2008-01

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中国で派遣社員への強制転換ひろがる

百貨店が店員を強制的に派遣社員に転換。女性たち、裁判を起こす。(1)

 中国では、近年、全国の大型小売店やスーパーマーケットは、その店員をメーカーの派遣社員(「メーカー情報員(廠方信息員)」「ショッピングガイド(導購員)」などと称する)に強制的に転換させ、店との雇用関係を断ち切っています。それによって彼女たちの社会保険費の支払いを免れ、賃金の遅配欠配などにも責任を取らないようにするわけです。
 彼女たち派遣社員は、賃金は500~600元、それに数百元の奨励金をプラスしても、月収は1000元ほどです。ほとんど休日はなく、医療保険や養老保険などの福利待遇もないといいます。
 ある女性労働者は、「農民労働者(農民工)の権益は国家と全社会が重視するようになったけれど、私たち商業に従事している女性労働者の権益は、誰が守ってくれるの?」と言っています。

 たとえば、重慶百貨店株式会社の場合はこうです。
 重慶百貨店は、2001年、従業員を数名解雇しましたが、そのとき、彼女たちに要求されて賠償金を払わなければなりませんでした。こうした事態を避けようと重慶百貨店は、2002年から多くの店員に、メーカー(の派遣社員)へ転籍を強要しはじめました。彼女たちはメーカーの人など全然知りませんでしたし、転籍させられた後も、百貨店の指示によって売り場も、売る物も決められていました。

 2005年に重慶百貨店が食品部にスーパーマーケットを設立した際には、そこの店員はすべてメーカーと労働契約を結ばせて、派遣社員にしました。

 昨年(2007年)4月にも、多くの女性店員たちが、重慶百貨店に「あなたはここの人ではない」と言われて、メーカーの派遣社員であることを確認する書類にサインするよう強要されました。

 彼女たちはみな重慶百貨店で十数年働いてきました。そこで、女性労働者14名が、昨年12月21日、労働紛争仲裁委員会にそのことを訴えました。結ばされた労働契約にも、多くの法律・法規違反があったようです。署名が従業員の直筆でないこと、一つのメーカーとの契約期間が終了していないのに、別のメーカーとの契約していること、賃金が現地の最低賃金に達していないこと……。

 しかし、昨年12月25日の労働紛争仲裁委員会の判決は、「女性労働者と重慶百貨店が労働契約をしていた証拠がない」という理由で、原告敗訴でした。判決の後、重慶百貨店はメーカーにも圧力をかけて、彼女たちを雇い止めさせました。
 そこで、女性労働者らは、今年1月2日、裁判を起こしました。

 全国弁護士協会の労働法専門委員会秘書長の王傑さんは、「今年1月1日から施行された労働契約法は、臨時の仕事、補助的または代替的な仕事だけを派遣にできるとしており(66条)、店員は比較的安定した仕事なので、派遣にはできない。労働契約法の施行細則において、国家はもっと労働派遣に対して、きめ細かで厳格な制限をすべきだ」と言っています。

 王傑さんは、「現在、労務派遣を規制する法律の規定はきわめて少なく、基本的には立法上の空白点である」とも述べており、だから、今回の労働契約法では、次の3点を規定したのだと言います。
 1.労務派遣単位と派遣労働者は、2年以上の期限が規定された労働契約を結ばなければならない(58条)。
 2.派遣労働者は、使用者の単位の労働者と同一労働同一賃金を享受する(63条)。
 3.労務派遣は、一般に、臨時の仕事、補助的または代替的な仕事で実施する(66条)。
 王傑さんは、こうした規定ができた以上、「使用者が派遣労働者を使うことで見込める利益は以前より少なくなるから、労務派遣の市場の市場規模は縮小するだろう」と言っています。
 
 ただし、この労働契約法が施行される直前、むしろ企業は社員の派遣労働への転換をすすめました(重慶百貨店が2007年に店員を派遣社員にしたのも、その一つの例でしょう)。なぜなら、労働契約法には、不安定雇用の安定化につながる条項や解雇のための経費の増大につながる条項があるため、企業がそうした義務を回避しようとしたからです。そのことを、日本のメールマガジン「China Now!」が、以下のように報じています(この記事は、中国のサイト「民生観察」の記事を「China Now!」の編集委員会が翻訳なさったものです)。

中国の郵便局で労働契約法の施行を前に500人の労働者を派遣会社に強制転籍(2)

◆四川省の郵便局で「自主退職」を強要した大量雇い止め

 四川省凉山州郵便局で雇い止めにあった労働者500名の代表は何度もわれわれと連絡を取り、彼女たちの境遇を訴えてきた。本日、労働者代表から、完成したばかりの訴えが送られてきた。

 この労働者代表によると、2008年から新しい「労働契約法」が実施され、この法律によると、ひとつの事業所で10年以上働いている労働者は、雇用主に対して期間の定めのない雇用契約を要求することができる(14条:遠山注)。

 2007年11月、四川省の凉山郵便局の500名の臨時職員は期待に胸膨らませ2008年の到来を待ち望んでいた。しかし凉山郵便局は、派遣労働を実施するとして、彼女たちを派遣会社に転籍させ、雇用関係を解除し、500名の臨時職員の正社員への道を閉ざした。多数の人が派遣会社への転籍に仕方なく同意して、再び同じ職場に派遣されているが、あくまで派遣会社から郵便局への派遣であり、つねに解雇の危険にさらされている。

 500人の労働者の多くが10年以上の職歴をもっており、一番長い者で23年にもなる。新たに雇用契約をした場合、それまでの雇用年数と労働条件は考慮されなくなる(正社員化を要求する権利を喪失する:訳注)。再契約を拒否した少数の労働者も、わずかばかりの補償金のみで解雇された。解雇された労働者代表は、この間何度も陳情で問題を訴えてきたが、何ら成果がなかったと語っている。

 この労働者代表によると、四川省では凉山州郵便局以外でも同様の問題が発生しているという。

 「民生観察」は、これまでに湖北省武漢市の遠大製薬株式会社や中国銀行四川省支店などが、(社員7000人に「自主退職→再雇用」を強要した)華為公司にならって、「労働契約法」のしばりを回避しようとした事件を報道した。今回、四川省の郵便局で発生した労働者の権利を侵害する行為もまた、中国の企業が深圳の華為公司による7000人の「偽装解雇」を見習っている一例である。

 四川省の中国銀行のケースがメディアで報道された後、四川省労働庁は、その解雇は無効であるという判断を下したが、いままた四川省の郵便局で同様の事件が発生していることは、極めて遺憾であるといわざるを得ない。われわれは四川省政府と四川省郵政局が適切な措置をとり、多数の労働者の権利を守るよう訴える。

民生観察工作室
2007年12月14日

**********

◆四川省凉山州郵便局で解雇された500人の職員の訴え

 私たちは四川省凉山州郵便局で働く労働者です。私たちはそれぞれ3年~23年にわたって働いてきました。私たちは青春をこの仕事にささげてきました。昔180元だった賃金は今でも500元ほどにしかならず、年金、医療保険、住宅積立金、雇用保険にも加入させてもらえず、享受できるはずの権利も保障されておらず、祝日の休みもなく、人格的にも軽視され、さまざまな格差をつけて分断されています。

 わたしたちは、これまで何度も、同一労働同一賃金などが含まれる雇用契約を求めてきましたが、当局は私たちの要求を無視してきました。私たちは真面目に仕事をしており、真心込めてサービスを提供し、お客さんや局の管理者や同僚からも信頼されてきました。だからこそ、私たちは10年、20年と、この仕事に従事し、非常勤だからといって、あるいは待遇が不公平だからといって、郵便業務を投げ出したりすることもなく、青年から「おじさん」になるまで、少女から「おばさん」になるまで、郵便事業に最も貴重な青年時代をささげてきました。

 1994年、中華人民共和国労働法が公布され、1995年1月1日から労働者の権利と義務が明記された同法が施行されました。私たちはこの十数年の間、期間の定めのない雇用契約を結ぶよう要求してきましたが、まったく受け入れられませんでした。

 この労働法の定める権利と義務では、私たちは公平な待遇を受けてきませんでしたが、来年2008年から施行される新しい労働契約法は、私たちにわずかな希望を与えるものであり、まさに命綱のようでした。しかし、当局は今年9月中旬から、希望あふれる私たちの心に冷水を浴びせるようになりました。

 9月末から面接や試験が行われ始め、当局側に言いくるめられた職員が「請負契約」に同意し、11月には派遣会社に移籍させられてしまいました。これまでの職歴や待遇などに対する保障は一切なく、雇用が確保されただけでした。補償を要求したものは強制的に解雇されることから、凉山州郵便局の500人は、仕事がほしい一心で、派遣会社との雇用契約を選択し、補償を放棄しました。また解雇された人も訴えても勝つ見込みがないとのことから、ごくわずかの補償金を受け取って自らの権利を放棄してしまいました。

 これで勢いづいた当局は、たった何人かの臨時職員でなにができる、夢でも見てるんじゃないか、などと公言しています。私たちは、共産党17回大会での公約や新しい労働契約法が滞りなく実行されるのだろうかと不安を抱かずにはおられません。

 今年10月、私たちは凉山州郵便局人事部門に対して、私たちを平等に扱ってほしい、10年以上働いている労働者と期間の定めのない雇用契約を締結してほしい、という要求を出しました。しかし担当者は私たちの要求を拒否しました。

 10月末、私たちは別なルートで、期間の定めのない雇用の締結を申請しました。二日後、再び申請を拒否する回答が示されました。11月、当局は逆に、私たちが派遣会社(泰宇公司)と労務派遣契約を締結するよう要求してきました。この雇用契約を締結すれば、これまでと同じ部署で働くことができると言われました。これはおかしい、と思いました。それまでのところで働くのに、どうして郵便局とではなく、派遣会社と雇用契約を結ぶ必要があるのか、と。

 この雇用契約のどこに、本来有するべき平等な待遇や平等な権利、平等な福利厚生などが反映されているのでしょうか。いまのところ、わたしたち十数人が派遣会社との雇用契約にサインをしていません。昨日、当局は無理やり引継ぎを行おうとしました。私たちは今日も出勤しましたが、当局からはもう来なくてもいい、といわれました。

**********

 日本の労働者の状況と共通している点もたくさんありそうです。上の二つの記事は、ともにサービス業の女性労働者の話ですから(郵便局は女性だけではないですが)、ジェンダーとも関係があるかもしれません。

(1)「重慶百貨渉嫌“転派遣”違法用工」『法制日報』2007年12月23日(写真あり)、「重慶百貨渉嫌“転派遣”案:女工仲裁敗訴」『法制日報』2008年1月6日。なお、一応中華全国総工会も、労働契約法上の義務を回避するために、労働者をいったん辞めさせて新しい労務契約を結ばせるような行為には警告を発しているようです(「全総:堅決制止用人単位“勧辞”職工」『中国婦女報』2007年12月3日)。
(2)「China Now!」38号(2007年12月28日)より。「China Now!」のアドレスは、新ブログがhttp://chinanow.blog28.fc2.com/、旧サイトがhttp://www5f.biglobe.ne.jp/~chinanow/です。また、この記事の原文は、「四川郵政局効傚“華為”非法解聘大批員工」(民生観察2007/12/14)です。メールマガジンは、申し込めば送ってもらえます。
 ※なお、ニュースサイト「捜狐」も、労働契約法上の義務を回避するために雇い止めをおこなったり、派遣労働者を使用したりしている問題について、特集を組んでいます(「労務派遣“三岔口” 労働合同法之労働派遣専題」)。
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人身売買の流入地でのケーススタディ

 中国では、売買婚を含めて、女性や子どもの人身売買が少なくないことはよく知られています。昨年、この問題について、次の本が出版されました。

王金玲主編『地域間の人身売買──華東五省の流入地のケーススタディ(跨地域拐売或拐騙──華東五省流入地個案研究 Case Study in Destination Areas of Trafficking:Origins,Changes and Suppression)』(社会科学文献出版社 2007年)ネット書店「書虫」データベースの中のこの本のデータ
 〈構成〉
第1章 概説……1
第1節 背景・方法・実施
第2節 流入地の視角からの分析
第3節 ターゲット集団の視角からの分析
第4節 全体的な特徴・変化・趨勢
第5節 提唱と建議
第2章 婚姻移動した女性……56
第1節 女性の人生にとっての婚姻の意義──浙江流入地の研究
第2節 婚姻市場の引力・推力・助力──江蘇流入地のケーススタディ
第3節 婚姻移動と生存の策略──山東流入地のケーススタディ
第4節 誘拐して売られるか、騙されて誘拐された女性の結婚と生存の現状──安徽流入地のケーススタディ
第3章 セックスサービス女性……250
第1節 工業文明社会における農業文明社会の理性のあがき──浙江流入地のケーススタディ
第2節 人生の[誘拐の]前の悲劇と喜劇──福建流入地のケーススタディ
第4章 子どもの養子縁組と安価な労働力……340
第1節 社会の近代化vs.子どもの伝統的意義──福建流入地のケーススタディ
第2節 女児・貧困・外来者:三重の周縁化──安徽流入地のケーススタディ

 中国の人身売買は、雲南・広西の2省(自治区)が主要な流出地で、浙江・江蘇・山東・安徽・福建という華東5省が主要な流入地です。
 この本は、浙江省社会科学院の社会学研究所などがおこなった「華東5省での、雲南/広西籍の未成年で、誘拐して売られるか、騙しして誘拐された女性・児童の流入地のケーススタディ(華東五省雲南/広西籍未成年被拐売或拐騙婦女・児童流入地個案研究)」プロジェクトの報告です。

 この本によると、従来の研究は、自分の立場/視角や既成の理論から人身売買を解釈するだけで、当事者である女性や子どもの声を十分聞いてこなかったといいます。また、流出地についての研究が中心で、流入地の研究が欠けていたそうです。けれど、流出地の「売り手」だけでなく、流入地の「買い手」についても研究が必要ですし、解放されて元の地域に戻った女性だけでなく、流出地にとどまることを選択した/とどまらざるをえない女性や子どもも多いという事情からも、流出地での研究が必要だということです。

 そうした理由から、この研究は、流入地で、当事者である女性や子どもの声を一対一でじっくり聞くという方法をとっています。もちろん、被害にあった女性や子どもの声を聞くことには困難が伴いますが、各省6人ずつの方にインタビューしたそうです。
 こうした作業をつうじて、ジェンダーと下層/周縁集団の視点と立場に立った理論を打ち出すことを目指したとのことです。

 さて、この研究は、人身売買を「(自由意志でない/事情を知らない)結婚」「セックスサービス女性*」「安価な労働力**」「(違法/不正常な)養子縁組」の4つの類型に分けて調査・研究しています。
 *中国でも「セックスワーカー(性工作者)」という名称は使われるが、この研究は、中国では、欧米のように自分が「ワーク(仕事)」をしていると考えていない女性が多いという理由で、「セックスサービス女性(性服務婦女)」と呼ぶ。
 **この研究では、一時間当たりの賃金が、実質的に最低賃金を下回っている労働力のこと。

 上記の類型別の分析としては、以下のようなことが書かれています。

一、誘拐して売られたり、騙されて結婚して移動した女性
 この研究では、暴力によって誘拐されりした女性だけでなく、売買婚(嫁に行く場所・家・相手をまったく[または、あまり]知らずに結婚させられて、その結婚によって実家が経済的な見返りをうる結婚)の場合も扱っていますが、こうした女性を含めて、流入地の状況について次のように述べられています。
 ・流入した家族は、一定の財力はあるが(=嫁を買える財力はある)、富裕ではない(=流入地で嫁を取るだけの財力はない)。女性の物質的な生活水準は、中等である。
 ・しかし、結婚の自由度(結婚の意思の有無、結婚相手に会ったことの有無など)と、結婚生活の受容度や適応度は比例しており、自由度が低いほど受容度・適応度は低い。
 ・売られたり騙された女性も、家庭ではある種の決定権を持っている。この点はステロタイプな印象とは違う。
 ・同居、懐柔/暴力、合法性、産育の4つの策略が、流入家庭が女性の心理的安定をしだいに実現する手段である。暴力は、効果が最も低い。これらに対して、女性もさまざまな生存の策略で対応する。
 ・女性に対する流入地のサポートやコミュニティについて言えば、(1)地縁によるサポートはない。(2)流入地での婚姻登記の厳格性が低いため、違法/犯罪的な手段による婚姻に合法性を与えてしまう。(3)「登記すれば土地を与える」という政策も、違法/犯罪的な手段による婚姻の安全弁になるが、女性の生存の権利は保障する働きをする。

二、セックスサービス女性
 (1)未成年が誘拐されて、直接セックスサービスに従事させられる場合
 ・大部分は「仕事の世話をする」など言われて、流入地でセックスサービスをさせられる。
 ・流入地の、家屋の貸出や外来人口に対する管理に抜け穴がある。
 ・売買春の取り締まりに、「女は拘禁するが、男は罰金で済ませる」という不公平がある。
 (2)未成年が流入してその他の職業につくか結婚した後に、だまされてセックスサービスに従事させられる場合
 ・故郷では、家は貧困で、父母が不和であるなどの状況がある。また、小さいときから家で重い労働を担ってきた。けれども、農業社会の倫理から、彼女たちは自分の努力で家を豊かにしようと、故郷を離れた。
 ・学歴は初級中学以下で、職業訓練も受けていない。そのために流出地では生産ラインの仕事ができず、このことは、彼女たちの生存や発展にとって不利となる。
 ・彼女たちがウソの情報を信じてしまうのは、伝統的農業社会という「知り合いの社会」で育ったことなどによるもので、しばしば言われるような「盲動」「軽信」「無知」とは異なる。
 ・彼女たちは、流入地では職業、賃金、婚姻、婚家、コミュニティなどで差別され、権利が損なわれていた。
 ・彼女たちが騙されたり、強制されたりして入ったセックスサービスの領域は、極めて危険性が高く、これはジェンダー/階級的地位の不平等の産物である。

三、(違法/不正常な)養子縁組
 (1)蔓延する原因
 ・農村では計画出産の管理と戸籍管理に手抜かりがある。一部の農村では、計画出産の制限数以上に生まれた子どもを「養子」として扱う(そのことによって現地の幹部が職務失当の責任を逃れる)ので、制限数以上に子どもを産むことと養子縁組とがごっちゃになってしまう。そのため、違法な養子縁組が見逃される。
 ・貧富の格差が拡大している中で、貧しい人々にとっては、子どもを養子にやったり、養子の仲介をすることが、貧困から脱出する重要な手段になる。子どもを養子にやれば、制限数以上に子どもを産んだことによる罰金も回避できる。
 ・調査した地区では、「子どもが多ければ幸福も多い」という考え方による養子縁組が伝統になっている。また、家族のメンバーを増やすことによって、コミュニティでの家族の地位を高める伝統もある。そのため収入が多くなると、養子を取ることが珍しくない。
 (2)違法/不正常な養子縁組の特徴
 ・他人の子を引き取って養育する家庭は、一般に、その家庭にいない性別の子を求める。また、女の子の方が安いので、経済力がなければ女の子を求める。そうした形で、その家庭の子ども性別や家庭の経済力によって、引き取る子どもの性別を決める。
 ・1990年代以前は、同じ地区の郷と郷、村と村、または同じ村どうしで養子縁組をしていたが、1990年以降は、よその土地の家庭の子どもを引き取るようになった。
 ・仲介人の紹介によるものが多く、みな金銭を伴っており、違法である。
 ・引き取られた子どもは、比較的正常に成長している。

四、安価な労働力
 (1)流出の背景
 ・山区の貧困な家庭の出身であり、経済的な必要と幸福な生活への憧れが流出の原因である。
 ・多くは初級中学を卒業しておらず、まったく学校に通っていない人も少なくない。
 ・流入地では、安価な労働力にしかなれず、多くは郷鎮企業に入って、電子や玩具の生産ラインの労働者になる。歌やおどりが上手な者は、娯楽の場で活動する。
 ・欺瞞的な性格の労働力送出ネットワークが、彼女たちの流出と流入のカナメの役割を果たしている。
 (2)生存と発展の現状
 ・彼女たちの労働力の価格は、その土地の同じ職業よりはるかに安い。
 ・労働環境が劣悪で、生活条件が悪い。
 ・公民の権利が侵害されている。
 ・職業の発展の機会が乏しい。
 ・心身の健康状態が良くない。

 時期的な変化としては、1980年代~1990年代前半は、一の「結婚」という形態が多かったが、1990年代中期以降は、二の「セックスサービス」や四の「安価な労働力」という形態が増えているということです。
 三の「(違法/不正常な)養子縁組」に関しては、1990年代以降、計画出産や人口管理制度が厳格になるにつれて、都市部では減少したが、そうしたことがおろそかな農村では一定程度増加したそうです。

 ジェンダーの視点からは、この研究は「女性や子どもを誘拐して結婚させるにせよ、幼児に違法/不正常な養子縁組をさせるにせよ、そうやって一族を継承し、老人を養い、家族の面倒をみさせることの核心的な理念は『父系的家父長制』である。この理念が実践・実現が可能なのは、ジェンダー不平等な制度が機能している結果である。こうした制度の下では、経済的発展は必ずしも女性や子どもを苦難から逃れさせない」と指摘しています。

 第1章の最後では、政策的提案もまとめてありますので、ポイントを紹介します。

1.法律・法規・政策に関して
 (1)刑法の「人身を誘拐して売る罪(拐売人口罪)」は、もっぱら実行の手段を強調しており、その複雑さを捉え切れていないので、「人身売買罪(売買人口罪)」に変える。
 (2)「人身を誘拐する罪」の客体は14歳未満であるが、実際に被害にあう女性の大多数は14歳以上のなので、その点を変える。
 (3)中国の状況にかんがみて、児童労働に関して、「児童労働者(童工)を使用すること」を禁止するだけでなく、「児童農民(童農)を使用すること」も禁止する。
2.流出地と流入地の社会的管理を強める
 (1)人口流動に対する政策的指導を強め、政府による情報伝播と就労訓練のルートを打ち立てる。
 (2)刑法、養子縁組法、婚姻法、労働法などの宣伝・教育や執行を強める。そうして買い手市場も根絶する。
3.流出地と流入地の協力を強める
 (1)予防と取り締まりの協力を強める。
 (2)正規の流動ルートを作る。
 (3)被害者のサポートネットワークを整備する。
4.法律と政策の執行の面
 (1)流入地の政府が、農村の流動人口の管理を強める。
 (2)養子縁組に存在する問題を解決して、養子縁組を秩序あるものにする。
 (3)現状では、売春した女性は拘禁され、労働教育(労働教養)に処せられるが、買春した男性は、罰金を払えば終わりである。しかし、売春した女性は、騙され、強制されているのだから、買春禁止にこそ重点を置くべきである。
 また、現状では、売春した女性に対しては、法律的教育や労働教育をし、基礎的な教養・知識を教えるだけである。それだけでは有効性が低いので、「社会─心理─医学救助」の新しいモデルを実施する。浙江省社会科学院の女性・家庭研究所が、浙江省女子労働教育学校で彼女たちにエンパワメントする試みをおこなって良い効果を収めたので(遠山注:浙江省社会科学院「社会─心理─医学新モデル売春女性援助プロジェクトグループ」の1997年から2000年までの実践が、「中国におけるジェンダーと発展ネットワーク」のサイトに掲載されています。王金玲・高雪玉「賦権于女商業性性服務者:工作与経験」*)、こうした試みを広める。
 (*高小賢・江波・王国紅主編『社会性別与発展在中国』陝西人民出版社、2002、p.378-395にもあります。)
5.故郷には帰りたくないが、売られた地域にはとどまりたくない女性や子どものために有利な生活条件を作る
 労働技能の訓練や生産・生活手段の提供など。
6.女性の生存環境の改善のために、女性銀行などを設立する
 貧困な女性やセックスサービスから解放された女性のために、事業を始める資金を貸し付ける。

 政策的な提案を長く紹介してしまいました。この本は、第2章以下で書かれているケーススタディこそが肝要なのだろうと思います(が、まだあまり読んでいません)。

 いずれにせよ、被害者である女性や子ども自身の視点、「買い手」の側を問題にする視点が重要であることは間違いありません。
 昨年12月に国務院から国務院から人身売買に対する初の行動計画が出されましたが、これは、従来よりも人身売買の被害者のケアや「買い手市場」に注目した総合的なものであると指摘されています(本ブログの記事)。こうした変化には、上のような国内の研究者の研究や実践の影響もあることでしょう。

 また人身売買の結果、「安価な労働力」として使われる女性や子どもについてですが、一般の出稼ぎ女性の場合でも労働条件は劣悪であるわけで、そうした一般の出稼ぎの場合と比較してどうなのかについて調べる必要も感じました。 
 それから、先日取り上げたウイグルの人権活動家、ラビア・カーディルさんは「新疆ウイグル自治区の政府は、ウイグルの若い女性を都市部に強制的に移住させ、縫製工場やナイトクラブで劣悪な条件で働かせている。これは、漢民族と結婚させてウイグル人を消滅させる政策である」(本ブログの記事)と訴えておられました。上の研究で取り上げている雲南と広西チワン族自治区も、少数民族が多い地区ですし、この研究でも、僅かながら、「安価な労働力」の一つの形態として娯楽の場で「少数民族の歌やおどりをする者」について触れています(p.35,370)。ですから、ラビアさんの訴えと接点も少しあるのですが、この研究は、ラビアさんのように、移住に関して、現地政府主導の半強制的なものであるとか、少数民族の消滅政策であるという捉え方はしていません。この点については、もちろん雲南や広西とウイグルとの違いもあるでしょうし、この研究が中国国内の研究であることの限界もあるでしょう。また、ラビアさんの情報も絶対視するわけにはいきません。しかし、台湾でも、売春に追いやられるのは、少数民族が多い。こうした民族がらみの問題に関しても、もう少し調べてみようと思います。
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つくばみらい市主催のDV講演会中止に抗議する署名

 つくばみらい市主催で予定されていた平川和子さん(東京フェミニストセラピーセンター所長)の「ドメスティックバイオレンス(DV)」をテーマにした男女共同参画講演会が、直前になって、DV防止法に反対するバックラッシュ勢力や右翼的な活動家の抗議を受けて、中止されていたことが明らかになりました。

 講演会中止に抗議し、改めて実施を求める署名活動がおこなわれています。私も署名しました。皆さまにもご協力をお願い申し上げます(一次締切1/28)。

賛同署名フォームへ

つくばみらい市における平川和子さんの講演会直前中止に抗議し、改めて実施を求めます

 1/20につくばみらい市主催で予定されていた平川和子さん(東京フェミニストセラピーセンター所長)の「ドメスティックバイオレンス(DV)」をテーマにした男女共同参画講演会(タイトル「自分さえガマンすればいいの?―DV被害実態の理解と支援の実際」)が、直前の1/16になって、市によって中止を決定されていたことが、毎日新聞ほか(注1)で報道されました。報道によれば、1/16にDV防止法に反対する民間団体が、市役所前で「数人が拡声器を使って抗議する騒ぎ」を起こしたため、市の担当者が「混乱を招く」(毎日新聞1/18)「市民に危険が及ぶ恐れがある」(産経新聞1/17)と中止を決定したものです。抗議した団体の代表(男性)は、「市長直訴の抗議により、中止が正式に決定された」、「少数が巨大な行政を圧倒・屈服させた」と発言されたと伝えられています(注2)。

 講師予定者の平川さんが直ちに市長宛に送った抗議文によれば、市側の説明では「西村と名乗る男性と他に数名の女性が、役所内に拡声器を持って押しかけ、職員に対する誹謗中傷などを大声でまくしたて、講演会の中止を求めて詰めより、そのうえ講演会の当日には街宣活動を行うとの予告をしたため、講演会の参加者に危険が及ぶ恐れがあるとの判断のもと、やむなく中止した」とあります。平川さんはこれを「講演会主催者と私に対する暴力であり、参加市民に対する暴力」にほかならないと認識しており、私たちも彼女の認識に全面的に同意します。

 改正DV防止法(2007年制定、本年1月11日施行)によれば「主務大臣(法務大臣と厚生労働大臣)は都道府県又は市町村に対し、都道府県基本計画又は市町村基本計画の作成のために必要な助言その他の援助を行うように努めなければならない」(第2条の3、5項)とされています。改正前にすでに茨城県が策定したDV対策基本計画の関係文書によれば、「県民一人ひとりが「DVは許さない」といった認識を強く持っていただくことが、何よりも大切なことです。このため、県では、今後とも学校や家庭、地域、職場などにおいて、人権意識を高める教育や男女平等の理念に基づく教育を促進していきます」とあります。つくばみらい市が計画していた講演会は、まさに県が推進している「地域における人権意識を高める教育」そのものといえます。そのような事業が少数の暴力によって妨害されることを、見過ごすわけにはいきません。

  中止の報道に接してわたしたちは大きな衝撃を受け、あってはならないことが起きたとふかく憂慮しています。市の行事が少数の人々の暴力的な行動によってくつがえされたことそのものが問題であるだけでなく、DVという暴力に対する人権を守るための事業が、少数の人々の暴力によって実施不可能になるとすれば、DV被害者および支援者を暴力から守るべき責務を負う、自治体の姿勢に対する信頼もゆらがざるをえません。このような暴挙がまかりとおるなら、今後他の自治体においても、DV関連の事業がいちじるしい不安にさらされるだけでなく、講演や学習会等の啓発事業についても「混乱をおそれて」自主規制する自治体が続出しないともかぎりません。

 このような暴力に対して、市がとるべき態度は、きぜんとしてこれを退け、安全を確保したうえで、予定通り事業を実施すること以外にありません。市当局が、暴力に屈して出した今回の中止決定をすみやかに取り消し、あらためて日程を調整して、平川さんの講演会を実施することを、わたしたちは心から求めます。また平川さんおよび関係者の身辺の安全に配慮することをも要望いたします。

(注1)「DV防止法:反対団体の抗議で講演会中止 つくばみらい市」@毎日新聞(1/18)
「抗議受け市の講演会中止に DV被害支援めぐり」@MSN産経(1/17)
「DV防止法講演会 団体抗議で中止に つくばみらい」@東京新聞茨城版(1/18)
(注2)http://seaside-office.at.webry.info/200801/article_15.html

呼びかけ人(敬称略・50音順・08.01.21現在)
青山薫・赤石千衣子・麻鳥澄江・有村順子・石田邦子・市場恵子・伊田広行・伊藤公雄・稲邑恭子・井上輝子・上野千鶴子・小川真知子・戒能民江・木村涼子・熊田一雄・黒岩秩子・小島妙子・今大地はるみ・坂上香・早苗麻子・佐藤明子・さとうももよ・出納いずみ・鈴木隆文・鈴木ふみ・土橋博子・角田由紀子・寺町知正・寺町みどり・内藤和美・中原道子・中村彰・西野瑠美子・丹羽雅代・沼崎一郎・橋本育・長谷川京子・姫岡とし子・弘田しずえ・福沢恵子・フックス真理子・船橋邦子・細谷実・堀田哲一郎・皆川満寿美・三井富美代・米田佐代子

「全文を表示」をクリックすると、平川和子さんご自身の抗議文が見られます。

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ラビア・カーディルさんについての私の投書が『毎日新聞』に掲載

 1月17日付『毎日新聞』(大阪本社発行)に、以下の私の投書が掲載されました。


ウイグル族活動家の講演に思う
 非常勤講師 遠山日出也47(滋賀県草津市)

 アムネスティの招きで昨年来日した中国の少数民族ウイグル族の人権活動家、ラビア・カーディルさん(米国在住)の講演を聞いた。彼女は、ウイグル族に対する差別を批判する活動をしたため、中国当局に投獄されていた人である。
 講演で、独自の文化と宗教を持った民族が、当局の圧政によってそれらを奪われてきた歴史を語った。1万人以上による平和的デモも軍隊に鎮圧されたという。ウイグル地区では度々核実験が行われ、多くの死者が出たり、出生児の異常も多いそうだ。最近は、米国の「テロとの戦い」に便乗して、中国もウイグルの活動家に対して「テロリスト」というレッテルを貼って弾圧しているという。
 彼女は、6年間の獄中生活のうち2年間、真っ暗闇の部屋に入れられた。その時「この世に民主主義は存在しない」と思ったが、国際世論や欧米の政府の圧力で釈放され考えが変わったという。日本でも世論を高め、中国当局に政策を変えさせる必要があるだろう。


 新聞の投書は字数の制約がきつく、私の上の投書は、意を尽くせていない箇所、舌足らずになっている箇所もあります。この点は、短くまとめるためにはやむをえなかった面もありますが、この問題で文章を書くには、私はまだまだ勉強不足だという面もあります。的確に短くまとめるためにも、私ももっと勉強しなければならないと思いました。

 なお、先日も報告したように、当日の講演については、私はインターネット新聞JANJANに原稿を掲載しており、こちらの記事の方が詳しく、より正確ですので、まだお読みになっていない方は、よろしければ、こちらもお読みいただければ幸いです(この記事は、JANJANの12月の編集委員選賞もいただきました)。
「ウイグルの人権活動家 日本に訴え」

 また、ラビア・カーディルさんやウイグル問題についての詳細は、水谷尚子『中国を追われたウイグル人』(文春新書 2007年)のほか、以下の各サイトをご覧ください。
「ラビヤ・カーディル ウイグルの『母』」
「真silkroad?」
「東トルキスタンに平和と自由を」
世界ウイグル会議(ラビア・カーディル議長)(ウイグル・英・独・中・日の各国語版あり)
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「館長雇止め・バックラッシュ裁判」東京報告会

 昨年末に、「館長雇止め・バックラッシュ裁判」(私のサイトの中の特集ページ参照)は、朝日新聞の記事でも取り上げられました(「女性施設 絶えぬ労使紛争 男女平等が目的なのに・・・低賃金で不安定」2007年12月29日。まだ掲載されていない地方もあります)。
 この裁判に関して、東京でも、1月19日(土)に以下の催しがあります。私は関西在住なので行けませんが、関東在住の方は、よろしければぜひ参加なさってみてください。



三井マリ子さん・紀藤弁護士を囲んで
"すてっぷ"で何があったの?
大阪府豊中市女性センター
館長雇止め・バックラッシュ裁判


 大阪府豊中市の男女共同参画センター「すてっぷ」の三井館長の企画は新鮮で、視野が広く、市や財団、そして多くの市民から、高く評価されていました。にもかかわらず、突然の解雇。いったい何があったのでしょう?

 三井マリ子さんは真実を明らかにするために提訴しました。第一審は原告敗訴! 行政の嘘・偽りのすべてが明らかにされ、三井さんに対する不正の数々を認めながらも、「違法とまではいえない」とバッサリ切り捨てました。「10発殴られたら違法だが、5、6発なら我慢しなさい」と言っているようなものでした。

 こんなでたらめな判決を許してしまったら、理由なく使い捨てにされても泣き寝入りするしかなくなります。三井さんは、勇気を持って再び立ち上がりました。非常勤職の雇止めと、行政の不正の背後にあるバックラッシュ(男女平等推進の流れを押しとどめる動き)という2大テーマを扱う訴訟です。裁判で見えてきた、驚くべき真実。これはあなたの身にも、あなたの周りでも起こりうる問題です。一緒に考えてみませんか?

■板橋区立グリーンホール2階 男女平等推進センター会議室(地図)
 03―3579―2790

■2008年1月19日(土)14:00~16:00

■お話
三井マリ子(原告・すてっぷ初代館長)
紀藤 正樹(弁護士・三井裁判代理人)
藤原 房子(元日本経済新聞社編集委員、元日本女性学習財団代表)
堀内 光子(前ILO駐日代表)

■参加費 500円(資料代含む)
■主 催 ファイトバックの会@東京
■連絡先 本村090-2237-3981 03-3936-4050(FAX専用)折り返しご連絡します

木村民子(ファイトバックの会副代表)



 先日私がインターネット新聞JANJANに書いた、次の2つの記事が編集部長賞をいただきました。よろしければお読みください。
 「館長雇止め・バックラッシュ裁判」で宮地光子弁護士が講演(上)
 「館長雇止め・バックラッシュ裁判」宮地光子弁護士の講演(下)

 一審判決に対する抗議デモを報告した藤美津子さんの記事「支援の輪、ひろがる『館長雇止め・バックラッシュ裁判』」も同時受賞です。こちらは素晴らしい写真も入った記事ですので、ぜひご覧ください。
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台湾の両性工作平等法が改正、性別工作平等法に

 日本の男女雇用機会均等法に相当する台湾の「両性工作平等法」(2001年12月成立、2002年3月施行)が、2007年12月に改正され、名称も「性別工作平等法」になりました(「性別工作平等法完成修法三讀通過」行政院勞工委員会HPより)。施行日は行政院で定めるとのことです。

 主な改正点は、以下の7点です。さまざまな点で強化されています。
 1.「両性」という語を「性別」に変えて、性指向(性傾向)による差別も禁止した。
 2.育児休暇(子どもが3歳になるまでの2年を超えない期間。無給。育嬰留職停薪)の適用の対象を、「30人以上を雇用している使用者に雇われている労働者」から、「全労働者」に拡大した。
 3.家族成員の予防接種や重大な病気・事故のときに取れる休暇(家庭照顧假)の適用の対象を、「30人以上を雇用している使用者に雇われている労働者」から、「5人以上を雇用している使用者に雇われている労働者」に拡大した。
 4.配偶者の出産に付き添う休暇(陪産假)を2日から3日に増やした。
 5.子どもの養育のために勤務時間を減らすor調整することについて、使用者に正当な理由があれば拒絶できるとしていた条文を削除した。
 6.労働者が生理休暇、産休、出産付き添い休暇、育児休業、授乳時間、勤務時間の減少・調整、介護休暇を請求したことを拒絶した使用者に対する罰則などを設けた。
 7.性差別に対する罰金を「1~10万元」から、「10~50万元」に引き上げた。

 *条文対照表(「兩性工作平等法修正草案 立法院96年12月19日三讀通過條文與現行規定條文對照表」ワードファイル)
 *改正点一覧(「兩性工作平等法修正草案 立法院96年12月19日三讀通過條文修正重點」ワードファイル)

 台湾性別人権協会(Gender/Sexuality Rights Association Taiwan)のHPには、今回の法改正に関するメディアの報道が多数、掲載されています(「育嬰假半年有薪 上班族通通有份!」「違者重罰 育嬰假 全体勞工適用」「育嬰假拡大 中小企:害惨了」「*婦団:休假與津貼給付応配合」「四成二賛同 三成五説NO」「両年後位子都没了…金融業不敢請育嬰假」「美意変調 臨時工納勞基法 反而丟飯碗」「*育嬰有假没津貼 修法口惠実不至」「育嬰留停拡大 小企業員工難受惠」「性平法三讀通過 陪産假増加 育嬰假全適用」「*育嬰留職津貼未過関 婦女空歓喜」「全面実施育嬰假 違規雇主最高罰10萬」「*有育嬰假没津貼 婦団批:修法只修半套!」「*黄昭順:育嬰假未臻完善 将再修法」「*要給就給完善的育嬰権!」「育嬰申請留職停薪可獲半年津貼月領1萬5 将衝撃中小企業」「性傾向 列法保障」「初審過性別工作平等法 育嬰留職停薪全面適用」「家庭照顧假 五人公司就可申請 陪産假二天増為三天」「性平法三讀通過 陪産假多一天」「育嬰假 中小企業実施日未定」「適婚婦女 找工作更難」「育嬰假 314萬勞工受惠」「性平法三讀通過 陪産假増加 育嬰假全体適用」「*半年有薪育嬰假 月領一萬五 藍緑争執闖関未過」「育嬰假全体適用 陪産假多一天」「育嬰假増大 中小企協:勞資両敗倶傷 影響企業雇用年軽女性」)。

 今回の改正では特に出産や育児関係の条項が強化されており、その背景には、台湾でも少子化が問題になっていることがあるようです。
 しかし、上の*を付けた見出しにあるように、当初提案されていた育児手当が実現せず、育児休暇が無給のままにされたことに多くの女性や女性団体は失望しています(「就業保険法」の改正が実現しなかった)。婦女新知基金会は、この点を強く批判する声明を出しました(「給我們完整育嬰假及津貼配套措施:婦女新知緊急聲明」婦女新知基金会HPより)。
 その一方、中小企業は今回の改正が負担になると言っており、政府も若干の対策をするようです。
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1月13日~16日、海南島「慰安婦」裁判で連続アクション

 ハイナンNET(中国海南島戦時性暴力被害者への謝罪と賠償を求めるネットワーク)では、今月、原告の来日や本人尋問に合わせて、Hainan-ACT 2008という連続アクションを以下の日程でおこなう予定だそうです。

1月13日(日)
 「慰安婦」問題フィールドワーク

 10:00~
 靖国神社、女たちの戦争と平和資料館、元日本軍兵士の証言を聞くなど。
 *詳細はこちら

1月14日(月・祝)
 日本軍「慰安婦」問題ユースフォーラム2008

 13:30~16:30(開場13:15)
 文京区シビックセンター4F シルバーホール
 全国で「慰安婦」問題に向き合っている若者たちによるフォーラム
 *詳細はこちら

1月15日(火)
 裁判・原告本人尋問&報告集会

 14:00~
 東京高裁818法廷で黄有良さんが証言
 (大法廷申請中)
 (13:30丸ノ内線・霞ヶ関駅A-1出口)
 昨年8月一審判決が出され、被害事実の認定がされたものの、法的には国の責任は問えないという意味で敗訴の判決が出ました。二審では、「被害の現在性」をポイントに、一審判決を乗り越える主張を準備していらっしゃるそうです。
 *詳細はこちら

1月16日(水)
 議員回り


 いずれも東京でおこなわれることもあり、私は行けませんが、原告の来日やイベントの経費に充てていただくため、私も少額ながらカンパをいたしました。
 郵便振替口座
 口座番号00170-6-593309
 加入者名 ハイナンNET
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遠山日出也

Author:遠山日出也
 検索から来られた方へ:このブログの記事を分類した一覧である「『中国女性・ジェンダーニュース+』記事総覧」を見ていただくか、下の「カテゴリー」欄を使われると、関連情報がご覧いただきやすいと思います。最近の行動派フェミニストについては、「中国の行動派フェミニスト年表、リンク集」をご覧ください。
 また、「中国女性・ジェンダー関係主要HPリスト」(リンク集)も併せてご覧いただければ幸いです。日本の問題の一部は、「ウィメンズ・アクション・ネットワーク(WAN)の労働争議・まとめ」や「館長雇止め・バックラッシュ裁判」でまとめています。
 恐れ入りますが、スパム対策などのため、コメントは私が拝見した後で表示させていただきます。
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