2007-06

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ハイナンNETの活発な活動

 海南島戦時性暴力被害訴訟(以下、海南島裁判)の支援を中心に活動しておられる、ハイナンNET(中国海南島戦時性暴力被害者への謝罪と賠償を求めるネットワーク)という団体があります(ホームページ)。
 大学生やフリーターなど、10~20代の方がメインのネットワークだそうです。

 最近、このハイナンNETの活発な活動が、次々にそのブログ(ハイナンNETニュース)で報告されています。その中のいくつかをご紹介します。

海南島裁判・高裁第1回弁論

 5月15日、海南島裁判の高裁での第1回弁論が行われました。
 最高裁は4月27日、中国人の戦争被害者について、裁判上での請求権を失ったとする見解を示しました。そのため、一部マスコミなどでは「戦後補償裁判はもう終わった」という議論もあります。
 しかし、それにもかかわらず、海南島裁判の高裁第1回弁論は、みごと、満席になったそうです。ハイナンNETの方のご努力が大きかったのでしょう。
 
 この日、国側の代理人は、最高裁判決をたてにして、審理の早期打ち切りを求めました。原告側の弁護団は、それに反論します。
 3名の裁判官は進行協議の調整のために審理を一端中断しました。原告側が主張するように「請求権の問題と原告の受けた被害をセットにして次回以降審理をすすめる」のか、国側の代理人が主張するように「請求権の問題のみに限って実質的に審理を打ち切る」のか、中断は30分以上にも及んだそうです。
 戻ってきた裁判長が下した決定は、「請求権の問題と原告が受けた被害は一体であるため、分けて議論するのは難しい」、また「今回の件が、(最高裁の中国人の請求権に関する)判決の中のことか、外のことかについて審理する」という言葉で、請求権の問題に関しても含みを持たせたそうです。
 原告が来日して証言する可能性も高くなったとのことです。

 次回弁論期日は9月25日(火)10:00~だそうですが、原告側弁護団や支援者は、一部ではもう決着が着いた(→たたかっても無駄である)かのように思われている裁判においても、不屈にたたかっておられるわけです。
 詳しくは、ハイナンNETニュースの記事「傍聴ありがとうございました」を参照してください。

大学で出張授業

 ハイナンNETのメンバーは、最近、東京経済大学の本橋哲也教授のゼミや授業で2度、出張授業をなさいました。その報告も書かれています。
 ゼミの学生には「従軍慰安婦」のことを知らない人が多く、少しショックだったそうです。けれど、授業が進んでいくうちに、学生の方も色々なことをそれぞれ感じたり、考えたりしたようで、ハイナンNETのメンバーの方もうれしかったとのことです。
 2回目の授業では、元「慰安婦」の方の証言ビデオの上映や2グループに分かれての意見交換などもなさったとのこと。

 メンバーの方は、「こうした出張授業では、学生の方とのコミュニケーションに時間がとれるのが利点だ」と言ってらっしゃいます。学生の反応などについては、詳しくは記事「出張授業in東京経済大学」「出張授業in東京経済大学 第二弾!!」をご覧ください。
 「『今度また来ないの?』って言われた時はマジでうれしかった」とのこと。そうですよねー。

海南島へスタディツアー

 原告1人1人へのご挨拶のために、海南島へスタディツアーもおこなったとのこと。 
 スタディーツアーに行かれた方が、原告のお話を聞いて一番強く思ったことは、「彼女たちが現在でも60年以上前に受けた被害によって苦しんでいるということ」だったそうです。「旧日本軍による加害が、解放後~現在までどれほど彼女たちの生き方をゆがめてきたのかを強烈に印象付けられる証言でした」と言います。
 「じっさいに被害者の1人1人とお会いしてお話を聞いたり、一緒の時間をすごしたことで、原告への想いがより具体的になるとともに、これまで以上に原告と向き合っていくことを強く決心しました」。
 詳しくは、記事「スタディツアー報告!」をご覧ください。

ミーティング

 このブログでは、ハイナンNETのミーティングについても報告されています。
 最近、ミーティングを開くたびに新しい人が参加してくれるとか、今後の出張先もすでにいくつか決まっているなど、明るいニュースが書かれています。

 こうしたミーティングでは、出張授業や海南島スタディツアーに行ってきた人からの報告などもなされていますが、アジア連帯会議で韓国に行っていたメンバーによると、「(年齢的・体力的に)海外で証言できるハルモニは本当に限られてきている」といいます。
 この話を聞いて、ある新しいメンバーは、「あらためて1回1回のハルモニたちの貴重な来日の機会をもっと有意義なものにしていきたいと切に思った」とのことです。
 詳しくは、「ミーティング報告」「6/26 ミーティング報告」をご覧ください。

その他いろいろ

 以下のような記事もあります。
 ・「女たちの戦争と平和資料館」(WAM。http://www.wam-peace.org/wam.html)で開催されている「中学生のための『慰安婦』展」(2008年5月まで)のオープニングイベントに参加した報告(「WAMのイベント、『私にとっての「慰安婦」問題』に参加して」)、
 ・ワシントンポストの広告やアメリカ下院決議案に関して、いろいろとしっかり考えた意見(「ワシントンポストの広告と公娼制について」「アメリカ下院決議案」)

「ガイサンシーとその姉妹たち」

 ハイナンNETは、来る7月4日(水)には、「ガイサンシーとその姉妹たち」の上映会を、東京外国語大学(府中キャンパス。研究講義棟 226教室。開場15:00、上映15:20。無料)でなさるとのこと。
 班忠義監督もいらっしゃるそうです(詳しくは、「『蓋山西とその姉妹たち』上映やります」をご覧ください)。
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「館長雇止め・バックラッシュ裁判」で、原告の主張の正当性が全面的に明らかに──原告最終準備書面──

 バックラッシュ勢力に屈した豊中市らによって「とよなか男女共同参画推進センター・すてっぷ」館長(非常勤)の三井マリ子さんが雇止めされたことを訴えた「館長雇止め・バックラッシュ裁判」が6月6日結審しました。
 この日、この裁判を支援する「ファイトバックの会」は、結審にあたっての「声明」を出しました。

 原告側弁護団からは、この日、「最終準備書面」が出されました。
 最終準備書面は、原告側の主張の総まとめの文書です。
 この書面では、これまでに出された多数の証拠や証言にもとづいて、原告側の主張の正当性が何重にも立証されています(その証拠・証言には、被告側のものも多く含まれています)。
 また、私はこの最終準備書面によって、今回の三井さんの「すてっぷ」雇止め事件の隠されていた全貌がほぼ明らかになったと感じました。その全貌は、「どす黒い陰謀」という形容がぴったり来るものです。

 私はすでに、最終準備書面の「第6 組織体制の変更に名を借りた原告排除」については、私のサイト内にに次の記事を書いています。
 「明らかにされた豊中市の陰謀」

 今回は、この書面全体の要約を書いてみました(ただし、細かな節の番号などは対応していません)。わかりやすいように、被告側の主張はオレンジ色で示してみました。文中の敬称は、略させていただくことに統一しています。
 詳しくは、ぜひ最終準備書面の原文(PDFファイル)をご覧ください。

 なお、判決は9月12日(水)です。
 また、6月末ごろまでに「公正な判決を求めるハガキを出しましょう!」というアクションが提起されています。ぜひご協力ください。

 <目次>
第1 原告と被告財団の雇用契約
第2 館長としての実績
第3 地方自治行政の通常のあり方からは到底考えられない組織体制の変更
第4 原告排除の真のねらい──バックラッシュ──
第5 もうひとつの狙い
第6 組織体制の変更に名を借りた原告排除
第7 被告豊中市の責任
第8 原告の蒙った損害

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国務院女性児童工作委員会、CEDAW最終コメントについてのシンポ開催

 さる5月25日、国連の女性差別撤廃委員会(CEDAW)の最終コメントに対する国家のフォローアップアクションに関するシンポジウム(関于聯合国審議中国執行《消歧対婦女一切形式公約》報告結論意見国家后続行動研討会)が北京で開催されました(昨年8月の最終コメントの内容についての本ブログの記事)。

 これは国務院の女性児童工作委員会(婦女児童工作委員会。婦児工委)の事務局が組織して開催したもので、婦児工委を構成する30あまりの部門が参加しました。さらに、全国婦連の女性研究所所長の譚琳と副所長の劉伯紅も、NGO(非政府組織)の代表として参加しました。

 このシンポジウムの趣旨について、全国婦連書記処書記で副主席の趙少華は、各関係部門が最終コメントと結びつけて政策などを制定し、活動を改選するという基礎のうえに、意思疎通をつよめ、政府の各部門の間や国連の在華機構、および社会の関連する業界や非政府組織との間で多角的な協力をいっそう探求し、推進することにあると述べました。

 このシンポでは国務院の女性児童工作委員会の事務局の人のほか、政府の関係部門の責任者が活動の状況を発言しました。
 シンポの参加者は、女性差別撤廃委員会(CEDAW)の最終コメントや、それと中国の実際の状況との関係ついても議論をかわしました。NGOの代表は、最終コメントを遂行する過程において、政府の各部門や国連の機構との協力を強めて、中国のジェンダー平等の事業推進のために提案をしたいということを述べました。

 中国の政府機関がこのようにCEDAWの最終コメントのフォローアップをめぐってシンポジウムをしたのは、おそらく初めてです。
 ただし、このシンポジウムの参加者は、政府関係者が主であり、参加したNGOも、全国婦連の女性研究所所という、やや政府よりの機関です。ですから、今後は、NGOからの発言にもあったように、最終コメントを生かすためにも、NGOの意見をもっと取り入れていくことが必要であるように感じました。

資料
蔡一平「関于聯合国審議中国執行《消歧公約》報告結論意見国家后続行動研討会在京召開」(2007年5月29日)
「性別平等有助実現全面建設和諧社会 関于聯合国審議中国執行《消歧公約》報告結論意見国家后続行動研討会在京召開」『中国婦女報』2007年5月28日
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四月天少女性傷害心理援助熱線がサイト開設

 2004年3月5日、性的被害にあった少女の電話相談に応じる「四月天少女性傷害心理援助熱線」(ホットライン、電話相談。「四月天」とは4月の空のように暖かいという意味)が開通しました。
 このことは、当時から新聞などでは伝えられていたのですが(「愛心与幇助像四月的陽光――北京開通全国首家少女性侵害心理援助熱綫」『中国婦女報』2004年3月6日)、このたび、この電話相談自体がサイトを開設なさいました(四月天少女性傷害心理援助熱線)。

 この電話相談は、北京林業大学心理学系と心理相談センターが設立したもので、毎週月・水・金の18:00─21:00におこなわれています(「関于四月天」)。

 心理学の大学教員やカウンセラーなど、男女の専門家集団が指導をしていますが(「専家団隊」)、実際に電話相談に応じているのは、心理学を学び、研究している比較的若い女性のボランティアが多いようです(「志願者園地」)。ボランティアに対する研修のようすを写した写真などもサイトに掲載されています。

 電話をかけて来るのは主に15-25歳の女性で、被害が発生した場所は、オフィスと学校が多いとのことです。すなわち、上司が部下に対して、あるいは教師が学生に対して、不平等な関係を利用して性的な強要をしているとこのサイトは分析しています。
 なお助けを求めてくる者の中には、男性も毎年数十人いるようで、この問題にも対処が必要ではないかとも述べられています。
(以上、「“四月天”少女性傷害心理援助熱線情況分析」
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労働契約法草案と労働者、ジェンダー

 2005年12月、全国人民代表大会(全人代)常務委員会に「中華人民共和国労働契約法(草案)」が上程されました。翌年3月草案が公表され、その後も、審議が続けられています。現在では、草案は三審稿まで公表されています。
 この労働契約法(草案)は、1995年に施行された「中華人民共和国労働法」のうちの、労働契約に関する部分を切り離して立法化しようとするものです。

 この草案は、一般には労働者保護の色彩が強いものだと言われています(1)

 しかし、今の中国では労働者の権利が侵害されすぎており、今回の労働契約法の草案も、けっして十分なものではありません。
 たとえば、中国人民大学の常凱教授は、以下のように述べています。
 ・「中国の労働力市場はほとんど規制がないといってもいいかもしれません。規則はあるが厳密ではないのです。たとえば多額の賃金未払いは中国特有の現象です。」
 ・「労働力市場においては、政府の関与は極めて脆弱でした。たとえばレイオフですが、政府は労働者の立場ではなく、企業の立場に立って労働者に『対応』しており、裁判所は集団的レイオフに関する争議の提訴を受理しないなど、あまりにひどいケースが目立ちました。」
 ・「企業レベルの労働組合は、労働者を代表することができていません。多くの企業内労働組合の代表は、労働者の立場ではなく、企業の立場に立って、人材資源の管理という観点から今回の労働契約法を考えていました。」
 ・「労働基準の中でもっとも基本的な指標は『賃金問題』です。1994年、わが国のGDPに占める賃金の割合は14.24%でしたが、2003年では12.57%に低下しています。」
 ・「今回の労働契約法の立法の過程では、労働者よりも雇用主からの影響の方が多いくらいです。‥‥たとえば労働派遣についてですが、外国では、労働派遣の業種を厳格に制限しており、私たちもそのように提起しました。しかしわれわれの提案は採用されませんでした。雇用主からの圧力が大きかったからです。」(2)

 また、今回の草案に対しては、外資、具体的には欧米の現地法人会や、中国に投資する日本企業でつくる中国日本商会も、労働者の保護を弱める修正を要求しています(3)

 さらに、中華女子学院法律系経済法教研室主任で助教授の劉明輝さんは、今回の草案について、ジェンダーの視点から、以下の4つの問題を指摘しています。それぞれをごく簡単に説明いたします(4)

1.一部の家政服務員(家政婦)を調整の範囲外に排除している
 家政服務公司(家政サービス会社)と労働契約を結んで働いている家政服務員は、もともと労働法の調整の範囲内であるが、草案の第65条は「労務派遣は一般に短期的・補助的あるいは代替的な仕事でおこなわなければならない」と規定している。ということは、パートタイマーや短期の家政服務員は労働法の調整の範囲内であるが、雇い主の家の中で長期的に働く家政服務員は排除される。
 それを防ぐために、草案の第65条に「家政服務業を除く」という語句を付け加えるべきである。

2.使用者が職場のセクハラを防止する義務を規定していない
 現在、各地で「中華人民共和国婦女権益保障法」の「実施規則」が制定されており、そのうち湖南・陝西・上海などは職場のセクハラ防止義務を規定している。
 しかし、国家の立法はない。そのため、地方の立法も必然的に制約を受け、とくに救済と法律的責任などの点において、実質的な改善は難しい。
 だから、労働契約法の中に規定を設けて、使用者にセクハラ防止規則の制定や、訴えを処理する機構の設立などを義務付けるべきである。

3.使用者が妊娠している女性を辞めさせる行為に対する規範が欠けている
 いささかの非公有制企業は、女性労働者の妊娠・出産・授乳期の保護責任を回避するために、外来の女性労働者を自分から離職させている。
 それゆえ、労働契約法の第42条に「使用者は不当な手段によって、労働者に辞職を強要してはならない」という規定を増やすことを提案する。

4.使用者が妊娠・哺乳期の女性労働者に対して解雇・減給する問題を無視している
 婦女権益保障法にそうしたことを禁止する規定があるが、不十分なので、労働契約法でその点を補完すべきである。
 また、草案の第10条は、労働者がありのままのことを知らせる義務を規定しているが、「労働者の個人のプライバシーにかかわることを除く」という規定を付け加え、その中に結婚や出産の状況なども含めるべきである。

(1)「労働契約法草案、労働者の利益保護を強調 」JIL(労働政策研究・研修機構)海外労働情報2006年1月久田眞吾「労働契約法(草案)の公表と意見聴取」サーチナ2006/05/10
(2)「中国:『労働者優遇は許さない』 労働契約法案をめぐる企業の攻勢」China Now! 2006-06-01
(3)「原案成立なら撤退も、新労働法に外資反発」NNA中国ニュース2006/5/12
(4)「《労動合同法》応体現“性別意識”」『中国婦女報』2007年4月26日。
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子どもの性的侵犯に直面した家族の経験の研究

 龍迪『性之恥,還是傷之痛:中国家外児童性侵犯家庭経験探索性研究(性の恥か、傷の痛みか:中国の家の外での子どもの性的侵犯に関する家族の経験の探索的研究)』(広西師範大学出版社 2007年)が、今年5月に出版されました(ネット書店「書虫」のデータペースの中のこの本のデータ)。
 英文名は「Child Sexual Abuse: Shame or Hurt」で、副題は「An exploratory study of the experiences of rural chinese families facing an extry-familial child seual abuse ploblem upon disclosure」と訳されています。

 著者の龍迪さんは、北京理工大学ソーシャルワーク部助教授、同大学の家族ソーシャルワーク研究センター主任だとのことです。
 2001年から2005年では、香港中文大学ソーシャルワーク学部の大学院で研究なさいました。この本は、博士論文を出版したものです。

 この本の構成は以下のとおりです。
第一篇 研究のバックグラウンド
 第一章 序論
 第二章 文献回顧
 第三章 初歩的な概念枠組み
 第四章 研究方法
第二篇 家庭の物語
 第五章 敬家:「この子はしつけないといけない!」
 第六章 沈家:「生活にまた意欲がわいてきた。」
 第七章 李家:「目の前に少しも明かりが見えない。」
 第八章 周家:「誰も、彼女が心の中で何を考えているのかわからない。」
 第九章 呉家:「子どもに後遺症はない。」
 第十章 張家:「そのことは言うな。そのうち忘れるだろう。」
 第十一章 六つの家の絵巻の全体
第三篇 研究者の理解
 第十二章 討論
結語
あとがき

 まだざっと見ただけですが、各章ごとに大づかみな内容を紹介します。
 まず、第一章では、中国本土でも子どもの性的侵犯の被害者は少なくないのに、援助を求めるところがないこと、それゆえ子どもの性侵犯の防止と治療のための専門的サービスの基礎になるように、この研究をしたことが述べられています。
 第二章では、この問題に関する西洋や香港の先行研究を概観しています。それらの研究によると、子どもの性的侵犯に対しては家族のサポートが重要であるにもかかわらず、子どもの性的侵犯によって家族のサポート力が傷つけられるとのことです。また、中国においては、「孝道」や「貞操」概念が、被害者や家族を責める文化を構築してきたと述べています。
 第三章では、この研究は、社会構築主義を哲学的基礎にして、「システム―個人―文化(ジェンダー)―抵抗力」という多角的な視点の枠組みによって、広範な社会―歴史―文化的背景の下での、中国の子どもの性的侵犯についての家族の経験を探求するものであることを述べています。
 第四章では、社会構築主義の研究方法について述べたうえで、この研究のサンプルは、中国の北方のある農村で、男性教師から性的侵犯を受けてきた小学校の女子生徒6人の家族であることを述べます。資料収集の方法は、個人や家族に対するインタビュー、参与的観察などです。現地調査を3回にわたっておこない(1回目から3回目までの期間は6カ月)、その間の変化も探りました。
 第五章~第十章では、6つの家族について、それぞれ、もともとの家族の状況、性的侵犯がわかったプロセス、家族の対応の策略と行動、トラウマの経験、家族関係の変化、家の外のシステムの影響、その後のトラウマの状況、専門的なサービスに対する需要などを記述・分析しています。
 第十一章では、それらを総括しています。そこでは、子どもの性的侵犯は、女児本人にトラウマを負わせるだけでなく、家族全体に影響することや、友好的でない村の世論やサポートをしない制度的システムがいっそう家族のサポートを弱め、女児とその家族のトラウマを強化することが述べられています。専門的サービスに対する要求などについても考察されています。
 第十二章では、この研究の理論的意義と限界、貢献、今後の研究方向、実践的意義と具体的な提案について述べられています。たとえば具体的な提案としては、中国の現行刑法が処女膜の損壊の程度を問題にしていて、個人の身体権や男児の性的侵害を無視していることを改める、侵犯者に対する処罰だけでなく、彼らの教育や被害者のサポートや、そのための専門的な訓練をした人員の養成が必要であることなどが述べられています。
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遠山日出也

Author:遠山日出也
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 また、「中国女性・ジェンダー関係主要HPリスト」(リンク集)も併せてご覧いただければ幸いです。日本の問題の一部は、「ウィメンズ・アクション・ネットワーク(WAN)の労働争議・まとめ」や「館長雇止め・バックラッシュ裁判」でまとめています。
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