)。

 北京では2001年12月に第1回北京同性愛映画祭がおこなわれたことがあり、その時に《今年の夏(今年夏天)》も上映されました。ただし、2006年12月に行われる予定だった同性愛文化祭(Gay and Lesbian Culture Festival)は直前に、警察の圧力で中止になったりと、まだ公にはセクシュアルマイノリティが十分認められていない面もあります。ですから、今回の上映会をきっかけに運動が発展していくならば、明るいニュースだと思います。また、「同性恋(ゲイ&レズビアン)」から「酷児(クイア)」へと言葉が変わりつつあるように見えるのは、より幅広いセクシュアルマイノリティが主体になってきていることを示しているように思えます。

(注)白水紀子「中国のセクシュアル・マイノリティー」『東アジア比較文化研究』第3号(2004年9月)71頁。白水さんはこの論文の中でも「現代中国文学に描かれるレズビアン」について触れていらっしゃいますが、最近、「中国の同性愛小説の作家とその周辺」(『南腔北調論集―――中国文化の伝統と現代』東方書店 2007年)という論文もお書きになりました。また、林祁 『めしべのない花 中国初の性転換者莎莎の物語』(新風社 2006年 ブログAnno Job Logさんのこの本についての感想)の「監修者あとがきにかえて」も書いていらっしゃいます。
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台湾女性研究5月論壇

 台湾女性研究5月論壇(フォーラム)では、5月は下記のように游鑑明教授をお迎えする予定です。当日の報告には通訳はつきませんが、報告内容は日本語に翻訳して当日配布いたしますし、解説・コメンテーターの発言も日本語でおこないます。

日時:2008年5月24日(土)14:00~17:30(受付13:30~)
会場:関西学院大学梅田キャンパス「アプローズタワー 1407教室」(阪急梅田茶屋町口から北へすぐ、ホテル阪急インターナショナルや梅田芸術劇場が入っているビル)地図 TEL 06-6485-5611

報告「日本植民地体制と台湾医療従事者」
講師:游鑑明(台湾中央研究院・近代史研究所・副研究員)
解説・コメンテーター:中西美貴(日本学術振興会特別研究員)
14:00-15:30 游教授報告
15:30-16:00 休息
16:00-17:30 中西美貴解説・討論
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「ジェンダーとスポーツ」シンポジウム

 さる3月12日、北京で、国連ジェンダー主題活動グループ[聯合国社会性別主題工作組]全国婦連との共催による「ジェンダーとスポーツ[社会性別与体育]」討論会がおこなわれました。

 この席で、全国婦連国際部長の鄒曉巧さんは「スポーツの領域においては、依然としてジェンダー不平等の問題が存在しています。男女の選手に対する資源の分配は不公平であり、女性コーチと女性は、指導と管理のポストで比率が低く、社会には女性のスポーツに対する各種の偏見があります」と指摘しました。

 2003年の時点で、中国の国家体育総局と直属単位において、局クラスの女性幹部は20人で、全体の人数の12%にすぎません。北京オリンピックの組織委員会で仕事をしている人のうち、女性は30%以上を占めていますが、執行委員会の19名の委員の中には、女性は3名しかいません。

 また、このシンポジウムでは、中国社会科学院の卜衛教授が、中国のメディアのスポーツ報道にも次のような問題があると指摘しました。
 1.スポーツのジェンダー化。スポーツは男性のものだとされる。国内のあるスポーツ新聞が2000年に創刊されたときに出した広告は、「男の新聞」というものだった。女性の参加は、しばしば「差異性」の記号を付される。
 2.スポーツ選手の報道のジェンダー化。女性選手に対する報道は、「性感化」「家庭化」される傾向がある。このような報道は、女性選手の社会的領域における成就をおとしめ、生物学的特徴や私的領域における役割を強調している。
 3.女性のスポーツ参加のジェンダー化。多くのメディアは、女性のフィットネスを、健康のためではなく、ダイエットによって、自分の身体を美女の基準に当てはまるようにするためのものであることを強調している。これは、ジェンダー文化による女性の身体への暴力である。こうした暴力は、女性がスポーツの中から楽しみや自信、自由を得させずに、基準に当てはまる体になれないことによって気力を喪失させる(以上、(1))。

 また、他の人からは、女児がスポーツを選択する際、ジェンダーの影響を受けて、競争性が強くない運動を選択する傾向があるなどの話が出ました(2)

 このシンポジウムでは、女性選手の具体的な状況などに関しては、どのような議論が交わされたかよくわかりません。しかし、北京オリンピックを迎えて、スポーツとジェンダーに関する議論が中国でもなされつつあることがうかがえます。

 もっとも、それは今に始まったことではなく、すでに2002年11月には、北京大学女性体育研究センター[婦女体育研究中心]というものが設立されています(3)。また、同センターが設立された際には、「北京オリンピック──女性の機会と挑戦」シンポジウムも開催されました。また、その後すぐに、スポーツ報道における女性の扱い方を問い直す記事も『中国婦女報』に掲載されたりしています(4)

 2005年11月には、北京大学女性体育研究センターは、第1回中国女性とスポーツ文化国際フォーラムも開催し、2006年10月には第2回目のフォーラムも開催しました。この2回のフォーラムをもとにして、董進霞・張鋭・王東敏主編『女性・文化・体育研究動態』(北京体育大学出版社 2007年)(ネット書店「書虫」データベースの中のこの本のデータ)も出版しました。董進霞さんには、『她們撑起来大半辺天――当代中国女子競技体育透視』(九州出版社 2007年)(同上データベースの中のこの本のデータ)という著書もあります。

 北京大学女性体育研究センターが運営している「博雅女性体育」サイトは、それほど内容的に充実したサイトではありませんが、以上で述べたほかにもいくつか情報が掲載されていますので、よろしければご覧ください。

 また、日本の女性史総合研究会の会誌『女性史学』16号(2006年)には、張軼欧さんが「中国の女性とオリンピックの現況から」と題して、とくに選手の引退後の状況に焦点を当てた議論をしておられます。張さんは、中国の(とくに女子)オリンピック選手が置かれている問題点として、以下を指摘しています。
 1.素質のある選手が7、8歳ごろから入る体育学校では、教養教育が軽視されている(最近は、その点に中国でも批判が高まって、体育学校は減少しつつあるそうです)。
 2.金メダリスト以外の選手については、国は引退後の面倒をみず、自力で就職活動を余儀なくされる場合が多い
 3.1や2のために、引退後の選手は就職難であり(また、女性は中国でも男性より就職難)、医療費の負担もかかってくる
 4.ドーピングは、とくに女子選手にとって重大な問題である(ひげが生える、生理不順、子どもが産めないなど)
 張さんは、以上の問題点の根本原因として、中国の選手強化策である「挙国体制」があることを指摘し、その改善策などについてもいくつか提起しておられます。

(1)「聯合国社会性別主題工作組和全国婦聯聯合挙行“社会性別和体育”討論会 以社会性別視角審視体育発展」『中国婦女報』2008年3月25日
(2)「国際婦女説慶祝活動“社会性別和体育”」社会性別与中国HP2008年03月14日
(3)「首家婦女体育研究中心落戸北大」『中国婦女報』2002年10月31日。
(4)「体育報道中的女性」『中国婦女報』2002年11月26日。
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今年の全人代に提出された女性やジェンダーに関する議案など

 先月開催されていた、今年度の全国人民代表大会(全人代)や全国政治協商会議(全国政協)にも、代表や委員から、女性やジェンダー問題に関する議案や提案がいくつも提出されました。代表や委員が提出したこうした議案や提案は、国務院が提出した議案と違って、すぐに成立する見通しがあるわけでは全くありませんが、それなりに時代の変化を反映していると思いますので、その中のいくつかを紹介します。

1.男性にも産休を

 浙江工業大学財貿管理学院院長の程恵芳さんは「夫の有給の産休制度を設立する建議」を提出しました。「女が産褥についている期間に、男が産休を取る」という発想のもので、夫が産休期間は、7日~15日にするという構想です(1)

2.家庭内暴力防止法の制定を立法計画に入れよ

 全国婦連副主席・書記処書記の莫文秀さんは、家庭内暴力防止法を制定することを人民代表大会の立法計画に入れる建議を提出しました。家庭内暴力防止法を制定することを全人代に求める議案自体は、1990年代の終わりごろから出されていますし、その中には地方の婦連の主席が提案者になったものもあります。しかし、全国婦連の副主席で書記処書記のような立場の人が提出したのは、たぶん今回が初めてではないかと思います(この点はまだしっかり確認していませんが)。

 今回、全国婦連の莫文秀さんがこうした議案を出した背景には、以下の状況があるようです。
 ・全国婦連の統計によると、2005年~2007年には家庭内暴力の訴えが毎年のべ4万件あり、2000年の倍になった(家庭内暴力自体が増えたというよりも、家庭内暴力に対する人々の意識が変わったのでしょう)。
 ・婚姻法や婦女権益保障法に家庭内暴力を禁止する規定があるとはいえ、それらは実効性に乏しい。
 ・すでに25の省・自治区・直轄市で、家庭内暴力を防止するための地方性法規などが出されている(2)

3.高齢者権益保障法の改正に女性の視点を

 全国婦連は、また、「『高齢者権益保障法[老年人権益保障法]』の改正に関する具体的建議」を提出しました。この問題に関しては、昨年8月に全国婦連が開催したシンポジウムの詳細をすでにこのブログで報告していますが(「高齢者権益保障法の改正とジェンダー」)。今回の提案も、たとえば、現行法の「高齢者の養老は主に家族による」(10条)という規定を、「高齢者の養老は家族・政府・社会の共同の責任であり、政府と社会は積極的に措置を取って、家族が高齢者の養老の義務を引き受けるのを助けなれればならない」に改めることなどが提起されています(3)

4.定年の男女差別是正

 中国では、定年が男性は60歳であるのに対し、女性は50歳(現場の労働者)か55歳(職員)であるという差別があります。この点を是正する提案は、1980年代以来ずっと出されてきました。しかし、1990年と1992年に高いクラスの女性技術者と県(処)クラス以上の女性幹部についてだけ定年を男女平等にするように通知が出されたにとどまり、いまだに男女平等にはなっていません。この点を是正する提案は毎年提出されていますが、今年も少なくとも5件提出されました。そのなかには、一挙に全面的に差別を是正するのでなく、部分的・漸進的な是正を求めたものもありました(4)。たとえば――
 ・全国婦連の書記処書記で、党グループのメンバーでもある王乃坤さんは、1990年と1992年の通知さえ十分守られていないことを是正することに関する提案をしました(5)
 ・上海氏人民代表大会常務委員会の秘書長の姚明宝さんは、定年差別を漸進的に是正する提案をしました(6)

(1)「男人休産假:共同分担人類再生産責任」『中国婦女報』2008年3月14日。なお、このことは、中国網の日本語版にも、「程恵芳代表、男性職員にも『産休』を」(2008-3-10)としてかなり詳しく報じられています。
(2)「立法先行是反家庭暴力根本途径 莫文秀代表・洪天慧委員建議将《預防和制止家庭暴力法》納入人大立法」『中国婦女報』2008年3月11日
(3)「政協委員建議修改《老年権益保障法》 切実保障老年婦女特殊権益」『中国婦女報』2008年3月10日
(4)「実現退休年齢平等要从婦女利益出発」『中国婦女報』2008年3月15日
(5)「王乃坤委員再次就女性退休年齢問題提案 保障女高知女処級按規定年齢退休」『中国婦女報』2008年3月12日
(6)「男代表関注同齢退休 建議漸進式延長女性退休年齢」『中国婦女報』2008年3月13日
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Author:遠山日出也
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 また、「中国女性・ジェンダー関係主要HPリスト」(リンク集)も併せてご覧いただければ幸いです。日本の問題の一部は、「ウィメンズ・アクション・ネットワーク(WAN)の労働争議・まとめ」や「館長雇止め・バックラッシュ裁判」でまとめています。
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