2007-03

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

河野談話に関する安倍発言に対する抗議行動

 今月は、河野談話に関する安部発言をめぐる動きも、中国や台湾でありました。

 3月1日、安部首相は「河野談話」について、「当初定義されていた強制制を裏付ける証拠はなかった」「定義が大きく変わったことを前提に考えなければならない」と発言しました。

 3月6日、中国の外相も、台湾の外交部も、上の安部発言に対して抗議します(中国外相の抗議台湾外交部の抗議。いずれもハイナンネットのブログ――この間の動きをいろいろ伝えています――より)。

 3月7日には、「『河野談話』見直しに抗議する台湾の阿媽および婦援会(台北市婦女救援基金会)の声明」も出ます(「日本軍『慰安婦』問題ネットワーク」[「慰安婦」裁判支援運動や立法運動などを展開してきたグループが、2005年「慰安婦」問題アジア連帯会議を期に結成]のブログに掲載されている日本語訳です。他に「台湾の元『慰安婦』裁判を支援する会」のHPにも掲載されています。「阿媽」とは台湾で「おばあさん」を呼ぶ愛称)。
 この声明の中で、台湾の元「慰安婦」は、「あのとき、わたしと一緒に行った21名の娘のなかで、わたし一人だけが生きて帰ってきた。死んだ人は話すことができないが、わたしは生きている。わたしこそが一番の人証だ」(陳鴛阿媽。85歳)、「あのとき日本の警官に連れて行かれ、私の人生は変わってしまった。わたしが強制的に軍隊に連れ去られたのでないというなら、わたしのような一庶民が、なんで強制的に軍艦で海外に運ばれ、性奴隷にされられたのか」(鄭陳桃阿媽。85歳)と訴えています。
 台湾の被害者数は2000人を超えるとのことです。資料と歴史学者の確認を経て、58名の女性の生存が確認されたといいます(亡くなった方も多いですし、なにより名乗り出られない女性が多いのでしょう)。

 上の台北市婦女救援基金会のHPには、河野談話の遵守を求める国際署名活動や日本交流協会前での抗議行動が写真入りで報道されています(「要求日本政府遵循『河野談話』!接受史實! 儘速對慰安婦受害倖存者謝罪賠償―亞洲受害國同連署抗議行動―」)。
 国際署名はもちろん日本でもおこなわれており、私も署名しました。

 ちなみに、「台湾の元『慰安婦』裁判を支援する会」のHPには、昨年12月におこなわれた、台湾の「阿媽たちのグループ・セラピィ」の模様も掲載されています。「慰安婦」にされた女性が今なおトラウマに苦しんでいること、そこから立ち上がりつつあること――つまり「慰安婦」問題がけっして過去の問題ではないことかわかります。

 台湾の慰安婦問題に関しては、台北市婦女救援基金会のHPの「前台籍慰安婦」欄に詳しく、台湾婦女資訊網の「史的傷痕――慰安婦」のページも参考になります。

 なお、中国本土でも「日政要否認“慰安婦女”史実遭批」(『中国婦女報』2007年3月4日)などの報道はあります。しかし、少なくとも今回の安倍発言に関しては、元「慰安婦」の女性自身の活動は報じられていないようです。
関連記事
スポンサーサイト

アステラス製薬男女差別裁判・勝利和解!

 昨日、アステラス製薬男女差別裁判(原告・仙頭史子さん)の和解協議に行ってきました。
 和解協議は非公開でしたが、すぐに終わり、ついに和解が成立しました。
 仙頭さんが提訴したのは2002年3月27日ですから、それからちょうど5年目となる日でした。

 仙頭さんの勝利和解です。和解条項のポイントは以下のとおりです(読みやすくするために少し工夫してありますが、文意はまったく変えていません。原文は「支援する会」のHPをご覧ください)。

(1)和解条項には、次のような前文が付いています。「原告と被告は、裁判所から『本件審理の結果、被告(アステラス製薬)において、原告(仙頭史子)の処遇と、原告と同時期入社同学歴男性の処遇との間に格差が存在したことが認められ、これを是正すべきである』との指摘を受け、次のとおり和解する。」
 すなわち、「是正すべき」男女格差の存在が明確に認られました。

(2)「被告は、原告に対し、本件の解決金として2500万円を支払う。
 公表されたもののうちでは、1人当たりの和解金額としては、過去最高だそうです(たしか「男女賃金差別裁判の和解としては」という意味だったと思います)。

(3)「被告は、従業員の処遇について、今後とも男女の性別を理由とする差別が生じないように、原告を含む従業員の今後の処遇について、誠実に対応する。
 今後「とも」と書いてある点は気になります。けれども、「原告に金を払って終わり」ではなく、他の女性を含めて今後の処遇について言及していることは重要だと思います。

 この裁判は、会社が資料を出し渋ったために5年かかりました。しかし、一審判決前の和解であるという意味では、早期解決という点で意義があるということも当日の集会で語られていました。
 集会では、仙頭さんは、定年まで4年あるので、上の(3)の点を生かして、職場から男女差別をなくすよう頑張るという今後の決意も語っておられました。
 弁護士さんは、勝利の要因として、1.営業職に挑戦するなど、一貫して男女差別を許さない仙頭さんの頑張り、2.支援の力、3.住友などのこれまでの男女差別是正裁判の到達点、を挙げておられました。

 2の点に関して言えば、実際、この裁判で支援がぐんぐん広がっていくさまは、すごかった。最初は、傍聴者も10数人で、「支援する会」の結成総会にいったい何人集まるのか心配していたことも思い出されます。それが、昨年秋の証人尋問の時には、4回とも100人収容の大法廷がだいたい満員でした。
 その陰には、「支援する会」の方が、さまざまな団体に地道に支援要請に行かれたり、大阪争議団共闘会議に参加するなどして支援を広げていったことがありました。事業所や研究所、本社をはじめとした全国でのビラまき、支社への申し入れなどの活動も半端なものではなかったようです。
 私は傍聴に行っただけで、ビラまきなどに参加することはできなかったのが残念ですが、「男女差別許すな、労働者の人権まもれ」というパワーは大変なものでした。

 3の点では、当日の集会でも、支援する会の北之橋会長や支援対策会議の服部議長のほかに、住友金属元原告の北川清子さんやワーキングウィメンズネットワークの正路会長(住友化学・住友電工の方が東京の兼松の裁判に行っていたので、その代わりだとおっしゃっていました)、住友生命の元原告の方もお祝いの言葉を述べておられました。
 また、このブログでもう一つ報告している「館長雇止め・バックラッシュ裁判」(原告・三井マリ子さん)とも少し関係があります。というのは、二つの裁判は同じ裁判長(山田陽三さん)なのですが、「館長雇止め~」裁判が、大法廷を要請する運動を粘り強く繰り広げたことが、こちらの裁判の証人尋問での大法廷実現の一助になったからです。

 裁判の内容については、すでにこのブログでも何度か報告しましたので、以下、若干繰り返しになりますが、簡単に説明します(「勝利和解にあたっての声明文」などをもとにして書いています)。
 仙頭さんは大阪府立工専を卒業後の1973年、旧藤沢薬品に入社し、17年間、研究所で分析・理化学基礎研究に従事してきました。
 当時の賃金体系は、男性のみを昇格・昇給の対象としていたため男女の賃金格差は広がる一方でした。
 仙頭さんは、『このままではいつまでも男女差別を受け続ける』との思いから、1990年営業職に転じ、女性初のMR(医薬関連情報担当者)になりました。しかし、男性と同一の職務に就き、同僚男性に劣らない営業成績をあげても資格や賃金の是正は行われませんでした。
 それどころか、1997年の給与体系の変更で営業職が総合職コース(C職)に確定し、『これで差別が是正される』と期待した矢先に子会社への出向を命じられ、一般職(B職)に格付けられました。
 仙頭さんと同期・同学歴の男性は、入社後平均14年で主任に、22年で管理職に登用されるのに対し、仙頭さんは入社後27年でやっと主任に登用されるなどの著しい男女格差に我慢の限界を感じ、大阪地裁に提訴しました。

 裁判では、会社は男女差別的な賃金体系であったことを否定し、「採用区分」「職務区分」などのいわゆる「コース別」賃金体系だったと主張しました。また、二度にわたる賃金体系の改定によって「男女や学歴などの属人的要素を廃し、能力にもとづく賃金体系を確立した」とも主張しました。
 けれど、二度にわたる賃金改定によっても、男女別学歴別の賃金カーブはまったく変わっていません。すなわち、制度改定を隠れみのにして、運用面で男女別考課をおこなうことで、男女別賃金体系を維持してきたことが当時の資料から明らかになりました。
 こうした事実によって、「採用区分」「職務区分」などのいわゆる「コース別」賃金体系は、「にせコース制」であることが明らかになりました。

 今日、多くの企業では、当時の藤沢薬品よりもさらに巧妙なコース制を導入していると思います。また、パートや派遣などの非正規雇用の活用も多くなりました。
 けれども、「採用区分」「職務区分」「雇用形態」などを口実にして、女性を差別し、男性をも低賃金に押さえ込むというやり方は何ら変わっていないと思うのです。
 その意味で、私も微力ながら、この裁判の成果を受け継ぐような活動を頑張りたいと思います。
関連記事

台湾・家庭内暴力防止法の改正

 3月5日、台湾の家庭内暴力防止法(家庭暴力防治法)の改正案が国会を通過し、同法はさまざまな点で強化されました(家庭暴力及性侵害防治委員会のサイトより)。

 詳しくは、「法改正の背景・過程とポイントの説明」「条文対照表」(いずれもワードファイル、繁体字中国語)を参照してください。
 それらを見ると、だいたいのところ、以下のような点が強化されたようです。
1.適用範囲を拡大し、従来は元配偶者や事実婚までであったのを、「同居関係」を入れた。
2.「家庭内暴力および性侵害防止基金」の設置。
3.家庭内暴力防止センターの機能の強化
4.民事保護命令の種類を、通常保護命令、暫時保護命令、緊急保護命令の3種類に増やして整備。
5.被害者保護のためのさまざまなの措置を強化した(計8条にわたる改正)。
6.保護命令の「執行」の節を新たに設け、保護命令がきちんと執行できるようにした。
7.家庭内暴力罪を犯した重大な嫌疑がある者に対して現行犯でなくても拘引できるという規定を強化した。
8.家庭内暴力の防止や被害者保護のために働く人の安全を確保する条文を入れた。
9.家庭内暴力事件の通報のメカニズムと処理を強化した。
10.「113」女性・子ども保護専用電話の正常な運行を確保するための措置。
11.小中学校で「家庭内暴力防止課程」を教えなければならないという規定について、毎学年「4時間以上」という時間を定めた。

 そのほか、現行のものは、目的として「家庭の調和[和諧]を促進する」ということも謳われていたのですが(第1条)、今度の改正でこの文言が削除されたことも注目されます。

 台湾の家庭内暴力防止法は1998年6月に制定・公布され、1999年6月に全面施行されました。同法については、すでに戒能民江「台湾家庭暴力防止法から学ぶ」(戒能民江編『家庭内暴力防止法』2001年 尚学社)などの論文がありますが、今回いっそう強化されたわけです。
関連記事

中国における児童虐待防止の取り組み

 中国における女性に対する暴力への取り組みについては、DV反対ネットワーク(反対家庭暴力網絡)のサイトなどを見れば基本的にわかるので(私も日本語で紹介する文章をもうすぐ発表します)、今回は、子どもに対する暴力(児童虐待)防止の取り組みについて時系列的に、ごく簡単に紹介してみました。

 まず1999年、西安交通大学が全国で初めて子どもに対するネグレクトに関する調査をおこない、同年、全国初の児童虐待・ネグレクトシンポジウムも開催しました。
 陝西省翻訳協会東アジア児童虐待・ネグレクト専門委員会というものも設立されます。これは、国際児童虐待・ネグレクト防止協会(International Society for Prevention of Child Abuse and Neglect)の会員で、医者だった焦富勇教授が中心になって設立したもののようです(「被忽視了的児童問題」『健康報』2003年11月21日)。

 2005年5月には、国家レベルで、全国婦連とユニセフが主催して「子どもに対する暴力に反対する国家級シンポジウム(反対児童暴力国家級研討会)」を開催しました(人民網の特集)。
 このシンポジウムではもちろん焦富勇教授も発言します(「虐待忽視児童 一個厳重的公共衛生問題」)。
 女性やジェンダー関係者からの発言としては、国連のStephanie Kleine-Ahlbrandtさんによる「ジェンダーの観点から見た子供に対する暴力の問題」があります。
 女性メディアモニターネットワークの卜衛さんも、子どもに対する暴力に対するメディアの扱い方を批判して、報道のやり方についての提案をおこなっています(「反対対児童的暴力与媒介倡(提綱)」)。

 2005年11月には西安で、全国婦連が主催し、陝西省婦連が引き受けて、国連や国際組織の協力を得て各地の関係者に児童虐待防止の研修をおこないました(「預防虐待児童培訓開班」『西安晩報』2005年11月22日)。

 2006年3月には陝西省児童虐待・ネグレクト防止協会が設立されます。会員は150人あまりで、婦連の幹部、ソーシャルワーカー、記者、医者、法律関係者、子どもの教育の専門家などだとのことです。この協会は、法律や医療、心理のなどの面から子どもに援助をおこなうとともに、子どもの権利の問題について研究をすすめ、人民代表大会や政府の関係部門に提案をおこなうとのことです(「陝西成立防止虐待与忽視児童協会」新華網2006年3月1日)。なお同協会の成立を2005年12月とする記事もあります(「陝西成立防止虐待与忽視児童協会」新華社西安2005年12月25日)。

 この頃には、中国唯一の、子どもに対する虐待やネグレクト防止専門サイト「児童虐待ネグレクト防止」(China Society for Prevention of Child Abuse and Neglect。CNSPCAN)もできました(http://www.cnspcan.org/)。
 このサイトは、その説明によると、東アジア児童虐待・ネグレクト専門委員会の中国サイトということであり、やはり陝西省の関係者が作成したもののようです。
 このサイトの説明によると、この組織は主に「防止・援助グループ(防治和援助小組)」という小児科の医者・看護師・カウンセラー・婦連・記者・警察・法律関係者によって構成されたグループによって虐待を受けた子どもの救助や治療に当たったり、研修クラスやシンポジウムなどの活動を通じて幅広い人々に子どもの虐待防止の意識を高めてもらったりすることを目的にしている、とあります。
 このサイトはややつながりにくいですが、以上で述べた資料(の一部)を含めて、ある程度の資料が掲載されています。

 また、全国婦連とユニセフは「子どもに対する暴力反対」プロジェクトをおこなっており、その一環として2006年3-4月に北京・広東など6つの省・市で、学生らを対象に、子どものときの暴力について調査をおこないました(張麗雲・莫一雲・焦亜瓊「広東反対暴力侵害児童的調査報告」)。

 このように、中国における児童虐待防止というテーマは、全国レベルでもとりあげられるようにはなってきたとはいえ、具体的な取り組みは、まだごくごく一部でおこなわれてるいにすぎません。けれど、少しずつ前進しつつあることは確かなようです。
関連記事

全国政協や村民委員会の女性比率の最低線を定める提案

全国政協委員の女性比率の最低ラインを定める提案
 先日このブログで、来年選出される第11期全国人民代表大会(全人代)の人民代表について、「女性の代表は22%を下回らない」という規定が導入されそうだということを書きました。
 いま中国では、全国政治協商会議(全国政協)も開催されています。全国政協というのは、全人代と違って立法権や決定権はありませんが、幅広い人が国の政治について話し合ってさまざまな提案をおこなう会議です。
 全国政協の委員も5年ごとに改選されますが、これまでの女性委員の比率は、以下のとおりでした(1)
第1期(1954年~) 6.1%
第2期(1959年~)11.4%
第3期(1964年~) 8.1%
第4期(1975年~) 8.9%
第5期(1978年~)14.7%
第6期(1983年~)13.8%
第7期(1988年~)14.5%
第8期(1993年~) 9.2%
第9期(1998年~)15.5%
第10期(2003年~)16.8%

 全人代の女性代表の比率とほぼ同様に、ここ30年近くはだいたい横ばい状態です。
 そこで、全人代同様、全国政協の委員の女性の最低比率も決めるべきではないか、という提案を全国政協委員で敦煌研究院院長の樊錦詩さんが出しました(2)

村民委員会に女性を少なくとも1名入れる規定の導入を求める提案
 また、いま全人代に参加している全国婦連副主席・書記処書記の洪天慧さんは、「村民委員会組織法を改正して、『村民委員会に少なくとも女性を一名入れる』と規定すべきだ」という提案をしました。村民委員会というのは、農村住民の自治組織であるとされつつも、政府の末端組織としての性格も持っている組織で、3~7名で構成されます。

 洪天慧さんは、「女性は農業生産で大きな役割をはたしているのに、農村における女性の政治参加は少ない。2005年に至っても、村民委員会のメンバーの女性比率は16.7%であり、村民委員会の主任・副主任の女性比率は1%に達していない。村民委員会の中に女性が少なすぎることが、女性が土地経営権などの問題のおいて利益を侵害されることにつながっている」と述べます。
 洪さんはさらに、「現行の村民委員会組織法は『村民委員会のメンバーに、女性を適当に割り当てなければならない(村民委員会成員中,婦女応当有適当的名額)』と規定している。しかし、きちんとした比率の保障がないために、現実には多くの村で女性のメンバーがおらず、多くの優秀な女性が村民委員会に入ることができていない。これは、農業生産労働の主力軍である女性に対して不公平である」と指摘しています(3)

 日本でも間もなく統一地方選挙がおこなわれますが、社会の中の女性やジェンダーの問題を解決するためは、女性の政治参加を促進する必要があるとこは同じだと思います。

(1)「歴届全国政協委員人数和性別構成」国家統計局人口和社会科技統計司編『中国社会中的女人和男人─事実和数据(2004)』(中国統計出版社 2004年)86頁。
(2)「政協女委員的比例也設最低綫」『中国婦女報』2007年3月13日。
(3)「村委会成員中至少応有一名以上女性」『中国婦女報』2007年3月14日。
関連記事

『ジェンダー平等と法律:研究と対策』出版

 今年1月、譚琳・姜秀花主編『ジェンダー平等と法律:研究と対策(社会性別平等与法律:研究和対策)』(社会科学文献出版社 2007年)が出版されました(書虫ホームページにおけるこの本のデータ)。

 内容は以下のとおりです(訳語は厳密ではありません)。
 郭慧敏「ジェンダーと女性の人権──あわせてジェンダー的な法律分析の方法を論ず」
 周安平「ジェンダーと法学研究」
 尹小栄「中国女性の権益保護の探究──法源の視点から」
 彭希哲「社会政策の手段を運用し、ジェンダー平等を推進する──中国の年金制度の分析を例に」
 陳衛民・李瑩「中国の都市労働者の年金の性別の差異に対する定年年齢の影響の分析」
 王竹青・呉道霞「女性の専門技術者の定年問題の分析」
 劉軍ほか「男女の公務員の同一定年問題に関する討論」
 潘錦棠「中国の女性労働者保護の制度と現状」
 李程「就労における容貌差別問題の法律的規制の初歩的探求」
 郭慧敏・段燕華・高濤「労災法におけるジェンダー的盲点と差別──“妊婦の労災による胎児の損害”の事例分析」
 林金貴「家政婦の損害類型と救済メカニズムの研究」
 陳桂蓉「非公有制企業の女性労働者の特殊な権益の保護の現状と対策の提案──福建省の製靴業を例に」
 蒋月・潘峰・陳宝貴「都市の外来女性の権益保障の問題と対策──福建省厦門市からの報告」
 李鳳章「女性の土地権益の損失の制度的原因と保護制度の創設の分析」
 郭江平「嫁入りした女性の土地請負権の流失の原因および法律的保護」
 董江愛・陳曉燕「農村女性の土地権益擁護の法律的思考」
 李敏・程洪宝「法律的視角から農村の嫁に出た女性の土地権益の保護を論ず」
 王海燕・彭紅艶「法社会学の視点から見た家庭内暴力」
 郭英華・潘「家庭内暴力の法律的救済の手段の初歩的探求」
 王文怡「中国が家庭内暴力防止法を制定する必要性と合理性」
 付曉娟・雷曉坤「中国の反家庭内暴力立法の現状および思考」
 瀋奕斐「『セクシュアル・ハラスメント』概念の解析」
 郭慧敏・于慧君「『セクシュアル・ハラスメント』の法律的コストの性別配分──『婦女権益保障法』の法律経済学的分析」
 張栄麗「セクシュアル・ハラスメント防止の立法対策の研究」
 胡波「セクシュアル・ハラスメント立法に関するいくつかの思考──あわせて『婦女権益保障法』の関係条項を評す」
 劉明輝「反セクシュアル・ハラスメント立法における義務主体の欠如」
 段成鋼・彭迪「セクシュアル・ハラスメントの予防と制止の地方立法の浅議」
 林金貴「強姦犯罪における生育役割の欠如の法律的探究」
 冀祥徳「婚姻内強姦の犯罪化の立法の変更の提案」
 張弦「中国の婚姻内強姦の法律的救済・試論」
 欧陽和霞「生育保険制度の女性への配慮と男性の責任」
 [イ+几]興玉「生育保険制度の立法促進に関するいくつかの思考」
 欧陽曉安・葉国平「離婚損害賠償制度の法律的適用を論ず」
 張美萍「現行の離婚時の財産分割制度の分析と思考──江蘇省儀徴市陳集法廷の農村離婚事件の調査」
 張萍「ある事例から中国の新『婚姻法』における夫婦の共同財産の範囲を考える」
 張国舗「配偶権制度に対する反省と立法の完全化の提案」
 姜遠志・姜元奎「新『婚姻法』の夫婦の相互の忠実義務の規定を評す」
 肖巧平「中国『刑法』の関係規定のジェンダー的解読」
 張英麗「性犯罪事件の被害者の精神的損害賠償の研究」
 劉余香「調和社会の背景の下での、虐待されて夫を殺した女性の合法的権益の保護──虐待されて夫を殺した女性の無罪判決あるいは刑罰減免の法律的根拠」
 張雪梅「児童に対する性侵犯に関する探求」
 蔡一平「女児と青年女性の労働搾取を目的にした人身売買に反対するメカニズムの探求」
 袁娥・楊鎮宇「辺境民族地区の女性の人身売買犯罪の研究──雲南省文山のチワン族・ミャオ族自治州を例に」
 欧陽梅「中国の高等教育の法学の教育と研究へ女性法学の導入を推進する対策」
 郭慧敏「民間の女性の法律的援助の問題の探求」
 何貴忠「新『婚姻法』の五年の実践の評価と分析」

 各論文はそれぞれ10ページ程度です。
 この書物は、『婦女研究論叢』の編集部が中心になってまとめたものです。そのせいか、私も『婦女研究論叢』ですでに目にした覚えのある論文がかなりありました。『中華女子学院学報』などの他誌で目にしたものもあります。ただし、すべてが発表済みのものかどうかは確かめていません。
 なお、すでに発表されたものも、原文がそのまま収録されているわけではありません。その後出版された参考文献を付け加えている論文もあります。ただし全体としては原文より短かくしているものが多数のようです。「フェミニズム(女性主義)」が「ジェンダー(社会性別)」に変えられている(肖巧平論文)など、少し気になる変更もありました。
 しかし、いずれにせよこの本は、現在の中国の法律をジェンダー平等の観点から論じた論文をもっとも多く集めた単行本には違いないように思います。
関連記事

立命館APU雇止め裁判の署名のお願い

 私が非常勤講師をしている立命館大学は、非常勤講師はもちろん、常勤講師も4年や5年といった上限をつけて使い捨てを続けています。そうしたなか、別府にある立命館アジア太平洋大学(APU)を昨年3月に不当解雇されたある常勤講師が裁判闘争をしています。

 2000年に開学したAPUは半数は外国人学生ということから、多くの日本語教師が必要であったため、日本語教育が内定していた常勤講師に対し「有期雇用ではあるが、定年まで更新できる」と説明して、別府への赴任を説得しました。
 ところが立命館は、そんな約束は忘れたふりをして「有期雇用なんだから、期間が終われば当然クビ」と言って、期限が終わった常勤講師たちをクビにしてしまいました。

 現在、地位保全の仮処分を求める裁判が続いています。地裁では仮処分の命令に至らず、現在高裁で審議が行われています。ぜひ、署名にご協力願います。
 なお、署名はネット上では非表示にすることもできます。

 女性の大学教員は、(最近は教授・助教授も少しずつ増えてきたとはいえ)まだまだ非常勤講師や今回問題になっているような有期雇用の講師が多いです。ですから、これは女性やジェンダーとも関係する問題です。

 署名サイト
http://university.sub.jp/apu/saiban/
 署名のしかた・・・まず「登録番号の請求」をして、メールで送られた番号を入力して署名します。ちょっと手間がかかりますが、すぐに出来るのでお願いします。
関連記事

全人代の女性代表比率を「22%以上」と規定へ

 来年選出される第11期全国人民代表大会(全人代)の人民代表について「女性の代表は22%より低くてはならない」という規定が導入されるようです(1)

 全人代の人民代表は5年ごとに改選されますが(文化大革命の前後はそうなっていません)、これまでの全人代の女性の人民代表の比率は、以下のとおりでした(2)
 第1期(1954年~)12.0%
 第2期(1959年~)12.2%
 第3期(1964年~)17.9%
 第4期(1975年~)22.6%
 第5期(1978年~)21.2%
 第6期(1983年~)21.2%
 第7期(1988年~)21.3%
 第8期(1993年~)21.0%
 第9期(1998年~)21.8%
 第10期(2003年~)20.2%

 上の表を見ると、第4期(1975年選出)に22%を上回りましたが、それ以後は20~21%台であり、ここ30年あまりは完全に横ばい状態であることがわかります(この点は、各国で1975年の国際女性年以降に女性の運動が盛り上がったのと違って、中国では女性の下からの運動がまだ極めて弱いことと関係していると考えられます)。

 従来も第8期と第9期の代表を選出するときに「女性代表の比率は前期より低くてはならない」という規定が導入され、第10期の代表を選出するときには「女性代表の比率は前期より高くなければいけない」と規定されました。
 しかし、数値を決めたのは初めてです。

 ただし、来年22%を上回ったとしても、現在が20.2%なのですから、僅かな伸びにとどまります。北京行動綱領の「30%」という数字とはまだ落差があることに触れている記事もあります(3)
 また、上の表からもわかるように、そもそも、これまでの規定はけっして守られていません。

 しかし、昨年、湖南省では人民代表大会の代表の候補者の30%以上を女性にすることを決める(4)など、地方によっては数値規定を置く例もあらわれており、今回の動きもこうした流れを反映しているとはいえそうです。

(1)「22%,婦女参政的利好信息」『中国婦女報』2007年3月9日。
(2)「歴届全国人民代表大会的代表人数和性別構成」国家統計局人口和社会科技統計司編『中国社会中的女人和男人─事実和数据(2004)』(中国統計出版社 2004年)85頁。
(3)「欣聞女代表不少于22%」『中国婦女報』2007年3月9日。
(4)「湖南率先立新規 30%候選人成為婦女参政剛性指標」『中国婦女報』2006年8月8日。
関連記事

『週刊金曜日』に私の投書掲載

 3月9日発売の『週刊金曜日』645号に、私の投書「バックラッシュに屈した『男女共同参画行政』を問う裁判」が掲載されています。
 バックラッシュや非常勤差別──いずれも女性差別と深く関わっています──とたたかう裁判である「館長雇止め・バックラッシュ裁判」(原告・三井マリ子さん)を紹介した投書です。ごく短いものですが、61~62頁に掲載されています。

 『週刊金曜日』のこの号の特集は「警察の闇 第7弾 止まらない腐敗の連鎖」であり、他に「集中連載・石原慎太郎の本性(2) カネ、カネ、カネの利権体質」などがあります(目次)。
 大きな書店には置いてある場合が多いので、よろしければご覧ください。
関連記事

23歳の女性、容貌による差別事件で和解勝ち取る

 この2月、23歳の女性が、容貌による差別事件で労働仲裁を申請し(「全国初の容貌差別事件」と言われています)、和解によって差別を是正させました。

 秋子さんは先天性脳水腫でした。命がけの手術の結果、病状自体は良くなりました。でも彼女の頭は一般の人より大きいままでした。
 秋子さんは努力して大学に入り、その在学中、ずっとエイズの防止と救助のボランティアをしていました。
 そして秋子さんは昨年、上海昴立教育投資管理相談有限会社(上海昴立教育投資管理諮詢有限公司)の華北大区教育部の英語の教師になりました。秋子さんは会社と契約をかわし、浙江昴立国際教育嘉善学校に配属されました。

 ところが、その学校の校長と会ったところ、当日のうちに華北大区の責任者から電話があり、戻ってきて別の仕事につくように言われました。秋子さんが後日、その理由を尋ねると、彼は「嘉善の方では、(あなたの)外形全体に不満足だ」「ほんとうの原因はあなたの容姿の問題だ」と言いました。秋子さんが契約のことを言うと、「我々は引き裂いてしまえるんだ!」と答えます。
 長い間エイズのボランティア活動もしてきた秋子さんは、人はみな平等だとずっと堅く信じてきましたので、いかなる差別も受け入れることができませんでした。責任者の話も録音していました。

 秋子さんは、労働争議仲裁委員会に労働仲裁を申請し、会社に違約金や精神的損害賠償の支払い、メディアでの謝罪などを求めました(1)

 この2月9日、和解が成立し、秋子さんは仕事を続けることができるようになりました。華北大区の責任者は秋子さんに公開のおわびの手紙を出しました。
 さらに、上海昴立教育投資管理相談有限会社は、全国の企業で初の「反差別声明」を出します。そこには、「人間は平等である。区別するのは品行と能力によってだけである。一切の差別行為を譴責する。以前の業務の中で、我々に不当な差別の言行があったならば、謝罪し挽回する措置をとる」ということなどが書かれています(2)

 今回の勝利をもたらしたのは、なんとしても差別を許さないという彼女の意志の力でしょう。そうした意思が差別発言を録音していたことにもつながっているのだと思います。でも通常は、こうしたはっきりした証拠がないために、容姿による差別を是正させるのは難しいと思うのです。

 この事件を報じた中国のメディアのなかには、中国にはさまざまな差別があるにもかかわらず、まだ差別禁止のためのきちんとした法律制度やそのための組織機構、有効な措置がないことを指摘しているものもあります。
 いま、「中華人民共和国就労促進法」の草案が審議されています。その中には「民族・人種・性別・宗教信仰・年齢・身体障害」による差別禁止の規定があるようです。もちろん民族や性別による差別の禁止はすでに他の法律でうたわれているのですが、この規定は、「年齢」を含んでいる点などにおいて従来のものより広いように思います(この点はまだ十分確認していませんが)。
 この法案に期待を寄せる向きもあるようです。しかし、この法案についても、「ある法律の草案が最終的な表決によって採択されるまでには、なお複雑な手続きがあり、激烈な利害の駆け引きも必要だ」「実際に効力を発揮できるかについては、私たちは期待して、目をこすって待つことしかできない」という指摘もなされています(3)

(1)以上は、「女孩因容貌被剥奪教師資格与禁止就業歧視」婦女観察網2007年2月28日。「大頭女孩欲当老師 求職遭遇相貌歧視」(中人網2007年2月4日)では、労働仲裁の申請書や録音の記録も読めます。
(2)「全国相貌歧視第一案獲得和解──“大頭女孩”獲得長期労動合同 全国企業第一份反歧視声明誕生」(2007年2月9日)(中山大学性別教育論壇HP)が、会社の「反差別声明」と秋子の「声明」を掲載しています。
(3)「秋子贏了,但中国反歧視之路仍很漫長」『検察日報』2007年2月16日。
他に、「全国相貌歧視第一案和解 当事人獲長期労動合同」も参照(秋子さんの喜びの写真入り)。
関連記事

須藤瑞代『中国「女権」概念の変容』出版

中国女性史研究会で活躍している須藤瑞代さんが本を出版されたそうです。

須藤瑞代『中国「女権」概念の変容──清末民初の人権とジェンダー』研文出版,2007年2月,262ページ,6500円+税,ISBN978-4-87636-271-4です。

詳細は、村田雄二郎研究室ブログでのこの本の紹介をご覧ください。

私はこの本はまだ読んでいませんが、今までの論文を拝見したところ、須藤さんはお若いですが、とても優秀な方なので(私などが褒めても、あまり説得力がありませんが)、この本も読んで絶対損はないと思います。
関連記事

中国人身売買反対資料センター設立

 昨年の話で恐縮ですが、2006年6月、中国人身売買反対資料センター(中国反対拐売人口資料中心)が設立されました。

 このセンターは、国連機構間大メコン亜区域人身売買反対プロジェクト(聯合国機構間湄公河次区域拐売人口項目。United Nations Inter-Agency Project on Human Trafficking in the Greater Mekong Sub-region[UNIAP]。2000年6月~) の中国事務所と北京大学法学院とが共同で設立したもので、中国初の人身売買反対資料センターです。事務所は、北京大学法学院の図書館に置かれました。

 このセンターは、国際的・国内的な人身売買反対の情報を、人身売買反対に携わる人々や公衆に提供することを目的としています。
 人身売買を国際的なレベル(the Greater Mekong Sub-region[湄公河次区域]とは、カンボジア、中国、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナムを指す)で取り組む国連の活動の一環でもあります。

 ホームページも出来ています。
 その中の「ニュース動態」のコーナーには、人身売買に関するニュースや人身売買防止のための活動が続々と掲載されています。
 「通訊期刊」のコーナーでは、国連機構間大メコン亜区域人身売買反対プロジェクトによる『通訊』(季刊)と『ニュースダイジェスト』(週刊)が読めます。
 「専門家フォーラム」のコーナーでは、人身売買の報道のあり方を考えた文章なども読めます。

 それぞれのコーナーには、ジェンダーや女性解放の視点から人身売買の問題を考えた文章も収められています。
関連記事

«  | HOME |  »

プロフィール

遠山日出也

Author:遠山日出也
 検索から来られた方へ:このブログの記事を分類した一覧である「『中国女性・ジェンダーニュース+』記事総覧」を見ていただくか、下の「カテゴリー」欄を使われると、関連情報がご覧いただきやすいと思います。最近の行動派フェミニストについては、「中国の行動派フェミニスト年表、リンク集」をご覧ください。
 また、「中国女性・ジェンダー関係主要HPリスト」(リンク集)も併せてご覧いただければ幸いです。日本の問題の一部は、「ウィメンズ・アクション・ネットワーク(WAN)の労働争議・まとめ」や「館長雇止め・バックラッシュ裁判」でまとめています。
 恐れ入りますが、スパム対策などのため、コメントは私が拝見した後で表示させていただきます。
 私への連絡はこちらまで

最近の記事

月別アーカイブ

カテゴリー

最近のトラックバック

最近のコメント

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

リンク

このブログをリンクに追加する

RSSフィード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。