2007-07

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第1回華人多地域レズビアンオルガナイザー・トレーニングキャンプ

 7月13日から16日まで、中国大陸・香港・台湾・アメリカの100人近い中国人の同性愛とバイセクシュアルの女性、およびトランスジェンダーの活動家が広東省の珠海に集まって、同性愛運動の経験交流と指導能力の訓練をおこないました。40近い組織から人が集まって、空前の盛況だったとのことです(「女同志組織者訓練営完満結束(Making History──2007 Chinese La La Camp concluded with great success)」写真、英文あり)。

 このトレーニングキャンプは、理論と実践を結びつけたものだそうで、社会政策、人権、国際的な協力、ジェンダー理論などに焦点を当てておこなわれました。その目的は、とくに若い活動家に、人間や情報の面で力を獲得してもらうことです。トレーニングでは、各地の運動や組織の紹介、自己肯定、家族関係、文化的活動、メディアとの関係、法律と社会政策、戦略とその地域的・歴史的文脈、コミュニティ建設などがトピックになりました。

 このトレーニングキャンプの主催者は、北京の同語台湾性別人権協会香港女同盟会、ニューヨークの華人性別人権協会(Institute for Tongzhi Studies)、ニューヨークのQwave、アメリカの紫鳳凰(Lavender Phoenix)という、6つのセクシュアルマイノリティのための団体です。2006年冬のAstraea Lesbian Foudation For Justiceの研修がきっかけになって、力を合わせて開催したそうです。

 白咏冰さんのブログには、このキャンプでの彼女の発言が掲載されています(女同志大会上的発言(一)女同志大会上的発言(二))。
 このところ同性婚姻立法を提唱している白さんは、同性婚の法律を勝ち取る過程が、すなわち同性愛に関する知識を普及し、大衆を教育する過程であると主張しています。彼女は、世間では同性愛はスワッピングのような一時的な遊びであるかのように見られているけれど、そうではなく、異性愛同様、安定した長期的なパートナーを求めていることを理解してもらわなければならないと強く主張しています。
 パートナーシップ法については、白さんは、舶来品なので理解が得られにくいし、同性婚姻の立法は現行の婚姻法の一、二条を修正すればよいのに対し、パートナーシップ法は新しく作らなければならないので難度が高いと述べています。

 それとは別に、彼女は「専門家」を厳しく批判しており、「同性愛の調査をしたことがなく、これまで同性愛者と知り合いになったこともなく――ここで白さんは毛沢東の「調査なくして発言権なし」という言葉を引用しています――中国でも2001年に精神障害から同性愛がなぜ削除されたかも理解していない専門家」を批判しなければならないと強く言っています。具体的には誰のことを言っているのかわかりませんが、やはり「科学」を装った、権威ある専門家による偏見があるのでしょう。
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中国初の「同性愛と法」シンポの記録出版

 このたび、中国本土初の「同性愛と法」についてのシンポジウムの記録が出版されました。
 周丹主編『同性愛と法:「セクシュアリティと政策・法 国際学術シンポジウム」の論文および資料(同性恋与法:“性・政策与法国際学術研討会”論文及資料)』(広西師範大学出版社 2006年)です(ネット書店「書虫」データベースの中のこの本のデータ)。
 〈構成〉
第一章 同性愛:よくある質問への解答(John Balzano and Alfredo B.Silva)……1
第二章 同性愛と家族、社会:アメリカ史の視角から(George Chauncey)……12
第三章 なぜ同性愛者差別に対して法律が関心を持たなければならないか(William N.Eskridge,Jr.)……19
第四章 中国:セクシュアリティ・多様化とエイズ(Michael Kirby)……30
第五章 性と家族革命:東洋と西洋(Judith Stacey)……42
第六章 シンポジウムでの発言から……52
付録:一部の章・節の英語の原文……93

 編者の周丹さんは、同性愛者の権利のために活動している有名な弁護士です。
 このシンポジウムは、2006年1月、復旦大学社会発展・公共政策学院とイェール大学法学院中国法律センターとが共同で、上海で開催したものです。性指向に関する中国初の学術的シンポジウムだそうです。

 けれど、上の目次を見ればわかるように、このシンポジウムで報告をしたのは、イェール大学などの英語圏の研究者です(第一章から第五章までは、すべて英語の原文も付いています)。この点は、まだ中国国内では、同性愛と法律の研究が進んでいないことを示しているのかもしれません。
 けれど、第六章のシンポジウムでは、彭希哲、李銀河、周丹、孫中欣、賈平、栄維毅、徐玢、賀衛方、郭建梅、杜聰、胡志軍、郭雅奇、郭曉飛、夏国美、梁霽といった中国の研究者も自らの見解を語っています。このシンポジウムが40ページあり、本全体の4割程度を占めていますので、中国国内の研究者の見解を知るうえでも有用な本だと思います。

 シンポジウムでの討論は、次の4つのテーマをめぐっておこなわれました。それぞれについて語られたことのごく一部を以下で紹介します(ごく大ざっぱな紹介ですので、正確には原文をご覧ください)。

1.セクシュアリティ政策とセクシュアリティ法学理論
 ・現代の中国の、同性愛に対する法律の規制は、次の4つの大きな筋がある。
 ①1957年、最高人民法院は同性愛を合法だと回答したが、その後、執行されなかった。
 ②1979年の刑法では、同性愛は「流氓(ごろつき、わいせつといった意味)罪」の一つとして処罰された。
 ③1997年に刑法が改正されて「流氓罪」はなくなったが、各種の行政法規や規則の中にその痕跡は残っており、それらは、中国社会でなお重要な役割を果たしている。
 ④2001年に公安部は、同性間の金銭による性行為も売春と見なすよう指示した。これが、現在、同性愛処罰の主な口実となっている(賈平)。
 ・中国では、宗教的な障害がないために、同性愛は認められてきたと考えられている。しかし、こうした見方は、中国の伝統文化における同性愛に対する寛容が、性的指向自体への寛容ではなく、男性の性的権力への寛容であったことを見落としている。
 現在のように、同性愛が独立した問題として提出されると、伝統的なジェンダー文化によって同性愛を理解するために、同性愛は不正常なものと見なされる(栄維毅)。

2.セクシュアリティと非差別
 ・中国では同性愛者は、性病感染者など同様、献血を禁止されている(周丹)。
 ・中国のホモフォビアは、宗教の戒律から来ることは比較的少なく、主に家族から来る。中国の同性愛者は、異性と結婚している場合が多い。その原因は、一部は身分を隠すためであるが、多くの人は、子孫を作って代々血統を継ぎたい(伝宗接代)と心から思っている。中国では同性愛は、とくに父母が認めない(李銀河)。
 ・北京大学法学院女性法律研究・サービスセンターは、ずっと女性同性愛者の法律的権利についてのシンポを開催しようとしているが、さまざまな圧力があり、なにより自分たちにも矛盾と躊躇があってできなかった。けれど、2004年以降の2年間で20数件の訴えが寄せられている(郭建梅)。

3.セクシュアリティと家族
 ・李銀河教授らが提出した同性婚姻法(昨年のこのブログの記事)が話題になっているが、もしも職場で自分が同性愛者であることが明らかにできなければ、かりに同性婚姻法が成立しても、婚姻登記はできない。また、同性の婚姻を語る場合は、中国の養老制度と中国社会の変革を考慮しなければならない(周丹)。
 ・「同性の婚姻権」を訴えることは、伝統的な婚姻を擁護する点では保守的だとポスモダニズムは批判している。私は、この問題に関して、日和見主義の立場に立つ。私は「男女の結合が天地の道理だ」という観念を批判する際には、ポストモダンの理論を使うが、制度建設をする際には、「善」よりも「権利」を優先する。私は「婚姻がいかに良いか」は語らず、「婚姻権は基本的権利だ」とだけ語るのだ(郭曉飛)。
 ・男性の同性愛者も女性と結婚するので、妻になった女性が苦しんでいる(徐玢)。
 ・私は同性の婚姻を支持する。けっして婚姻制度は同性愛者の権益を全面的には守らないけれども、同性の婚姻は、少なくとも同時に異性愛者の権益を保護するからだ(孫中欣)。

4.セクシュアリティと公衆衛生
 ・大学でのエイズ教育は非常に少ない。感染者が自分で学生に訴えようとしても、大学は許さなかった(周丹)。
 ・女性の同性愛者の健康問題はまだ提起されていない。この点はずっとそうだ。しかし、レズビアンの中では、抑鬱症やその種の心理の問題が非常に重大である(徐玢)。
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仙台市長の逆立ちした民主主義観と文化大革命観

 仙台市は、旧来の性別役割を賛美する高橋史朗氏(「新しい歴史教科書をつくる会」元副会長)を、なんと男女共同参画推進審議会の委員として委嘱することを検討しているそうです。
 また、そのことに反対している市民団体の動きについて、仙台市の梅原市長は、中国の文化大革命のときの紅衛兵を引き合いに出して、「言論の自由と民主主義」に反するものだと発言しました(市長記者会見)。

 市民団体は、高橋史朗氏の言論の自由を奪おうとはまったくしていません。そうではなく、高橋史朗氏は、「男女共同参画推進審議会」の委員としてはふさわしくないと主張しているのです。なぜなら高橋氏は、男女共同参画を「推進」するどころか、まったく逆の立場でなのですから。
 私は、市民団体がこうした点に関して自由に意見を表明することは、民主主義の基本だと思うのです。それを「民主主義の破壊」であるかのように言うのは、本末転倒です。

 梅原市長の文化大革命に対する見方も、大切な点を見落としており、まるっきり逆の教訓を引き出していると思います。
 文化大革命というのは、それまでの中国で不十分ながら男女平等のための活動をしていた婦女連合会をつぶし、さらに労働組合などもつぶして、毛沢東の独裁体制を築いたものです。
 いまの日本の行政の中で不十分ながら男女平等を推進している男女共同参画行政を攻撃している高橋史朗氏を男女共同参画推進審議会に入れることは、男女共同参画つぶしではないでしょうか? いまの日本では、べつにそれで誰かの独裁体制になることはないでしょうが、民主主義の発展に逆行するものであることはたしかだと思うのです。

 中国の著名なジャーナリストの劉賓雁氏は、言論の自由が抑圧された中国からアメリカに逃れた人なのですが、彼は、(文化大革命を起こしたり、言論の自由を封殺するような)中国の「左」派の考え方は、セックスの問題などに関してはアメリカの右派や極右と同じだと指摘としています(鈴木博訳『劉賓雁自伝』みすず書房 315頁)。
 最近のアメリカの研究者も、文化大革命は、政治や性、家族の点で、ずばり「保守的なバックラッシュ」だったと指摘しています(Neil.J.Diamant, Revolutionizing the Family: Politics, Love, and Divorce in Urban and Rural China, 1949-1968. Berkeley: University of California Press, 2000「7 The Coservative Backlash: Politics, Sex, and the Family in Cultural Revolution, 1966-1968」)
 ということは、アメリカの右派や極右同様に、性教育を攻撃しているバックラッシュ派の高橋史朗氏のような人を男女共同参画審議会に入れることこそ問題であり、あえていえば、中国の文化大革命に類するような抑圧された社会への道を開くのではないでしょうか?

 ぜひ皆様にも仙台市長に抗議をお願いいたします。

 抗議内容(例):「高橋史朗氏は、仙台市男女共同参画推進条例および男女共同参画せんだいプラン2004の理念を遵守すべき審議会委員としてきわめて不適切なので、委嘱をしないこと」
 また、市民団体に対していわれのない誹謗をして、民主主義社会における自由な市民活動を封殺する市長発言にも、あわせて抗議しましょう!

抗議先…ファックスまたはメール・葉書・封書で
ファックス:仙台市男女共同参画課 022-214-6140
Eメール:sim004180@city.sendai.jp
住所:〒980-8671 仙台市青葉区国分町3-7-1
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「慰安婦」に関する中国弁護士協会などの調査報告

 中華全国弁護士協会と中国法律援助基金会が共同で設立した「中国元『慰安婦』被害事実調査委員会」は、7月3日、「慰安婦」に関する調査結果を公表しました。この調査は、昨年9月から今年3月にかけておこなわれました。
 「『慰安婦』 日本軍の組織的強制 中国弁護士協会が調査結果」『しんぶん赤旗』2007年7月4日
 「中国、日本軍従軍慰安婦被害事例関連で初めて報告書」『中央日報』2007年7月3日

 原文は、中華全国律師協会の中国律師網に掲載されています。わりあい簡単なものですが、あくまで第一段階の調査報告です。
「中国元『慰安婦』受害事実調査委員会発布第一階段調査結果」2007-7-2(概要は、上の『しんぶん赤旗』などの記事のとおりです)。

 もちろん中国の「慰安婦」に関しては、中国人自身による調査研究も、すでに蘇智良さんのものなどがあります(蘇智良『慰安婦研究』上海書店 1999年[「書虫」データペースのこの本のデータ]など)。ただ、中華全国弁護士協会のような公的(半官半民)機関による調査は今回が初めてではないでしょうか?
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就労促進法、労働契約法その後


就労促進法草案に、「公平な就労」という章を新設

 先日のブログで書いたように、今年3月、全国人民代表大会(全人代)常務委員会は、就労促進法(就業促進法)の草案の全文を公表し、社会の各界から意見を求めました。しかし、その差別禁止規定の不十分さには批判が相次ぎました。

 4月25日までに、11020件の意見が集まりまり、そうした意見も参考にして、全人代の法律委員会は、6月24日、修正と補充を加えた草案を全人代常務委員会に提出しました。

 一番の修正は、「公平な就労」という章を新たに設けたことです。
 このことは、単なる就労の「促進」だけでなく、就労の「公平さ」を求める意見がいかに多かったかを示しているのだと思います。

 ただし、報道を見るかぎり、たとえば男女平等の問題に関しては、「女性は男性と平等な就労の権利を享有する。使用者は性別を理由として女性の採用を拒絶したり、女性の採用基準を高めてはならない」という規定を設けたにとどまっています。もしもこうした規定だけならば、既に他の法律に存在しているので、さほどの意味はないように思います(以上、(1))。

労働契約法が成立、来年1月から施行

 6月29日、全人代常務委員会は労働契約法(中華人民共和国労働合同法)を採択し、同法は成立しました。
 2008年1月1日から施行されます(2)

 この労働契約法についても、先日のブログで書いたように、劉明輝教授らによって、ジェンダーの視点から問題点が指摘されていました。
 しかし、劉さんの批判した問題点(一部の家政服務員を調整の範囲外に排除していること、使用者が職場のセクハラを防止する義務を規定していないこと、使用者が妊娠している女性を辞めさせる行為に対する規範が欠けていること、使用者が妊娠・授乳期の女性労働者に対して解雇・減給する問題を無視していること)は改善されていないようです。

(1)「促公平就業:最高立法機関重視消除就業歧視」新華網2007年6月25日「就業促進法草案更加強調公平就業」『法制日報』2007年6月25日「就業促進法草案吸収各方意見后首次“亮相”,提請第二次審議 男女平等就業権被明確提出」『中国婦女報』2007年6月25日。
(2)「中華人民共和国労働合同法」
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遠山日出也

Author:遠山日出也
 検索から来られた方へ:このブログの記事を分類した一覧である「『中国女性・ジェンダーニュース+』記事総覧」を見ていただくか、下の「カテゴリー」欄を使われると、関連情報がご覧いただきやすいと思います。最近の行動派フェミニストについては、「中国の行動派フェミニスト年表、リンク集」をご覧ください。
 また、「中国女性・ジェンダー関係主要HPリスト」(リンク集)も併せてご覧いただければ幸いです。日本の問題の一部は、「ウィメンズ・アクション・ネットワーク(WAN)の労働争議・まとめ」や「館長雇止め・バックラッシュ裁判」でまとめています。
 恐れ入りますが、スパム対策などのため、コメントは私が拝見した後で表示させていただきます。
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