2008-03

台湾女性研究4月論壇の報告者と開始時刻変更

関西中国女性史研究会より]
 台湾女性研究4月論壇は、当初、頼淑娟教授のみのご報告予定でしたが、急遽、李玉珍教授の来日が決定いたしました。そのため、5日の論壇の開始時間を14:00から13:30に、終了時間を17:30から18:00に変更いたします。また、会場についても以下のように確定しましたので、お知らせいたします。李玉珍教授には「台湾の信仰と女性」の視点から、頼淑娟教授には「台湾原住民と女性」の視点からご報告をいただく予定です。

日時:2008年4月5(土)13:30~18:00(受付13:00~)
会場:関西学院大学梅田キャンパス「アプローズタワー14階 1408号教室」。(阪急梅田茶屋町口から北へすぐ、ホテル阪急インターナショナルや梅田芸術劇場が入っているビル) 地図 TEL 06-6485-5611

報告Ⅰ講師:李玉珍(清華大学中文系副教授)
  テーマ:「出家入世―台灣佛教女性僧侶生涯之變遷」
  解説・コメンテーター:成田靜香(関西学院大学文学部教授)

報告Ⅱ講師:頼淑娟(東華大学民族文化系助理教授)
  テーマ:「部落與都會之間-台灣原住民婦女二個世代經濟活動的轉化」
  解説・コメンテーター:野村鮎子(奈良女子大学文学部教授)
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市川房枝記念会不当解雇撤回裁判の要請書賛同署名のお願い

 私も応援している、市川房枝記念会不当解雇撤回裁判の判決がいよいよ出されることになりました。
 4月22日(火)午後1時30分~ 於:東京地裁 506号法廷です。

 裁判長に公正な判決を求める要請書を提出します。緊急なお願いですが、是非賛同の署名をお寄せください。

財団法人市川房枝記念会の不当解雇事件について公正な判決を求める要請書

 この裁判の被告である(財)市川房枝記念会は、故市川房枝が「女性の政治的教養の向上」「公明選挙、理想選挙の普及徹底」「民主主義政治の基礎を築くこと」「女性問題、女性運動の調査研究を行い、女性の地位を向上せしめること」を目的とし、その拠点として数多くの方々の募金で建設した婦選会館を基本財産として設立されました。

 ところが、被告財団の現理事者は、女性のための政治教育をはじめとする講座事業を廃止して婦選会館を貸ビルにすることなどの「事業の縮小・特化」方針を2006年2月22日の理事会で決定したうえ、これを7月7日の退職勧奨まで、職員および労組に一度も説明せずに隠し続け、同年8月10日に原告2名の解雇におよびました。現理事者らは、市川房枝の遺志とこれを支持する多くの方々からの批判や反対を封じるために、耐震診断結果を口実に講座を突然中止して、短期間の内に職員8名中6名を解雇ないし退職に追い込んだのです。 しかも、女性の地位向上を掲げる財団でありながら、40~50代の職員6名の生計を絶つことについて、何一つ配慮はありませんでした。

 婦選会館は数多の方々の協力と支援により過去3度の建築・改築を経て維持されてきました。しかし、被告財団の現理事者は、耐震診断結果の発表前に、総工費1億9100万円の耐震改修工事費用の目安額を出し、補強工事も実は1000万円でできるとした試算を持ちながら、裁判の終盤にいたるまでこれも隠し続けました。そして、未だに会館の耐震補強工事に着手せず、この間に代替教室を借りて講座を継続することもしませんでした。

 被告財団は婦選会館の土地建物を所有し、正味財産は平成17年度で2億1321万円、講座の収支差額は2143万円(平成17年度合計額)でした。

 健全に運営されてきた講座事業を廃止することは、創設者市川房枝の遺志に反するものであり、女性の地位向上と民主主義のために研鑽している女性たちの希望と信頼を打ち砕くものです。男女平等で人権が守られる社会にするために、市民が安心して集い、学ぶことができる拠点として、社会的評価を得てきた婦選会館を、貸しビル化する理事会の判断は糺されるべきです。

 裁判長が、財団の現理事者らによるこうした婦選会館と財団本来の使命を踏みにじる行為を厳しく断罪し、本件不当解雇を無効とする公正な判断を下されることを要請します。


 下の要請書をダウンロードのうえ、2枚目の要請書にご署名いだたき、郵送かFAXかEメールでお送りください。第一次集約は3月31日です。
 要請書(ワード文書)
 郵送:〒151-0053 東京都渋谷区代々木1-19-7 横山ビル2F 女性ユニオン東京気付 市川房枝ルネッサンス
 FAX:03-3320-8093
 Eメール:wtutokyo@f8.dion.ne.jp

 この裁判について詳しくは、サイト「市川房枝記念会くみあいニュース」をご覧ください。
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唯色さんのブログ、追記

 昨日、唯色さんのブログに掲載されていた、夫の王力雄さんら中国の知識人30人のチベット問題に対する意見を転載します(適宜、日本字に置き換えています)。転載は好ましくないことですし、中国語のままですが、その内容を簡単に日本語で付記したうえで、とりあえず掲載しておきました。

 かなり慎重に書かれていますが、今までの情報から確実に言えることを述べたものであり、練り上げられた意見だと思います。

中国部分知識分子関于処理西藏局勢的十二点意見
Submitted by woeser on 2008, March 22, 2:52 PM. 転載·王力雄

1. 当前中国官方媒体的単方面宣伝方式,具有煽動民族仇恨和加劇局勢緊張的効果,対維護国家統一的長遠目標非常有害,我們呼吁停止這種宣伝。(中国当局は一方的な宣伝をやめよ)

2. 我們支持达頼喇嘛的和平呼吁,希望遵循善意、和平与非暴力的原則妥善処理民族争端;我們譴責任何針対无辜平民的暴力行為,強烈敦促中国政府停止暴力行為,呼吁藏族民众也不進行暴力活動。(平和と非暴力の原則を主張するダライラマの呼びかけを支持する。無辜の平民に対するいかなる暴力的行為も譴責する。中国政府に暴力的行為を停止するよう強く促し、チベット族の民衆にも暴力的行為をしないように呼びかける)

3. 中国政府宣称“有足[句多]証据這是达頼集団有組織、有預謀、精心策划的”事件,我們希望政府出示証据,并建議政府邀請聯合国人権理事会対証据和事件過程、傷亡人数等進行独立調査,以改変国際社会的相反看法和不信任心態。(政府は「ダライ集団の策謀」と言っているが、その証拠を示してほしい。国連の人権理事会の独立した調査が必要)

4. 我們認為類似西藏地区中共領導人所説“达頼是一只披着袈裟的豺狼、人面獣心的悪魔”那類文革語言無助于事態的平息,也不利于中国政府的形象。我們認為致力于融入国際社会的中国政府,応該展示出符合現代文明的執政風貌。(中共の指導者が「ダライは袈裟をかぶった獣、人面獣心の悪魔」と言うのは、文革の時のようで、中国政府のイメージを悪くする)

5. 我們注意到,拉薩発生暴力行為的当天(3月14日),西藏自治区負責人就宣布“有足[句多]証据這是达頼集団有組織、有預謀、精心策划的”,這説明西藏当局早知道暴乱即将発生,然而却没有有效阻止事態発生和拡大,這其中是否存在瀆職,応該進行厳粛的調査処置。(ラサで暴動が起きた当日に、チベット自治区の責任者が「ダライ集団の陰謀の証拠がある」と述べたが、これはチベット当局が暴乱が起きることを知っていたにもかかわらず、事態の発生と拡大を阻止しなかったということになる。調査して処置せよ)

6. 如果最終不能証明此次事件是有組織、有預謀、精心策划的,而是一場被激起的“民変”,則応該追究激起民変并且捏造虚假情報蒙騙中央和国民的責任者,認真反省教訓,総結経験,避免今后重蹈覆轍。(もしも陰謀であることが証明できず、民変(民間の暴動・蜂起)であることがわかったならば、民変を引き起こし、中央と国民を騙した責任者を追及すべきだ)

7. 我們烈要求不対藏族民众搞人人過関和秋后算賬,対被逮捕者的審判必須遵循公開、公正、透明的司法程序,以达到各方面心服口服的效果。(チベット族の民衆の態度を審査したり後で責任を追及したりすることには反対。逮捕者にも公開の公正な司法手続きが必要)

8. 我們敦促中国政府允許有公信力的国内外媒体進入藏区進行独立的采訪報道。我們認為,目前的這種新聞封鎖,无法取信于国民和国際社会,也有損中国政府的誠信。如果政府掌握真相,就不怕百般挑剔。只有采取開放姿態,才能紐転目前国際社会対我国政府的不信任。(国内外のメディアがチベットの取材をすることを許可せよ)

9. 我們呼吁中国民众和海外華人保持冷静和寛容,進行深入的思考。激烈的民族主義姿態只能招致国際社会的反感,有損于中国的国際形象。(中国の民衆と国外の中国人には冷静と寛容さが必要。激烈な民族主義は国際的な反感を買う)

10. 1980年代的西藏動蕩局限于拉薩,這次却拡大到藏区各地,這種情况的悪化反応出西藏工作存在厳重失誤,有関部門必須痛加反省,从根本上改変失敗的民族政策。(1980年代はラサだけだったのが、今回は各地に広がった。チベット政策の失敗だ。根本的に民族政策を改める必要がある)

11. 為了避免今后発生類似事件,政府必須遵守中国憲法中明列的宗教信仰自由和言論自由的権利,譲藏族民众充分表达他們的不満和希望,譲各民族国民自由地表达対政府民族政策的批評和建議。(今後似たような事件が起きることを避けるために、政府は、宗教信仰と言論の自由を保障し、チベット族に不満や希望を十分に表明させ、各民族が自由に政府の民族政策に対する批判や提案を出すことができるようにすべき)

12. 我們認為,必須消除民族仇恨,実現民族和解,而不是継続拡大民族之間的分裂。一个国家避免領土分裂,首先在于避免民族之間的分裂。故而,我們呼吁国家領導人直接与达頼喇嘛対話。我們希望漢藏人民消除誤解,開展交流,実現,無論是政府部門,還是民間組織和宗教人士,都応該為此做出努力。(民族の和解を実現するために、国家の指導者とダライラマとの直接対話を呼びかける。政府だけでなく、民間組織や宗教者も努力が必要)

2008年3月22日

簽名人:
王力雄(北京 作家) 劉曉波(北京 自由撰稿人) 張祖樺(北京 憲政学者) 沙葉新(上海 作家 回族) 于浩成(北京 法学家) 丁子霖(北京 教授) 蒋培坤(北京 教授) 余杰(北京 作家) 孫文広(山東 教授) 冉雲飛(四川 編輯 土家族) 浦志強(北京 律師) 滕彪(北京 律師 学者) 廖亦武(四川 作家) 江棋生(北京 学者) 張先玲(北京 工程師) 徐珏(北京 研究員) 李駿(甘粛 撮影師) 高瑜(北京 記者) 王邦(北京 自由撰稿人) 趙達功(深圳 自由撰稿人) 蒋亶文(上海 作家) 劉毅(甘粛 画家) 許睴(北京 作家) 王天成(北京 学者) 温克堅(杭州 自由職業)  李海(北京 自由撰稿人) 田永(内蒙古 民間維権人士) 昝愛宗(杭州 記者) 劉逸明(湖北 自由撰稿人) 劉荻(北京 自由職業) (*律師=弁護士、自由撰稿人=フリーライター)

 なお、ブログ「美しい壷日記」さんの管理人の日記に、2分でできるチベットとダライ・ラマを支援するネット署名という記事が掲載されていました(もっと時間をかければ、丁寧に自分の意見を書くことも可能です)。中国政府宛と日本の外務省宛がそれぞれ一通ずつです。私もやりました。
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チベット女性作家・唯色さんのブログ

 チベット人の女性作家唯色さんのブログが、このところ連日、今回のチベットの事態を取り上げています。昨日も、唯色さんのブログは、広東で働いているチベット族の人が中国共産党と政府に向けて出した、言論の封殺を批判し、チベット民族の信仰やその指導者を尊重するよう訴える公開の手紙を転載しています(一個蔵人給党中央・国務院的一封公開信)。

 これまでの記事も、転載が主ですが、いずれも党や政府に対して批判的なものです。たとえば――
呼喚民族間的理解与包容(3月19日)
蔵人為何要抗議?――也談西蔵問題(3月19日)
藏人大学生游行、静坐,呼吁当局停止殺戮(3月18日)
安多阿◇藏人被槍殺(3月18日)
通過強奸建立的親族関係(3月17日)
“政治花瓶”的聚会(3月14日)←全人代と全国政協のこと

 また、彼女がまとめた「西藏各地2008年3月10日之后大事記・最新動態(随時更新)」も、貴重です。

 このブログや唯色さんが今後も無事かどうか、少し心配です。実際、唯色さんのブログは今までに何度も当局に閉鎖されたことがあります(中国:チベット人作家、ブログが強制閉鎖される)。

 また、2003年に出版された唯色さんの著作『チベットノート(西蔵筆記)』は、「ダライラマを崇拝・宣揚している」などの理由で発売禁止になり、彼女は、仕事と住居を奪われ、チベットを追われました(現在は北京在住だと思う)。この事件については、彼女の夫である作家の王力雄さんが論評していますが、それを日本のブログ「思いつくまま」さんが翻訳してくださっています。
王力雄:チベットの直面する二つの帝国主義――唯色事件透視(1)
王力雄:チベットの直面する二つの帝国主義――唯色事件透視(2)
王力雄:チベットの直面する二つの帝国主義――唯色事件透視(3)
王力雄:チベットの直面する二つの帝国主義――唯色事件透視(4)
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台湾女性研究4月論壇

台湾女性研究4月論壇(フォーラム)のお知らせ

 当日の開始時刻と報告者を変更しました(3月26日)

 今回は、下記のように「台湾原住民(先住民)」の研究者をお迎えし、原住民女性をとりまく現状についてご報告いただく予定です。時間の関係で、当日の報告には通訳はつきませんが、報告内容は日本語に翻訳して当日配布いたしますし、解説・コメンテーターの発言も日本語で行います(関西中国女性史研究会より)。

日時:2008年4月5日(土)14:00~17:30(受付13:30~)13:30~18:00
会場:関西学院大学梅田キャンパス「アプローズタワー14階 1408号教室(決定)」。(阪急梅田茶屋町口から北へすぐ、ホテル阪急インターナショナルや梅田芸術劇場が入っているビル)地図 TEL 06-6485-5611

(追加)報告Ⅰ講師:李玉珍(清華大学中文系副教授)
 テーマ:「出家入世―台灣佛教女性僧侶生涯之變遷」
 解説・コメンテーター:成田靜香(関西学院大学文学部教授)


報告Ⅱ「部落與都會之間――台灣原住民婦女二個世代經濟活動的轉化」
 講師:頼淑娟(東華大学民族文化系助理教授)
 解説・コメンテーター:野村鮎子(奈良女子大学文学部教授)


付記:最近、関西中国女性史研究会の森岡ゆかりさんが、次の論文を翻訳なさったそうです。
汪明輝著、森岡ゆかり訳「台湾原住民族運動の回顧と展望」『南方文化』第34輯(2007年12月)129-169頁
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チベット女性の状況

 今回のチベットの事態に対して、チベット女性協会(Tibetan Women's Association)も、中国政府の武力弾圧に抗議する「緊急声明」を出しました(Urgent Statement from TWA)。

 チベット女性協会とは、1959年3月にチベット蜂起が起きた時に結成され、1984年に亡命チベット女性によって活動を再開した団体です。現在はインドやネパールに支部があるようです。

 上の緊急声明は女性問題にはとくに触れていませんが、2006年にチベット女性協会が出したレポートは、チベット女性に対する人権侵害について詳しく書いています(NGO Alternative Report on the Status of Tibetan Women)。このレポートは、国連の女性差別撤廃委員会が中国政府のレポートを2006年8月に審議した際に提出したオルタナティブレポートで、以下のような内容です。

 <構成>
序言
 A.本レポートの目的
 B.チベット女性協会──プロフィール
 C.チベット女性の政綱
レポートの概要
チベット女性に対する暴力
 A.拷問
 B.リプロダクティブ・ライツの侵害
  1.強制または強要された不妊手術
  2.強制された強要された妊娠中絶
  3.優生学
  4.生殖周期の監視
チベット女性と雇用
チベット女性と健康
チベット女児と教育
チベット女性と人権
 A.人口移動
 B.宗教迫害
 C.売春
国際社会への勧告

 内容をかいつまんで紹介すると(ざっと見ただけなので、あまり正確でないと思いますが)、「チベット女性に対する暴力」の節では、中国政府の抑圧に反対する活動では尼僧も活躍してきたこと、そのためチベットの女性政治犯には尼僧が多く、彼女たちに対してはしばしば拷問(とくに性的拷問)がおこなわれていることを告発しています。また、チベットの国土は広大で人口問題がないにもかかわらず、産児制限が強要されていること、不妊手術や妊娠中絶がしばしば危険な方法でおこなわれていることを批判しています。また、女性の生殖周期が監視されており、この点もプライバシー侵害で、女性に対する暴力であることを指摘しています。

 「チベット女性と雇用」の節では、チベットへの漢民族の移住を進めたためにチベット人の失業率が増大していることや、中国語を話せなければ仕事にありつけないことを述べています。また、雇用においてチベット女性は、漢民族男性、漢民族女性、チベット男性の下の最底辺に位置づけられていることやセクハラを受けていることも述べています。

 「チベット女性と健康」の節では、多くのチベット女性にとって医療は、手が届かないか、高価すぎるものであることを述べています。また、刑務所では月経を処置するための綿も与えられないことにも言及しています。チベットでは妊産婦死亡率(妊産婦10万人あたりの死亡者数)が20であり、中国の他地域は6であるのに比べてずっと高いことも指摘されています。

 「チベット女児と教育」の節では、チベットの女児の就学率は全国最低であること、33%の子どもはまったく教育を受けていないこと(全国では1.5%)。学校は親からさまざまな経費を徴収しており、農村部ではそれらを支払えないことが述べてあります。また、多くの子どもは家ではチベット語で育てられているにもかかわらず、ほとんどの学校(とくに中等学校以上)では中国語が使われており、そのこともチベットの子どもの教育の妨げになっていると指摘しています。子どもたちはチベットの文化遺産については教えられず、1996年の中国政府の「取り締まり強化(厳打)」キャンペーン以降は、修道院や尼寺での教育も禁止されたといいます。多くの親が、子どもをチベットからヒマラヤを越えて逃亡させようと試みているそうですが、それには多くの危険(寒さ、食物の不足、警官による強姦など)があることも述べています。

 「チベット女性と人権」の箇所では、チベットへの漢民族の移民が大規模に進行していること(世界銀行が漢民族の移住のためのプロジェクトに資金を提供しようとしたが、国際的な訴えによってその方針を変更したことにも触れている)、1996年の「取り締まり強化」キャンペーンによってチベット人が宗教儀式をするのを禁止され、多くの僧や尼僧が逮捕されたことを述べています。また、経済的な苦難や差別のために売春に追いやられるチベット女性(田舎、とくにチベット東部のカム地方出身の人が多い)が増加していること、それに対して中国政府はほとんど手を打っていないことも述べてあります。

 上のオルタナティブレポートを受けてのことだと思いますが、国連の女性差別撤廃委員会も、中国に対する最終コメントで以下のような点を指摘し、是正するように勧告しました([英語]Concluding comments of the Committee on the Elimination of Discrimination against Women│[中国語]消除対婦女歧視委員会結論意見:中国←開けないときはここからChinaのConcluding CommentsのChineseを開いてください)(いずれもPDFファイル)
 ・まず、女性に対する暴力について述べたパラグラフ21で、「[女性差別撤廃]委員会は、特にチベットでは、拘留所で女性が暴力的侵害を受けていると報じられていることを憂慮する」と述べています。
 ・また、農村の問題について述べたパラグラフ27では、「[女性差別撤廃]委員会は、農村の女性が教育・保健・就労・指導的業務への参与、土地財産などの面で不利な地位に置かれていることに注目する。委員会はまた、チベット女性を含めた、農村の少数民族の女性の情況を憂慮する。彼女たちはジェンダー的、民族的、文化的背景と社会経済的地位にもとづく複合的な差別に直面している」と述べています。
 ・人口抑制について述べたパラグラフ32では、中国政府が「地方の産児制限の官吏による少数民族に対する虐待と暴力(強制的な不妊手術と強制的な妊娠中絶を含む)の報告を調査し、起訴する」ように求めています。

 チベット女性の被抑圧的状況について日本語で読めるネット上の文章としては、以下の2つがあるようです。
 ○ダライラマ法王日本代表部事務所が作成したチベットの人権問題特集。とくにその中の女性の権利のページ産児制限と中絶・不妊手術の強制のページ
 ○2000年の女性国際戦犯法廷の一環として開かれた現代の紛争下の女性に対する犯罪国際公聴会でのチベット女性の証言。この証言も、チベット女性協会が提供したものです。女性政治犯の証言を中心に書かれています。

 以上で挙げたチベット側の文書は、全体としてチベット女性の問題を中国政府による民族的支配と結びつけて論じている傾向が強いと思います。この点は、文書を作成した団体の性格を反映している面もあると思いますが、それだけでなく、チベット女性にとっては何より民族的な抑圧が深刻であり、女性に対する抑圧もしばしば民族に対する抑圧と結びついている現実を反映している面もあるでしょう。

 また、オルタナティブレポートは、雇用差別の問題を述べた箇所などを読むと、必ずしもチベット女性の問題を単純に民族的抑圧に還元しているとも言い切れません。その点は、国連の女性差別撤廃委員会が「ジェンダー的、民族的、文化的背景と社会経済的地位にもとづく複合的な差別」という認識を示したことにも反映していると思います。

 今回のチベットの事態に関しては、チベット・サポート・ネットワーク・ジャパン(Free Tibetに向けて、チベットのサポート活動をおこなっている日本中のグループの相互連絡のための団体)のサイトで、いつくかのアクションが提起されています。ブログでは、ちべろぐ@うらるんたが逐次情報を伝えているようです。私も、なんらかの、より直接的な意思表示もしていきます。
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台湾総統選に向けてセックスワーカー処罰条項廃止を求めるデモ

 台湾で、3月8日の国際女性デーに「底辺優先─売春婦処罰条項廃止大デモ(底邊優先─廢除罰娼條款大遊行)」がおこなわれました。

 このデモは、3月22日投票の台湾(中華民国)総統選挙に向けたものであり、セックスワーカーとその支援者の団体である日日春関懐互助協会(日日春。Collective Of Sex Workers And Supporters, COSWAS)が主催しました。他にも多数の団体が参加しました。

 台湾の「社会秩序保護[維護]法」第80条には、「公共の場所あるいは公衆が出入りできる場所で、売春あるいは売春の仲介を意図して客を引く者」は、「3日以下の拘留あるいはニュー台湾ドル(新台湾幣)3万元以下の罰金に処する」という条項があります(「第3篇第2章 妨害善良風俗」)。

 上の条項に関して、日日春は、今回の総統選挙に立候補している民進党の謝長廷候補と国民党の馬英九候補に対して、おおむね以下のような内容の承諾書に署名を求めました。
 1.社会秩序保護法80条の廃止を支持し、成人が自発的におこなう情況の下では、性の取引に従事するセックスワーカーを処罰しない。
 2.就任後2年以内に、社会秩序保護法80条の改正を完成する。社会秩序保護法80条を正式に廃止する前に、政府当局とセックスワーカーと民間の公衆の三者の交流・対話をつうじて、必要な関連措置のプランを完成させ、それによって社会政策・労働政策・公衆衛生・治安の各面で底辺の弱者層の人権と社会公衆の利益の双方に配慮する(1)

 国民党の馬英九候補は、上の要求に対して、「セックスワークの非犯罪化は、社会のコンセンサス(社会共識)が出来てからにする」という趣旨の回答をしました。日日春は、馬候補が「コンセンサス」を口実にしていることを批判するとともに、馬候補が台北市長時代にセックスワーカーの取締りを推進したことも批判しています。

 それに対して民進党の謝長廷候補は、上の承諾書に署名をしました。日日春は、この点について、謝候補は「台湾で初めてセックスワーカー不処罰の要求を支持する態度を公の政策として表明した総統選挙の候補者」だと言って評価しています。しかし、民進党については、同党の陳水扁前総統が台北市長時代の1997年に廃娼をおこない、謝候補自身も2002年に高雄市長時代に廃娼をおこなうなど、これまでの態度に対して不信感が残っているようです。また、謝候補は現在、政権党である民進党の主席でもあるにもかかわらず、街頭では依然として取締りが続いている点についても疑問を呈しています(下記の要請行動のビデオ参照)。(2)

 当日の集会とデモ、両候補の陣営への要請行動については、You Tubeで見ることができます(⇒「《2008底邊優先──廢除罰娼條款大遊行》影音實録與馬謝總部回應」2008年3月11日)。歌や踊りもまじえた集会、トラック・バイク・徒歩によるデモ、それぞれの陣営の総本部の前で要求を突きつけている様子などがビデオに収められています。セックスワーカーや台北市議が、激しく両陣営を追及しています。台湾性別人権協会や婦女新知基金会の旗も見えます。それほど大規模な行動ではありませんが、たいへんな熱気が伝わってきます。「謝長廷篇」と「馬英九篇」が、それぞれ7~8分ほどです。

 近年、台湾でも貧富の格差が急激に拡大しており、さまざまな事情からセックスワークをおこなう女性も増えています。しかし、底辺に置かれた人々の就労の問題に関しては、今回の総統選ではあまり争点になっていません。馬候補も謝候補も、女性・福祉・就業に関する政策は全体として不十分です。民進党はかつては「弱者優先」を唱えていたのですが、最近はそうでなくなったようです。日日春は、こうした点も問題にしています(3)

 日日春は、今後も、総統選投票日に向けて両陣営に対して運動の計画を立てています。また、セックスワークの問題に関しては、台湾の女性運動の中でもおそらくまだ意見の違いがあると思います。それらの点にも今後注目したいと思います。

(1)日日春が発表した、「底邊優先,廢除罰娼條款遊行,及簽署給總統候選人訴求」(2008年3月2日)に、承諾書の全文や社会秩序保護法80条に関する詳しい批判が掲載されています。
(2)以上は、「2008總統大選《底邊優先──廢除罰娼條款大遊行》新聞稿」(2008年3月11日)参照。
(3)「底邊就業優先,廢除罰娼條款,立刻政策弁論──2008/2/24公視總統辯論日日春新聞稿」2008年2月24日

※しばらくの間、このブログの注記へのリンクに不具合がありましたが、修正しました。
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「看護師条例」公布

 1月23日、国務院の常務会議で「看護師条例(護士条例)」が採択され、同月31日に公布されました。5月12日から施行されます。

 この条例は、以下の6つの章からなっており、全部で35条です(1)
 第一章 総則
 第二章 業務登録
 第三章 権利と義務
 第四章 医療衛生機構の職責
 第五章 法律上の責任
 第六章 附則

深刻な中国の看護師問題

 この条例が制定された背景には、いまの中国の看護師が抱えている深刻な状況があるようです。国務院法制弁公室の責任者は、この条例を制定した理由として、以下の3つの点を挙げています(ゴシックは遠山による)(2)

 一、看護師の合法的権益の法律的保障が不足している。看護職には充分な魅力がなく、看護師の隊伍は人民大衆の看護サービスに対するニーズを満たすことができていない。現在、人事制度の改革の中で新旧の体制が併存している情況の下で、一部の医療機構には正式の編制人員と編制外で招聘した契約制人員との複線的管理が存在しており、看護師の人的コストを減らすために、正式の編制の看護師を大きく減らし、編制外で招聘した契約制看護師を増やしている。一部の医療機構が招聘した契約制看護師は、継続的教育に参加したり職称が昇進したりする権利がなく、国家が規定した祝日・休日の待遇がなされていない。これらの問題は看護師の労働上の権益を侵犯しているだけでなく、看護師の隊伍の安定を大きく損なっており、看護の専門業務の発展に不利で、患者に優れた質の看護サービスを提供するうえで不利である。

 二、一部の看護師は全面的・厳格に看護の職責を履行することできず、基礎的な看護業務を軽視し、主体的にサービスする意識が強くないために、患者との関係が緊張し、医療の質を損ない、医療事故さえ起こしている。少数の看護師は完全には「患者を中心にする」というサービスの理念によって行動せず、患者に対する態度が温かくない。若干の病院は看護業務を単純化し、看護師は医者の指示をを執行して、注射をやりとげ、薬を出すことだけを重んじ、主体的に患者の病状の変化を観察することや病室を見回ることや基礎的な看護業務を軽んじて、患者に対する生活の世話や心理的な看護、リハビリの指導を軽視し、患者との気持ちを通わせ、交流することを軽視している。

 三、一部の医療衛生機構は医療を重んじて、看護を軽んじ、ほしいままに看護職の数を減らして、医者と看護師との比率のバランスを大きく崩している。とくに一部の病院は、看護師は病院にあまり大きな経済的効果をもたらさないと考えているため、看護師の隊伍の建設と看護業務の発展を、病院の全体的な発展計画の中に組み込んでいない。病室の看護師が少ないために、患者が必要な生活面の世話が十分できず、基礎的看護業務が水準に達していない。病院は、患者に金を払わせてヘルパー[護工]を雇わせるので、患者の生活の世話のニーズは満たせても、重体の患者に対する看護については、隠れた災禍をもたらしている。とくにヘルパーが一部の治療的性格をもった看護業務をすることは、看護師がおこなうべき患者の病状の変化を観察する職務を形ばかりのものにするので、医療の安全に多大の隠れた災禍をもたらしている。

 したがって、この条例の狙いとしても、次の3つの点が挙げられています。
 一、看護師の合法的権益を充分に保障すること
 二、看護師の業務執行行為を厳格に規範化すること
 三、医療衛生機構の責務を強化すること

この条例では、看護師自身の権益はあまり重視されていない?

 上の一、の「看護師の合法的権益」に関する条文を見てみると、以下のとおりです。

 第12条 看護師業務は、国家の関係規定にしたがって賃金報酬を得て、福利待遇を享受し、社会保険に参加する権利がある。いかなる単位または個人も、看護師の賃金をピンはねしたり、看護師の福利待遇を取り消したり、低下させてたりしてはならない。

 第13条 看護師業務は、その看護業務に適応した衛生防護、医療保険サービスの権利を持つ。直接有害有毒物質に接触し、伝染病に感染する危険がある仕事をする看護師は、関係する法律・行政法規の規定にもとづいて職業健康監護を受ける権利を持つ。職業病にかかった者は、関係する法律・行政法規の規定にもとづいて、賠償をする権利を持つ。

 第14条 看護師は、国家の関係規定と本人の業務能力と学術水準に応じた専門的技術職務・職掌を得る権利を持つ。また、専門的訓練に参加し、学術的な研究と交流に従事し、職業協会と専門の学術団体に参加する権利を持つ。

 第15条 看護師は、疾病の診療・看護に関係した情報を得る権利と看護の職責の履行に関するその他の権利を持ち、医療衛生機構と衛生主管部門の工作に意見と提案を出すことができる。

 第12条~第14条については、それぞれについて、ほぼ対応する形で「医療衛生機構の職責」も定められており(第22条~第24条)、法律上の責任も定められています(第29条、第30条)。

 しかし、全体として、一般的なことしか書かれていない感じがします。また、第12条と第13条には、「国家の関係規定にしたがって…」「関係する法律・行政法規の規定もとづいて…」と書かれていますが、それらの点に関しては、言い換えれば、この条例では、従来からある規定で述べられている以上のことは定めていないということになります。医療衛生機構の「法律上の責任」も、この2つの条文に関しては「(守らなければ)関係する法律・行政法規の規定もとづいて」処罰するという書き方なので、新しく罰則を設けたというわけではないです。

 ただし、第14条のうち、看護師の職業訓練に関する規定だけは、少しだけ厳しくなっています。すなわち、第24条で「医療衛生機構は、その機構の看護師の在職訓練計画を制定・実施し、看護師に訓練を受けることを保障しなければならない」と規定されているのですが、この点は、やらなければ地方人民政府から「警告」が下されます(第30条)。この点は直接医療の質にかかわる問題だから、少し厳しくしたのでしょうか?

看護師の配備基準の達成については、やや力点が置かれている?

 比較的重視されていると思うのは、第20条の「医療衛生機構の看護師の配備数は、国務院の衛生主管部門が規定した看護師の配備基準を下回ってはならない」という規定です。

 この条項も、「国務院の衛生主管部門が規定した配備基準」を確認しているだけですが、この条項に関しては、「法律上の責任」が、「地方人民政府が期限までに改めるように警告する」→「改めなければ診療科目の削減or6ヶ月以上1年以下の営業停止」(第28条)というふうにやや厳しくなっています。また、経過措置として、「この条例が施行される前にまだ看護師の配備基準を達成していない医療衛生機構は、国務院の衛生主管部門が規定した施行の段取りに従って、この条例が施行された日から3年以内に看護師の配備基準に到達しなければならない」(第34条)ということも定めているので、ある程度本気で現状を改めようとしている感じがします。

 看護師の配備基準の達成がわりあい重視されている背景には、この問題がとりわけ深刻だということがあるように思います。たとえば、2006年の看護管理工作会議において、衛生部医政局看護部長の郭燕紅さんは「衛生部統計センターの統計データによると、1952年のわが国の医者と看護師の比率は1:2.28だったのが、2001年には1:1.09に下降し、2003年には1:0.68になった。全国400ヶ所あまりの病院に対する衛生部の調査によると、医療機構の病室の看護師とベッドの比率の平均は0.33:1であり、最低は0.26:1しかなく、まだ衛生部が1978年に出した要求である0.4:1に達していない。95%以上の病院では入院患者の生活看護の仕事は、家族かヘルパーが請け負っている。」「1978年から現在までにもう30年が経とうとしており、医学技術は飛躍的に前進し、人民大衆の健康のニーズは高まっているのに、看護師のベッド比率は高まっていないだけでなく、下降している」(3)と述べています。

 看護師の配備基準を達成するか否かは、もちろん看護師の労働条件にも関わってきます。今後、この条例によって、現状がどれほど変わるかに注目したいと思います。

 その他の条文に関しても、最初に述べた一~三の点を解消する上で果たしてどれほど有効かを検討してみたいと思います。

(1)「中華人民共和国国務院令第517号 護士条例」(中華人民共和国中央人民政府サイトより)。中国の看護師が抱えている深刻な状況については、文中にも挙げた中華首席医学ネットの特集ページ「天使之憂」をご覧ください。
(2)「国務院法制辨負責人就《護士条例》答記者問」(中国法制信息網より)
(3)余運西「失衡的護士床位比」『健康報』2006年3月22日。なお、国際比較については、中国語ですが、胡雁「護理学専業的現状与前景」中国護士網2005-9-20参照。
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海南島裁判の原告の証言その他

 少し以前のことになりますが、1月15日、中国海南島「慰安婦」訴訟控訴審の第四回口頭弁論が東京高裁でおこなわれ、原告の黄有良さん(80)が証言しました。ハイナンNETの方によると、50人ほどの傍聴席に対して、100人以上の方が傍聴に駆けつけたそうです。

 黄さんは、14歳のときに日本兵から性暴力を受けました。そしてその後、約1年3ヶ月の間に2箇所の兵営で監禁され、性行為を強要され続けました。黄さんは、そのなかでも一番辛かった体験として、「目まいで倒れそうになると殴られ、また同じ姿勢にさせられて集団暴行された。何時間続いたか覚えていない」ということも証言しました。黄さんは、今も当時の光景が目に浮かんだり、悪夢に襲われて飛び起きることがあるそうです(1)

 黄さんは「日本政府に謝罪してもらい、名誉回復と賠償をしてほしい」と国会議員にも訴えました(2)。黄さんによると「当時のことは自分の孫や子どもにも話していない」といいます。けれど「日本の若い人たちが応援してくれて元気になりました」(3)というふうにもおっしゃったようです。

 黄さんの証言に先立ってハイナンNETでは、さまざまなアクションをしました。私は滋賀在住なのでカンパしかできませんでしたが、たとえば、その一つとして「いまさら? いまなお? いま、ここから。日本軍『慰安婦』ユースフォーラム」を開いたことが報じられています(4)

 次回の裁判は、5月15日(木)午前11時から東京高裁818号法廷で行われる予定です。

 また、ブログGazing at the Celestial Blueさんが詳しくお書きになっていますが、2月にも、海南島から新たに88歳の元「慰安婦」女性が被害を公表なさったということです。

(1)「中国海南島 60数年前の悪夢 今も 『慰安婦』訴訟原告が証言」『しんぶん赤旗』2008年1月17日。元「慰安婦」の方の体験については、同紙2007年7月16日付記事「暴行されたのは私と同じ人間だ 『慰安婦』裁判を支えるネット百数十人に成長」に詳しく書かれています←この記事は、ぜひお読みください。
(2)「名誉回復 力貸して 元『慰安婦』原告 紙議員に要請」『しんぶん赤旗』2008年1月17日。
(3)「人模様:戦争体験、日本の若い世代へ――黄有良さん」『毎日新聞』2008年3月1日。
(4)Hainan-ACT 2日目 シンポジウム報告「日本軍『慰安婦』問題 どう学び・どう伝える 若者らフォーラム」『しんぶん赤旗』2008年1月15日。
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李銀河さん、LGBTの社会団体の登記を承認するよう提案

 先日、中国の社会学者・李銀河さんは、全人代や全国政協に向けて、以下のような提案を起草しました。


 民政部門に、特殊な性的指向の人々が社会団体の設立を登記するのを承認するよう促すことに関する提案

 現在、わが国には若干の特殊な性的指向を持つ人々、すなわち国際的には通常LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)と称される人々が存在しています。これらの人々は、多くの人々とは異なる性的指向を持っているために、特殊なニーズを持っており、また比較的差別されやすいのです。各国において、彼らはみな合法的に登録した社会団体[社団]を有しており、中国も、彼らが社会団体の設立を登記することを承認するべきです。その理由は、以下のとおりです。

 第一に、中華人民共和国憲法によれば、公民は結社の自由の権利を持っています。これらの特殊な性的指向を有している人は公民であり、それゆえ彼らは社会団体の設立を登記する権利を持っています。

 第二に、これらの人々には、社会団体を設立するニーズがあります。現在、全国各地にすでに大量にこれらの人々が組織した正式でない組織、たとえば彼らのボランティア組織や友誼[聯誼]組織などが存在しています。このことは、彼らに結社のニーズがあることを示しています。

 第三に、こうした人々の社会団体には機能があります。エイズが西洋で最も早く同性愛者の人々の中で爆発したとき、これらの社会団体はエイズ教育をし、ピア・エデュケーションをするという特殊な機能を発揮しました。もちろん、これらの団体も、他の社会団体が持っている一般的機能をすべて持つことでしょう。

 現在、民政部門は一般に、これら特殊な性的指向を持った人々が社会団体を設立する申請を承認していません。このようなやり方は、憲法に違反しているだけでなく、調和[和楷]社会を構築するうえで不利であります。調和社会とは、異なった質の人々の間の調和したつきあい[相処]ということです。ですから、本提案は、民生部門がこれまでのやり方を改め、法に基づいて特殊な性的指向を持った人々が社会団体を設立する申請を承認することを促すものであります(1)


 中国の社会団体は、社会団体登記管理条例(2)にもとづいて、民政部に登記(登録)することになっています。登録の際には、いろいろ複雑な問題があるようです(3)

 ただし、李銀河さんも上で触れていることですが、清華大学NPO研究センター所長・王名さんによると「中国では多数の未登記団体も実際に活動しており、彼らは、通常『クラブ』『志願者グループ』『サロン』などの名称をつけて、定期的に集まり、組織的に活動をおこなっている。このような未登記団体に対して、それが公益活動を行う団体であるかぎり、政府は通常取り締まりをしない」ということです(4)

 また、「学生社団」というものもあり、同じく王名さんによると、「大学でも数多くの学生社団が活動している。その一部は、日本の大学サークルと同じように、趣味や健康、スポーツなどのために組織された同好会であるが、社会問題に積極的に使命感を持って取り組んでいる学生社団も多い。とくに社会的に関心の高い環境保護、弱者への社会的支援などの分野では、学生社団は強い影響力を持っている」(5)といいます。LGBTのための学生社団としては、すでに2006年10月、中山大学の学生らによって設立された「レインボー社(彩虹社)」が大学に正式に登録されています(このブログの記事)。

 「レインボー社」が学生社団として登録された際には、大学の公の宣伝コーナーで活動情報を掲示したり、大学の教室を取ったりすることができるようになったというメリットがあったようです。しかし、民政部に社会団体として登録することに具体的にどのようなメリットがあるかは、恥ずかしながら私にはまだかわりませんので、今後、調べてみたいと思います。

(1)「両個立法建議」李銀河的BLOG2008年3月6日
(2)「社会団体登記管理条例」中国NPO服務網より)。自治体国際化協会HPの中の「中国におけるNGOの状況」の中の「NGO設立の根拠法令」に部分的な訳あり。
(3)王名・李研焱・岡村美恵子『中国のNPO』(第一書林 2002年)、アジア太平洋フィランソロピー・コンソーシウム調査研究プロジェクト「非営利セクターのガバナンスとオーガニゼーショナル・エフェクティブネス」-中国(PDFファイル)など参照。
(4)前掲、王・李・岡村著、87頁。
(5)同上、87-88頁。
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セクハラの司法解釈について民間で専門家が建議稿を発表

 2月29日、中国法学会「DV反対ネットワーク」中国社会科学院法学研究所「ジェンダーと法律研究センター」と「職場でのセクハラ反対課題グループ」が共催した「職場でのセクハラ反対の課題の成果発表会および司法解釈(1)研究討論会」が、「人民法院がセクハラ事件を審理する若干の規定」という司法解釈の専門家建議稿を発表しました。

 中国では、2001年に初めてセクハラ訴訟が起きました。また、2005年に婦女権益保障法が改正された際、セクハラ禁止規定が設けられました。

 しかし、セクハラ訴訟の数は多くなく、また、その半分以上は原告の敗訴に終わっています。それは、セクハラ訴訟には、「立件が難しい」「証拠を取るのが難しい」「賠償が難しい」などの問題があるからだといいます。建議稿を起草したメンバーの一員である薛寧蘭さん(中国社会科学院法学研究所研究員)は、「婦女権益保障法の規定は、原則しか述べておらず、使いにくいのです。多くのセクハラ事件の原告は、証拠が足りないために敗訴します」と言っています。

 ですから、この建議稿は、セクハラに対して境界線を定め、セクハラに対する民事賠償の範囲を明確にするとともに、その審理と執行の手続きに関しても、セクハラ事件の特殊性に符合した規定を設けたそうです。また、セクハラに対する使用者[用人単位]の義務と責任も規定しました。

 この建議稿を作成するにあたっては、2005年から2007年までの3年間にわたって、全国の女性の被害者やその同僚、親族、弁護士、裁判官などを訪問・取材したうえで検討を重ねたそうです。

 この建議稿は、一部の人民代表や政協委員にも渡されました(2)

 こうした提案が人民代表や政協委員の手に渡ったからといって、それがそのまま実現するわけでは全然ありません。けれども、長い目で見ると、きちんとした調査研究をおこなって提案を作成したということは、意義を持ってくると思います。

 つい先日の『中国婦女報』にも、ある女性がホテルのトイレで盗撮にあって110番したところ、警察もホテルもなかなか動こうとしなかったという話が書かれていました(3)。その紙面で、宋美婭さんは、セクハラという人権問題に対する警察やホテルの冷淡さを厳しく指摘するととに、「DVも以前は私事・家庭内のことであるとして警察も放置していたけれども、数年来の各方面の宣伝などによって、警察や検察、裁判所もDVを重視するようになった」と述べて、セクハラに関しても、法律業務に従事する人々が努力するように訴えていました(4)。上のような法律関係者の努力が実ることを期待したいと思います。

(1)木間正道・鈴木賢・高見沢磨『現代中国法入門[第3版]』(有斐閣 2003年)は、「司法解釈」について、以下のように述べています。
 「人民法院の裁判例には一般に法的拘束力はないが,最高人民法院が正式に公布した裁判例は下級法院が類似の事件を処理する際の参考に供されている。しかし,それよりも重要な法源としては,最高人民法院と最高人民検察院が発する[司法解釈]とよばれる文書である。下級の法院・検察院からの問い合わせ,照会[請示]に対する回答という形をとる[批復],[答復],[復函],[通知]などと,主要な制定法の細則を条文形式で体系的に示す[意見]とがある」(97頁)。
(2)「性騒擾司法解釈有了専家建議稿」『中国婦女報』2008年3月3日。なお、昨年の全国政治協商会議でも、中国社会科学雑誌社の哲学編集室主任の柯錦華委員が、セクハラの司法解釈について6つの面(1.基本原則、2.セクハラの定義、3.賠償責任、4.使用者の責任、5.審理の手続きと執行の手続き、6.証拠原則)から提案をおこなっています(「“性騒擾”応做六方面的司法解釈」『中国婦女報』2007年3月9日)。
(3)湯計・張麗娜「“遭到性騒擾還没地児説理了?”」『中国婦女報』2008年2月28日。
(4)宋美婭「事関人権,豈可冷淡」『中国婦女報』2008年2月28日。もちろんDVに関しても、中国では全国的なDV防止法がないなど、まだまだ課題はありますが。
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『中国女性史研究』第17号発刊

 中国女性史研究会の会誌『中国女性史研究』の第17号が発刊されました。本号は、研究会発足30周年を記念した論文集です。

  〈目次〉
巻頭言─30周年を迎えて(前山加奈子)
「貞節」が問われるとき─『問心一隅』に見る知県の裁判を中心に(五味知子)
元代における「刑事」事件と女性(大島立子)
近代への希求と抗拒と─丁玲『夢珂』における裸体画モデル事件から─(江上幸子)
Y.D.とは誰か─日本の女性問題を紹介・論評した呉覚農について─(前山加奈子)
女性記者竹中繁の見た中国女性たち─1920~30年代を中心に─(須藤瑞代)
第一次五カ年計画期の都市における女性労働の保護と平等─とくにスターリン批判による変化に着目して─(遠山日出也)
家政サービス「職業化」に見る現代中国のジェンダー・ポリティクス(大橋史恵)

論文以外にも、以下のものが掲載されています。
現代中国女性史年表追補3(2006.9~2007.8)(遠山日出也)
例会報告
中国女性史研究会第12回総会
中国女性史研究会規約
非会員業績
第16号の訂正・お知らせ・編集後記


 165ページあっていつもより分厚いですが、価格はいつもと同じで、1冊1000円です(送料別。会員価格は800円)です。
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 また、「中国女性・ジェンダー関係主要HPリスト」(リンク集)も併せてご覧いただければ幸いです。日本の問題の一部は、「ウィメンズ・アクション・ネットワーク(WAN)の労働争議・まとめ」や「館長雇止め・バックラッシュ裁判」でまとめています。
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